榊原「あ、それロンだ」
勅使河原「ぐわっ! マジかよ!」
榊原「タテホンドラ3でハネ満ね」
中尾「チッ……ドラ暗刻で抱えてやがったのか」
勅使河原「東京の人間はなかなか狡猾な打ち方しやがるな」
榊原「運が良かっただけだよ。これでもまだ二位だし」
望月「トップは譲れないよ」
勅使河原「おかしいぞ、お前がトップなんておかしいぞぉお!!」
元スレ
小椋(この気持ち抑えるの大変なんだからっ……バカぁ!////)
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1354019372/
勅使河原「それにしても、お前らって彼女いねーの?」ジャラジャラ
中尾「な、なんだよ急に」ジャラジャラ
勅使河原「青春真っ盛りだってのに、放課後にこんな男四人で集まって麻雀ジャラジャラ打ってるだけってのはな……」
榊原「それお前もじゃないか」
望月「一番彼女いなさそうだよね」
勅使河原「うるせえよっ! ……とにかくよぉサカキ。お前なんか見崎と仲良いじゃねーか」
榊原「……仲良いだけだよ。付き合ったりとか、そういうのはないんだ」
勅使河原「余裕かましてんじゃねーぞコラ」
望月「落ち着け」
榊原「ピンフイーペーコーで二千だよ」
勅使河原「ぐっ……。……! いいぜ、こうしよう」
榊原「へ?」
勅使河原「罰ゲームとして、最下位がクラスの女子誰かに告白するっ……!」
榊原「……」
中尾「……」
望月「……」
勅使河原「どうだ、グッドアイデアだろ?」
榊原「何がグッドアイデアさ」
望月「本当だよ。女の子が可哀想だし、第一いま最下位なの勅使河原君じゃないか」
中尾「フラれたら俺たちにやらされたことにして、成功したらそのままハッピーエンドってことか」
勅使河原「何言ってんだよ俺は負けねえ。次こそ逆転するからな。玉砕されて大恥かくがいいぜ」ジャラジャラ
望月「はぁーあ……バカは死んでも直らなさそうだね」ジャラジャラ
榊原「で、誰に告白するのさ」ジャラジャラ
中尾「榊原お前ちょっとノっちゃってね?」ジャラジャラ
勅使河原「誰か……うーん」
勅使河原「逆に聞くが、お前らは誰がいい?」
中尾「赤沢はやめろ」
勅使河原「誰がいいか聞いてんだよ」
望月「三神先生はやめろ」
勅使河原「女子じゃねーだろ」
望月「あ?」
勅使河原「ごめんなさい本当に」
榊原「……」
榊原「……さん」
勅使河原「は?」
榊原「小椋さん……」
中尾「ん?」
望月「え?」
勅使河原「お?」
榊原「小椋さんの反応を見てみたい気がする」
望月「え」
中尾「……うむ、それでいこう」
勅使河原「ロリコンかよサカキ! 中尾おめーも!」
榊原(まあ自分がそんなことするのは死んでも御免だけど。どうせフラれるし)タッ
望月(僕が負けることはまずありえないから安心だな)タッ
中尾(まずいぞ……いま南三局だ。下手したら勅使河原とひっくり返って俺がドベ……)
勅使河原(ふふふ……)
榊原(白か。生牌だけど、まだ五順目……喰われてさっさとアガらせ、流そう)タッ
勅使河原「おっとサカキ、その牌だぜ」
榊原「え!?」
勅使河原「国士無双だ。残念だったな」
榊原「え、え」
勅使河原(はははっ! 天下のイカサマ、ツバメ返しさ! お前らが俺の提案に面食らってる最中、手元ですり替えた!)
望月「ちょっと、榊原君の点数……勅使河原君が親だったから、ハコテンじゃない……?」
中尾「親の役満かよ……飛んだな。榊原が最下位とは」
勅使河原「悪いなサカキ。勝負ってのはいつどんなことが起こるか分からないんだぜ」
榊原(こ、こいつ……! あの流れと発言の後に五順目で国士なんて、どう考えてもイカサマじゃないか!!)
勅使河原「ほら、いますぐ小椋を呼び出して告白タイムと洒落込もうぜ。あいつまだ演劇部にいるだろ」
榊原「お前な……」
望月「榊原君、幸運を祈るよ」
中尾「ぶっちゃけお前なら行けると思うぞ」
勅使河原「お前ならあいつを嫁にできるさ」
榊原「無駄にハードル上げないでよ! ああもう、これだから賭けって怖いんだ」
榊原「でもやめられない自分が悔しいよ親父……あんたもよくギャンブルやってたよね」
勅使河原「遠い目してないでさっさと行けよ。連れ出しに成功したら屋上な! 俺らは陰で待機してるから」
榊原「流れが迅速すぎるよ。打ち合わせしてたんじゃないだろうな」
榊原「千曳先生」
千曳「うん? おお、榊原君じゃないか。どうかしたのかい」
榊原「小椋さんはいますか?」
千曳「ああ、いるよ。そこで赤沢君たちと話している」
榊原「ありがとうございます」
綾野「お、こういっちゃんだ!」
榊原「や、やあ……」
赤沢「え、恒一君?」
小椋「やっほー」
榊原「皆、部活中にごめんね」
赤沢「何か用かしら」
綾野「もしかして恋の呼び出しカナー?」ニャハハ
榊原「! ……」モジモジ
綾野(あれ?)
赤沢(ほえ、何この反応。……ま、まさか)
赤沢(まさか本当に……恒一君……そうなの? 私なの……!?)ドキドキ
綾野「ほらほらこういっちゃん、お姉さんに何でも相談してみなさいなー」ドキドキ
榊原「ご、ごめん。あの、小椋さんに用があって」
小椋「え、あ、あたし?」
赤沢「!?」ガタッ
綾野「……なんでおぐおぐなの……?」ボソッ
榊原「ど、どうしたのさ二人とも」
赤沢「いいいい、いえ! 何でもありませんっ!」
榊原「時間がなければ、また日を改めるよ……」
榊原(ぶっちゃけもう終わりにしたい……恥ずかしい)
小椋「いい、よ」
赤沢(由美!?)
綾野(おぐおぐ!?)
榊原「……あ、ありがとう。じゃあ、ちょっとついて来て」スッ
小椋「うん……」スタスタ
赤沢・綾野「……」
赤沢「のおおおおおおおおおおお!!!」ガンッガンッ
綾野「ぁあああああああああああ!!!」ガシッガシッ
千曳「尋常ではないね」
小椋「さ、榊原君」
榊原「ん」
小椋「えっと、どこに行くの……?」
榊原「……屋上」
小椋「えっ//」
小椋(これって、そういうこと……?///)
小椋(ああああああダメだ落ち着けあたし。なんか相談事があるだけかもしれないし、早とちりしても恥ずかしい思いするだけ!///)
勅使河原「ひいぃ寒っ!」
中尾「バッカお前くっつくんじゃねーよ!」
勅使河原「だって寒いぃい中尾ぉおお」
中尾「お前が屋上って言い出したんだろうが!」
望月「何やってんだか……ぅう、さむ……ん?」
望月「二人ともっ、来たよ」
勅使河原「おっ」
中尾「やっとか」
小椋「……風が冷たい」
榊原「わあぁごめん小椋さん! こんな寒い場所に呼び出して」
小椋「……いい。榊原君だって、何か用事があってあたしを……」
榊原「それはそうだけど、でも」
小椋「申し訳ないと思うなら、早く言ってくれる?」
榊原「えっ」
小椋(そうしてくれないとドキドキが止まらないっての……!////)
小椋(この気持ち抑えるの大変なんだからっ……バカぁ!////)
榊原「い、言います」
榊原(ああ、恥ずかしい。恥ずかしいよ)
榊原(どうすればいいんだ……えっと、そうだ、これって罰ゲームなんだった。本当の告白みたいに緊張を……)
榊原(……)
榊原(でもこれ、望月も言ってたけど、これじゃあ小椋さんがあまりに可哀想だ)
榊原(好きでもない男に好きだと告白されて。僕も小椋さんのこと嫌いじゃないけど、恋愛対象としてはまだ見てない)
榊原(でもすぐ近くに勅使河原たちもいる……そうだ、負けは負けなんだ。イカサマに気づけなかった方が悪いんだし)
榊原(ごめん小椋さん! あとフラれても気を落とすな僕!)
榊原「小椋さんっ! 好きだっ!!」
小椋「……」
小椋「……」
小椋「……へ」
榊原(言ってしまった言ってしまった言ってしまった言ってしまった)
小椋「……」
小椋「……あ……」
榊原「え……?」
小椋「あたしも……榊原君のことっ……」
小椋「しゅきっ!!!/////」
榊原「」
小椋(ぎゃあああああああ噛んだあああああああああああああああああああああああ)
榊原「あ、え、えっと」
榊原(噛んだよね、いま……い、いやいやそれより僕いま小椋さんに好きって……!!)
榊原(何で!? 僕って好かれてたの!? だってこれ罰ゲームなんだし小椋さんが僕を好きなわけないんだしええええ!?)
勅使河原(こんな気はしてたんだチクショウがああああああああああああああ!!!)グェエアアア
望月「じゃあ何で榊原君からアガりをとっちゃったのさ……」ヒソヒソ
中尾「バカだからだ」ヒソヒソ
榊原「……////」
小椋「……////」
榊原(ど、どうしよう……これ一番まずい状況なんじゃないの!?)
榊原(僕は小椋さんを好きじゃない。いや好きじゃないってわけじゃないけど、恋愛的な好きじゃない)
榊原(でも小椋さんは僕のことを////)
榊原(ぐぁああどうすればいいんだっ!?)
榊原(そうだっ、こういうときこそ勅使河原たちを……)チラッ
勅使河原・中尾・望月「……」コソコソ
榊原(何帰ろうとしてんのあいつら!! 裏切り者っ!!)
榊原(結局逃げられた……どうすればいいんだこの状況。いままでこんな経験したことないよ!)
小椋「あ、あの、榊原君」モジモジ
榊原「へっ!?」
小椋「……これってさ、両想いってやつ?////」
榊原「」ドッキーン
榊原(お、おぐらさんかわいすぎじゃね)ドキドキドキ
榊原(いかん、これは本当に、なんていうか、こう)
榊原(あ、ああああああああああもうっ!!)
榊原(ちょっと待てよ。よく考えたら何で僕って小椋さんを指名したんだ……?)
榊原(ええと確か……そうだ、こんな想像してたんだ)
勅使河原『小椋、好きだ!』
小椋『うわ気持ち悪っ……ごめんマジありえない』
勅使河原『えっちょっ小椋っ! 好きだって!』
小椋『はあ? だからありえないっての。やめてついて来ないで』
勅使河原『小椋! 小椋ぁ! これ罰ゲーム! 罰ゲームだから!』
小椋『言い訳かよ死ね。クソ河原』
勅使河原『小椋ぁああ~っ!!』
榊原(でもその哀愁漂う悲劇の舞台はなかったことに……そしてこの超展開だよ)
榊原(それにしても、ああ、やっぱり小椋さんってかわいいなぁ)
榊原「はあ……勝気な小椋さんステキだよ……かわいいよ」
小椋「へっ!?////」
榊原「群がる男をモノともせず、それどころか蹴っ飛ばす小椋さんとってもかわいいよぉ」
小椋「蹴っ飛ばさないってば! 榊原君どうしちゃったの!?/////」
榊原「ッ……!!」
榊原(ぁああいま口に出してた!? 僕の妄想癖がこんなところで出てしまうなんてっ!////)
榊原(確実に引かれた……けど、嫌われたら結果オーライか……?)
小椋(かわいいって、かわいいっていわれちゃった、さかきばらくんに)
小椋(そんなこと、いわれたことないのに)
小椋(さかきばらくん、あたしのこと、かわいいって)
小椋(……すごいどきどきする)
榊原(小椋さん無表情になってる! やっぱり引かれてるよなこれ)
小椋「……さかきばらくん」
榊原「な、なに?」
小椋「もっとかわいいっていって」
榊原「え」
榊原「ど、どうしたの小椋さん。僕のこと嫌いになったんじゃなかったの?」
小椋「なんでよ」
榊原「僕があんな気持ち悪いこと言ったから……」
小椋「あたしはあんたからしたらどんだけ軽い女なの」
榊原「あっ、ご、ごめん」
小椋「いいからいってよ」
榊原「……」
小椋「ほら」
榊原「……言ってあげない」ニヤッ
小椋「なっ!?」
小椋「なんでへんなところでイジワルするの……!」
榊原「いや、何かね、気分だよ」
小椋「このっ……! う、うぅ」
榊原(気づいてしまったんだ)
榊原(勝気な小椋さんの弱々しい表情見てると、すっごくドキドキする!!)ドキドキ
小椋「お願い、いってよ」
榊原「お互いの気持ちも打ち明けたところで、そろそろ戻ろうか」
小椋「ふざけんなあっ!」
榊原「どうして?」
小椋「だ、だって、だって……!」
榊原「うん、何?」
小椋「言ってくれないと……」
榊原「何を?」
小椋「……」
小椋(改めて頼むの、すっごい恥ずかしいじゃん……!!)
小椋「か、か、かわ……かわ……」
榊原「かわ?」
小椋「かわいいって言えってのこのバカっ!!/////」
榊原「かっ」
榊原「かわいい……」
小椋「ひ////」ドキッ
小椋「榊原君も、かっこいいよ、ステキだよ、大好き……/////」
榊原(神様、もうダメです。僕の心、奪われました)
小椋「くちゅんっ!」
榊原「あっ。大丈夫? 寒いよね?」
小椋「へーきだし……くちゅんっ!」
榊原「寒いから、早く中に入ろうよ」ギュッ
小椋「ぁっ////」
小椋(あ、あたしの手……////)
榊原「ほら行こ。か・わ・い・い・小・椋・さん」
小椋「ぁぁああっ!! うるさいっての!!//////」
榊原「でも手はぎゅーっと握ってくる小椋さんかわいいね」
小椋「ばかっ! あんたマジでばかっ!!//////」
榊原(かわいい……)
榊原「……由美」
小椋「ッ!!」ドキッ
小椋(いきなり名前で呼ぶなんて卑怯だっ……////)
榊原「由美?」
小椋「な、何っ? こっここここっこういちっ!//////」
榊原「ふふっ。……大好きだよ」
小椋「もぉ分かってるっての。恥ずかしいから何回も言わなくてよろしい……」
榊原「由美ももう一回言ってよ」
小椋「うぐ……」
小椋「……大好きだよ、恒一」
榊原「ただいま」
勅使河原「……」
望月「おかえりー」
中尾「おう。アツアツだったなウンコ原」
榊原「ひ、ひどい」
勅使河原「……」
勅使河原「……何なんだよクソ野郎があぁあっ!!!」
榊原「お前が何なんだよ!」
勅使河原「まだ五時かっ……もう一回やるぞオラッ!!」
榊原「おい」
中尾「懲りねえ奴……もう榊原を最下位にするのイヤだぜ。立ち直れなくなる」
望月「やるなら早くやろう。次は誰にする?」
中尾「お前もノリノリだな」
勅使河原「うっし、綾野だ! 綾野にするぞ!」
榊原「これ僕が負けたら完全な浮気になるじゃないか……」
勅使河原「浮気ってお前俺たちが帰った後どうなったんだよ!? やっぱり付き合ったのか!?」
榊原「……まぁね」エヘヘ
勅使河原「ぶっ潰してやる!! 最下位にして小椋の前で綾野に告白させてやんよ!!」
榊原「……」ジャラジャラ
勅使河原「……」ジャラジャラ
中尾「……」ジャラジャラ
望月「……」ジャラジャラ
中尾「何か殺伐としてきたな」
望月「勅使河原君からすごいどす黒いオーラ感じるんだけど」
中尾「あの目は榊原を殺る目だ」
望月「なるべく刺激しないように打とう」
勅使河原「……」シュッ
榊原「おっと勅使河原、それだよ」タンッ
勅使河原「シネエエエエエエエエエエエエ!!!」
望月「勅使河原君っ! 麻雀は落ち着かないと勝てないよ!」
勅使河原「アアアアアアアアアアアアアア!!!」
中尾「これはひどい」
望月「それにしても榊原君は絶好調だね」ジャラジャラ
中尾「三連続和了とは。オカルトは信じねーが麻雀の流れは信じるよ」ジャラジャラ
望月「災厄のあるクラスにいてまだオカルトを信じないんだね……」ジャラジャラ
望月(オーラスだ。勅使河原が一位、僕が二位、榊原君が三位、中尾君が四位……)
中尾(やべえやべえやべえやべえ赤沢さんの前で綾野に告白なんてできるわけねーって)
榊原(三位か……危ういな)
勅使河原「……」
望月「勅使河原君、さっきからまったく喋ってないね」
勅使河原「……」
榊原「よし。オーラスだしちょっと強気に出てみるか。リーチ!」シュバッ
勅使河原「……!!」
勅使河原「これが通れば、追いリー……!!」シュッ
榊原「お、ロン」バッ
勅使河原「」
望月「あーあ」
中尾「ギャー! よりによって一位の勅使河原かよ! 俺の負け確定じゃないか!」
榊原「リーチ、一発、イーペーコー、ジュンチャン三色、勅使河原のカンのおかげでドラ3だ」
望月「えっ」
中尾「おおおおっ、三倍満じゃね? 榊原が親だし、勅使河原が最下位だ!」
勅使河原「」
赤沢「今度は勅使河原か……」
小椋「えへへぇ……♪」
綾野「どうしたの? てっしー」
勅使河原「綾野、俺、お前のこと好きだっ!!」
綾野「ごめん無理」
完