―ファーストフード店―
さやか「宇宙人がさ、人間に紛れて普通に生活してるって話知ってる?」
まどか「なにそれ?」
さやか「地球の調査してんだってさ」
さやか「しかも映画見て人間に化けたらしくて、トミーリー・ジョーンズそっくりなんだって!」
仁美「まぁ!」
まどか「あはは、うっそだぁ」
さやか「だよねぇ!あ、あたしホットドッグで」
ジョーンズ「カシコマリマシタ」
宇宙人 ジョーンズ
地球調査中
『この惑星の住人はどこか抜けている』
ジョーンズ「……」カポッ ゴクリ
『ただ、この惑星の夜明けは美しい』
このろくでもない、
すばらしき世界。
元スレ
ジョーンズ「この惑星の魔法少女と呼ばれる職業は、とにかく大変だ」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1354445542/
ほむら「またここに戻ってきてしまった……」
ほむら「どうしてなの、何度やってもあいつに勝てない…!」
ほむら「この時間軸では必ずまどかを救って見せる!」
ガラッ
看護師1「あら暁美さん、眼鏡なんか外しへぶっ」ドテッ
看護師2「あーさーくーらー」
ほむら(なんで何もないところでこけるのかしら……)
翌日
ほむら「やるべきことやってたらもう朝だわ」
ほむら「……」
ほむら「綺麗ね」
『この惑星の住人は、やたらと「ヤバい」という言葉で語りたがる』
魔女「ニドトモドリタクナイデスゥ」
芸人「ヤバイよヤバイよ!マネージャーなんとかしろよ!」
ジョーンズ「予想外デス」
ババンバン
マミ「危ないところだったわね、今助けるわ!」バババババーン
芸人「うわこっちにも!」
ジョーンズ「ッ!」チュイン ドガァン
マミ(…?今何か爆発したような……まあ、無事で何よりね)
マミ「もう大丈夫ですよ。危険は去りました」
マミ「今見たことは悪い夢だったんです。できれば、忘れて下さいね?」
芸人「何これドッキリ!?聞いてないよ!?」
『ただ、この惑星の魔法少女は』
マミ「それでは」ニコッ
『可憐だ』
QB「お疲れ様マミ」
マミ「ふぅ……中にいた人に見つかってしまったわね。変に騒がれないといいんだけど」
QB「そういうことは今までも何度かあったけど、大したことにはなってなかったじゃないか」
マミ「だからって油断できないわよ。それにあの人、どこかで見たことあるような顔だったんだけど……」
QB「知り合いなのかい?」
マミ「そうじゃなくって、テレビとかで……」
数日後
<そしたら景色が急にばぁって変わって!
<一瞬ドッキリかと思ってリアクション取ってたんだけど全然違うのね!
\アハハハハ/ \ンナアホナ/
マミ「……」
QB「君達がよく見るバラエティというテレビ番組はいつ見ても興味深いね。どうしてここまで皆同じ反応が出来るんだろう」
QB「どうかしたのかい?食事の手が止まってるようだけど」
マミ「……ヤバい」
『この惑星の女性達は、30歳という境を過ぎると、結婚と呼ばれる契約を結ぶ願望が強くなるらしい』
早乙女「あなたが今日から英語のアシスタントをしてくれるジョーンズさんですね」
早乙女「早乙女和子です。よろしくお願いします」
ジョーンズ「……」
『自らの理想を求めて何度も失敗を繰り返している』
早乙女「ところで、ジョーンズさんは恋人はいらっしゃるんですか!?」
『健気な話だ』
早乙女「そういえばトミーリー・ジョーンズさんに似てるって言われませんか!?」
早乙女「実は私昨日恋人をフったんですけどね、その相手というのが――」
教師1「早乙女先生、またのようですね」ヒソヒソ
教師2「次はジョーンズさんに目を付けたんですかね」ヒソヒソ
『しかも、この惑星の女性は中々めげない』
ほむら(ようやく転校の日までやってきたわね)
ほむら(ある程度の武器は調達してきたし、準備はこんなものね)
ほむら(いまのところキュゥべえはまどかに目を付けていないみたいだけど、油断はできない)
ほむら(大丈夫、次はうまくいくはず……)
ほむら(何度繰り返すことになっても、必ずあなたを救ってみせる…!)
教師1「もう一人くらいALTの先生を増やしてもいいと思いませんか?」
教師2「そうですか?私は特にどっちでもいいんですけど」
『この惑星の住人は、「どっちでもいい」という言葉で物事を片付けることが多い』
―廊下―
ジョーンズ「……」
ほむら「……」
ほむら(誰なのコイツ……)
『ただ』
早乙女「目玉焼きとは、固焼きですか?それとも、半熟ですか?ハイ、中沢君!」
中沢「えぇ!?どっ、どっちでもいいんじゃないでしょうか?」
早乙女「その通り!どっちでもよろしい!」
早乙女「たかが卵の焼き加減なんかで女の魅力が決まると思ったら大間違いです!」
『「どっちでもいい」という場面も存在する』
その日の朝
まどか「リボン、どっちかな?」
詢子「んっ」スッ
まどか「えぇー派手すぎない?」
詢子「女はこれくらいの方がいいのさ」
キュッ
まどか「どうかな…?」
詢子「うん、これならまどかの隠れファンもメロメロだ」
まどか「そんなのいないよぉ」
詢子「いると思っておくんだよ。それが、美人の秘訣」
詢子「いてもよし!いなくてもよし!どっちにしても舐められない格好してなきゃな」
まどか「そういうものなのかな」
『この惑星の住人は、自己紹介という制度に、異常な期待を抱いている』
早乙女「それから、今日は転校生と授業のアシスタントをしてくれる先生を紹介します」
早乙女「暁美さん!ジョーンズさん!入ってきてくださーい。」
ジョーンズ「……」
ほむら「暁美ほむらです」
早乙女「……二人ともそれだけ?」
『まったく面倒でしかない』
『ただ』
ジョーンズ「質問、アル人」
生徒達「……」
ジョーンズ「……」
早乙女「英語の授業だから英語でいいんですよ?」
『何も質問をされないというのも辛い』
ほむら「鹿目まどかさん。あなたがこのクラスの保健委員よね?保健室、連れて行ってもらえる?」
まどか「えっ……う、うん」
スタスタ
まどか「暁美…さん?」
ほむら「ほむらでいいわ」
まどか「じゃあほむらちゃんで」
ほむら「……」
まどか「……」
ほむら(今回のまどかは大人しいというか……いつもなら色々質問されるのに)
ほむら「……」
まどか「……」
ほむら(なんで何も言ってこないの…?このまま私がいきなり「自分を大切にしてる?」とか言い出したら、ただの電波おん……)
ほむら(いえ待って、よく考えたら今までも結構唐突に切り出してた気がする……)
ほむら(ひょっとしてそのせいで警戒されてたの…!?)
QB「助けて……」
まどか「誰?」
『この惑星の住人は、誰かに助けを求められるとつい手を差し出したくなるらしい』
使い魔「オッケーボクジョー」
まどか「なんなのここ……なんか変だよ!」
さやか「ばっ、化け物だ!」
ジョーンズ「……」
さやか「てか先生いつの間に!?しかも店員の恰好してるし!」
『多くの場合は大した見返りなどないどころか、損することの方が多い』
まどか「誰か助けて…!」
『どうしてそうまでして助けようとするのだろうか』
マミ「あなた達、キュゥべえを助けてくれたのね?ありがとう、もう大丈夫よ」
『ただ、それでも誰かに手を差し伸べる姿は』
マミ「ちょっと一仕事、片付けちゃっていいかしら?」
『美しい』
私達の周りが突然黄金色に輝き始め、一人の女の子が現れました。
同じ見滝原の制服を着ているけれど、私より背が高くて、脚も長いし、服の上から分かるほど胸も結構大きくて。
上品そうな落ち着いた雰囲気の顔立ちだから、ひょっとしたら年上なのかもしれないません。
綿菓子みたいな不思議な生き物達は生贄の儀式でも始めるのかと思うほど囲んでいたのに、あの子が来た途端遠巻きになって、近寄ろうともしてきません。
彼女の手には暗闇を照らすように淡い光を放つ、黄金色の卵型の何かが握られていました。
それが宝石の様なものだと気付いた瞬間、突然帯状の光が周囲に可愛らしい花を振りまきながら舞い上がりました。
黒いタイツに包まれていた足が、軽やかにステップを踏み始めます。
どこか無駄にも思える動作の一つ一つにも、可愛らしさと気品さに溢れていて、ぱあっと光ると足元は一瞬で素敵なスカートとソックスに包まれていました。
靴も学校指定のローファーから可愛らしい黄色のパンプスに変化しています。
遠目に見てもスタイルのいい身体を一層強調するかのごとくコルセットが現れ、胸元に結ばれたリボンが可憐なアクセントに見えます。
彼女が手をかざすと、いつの間にか白いふさふさとしたファーの付いた帽子がちょこんと乗っていて、花形の髪止めも宝石が付いて華やかになっていました。
そこに立っていたのは、昔アニメで見たことあるような華麗な変身を遂げた彼女……そう、まるで魔法少女の様でした。
彼女がサッと飛び上がると、すぐに数えるのも諦めるくらいの大量の銃が浮かび上がり、一発バンという音が響き渡りました。
そしてすぐにそれは伝染するように大きな唸りとなって、他の銃からも響いてきて、キラキラとした弾が雨のように綿菓子の生き物に降り注いでいきました。
爆音と爆煙が一緒に炸裂して、思わず目を閉じて、抱いていた傷だらけの白い生き物をぎゅっと強く握ってしまいました。
目を開けた時、そこに綿菓子の生き物たちの姿はなくて、ただなんとなく、私達は助かったんだと気が付きました。
私は文字通りキョトンとしていて。
だけど心のどこかで何か恐怖から来るものとは違う、別の高鳴りを覚えていました。
鮮やかに、あっさりと救ってくれた目の前の彼女を、格好良くて素敵で――
美しいと思っていました。
『この惑星の住人は、一度敵だと見なした相手には容赦がない』
マミ「飲み込みが悪いのね。見逃してあげるって言ってるの」
ジョーンズ「ハァッ!」バリィィン
―マミの家―
まどさや「景色が変わったー!?」
マミ「あれ!?なんで私の家にいるの!?」
ほむら「なっ何が起こったの…!?」
マミ(なんとなくお茶する雰囲気になっちゃったけど……)
ほむら(なんで私は巴マミの家にいるのかしら……)
マミほむ(わけが分からないわ)
『ただ、この惑星のケーキという食べ物は』
ジョーンズ「……」ペロン
まどか「マミさん!このケーキすっごく美味しいです!」
さやか「めちゃうまっすよ!」
『場を和ませる』
ジョーンズ「イラッシャイマセ」
マミ「ショートケーキ二つください」
―公園―
マミ「鹿目さん達を連れていくのが、そんなに面白くないのかしら」
ほむら「えぇ、迷惑よ……特に鹿目まどか。彼女だけは、魔法少女にするわけにはいかない」
マミ「そう……あなたも気付いてたのね、あの子の素質に」
ほむら「あなたとは戦いたくないのだけれど」
マミ「なら、二度と会うことのないよう努力して。話し合いで事が済むのは、きっと今夜で最後だろうから」
ほむら「……ところで、ケーキをこんな時間に二つも食べると太るわよ」
マミ「なっ…!これはキュゥべえの分です!」
ほむら「どっちにしろよね。魔女退治を頑張る自分へのご褒美ってとこなんでしょうけど、大変なことにならないうちに戒めておくことね」
マミ「なんであなたにそこまで言われなきゃならないのよ!」
ほむら「……私は足回りからだったわ」
マミ「――!!そう、あなたもだったのね……その気持ち分かるわ」
ほむら「そこだけは同意ね」
医者1「こいつはぐっすりおねんねして……その間に一時間でハートがだんだん静かになるいたって楽で平和的な薬さ」
医者2「その薬を使うことは許さんぞっ」
『この惑星の住人は、一度敵だと見なした相手には容赦がない』
医者1「あの薬を飲ませたのかっ!ならもう助からねえ」
子供「そんなぁ!」
医者2「まだ望みはある!急いで薬を買ったところに電話して救う方法がないか聞きだすんだっ!」
医者1「あと二分だ」
医者2「メスっ」
ジョーンズ「メス!」チュィン スパパパァァ
医者2「なっなんだこれはっ!いつの間にか心臓まで切り開かれているじゃないか…!!なんだか壁とか別の物まで切れちまってるようだが……」
医者1「おいっ今のうちに!」
『ただ、敵対する者同士が共闘する展開は』
医者2「どうだい大将。殺すのと助けるのと気分はどっちがいい?」
医者1「ふざけるな、俺も医者のはしくれだ。命が助かるに越したことはない」
『燃える』
マミ「ティロ・フィナーレ!」
さやか「やったー!」
魔女「ギャグレベルノヒクイホシダッタネー」ズァァァ
まどか「あ――」
ドゴォォォォン
マミ「きゃっ!なんで急に爆発が……」
ほむら「命拾いしたわね、巴マミ」
マミ「って、暁美さんがどうしてここにいるのよ!」
ほむら「話は後。まずはこの魔女を」
マミ「え、えぇ……」
ほむら(危なかった……突然リボンが切れてなければ今頃……)
『この惑星の医者と呼ばれる存在は、やたらと頼りにされている』
医者「すまないが君の腕はもう……」
恭介「そんな……」
『時には残酷な宣告をしなければならないこともある』
恭介「僕の腕はもう二度と動かない……奇跡か、魔法でもない限り」
さやか「あるよ…奇跡も魔法も、あるんだよ!」
恭介「もう聞きたくなんてないんだよ!弾けもしない音楽なんて!」ブンッ
パリン
ジョーンズ「ッ!」カッ
ビリッ
恭介「あれ、痛い」
さやか「え?」
『ただ、この惑星には』
医者「完治している……信じられない……」
『奇跡はある』
恭介「まさかCDプレーヤーを割ったら手が治るなんて……さやかの言う通り、奇跡はあったんだね」
さやか「あはは……あたしには何にも出来なかったけどね」
恭介「昨日はごめん……自棄になってたからって、さやかには酷いこと言っちゃってよね」
さやか「あの時の恭介は荒れててもしょうがないよ……ほんと、おめでとう!さてと、そろそろかな」
恭介「…?」
―屋上―
恭介父「お前には捨ててくれって言われてたんだが、どうしても捨てられなくてな」
恭介「僕のバイオリン……」
~♪~♪
恭介「ふぅ……」
さやか「おめでとう恭介」パチパチ
恭介父「おめでとう」パチパチ
看護師「おめでとう上条君」パチパチ
ジョーンズ「オメデト」パチパチパチパチパチパチ
さやか(こうしてまた恭介のバイオリンが聞けるなんて、ほんと奇跡だよね……)
『この惑星の、ゲームセンターと呼ばれる施設は非常にやかましい』
客「すいませーん、この景品もう少し取りやすい位置にずらしてもらえませんか?」
ジョーンズ「……」フヨフヨ
『しかも、なぜか皆テンションが高い』
「うわっすっげー、あの子パーフェクトだぜ」
「お前挑戦して来いよ」
杏子「ほらほら、負けたら菓子一個置いてってもらうよ!おっ、店員さんもやるかい?」
『ただ』
杏子「――ッ!店員さん、あんたタダもんじゃないね……」
ジョーンズ「……」パキパキッ
メザメタ コーコロハー
杏子(動いてねえ…?いや違う!こいつ、傍目には全く動いていないように見えるが実はその逆ッ…!超高速で動いてるから残像が残って動いてないように見えるんだ……!!)
杏子「ッ!しまっ――」 Miss!
『この惑星の、ダンスダンスレボリューションは』
杏子「やるじゃねえかおっさん……食うかい?」
『楽しい』
杏子「ま、一個くらいならくれてやるさ……ほらほら、次は誰がやるんだい?」
「あんなの見せられた後じゃなぁ」
「やっても勝てないしやめとこうぜ」
杏子「やれやれ、今日はここまでかな……次あいつとやるときはぜってー勝つ」チャリン
メザメタ コーコロハー
QB「調子はどうだい。随分と楽しそうだけど」
杏子「なんだ、お前かよ。別に、今までどおりさ」
QB「昨日君が魔女を退治した辺りはマミのテリトリーだよ。いくら昔馴染みだからって勝手はまずいと思うけどね」
杏子「フン……マミの奴が突っかかってきたらそんときはそんときだ」
QB「まあ、君がそういうつもりなら僕としても言うことはないけどね」
QB「だけど気を付けた方がいいよ。あの街にはもう一人、僕の契約した記憶のないイレギュラーな魔法少女がいるからね」
杏子「はぁ?なんでそんな奴が魔法少女やってんだよ」
QB「こればかりは答えられない。僕が聞きたいくらいさ」
QB「それに、少し気になる男もいるんだ……」
杏子「ふーん……」
―スーパー―
『この惑星の住人は、文明の進化とともに食文化を発展させてきた』
杏子「よう、こんなとこで会うとはな」
マミ「佐倉さん……」
ジョーンズ「試食イカガデスカー」
杏子「はむ……相変わらず正義の為とか甘っちょろいことやってんのかよ」ヒョイパク モグモグ
マミ「あなたの方は随分荒っぽくなったみたいね」
杏子「あんたには関係ないね……どう生きようとあたしの勝手だ」ヒョイパク モグモグ
『しかも、この惑星の住人は』
マミ「ちょっと、食べながら話さないの!行儀が悪いわよ!」
杏子「ほっとけ!あたしの勝手だろ!!」モグモグ
ジョーンズ「……」ジロッ ジィィィ
杏子「んむ!?んむむむ!?」
杏子(なんだこりゃ!?口が開かねえ!)
『食事のマナーに厳しい』
杏子「ぶはぁっ!なんだったんだ今のは……それより、変な魔法少女がいるんだってな」
マミ「どうしてそれを…?」
杏子「どうせ相変わらず使い魔も狩るとか甘っちょろいこと言ってたから突っかかられたんだろ」
マミ「キュゥべえね……何か文句があるんなら、いつでも相手になるわよ」
杏子「へぇ……」
ジョーンズ「イチキュパ、イチキュパ!イチキュッパ!」
杏子「……いや、なんか白けた……今日は帰る」
マミ「……ねえ佐倉さん」
杏子「んだよ」
マミ「うちでケーキを食べてる時も何度か注意したわよね、食べながら話さないって」
杏子「それがなんだってんだよ」
マミ「そういうところは変わってないのね、今も……」
杏子「……」スタスタ
マミ(……私がもっと素直になれれば、佐倉さんとも……)
ストリートミュージシャン「それでは聞いてください」
ジョーンズ「聞イテクダサイ」
『この惑星の猫という奇妙な生物は、実に自分勝手に生きている』
ストリートミュージシャン「ははっ、今日の客は猫ぐらいだったか……でもさ、俺、ジョーンズとならいつか天下取れる気がするんだ」
ほむら「エイミー、こんなところにいたのね」スッ
ストリートミュージシャン「……あの、良かったら聞いてってくれませんか?」
ほむら「ごめんなさい、あまり興味が――」
ジョーンズ「ッ!」カッ
ボンッ
ほむら「…?頭に何か……猫耳!?」
\なんだなんだ?/ \あの子超可愛いくね?/
ほむら「冗談じゃないわ!見世物じゃないのよ!」スタスタ
ストリートミュージシャン「こんなに人が来てくれるなんて…!みなさん是非聞いて下さい!!」
\せっかくだから聴いてっちゃう?/ \仕方ないね/
『ただ、この惑星の猫耳には、人を惹きつける何かがある』
ほむら「もう、一体何なのよこれは!全然取れないし」
まどか「ほむらちゃーん」
ほむら「げっ」
まどか「どうしたの頭のそれ?可愛いね!あっ、猫ちゃんもいる!」
ほむら「なんでもないから!さようなら!!」スタスタ
まどか「あっ、待ってよ」スタスタ
ほむら「なんでついてくるのよ!」
さやか「ちょうどいいとこに転校生!ちょっと話があるんだけど――って、何その頭?」
ほむら「あなたまでなんなのよー!」
さやか「いや、こないだ助けてもらったし」
ほむら「いいから私のことは放っておい」
杏子「よう、あんたが噂のイレギュラーだな――って、なんだその頭」
マミ「あら暁美さん――って、どうしたのその頭」
ほむら「いい加減にしてーーー!!!!」
『この惑星の先輩は、やたらと格好を付けたがる』
マミ「あら、よく会うわね」
ほむら「巴マミ……まだまどか達を勧誘しているのかしら」
マミ「いいえ、この間のことで反省したの。あんなことがあった後じゃ、きっと幻滅しちゃったでしょうね……だから、出来れば顔は合わせたくないっていうか……」
マミ「こんな格好悪い先輩と一緒にいたいなんて、思う訳ないじゃない……」
ジョーンズ「……」クイッ
マミ「はぶっ」ベチャッ
ほむら「なっ、何でケーキが勝手に飛んで行くのよ!?」
マミ「なんなのよもう……」
ほむら「ふふっ」
マミ(暁美さんが笑った…!?)
『ただ、この惑星の先輩は、後輩がいなければ先輩にはなれない』
ほむら「いいじゃない、格好悪くても……あなたの気持ちが伝わるかどうかはまだ分からないんだから」
マミ「……そうね、どうせ駄目なら当たって砕けるのもいいかもしれないわね……うん、今から会ってみるわ!」スタスタ
ほむら「……心配しなくても、あなたたちの仲は殆どの世界で悪くなんてないから……羨ましいほどに」
マミ「ごめんね、こんなところに呼び出して」
まどか「それで、お話って?」
マミ「その……魔法少女体験コースはもうやめましょう。私のわがままに付き合ってもらって、危険だって分かってたのに連れ回して……本当にごめんなさい」
さやか「そんなに謝らないでくださいよ!あたしらもなんだかんだ油断してたわけだし……」
マミ「あのね、今まであなたたちに見せていた私は本当の私じゃないの。本当の私はもっと臆病で、卑怯で、嘘吐きで、格好良くなんてなくて……」
マミ「こんな先輩嫌いになっちゃったでしょ?だからもう、無理して私に付き合ってくれなくても――」
まどか「そんなことないです!私、マミさんに助けて貰えて本当に良かったって思ってます!」
まどか「どんなマミさんでも、マミさんはマミさんです!」
さやか「そうっすよ!むしろ、何もない完璧人間なんてありえないっつうか……そういうとこもギャップ萌えじゃん?」
マミ「っ……ほんとに…?こんな私の、傍にいてくれるの?」
まどか「こっちこそ、またマミさんの家にお邪魔してもいいですか?」
マミ「あっあり、ありがとう二人とも…!」グスン
政治家1「こういうものを受け取るわけにはいきません」
ジョーンズ「……」ピッ
『この惑星の住人は古来より、仲良くなりたい相手に山吹色のお菓子を送る風習があるらしい』
政治家2「いいでしょう、覚悟しておくことだ……どうなってもしりませんよ」
ジョーンズ「……」ジィィィ
政治家2(なんかあの秘書の目、光ってないか…?)
数日後
「贈賄をしていたとは本当ですか!?」
「美国氏を陥れようとしていたのは本当なんですね!?」」
政治家1(くそっ、あんな映像が一体どこから……)
『ただ、この惑星には、お菓子を送るより仲良くなれる方法もある』
少女1(お父様の疑惑が晴れて良かったわ)
少女2「あ、ああああの!」
少女1「あら?この間お金を落とされた……」
少女2「ッ!その、この前はあ、あり……ありがとう」
―とある協会跡地―
杏子「……なんなんだよその箱は」
マミ「アップルパイよ。もう一度、一緒に戦ってくれないかしら?」
杏子「ふざけんな!今更あんたと仲良くなんてできるわけないだろ!!」
マミ「そうね……確かに渡したから。いい返事を待ってるわね」スタスタ
杏子「……馬鹿野郎、こんなとこに置いていきやがって。食いもんは粗末に出来ねーだろうが」スッ
杏子「ん?手紙…?」ペラ
杏子「……」
杏子「なんだよ……意地っ張りはあたしだけじゃなかったか……」
杏子「けど、このままあいつの言う通りってのはなんか癪だしなぁ……こうなったら――」
翌日
マミ「佐倉さん来てくれたのね!」
杏子「あたしを仲間にしたかったらあたしを倒してからにしな!」
マミ「なんでそうなるの!?」
『この惑星の、漫画と呼ばれる情報媒体には、あらゆる物語が存在している』
『常に優劣を競いあい、無意味な順位を付けたがる』
漫画家「順位落ちてきたなぁ……どうすれば盛り上がるか……」
ジョーンズ「ベタ、終ワリマシタ」
漫画家「サンキュージョーンズ。悪いけど背景お願いね」
ジョーンズ「……」ズパパパパパパ
漫画家(相変わらず仕事が早いなジョーンズは)
『何をそんなに必死になっているのだろうか』
まどか(マミさんとまた仲良くなれて良かったなぁ……このままほむらちゃんとも、仲良く出来ればいいのに)カキカキ
ジョーンズ「……」
まどか「先生!?見ないでくださーい!!」
ズパパパパパパ
『ただこの惑星の愛と勇気が勝つストーリーは』
まどか「あれ、ただの落書きだったのになんかすっごい描き込みが……」
『ワクワクする』
キンコーンカンコーン
仁美「ジョーンズ先生に何か言われてたんですの?」
まどか「何にも言われてないんだけど、気が付いたらこんな風になってて」
さやか「うおっ!?なんじゃこりゃ、新手の絵画かなんかかぁ!?」
まどか「わけわかんないよね」
ほむら「……ッ!?」ビクッ
さやか「流石の転校生もビビらざるを得ないか」
ほむら「これ、まどかが描いたの…?」
まどか「よく分かんないけど、ジョーンズ先生と話してて気が付いたらこんな感じに……」
仁美「ジョーンズ先生って、謎が多い方ですわね」
さやか「確かにねぇ。でもなんか追求する気にならないっていうか、そこが魅力っていうか……」
ほむら(言われてみれば……でも、なぜか流して終わらせてしまった……ジョーンズ先生、一体何者なの?)
さやか「ところでこれ転校生とあたしらだよね?」
まどか「それは突っ込んじゃ駄目!!」
『この惑星では昔から、三人集まれば大抵のことはなんとかなると言われている』
―廃工場―
工場長「全財産かけたのにボスジャン当らなかった……鬱だ死のう……」
まどか「やめて仁美ちゃん!だってあれ、みんな死んじゃうんだよ!」
さやか「先生なんとかしてよ!」
ジョーンズ「……」フワッ ヒョイッ ガシャーン
魔女「ニドトモドリタクナイデスー」
ほむら「させないわ」スタッ
『ただ、この惑星では仲のいい二人がいると』
ほむら「もう大丈夫よ、まど」
まどか「仁美ちゃんしっかりして!」 さやか「今心臓の音を確かめるから!」
ジョーンズ「ヒャクトーバ」
まどさや「ちょっと黙っててください!」
ジョーンズ「……」 ほむら「……」
『話しかけづらい』
―ほむらの家―
ほむら(巴さんのおかげで二人は協力関係に戻った……あとは私に協力して貰うだけ)
ほむら「簡潔に言うわ。二人にはワルプルギスの夜を倒すのに協力してほしい」
マミ「ワルプルギス……それがこの街に…?なんでわかるの?」
ほむら「統計よ」
杏子「統計?以前にもこの街にワルプルギスが来たなんて話は聞いてないよ」
ほむら「今は秘密。私はやつを倒したいだけ」
マミ「あなたには以前助けてもらったし、そんなに悪い子じゃないって分かってるけど……」
杏子「もうちっと手の内見せてくれてもいいんじゃねーの。ま、来るってんならあたしらもぶっ飛ばしてやるけどさ」
マミ「そういえば、昔佐倉さんと二人ならワルプルギスでも倒せるんじゃないかって話してたことあったわね」
マミ「今なら私と佐倉さんのコンビでもワルプルギスを倒せるかもね」クスッ
杏子「なっ…その話は関係ないだろ!」
杏子「フンッ、足引っ張んじゃねーぞ」
マミ「それはこっちの台詞よ」
ほむら「……」
『この惑星ではたくさんの宇宙人が調査を続けている』
ポッポ「トラストミー、ジョーンズ」
ジョーンズ「トラストミー」
宇宙人 ポッポ
地球調査中
ブゥーーン
ポッポ「この惑星で総理をやった時は大変だった」
ポッポ「怪電波で私の行動に疑問を持たないようにさせるのも限界だった」
ポッポ「ジョーンズは使わなかったみたいだけどね」
ポッポ「だけど私は諦めないよ」
『ただこの惑星のトラストミーは』
キキィ
ポッポ「トラストミー」
ジョーンズ「トラストミー」
『使い所を間違えている』
ほむら「とにかく、私を信じてほしい」
マミ「……残念だけど、一緒に戦うのならあなたのことをもっと教えて貰えないと困るわね」
杏子「少なくとも、あたしはあんたに背中を預けるつもりはないからな」
杏子「それに、自分を信じろだなんて言うやつは信用できねー」
ほむら(ここで二人に話してもいいのかしら……信じたって、結局は裏切られてきたのに)
ほむら「……」
マミ「話したくないみたいね」スクッ
杏子「ワルプルギスのことは頭に入れといてやる。だが、あんたとの共闘は無しだ」スクッ
ほむら「ッ!待って――」
マミ「信用とか、信頼ってね……言葉だけで生まれるものじゃないのよ」
バタン
ほむら「……そうよ。いつだって、私の言葉を信じてくれる人なんていなかった……今回もやはり駄目ってことね」
ほむら「……本当に?私は、本当にこれでいいの…?」
美樹母「まあまあ先生良く来てくださいました。早乙女先生じゃないんですね」
さやか「分担してるんだって!ところで先生、来るの早かったですね」
『この惑星の、家庭訪問と呼ばれる行事は、常に時間との勝負だ』
シュビィィン
上条母「退院したばかりなので、学校の方でもサポートしていただけるとありがたいですね……ところで来るの早かったですね、粗茶ですがどうぞ」
シュビィィン
中沢母「オンラインゲームにハマってくれなければそれでいいです……ところで来るの早かったですね、つまらないものですが召し上がってください」
シュビィィン
志筑母「この間夢遊病でフラフラとしてたから心配で……ところで来るの早かったですね、どうぞお食べ下さい」
『ただ、この惑星では家に招かれると』
知久「成績は少し良くなったみたいなんですけど、帰りが遅いことがあるんですよ……友達が増えるのはいいことなんですが、悪いことに巻き込まれないか心配ですね」
知久「あ、どうぞ召し上がってください」
ジョーンズ「……」ゲェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェップ
『お腹が一杯だ』
ほむら(今までにない新しい先生……もしかしたら、ジョーンズ先生には何か秘密があるのかしら)
ピンポーン ガチャッ
ほむら「ジョーンズ先生?あぁ、家庭訪問でしたね」
スタスタ
ほむら「うちは一人暮らしですし、転校したばかりですけど特に問題もないですけど」
ジョーンズ「……」
ほむら「今お茶菓子を」
ジョーンズ「結構デス」ゲェップ
ほむら「……私からも聞きたいことがあるんですけど……あなた、一体何者?」
ジョーンズ「……」
ほむら「……いえ、すみません、なんでもないです。忘れて下さい」
ジョーンズ「僕ト契約シテヨ」
ほむら「え――」
シュビィィン
ほむら「いない……」
『この惑星の、子供達と呼ばれる存在は、青春という時代を懸命に生きている』
仁美「あら、上条君退院したんですのね」
さやか「いつの間に……」
仁美「……さやかさん、今日の放課後お時間はありますか?」
さやか「ん?いいけど」
早乙女「ジョーンズ先生、今夜一緒に食事でもいかがです?」
ジョーンズ「……」
―居酒屋―
ジョーンズ「レモンハ任セロー」スパッブシュウウ
早乙女「唐揚げにいきなりレモンをかけるなんて……いくらなんでも酷すぎます!」
『ただ、この惑星の唐揚げには』
ジョーンズ「……酸ッパ」
『断りなしでレモンをかけてはいけない』
仁美「実は、上条君のことお慕いしておりましたの」
さやか「えっ、そうなんだ……まさか仁美がねぇ」
仁美「さやかさんは、本当の気持ちと向き合えますか?」
さやか「あたしは……恭介が、好きだよ!」
仁美「そうですか。では、一日だけお待ちしますわ」
さやか「ありがとう仁美……でも、そんなのフェアじゃないよ。いくんなら、一緒にでしょ?」
仁美「っ……わたくし、負けませんから」
仁美「グスッ……うぅっ……あら、ジョーンズ先生……」
ジョーンズ「……」
仁美「フラれて、しまいましたわ」
ジョーンズ「……」スッ
仁美「レモン……先生も、ですか…?」
ジョーンズ「……」
仁美「青春って……まるでレモンみたいですわね」
『この惑星の住人は、秘密が大好きだ』
『誰でも他人に言えない秘密を持っている』
杏子「あたしらの魂がソウルジェムってのはどういうことだ!」
QB「君達の体から100メートル程度離れると機能を停止するのさ」
マミ「そん、な……」
ほむら(結界に入ってから帰りが遅いから来てみれば、なんてこと……)
QB「むしろ便利だろう?その体がいくら傷付いても、君達は戦っていられるんだか――」
ジョーンズ「ッ!」カッ
ボフン
QB「くるっぽー」バサバサ
マミ「鳩!?」
杏子「飛んでいきやがった!」
『ただ、この惑星で秘密を押し通すのは』
ほむら「ジョーンズ先生……あなた、本当に何者なの?」
『難しい』
マミ「ワルプルギスを倒すなら、数は多い方がいいに決まってると思ってたけど……」
マミ「なぜあなたが鹿目さんや美樹さんが魔法少女になることに反対なのか、分かった気がするわ」
ほむら(なんでバレたのかは分からないけど、こうなったら仕方ないわね)
ほむら「そうよ。私は彼女達を、特に鹿目まどかに悲しい思いをしてほしくないの」
杏子「……おい、まだ話す気にならないのか?これ以上なんか隠し事はないんだろうな!?」
ほむら(どうせいつかバレることなら、いっそ……)
ほむら「いいわ、全部話してあげるわよ。私のことも、魔法少女のことも……どうなっても知らないけれど――」
杏子「なっ……嘘に決まってる!そんなことあっていいはずがねえ!」
マミ「魔法少女が魔女になるなんて、流石に、冗談よね…?」
ジョーンズ「ナンダッテー!」
ほむら「私の話したことは全て事実よ。信じたくない気持ちも分かるけど、どうしようもない事実なのよ」
杏子「そんなの、どうやって信じろっていうんだ……」
ジョーンズ「カシコマリマシタ」シュビィィン
三人「え?」
BGM:地上の星/中島みゆき
時を渡る少女
~タイムトンネル遡行1700日~
『この惑星の住人は、魔女を見れば爆弾を仕掛け、使い魔を見れば銃で撃つ』
ほむら「鹿目さんとの出会いをやり直したい!彼女に守られる私じゃなく、彼女を守る私になりたい!」
『自ら交わした約束を忘れないように戦ってきた』
ほむら「約束するわ……必ずあなたを救って見せる!」
『一体どこへ向かおうとしているのだろうか』
『ただ、この惑星の時間遡行は』
カシャッ キュィーン
ほむら「繰り返す……私は何度でも繰り返――」
ジョーンズ「……」
宇宙人 ジョーンズ
時間遡行中
ほむら「……誰よ今の!?」
『癖になる』
『この惑星の住人は、とにかく人の話を聞かない』
ほむら「この先の魔女は私が倒す」
マミ「信用すると思って?」
『他人の意見に耳を貸さず、必ず失敗をする』
さやか「あの転校生も、マミさんを見殺しにしたんだ!」
まどか「さやかちゃん、それ、違うよ……」
『一体いつになったら成功するのだろうか』
杏子「聞きわけがねえにもほどがあるぞさやか!」
オクタヴィア「イロンナカテイノドロドロ イッパイミチャッタ」
『ただ、この惑星の魔法少女は』
ほむら「もう、誰にも頼らない」
ジョーンズ「……」
宇宙人 ジョーンズ
時間遡行中
ほむら「……」
『まだやり直せるはずだ』
シュビィィン
杏子「うわっまた出てきた!」
『この惑星の住人は、黒歴史というものに過敏な反応を示す』
ジョーンズ「ハァッ!」キュピィン
ほむら「目からホログラム!?」
『鹿目さんとの出会いをやり直したい!』
『何で魔女に…!?』
『みんな死ぬしかないじゃない!』
『一緒にいてやるよ……一人ぼっちは、寂しいもんな』
マミ「嘘…私が佐倉さんを撃つなんて……」
杏子「さやかって誰だよ!」
ほむら「そこまで……そこまで赤裸々に見せなくてもいいじゃない……うぅっ……」グスグスッ ヒック
マミ杏(な、泣いてる……)
ほむら「もうこれで分かったでしょ!?私だって本当はみんなで仲良くしたいの!みんなでお茶したり勉強会したり買い物したり旅行に行ったりしたいの!」
ほむら「まどかを死なせたくないの!!ワルプルギスを倒してこの呪縛から解き放たれたいの!お願いだから協力してよー!!」
マミ「わ、分かったから落ち着いて?ね?凄い勢いでソウルジェム濁ってるから!」
『ただ、この惑星の住人は、過去から学んで成長していく』
―ほむらの家―
まどか「ほむらちゃんにそんな過去があったなんて……」
さやか「あんたにもいろいろあったんだね」
ほむら「結局みんなに見られた死にたい……」
杏子「あんな映像も見せられたし、こいつの落ち込み様からまず事実だったと見て間違いない、か」
マミ「まあ、これで暁美さんが鹿目さん達を魔法少女にしたくない本当の理由も分かったし、ワルプルギスが来ることも分かったわ」
杏子「あたしらが魔女になるってのは、信じたくないが事実なんだな」
ほむら「できれば隠しておきたかったんだけど……この話を聞いたあなた達は、さっき見た通り絶望することが多かったから」
マミ「そうね……正直心の整理がついてないんだけど……でも今は、目の前の脅威から逃げ出すことだけはやっちゃいけないと思ってるわ」
杏子「上等だ、魔女になんかなってやるもんか!ワルプルギスだってぶっ飛ばしてやる」
まどか「私達に出来ることならなんでも言ってね!」
さやか「任せなよ、ほむら!」
ほむら「ありがとう……ありがとうみんな…!」
さやか「ところでジョーンズ先生は?」
一同「あれ?」
『この惑星のマスコットキャラクターは、よく少女に無謀な頼みをする』
QB「まったく酷い目に合ったよ。ジョーンズ、君は普通の人間じゃないね?」
ジョーンズ「……」
QB「君がどういうつもりで彼女達を監視しているのかは分からないけれど、僕達の邪魔をしないでくれるとありがたいね」
ジョーンズ「……」
QB「やれやれ、黙りかい。君の正体について詳しく聞きたいんだけどな」
ジョーンズ「……」
QB「何か話す気になったら是非声をかけてね。待ってるから」
ジョーンズ「……」バリィッ
QB「ッ!今うっすらと見えた、それが君の本当の姿かい…?驚いたよ、君はこの星の人間じゃないんだね」
『ただ、この惑星の契約には』
シュビィィン
QB「……消えたか」
『どんな危険が潜んでいるか分からない』
ほむら「結局ジョーンズ先生は見つからなかったわね……」
杏子「まさか、あんな得体の知れない野郎を仲間にしようとしてたんじゃねーだろうな?」
ほむら「そういうわけじゃないけど……でも、彼が何者なのか知っておく必要があると思っただけよ」
まどか「学校だとちょっと首が伸びたり舌が伸びたりするけど、普通の先生だよね?」
マミ「どこが!?」
ほむら「そう、まずそこが不思議なのよ……彼がどんな奇行をしていても気にならないような、そんな気分になるのよ」
杏子「意味不明だな」
ほむら「まあとにかく、私達は数日後に来るワルプルギスを迎え撃つ準備をしないといけないわ」
まどか「ごめんね、私も本当は一緒に戦えたらいいんだけど……」
ほむら「あなた達は気にしないで。大丈夫、私達だけでも必ず守って見せるから」
杏子「そうそう、契約したっていいことなんか何にもないんだからな」
マミ「今ならあなた達に契約を進めることなんてできないわね……いえ、本来なら昔だってこんな危険なことに誘うべきじゃなかったのよね」
さやか「もう、そのことなら前に謝ってもらったじゃないですかー!それより、ワルなんとかって魔女に、三人とも絶対勝ってよね!」
まどか「一段落したら、みんなで一緒にお出かけしようね…!」
ほむら「えぇ、きっと……私は、もう負けない…!」
『この惑星の住人は、昔から自然災害と戦ってきた』
ジョーンズ「アァァァァァアアァ」ブワァッ
研究員「ジョーンズさんが飛んでいくほどの凄い風ッ!これがスーパーセルってやつかッ!」
『どんな被害に遭っても、必ず自分たちの力でそれを乗り越えてきた』
ワル夜「ムカーシカラアハハハハハ」
杏子「おでましか」
マミ「これからのことは、勝ってから考えるわ!」
ほむら「今度こそ、決着を付けてやる!」
ワル夜「ワケノワカランコトバカリキャハハハハハハハ」
『ただ、この惑星の住人は』
ジョーンズ「諦メナイ……」バシャバシャ
QB「使い魔に吹き飛ばされて、それでも川を泳いでまで帰ってきて……君は一体何をするつもりだい?」
『諦めるということを知らない』
ほむら「発破!」ポチッ
ドガガガガガーン
マミ「使い魔が思ったより多いわね……予想外だわ」
杏子「イテッ!やりやがったなこいつ!」ザシュッ
ワル夜「トクニサイキンハアハハハハハキャハハハハハ」
ほむら「くっ、進行が止まらない……このままだと、避難所に……でもまだ諦めない!」
ワル夜「マーッタクワケガワカランキャハハハハハハハハ」
ジョーンズ「……」ザッ
ほむら「ジョーンズ先生!?なんでこんなところに!」
ジョーンズ「バリバリー!」ババリバリッシュ
ほむら「?一体何を――」
ジョーンズ「カシコマリマシタ」スッ
ビリッ
ほむら「袖が!?っていうかなによこれ腕がピカピカじゃない!!」
QB「なるほど、プラチナほむらか」
ほむら「いや意味が分からないから!!!」
『この惑星の住人は、やたらと他人との繋がりを求める』
QB「ソウルジェムが体から離れても問題ないエリアが100メートルより大幅に拡大してる……しかも繋がり具合がよくなって因果律がヤバい」
ほむら「ヤバいって……それに何の意味があるのよ」
QB「強いて言うなら、他人の魔力とも繋がることができるようになった。魔力の行き来が可能になったんだよ」
ジョーンズ「……」シュビィィン
まどか「あれ?なんで私ここにいるの!?」
ほむら「まどか!?なんでここに……」
『ただ、この惑星の因果律は』
ほむら「そうか、もしかしたら……まどか手を出して!」
まどか「う、うん……はい」スッ
ブワァァァァァァァァァ
QB「これは……本来鹿目まどかに絡まっていたはずの魔力が全てほむらに流れていく…!」
『意味不明だ』
QB「暁美ほむら。君自身がまどかに束ねてきた因果の糸を、今度は君が背負う番だ」
QB「例えその増大した魔力でワルプルギスを倒したとしても、君が最悪の魔女になるというだけだよ」
ほむら「違うわキュゥべえ……まどかにもらった魔力は私のものにするんじゃない……」パァァァ
QB「弓と光の矢……まさか君は!」
ほむら「ただでさえ多くの因果を持つワルプルギスがさらにまどかの因果も手に入れたとしたら……どうなるのかしら!」チュイン
ボッ
ワル夜「アハハハ…キャハハハハハ…ワタシハソロソロ チョウサヲオエルトスルヨ……」ボロ…ボロ…
QB「流石のワルプルギスも、あれだけ膨れ上がった魔力には耐えられなかったか……まさか最後は暴走して自滅とはね」
まどか「……あの、さっきから気になってるんだけど因果なの?魔力なの?どっち?」
ほむら「……」
QB「どっちでもいいという場面も存在するんだよ」
ジョーンズ「……」
杏子「おい、今の何やったんだよ!突然膨れ上がって崩れてったぞ!!」
ほむら「実は――」
『この惑星の魔法少女と呼ばれる職業は、とにかく大変だ』
マミ「とにかく私達はワルプルギスを倒せたのね!」
ほむら「えぇ……やっと、やっとなのね……」グスッ
まどか「ほむらちゃん、お疲れ様!」
QB「まさかあのワルプルギスを倒すとはね……だけど、結局君達の運命は変わらない。やがて魔女になるのを待つだけさ」
QB「まどかから魔力はなくなってしまったけど、この世に魔法少女はいくらでもいるんだからね」
『しかも、抗うことの出来ない宿命を背負っている』
ほむら「……」
ほむら「ねえ、ジョーンズ先生。あなたは魔法少女のことを元に……」
ジョーンズ「……」
『ただ、この惑星の魔法少女は』
ほむら「……いえ、なんでもないわ……」
『もう十分だ』
数週間後
『この惑星の住人は、ただ流れ続ける時の流れに、一カ月という区切りを付ける』
早乙女「えぇー、ジョーンズ先生とは今日でお別れになります!」
ほむら(あれから何事もなく過ぎていき、こうして新しい日々を迎えることが出来た……魔法少女の運命どうしようもないのかもしれないけど、せめてその時まで……)
ほむら(結局ジョーンズ先生が何者なのかは分からなかったけど……でも、そんなことはどうでもいいのかもしれない)
『そして、新しい月の始まりに一喜一憂している』
ほむら「ありがとうございました……お元気で」
ジョーンズ「僕ト契約シテヨ」
ほむら「……いえ、多重契約になってしまいますから」
ジョーンズ「……」ポワン
ボフン
ほむら「…?ソウルジェムが無い…!?」
『ただ、この惑星の魔法少女には』
ほむら「一体何を――」
『そろそろ、新しい月が来てもいい頃だ』
――
――――
―――――――
「早く早く!こっちだってば!」
「もう、そんなに慌てなくてもまだ時間あるってば」
「うぅー寒ぃぃ……茶とかねーの?」
「はいはい、熱いから気を付けてね」
「……」
「どうかしたの?」
「いえ……こうしてみんなで旅行に来れる日が来るなんて思ってもいなかったから」
「そうだね。でも、これもほむらちゃんがやりたかったことだもんね」
「そうね、まるで夢みたいだわ」
「ヤバいってそろそろだよ!せっかくこのあたしが絶景ポイント見つけてあげたんだからね!」
「あれ?ちょっと予定より早い……行こうほむらちゃん!早くしないと夜が明けちゃうよ」
「えぇ、行きましょう」
BGM:明日/平原綾香
『私はなぜ、この惑星に留まり続けているのだろう』
『もっと快適な惑星が、宇宙にはいくらでもあるのだが』
『この間は、なぜか調査の延長まで申請してしまった』
辞 令
ジョーンズ殿
地球調査続行を許可する。
以上
『ただ』
『この惑星の夜明けは』
ジョーンズ「……」カポッ ゴクリ
『やっぱり美しい』
このろくでもない、
すばらしき世界。
頑張ってるけど、あんまりマッチしてない感じはした。
「どっちでもいいという場面」の伏線は良かった。