「でも、今更だけど、素直に受け取るかねぇ、これ…」
「さっきも言ったけど、受け取らなかったら、無理矢理にでも使わせるよ。言っちゃアレだけど今のほむらなら勝てる!」
「そうね。弱くなった自分を認めるのはつらい事だと思うけど…。これからは、強がらないで素直に頼って欲しいわ。命が掛かっているのに、遠慮なんて不要だもの」
「意固地な所は変わらないからなぁ」
「独りで思い詰めてないといいけど…」
「あいつ、あんな性格だし、落ち込んじゃって、食事もろくに取ってなさそうですよね」
「ほむらちゃん、クレープおいしいね!」
「ええ。まどか、こっちも食べる?」
「ウェヒヒ。四つもあるから一緒にゆっくり食べよう」
「クレープでお腹いっぱいなんて初めてだわ…」ケプ
元スレ
ほむら「魔法少女の日常」
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「お夕飯が心配だね」
「…きっと、これが最後の…」
「え?」
「う、ううん! そ、そうね。気をつけましょう」
「うん。それにしてもおいしー!」
「ほんとう、ここのクレープ屋さん、こんなにおいしかったかしら?」
「私はどうして美味しいか知っているよ」
「あら、聞かせて欲しいわ」
「分からない? ふふ、ほむらちゃんも美味しいって事は、分かっている筈なんだけどなぁ…」
「もう、意地悪しないで教えて欲しいわ」
「ウェヒヒ。宿題にしちゃおーっと」
「まどかったら…」
「でもね、ほむらちゃん」
「え」
「宿題だから、明日も逢ってくれないと駄目なんだからね」
「毎日宿題出しちゃうよ。だから、ほむらちゃんは次の日に絶対に私に逢って、それから一緒に答合わせをするの」
「まどか…」
「正解ならなでなでして次の問題。間違っていたら追試だからさらに宿題が増えて、そうして毎日毎日、ほむらちゃんは私に逢わなくちゃ駄目なんだよ?」
まどかの瞳から目を離せない。
「私に逢って、さやかちゃん達に会って、みんなに会うの。ずっと、ずっとだよ。たまに遅刻しちゃったりしたら、それは仕方ないけど、でもね、ほむらちゃんは私とずっとずっと逢い続けるんだよ。必ず! 居なくなるなんて…駄目なんだからね」
まどかの柔らかな微笑み。その瞳の中に、真っ直ぐにほむらを見つめる強い決意が見えた。
「……」
ほむらの顔に思わず緊張が走る。
自分の心を、奥底まで見透かされた気がした。
この大人しくて優しい少女を一瞬怖いとすら思える程の、強さと決意の光がその瞳の中に見えた。
「まどか…」
ああ、どうしてあなたはこんなに強いの。
魔法少女かどうかなんて関係ない。
この子は、こんなにも強い意思を、自我を、信念を持っている。
これこそが、強さ。
人としての強さなんだ。
それなのに。
それなのに。
それに比べて、この私の弱さは…。
敵わない。
ほんとうに。
でも、だからこそ、あなたが生きてくれて良かった。
私は、それを看取れさえすれば後は…。
「ほむらちゃん」
「え…。あ」
いつの間にか頬に涙がつたっていた。
「もう、どうしてそんなに泣き虫さんになっちゃったの? 前はあんなに凛々しかったのになぁ…。勿論、今のほむらちゃんも保護欲をいい具合にムラムラとかき立ててくれるけどね」
…後半がなんだか妙な気がしたけど気のせいね。
「…ご、ごめんなさい。また、いつの間にか私ったら…」
「さっきもだったけど…。ほむらちゃん、私が逢うその前から泣いていたんだよね?」
「そ、そんな事は…」
「逢ったとき、もう目が真っ赤だったよ? でしょ? ほむらちゃんのそんなところ、見逃すわけ無いよ」
「…うん」
ああ。
もう、本当に何も隠せない。
ほむらの口調は弱い頃の自分に戻っていた。
「あのね」
「…うん」
「私、知ってるよ」
「……」
「最近、ほむらちゃんが魔女退治してないのって…」
「……」
「さやかちゃんたちに、遠慮しているんでしょ」
「…うん」
「それって、さやかちゃん達は喜んでないと思うよ」
「…うん」
「それに、学校に最近遅刻ばっかりなのって…」
「……」
「ちい散歩見てから学校に来るからでしょ」
「…う、うん」
「若大将じゃあ、いろいろな意味で駄目だって納得出来ないのは分かるけど、今は回復をお祈りしよう」
「うん…」
「それからね」
「うん」
「ずっとクレープを頬張ってるからって、うん、だけだとなんだか良く分かんないよ?」
「ほへんなはい」
「食いしん坊さんなんだからぁ、もう。じゃ、食べちゃおっか」マドマド
「…ん…」ホムホム
「ほむらちゃん、はい、あーんして」
「あーん…」
「ほむらちゃんもちょうだい。あーん」
「うん、はい、あーん」
「あーん。ん、おいしいね」
「うん、美味しいわ。本当に」
「……」
微笑むほむらの表情を、まどかちらりと見つめる。
「あのね…。私、何となく思うの。まどかのおかげなんだって…」
「ふふ。何が?」
「このクレープが美味しいのは…まどかと食べているから。だから、こんなに美味しいんだって…」
「ほむらちゃん」
まどかが不意に真面目な表情でほむらを見つめる。
「え…。あ、あの…ち、違っ…?」
「明日の宿題の答を先に出しちゃ駄目だよぉ。当たりだけど」
にっこりと、満足げに微笑んで言うまどか。
「え? あ、そ、そうなの? …いいの?」
「ティヒヒ。大正解だよ。普通に食べて美味しいけど、ほむらちゃんと一緒だからもっともっと美味しくなるの。私がそうなんだよ。ほむらちゃんもちゃあんと、そう思ってくれていたんだね」
「…まどか」
まどか…。そんなに私の事を気にかけてくれて…。
泣いては駄目だけど、また涙が出そうになった。
「で、ご褒美をあげたいんだけど…」
そんな私の顔を見ていたまどかが、ふと呟いて眉根を寄せた。
「うーん…ほむらちゃん、食べ方お行儀いいし…」
「え?」
「と言う訳で」
よくわからない、私がそう思っているうちに、まどかがぱくりとクレープを頬張り、自分の口にクリームをはみ出させた。
「あ、まどか、口に…」
「ほむらちゃん、あっちにキュウべぇ」
「!」
「そいや」
驚いた私が向こうに顔を向けたその瞬間、まどかが突然、私の頬に唇を思い切り押しつけりゅっ!
「ひゃいっ?!」
「ウェヒヒ。どう?」
「どっどど…どうって…? そ、その…あの…今、どど、どうして…ほ、ほっぺにちゅって…」
「んーとね、ほむらちゃんのほっぺにクリームがくっついていたのを舌でねぶり取ろうと思って」
「ねぶ?! って言うか…つっ…。つつ、ついて、無かったん…だ…けど…。それに、『そいや』って…」
「まぁまぁ、結果と手段が逆転しただけだから些細な事だよ。ウェヒヒヒヒ。大宇宙のエントロピーの増大に比べればね」
「…あ、あの…。でも、今…その、クリームのついた口で…。だ、だから、今、まだ…クリームが私のほっぺにあるんだけど…」
「おっとぉ! ほむらちゃんのほっぺにクリームがべっとりと! これは何と言う僥倖」
「ぎょ?!」
「それじゃ改めて…」
「まま、まどかぁっ! ま、待って! あのあの! ちょっ!」
「大丈夫れろれろ大丈夫れろれろ」
「ひゃうっ?! なっ! なな…何をっ?! あひ…。まど…あんっ! や…やめ…」
「ここで決めなきゃ女が廃る!」
「それ色々ちが…あひ」
「ほっぺぷにぷにーれるれるれるー」
「だ、だめ…。あっ…。や…。も、もう…ほっぺ、きれいだか…あん」
「それじゃつぎは綺麗にしたごほうびもらおーっと」
「え」
まどかが逃げようとする私に背後からのしかかる。
そして、背中から抱きつき、うなじにかじりついて私の匂いを嗅ぎはじめた。
本当に、言葉通り齧り付きながら。
「うーんいい香りだよほむらちゃんくんかくんかすりすりすりはみはみあむあむ」
「ひああっ!」
気持ちい…じゃなくて恥ずかしい…。
そ、それに…。
この格好…。もしかして、傍から見たら犬が…その…ああいうコトしている時の格好に…。
あううううう…。
「ウェヒヒー。ほむらちゃんのうなじは私のものだよー」
「ま、まだ気にしていたの?!」
「気にしていたよ。しっかり上書きしておかないとね」
「うわ…って…あひっ!」
ま、まどかの舌が…! わ、私の、うなじを更に…。あ、あのっ! か、髪も咥えてない? 引っ張ってない? き、汚いから! だめっ!
「ウェヒヒヒー。ほむらちゃんの首筋にちっちゃいほくろみっけ。あ、星形だ」
「そっ…それは嘘よね?」
「嘘だけどほくろはあるよ。ここここ。れろれろれー」
「ほ、ほくろなめないれえぇ…」
「『らめぇ』、は肯定の意味と見なします。れろれろれろはみはみはみ」
「ちょ…だか…あん…。ほんとに…だめぇ…」
だ…だって…ほら。けはいが…まじょの…けはい…が…。
「……」
!
魔女!?
そう、間違い無い!
これは魔女の気配!
「まど」
もう戯れている暇は無い。
ちょっと惜しいけど。
まどかを守らなければ。
私は仮にも魔法少女。
人である、か弱きまどかを守らなければならない。
まどかを守…。
振り向いたら次の瞬間私は仰向けに押し倒されていた。
何なの?!
何?
まどかのこの、カミソリのような体裁きは?!
「あむあむ」
お願いだから振り向いたからって鎖骨を甘噛みするのをやめて。
その為に向き合ったんじゃ無いの。
も、もしかして今日のまどかがどこかおかしいのは魔女の口づけ?
いえ、最近なんか色々な意味でおかしい気はしていたけど…。
じ、じゃなくて! まどかがおかしいなんてそんな事無い!
で、でも…。
魔女の口づけって身体能力に影響なんてした?
とにかくお願い離れてまどか。
さっきも思ったけど、私達スカートよ?!
今、後ろから誰かに見られたら大変なことになるから!
「待っ…待ってまどか! 魔女が現れたの!」
「ウェヒー。ギャラリーが増えちゃ…え?」
まどかのきょとんとした顔。
あ、口づけ受けてないわ、これ。
同時に、周囲の空間が歪みだした。
間に合わない。
周囲は一瞬で結界へと姿を変えた。
悪趣味な、人を不安と恐怖に陥れるおぞましい結界。
ここもそう。
ほら、どピンクな、おかしな回転するベッドやバスタブ、スポットライトがそぞろ並…。
え?
「なに…ここ」
思わず呟く。
「ラブホ?」
よく設定忘れられてるけど中学生がさらりとそう言う事言っちゃ駄目っ!
「と、とにかく! この気配は使い魔じゃ無い! まどか! 離れないで!」
「うん!」
うん、抱きついてあちこちに手を入れてって意味じゃなかったのだけどそんなの些細な事に思えてきたからもういいわ。
私のグリーフシードはもう限界の筈。
今変身して戦ったら、多分、もう…。
でも、まどかを救えて最期を迎えられるというのなら、それこそ本望。
この気配は強い。
きっとみんなも気付いてくれる。
それなら、私がこの後に魔女になっても、きっと…。
みんなも魔法少女の最期は知っている。
その悲しさも。
それなら、きっと私の事をどうすればいいか、分かってくれる筈…。
「ほむらちゃん?」
まどかが私の顔を心配そうにのぞき込む。上着の裾から腕を突っ込んで指をブラの中に差し込みながら。
もうそこらへんは気にしない事にしよう。
大丈夫。
貴方は私が守る。
私はまどかに微笑み、そして指輪に力を込めた。
現れたソウルジェムを見ないようにして握りしめる。
どれだけ穢れているのかを見るのが怖いから。
今魔女にならない事だけを願い、気合いを込める。
ソウルジェムが光を放ち、私の体を包みこんだ。
まどか、この命、あなたの為に…。
「…変身」
ソウルジェムから力が溢れ、私の体を光で包む。
私の唯一の武器、いいえ、防具の盾がずしりと腕に重くのしかかる。
この盾に頼ることは…もう無い。
覚悟は出来ている。
これが、最後なのね。
武器があろうと無かろうと、魔女を滅ぼす策は一つだけ。
『わかっているとも!』
『帰ることはないのだな。さらば我々の寝所!』
誰っ?! て言うか今の声、どこから聞こえたの?!
とにかく、これが、私の最後の変身。
魔法少女として最後の戦い。
まどか。
「ほむらちゃんの…」
ただ事では無いのを私の表情から悟ってしまったのね。
でも、貴女は何も気にしなくていい。
どうかこれから先、あなたが幸せで…。
「ウェヒー! ほむらちゃんの貴重な変身シーンだぁっ! 体のライン丸見えでウルトラハッピー!」
聞こえなかった!
何も聞こえなかった!
とにかく、私は変身した。
この盾に武器は無い。
拳と、脚だけで速攻で決着をつけなくてはならない。
「まどか。私は戦う。でも、あなたを一番に守りたい。だから、今は離れないで」
「うん!」
まどかが腕を絡めてくる。
離れないでの意味も違うんだけどなんだかもう、この程度じゃ動じなくなってきたのが悲しい。
でも…。
まどか…。
私にこれだけ接してくれるのだから、少なくとも嫌われてはいないって…思って、いいの?
道中、ゆらゆらとミラーボールが時折光線を放つが、幸い私の盾で防げる程度。
リア充市ね、とか幻聴も聞こえる。
意味は分からないけど、精神攻撃も持っているの?
「ほむらちゃん」
「何?」
「魔女退治が終わったらね、言いたい事があるんだけど、いい?」
「…そうね、私も貴女に言いたい事があるわ」
「ウェヒヒ。二人一緒だ。嬉しいね」
「…ふふ。そうね」
貴女が何を私に言おうとしてくれているのかは分からない。
でも、何を言おうとしても、きっとそれを聞くことは出来ない。
私が貴女に言う言葉は、さよなら。
悪いけど、貴女より先に言わせて貰う事になると思うわ。
そう思っていた私の視線の先に、巨大な部屋が出現した。
「早く魔女を倒して、貴女を外へ出してあげたいわ」
「それは嬉しいけど、ほむらちゃんも、だよ」
真っ直ぐに私を見つめてまどかが言う。
「……」
私は何も返せず、誤魔化すようにして前へ進んだ。
その時、正面からフラッシュのような光が瞬いた。
奥にいるのは魔女。
周囲には、ミラーボールのような使い魔が跳ねている。
でも、それは魔女を照らしてあがめ奉る為では無い。
一枚一枚の無数の鏡が、私とまどかを歪めて映している。
他人を醜く映して自分が悦に入るためのものだろう。
いい趣味ね。
そして、魔女本体の姿も見えてきた。
箱の魔女と呼ばれていた、エリーに似た姿の魔女が。
でも、エリーとは全体的な雰囲気が違う。
エリーよりももっと深い執念。深い嫉妬。深い妬みを肌に刺すみたいに感じる。
空気が粘つくような、異様な気配を纏ってそれは立っていた。
「…ああ。あの魔女はまさか…」
「知っているの雷…ほむらちゃん!」
「あれは、ウイッチオブオーバーサーティの魔女よ」
ウイッチオブオーバーサーティの魔女。
それは人間界において魔法少女として生き、他人との関わりを極端に断ちながら修行を積み、禁欲に禁欲を重ねた者だけが達することが出来る、純潔の極みに辿り着いた者へと送られる称号。
その、異性に指一本触れたことの無い穢れ無き肉体と蜘蛛の巣の張った○○○によって高みに達した精神が、魔法少女として負の感情をソウルジェムに溜め、その穢れは通常ならばそのまま魔女になるところを無理矢理ポジティブに捉えることでエントロピーをなんやかやして覚醒した姿である。
結界がいわゆる少し時代遅れのちぐはぐなラブホみたいになるのは、ししし処女ちゃうわ! 嘘じゃないよ! 処女賭けてもいいよ! と言う見栄を張るためネットで得た知識を精一杯にひけらかした事による影響らしい。
民明書房刊『萌える世界の魔法使い全集』より
「なるほど! 分かんない!」
「簡単に言えば、生涯一度も異性と恋仲になれた事が無いまま三十歳を超えた魔法少女の成れの果てよ」
「ああ、未来のさやかちゃんね」
「本当にお願いだからそれさやかの前で言わないでね」
「うん。覚えてたら」
覚えてて。お願いだから。
「それより、考えてみるとこの話、まともな魔女がまだ一回も出て来てないね?」
「…それもまた良し、よ」
私はまどかをベッドの後ろに隠れさせ、前に進む。
まどか、ベッドの硬さをそんなに真剣に確かめなくていいの。使わないから。
ウイッチオブ(略)は、複数の腕に持っている一眼レフカメラを構えて私にファインダーを合わせている。
私、と言うよりは私のスカートに向けて。
正直気持ち悪い。
「こらーっ! そこのへそ下三寸は私のだよっ! ほむらちゃん守ってね! がんばって!」
守る、の意味がきっと違うんだろうな。
なんだか応援のベクトルも色々とあっち向いてよく分からなくなっているし。
でも、まどかを守る。
それだけは何も変わらない。
私は魔女に向かって走った。
人にあらざる者の脚力は並では無い。
私は五十メートル以上あった距離を数秒で駆け、襲い来るミラーボールを盾で弾きながら、地面を蹴って飛び上がる。
七メートル近い体躯の魔女の眼前まで跳び上がり、そして魔女のブラウン管みたいな顔面に踵を叩き込んだ。
その瞬間、私のスカートの真下からフラッシュがものすごい連射で光る。
何を撮られたのかと考えると、ものすごく不快になった。
「ピンぼけなしなら一万っ!」
だから何を言っているのまどかっ! 本当に口づけない?!
戸惑いをかかとに押し込み、反動で宙に飛んだ。
下では魔女が頭を押さえてうごめいている。
まったく、今時なら液晶にでもすればいいのに。
ほどよい大きさで当てやすいけど。
実物を見た事は無いけど、テレビが出始めの頃にあった木製のテレビみたいな顔。
丁寧にアンテナまで生えているその枠は、中央から折れている。
画面にもひびが入ったけど、あれは魔女の頭。本物のブラウン管な訳も無い。
次の瞬間には木枠もブラウン管も元通りになり、そして私に向けてミイラみたいな細い腕を振り回してきた。
その数六本。
ブラウン管がもう二つあったらアシュラマンね。
骨が入っていないみたいに鞭のようにしなう腕が、私を上下左右から襲う。
早い。
けど、単純な動き。
少しだけ早く来た一本の腕に足を載せて蹴り、遅れてきた腕を交わす。
そのまま一気に懐へ飛び込み、目障りだった三つの一眼レフカメラの一つを蹴り壊した。
金属音と共にフレームが破壊され、中から真っ黒に感光したフィルムが飛び出す。
フィルムカメラなんて随分玄人気取りね。
とりあえず、これで不快な写真が減るわ。
どう? 悔しいかしら?
「ギャ「ウェヒーっ!」」
「……」
魔女の悲鳴が、それを上回る絶望の叫び声に掻き消された気がする。
でも、私の耳には何にも聞こえなかったわ。
ええ。
何にも。
私は気の迷いを、まどかを疑った自分への怒りを足に込め、もう一つの一眼レフを蹴り壊した。
また、フィルムが宙を舞う。
「ギ「ウェヒーーーーーーーーっ!」」
まどかお願い黙って! 私のパンツなんていくらでも見せてあげるから!
「……」
次の瞬間、まどかがきちんと正座して、天使のような微笑みで私を見ていた。
ものすごい期待を込めた瞳で。
あなた、テレパシーは使えないはずよね?
ペコちゃんみたいな微笑みで親指を指の間に挟んで突き出さないで。
せめてサムズアップにして。
微妙に萎えるから。
気を取り直し、魔女へと振り返る。
ふと、律儀に待っていた魔女の無表情な筈のブラウン管から哀れみを感じた気がして無性に腹が立った。
でも、負の感情はソウルジェムの穢れの元凶。
なら、今はこの感情を単純な力へと変えよう。
一呼吸し、息を止める。
地面を蹴り、襲い来る腕をいなしながら魔女の眼前へと跳ぶ。
「しぃっ!」
歯を食いしばり、思い切り盾を顔面に叩きつけた。
堅さだけなら折り紙付きよ。
ブラウン管が弾けて割れ、一瞬遅れて破裂音が響いた。
「うっ?!」
しまった。
それはただの破裂ではなかった。
ガラスが割れただけならなんと言う事は無い。
でも、それは全ての破片がショットガンで撃ったような勢いで私に向かって飛んできた。
薄いブラウン管のそれでは無く、石みたいに大きく厚く、そして鋭いガラス片へと変化して。
盾と、そこから生まれる防御壁で守れるのはせいぜい顔や胴体。
四肢にガラスがくい込み、肉が裂け、血がはじけ飛んだ。
「あっ!」
小さな悲鳴と共に、羽虫みたいにあっさり墜ちる。
ああ、なんて非力…。
こんな攻撃で撃ち落とされるなんて。
受け身も取れず落下するなんて。
頭から落ちていったたのに、落ちた場所がベッドなのは不幸中の幸い。
ベッドでバウンドして、それから地面に落ちる。
直接落ちていたら骨がめちゃくちゃになっていたかも知れない。
でも、どのみち四肢はずきずきと痛む。
熱い血が、鼓動を打つ度に溢れる。
何とか身を起こすけど、そのまま痛みを堪えきれず、ぼろぼろと涙をこぼしてしまう。
「…いたい…。いたい…」
…もう、毛先ほどの堪え性も無くなっているのね。
以前なら、何事も無かったかのように立てていたのに。
痛みと、恐怖で、体が震えていた。
まどかを守らなくちゃいけないのに。
震える体を起こそうとしたとき、ミラーボールみたいな使い魔が光線を撃ってきた。
「あぁっ!」
背中にまともにそれを受け、私は再び転がる。
流れていた血で顔や髪が汚れる。
背中が痛い。
腕も足も痛い。
体中が痛い。
痛い。
痛い。
痛いよ。
怖いよ。
苦しいよ。
涙が止まらないよ。
私、みっともないよ。
まどかが見ているのに。
「まどかぁ…」
倒れたまま、情けない声でその名を呟く。
まどか。
ごめんなさい。
こんな情けない私でごめんなさい。
体を張ってもあなたを守れない、ぐずな私でごめんなさい。
「ほむらちゃんっ!」
まどかの声が聞こえた。
息を呑んで顔を上げる。
「だめっ! 諦めないで! ほむらちゃんっ!」
その瞳はまっすぐに私を見ていた。
弱い私への叱咤?
「まどか…」
そうよ。
私は、まどかを守らなくちゃ…。
でなくちゃ、怒られ…。
まどかの笑顔を守るために…この命…。
「ほむらちゃんがいなくなったら…! 私は、約束だから…生きるけど! でもっ! 一生泣き続けるよ!」
「!」
思いがけない言葉。
「私が笑っていられるのは、ほむらちゃんがいるからなのっ! ほむらちゃんがいない世界なんて、私知らないっ!」
貴女が、私なんかの為に…?
まどかの大きな瞳から涙がぼろぼろとこぼれている。
「ほむらちゃんが居なかったら、私、生きていく気力が無くなっちゃうよ! 私には、ほむらちゃんが必要なの! 依存って言われてもいい! 本当だもん!」
「まどか…」
私の存在を、そんなに…。
「ライオンにインパラ! 虎に子鹿! 狼に子羊! 狐にネズミ! 猫に小鳥! こまちにかれん! みんな、獲物がそこに居るから生きていけるんだよっ! 追う者、追われる者、どっちもお互いが居るからこそ、生きようと必死だからこそ、輝いているんだよ! どっちも欠けちゃだめなのっ! 獲物が、ほむらちゃんが居ないと私、この無限に沸き上がる劣…愛情を…ぐすっ…どこへっ…! ほむらちゃんをぺろぺろ出来ないなんて…ううっ…。まだ、つまみ食いしかしてないんだよっ…! う…っ。うわあああんっ!」
小鳥のよう声の、しかし必死の叫びが木霊し、水晶のような涙が宙に舞う。
美しい。
美しいん…だけど…。
「…あー…」
ええと…うん。
そうね。
言っている内容自体は…その、そうね。
うん。
そうね…。
どうしよう。
心がいろんな意味でものすごく揺らいでいる。
「ほむらちゃんは私と一緒に帰るんだよ! 私は、ほむらちゃんと一緒じゃなきゃ帰らない! 今は、痛いけど、辛いけど…お願い! 頑張って!」
「…まどか…」
あの後だと、どうにも色々言いたくなるけど、まどかの瞳は真剣以外のなにものでもない。
「私は、ほむらちゃんが生きていてくれるから生きるの! 一緒だから、私も生きようと思うの!」
私の言葉を挟ませない。一気にまどかがせき立てる。
「私の望みは、私が願う未来は、ほむらちゃんと一緒に居る世界なの! ほむらちゃんが守って『くれた』んじゃなくって、守って『くれる』世界なのっ!」
「……」
「私とだけじゃないよ! ほむらちゃんが、さやかちゃん、マミさん、あんこちゃんと一緒に笑っていられる世界なの!」
私を見つめる瞳から大粒の涙がいつまでもこぼれている。声はどんどん大きくなる。
「まどか…」
「そんな、ほむらちゃんが笑っていられる世界に…。そして、そこに…。そんなほむらちゃんの隣に私が居られたら…それは、とってもうれしいなって…!」
「まどか…!」
「私は、私は魔法少女にはならない。この約束を一生守るよ! だから、だからね、ほむらちゃん! ほむらちゃんも、約束して! 私の前から居なくならないって!」
「まどかぁっ!」
「ほむらちゃんが居ない世界なんて…私、考…られ…ない…。居なくなっちゃ、いやだよぉ…。居てくれるだけでもいいの…。だから…生きて…生きて、ほむらちゃん…」
まどかが顔をしかめ、いよいよ大声で泣き出した。
私の名前を、嗚咽を交えながら、何度も何度も呼びながら。
まどかのその姿…。
見たことが…ある。
いえ、この光景を、感じたことが…ある。
ああ、そうだ。
この光景。
あそこに立っていたのは…私。
ワルプルギスの夜を倒して、みんなの前で全てをさらけ出して泣いていた、あの時の…私。
あのまどかは、私だ…!
「私は…私の為に…生きるんじゃ…ない! ほむらちゃんの為に、私は…生きるの!」
「私はね、ほむらちゃんのもの! ほむらちゃんがいなくなったら、私もいなくなっちゃうんだよ!」
「ほむらちゃんは、私の半身だよっ!」
「まどかぁーっ!」
その時、胸の中で何かが光った。
そう思うくらい、胸の奥が熱くなった。
燃え上がるような感情の高ぶりを感じ、深呼吸して立ち上がる。
もう何も怖くない!
そう言いかけたけど、縁起が悪いのでそれはやめておく。
体のあちこちからは、今も血が流れている。
でも、こんな痛みなんて、今のまどかの胸の苦しさに比べたら!
「…ほむらちゃん!」
立ち上がった私を見て、まどかが顔をほころばせた。
「まどか。私は大丈夫よ!」
私は、私にできる限り最大の微笑みを返す。
「…うん!」
まどかも満面の笑みを返してくれた。
「ごめんなさい、三十路の魔女」
不格好な枯れ木みたいな魔女に向き直り、私は呟いた。
今の言葉がカチンときたのか、魔女の顔が割れているブラウン管以外に三つ、にょきりと増えた。
最初に壊れたブラウン管の暗い奥には、一つだけの人間の目玉が、ぎらんと輝いて睨み付ける。
ああ。そうなのね。
あれが、貴女の『目』なのね。
そして、ブラウン管のそれぞれに何かが映し出された。
あれは、過去の私。
弱い私。
卑怯な私。
情けない私。
いろんな私が映っている。
でも。
「ごめんなさい。効かないわ」
魔女が、まったく変わらない私を見てぎょっと身をひるませた。
「私には、帰る場所が、帰りたい場所があるの」
「もう一度手を繋ぎたい人がいるの」
「一生、その手を離したくない人がいるの」
「そして、その人と同じくらい大切にしたい人達もいるの!」
「みんなと生きる! その為に、そんな過去を引きずる訳にはいかない!」
その時、まどかに向かってミラーボールの使い魔が一体襲いかかる。
私は盾からデザートホームルを取り出し、迷い無く撃った。
ミラーボールは粉々になって砕け散る。
「あいたたっ!」
と、ガラス片がまどかに降り注いだ。
「ああああっ! ごっごめんなさいまどかあぁっ!」
「ウェヒヒ。全然平気だよほむらちゃんっ!」
まどかが指をぐっと突き出す。
ああ、ちゃんとサムズアップで良かった。
「だから、ほむらちゃん!」
「ええ!」
大丈夫よ、まどか。
私はもう迷わない。
最後の一発を撃ち、空になったデザートホームルはその誓い。
もう使う事は無いだろうそれを盾に仕舞い、もう一度魔女に向き直る。
この力は、貴女を守るために使う。
死ぬためでは無い。
生きるために。
生きていられる最後の最後まで、私は生きる。
「私は…生きる!」
「そうこなくっちゃ!」
突然、背後から声がした。
「さやか?!」
振り向くと、そこには剣を周囲に並べ立てたさやかが仁王立ちしていた。
赤い目に、満面の笑みを添えて私を見ている。
「面白くねぇぜ!」
頭上から声。
見上げると、槍を多節棍状に振り回して宙を跳ぶ杏子が居た。
杏子も私を見ている。
魔女が振るう腕を、槍ではじき飛ばしながら。
「わぁっ! あんこちゃんだ!」
「きょうこだ! Kyokoっ!」
それだとキョコだけど黙っていよう。
突然、周囲にたくさん浮かんでいたミラーボールの使い魔が片っ端から弾けた。
「暁美さん、これが終わったら、みんなでお茶しましょ」
いつの間にか、私の横にマスケット銃を両手持ちしたマミが立ち、そしてやっぱり私を見つめてくれていた。
「…マミ」
ふらついた私をマミが支える。
「無理しないで、暁美さん。私達は、みんな暁美さんの味方、お友達なのよ」
マミの微笑みが眩しい。
「…マミ…さん…」
無意識に昔の呼び方が出る。
マミは、えっ、と言う顔をして、そして、優しく微笑んでくれた。
さっきとは全く違う涙が溢れそうになった。
「さぁ、早くグリーフシー…」
マミが胸の間からグリーフシードを取り出そうとした。
よりによってなんでそこ?
瞬間、無性にいらっとしたけど我慢。
マミがそれを私に差しだそうとしたその時、魔女が動き出し、先程より素早い動作で私とマミの間に腕を振り下ろす。
そのまま私達は分断された。
「にゃろっ! 空気読めっ!」
さやかが更に剣を出せるだけ出し、魔女に向けてショットガンみたいに飛ばす。
だけど、魔女は腕の鞭で剣を全部弾き、そのままさやかに腕を振り下ろした。
やはりまだ精度が、威力が足りてない。
「わぁっ!」
剣を出せるだけ出してしまった為、無防備になっていたさやかが吹き飛ばされる。
「あーあ、しょうがねぇなぁ。りゃっ!」
杏子が槍を伸ばし、魔女の胴体の中心、スポーツカメラマンが持っていそうな望遠レンズを付けた一眼レフ目がけて突き出した。
レンズの割れる音。同時にみしり、と胴体に槍がめり込む音を立てて突き刺さる。
カメラは粉砕され、フィルムがまた舞い散った。
「ギャアアアアアッ」
「……!!」
まどかは涙目で唇を噛んで叫ぶのを我慢している。
偉いわ。まどか。
「へへっ!」
杏子は、予定通りの攻撃成功に余裕の表情で、にやりとする。
でも、次の瞬間眉根を寄せた。
「なっ?!」
槍が、抜けない。
魔女が怒号を上げて体をよじった。
「わあぁっ!」
槍に振り回される形になった杏子が、必死にそれを抜こうと踏ん張る。
その杏子目がけて腕が襲い、抜こうか手を離そうか、一瞬の迷いを見せた杏子を直撃する。
「ぐあっ!」
杏子も吹き飛んだ。
杏子まで!
「はあぁっ!」
マミが構える。
周囲には無数のマスケット銃。
「ダンサデルマジックブレッド!」
さっきの使い魔達ではマックスまでゲージが溜まってなかったらしい。
万能ミキサーみたいな技名と共に全ての銃が一斉に火を噴いた。
ちなみにアップデートで私も出ているので遊んでほむ。Android版では主役ほむぅ!
縦横無尽に腕を張り巡らしてガードするけど、マミの銃器の勢いが勝る。
魔女の腕は、六本とも粉々に砕け散った。
本当に、惚れ惚れする破壊力。
「今よっ!」
マミがさやかと杏子に振り向く。
でも、二人の様子がおかしい。
「美樹さん? 佐倉さん?」
二人が、頭を抱えて膝をついていた。
ダメージは大した事ない筈なのに。
「あっ!」
私は気付いた。
「マミ! この魔女は精神攻撃もっ!」
声と同時に、マミの手からマスケット銃が落ちた。
しまった!
「うああ…! いや…いや…! パパ…ママ…」
「父さん…どうして母さんを…モモを…」
「まどか怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い」
杏子まで精神攻撃に…! この魔女、想像以上に危険だわ。
「…みんな…」
腕を失いながらも、勝ち誇ったかのようにそびえ立つ魔女。
伊達に処女じゃない。
そう言って鼻息を荒くしているように見える。
私は、それを睨み付ける。
この魔女に対して、勝ち目は…分からない。
私にもう武器は無い。
体も満身創痍でボロボロ。
何より、元より強くないこの私。
でも、まどかを、みんなを守りたい。
その気持ちだけはあふれ出ている。
ふふ。
昔の私なら、こんな『気持ち』なんて何の役にも立たないって、鼻で笑う対象だったのに。
でも、今は違う。
魔法少女は、奇跡を起こす存在。
そして、奇蹟って、心の強さが原動力。
だから。
私のソウルジェムよ。
私の魂よ。
私の事が嫌いで無いなら…どうか、最後にもう一度奇蹟を…!
みんなはまだうずくまっている。
でも、みんなは強い。立ち上がろうともがいている。
少し、特殊な攻撃に戸惑っているだけ。
みんな、負けてなんかいない。すぐに立ち上がる。
大丈夫。
その間、私が守るわ。
魔女が手を再生し始めている。
いけない!
軋む両足を踏ん張り、思い切り跳躍する。
目指すは胸に生えている杏子の槍。
自分の武器が無いなら、あれを使って…!
でも、私の跳躍と同時に、再生してしまった腕が四方から襲いかかってきた。
動きもさっきよりも早い。
二つは避けたけど、三つ目、下から襲ってきた腕をアッパーみたいに喰らってしまった。
「ああっ!」
体が無防備に浮き上がる。
残りの三本が、杭のような指を突き立ててめちゃくちゃに私に迫る。
盾を構えるけど、まともに受け止められない。
背中、お腹、手足、頭、数え切れない打撃が襲う。
私の体はお手玉みたいに宙を舞い、一瞬停滞して落下を始めた。
痛みで意識が飛びかける。
そして、一番鋭い爪が、私を串刺しにしようと飛んで来た。
だめっ!
まだ、私は終われない!
私は、まだっ!
『ほむらちゃんっ!』
まどかぁっ!
「ギッ?」
魔女がブラウン管の頭を傾げた。
三つの頭で捉えていた私が消えたから。
「…ここよ。三十路の魔女」
天を仰いでいた魔女が、はっとして視線を水平にする。
「大丈夫。あなたも別の世界では、誰かと仲良くなれるわ。…恋仲かどうかは知らないけど」
「ギィィィッ?!」
どうしたの? たった今まで空中に居た私がここに居て、驚いたかしら?
魔女の視界の先。
そこに、杏子の槍の先端に乗りながら、大きな弓矢を構えた私が立っている。
握っているだけで力がみなぎる弓。
これは…。
この弓は…。
噛みしめるように呟きながら、目玉のある壊れたブラウン管目がけ、渾身の力を込めて輝く矢を放った。
光の矢は腕を貫き、魔女の目玉を貫き、そのまま頭を突き抜け、空を飛びながら光を放って霧散する。
「『まどか』の…弓…」
あの時の世界で見た、まどかの弓。
まともなまど…じゃなくて、アレじゃない…じゃなくて、とりあえず今のまどかと違うまどかの弓。
あの時の貴女を、助けられなかったのに。それなのに、『まどか』は私を助けてくれたのね。
…ありがとう。
意識が遠のき、同時に弓が消えた。
崩壊する魔女の体から槍が抜け、私はそれと一緒に落下する。
力を…使い切ったわ。
もう、このまま…。
そう思った時、私の体にリボンがそっと巻き付きいて、そして降ろしてくれた。
視界の下には、みんなが駆け寄って私を見上げていた。
ああ、みんな大丈夫なのね。
良かった…。
そのまま結界を抜け、外の世界に戻る。
公園近くの林の中。
私の体が地面に降ろされると、まずまどかが抱きついて来た。
「ほむらちゃんっ! ほむらちゃんっ!」
「か、鹿目さんっ! 今はソウルジェムをっ!」
「あ、は、はいっ!」
まどかが慌てて体を離し、そして私を横たえ、膝枕してくれた。
「暁美さん! ソウルジェムを!」
凄い剣幕だったので思わず素直に出したけど、私はそれを反射的に握りしめた。
だって、きっと、もう…。
「ああもう! なにしてんだよほむらっ! ほら、お前が倒した魔女のグリーフシードだ! 早くソウルジェムを浄化しろっ!」
杏子が私の握りしめたソウルジェムに、その手の上から『(´;ω;`)』模様のグリーフシードをくっつける。
でも。
「…あれ?」
さやかが目を丸くした。
ほら、やっぱり…。
「…どうして? どうして、暁美さんの穢れを吸わないの?」
「くそっ! やっぱこの変なグリーフシード、パチモンか?!」
「こ、こっちは?!」
マミが慌てて他のグリーフシードも出すけど、どれも同じ。
私の手に押しつけられたグリーフシードは、全然私のソウルジェムの穢れを吸おうとしない。
「ど、どうし…て?」
さやかが愕然として膝を折り、私の肩を抱いて声を震わせる。
「…おい! まさ…まさかっ?!」
ええ、そうよ、杏子。
ソウルジェムの穢れを吸うグリーフシード。
でも、グリーフシードが吸うのはあくまでもソウルジェムの穢れ。
では、そこにあるのが、もうソウルジェムではなかったら?
「みんな…お願いが…あるの」
「ほむら! 駄目だ! 言うなぁっ!」
杏子が私の言葉を遮る。何を言うのか、分かってくれているのね。
「駄目。今、言わないと…」
「ほ、ほむらちゃん…」
私の頭を抱きながら、涙を零し続けるまどか。
目の前にある貴女の顔が眩しくて、愛おしい。
顔にこぼれる涙が心地よい。
涙って、こんなに温かいのね。
でも、だからこそ、言わなくちゃいけない。
「もう、私のソウルジェムは…。だから、お願い…」
「ほ、ほむらぁ…。あたし、そんなのやだ、やだよぉ…」
「馬鹿な事言うなよ。ほむらぁ…」
「暁美さん…。やめてぇ…」
さやか、マミ、杏子も私の手を握ってくれている。
まるで、ソウルジェムを握る私の手を開かせないかのように。
「…あのね、私ね、今、本当に…本当に幸せなの。ワルプルギスの夜を倒したときと同じか、それ以上に」
「ほむらちゃん…ほむらちゃん…いやだよぉ…」
「…まどか、泣かないで。私ね…今、本当に後悔しない最期を迎えられるんだって…思うの」
まどかの瞳に私が映っている。
顔に落ちる涙が本当に温かくて、心地よい。
「ほんの少し前までの私はね…、みんなに、迷惑をかけたくない、そんな気持ちばかりで、人知れず魔女になってしまおう。そして、グリーフシードになってみんなに…。そんな風に考えていた」
「ばっ! ほむらっ! お前っ!」
杏子が眉をつり上げて睨む。
「ふふ。少し前まで、よ。杏子。今は、違うの。今はね、生きようって。そう思った。その上で、最期が来たら、魔法少女らしい最期を遂げたいって思ったの。頑張って頑張って、生きようって思って戦った。これは、その結果。だから…だから、許してくれる?」
「暁美さん…」
マミ、美人が台無しよ。
「マミ…。さやか。杏子。辛いお願いだと思うけど…。もし、間に合うなら、私のソウルジェムを…砕いて」
「ほ、ほむらぁ…あたし、そんなの…」
さやか、泣かないで。あなたは、笑顔が素敵なんだから。
「そして、もしも、もう、間に合わなかったら…私を倒して、そして、グリーフシードを…使って。貴女達が、生きるために…」
「ほむらちゃんっ!」
「まどか…。ごめんなさい。でも、これは魔法少女の定め…。それに、後ろ向きな気持ちでじゃないの。みんなのお陰で、心から、感謝の気持ちを込められた上での、願いなの」
「…定め。そんなぁ…ほむら…ちゃん…」
まどかの目からまた大粒の涙がこぼれた。
「さぁ…お願い」
私は握りしめていた手の力を抜き、ソウルジェムをそっと開いた。
「…えっ…」
四人の視線が一斉にそれに注がれ、そして固まる。
…ああ、やっぱり、手遅れなのね。
なら…魔女になった私を…。
「あ、暁美さん…」
「…何? 大丈夫、私なら…」
「いえ…言いにくいんだけど…」
「いいのよ。分かっている。もう、私のソウルジェムは…」
「綺麗…なんだけど」
「…そう、もう、まっく…」
「え?」
私は思わず目を開けて自分のソウルジェムを見た。
「…穢れて…無い?」
そう。
私のソウルジェムは、まるっきり綺麗な状態。
「だから、グリーフシードが穢れを吸わなかったの…かしら?」
「あ。ちゃんと吸うよこれ」
「お、ホントだ」
さやかと杏子が試しに自分のソウルジェムを近づけると、それはいつも通りに穢れを吸っていた。
「なっ!? …ど、どうして?」
思わず体を起こしてソウルジェムをまじまじと見つめる。
本当に穢れは無い。
だから、グリーフシードが反応しなかったんだ。
「…嘘でしょ?! だって私、グリーフシード持ってないのに!?」
「でも…綺麗だぜ」
「うん、あんたのソウルジェム…綺麗」
「…どっ…どうして?」
本当なら喜ぶところなのに、疑問の方が勝ってしまい、素直に喜べない。
幻覚とかじゃ無いわよね?
杏子を見るとそれを悟ったのか、いやいや、と首をぶんぶん横に振っている。
「…これも、奇蹟?」
さやかが杏子に問う。
「し、知らねえよ! 第一、そ、そこまで都合がいいのは…」
「ほむらちゃん」
その時、まどかが静かに私の名前を呼んだ。
「まどか…」
「これで…一緒に、帰れるね」
そう言って静かに私を抱きしめる。
「…そうね」
まどかの抱擁が心地いい。
そうね。
理由は後で分かればいいわ。
今は、喜ぼう。
みんなと一緒に帰れることを。
みんなと一緒に生きていることを。
私は、もう何度目か分からない涙を流して、みんなと抱き合った。
一人だけ、私のお腹に顔を突っ込んで、おしりを鷲掴みしているまどかの鼻息がものすごく荒いのが気になったけど。
数日後。
「ウェヒー!」
「だ、だめぇっ! まどか! 許してぇっ!」
「駄目だよ-。これは必要なコトなんだかられろれろれくちゅくちゅ」
「あひいぃぃっ!」
「ほむらちゃんのここ、こーんなになっちゃったぁ。つまみつまみれろれろー」
「あぐううぅぅっ…………あっ…」
「ウェヒヒヒ。今まで我慢してきた分を取り戻さないとね!」
「が、我慢…してた…の? あれで?」
「うん。本気の10%くらいかな」
「あれで?!」
「ウェヒヒヒ」
ああ、その無垢な笑みで頷く貴女が愛おしいけど…怖い。リアルで。
「と言う訳であみあみあみー」
「ひぎいいいいいっ! もっ…もう…駄目…まど…あ……あんっ!」
「ぷふぅー。ごちそうさま」
「まろかぁ…しゅきぃ…」
「ウェヒヒ。私もだよ。むちゅー」
「ぷあ…あん…。はぁん…。あ…ん…」
「むむむ! 今のほむらちゃんの表情でムック…じゃなくてまどかは劣情をもよおしましたぞ」
「え」
「と言う訳で、第四ラウンド! レディー、ゴーっ!」
「まっ! まどかあああっ!」
「だいじょうれるれるぶだいれるれるじょうれるれるぶだいれるれるれるれるれるれるじょうぶれるれるれるれるれるれる」
「まど…か……あ…ぁあ…ぁあぁ…ぁぁ…」
「れろれろれろれろれろれろれろれろむちゅむちゅむちゅだいじょうぶむちゅむちゅむちゅはみはみはみはみはみはみはみ」
「………………………………あん」
「ティヒヒ。これでソウルジェムは重曹で磨いたのよりぴっかぴかだね!」
「……」ビクビク
翌日。
「…で、結局何がどうなっているの?」
マミの部屋。
みんなが机を大きく囲んで座り、その中で私だけが、まどかにしだれかかりながら、肩で大きく息をしていた。
「大丈夫? ほむらちゃん。お疲れ様」ナデナデ
「…なん…とか…」ハーハーゼイゼイゼイ
あの日、私に何が起きたのかが自分なりに理解出来、その事をみんなに話すため、マミの部屋でお茶会をしようと言う事になったその日。
その道すがら、魔女の気配を感じた私はまず魔女退治をしてからここに来た。
時間停止を使うと、やっぱり前よりも疲れる。停止出来る時間は前より少ないし。
時間停止。
そう、私は時間停止をまた使えるようになっていた。
あの時、『まどか』が私を助けてくれた。
そう思ったあの瞬間、時が止まった。
三十路の魔女を倒した後、簡単にはできなかったので気のせいだったのかとも思ったけど、その夜のまどかがベッドに入った途端あまりにも禍々しいオーラを放って私ににじり寄って来たので、思わず本気で警戒したら、その時、時が止まった。
今はまだ、昔よりだいぶ少ない時間だし、当然巻き戻しは出来ない。
でも、私はこれでまた生きられる、と安堵した。
これで、みんなに必要以上に迷惑をかけずに済む、とも。
そして何より、みんなと一緒に居られるんだ、と。
もっとも、時を止めるとものすごく疲れる、と言うかソウルジェムが穢れやすくなったから、昔ほど実用的では無いけど。
それにあの後、時を止めたんだけど、結局それで疲れ果てて動けなくなった私はその後まどかに何も逆らえず、つま先から頭のてっぺんから…その……あそ…と、とにかく…全部…食べられてしまった訳で…。
でも、そのおかげで…その、時を止めて穢れていた私のソウルジェムが…その、まどかの…アレが、アレする度に…じわじわと回復したのを…確認できた。
回復方法は出来るだけやんわりとぼかしつつ、なんとか説明を終えた私を見て、みんなは口々に感嘆の声を上げていた。
さやかは、武器の新調に時間停止なんてずるい、とふくれている。
ほむらまで飛び道具なんてあたし不利じゃん、とか言って。
何を言っているの。この力は、争うためじゃない。守るためにあるのよ。
この弓は、ね。
マミも、その事実に仰天しながらも、いざと言うときはまた守ってね、と微笑む。
こういう事をさらりと言えるあたり、マミは心も強くなっているんだと実感できる。
勿論よ。そして、私こそ、貴女に、先輩に、時々は頼らせてもらいます。
杏子はマイペースでロッキーをぽりぽりと頬張っている。
あたし達の負担が減るならいいじゃん、とこの子らしい飄々とした態度で。
でも。それでも、困ったときはソウルジェム貸してやるよ。なんて言う辺りが杏子らしいわ。
マミの横でお菓子を食べていたキュウべぇも、珍しく余計な事を言わずに感心していた。
人間は不思議を超えて不可解だ、なんてね。
そして、それに対してまどかが言ってくれた。
「ウェヒヒ。これがキュウべぇが無駄だ、理解出来ないって思っている、愛の力なんだよ」
…そうね。これは…愛、なのよね。
きっと…。
しだれ掛かった私にまどかが視線を向ける度、お腹の奥がきゅん、となる。
これは…愛なのね。
「…まどかぁ…なんだか…眠いの」
「はい、ほむらちゃん、膝枕」
「ありがとう…」
みんなの前だというのに、私は臆面もなくまどかの膝枕でそのまままぶたを閉じた。
あ…気持ちいい。すぐにでも…眠れそう。
「ウェヒヒ。ほむらちゃんお疲れさま」
「ええと…、それで暁美さんの話だと、つまり…その、鹿目さんが暁美さんに…その、い、色々すると、グリーフシードが無くてもソウルジェムが浄化できちゃうようになった、でいいの?」
「はい。だからあの時、私がほむらちゃんを応援していたから、いつの間にかソウルジェムの穢れが無くなっていたらしいです」
「…改めてすげえなソウルジェム。つうかお前が。…いろんな意味で」
「それだけじゃ無いんだよ。なんだかね、よく分からないけど逆も出来るの」
「逆ぅ?」
「うん、さやかちゃん、ソウルジェム見せて」
「え?」
「見せて」
「あ、いや…その…」
「み、せ、て?」
「こ、こう…でしょうか?」
「……」ジロー
SG「」ジワジワ
「やめてえええっ! その視線やめてえええええっ」
「さやかああああっ! グ、グリーフシード使えええええっ!」
「鹿目さんストップううっ!」
「っと。こんな風になんだか、視線でソウルジェム濁らせられるんですよ。ほむらちゃん以外で。あ、穢れを取り除くのは逆に当然ほむらちゃん専用ですけど。ウェヒヒー」
「…あたしってあたしってあたしって…」
「さやかぁ…ひとりぼっちはさみしいよなぁ…」
「…鹿目さん…怖い…」
…なんだか、ものすごく怖い会話が繰り広げられた気がして思わず起き上がった。
「あれ? ほむらちゃんもうおねむはいいの?」
「え、ええ。なんだか…。ええ。もういいわ」
周囲を見ると、みんな怯えているし。
ええと、まどか、何したの?
「と言う訳でぇ、ほむらちゃん、さっきの魔女退治で消耗した分の回復の続き、しないとね?」
「え? ま、まどか? どこへ? 私、もう充分回復…」ズルズル
「ウェヒヒ。マミさん、あっちの部屋ちょっと借りますね」ズルズル
「…そっちはベッドルームなんだけど…」
「ウェヒヒ。穢れは、注いだ愛の大きさに比例して浄化されるんですよ。物理的な愛だと特に」ズルズル
「ま、まどか! 待って! あのっ! こんな明るいうちに! 人の家でっ!」ズルズルズルズル
「またまたぁ。あの日は隣にパパとママがいるところでヤったじゃない。思いだしちゃったよウェヒヒー。みんな、お邪魔しちゃうとソウルジェム犯しちゃうよ?」ズルズルズルズルズルズル
「ちょ、ちょっと待って! まど…」バタン
「…ありゃ、獲物を巣に運ぶ肉食獣だったな」ゾゾゾ
「あの頃の小さくて可愛いまどかは一体何処へ…」シクシク
「…あ、あのね、佐倉さん、美樹さん、ちょっと、お夕飯のお買い物、一緒に行かない? と、とてもこの後ここに居られる状態じゃ…」
「ももも勿論! 付き合っちゃいますよあたしゃ!」
「とと、当然だぜマミ! おおお、お菓子買ってくれよな!」
「ええええもちろんいいわよ! か、鹿目さん、あのね、私達ちょっと小一時間くらいおでか」ガチャ
「ウェヒーーーーー!」キャストオフアンドルパンダーイブ
「にゃああああああっ!」
「…行ってきます」バタン
その日、結局マミ達は帰ってこなかった。
携帯に探さないでください、と謎のメッセージを残して。
更に数日後。
こうして、私はまた魔法少女として戦い、生きて行けるようになった。
いろいろな意味で肉体的に大変なところはあるけど…。
でも、正直、嫌じゃ…ない、のが、少し…怖い。
「ほむらちゃん、いいお天気だねー」
「ええ」
まどかと一緒の帰り道。
その時、ソウルジェムに違和感を感じた。
「…待って。魔女の気配がするわ」
「あ、そうなんだ…。近いの?」
ふと、まどかの寂しそうな顔。
置いてけぼりの子猫を思わせるけど…その、どちらかと言うと本当はおあずけ状態の腹ぺこ猛禽類なのは私だけが知っている秘密。
「ええ。大丈夫。この程度の反応なら、すぐに終わるわ」
それを聞いたまどかの顔が明るくなる。
「じゃあ、待ってる。気をつけて!」
「ふふ。大丈夫。待たせないわよ」
「ウェヒヒ。私がいるから消耗は気にしないで、ガンガンいこうぜ! だよ!」
「い、一応グリーフシードもあるんだけど…」
「それはさやかちゃん達にゆずってあげようよ。ね? ライオンはうさぎを倒すにも全力を出すんだよ? だからおもいっきり暴れちゃって! 疲れた後のお風呂はきもちイイよ。動けなくなったら私がおんぶしてあげるからぁ。それに、その方が色々…ううん、なんでもないyo」ジュルリ
「…ま、まどかがそう言うなら」
出来るだけ体力を温存するようにしよう。
「ウェヒー。待ってるよー」
まどかにこにこと微笑みながら小走りで駆けてゆく。
私が気兼ねなく戦えるように。
「それはさやかちゃん達にゆずってあげようよ。ね? ライオンはうさぎを倒すにも全力を出すんだよ? だからおもいっきり暴れちゃって! 疲れた後のお風呂はきもちイイよ。動けなくなったら私がおんぶしてあげるからぁ。それに、その方が色々…ううん、なんでもないyo」ジュルリ
「…ま、まどかがそう言うなら」
出来るだけ体力を温存するようにしよう。
「ウェヒー。待ってるよー」
まどかにこにこと微笑みながら小走りで駆けてゆく。
私が気兼ねなく戦えるように。
色々あるけど、まどかの、あの微笑みは本物。
私に対してのあの笑みは、本物。
まどか、すぐ終わるから、待っていてね。
私も貴女にすぐ会いたいから。
魔女の反応が近い。
私は気を引き締めた。
まどかと、みんなと一緒に時々遊びながら、そして、時々魔女と戦う。
今も、時に命を落とす危険をはらむ事はある。
しかし、時に楽しみもある。
命を賭ける戦いと比べれば些細な楽しみだろうけど。
「…それにしても、やっぱり、若大将だと散歩じゃあないわね。はぁ…ちぃさん…」
でも、これが私達の日常。
「あ」
いつか、解放される時が来るのだろうか?
「そう言えば、ドルチェ、まだ食べてなかったわ」
それは分からない。
「今度、まどかと一緒に食べよう」
だからそれまでは、これを平和と呼ぼう。
「ふふ。楽しみね」
この日常を、平和と呼ぼう。
「さぁ、さっさと終わらせるわよ」
この世界を、守りたいから。
「変身…!」
まどかを、守りたいから。
「ウェヒー! ボディライン丸見えでウルトラハッピー!」
これが。
「居たのっ?!」
魔法少女の日常。
終わり
497 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/05/18 00:03:50.40 nWYXdlIWo 295/502これでおしまい。
まどかSSは始めてだったけど、このやおい話を最後まで見てくれた人ありがとう。
【蛇足】に続きます。

