前スレ:【前編】
四日後
さやか「やああああ!」
キン!
マミ「はっ…!」
シュルルルル!
さやか「はあ!」
ザンッ!
さやか(よし!)
チャキッ
さやか「うげ…」
マミ「油断しちゃダメよ」
キーン コーン カーン コーン
マミ「終わりね。続きはまた放課後にしましょう」
さやか「あーん。また負けたー」
マミ「落ち込まないの。始めより断然良くなってるわ」
さやか「そうですか?」
マミ「私に銃を使わせたんだもの。自信を持って」
ほむら「順調のようね」
さやか「……転校生」
マミ「佐倉さん達との魔女退治はどう?」
ほむら「何とか使い魔も狩ってるわ。佐倉杏子は未だに反対してるけど」
マミ「大変ね」
ほむら「そうも言ってられないわ。残された時間で可能な限り状況を有利に進めないと」
マミ「ワルプルギスの夜が来るまで、あと八日…」
ほむら「私達は勝たなきゃいけない。この街を護るために」
さやか「……ホントにそれだけ?」
ほむら「え?」
さやか「転校生は、ホントにそれだけの為に動いてるの?」
元スレ
ほむら「拳でワルプルギス倒す」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1332309272/
ほむら「……」
さやか「なんでかな。あたし、アンタのこと嘘つきだって思っちゃうんだよね」
さやか「さっきこの街を護るためって言った時。あんた、なにか別のこと考えてたでしょ?」
マミ「美樹さん!何を言ってるの!?」
ほむら「………」
さやか「何を隠してるの?仲間って言いながら、あたし達に言えない事ってなんなの?」
ほむら「………あなたって、鋭いわ」
ほむら「確かに、私はあなた達に隠し事をしてるわ」
マミ「暁美さん…!?」
ほむら「でも、それはまだ話せない」
さやか「どうしてさ」
ほむら「その結果がどうなるか、知っているからよ」
さやか「あたし達にも関係してるんだ」
ほむら「ええ。でも信じて。私はみんなを助けたいの」
さやか「………」
ほむら「授業に遅れるわ。戻りましょう」
さやか(なんだよ……それ…)
「もう一度聞くわ。本当にいいのね?」
「しつこいなー。言ったでしょ、私はキミの為なら何でも出来るって」
「後悔はないの?」
「キミが悲しむこと、それが後悔だ」
キリカ「さぁ行こう。見滝原中に……鹿目まどかを殺しに」
織莉子「私達の世界を、護るために」
和子「この場合、明らかに自分が悪いのに彼女に文句を言ったは彼は実に器が小さいことがわかりますね。女性は包容力があるなんて男の勝手な理想を押し付けた典型的なパターンです。したがって『彼は文句を言った』の現在進行形を使うのが―」
さやか「だから例えが長いって」
まどか「今度は付き合う前に喧嘩したみたいだね」
和子「そもそも、彼がそんなことで文句を言わなければ」
ビーッ!ガガッ!
さやか「うわっ!?」キーン
まどか「ノ、ノイズ…!?」キーン
ほむら「………来たわね」
キリカ『あー、あー。テステス、マイクテスー。よし繋がった』
織莉子『キリカ。カメラはこっちよ』
「誰だあの二人」
「あの子キレイ」
「あれ白女の制服じゃね?」
ほむら(マミ。そっちにも映っているわね)
マミ(ええ。一体何かしら)
ほむら(あの二人は魔法少女よ。それも強力な)
マミ(どういうこと?何故こんな目立つ真似を)
ほむら(詮索は後回しよ。それより、この放送が終わったらあの二人は学校に魔女の結界を張る気よ)
さやか(なんだって!?)
マミ(そんなことしたら、生徒が犠牲に)
織莉子『皆さんには、愛する人がいますか?』
織莉子『-----』
ほむら(美樹さやかは鹿目まどかを連れて安全な場所へ。私とマミであの二人を止めるわ)
さやか(何だよそれ。あたしも一緒に)
ほむら(言ったでしょ、あの二人は強力だって。まだあなたがどうにかできる相手じゃない)
ほむら(それに、あの二人の狙いは……鹿目まどかよ)
織莉子『しかし、私は戦う』
まどか(え…!?)ゾクッ
織莉子『来なさい。最悪の絶望』
ブツン
「なんだったんだ?」
「さあ?」
「演劇部のレクリエーション?」
和子「み、みんな落ち着いて」
ズッ…!
さやか「!?」
マミ「!!」
ほむら「来るわ!」
ズズズ……!
さやか「教室が変わっていく……!」
まどか「これって…魔女の…」
ほむら(マミ!急いで織莉子たちのもとに向かうわよ!)
マミ(ええ!)
ほむら「みんな教室から出て!」
和子「あ、暁美さん?」
ほむら「先生も早く避難してください。急がないと」
ガシャアアアン!!
「うわ!?な、なんだ?」
「気持ち悪い…」
「変なの。ぬいぐるみ?」
さやか「触っちゃダメ!」
「え?」
使い魔「あ疎bう?」グワッ!
「う、うわあ!?」
ほむら「はっ!」
バキィ!
「あ、ありがとう暁美さん」
ほむら「……先生、早く避難を」
和子「み、みんな教室から出て!」
ワアアアア!
さやか「転校生!」
ほむら「鹿目まどかを頼んだわよ。美樹さやか」ヘンシン
さやか「待って!あたしも」
シュタッ!
さやか「……っ」
まどか「さ、さやかちゃん」
さやか「……行こう。大丈夫、あたしがみんなを護るから」
「きゃああああ!」
マミ「はっ!」
ドン!ドン!
「た、助かった?」
「今のうちに逃げよ!」
「うん!」
マミ(キリがないわ。それに見られないようにすると動きが制限されて)
シュバッ!
マミ「しまっ…!」
ギュルルルルル!
マミ「むーっ!むむーっ!」
杏子「なにしてんだよ」
ザシュウ!
マミ「ぷはっ…あ、あなた達」
杏子「なっさけねーな、マミ」
ゆま「痛いところある?ゆまが直すよ」
マミ「大丈夫よ。それより、どうしてここに」
杏子「QBに呼ばれてな。織莉子がここにいるって来てみたら、結界が張られてるとな」
マミ「織莉子?」
杏子「白い魔法少女だ。そいつには、ちょっと借りがあるんだよ」
マミ「白い…あの白女の制服を着た子ね」
杏子「にしても、あんなのに捕まるなんて油断しすぎだろ」
マミ「仕方ないじゃない。姿を隠しながらじゃ動きにくいのよ」
杏子「何で隠すんだよ?」
マミ「ヘタにバレたら今度から動きにくいでしょ」
杏子「めんどくせー。そんなの記憶消せばいいじゃん」
マミ「あのね、私はあと一年はここに来なきゃいけないの。生徒の数も多いし、見た人全員の記憶を消すなんて無理なの」
杏子「だったら来なきゃいいじゃん」
マミ「出来るわけないでしょ!」
ゆま「あわわわわ」オロオロ
ほむら「なにを呑気に騒いでるのかしら」
マミ「暁美さん」
杏子「よう。ほむら」
ほむら「杏子。あなた達も来たのね」
杏子「まあな。ん?ボンクラはどうした?」
ほむら「別行動よ」
杏子「なるほど、足手まといは置いてきたと」
ほむら「そんなこと言ってないわ。それより、早く織莉子たちの元にいきましょう」
杏子「へっ、わかってるっつーの」
織莉子「結界は学校全体に張れたみたいね」
キリカ「じゃあコレ、もういらないか」
趣の魔女「義Gaガ……」
キリカ「バイバイ」
ザシュ!
カラン
織莉子「さようなら、嘘吐きに騙された哀れな子」
キリカ「あとは暁美ほむら達の到着を待つだけだね」
織莉子「なんとしても勝たないと。アレだけは、何としても止めなければ」
ピシッ
織莉子「来たわね」
ドガアアアン!!
ザッ
ほむら「見つけたわ」
キリカ「ドアから入らないとは、マナーの悪い客人だね」
ほむら「あら。ちゃんとノックしたわよ」
杏子「思いっきり殴ってたじゃねーか……」
キリカ「四対二か。分が悪いね」
マミ「降参するなら今の内よ」
杏子「アタシは許さねーけどな」
織莉子「ご安心を。元々そのつもりだから」
ヴォン
マミ「させないわ!」
ドドドドドドドド!!!
キリカ「ははっ!」
キンキンキン!!
マミ(全部の弾を弾かれた!?)
織莉子「ありがとう、キリカ」
キリカ「どういたしまして」
ドン!!
杏子「ゆま!」
ゆま「うん!」
ジャラ…!
杏子「おらおらおらおらぁ!!」
ゆま「てぇーい!」
ドドーン!!
杏子「喰らえ!」
キィン!
杏子「テメェ…!」
キリカ「残念。織莉子には届かないよ」
織莉子「キリカ!下がって!」
キリカ「!」
ヒュッ
ドオオオオン!!
杏子「おわあ!?」
ほむら「チッ…!」
キリカ(地面が割れた…何て蹴りだ…!)
キリカ「でも、当たらなきゃいいはな」
ほむら「逃がさない」ズイッ
キリカ「!?」
ドッ!
ほむら「―!」
キリカ「がぐっ…!」
ズサァ
織莉子「キリカ!」
キリカ「平気…これくらいなんてことないよ…」
ほむら(直前に爪で防がれた。踏み込んでいたら、指をやられてたわね……)ポタポタ
パァアア
ゆま「はい。治ったよ」
杏子「どうする。あいつら、何だか妙な感じがするぜ」
マミ「迂闊に飛び込めないわね。でも、急がないと生徒の身が…」
織莉子「動ける…?」
キリカ「大丈夫だって。でも、このままじゃ勝てないね」
織莉子「いいえ。勝てるわ。私とあなたなら」
キリカ「……そうだね。私が魔法少女をやめれば、きっと勝てる筈だ」
織莉子「!? ダメよ!そんなことしたら」
キリカ「大丈夫。私は何があっても、織莉子を護るよ」
織莉子「キリカ…」
キリカ「急ごう。さっきの一撃で結界の崩壊が始まってしまった」
織莉子「ええ、必ず勝ちましょう。私達は救世を成し遂げなければならないのだから」
杏子「おい、結界が崩れ始めたぞ」
マミ「……ねえ、何かおかしくない?」
杏子「何がだよ」
マミ「彼女達が関与してるとはいえ、結界自体は魔女のものよね?でも、ここに魔女はいないわ」
杏子「ボンクラがやったんじゃねーの?」
マミ「これ程の結界を張る魔女よ?美樹さん一人では荷が重い筈だわ」
杏子「言われてみれば……」
ほむら「考え事は後よ。それより、今は目の前の敵に集中して」
キリカ「お喋りとは余裕だね客人!」
ザッ!
ほむら「私が相手よ」
キリカ「また怪我しちゃうよ?」
ほむら「そうかしら」スゥ
キリカ(構えを変えた…手刀ってやつか……)
ほむら「爪と刀、どちらが強いかしらね」
キリカ「あははっ!客人はおもしろい事を言うね」
キリカ「もちろん、私の爪だよ」
ほむら(呉キリカの相手は私がする。あなた達は美国織莉子を)
マミ(わかったわ)
杏子「そのつもりだぁ!」
ドドドドドドド!!
ゆま「やあっ!」
織莉子「哀れな子達…真実を知らずに、あの嘘吐きの思うままに動かされて」
杏子「ああ?何言ってんだテメェ!」
織莉子「前に進むことしか知らないあなた達は、やがて自分の愚かさを呪うでしょう」
マミ「一体何のことよ!」
織莉子「魔法少女の行く末。その真実に、あなた達は絶望せずにいられるかしら」
ゆま「魔法少女の…」
杏子「行く末…」
マミ「真実……絶望…?」
キィン!
キリカ「ぐっ・・・!」
ほむら「……っ!」
キリカ(どうなってる…いくら魔法で強化してるとはいえ、素手で私の爪と渡り合える筈が無いのに…!)
ギギギギ……!
キリカ(織莉子の話じゃ、暁美ほむらの魔法は時間操作を主にしてた筈。どうなってる…)
プシュ!
ほむら「ぐっ…!」
キリカ「!」
バッ!
ほむら「……」パァアア
キリカ(今のは……そういうことか)
キリカ「客人の秘密、わかっちゃった」ペロッ
ガシャ!
ほむら(爪が増えた―!)
キリカ「さあ、散ね」
ほむら(手刀で受け流して反撃を)
ブシャアアア!
ほむら「なっ…」
キリカ「あは」
ほむら「あぐっ…あ…!」
キリカ「タネがわかっちゃえば簡単だったね。指は落とし損ねたけど」
ほむら「……ぐっ」パァアア
キリカ「客人は得意な時間操作の魔法で、私の爪が手に『食い込む時間』を止めていた」
ほむら「!?」
キリカ「さっきの鍔迫り合いで手から血が出たのは、私の速度低下の魔法が干渉してゆっくりだけど止まった時間が動いたからだね」
ほむら「……意外に、頭が回るのね」
キリカ「そういう客人は、意外にセコかったね。壁を壊したのも、手刀を見せたのも、自分が肉体強化の魔法だけしか使ってないと思わせる為だったんだ」
キリカ「でも、無駄だったね」
キリカ「止まった時間を動かせれば、客人を刻むなんてわけないよ」
ほむら「……そうかしら」
キリカ「止めときなよ。向うも勝負あったみたいだし」
ほむら「!」
マミ「……」
ほむら「マミ!何をしているの!?」
マミ「……暁美さん」
マミ「魔法少女が魔女になるって、本当なの?」
ほむら「!」
織莉子「やはり、あなたは識っていたのね」
ほむら「美国織莉子…!」
織莉子「魔法少女の真実。それは、敵としていた者が未来の自身だということ」
マミ「嘘だよね…暁美さん」
ほむら「マミ……」
マミ「私がしてきたことって……人殺しだったの?」
ドッ!
マミ「あぐっ…!」
織莉子「哀れな子。真実に押しつぶされ、立ち止まってしまった」
杏子「おらああああああ!!」
ドッ!
杏子「がっ…!」
織莉子「例え立ち止まらなくても、心乱されまともに戦うことすら出来ない」
ゆま「キョーコ!マミおねえちゃん!」
織莉子「そして真実を受け入れなお、違う道に逃げるもの。暁美ほむら、あなたはあと何度繰り返す気なのかしら」
ほむら「………まどか救うまでよ」
織莉子「なら、永遠に繰り返す時間のなかを彷徨うがいいわ!」
ほむら「…っ!」
ゆま「待ってて、すぐ治すから!」
杏子「やめろ、ゆま」
ゆま「え…?」
マミ「魔法少女は魔女になる……」
杏子「結局、騙されたアタシたちがバカだったてことだよ……」
ゆま「でも、傷が…」
マミ「傷を治して何になるって言うの?ソウルジェムが魔女を生むなら……死ぬしかないじゃない…!」
ゆま「キョーコとマミおねえちゃんは、諦めるの?」
パアアアァ!
マミ「傷が…!」
杏子「ゆま…?」
ゆま「ゆまはママにいじめられたとき、死んじゃった方がいいって何度も思ったよ」
ゆま「でも魔女に襲われた時、死にたくないって、全然反対のこと思った。毎日怖くて辛かったけど、それでも生きたかった」
ゆま「諦めないで、必死に生きようとした。そしたらね、キョーコに逢えた」
杏子「ゆま…」
ゆま「それに、ほむらおねえちゃんは諦めてないよ」
カチッ
織莉子「キリカ、後ろよ」
キリカ「よっと!」
ドオオン!!
ほむら「くっ……!」
織莉子「無駄よ。私の予知とキリカの速度低下、あなたに勝ち目はないわ」
キリカ「諦めたら?」
ほむら「黙れ…!」
ドドドドドド!!
ほむら「うああっ!!ま、だ……よ…!」
ゆま「諦めた方が楽なのに、それでもほむらおねえちゃんは諦めない」
マミ「でも、私達はいつか魔女に…」
ゆま「その『いつか』に脅えて何もかも諦めるの?生きることも、進むことも、戦うことも」
杏子「………」
ゆま「ゆまは諦めない。魔女にもなりたくない。だから、生きるために戦うよ」
ゆま「二人は、ほんとうに諦めて死ぬの?」
ほむら「かはっ…!」
織莉子「終わりよ。暁美ほむら」
ほむら「はぁ……はぁ……」グッ
織莉子「その拳で何をしようというの?あなたが進む道に、救いなど無いわ」
ほむら「それは…私が決める……」
織莉子「残念よ。最後は、せめて安らかに」ヴォン
キリカ「さよなら」ジャキ
ほむら「………」
ズォォオ……!
織莉子「―!?」
マミ「暁美さん!離れて!」
織莉子・キリカ「!」バッ!
ドドドドドド!!
織莉子「巴マミ…!」
杏子「だらぁあ!」
キリカ「織莉子!」
ギィン!!
キリカ「佐倉、杏子…!」グググッ…!
杏子「アタシらしくねーな。ガキに説教されるなんて」
マミ「ソウルジェムは魔女を生む。そして私達の本体はそのソウルジェム……それが、なんだっていうのかしらね」
織莉子(バカな……どうして立ち上がれる……真の恐怖を識らない彼女達が)
ゆま「ほむらおねえちゃん、大丈夫?」パァアア
ほむら「……ありがとう」
織莉子(千歳ゆま…あんな子供の言葉で……!)
マミ「QBには、後で詳しく聞かせてもらわないと」
杏子「だが、まずは」
マミ「さっきのお礼を」
杏子「借りを」
マミ・杏子「返させて貰う!!」
杏子「おらぁ!」
ジャラッ!
キリカ「鈍い!そんなんじゃ一生当たんな」
ザシュウ!
キリカ「ぐっ…なに!?」
杏子「気付いてないようだけど、アンタの相手を遅くする魔法、掛かってる所に結構バラつきがあるぜ」
キリカ「教えてくれてありがとう。でも、教えてくれたのは失敗だったんじゃないかな?」
杏子「なめんな。アンタと似た能力の奴を、アタシは倒したことあるんだよ」
マミ「はぁ!」
ドドドド!
織莉子「私にはあなたの行動が視えてる。何発撃とうと決して当たらない」
マミ「そうね。一発一発じゃ当たりそうにないわね」
―ドッ!
織莉子「無駄だと」
シュルルルル!!
織莉子(破裂した弾からリボンが…!?)
マミ「お手製の弾よ。一発で無数のリボンが飛び出す……視えていても避けきれるかしら」
織莉子「おのれ…!」
織莉子(どうして…なぜ…)
杏子「どうした!もうへばったか!?」
キリカ「そんなわけ……うわあ!」
マミ「はあっ!」
織莉子「ぐっ…!」
織莉子(なんで……あなた達は……)
『よく学校これるますわ』
『いやらしい人』
『まだいるんですって』
『嫌ね。早くどっかいかないかしら』
『帰ってください。先生はあなたとはお会いしません』
『わかっていますの?ご自分が不正議員の娘だと』
『美国さん』 『美国』
『美国議員の娘』
『汚職議員の娘』
キリカ『織莉子』
織莉子「私達の……邪魔をするんだああああ!!」
ギュルルルルル!
織莉子「ぐぅ…!」
マミ「捕まえた。勝負ありよ」
ドサッ
キリカ「うっ……ぐっ…」
杏子「こっちも終わったぜ」
マミ「降参しなさい。命まで、奪う気はないわ」
織莉子「負けない…私は、絶対に…」
キリカ(大丈夫だよ、織莉子)
織莉子(キリカ…!)
キリカ(私が護ってあげる。キミも、キミの望む世界も)
ズズズ…!
マミ「この気配は…!」
杏子「テメェ…まさか魔女に……!?」
キリカ「キミの為なら…私は…」
コツン
キリカ「!?」
ほむら「悪いけど、魔女にさせるつもりはないわ」
シュゥウウウ
キリカ「やめろ…!」
ほむら「抵抗しても無駄よ。グリーフシードはまだ有るわ」
杏子「おい、わざわざそんなことしなくても」
ほむら「殺すよりはマシよ。それに、この二人には生きていて貰わないと」
マミ「暁美さん…まさか」
ほむら「美国織莉子。呉キリカ」
ほむら「私達と共に、ワルプルギスの夜を倒しましょう」
織莉子「なっ……!?」
ほむら「あなた達が鹿目まどかを狙う理由は、ワルプルギスの夜との戦いで彼女が魔法少女として契約し、やがて魔女になるのを防ぐため。なら、契約の原因であるワルプルギスの夜さえ倒せれば問題ない筈よね」
織莉子「お断りするわ。鹿目まどかは必ず契約する。そして最悪の魔女となり世界を滅ぼす」
マミ(鹿目さんが…世界を滅ぼす魔女に……?)
ほむら「なぜ言い切れるのかしら」
織莉子「それはあなたの存在が証明しているわ」
ほむら「……」
織莉子「過去に逃げて、運命を変え、それでもたった一つの望んだ未来にたどり着けない。あなたがここで戦いっていることが、鹿目まどかが魔女になった証よ!」
杏子「言いたいことはそれだけか?」ジャキ
ほむら「杏子、待って」
杏子「諦めろほむら。聞く耳を持たない相手に、何を言っても無駄だ」
織莉子「ええ、あなたの言う通りよ」
杏子「ひとつ聞かせな。何でゆまを魔法少女にさせた」
織莉子「あの嘘吐きの目を鹿目まどかから逸らす為よ」
杏子「それだけか」
織莉子「ええ」
杏子「なら………テメェをゆるさねぇ」ギリッ
マミ「佐倉さん!」
杏子「マミ、止めても無駄だ。アタシはこいつを殺す」
織莉子「うっ……」
キリカ「やめろ!」
ゆあ「キョーコ!」
杏子「死ね」
ザクッ!
杏子「………!」
ほむら「あなたも、聞く耳を持ちなさい」ポタッ
杏子「邪魔するな」
ほむら「彼女たちの力が必要なの」
杏子「諦めろって言ったろ」
ほむら「出来ないわ」
杏子「いい加減にしろ!ワルプルギスならあたし達で十分倒せるだろ!」
ほむら「可能性じゃ駄目なの。絶対に勝たなければいけない」
ほむら「私はもう、繰り返したくないの」
織莉子「………」
杏子「………チッ、勝手にしろ」プイッ
ほむら「ありがとう」
杏子「フン」
ほむら「美国織莉子。どうしても私達に協力する気はないのかしら」
織莉子「例え私達が協力しても、未来は変えられないわ」
ほむら「……これならどうかしら」スッ
マミ(明美さん、彼女の耳元で何を…)
ほむら「 」
織莉子「!」
織莉子「本気……なの…?」
ほむら「それで、あの子を救えるなら」
織莉子「…………いいわ」
キリカ「織莉子…?」
織莉子「あなたに協力しましょう。暁美ほむら」
ほむら「マミ。彼女の拘束を解いてあげて」
マミ「え…?」
ほむら「大丈夫。私が保証する」
マミ「……わかったわ」パチン
シュルルル
織莉子「キリカ!」ガバッ
キリカ「い、痛いよ織莉子」
織莉子「ご、ごめんなさい…」
キリカ「それにしてもいいのかい?暁美ほむらに協力して」
織莉子「ええ……ごめんなさい、勝手な真似ばかりして」
キリカ「おかしなこと言うね。私は君に尽くさなきゃいけないんだ。謝ることなんかひとつもないよ」
織莉子「キリカ………」
ほむら「いい雰囲気のところ悪いけど、結界にかけた速度低下を解いてくれないかしら」
キリカ「客人は空気を読まないね」ブゥン
ズズズ………
マミ「戻ったわね」
杏子「ったく。骨折り損だよ」
ゆま「キョーコ骨折れたの!?治さないと!」
杏子「そういう意味じゃねーよ!」
マミ「ひとまず安心、といったところかしら」
ほむら「ええ」
杏子「で、こいつらどうするんだよ」
ほむら「私の家にいてもらうわ。ワルプルギスとの戦いに関して話したいこともある。構わないわね?」
織莉子「そうね。私もあなたに聞きたいことがあるわ」
キリカ「織莉子がいいなら、問題ないよ」
ほむら「決まりね」
まどか(マミさん!ほむらちゃん!)
マミ「鹿目さんだわ」
ほむら(どうしたの?)
まどか(大変なの!さやかちゃんが…!)
杏子(ボンクラが…?)
ほむら「美樹さやかが……いなくなった?」
マミ「ダメね…こっちからの呼びかけに応じないわ」
ほむら「いついなくなったの?」
まどか「結界が消えてすぐに……あのね、関係ないかもしれないけど、なんだか思い詰めた顔してたの」
杏子「おい、もしかしてアイツ」
マミ「あの会話を、聞いていたのかもしれないわ」
ゆま「でも、ゆまたちテレパシー使ってないよ?」
ほむら「少し考えればわかることよ……あなたが教えたんでしょ」
QB「確かにあの会話を聞かせたのはボクだけど、それはさやかがお願いしたことさ」
杏子「テメェ…アタシ達をゾンビにしておいて、その態度はなんだ!」
QB「それについては寧ろ感謝してほしいな。非力な人間の身体のままで魔女と戦わなくて済んだじゃないか」
まどか「なに……何の話をしているの?」
QB「心臓を破られありったけの血を流そうと、四肢が引き千切られ様と、キミ達の本体であるソウルジェムさえ無事なら修復できる。それが魔法少女だ」
マミ「もういい…やめて……」
QB「この前の戦いだって、マミがソウルジェムを手放していれば首を食い千切られても生きて」
ズドン!
ほむら「黙れ…!」
杏子「ほむら……」
QB「やれやれ、無駄だってば」ヒョイ
ゆま「え、QB…?」
まどか「でも、QBは今ほむらちゃんが……」
QB「スペアがあるとはいえ、無駄に潰されるのは勘弁してほしいな」
ほむら「なら……今すぐ消えなさい」
QB「出て来いと言ったり、消えろと言ったり、我侭が過ぎるよ」スッ
ほむら「……ごめんなさい。約束、破ってしまったわ」
マミ「いいのよ……仕方ないわ」
まどか(どうなってるの……ソウルジェムが、魔法少女の本体…?)
杏子「それより、とっととボンクラの奴探すぞ」
マミ「協力してくれるの?」
杏子「同じ魔法少女のよしみだ。そん位、手伝ってやるよ」
廃墟の教会
さやか「………」フラフラ
コツ…ドサッ
さやか「こんな所に、教会なんてあったんだね……」
さやか『どういうこと…今の話、本当なの!?』
QB『本当だよ。魔法少女の本体はソウルジェム。そしてそれが濁り切ると、キミ達は魔女になる』
さやか『騙してたのね…あたし達を…!』
QB『騙してなんかないさ。姿と変貌に関しての説明は省略したけど、キミの望みは叶ったよね』
さやか『それは…』
QB『契約っていうのはお互いの了承を得て行われるものだ。それがあったからボクはキミの望みを叶え、キミは魔法少女になった』
QB『もし裏切ったとするなら、それはキミ自身の望みだよ』
さやか「……あたし、ゾンビになっちゃたんだ」
ポタッ
さやか「おかしいな……ゾンビなのに…化け物なのに……なんで涙が……」
ポタッ ポタッ
さやか「うぅ……どうしよう……こんな身体じゃ…恭介といられない……好きなんて言えない…キスしてなんて言えないよ……!」
さやか「助けて…誰か……助けて……」
ほむら『三人で手分けして探しましょう。私が思い当たるところを探すから、マミはまどかと美樹さやかが行きそうな場所を。杏子とゆまは魔女の気配を辿ってみて。自暴自棄になって無茶な戦いをしているかもしれないわ』
杏子「つっても、最近はアタシ達が狩りまくってたからな。魔女も使い魔もそうそう現われないだろうし……どこを探せば」
ゆま「……ふぁ~」
杏子「眠いなら先にホテルに帰ってな」
ゆま「大丈夫……」ボ~
杏子「無茶すんなっての。最後に傷ついた奴ら全員の治して疲れてるくせに」
ゆま「ゆま、役にたったでしょ」ニコー
杏子「はいはい。じゃあ途中で居眠りしたら置いてくから」
ゆま「キョーコのイジワルー」
杏子「だったら起きてる内に自分で帰りな。ボンクラの一人、アタシだけで十分だよ」
ゆま「うん…気をつけてね」ピョーン
杏子「ったく……さて、さっさとボンクラの奴見つけなきゃな」
ピカッ
杏子「いいタイミングでお出ましか。ん…?」
ピカッ ピカツ
杏子(この方角……)
杏子「チッ……メンドクセーとこに現れやがって」ダッ
影の魔女の結界
ザシュッ!
さやか「ぐっ…!」
影の魔女「」シュンシュン
さやか「っ…!」
ザンッ!
さやか「……アンタ」
杏子「ったく、みてらんねーな。手本みしてやるよ」
さやか「邪魔しないで…一人でやれる……」ダッ
杏子「おい!」
ドスッ!
さやか「かはっ…!」ビチャ
杏子「バカ野郎!なにやって」
さやか「はは……」
杏子「お、おい…?」
さやか「あたし…本当にゾンビなんだ……こんなに傷だらけなのに……全然痛くない!!」
ドスッ!
影の魔女「」ブシャアアアア!
さやか「あは…はは……あははははははははははははははははははははははははははは!!!!」
ドス!ザク!ガンッ!ゴシャ!
杏子「やめろ……やめろ!!」
グチャ
コロン
ズズズッ……
さやか「痛みさえ消しちゃえばこっちのもんだわ……負ける気がしないよ…」シュゥゥ
パシッ
さやか「あげるよ。欲しかったんでしょ?」
杏子「ふざけんな!」グィ!
さやか「なによ…」
杏子「あんな戦い方して死ぬつもりか!?」
さやか「関係ないでしょ…それに、もう死んでるのと変わんないわよ!」
パシィッ!
さやか「それにいずれは魔女になって人を殺す!そんなことするぐらいなら死んじゃったほうがマシよ!」
杏子「本気で言ってんのか」
さやか「そうよ……」
杏子「……チッ、勝手にしろ」
さやか「………」
数時間後
杏子「よう。まだいたのか」
さやか「何しにきたのよ……」
杏子「アタシはここに来ただけだ」
さやか「そう……」
ガサゴソ
杏子「食うかい?」
さやか「……いらない」
杏子「そうかよ」シャリ
さやか「……」
杏子「ここはね、アタシの親父の教会だったんだ」
さやか「え……」
杏子「正直で優しすぎる人だった。新聞で悲しい事件を見るたびに涙を浮かべて、どうすれば世の中が良くなるのか真剣に考える人でね」シャリ
さやか「……」
杏子「それでさ、新しい時代を救うには新しい信仰が必要だって言って、ある時から教義ないことまで信者に説教するよになった。その結果、信者の足は途絶えた上に本部からは破門されたよ」
ポイ
杏子「アタシ達一家は食うのも事欠くありさま。でもアタシ達は親父を恨んだりしなかった。あの人は間違ったことなんか何一つ言ってなかった」
杏子「それでも誰も話を聞いてくれなかった。傍から見れば胡散臭い宗教だ。疎まれて当然さ……でも、悔しかった」
シャリ
杏子「そこに現れたのが、あの憎らしいQBさ」
さやか「……アンタの願いって、まさか」
杏子「みんなが親父の話を聞いてくれますように」
さやか「…!」
杏子「次の日から沢山の信者が来たよ。怖いくらいにね」
杏子「あの時は馬鹿みたいに意気込んでたよ。親父が人の心を、アタシが人の身を救うんだって」
杏子「マミと出会ったのも、その頃だね」
さやか「マミさんと…」
杏子「マミには色んなことを教えてもらった。今のアタシがあるのも、正直マミのおかげだ」
杏子「でもね、ある時親父にバレたのさ。突然信者が集まったカラクリが」
杏子「信者が魔法の力で集まったことがわかると、親父はブチ切れた。アタシを人の心を惑わす魔女だって罵った」
さやか「そんな…」
杏子「それから親父は壊れた。酒に溺れて頭がイカれて、アタシ達に暴力を振るった挙句……」
杏子「家族と無理心中した。アタシを残して」
さやか「……!!」
杏子「アタシの祈りが、家族を壊した」
さやか「……」
杏子「アタシ達は同じ間違いから始まった。これ以上、アンタは後悔するような生き方はしなくていいんだ。もう奇跡の対価は十分すぎるくらい払ってんだから」
さやか「……う」
杏子「これからは好き勝って生きろ。もし綺麗事ぬかしてアンタを非難する奴がいたらアタシが」
さやか「違う!!」
杏子「!」
さやか「違う、違う!違う違う違う違う違う違う!!!」
杏子「お、おい!」
さやか「あたしは……アンタとは違う!!」
さやか「アンタみたいに……綺麗じゃない!!」
さやか「あたし…後悔してる……」
杏子「何言ってんだ。こんな身体にされたんだからそんなの当たり前だろ?」
さやか「違う…あたしは……アイツの腕が治った時、本当に嬉しかった。またアイツのヴァイオリンが聴ける。アイツが笑ってくれるって」
杏子「アンタ……」
さやか「でも、そんな気持ち嘘だった!QBから本当のことを聞かされて……思っちゃったの…」
さやか「どうして恭介の腕を治したんだろうって」
さやか「アンタは家族を不幸にしたことを後悔してる……でもあたしは違う!自分の不幸を恭介のせいした!」
杏子「……もういい」
さやか「あたし、最低な奴だ……魔女になったらきっと恭介を」
杏子「もういい、もういいんだ」
さやか「あたしなんか死んじゃったほうが…!」
杏子「さやか!」
ギュッ
さやか「杏…子…」
杏子「アンタは最低じゃない。魔女にもならない。恭介って奴も殺さない」
さやか「うっ……う、うわあああああああああああ!!」
杏子「こんなになるまで自分を追い詰める奴があるか。バカ」
さやか「うあああああああああああああああ!!」
杏子「大丈夫だよ。アタシが一緒にいてやる」
杏子「独りぼっちは、寂しいもんな」
さやか「すぅ……すぅ…」
杏子「泣き疲れて寝ちまったよ…いい年こいてガキかっつーの」
さやか「すぅ…」
サラッ
杏子「……綺麗なんかじゃねーよ。アタシは、とっくに汚れちまってんだから」
シュタッ
ほむら「見つけた」
杏子「よう。来るならもっと早く来て欲しかったよ」
ほむら「大変だったみたいね」
杏子「まあな。それより、起こした方がいいか?こんだけ遅いとコイツの親が騒ぎ出しそうだし」
ほむら「大丈夫よ。彼女の両親にはわたしの家に泊まると連絡しておいた」
杏子「よく信用したな」
ほむら「まどかにも手伝ってもらったわ」
杏子「ま、アタシには関係ないか」
杏子「なぁ、聞きたいことがあるんだけど」
ほむら「なにかしら」
杏子「ほむらは違う時間ってやつから来たんだよな」
ほむら「そうよ」
杏子「コイツ、魔女になったのか?」
ほむら「全ての時間軸ではないけれど、魔女になる頻度は多かったわね」
杏子「倒し…たのか…?」
ほむら「ええ。私であったり、あなたであったり」
杏子「そうか…世話のかかる奴だな」
ほむら「でも、この時間軸は大丈夫そうね」
杏子「何でだよ」
ほむら「あなたがさやかと一緒にいてくれるからよ」
杏子「なっ…なんで知ってんだよ!?」
ほむら「統計よ」
杏子「なんだそれ……」ハッ
杏子「まさか、別の時間でも…アタシはコイツの面倒みてたのか…?」
ほむら「ほぼ全ての時間軸でそうだったわ。よっぽど放っとけなかったのね」
杏子「あ……」カァアア
さやか「すぅ……」
杏子「い、いつまで寝てんだボンクラー!」デクシュ!
さやか「おうふ!?」
さやか「痛いなー…なにするのよ杏子……あ…」
ほむら「おはよう」
さやか「う……」
杏子「おい。なに縮こまってんだよ」
さやか「いや、その……」
ほむら「……ご両親にはまどかと一緒に私の家に泊まっていると連絡しといたわ」
さやか「え…?」
ほむら「あとはあなたが上手く誤魔化しておいて。それじゃ」クルッ
さやか「待って!」
ほむら「?」
さやか「その……隠し事って、あの事だったんだよね」
ほむら「ええ。言えなかった理由、わかってくれたかしら」
さやか「痛いほどわかったよ……ごめん、責めるようなこと言ったりして」
ほむら「いいのよ。不信に思うのも無理はないもの」
さやか「………あたしって、ほんとバカ」
ほむら「そんなことないわ」
さやか「………ありがとう、ほむら」
ほむら「どう致しまして」
さやか「へへっ」
ほむら「フフッ」
杏子「仲良しごっこは帰ってからにしろっつーの」
さやか「杏子もありがとう」
杏子「なっ……」
さやか「アンタがいなかったらあたし、あのまま魔女になってたかも」
杏子「ったくもう。調子狂うよな、ホント」シャリ
さやか「おや~?もしかして杏子ちゃん照れちゃってますか?」ニヤニヤ
杏子「超うぜぇ!」
二日後 ほむホーム
ほむら「ワルプルギスがこの地点を通過する可能性は86%。どうかしら、織莉子」
織莉子「間違いないわ」
ほむら「決まりね。ここで一気に仕掛けましょう」
織莉子「けど、いささか火力が足りない……」
ほむら「その問題については心配しないで。どうにかできるから」
織莉子「! 大胆なことをしますわね…」
ほむら「もう視えたの?」
織莉子「確定した未来ならすぐに視ることができ、逆に不確定な未来は常に変化し続けるから視るのが困難なの」
ほむら「改めて、凄い魔法ね」
織莉子「あなたの時間操作と比べたら、霞んでしまうわ」
キリカ「織莉子~。まだ~?」グデェ~
織莉子「キリカ。あなたも少しは知恵を出したら?」
キリカ「そんな無茶言わないでよ。私の頭の容量はキミが一番知ってるだろ?ねぇ、ほむら。織莉子返してよ~」
織莉子「もう。子供じゃないんだからワガママ言わないの」
ほむら「……そうね。今日はこれくらいにしておきましょう」
キリカ「ホント!?やった!」
織莉子「いいのかしら?」
ほむら「ええ。私も準備があるから、その間は二人でゆっくりして」
キリカ「織莉子!クレープ食べに行こう!」グイグイ
織莉子「あ、ちょっと引っ張らないで!」
ほむら「いってらっしゃい」
バタン
ほむら「……羨ましいわ」
数時間後 大橋
ほむら(あらかたの準備はこれで良し。あとはみんなと話し合いながら徐々に詰めた方がいいわね)
ヒョコ
QB「やあ。頑張っているようだね」
ほむら「何しに来たのかしら」
QB「そう邪険にしないでくれ。キミ達が心配で来たのさ」
ほむら「心にもないことを」
QB「ワルプルギスの夜に勝てる見込みは出たのかい?」
ほむら「概ね順調よ。もし邪魔をするなら、代わりの身体が無くなるまで殺してあげる」
QB「残念ながら、今のボクにそれを実行する手段は無いよ」
ほむら「喜ばしいことね」
QB「だが、まどかとの契約のチャンスはある。勝敗はまだわからないよ」
ほむら「負けないわ。お前にも、ワルプルギスの夜にも」
QB「ボクも負けるつもりは」
ザクッ
QB「ぎゅっぶい」
さやか「ちょっと杏子!いきなりなにしてんの!?」
杏子「いや、なんかムカついてつい」
さやか「通り魔か!」
ゆま「あ、新しいの来た」
QB「理由もなく殺すのはやめてくれないかな?勿体無いじゃないか」モグモグ
さやか「うわ、自分の死体食ってるよ…」
杏子・ゆま「食べれるんだ…」ジュル
さやか「なに涎だしだしてんの!?ってコラ!食べようとするなぁぁあ!!」
さやか「あ、ゴメンほむら。急に騒いじゃって」
杏子「よっ」
ゆま「こんにちわー」
ほむら「こんにちわ。学校の帰り?」
さやか「パトロールだよ。今のところ異常なし」
杏子「退屈で嫌になるぜ」モグモグ
さやか「ちょ…杏子、なに食べてるの……?」
杏子「ん?うんまい棒(ミートスパゲティ味)だけど」
さやか「お、おぅ」ホッ
ゆま「キョーコ。QBどっかいっちゃった」
杏子「チッ。今度見つけたら食ってやる」
さやか「冗談に聞こえないからやめて。ところでほむら。作戦はどう?」
ほむら「準備ともに順調よ。あなたの方はどうかしら」
さやか「バッチリ。もう一人前の魔法少女ですよ!」
杏子「どこがだよ。まだ動きが荒いっつーの」
さやか「なによ。マミさんは褒めてくれたもん」
杏子「マミは甘いからだよ。今のさやかじゃゆまに勝てねぇっつーの」
さやか「言ったわねー!」
杏子「何だよ」
ゆま「キョーコ!さやか!喧嘩しちゃダメー!」アワアワ
ほむら「あなた達、本当に仲が良いわね」
杏子・さやか「どこが!?」
ほむら「そこよ」
ほむら「それじゃあ私は帰るわね。一応、病気で休んでることになってるから」
さやか「うん。またね、ほむら」
杏子「じゃあな」
ゆま「バイバイ」
ほむら「パトロール、頑張ってね」
ほむホーム
ほむら「37098回…」
ピンポーン
ほむら「誰かしら…?」
ガチャ
マミ「こんにちわ。暁美さん」
ほむら「マミ」
マミ「凄い汗…どうしたの?」
ほむら「腹筋をしていたのよ。それより用があって来たんでしょ?上がって」
マミ「お邪魔します」
ほむら「ここで待ってて。汗を流してくるわ」
マミ「ええ」
バタン
マミ「ワルプルギスの夜についての資料がこんなに……これ、全部暁美さんが書いたのかしら」
ヒョイ
マミ「出現ポイントから移動経緯まで……凄い情報量だわ」
ペラッ
マミ「でもこれ…一人で戦うことを前提に書かれてる。暁美さん、一体どれだけワルプルギスと一人で戦ってきたのかしら……」
マミ(きっと沢山辛い事があった筈よね。それでも、必死に戦ってきた)
マミ(鹿目さんを助ける為に……)
マミ「………いいな。ちょっと妬けちゃう」ボソッ
ほむら「待たせてごめんなさい」
マミ「ひょふ!?」
ほむら「マミ?」
マミ「あ、ごめんなさい!ちょっとビックリしちゃって」カァアア
ほむら「そう。あら?顔が赤いわね?」
マミ「え?」
ほむら「部屋が暑かったかしら?今冷房付けるわね」
マミ「だ、大丈夫よ!全然暑くないわ!」
ほむら「そう?もし暑かったら遠慮しないくていいから」
マミ「あ、ありがとう」
ほむら「それで、今日はどうしたの?」
マミ「暁美さんのことが心配になって見に来たの」
ほむら「大丈夫よ。作戦も準備も順調よ」
マミ「そうじゃなくて、身体の心配よ。でも、お節介だったわね」
ほむら「そんなことないわ。とても嬉しい」
マミ「ケーキ焼いてきたの。一緒にどうかしら?」
ほむら「頂くわ」
マミ「紅茶を持ってきたの。台所借りてもいいかしら?」
ほむら「構わないわ」
マミ「それじゃあ、失礼するわね」
ピンポーン
ガチャ
まどか「こんにちわほむらちゃん」
ほむら「まどか。どうしたの?」
まどか「どうって訳じゃないけど、ほむらちゃんどうしてるかなって」
ほむら「とにかく上がって。マミも来ているわ」
まどか「マミさんが?」
数十分後
まどか「マミさん、本当にお菓子作り上手ですよね」
マミ「慣れれば簡単よ。鹿目さんも作ってみたらどうかしら」
まどか「今度パパに教わろうかな」
ほむら「楽しみにしているわ」
ピンポーン
ほむら「今日は来客が多いわね」
ガチャ
さやか「やっほーほむら」
杏子「暇だから遊びに来てやったぜ」
ゆま「お菓子持ってきたよー」
ほむら「あなた達も来たの」
さやか「え?他にも来てるの?」
杏子「ん?この匂い…マミのケーキだ」
ゆま「ケーキ!ゆまも食べたい!」
ワイワイガヤガヤ
織莉子「何だか賑やかですね」
ほむら「おかえりなさい」
キリカ「あれ?今日はパーティーでもするってだったの?」
ほむら「そうじゃないけど………まあ、それも良いわね」
杏子「ん、このポテチうめぇな」
まどか「どんな味?」
さやか「ガーリックわさび…想像できない」
杏子「意外にいけるぞ。ホレ」ヒョイ
さやか「ん」パク
さやか「あ。ホントだ美味しい」
ゆま「ゆまも食べる!」
マミ(今のいいわね……)
マミ「あ、暁美さん。このお菓子美味しいわ。ど、どうかしら?」ドキドキ
ほむら「そうなの?それじゃあ一口」
キリカ「いただき!」パクッ!
マミ「」
キリカ「ん~さすがマミだ。いいチョイス」
織莉子「キリカ。意地汚いわよ」
キリカ「織莉子もどうだい?」
織莉子「もう、知らないわよ」
キリカ「?」
マミ「呉さん…」ドドドドドド
キリカ「わあ!?な、何だよマミ!一口くらい」
マミ「ティロ・フィナーレ!(物理)」
キリカ「なぜか殴られた!でも全然痛くない!」
さやか「妙な親近感を感じる」
ほむら「賑やかね」
まどか「うん。あ、ほむらちゃんてこういうの苦手だった?」
ほむら「以前はね。でも、今は好きよ」
まどか「良かった」
ほむら「フフッ」
まどか「えへへ」
午後八時過ぎ
ほむら「いつの間にかこんな時間になってしまったわ」
杏子「はー食った食った」ぐでぇー
ゆま「美味しかったー」ぐでーん
マミ「二人とも、人のお家でだらけないの」
まどか「そろそろ解散かな?」
さやか「だねー」
織莉子「……あら」
キリカ「どうしたの?」
織莉子「今から一降り来るわ」
さやか「マジ!?」
まどか「でも天気予報じゃ晴れって言ってたけど」
ほむら「ハッキリ視えたの?」
織莉子「ええ。もうすぐよ」
ポツ……ポツポツ
ザザーッ
ほむら「大当たりね」
まどか「どうしよう。傘持って来てないよ」
マミ「困ったわね」
杏子「濡れて帰るのはめんどくせぇな。ほむら、今日泊まっても良いか?」
ほむら「構わないわ」
マミ「!?」
マミ「さ、佐倉さん!そんな急に泊まるなんて暁美さんに悪いわ!」
杏子「なに怒ってるんだよ?本人が良いっていってんじゃん」
さやか「ほむら、あたしも良い?」
マミ「み、美樹さんまで!」
さやか「いいじゃないですかマミさん。明日はちょうど土曜日だから問題ないですし」
マミ「そういう問題じゃ」
まどか「マミさん。私達も泊まりましょうよ」
マミ「鹿目さん!?」ティローン
まどか「ほむらちゃんも良いよね?」
ほむら「元々二人いるから、今更増えた所で問題は無いわ」
キリカ「随分な言い方だね」
さやか「じゃあ決まりだね!あたし家に電話してくる」
まどか「あ、私も」
マミ「泊まるって…ええ~」カァアア
杏子「なにブツブツ言ってんだ?」
ほむら(あとで布団取りに行かなきゃ)
さやか「よーし、許可も下りたし何して遊ぼうか?」
杏子「アタシはもう眠いんだけど」
さやか「アンタねぇ、これからが楽しいってのに」
ほむら「遊ぶのも寝るのも良いけど、その前にやる事があるでしょ?」
まどか「やること?」
ほむら「お風呂よ」
マミ「」ガタッ
杏子「お前さっきから何やってんだ」
ほむら「家は二人までしか入れないから、ペアを決めて順番に入りましょう」
キリカ「私は織利子とじゃなきゃ嫌だよ」
ほむら「あなた達はいつも一緒に入ってるでしょ」
杏子「めんどくせぇ」
ほむら「ダメよ。女の子でしょ?」
杏子「チッ、しょうがねぇな。アタシはゆまと入るぞ」
さやか「じゃあ、あたしはまどかと入ろうかな」
まどか「一緒のお風呂って久しぶりだね」
ほむら「むっ…」ホム
マミ(こ、これは必然的に私と暁美さんが…!)
まどか「でも、折角ならみんなで入りたかったね」
ほむら「ならそうしましょう」
マミ「え?」
ほむら「少し待ってて」
カポーン
ほむら「時間操作の応用で浴室を広くしたわ」
さやか「おおー!広い!」
ゆま「おっきいー!」
まどか「ほむらちゃん凄い!」
ほむら「それ程でもないわ」ファサァ
マミ「……」ズーン
キリカ「マミが落ち込んでるけど」
織莉子「放って置いて大丈夫よ」
杏子「そんじゃあ早速入るか」
ほむら「みんなで先に入ってて。私は着替えを用意しとくわ」
まどか「ええ!そんなの悪いよ」
ほむら「制服のまま布団に入られるよりマシよ。さ、遠慮しないで入ってて」
浴室(魔法拡大版)
杏子「ちゃんと目ぇ瞑れよ。染みるぞー」バシャー
ゆま「ん~」
まどか「杏子ちゃんとゆまちゃんって姉妹みたいだね」
さやか「何だかんだ言って、杏子って面倒見がいいからね」
さやか「…………それにしても」
キリカ「織莉子、洗いっこしよう」ボイーン
織莉子「キ、キリカ」ボボイーン
マミ「はぁ、そんな簡単にいく訳ないわよね…」ボボボーン
さやか「くぅ~。一歳しか離れてないのに何でこうも違うかな~」ボイーン
まどか(そういうさやかちゃんも結構大きいよ……私なんて……)チマッ
さやか「だが、あたしはそれよりも気になることが…」
まどか「どんなこと?」
さやか「ほむらの身体よ」
マミ「」ピクッ
杏子「おい。今あそこの黄色が反応したぞ」
さやか「やっぱりマミさんも気になりますよね?ほむらがどういう身体つきなのか」
マミ「わ、私は別に」
織莉子「確かに気になるわね」
杏子「アンタらは見たことないのか?」
キリカ「お風呂上りも着替えてる姿も、一度も見てないね」
織莉子「毎日あの凄まじいトレーニングしていながら、どうしてあんな華奢な身体つきなのかと気になっていたわ」
まどか「どんなことしてるんですか?」
織莉子「プロのアスリートが根を上げるレベルのことよ。時間とか物量的な問題は魔法でどうにかしてるようだけど」
さやか「物量?」
杏子「どんなトレーニングしてるんだ、アイツ」
ほむら「楽しそうね。みんなの着替えと布団も用意できたし、私も入ろうかしら」ヌギッ
ガチャ
さやか(キタ!)
マミ(暁美さんの生まれたままの姿…!)
杏子(筋肉モリモリなのか…?)
まどか(ほむらちゃん…)
ほむら「湯加減はどうかしら?」スラー
さやか「……へ?」
キリカ「意外に普通だね」
まどか(私と同じぐらいだ)ホッ
ほむら「?」
マミ「」
ゆま「キョーコ。マミおねえちゃんが固まってるよ」
杏子「あー、もうめんどくさいから湯船に沈めとけ」
ほむら「何?みんなして人の身体をじろじろ見て」
まどか「な、何でもない…」
ツルッ
まどか「きゃ!?」
ほむら「危ない!」
ガバッ
まどか「!」ドキッ
ほむら「大丈夫?」
まどか「う、うん……」
まどか(ほむらちゃんの身体……こんなに細いのにしっかりしてる。それに良く見たら腕とか足とか凄い締ってて……)
ほむら「まどか?」
まどか「ウェヒ!?」
ほむら「やっぱりどこかぶつけた?」
まどか「う、ううん大丈夫!ごめんね!」バッ
ほむら「それならいいけど、気を付けてね」
まどか「う、うん」
まどか(な、なんで私ドキドキしてるの?ほむらちゃんは女の子なのに……)
マミ(ハッ!鹿目さんのあの目は……ま、まさか鹿目さんも暁美さんを……!?)ブクブク
杏子(アタシがいない間、マミに何があったんだ)
さやか「むぅ~」ジーッ
ほむら「……さやか、あなたの視線が気になるのだけど」
さやか「え?あ、いや~ごめん。つい気になって」
ほむら「何がかしら?」
さやか「ほむらって凄い鍛えてるんだよね?」
ほむら「身体が武器だからね。鍛えないと魔女と戦えないわ」
さやか「にしてはあたし達と見た目そんなに変わらな~って」
ほむら「一応、筋肉はついてるわよ」
さやか「マジ?ちょっと触っていい?」
ほむら「どうぞ」
さやか「では……おお!?」
さやか(な、なにこの腕!?柔らかいのは表面だけで、中は凄い硬い!お母さんの指輪に付いてる小さなダイヤ……それを触った時と同じ感じがする……!)
さやか「おおー…お……おお~」
杏子「アタシも触っていいか?」
ほむら「ええ」
杏子「うわ!すっげえ!お前どんだけ鍛えてんだよ!」
ほむら「腕立てと腹筋、背筋にスクワットを毎日十万回」
さやか・杏子「十万回!?」
ほむら「長く入院生活を送っていたから短期間で強靭な身体を作るにはそれぐらいしないとダメなのよ。魔法で時間を延ばすのも限界あるから」
杏子(織莉子が言ってたのはこのことか……)
ほむら「これだけやってもまだプロレスの人達と同じレベルよ」ホム
さやか「いやぁ…このまま続けたら確実に地上最強の生物になれると思うのはさやかちゃんだけかな……」
ほむら「そうかしら?ならもっと頑張らないと」
マミ「あ、暁美さん!」
ほむら「ど、どうしたのマミ」ビクッ
マミ「わ、わわわ私も触ってみたいのだけど」ティロティロティロ
杏子「おい誰か警察呼べ」
ほむら「ど、どうぞ」
マミ「し、失礼します!」
プニ
マミ(あれ…意外と柔らかい……?)
さやか「マ、マミさん!そこ胸!」
ほむら「………」プルプル
マミ「え…あ……ご、ごめんなさい!」アワアワ
ほむら「マミ……あなた……私には地盤(筋肉)はあれど膨らみ(おっぱい)は皆無に等しいと教えたいのかしら……」ジワッ
マミ(ひぃぃぃい!なんか地雷踏んじゃったー!)
ほむら「どうせ……私のはもうあなたみたいに育たないわよ……」
マミ「あ、暁美さん!違うのよ!今のは間違えて」
ほむら「でもいいのよ…脂肪なんてあっても邪魔だから……筋肉のほうが実用性があるもの……」グスッ
織莉子「いじけてしまったわ」
キリカ「あーマミ泣かしたー」
マミ「ど、どうしよう~」オロオロ
ゆま「大丈夫!ゆまもぺったもが」
杏子「よせゆま。それはフォローじゃなくて追い討ちになる」
まどか「ほむらちゃん。諦めないで」
ほむら「でも、私のはもう……」
まどか「ううん、きっと大きくなるよ。ほむらちゃんの頑張りが無駄に終わる筈ないもん」
まどか「私も諦めないから、一緒にマミさんやさやかちゃん達を見返そう」
ほむら「まどか…」
まどか「ほむらちゃん…」
ほむら「まどかー!」
まどか「ほむらちゃん!」
ガシィ!
さやか「あの子さりげなくあたしも入れたよね」
マミ「鹿目さんに…負けた……」ズーン
杏子「いーち、にーい」マッタリ
ゆま「さーん♪しーい♪」ユッタリ
QB「騒がしいと思ったら魔法少女全員が揃っているとはね」
全員「!?」
QB「おや?みんな固まってどうし」ガシッ
ほむら「堂々と覗きとは、そんなに死にたいのかしらこの淫獣」ギュウウウ
QB「淫獣って失礼だなキミ」
ほむら「とにかく出て行きなさい」
QB「キミ達はいつもそうだ。裸を見られたくらいで殺意を向けてくる。訳がわからないよ」
まどか「あなたの言ってることが理解できないよ!」
QB「やれやれ。それにしても、キミ達人間は本当に変わっているね」
ほむら「何がかしら?」
QB「一固体が別々の精神を持ち合わせてるだけでなく、似たような姿の人間なんてそうそういない。キミとマミなんて近い年齢なのに身体つきがまるで」
ほむら「ぬぅううううううううううう!!!」
QB「きゅぶううううううううううう」
さやか「QBが麺の生地みたいに伸ばされていく!」
杏子「おー伸びる伸びる」
まどか「ほむらちゃんストップ!ストップ!!」
織莉子「そろそろ千切れるわね」
さやか「ほむら落ち着け!」ボイーン
マミ「暁美さん気を確かに!」ボボーン
杏子(火に油……)
ほむら「ぬううううううう!!」
QB「わーけーがーわーかーらーなーいーよー」ビヨーン
ブチッ
数分後
チャプン
ほむら「ごめんなさい。取り乱してしまったわ」
マミ「仕方ないわ。あれはデリカシーのないQBが悪いわ」
杏子「半分はマミにもあるだろ」
マミ「うっ…」
さやか「まー気にすることないって。その内大きくなるよ」
ほむら「嫌味にしか聞こえないわ。美樹さやか。」
さやか(まさかのフルネーム!?)
マミ「せ、折角だから普段しない話でもどうかしら?」
杏子「例えば?」
マミ「好きなこととか、趣味とか」
キリカ「私は織利子の紅茶が好きだな」
織莉子「ジャムと砂糖を三つずつ入れた甘い紅茶がね」
キリカ「ああ、またそーやって子供扱いする!」
さやか「甘いといえば、杏子はいつもお菓子食べてるよね」
杏子「なんか食ってねーと落ち着かないんだよ」
さやか「よく太らないなー。ほむらみたいに鍛えてるならまだしも」
杏子「体質かもな」
まどか「ほむらちゃんは趣味とかある?」
ほむら「そうね。最近になって少し興味が出たのは特撮かしら」
さやか「ええ?それって男の子向けの番組じゃん」
ほむら「そうバカに出来たものじゃないわ。単純に戦うだけでも、多彩な殺陣みれて面白いものよ」
杏子「そーいうのってマミとは気が合うんじゃないか?」
マミ「え?私?」
杏子「だってマミ、自分の技に名前付けてるじゃん」
杏子「しかもそれを叫ぶとか、普通は恥ずかしくてでき」
マミ「佐倉さん。少しお話しましょう」
杏子「え?うわ、やめろ、離せ!」ズルズル
ゆま「キョーコ!」
さやか「行くちゃダメだよゆま。杏子は触れちゃいけないものに触れたんだ」
まどか「杏子ちゃん…」
ほむら「愚かね……」
織莉子「キリカも気を付けてね」
キリカ「うん。覚えとくよ」
入浴後
さやか「気持ちよかったー」
まどか「楽しかったね」
ほむら「喜んでもらえて何よりよ」
マミ「さて、そろそろ寝ましょうか」
さやか「えー?まだこれからじゃないですか」
キリカ「zZZ」
ゆま「むにゃむにゃ…」
織莉子「キリカ、こんなところで寝たらダメよ」
杏子「ったく」
さやか「お子様二人は脱落か」
まどか「さやかちゃんが元気すぎるんだよ」
寝室
さやか「zZZ」
杏子「速攻で寝たぞ」
マミ「美樹さんもお子様だったわね」
杏子「ふぁ…でも、アタシも限界だな」
織莉子「そうね、私達も寝ましょう」
まどか「おやすみ、ほむらちゃん」
ほむら「おやすみ、まどか」
ほむら(こんなに楽しかったのは……久々ね)
まどか「ほむらちゃん…起きてる?」
ほむら「ええ。どうかしたの?」
まどか「ううん、ただちょっとお話したくて…あ、眠いなら無理にとは言わないけど」
ほむら「大丈夫よ。でもみんなを起こしたら悪いから、別の部屋に行きましょう」
まどか「うん」
ほむら「ココアで良かったかしら?」
まどか「ありがとう」
ほむら「それじゃあ。何を話しましょうか」
まどか「ほむらちゃんのことじゃ、ダメかな?」
ほむら「私の?」
まどか「ずっと気になってたの。ほむらちゃんはどういう子なんだろうって」
ほむら「……身の上話は、好きじゃないわ」
まどか「え?」
ほむら「昔の自分を思い出したくないの」
まどか「そうなんだ……ごめんね。嫌な事聞いちゃって」
ほむら「………でも、あなたになら話してもいいわ」
まどか「ほむらちゃん……」
ほむら「長くなるけど、いいかしら」
まどか「うん。勿論だよ」
ほむら「昔の私は、人に迷惑を掛けてばかりだった」
ほむら「小さい頃から何かに怯えたように人の顔色ばかり伺って、いつも下を向いてた」
ほむら「身体も弱かったから学校も休みがちでね。心臓の病気に罹った時は、このまま死んでしまうんだと毎晩泣いてたわ」
ほむら「見滝原市立病院に移ったのは小学五年生の時ね。同じ歳の子が後から入院してきて、先に退院していくのが辛かった」
ほむら「やっとの思い出退院出来た頃には、十四歳になってたわ」
ほむら「そして転校した先で出逢ったのが、あなただった」
まどか「え?わ、私?」
ほむら「一番初めの時間軸であなたは既に魔法少女になっていたわ。私が魔女に襲われた時に、マミと二人で助けてくれた」
まどか「私がほむらちゃんを助けるなんて……なんだか信じられないよ」
ほむら「付け加えると、その時の私は準備運動で貧血を起こすほど身体が弱かったわ」
まどか(想像できない……)
ほむら「勉強も運動も出来ない私に、あなたは優しくしてくれた。明るくて友達もいて、みんなを守るために戦って……私の憧れだった」
ほむら「幸せだった。それが儚いものだとも知らずに」
まどか「どういうこと…?」
ほむら「ワルプルギスの夜。あいつのとの戦いで、あなたとマミは……死んだ」
まどか「!」
ほむら「私はQBと契約を交わし、魔法少女になった」
ほむら「鹿目まどかとの出会いをやり直したい。彼女に守られる私ではなく、彼女を守る私になりたい。そう願ってね」
まどか「! 私の…為に…」
ほむら「手に入れた時間操作の魔法で過去に戻り、あなたが死なない方法を探したわ。でも、何度繰り返してもあなたを救うことはできなかった」
まどか「…………」
ほむら「それどころか、みんなとの距離も離れていったわね。未来を知ってる得体の知れない私を誰も信用しない。それなら、いっそ誰も頼らずに一人戦ったほうが良いと思ったりもしたわ」
ほむら「だから今、この時間がとても信じられないの。みんなと一緒に戦える、この時が」
ポタッ
まどか「ひっく……ぐすっ…」
ほむら「どうしてあなたが泣くのよ」
まどか「だって…ほむらちゃん……私のせいで…」
ほむら「あなたのせいなんて思ってないわ。私が望んだことよ」
まどか「ごめんね…ごめんね……」
ギュッ
ほむら「謝ることなんかないわ。あなたを救えれば、私はそれだけでいいの」
まどか「ほむらちゃん……!」
ほむら「今回はみんなもいる。大丈夫、必ず勝つわ」
ほむら「まどかを救う。今度こそ、私の願いを叶えるわ」
決戦日
マミ「遂にこの日来たわね」
さやか「まだ現れても無いのに凄い魔力……あしでもヤバイいってわかるよ」
杏子「ビビッてんなら帰ってもいいんだぜ?片思いの坊やの所にでも」
マミ「佐倉さん!そんな言い方」
さやか「いいんですよマミさん。こいつなりにあたしの心配してくれてるんですから」
杏子「し、心配なんかしてねーよ!」フンッ
さやか「でも、帰る気なんか無いよ。あたしは、アイツとその恋人を守らなきゃいけないんだから」
マミ「恋人…?」
さやか「あたしの親友です」
杏子「お前…まさか身を引いたとか言うんじゃないだろうな?」
さやか「結果的にはそうなるかな?」
杏子「なんでお前は…!」
さやか「あたし気付いたの。アイツのヴァイオリンが聴ければ、それだけで幸せだって。アイツの傍には、普通の女の子がいた方が良いって」
マミ「美樹さんは…それでいいの?」
さやか「スッキリ爽快大満足!…ってわけじゃないけど、あの二人が幸せならそれも良いかなって」
杏子「ホントに…救いようのねぇバカだよ」
さやか「ヒーローに伴侶は必要なし!あたしの嫁は世界平和なのだ!」
マミ「美樹さん…」
さやか「行こう。あたし達の街を守るために」
織莉子(準備はどう?)
ほむら(終わったわ。そっちは全員揃ったかしら?)
織莉子(もうすぐよ)
ほむら(それなら、作戦通りに)
織莉子(ええ。成功を祈ってるわ)
キリカ「どうだって?」
織莉子「終わったわ。あとは待つだけね」
キリカ「……勝てるよね?」
織莉子「弱気なんてあなたらしくないわね」
キリカ「一つ、告白するよ。私の秘密」
織莉子「何かしら」
キリカ「いつも明るくて陽気な呉キリカは、魔法少女の願いから生まれた。本当の呉キリカは、友達にも恋愛にも向き合えないいじけた子だなんだ」
織莉子「……どうして、今それを」
キリカ「もし死んだら、キミに隠し事をしたままになっちゃうからね。今までごめん、私の嘘に付き合わせちゃって」
織莉子「……許さない」
キリカ「………」
織莉子「絶対に許さない。私を欺いた罪は必ず償ってもらう」
キリカ「どう償う…?」
織莉子「ずっと傍にいなさい。一生、永遠に私の傍に」
織莉子「勝手に死ぬなんて…絶対に許さないわ……!」
キリカ「わかった。約束する」
キリカ「必ず生きて、キミの傍にいるよ」
ゆま「キョーコまだかな」
詢子「こんなところで何してるんだ?」
タツヤ「なーしてる?」
ゆま「キョーコ待ってるの」
詢子「待ってるって…今からヤバい嵐が来るのに外にいたら危ねぇよ。この先に避難所があるから、そこで待った方がいいんじゃないの?」
ゆま「平気。ゆま強いもん」
詢子「なかなか良い根性だね。それなら、アタシもキョーコが来るのを待つかな」
タツヤ「たっくもー!」
ゆま「一人で大丈夫だよ?」
詢子「いいのさ。飲み物買ってくるけど、ココアでいいか?」
ゆま「うん」
詢子「タツヤ。ここで待ってるんだぞ」
タツヤ「あい!」
ゆま「ママのこと、好き?」
タツヤ「すきー」
ゆま「ふーん」
『お前が可愛くないからパパは帰ってこないんだよ』
『なんでお前なんか産んじゃったんだろうね』
『お前なんか何もできないんだよバカガキ!』
杏子『ありがとな。ゆま』
ゆま(寂しくない。キョーコがいるもん)
杏子(ゆま)
ゆま(キョーコ!)
杏子(もうすぐそっちに着くから、お前も向かってこい)
ゆま(わかった)
ゆま「ゆま、もう行くね」
タツヤ「ろこに?」
ゆま「キョーコのところ。バイバイ」シュタッ
タツヤ「ばいばーい」
詢子「買ってきたぞー。ってあれ?タツヤ、あの子は?」
タツヤ「とんでった」
詢子「ええ?」
避難所
まどか「ほむらちゃん……」
QB「やあ、まどか」
まどか「QB…」
QB「みんなの戦いが心配かい?」
まどか「……うん」
QB「ここでボクと契約して魔法少女になれば、確実にワルプルギスの夜は倒せるよ」
まどか「ううん、私は魔法少女にはならない。みんなが必ず勝つから」
QB「どうしてそう言い切れるんだい?」
まどか「信じてるから。みんなを、ほむらちゃんを」
QB「他人を信じる。ボクには理解できないけど、それが君達人間の強さの一つなのは認めるよ。今のキミが契約しないのもわかってたからね」
まどか「それならどうして、私のところに来たの?」
QB「キミに教えようと思ってね。時間遡行者、暁美ほむらの最後の秘密とその末路を」
まどか「え…?」
ワルプルギスの夜出現ポイント
ほむら「……来る」
3
ほむら「今度こそ決着を付ける」ヘンシン
2
ほむら「みんなと未来と」
1
ほむら「まどかの未来を」
0
ほむら「救ってみせる!」
ゴォオオオオオオオ!!
ワルプルギスの夜「アハハハハハハハハハハ!!!」
集合場所 街外れの港
さやか「え!?な、なんであそこにワルプルギスが!?」
マミ「どうなってるの!?」
織莉子「問題ないわ。出現ポイントはあそこよ」
杏子「テメェ!騙したのか!」
織莉子「静かに、始まるわ」
バアアアアアン!!
ゆま「わあ!?」
さやか「ば、爆発!?」
キリカ「始まったね」
杏子「あのトラック……ワルプルギスに突っ込むぞ!」
ドドーン!
ザバァ!
さやか「こ、今度はミサイル!?」
ドドドドドドド!!!
マミ「ミサイルで…!」
杏子「ワルプルギスがこっちに…!」
さやか「ぶっ飛んできたああああああ!?」
ズドォオオオオオン!!
シュタッ
ほむら「街外れへの誘導」
織莉子「成功ね」
さやか・杏子「ほむらぁああああああああ!!!」
ほむら「どうしたの?」
さやか「どうしたのじゃない!何なのさ今の!」
ほむら「近くの自衛隊から借りたものよ。少しでも避難所から離れさせるために使わせてもらったの」
杏子「それならそうと前もって言え!心臓が止まりかけたじゃねーか!」
ほむら「織莉子から聞いてないの?」
織莉子「必要ないと思って黙ってたわ」
キリカ「私は知ってたけどね」
さやか・杏子「お前ら…」ジャキ
マミ「落ち着いて二人とも!」
ガラッ
ほむら「遊びはそこまでよ」
バアアン!
ワルプルギスの夜「アハハハハハハハハハハ!!」
さやか「うそ…無傷…!?」
杏子「なんて奴だ…!」
マミ「最初から全力でいくわよ!」
ゆま「うん!」
織莉子「常に私の声に耳を傾けて!攻撃のタイミングを教えるわ!」
キリカ「りょーかい!」
ほむら「はあああ!!」
ズズズ……
シモテ「キャハハ」
ソデ「ウフフフ」
カミテ「キヒヒヒ」
杏子「なんだこいつら!」
マミ「魔法少女…!?」
ほむら「ヤツの使い魔よ!気をつけて!」
シモテ「キャハハ!」ドドド!
マミ「くっ!なんて弾幕なの!」
ソデ「ウフフフ」パアアア
キリカ「倍速魔法…!私と反対の魔法か!」
シモテ「キヒヒヒ!」シュッ!シュッ!
さやか「こいつ、ほむらと同じ肉弾攻撃を…!」
ほむら(―時間停止!)
カチッ
ドッ!ドッ!ドッ!
ほむら(―解除)
カチッ
シモテ「キャハ!?」
ソデ「ウフ!?」
カミテ「キヒ!?」
さやか「え…いきなりぶっ飛んだ」
杏子「ほむらのヤツ、時間を止めやがったな」
ほむら「こいつらは倒してもすぐに復活するわ!極力避けてワルプルギス本体を!」
マミ「ええ!ティロ・フィナーレ!」ドーン!
さやか「いっけええええ!」カシュン!
杏子「おらあああああ!」ブォン!
ドドドドドドドドド!!!
シュタ!
ほむら「うりゃぁあああああああああ!!!」
ドン!!
ワルプルギスの夜「アハハハハハハハ!」
杏子「チッ!全然効いてね!」
さやか「まだまだぁ!」
ゆま「ええーい!」
ワルプルギスの夜「キャハハハハ!」
織莉子「まずい…!来るわ!火炎魔法よ!」
ゴォオオ!!
さやか「でかい…!」
杏子「避け切れねぇぞ!」
キリカ(速度低下!)
ゴォオ…オオ…!
キリカ「今だ!散れ!」
ババッ!
マミ「ナイスよ!呉さん!」
キリカ「今度ケーキでも奢ってね!」
杏子「そん時はアタシも呼べよな!」
ゆま「ゆまもね!」
さやか「無駄話してる場合かー!」
ほむら「攻撃範囲が広いわ!みんなは二人一組で散らばって!」
マミ「暁美さんはどうするの!?」
ほむら「時間操作があるから大丈夫!さあ早く!」
タッタッタッタ!
まどか「はぁ…!はぁ…!」
ドドドーン!
まどか(あっちだ。お願い、間に合って!)
ズドオオオン!!
マミ「きゃあああ!」
ほむら「マミ!」
杏子「ゆま!マミに治癒魔法を!」
ゆま「うん!」パァアアア
マミ「ありがとう。でも、まずいわね……」
さやか「街まで押し切られた…この先には避難所があるのに…」
織莉子「ダメージは蓄積されてる。けど、決め手となる攻撃がない」
キリカ「グリーフシードも少ない。このままじゃ、魔力も底を尽きる」
ほむら「……ここまでね」
マミ「暁美さん!?」
さやか「ほむら…あんた諦めるの……!?」
織莉子「………」
ほむら「いいえ。そういう意味じゃないわ」
杏子「過去に戻る気か…」
ほむら「それもハズレ」
さやか「じゃあ何なのさ!」
ほむら「みんなと戦うのが、ここまでってことよ」
杏子「どういう、ことだ…?」
ほむら「みんながいなければ、きっとここまで来れなかった」
マミ「暁美さん…何をするつもりなの」
ほむら「まどかには、私は街を去ったって言っといて。あの子には、幸せでいて欲しいの」
さやか「ほむら!」
ほむら「ありがとう。元気でね」
シュタ!
マミ「待って!暁美さん!」
ザッ
織莉子「待つのはあなた達よ」
さやか「あんた達…どういうつもりよ」
キリカ「ほむらとの約束だ。ここから先は彼女だけを戦わせる」
ゆま「ダメ!そんなの死んじゃうよ!」
杏子「退きやがれ!アイツを死なせるつもりか!?」
織莉子「……ええ。そうよ」
マミ「なんですって…!?」
織莉子「彼女の命と引き換えにワルプルギスの夜は倒される」
ワルプルギスの夜「アハハハハハハハ!!」
ほむら「行かせない…!」
ズォオオオ…!
ほむら「ぐっ……最初から、全開よ……」
グッ
ほむら「喰らいなさい!!」
織莉子「見えるかしら。ワルプルギスの夜と戦う、紫黒色の光……暁美ほむらの、命の灯火が」
さやか「どういう意味だよ……」
織莉子「あの光は全て彼女の魔力。鎧の様に纏いことで、肉弾攻撃を魔法攻撃として相手に与えているの」
杏子「そうじゃねぇ!あの光がほむらの命ってのどういう意味だって聞いてんだ!」
キリカ「あれはただの魔力じゃないんだ。ソウルジェムの中にある魂を、魔力に変えてるのさ」
織莉子「ただ魔力を使うだけでは、ソウルジェムは濁りやがて魔女になる。それを防ぐ為に彼女は希望も絶望も残らない、魂を燃やし戦う方法を見つけた」
マミ「そんな……!」
さやか「燃え尽きたら、ほむらはどうなるの……?」
織莉子「死ぬわ」
杏子「バカ…野郎…!」
さやか「あんた達、知っててどうして止めなかったの!」
織莉子「この作戦を決めたのが、他でもない彼女だからよ」
マミ「止めないと!」
ドオオオオオン!!
ゆま「キョーコ、あれ!」
杏子「ワルプルギスが……地面に叩き付けられた……」
さやか「ほむらが……押してる…?」
ズォ…オォオ…!
ほむら「まだよ……まだ、燃え尽きないで……あいつを…倒すまで!」
ガラァ!!
ワルプルギスの夜「アハハハ……ハハハ…!」
ほむら「あああああああああ!!」
ズドン!!
ワルプルギスの夜「アハ…ハ、ハ…」
ほむら「はああああ!」
ギュオ! ドスッ!
ほむら「か、はっ…!」メリッ
ドサッ
ほむら「はぁ……はぁ……まど…かぁ……」
ほむら(限界…ね……でも)
ワルプルギスの夜「アハ…ハ……」
ほむら「お前も、そうみたいね…」ググッ…!
ズォ…オォ…オオオオオオオオオオオオオオオオ!!
ほむら「私の全て、あなたにあげるわ」
ドン!!!
ワルプルギスの夜「ア……ハ…」
―サァアアア
ほむら「まどか……みんな……終わった……よ…」
ドサッ
ほむら(ごめん…疲れちゃった………ちょっとだけ、眠るね……)
シュゥウウウ……
マミ「暁美さん!起きて!起きなさい!」
さやか「起きろってば!ねぇ!」
杏子「よせ、二人とも」
さやか「そうだ!あたしとゆまの二人で治癒魔法を掛ければ…!」
杏子「もう、手遅れだ」
さやか「うるさい!やってみなきゃわからないでしょ!」
杏子「ほむらのソウルジェムを見ろ!透明だ!コイツの魂はないんだよ!」
杏子「どうやっても…生き返らないんだよ……!」
マミ「暁美さん…いやだよ……目を開けてよぉ……」
ゆま「ほむら…ひっく……お姉ちゃん…」
織莉子「これでいいのよ。彼女の望みは、これで叶った」
さやか「何だよそれ……ふざけんな!」ガバッ!
さやか「こんなのが…こんなのがほむらが望んだ結末だって言うの!?」
織莉子「離して」
さやか「あんた達が無理にでも止めてればほむらは死なずに済んだ!あんた達のせいだ!」
杏子「やめろさやか!」
さやか「離して!ほむらが…ほむらがぁ……」
杏子「ちくしょう……」
織莉子「……」
キリカ「織莉子……」
織莉子「大丈夫。気にしていないわ」
キリカ「でも、涙が…」
織莉子「あなたも、出ているわよ」
キリカ「え?あ…っ」
織莉子「間違っていなかった。これで良かったの」
織莉子「良かった…筈なのに……!」
キリカ「キミのせいじゃない……誰のせいでもないんだ……」
まどか「ほむら…ちゃん……」
さやか「まどか……」
まどか「うぁ…うぁあああっ!」
まどか「どうして……死んじゃうってわかってたのに…」
マミ「鹿目さん……」
まどか「私なんか助けるより…あなたに生きていて欲しかったのに……!」
QB「その言葉は本当かい?」
織莉子「QB…!」
QB「鹿目まどか。その祈りの為にキミは魂を掛けられるかい?」
さやか「この期に及んで…!」
杏子「聞くなまどか!ほむらの願いを守り通せ!」
QB「暁美ほむらの願いか。残念だけど、それは守り通せそうにないね」
キリカ「どういう意味さ」
QB「まだ気付かないのかい?自分達と周りの異変に」
……ォオオ
キリカ「な、なんだ…!?」
織莉子「そんな……どうして…!?」
ォオオオオオ
ゆま「キョーコ……これって…」
杏子「どうなってんだ…!?」
ゴォオオオオオ!!!
さやか「何でよ…何でなのよ!?」
マミ「うそ…でしょ…?」
ワルプルギスの夜「アハハハハハハハハハハハハハ!!!」
マミ「どうして…暁美さんが倒した筈じゃ」
QB「簡単なことだよ。ワルプルギスの夜のグリーフシードが孵化に必要な穢れを溜めきり、新たに誕生した」
杏子「おい待て、使うどころか…そもそもアタシ達はグリーフシードを回収すらしてなかったぞ!」
QB「極稀なことだけど、グリーフシードが勝手に穢れを吸収したのさ。その証拠に、キミ達のソウルジェムは濁りが無いだろ?」
さやか「ホントだ……ソウルジェム、綺麗になってる……」
QB「魂を燃やすことで手に入れた力でワルプルギスの夜を倒し、なおかつ魔女の呪いごと燃やし尽くし魔女になるのを防ぐ。そこまでは良かったけど、暁美ほむらはこの事態は予測できなかったみたいだ」
織莉子「無駄死にと言いたいの…」
QB「いや、寧ろお手柄だ。暁美ほむらを失った今、ワルプルギスの夜を倒せる方法はただ一つ」
杏子「うるせぇ!必要ない!」
さやか「今度こそ、あたし達でアイツを倒す!」
QB「それは無理だ。ソウルジェムが全快でも、キミ達にワルプルギスの夜は倒せない。それこそ無駄死にだ」
マミ「だからって、引く訳にはいかないわ」
ゆま「負けないよ!」
織莉子「昏い未来しか視えないのなら、陽を灯すまでよ」
キリカ「そーいうことだ」
さやか「いくぞ!」
まどか「待ってみんな!」
まどか「私、QBと契約する」
まどか「ほむらちゃんが護ったもの、今度は私が護る。私の力は全部ほむらちゃんがくれたものだから」
さやか「まどか…あんた…!」
織莉子「彼女の願いの対象であるあなたは、束ねられた数多の平行世界の運命を背負い因果の特異点となった」
キリカ「皮肉にも、ほむらが頑張った分、キミの因果はより強くなっていった」
まどか「私の為にほむらちゃんは沢山傷ついた。だから今度は、私がほむらちゃんを助ける番なの」
杏子「だったら魔法少女なんかになるな!それがほむらの救いだ!」
まどか「ううん、違う。そんなの救いじゃない」
マミ「鹿目さん…」
まどか「希望を懐いて、信じて、絶望に負けずに戦ってきた人が幸せに救われないなんて間違ってる」
ゆま「まどかお姉ちゃん……」
織莉子「あなたが魔女になったら、どうなるかは知っているわね」
まどか「……QBから聞きました。ワルプルギスを超える魔女になるって」
織莉子「その時は世界を終わる。あなたの独善でみんなが死ぬ。それでも、契約を交わすのね」
まどか「はい」
織莉子「……いきなさい。もう止めないわ」
キリカ「織莉子…」
織莉子「その代わりに約束して。必ず、みんなを救うと」
まどか「約束します」
さやか「まどか……」
まどか「信じて。私と、ほむらちゃんの頑張りを」
QB「さあ、鹿目まどか。魂を対価に、キミは何を希う?」
まどか「私の希いは」
まどか「全ての魔女を、生まれる前に消し去りたい。全ての宇宙……過去と未来の全ての魔女を」
まどか「私の手と!ほむらちゃんの拳で!」
パァアアアアアア!!
さやか「ほむらのソウルジェムが…!」
QB「その祈りは…そんな祈りが叶うとするなら、それは時間干渉なんてレベルじゃない!因果律そのものに対する反逆だ!まさか…キミは本当に神なるつもりなのか…!?」
まどか「言ったでしょ?みんなを救うって。その為なら神様でもなんでもいい。希望を信じてきたみんなを泣かせたくない。最後まで笑顔でいて欲しい」
まどか「それを邪魔するルールなんて…私達が壊してやる!変えてやる!」
フワッ
マミ「暁美さんの身体が…」
杏子「まどかの所に…」
まどか「さあ叶えてよ!インキュベーター!」
パシュウウウウウウ!!!
マミ「あれが鹿目さんの、魔法少女の姿…」
さやか「あの時書いてた衣装のまんまじゃん」
杏子「でも、何だか見慣れた感じがするな」
まどか「ほむらちゃん」
ほむら「まど…か…」
まどか「ごめんね。約束、破っちゃった」
ほむら「……いいのよ。全部、見ていたわ」
まどか「うん。じゃあ、行こうか」
ほむら「ええ」
パアアアアアア!!
さやか「なにが起きてるの」
マミ「全ての宇宙、全ての時間軸、全ての平行世界のグリーフシードが、二人に浄化されてるのよ」
キリカ「こうなるって、知ってたの?」
織莉子「いいえ。ただ、あの二人を信じただけよ」
ゆま「綺麗だね」
杏子「ああ。綺麗で優しい光だ」
ワルプルギスの夜「アハハハハハハ!」
まどか「もういいんだよ」
ほむら「そんな姿になる前に、私達が受け止めてあげるから」
まどか・ほむら「あなたはもう、誰も呪わなくていいんだよ」
パアアアアアアアア!!
ほむら(ここは……?)
QB(新しい法則に基づいて、宇宙が再構成されているのさ)
ゴォオオオオオオオ!!
QB(あれが何だか解るかい?ひとつの宇宙を創るに等しい希望は、ひとつの宇宙を終わらせる絶望をもたらす。その絶望があれだ)
ほむら(終わるのね……全てが)
QB(当然の結果さ)
ほむら(ええ…でも)
まどか(大丈夫だよ)
まどか(私の願いは、全ての魔女を消し去ること)
ほむら(本当にその願いが叶ったんだとしたら)
バサァ―!
私達も、絶望する必要なんて―無い!!!
パシュウ!
ドン!
ドォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!!
ほむら「終わったわね」
まどか「うん」
ほむら「フフッ」
まどか「どうしたの?」
ほむら「さっきのまどかの姿、とっても綺麗だったわよ」
まどか「ええ!?」
ほむら「純白の翼と衣装。髪も長くなって、女神様みたいだったわ」
まどか「ほ、ほむらちゃんだって黒い翼が生えてとってもカッコ良かったよ!」
ほむら「あら?私が魔王みたいだって言いたいの?」
まどか「ち、違うよ~!」
ほむら「冗談よ。ありがとう」
まどか「……こっちこそありがとう。ずっと私の為に戦ってくれて」
ほむら「まどか……」
まどか「今の私は、過去と未来全ての宇宙が視えるの。だからほむらちゃんが私の為に頑張ったこと、全部わかったよ」
まどか「何度も泣いて、傷だらけになりながらそれでも私の為に戦い続けた」
ほむら「まどかぁ……」
まどか「こんなにも大切で強い友達が、私にはいたんだね」
ギュッ
まどか「今の私になったから、本当のあなたを知ることが出来た。ずっと気づいてあげられなくてごめんね」
ほむら「まどか…まどか!」
まどか「ありがとう、ほむらちゃん」
まどか「私の最強の友達」
ほむら「最強ってあなた…」
まどか「本当のことだもん」ティヒヒヒ
ほむら「もう…」
まどか「………そろそろお別れだね」
ほむら「え…?」
フワッ
ほむら「な、なに…まどか?」
まどか「ほむらちゃんはもう戻らなきゃ。ここには、私だけ残れば大丈夫だから」
ほむら「そんな…!」
まどか「向こうに戻ったら、みんなと幸せにね」
ほむら「嫌!せっかくあなたを救えたのに…!」
まどか「ほむらちゃん。大好きだよ」
ほむら「待って…!」
まどか「ごめんね。さようなら」
ほむら「まどかああああああああああああああああああああ!!!」
さやか「ほむら……ほむら!」
ほむら「……ん」
さやか「良かった!もう、心配させないでよ」
ほむら「さやか…ここは…?」
マミ「覚えてないの?魔獣にやられて気を失ってたのよ」
ほむら「魔獣…?」
杏子「おいおい、本当に大丈夫か?」
ほむら(……そっか。ここは新しく創られた世界なんだ)
ほむら「大丈夫よ。少し意識が朦朧としてただけ」
マミ「無理しちゃダメよ?」
ほむら「心配かけてごめんなさい。それより魔獣は?」
さやか「もう片付けたよ。にしても、今日は数が多かったなー」
QB「確かに。瘴気の濃さもさる事ながら、強さも普段の倍近かったね」
杏子「アタシらに掛かれば、なんてことねーけどな」
マミ「そうね。みんなで戦えば怖くないものね」
ほむら「………まどか」
さやか「ほむら、何か言った?」
ほむら「何でもないわ」
杏子「お、ゆま達の方も終わったみたいだぜ」
さやか「そんじゃあ迎えに行きますか」
杏子「いや、もうすぐ着くってよ」
シュタッ
ゆま「キョーコ!終わったよー!」
杏子「はいはいご苦労さん」ナデナデ
織莉子「お疲れ様」
マミ「そっちもね」
キリカ「うーん、疲れた。こんな時は紅茶が飲みたいね」
さやか「そんなら、この後みんなでお茶会ってのはどう?」
マミ「いいわね。場所は私の家で良いかしら?」
杏子「ケーキあるか?」
ゆま「ケーキ!」
マミ「はいはい、帰りに買っていきましょうね」
ほむら(まどかのこと…誰も覚えてないのね。当然よね、あの子は魔女を消滅させる概念へと昇華した)
ほむら(この世界いた証の全てが消え去った……あの子の事を誰も覚えてる筈がない……もう、いないの……)
ポタッ
さやか「ほむら…?」
ほむら「うっ……ひっく…」
マミ「あ、暁美さん?」
杏子「おい、らしくねぇな」
ほむら(どうしてなの…あなたと一緒なら、私はそれだけで良かったのに……)
ゆま「ほむらお姉ちゃん、どこか痛いの?」
織莉子「一体何を悲しんでるの?」
キリカ「どうしたのさ」
ほむら「ひっく……ごめん、なさい…何でも…ないの……」
ほむら(まどか……まどか……)
バサァ―
まどか「みんなー!遅れてごめーん!」
ほむら「え…?」
さやか「あ、遅いぞまどかー!」
杏子「ちょうどいいや。まどかー!ほむらのヤツが泣いてんだー!」
マミ「鹿目さーん!どうにかしてちょうだーい!」
まどか「ええ!?」
シュタッ
まどか「ど、どうしたのほむらちゃん!?どこか怪我したの!?」アセアセ
ほむら「まど…か…?」
キリカ「あ、泣き止んだ」
織莉子「どうやら、まどかが心配だけだったようね」
杏子「はぁ?なんだよそれ」
さやか「そんだけで泣いたの?」
マミ「でも良かったわ。怪我とかじゃなくて。ね?」
ゆま「うん」
さやか「ほむらのまどか好きにも困ったもんだねぇ」
杏子「自分だって一人で魔獣と戦ってたくせに、」
マミ「仕方ないわ。不意打ちとはいえ、今日は暁美さんがやられたんだもの」
まどか「ほむらちゃんが!?」
さやか「まあ確かに、あたし達の中でまどかとほむらがズバ抜けて強いからね」
キリカ「そりゃ心配もするか」
まどか「ほほほ、ほむらちゃん本当に大丈夫!?痛いところない!?」
杏子「まどかのほむら好きも大概だけどな」
織莉子「どっちもどっちね」
ゆま「杏子とさやかみたいだね」
杏子・さやか「どこがだ!」
ほむら「まどか…なの?」
まどか「え?」
ほむら「本当に…まどかなの…?」
まどか「………そっか。今日だったね、『私が生まれた日』は」
ほむら「まどか……」
まどか「うーん、色々説明しなきゃいけないけど、その前に言わなきゃね」
まどか「ただいま。ほむらちゃん」
建設途中のビル
ほむら「ごめんなさい、せっかくのお茶会を断らせて」
まどか「いいよ。ほむらちゃんには、ちゃんと説明しなきゃいけないからね」
ほむら「夢……じゃないよね……?」
まどか「怯えなくていいよ。私はちゃんとここにいるから」ギュッ
ほむら「……うん」
まどか「ほむらちゃんを帰した後、本当なら私は概念として永遠にあの場所に固定される筈だったの」
まどか「でもね、二つの矛盾がそれを解いてくれた」
ほむら「矛盾…?」
まどか「ひとつ目は私の願い。ほむらちゃんと一緒に全ての魔女を消し去ることの矛盾」
まどか「ふたつ目はほむらちゃんの願い。私を護ることの矛盾」
まどか「私と一緒に概念になる筈だったほむらちゃんを戻したことで、あの場所はとても不安定なものになったの。元々は二人で支えるはずだったから、当然なんだけどね」
まどか「そこにほむらちゃんの願い、私を護ることの矛盾がきた」
まどか「ほむらちゃんは、私が救えなかったて後悔したよね?」
ほむら「当たり前よ……あんな所で永遠に独りぼっちなんて、死ぬより酷いじゃない」
まどか「その優しい想いのおかげで、私は戻ってこれた」
まどか「不安定だった空間はとうとう概念を縛り付ける力を失った。そこで、私はあることをやってみた」
ほむら「どんなことなの…?」
まどか「あの空間を、私の存在の一部として取り込んだの」
まどか「縛り付けるものが無くなった私はこの世界に戻ってこれた。けど、今度は二つの問題が起きたの」
ほむら「どんなこと?」
まどか「戻ってきた時間がほむらちゃんが転校してきた日だった事と、ほむらちゃんが今までのこと覚えてなかったこと」
ほむら「え?私、覚えてなかったの…?」
まどか「うん。しかも契約する前の性格じゃなくて今の性格だったから、あっという間にマミさんやさやかちゃんと険悪な仲になって大変だったんだよ」
ほむら「そ、そういえばあなた過去と未来全てが視えるんだったわね……」
まどか「今は使わないようにしてるけどね」
ほむら「それで、どうなったの?」
まどか「みんなが仲良くなるように毎日頑張ってました。あ、一番初めに仲良くなったのは私だからね?」
ほむら「強調しなくていいわよ」カァアア
まどか「それからQBに新しい世界の仕組みについて聞いたの。魔獣のことや、魔法少女のこと」
ほむら「あなたの願いは……」
まどか「大丈夫。私が自由になっただけで、私の願いは今も叶い続けてる。もう魔女は生まれないよ」
ほむら「良かった」
まどか「そうそう。何も覚えてないQBにこの事を話したら、目を丸くしてたよ」
ほむら「途方も無い話だものね」
まどか「それでね。QB曰く、私はあの場所を取り込んだことで宇宙そのものになったんだって」
ほむら「ええ!?」
まどか「これが私とほむらちゃんが別れてからの出来事の全部だよ」
ほむら「ひとついいかしら?さっき『私が生まれた日』って言ってたけど」
まどか「それはね。実は、あの時私は死んでたの」
ほむら「死ん…でた…?」
まどか「ほむらちゃんと一緒に倒したあの大きな絶望は、私のソウルジェムが生み出したもの……つまりは私」
ほむら「!」
まどか「一緒に戦った私は正確には私の願いでね、死んだ私はその願いと一体化して概念として生まれ変わった。だから、今日は私が生まれた日」
ほむら「私、またあなたを殺したのね……」
まどか「コラ」
コツン
ほむら「あうっ」
まどか「そんな顔しないの。それに殺したじゃなくて、助けてくれたの」
ほむら「まどか……」
まどか「ね?」ニコッ
サァアア
ほむら「良い風ね」
まどか「うん」
ほむら「私、今幸せよ」
まどか「私もだよ」
ほむら「この先、あなたはどうなるの?」
まどか「身体がなくなっても、魂が概念として永遠に残ると思うの」
ほむら「その時は、私も一緒にいさせて。もう勝手にどこかに行かせるなんて無しよ?」
まどか「どうしよっかなー?」
ほむら「まどかぁ!」
まどか「冗談だよ。いつもからかってるお返し」ティヒヒヒ
ほむら「お茶会、間に合うかしら」
まどか「うーん。そうだ!こうすれば…」
バサァ!
まどか「じゃーん!翼を生やしてみました!」
ほむら「とっても綺麗よ」
まどか「え?も、もう!そういうこと言わないの!」カァアア
ほむら(なんで怒られたのかしら……?)
ピカッ!ピカッ!
まどか「あ、ソウルジェムが…」
ほむら「魔獣が出たようね」
まどか「もう、タイミング悪いよー」
ほむら「仕方ないわ。行きましょう」バサァ!
まどか「って、ほむらちゃん自然に出したね……」
ほむら「意外と簡単ね」
まどか(お姫様抱っこして運ぶつもりだったのに…)
魔獣「ォオオオオオオ」
ほむら「はあ!」
ズドン!!
まどか「えい!」
パシュン!パシュン!
ほむら「いい狙いよ。まどか」
まどか「ほむらちゃんも凄い威力だよ」
魔獣「オォオオオオ!!」
まどか「私もほむらちゃんみたいに素手で戦ってみようかな」
ほむら「それなら私もまどかみたいに弓を扱ってみようかしら」
ズドドドドドドドド!!
まどか「そじゃあ今度お互いに教えてながら特訓してみようよ」
ほむら「なら、アレを用意しなきゃね」
まどか「アレって何?」
ほむら「プロテインよ」
END
この後ちょっとだけ【おまけ】があります。