1日目
京子ちゃんが死んだ。
それはあまりにも突然の出来事だった。
※休日という概念はアッカリーンしています
親という概念も若干アッカリーンしています
元スレ
あかり「ゆるゆり殺人事件」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1353579994/
あかり「ゆるゆり殺人事件」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1353646483/
~~~~~~~~~~~~~~~~
0日目
~娯楽部室~
あかり「京子ちゃんと結衣ちゃん遅いねー」
ちなつ「もう授業終わってから1時間くらい経ったよ」
あかり「みんなで探しに行ってみる?」
櫻子「それじゃあ、いってらっしゃいあかりちゃん!」
あかり「あかり一人で行くのぉ!?」
ちなつ「それより、櫻子ちゃん生徒会は行かなくていいの?」
櫻子「今日は自主的に休み!」
ちなつ「それってサボりって言うんじゃ……」
櫻子「ま、まあそうとも言うね」
あかり「おサボりは駄目だよ!」
櫻子「ちぇー、じゃあ生徒会行くかー」
ちなつ「じゃあ私たちも結衣先輩を探しに行きましょう!」
あかり「結衣ちゃんだけじゃなくて京子ちゃんもだよ……」
櫻子「行く前にお茶ちょうだいあかりちゃん!」
あかり「あかりよりちなつちゃんの方がお茶淹れるの上手だよぉ」
ちなつ「えー、私結衣先輩に早く会いたいんだけど」
櫻子「まあまあそう言わずにさー」
ちなつ「しょうがないなあ……」
あかり「やっぱりちなつちゃんは優s
???「きゃあああああああああああああああああ!!」
あかり「え、何!?」
櫻子「今の声……向日葵!」ダッ
ちなつ「ま、待ってよ櫻子ちゃん!」ダッ
あかり「二人とも待ってよぉ!」
櫻子(今の声は近くでしたから……たぶん部室裏!)
ちなつ「あ!向日葵ちゃんいたよ!」
向日葵「い……いや……ぁ……」ガクガク
櫻子「向日葵ー、そんなところで尻餅ついてどうしt……
櫻子「うわあああああああああああああああああ!!」
ちなつ「櫻子ちゃんまで何を叫んd……
ちなつ「いやあああああああああああああああああ!!」
あかり「ふ、二人とも早いよぉ……」
あかり「って、三人とも尻餅ついてどうしたの?」
目の前で三人が尻餅をついていた。
そして三人ともある一点も見つめていた。
そこは、あかりからは死角になっていて見えない。
あかりは恐る恐る近づく。
ちなつ「駄目!こっちに来ちゃ駄目!」
櫻子「け、警察呼ばないと!あと救急車も!」
あかり「え?警察?救急車?」
その時、あかりは見た。
向日葵の前に広がる赤い水溜りを。
嫌な予感がした。
あってはならない予感。
外れていて欲しい予感。
その予感が外れていることを確かめるためにも、あかりは前に進んだ。
ちなつ「あかりちゃん!見ちゃ駄目!」
ちなつの発言を気にせず前に進む。
あかり「あ……」
あかりはついに見てしまった。
さっき見えた赤い水溜り。
その上に横たわっている幼馴染、
歳納京子の姿を。
あかり「い、いやあああああああああああああああ!!」
~~~~~~~~~~~~~~~
再び1日目
~教室~
あかり(その後、駆けつけた警察に事情聴取されて帰宅した)
あかり(そして、今日の朝礼で京子ちゃんが死んだことを聞いた)
あかり(校内で殺人事件が起きたということで、今日はすぐに下校)
向日葵「」ガクガク
櫻子「ひ、向日葵ー!いいい一緒に帰ろうぜー!」
あかり(昨日から向日葵ちゃんは脅えていて一言も喋っていない)
あかり(櫻子ちゃんが元気付けようとしているけど、本人も空元気なことが簡単に分かる)
あかり(あかりも帰ろう……)
ちなつ「……」
あかり「ちなつちゃん、一緒に帰ろう?」
ちなつ「ごめん、私急いでるから先に帰るね」
あかり「う、うん。分かったよぉ」
あかり(ちなつちゃんは昨日からずっと無表情)
あかり(だけど、目だけすごく怖い)
あかり(何か強い決意をしたような目をしていた)
あかり(結衣ちゃんは今日、学校を休んだ)
あかり(京子ちゃんが死んだことを聞いて、塞ぎこんでいるらしい)
あかり「一人で帰ろうっと……」アッカリアッカリ
~廊下~
あかり「杉浦先輩に池田先輩、こんにちは」
綾乃「うぅ……こ、こんにちは、赤座さん」ゴシゴシ
千歳「赤座さんやんか~、わりと元気みたいで安心したでー」
あかり「そんなことないです……」
千歳「……そうやね、あんなことがあって元気なはずあらへんわ……」
千歳「ごめんな、赤座さん」
あかり「い、いえ。別に謝らなくていいですよ」
あかり「池田先輩こそ、元気そうで良かったです」
千歳「……私は綾乃ちゃん慰めなあかんからなー、慰める方が元気ださなきゃ駄目やん?」
あかり「そうですね……」
あかり(誰も元気なはずないもん……先輩も同じだよね……)
千鶴「姉さん、待たせてごめん」
千歳「別に気にせえへんでええよー。ほな赤座さん、また今度なー」
あかり「あ、はい。さようなら」
~あかりの部屋~
あかり「……」
あかり(どうして京子ちゃんが死んじゃったんだろう……)
あかり(京子ちゃんのことだし、ドッキリとかだったらいいのに……)
あかり(けど、あかりは見ちゃった)
あかり(刃物が胸に深々と突き刺さって倒れてる京子ちゃんを……)
あかり「うぅ……」
あかり「うわああああああああああああん!!」
あかね(あかり……)
1日目終了
2日目
~あかりの家~
あかり「行ってきます……」
あかね「あら?今日はいつもより早いのね」
あかり「結衣ちゃん迎えに行かなきゃいけないから……」
あかね「そ、そうだったわね。ごめんなさい」
あかり「ううん、気にしなくていいよ」
あかね「あかり……」
あかね「悲しいことや辛いことがあったら、お姉ちゃんを頼ってくれていいからね?」
あかり「分かったよ、ありがとうお姉ちゃん」
あかり「それじゃ、行ってきます」
あかね「行ってらっしゃい、あかり」
~結衣の家~
あかり「結衣ちゃん、今日は学校行けそう?」
結衣「うん……流石に二日もサボるわけにはいかないよ」
あかり「別に無理そうなら休んでも誰も怒らないよ?」
結衣「ありがとう。でも私は行くよ」
結衣「まだ準備終わってないから少し待ってて」
あかり「分かったよぉ」
あかり(もう京子ちゃんだけじゃなくて結衣ちゃんの笑顔も見れないのかなあ……)
あかり(少し前までは、すごく幸せそうな笑顔だったのに……)
あかり(京子ちゃんと付き合い始めたときの笑顔を見たいなあ……)
あかり(あかりだけに教えるね、って付き合う報告してきたときのあの笑顔……)
~教室~
あかり「おはよう。櫻子ちゃん、向日葵ちゃん、ちなつちゃん」
櫻子「あ、あかりちゃんおはよう!」
向日葵「お、おはようございます」
ちなつ「……」
あかり(向日葵ちゃんが昨日より元気みたいで良かったよぉ)
あかり(ちなつちゃんは相変わらず無表情……)
あかり「ちなつちゃん?」
ちなつ「え、あかりちゃん?ごめん、考え事してた」
あかり「考えるのもいいけど、考えすぎは良くないよ?」
ちなつ「分かってるよ。ありがとう、あかりちゃん」
授業に集中できるわけもなく、いつの間にか授業は終わっていた。
ちなつ「ごめんあかりちゃん、今日も先に帰るから!」
あかり「あ、うん。分かったよぉ」
櫻子「向日葵、私用事があるから先に生徒会行ってて」
向日葵「わ、分かりましたわ」
あかり(あかりも結衣ちゃんのところに行かないと……)
あかり(結衣ちゃんの教室前に櫻子ちゃんがいる……どうしたんだろ?)
櫻子「池田先輩、私今日からしばらく生徒会休みます!」
千歳「綾乃ちゃんも仕事できる状態じゃなさそうやし、別にええけど……」
千歳「一応理由聞かせてくれへん?」
櫻子「私、京子先輩を殺した犯人を探します」
千歳「え?」
櫻子「そうしないと京子先輩も浮かばれないだろうし、向日葵も元気出ないんで!」
千歳「櫻子ちゃんは決めたら変えへんやろうし、別にええけど……」
千歳「危険なことはしたらあかんで?」
櫻子「はい、分かってます!」
あかり(櫻子ちゃんがそんなことするなんて……)
あかり(あかりも協力するって明日言わなきゃ)
あかり(それより結衣ちゃんは……いた)
あかり「結衣ちゃん、今日ちなつちゃん用事で帰っちゃったよー」
結衣「ああ、あかりか。それじゃ、帰ろうか」
あかり「あと……聞きづらいんだけど……」
あかり「これから娯楽部はどうする……?」
結衣「……もう娯楽部はないよ」
あかり「で、でも京子ちゃんが作った部活だし、続けてあげないと……」
結衣「……ッ!娯楽部はもう終わったんだよ!」
あかり「そ、そんなことないよ!」
あかり「京子ちゃんがいなくなっても、娯楽部は終わらないよ!」
あかり「京子ちゃんは娯楽部が無くなることなんで望まないよ!」
結衣「あかりに京子の何が分かる!!」
結衣「私以上に京子のことを分かる人なんていないんだよ!!」
結衣「私は京子と付き合ってたんだからな!!」
エー イマノキイター? ヤッパリツキアッテタンダー ガヤガヤ
結衣「……ッ!私帰るから!」
あかり「あ、待ってよ結衣ちゃん!」
あかり「うぅ……」トボトボ
あかり(京子ちゃんが死んでから、みんな変わっちゃった……)
あかり(あかり、どうしたらいいんだろう……)
りせ「……」クイクイ
あかり「会長さん?私に何か用ですか?」
りせ「……」スッ
あかり「これを私にくれるんですか?」
りせ「……」コクコク
あかりは手渡された物を見た。
あかり「……ッ!」
それにはこう書かれていた
『七森中学校生徒殺害事件調査記録』と。
あかり「どこでこんなものを……!」
あかりが顔を上げたときには、りせの姿は無かった。
あかり(い、一応中を見てみよう……)
中には書いてあったとおり、京子の死んだ状況が書いてあった。
あかりが見たことが全て書かれていた。
さらに、あかりが見たこと以上のことまで書かれていた。
『七森中学校生徒殺害事件調査記録』
20XX年XX月XX日 午後5時頃 七森中学校茶道部室裏にて歳納京子の死体が発見された。
第一発見者は古谷向日葵。茶道部室に行った際、発見した模様。
発見者の叫び声を聞いて、茶道部室にいた
赤座あかり、吉川ちなつ、大室櫻子が駆けつけ、警察に通報。
被害者は口をガムテープで塞がれ、刃物で胸を何回も刺されていたことから、
犯人は被害者に何らかの恨みがあったと考えられる。
死亡推定時刻は4時頃。丁度その日最後の授業が終わった頃である。
同級生の池田千歳の証言によると、被害者は授業が終わってすぐに教室を出た模様。
体内から薬品が検出されたため、被害者は犯人に呼び出されて眠らされ、殺されたと考えられる。
不審な人物の目撃情報はなかった。
あかり(死亡推定時刻とか、体内から薬品とか……)
あかり(どう考えても個人で調べられることじゃないよぉ)
あかり(会長さん……いったい何者なんだろう……)
あかり(とりあえずこのことも含めて、明日櫻子ちゃんと話をしよう)
あかり(あかりも京子ちゃんのために、犯人探しに協力しないとね!)
……
…
櫻子(犯人を探すとは言ったものの……)
櫻子(手がかりなんて私が見たことくらいしかない……)
櫻子(手がかりがあったとしても、私で分かることなんて誰でも分かる……)
櫻子(やっぱり、できることなんてないのかな……)
櫻子「……いや!」
櫻子(私はバカだけど、バカでもできることはあるはず!)
櫻子(私にできることをしていけばいいんだ!)
櫻子(向日葵が言ってた推理小説の基本……)
櫻子(犯人、殺害方法、動機……)
櫻子(犯人は分からない、方法なんてバカだから分からない)
櫻子(だったら動機!……動機から犯人を探すんだ!)
櫻子(恐らく、最近の京子先輩に関係することが動機……)
櫻子(考えろ……考えるんだ……)
櫻子(……)
2日目終了
3日目
~綾乃の家~
千歳「おはよう綾乃ちゃん、迎えにきたでー」
綾乃「ありがとう千歳……」
千歳「ええって。私と綾乃ちゃんの仲やしなー」
綾乃「千歳のおかげで元気が出てきたわ」
千歳「そやったら嬉しいわー」
…
~学校下駄箱~
綾乃「ん?何かしら、これ」
千歳「下駄箱に手紙……もしかしてラブレターなんか!?」ドバドバ
綾乃「そんなわけないないナイアガラよ!」ピラッ
『杉浦先輩へ
今日の放課後に生徒会室へ来てください。
大室櫻子』
綾乃「大室さんから?いったい何かしら?」
千歳「……あかんわ」
綾乃「へ?」
千歳「これは行ったらあかんで、綾乃ちゃん」
綾乃「どうしてよ?」
千歳「あまりこんなこと言いたないけど、大室さん凄く怪しいねん」
千歳「こないだ歳納さんが殺されたとき大室さん娯楽部にいたらしいしな」
千歳「いつもなら生徒会室に来るのに授業終わって1時間以上来なかったやん?」
綾乃「確かにそうね……」
綾乃「でも、古谷さんと喧嘩したから生徒会行かなかった、とかありそうじゃない?」
千歳「まあその線が妥当やろな……」
千歳「けどな、歳納さんは校内の誰かに殺されたんや。警戒して困ることはあらへんで」
綾乃「ど、どうして校内の誰かに殺されたって分かるのよ!」
千歳「歳納さんが殺された日、放課後すぐにいなくなったやろ?」
綾乃「そうだったわね」
千歳「このことから誰かに呼ばれとったと考えられるんや」
千歳「そんで呼ばれた場所はおそらく娯楽部室裏やな」
千歳「それと、校外の人が校内に呼び出すと思う?」
綾乃「思わないわ……」
千歳「つまり校内の人間が歳納さんを呼び出したんや」
千歳「そして、その人間が犯人なんやろな」
…
あかり(うぅ~、いろいろ考えてたらお寝坊しちゃったよ~)アッカリアッカリ
あかり(早くしないと遅刻しちゃう~!)ダッ
…
あかり「せ、セーフ……」ゼェゼェ
向日葵「おはようございます、赤座さん」
櫻子「おはよーあかりちゃん!」
あかり「お、おはよぉ。向日葵ちゃん、櫻子ちゃん……」ゼェゼェ
キーンコーンカーンコーン
先生「はーい、出席とりまーす」
先生「今日の欠席は吉川さんだけですね」
あかり(ちなつちゃん休みなのかぁ……)
~昼休み~
あかり(ちなつちゃんいないし、昼休みは向日葵ちゃんと櫻子ちゃんと過ごそうかな)
あかり「あれ?櫻子ちゃんいない?」
向日葵「櫻子なら先ほどトイレに行くと言ってましたわ」
あかり「それじゃあ櫻子ちゃん来るまで何しよっか?」
…
キーンコーンカーンコーン
あかり(結局櫻子ちゃん帰ってこなかったよぉ……)
あかり(どうしたんだろう……)
~放課後~
向日葵「結局櫻子は戻ってきませんでしたわ」
あかり「たぶん保健室にでもいるんじゃないかなぁ」
向日葵「では、保健室に行ってきますわ」
あかり「あかりも櫻子ちゃんに話したいことがあるから行くよぉ」
…
向日葵「え?櫻子が来ていない?」
保険医「今日は昼休み前に2年の池田千鶴さんが来ただけねー」
保険医「千鶴さんはずっと居たけどさっき帰ったし、もう誰もいないわよー」
向日葵「そ、そうですか。すみません、失礼しました」
あかり「櫻子ちゃんどこ行っちゃったんだろう……」
向日葵「おそらく娯楽部室……の裏だと思いますわ」
あかり「あぁ、櫻子ちゃん犯人探すって言ってたもんねぇ」
向日葵「赤座さんも聞いたんですの?あまり危険なことはしないように言ったのですが……」
あかり「それじゃあ娯楽部室に行ってみy
??「きゃあああああああああああああああああああ!!」
??「いやあああああああああああああああああああ!!」
あかり「え、何!?」
向日葵「たぶん上の階ですわ!行きましょう!」ダッ
階段を上るとそこには池田先輩の姿があった。
あかり「池田先輩!何があったんですか!?」
千歳「せ、生徒会室に……」
向日葵「赤座さん……早いですわ……」ゼェゼェ
千歳「ま、待ってや古谷さん!」
向日葵「池田先輩?何でですの?」
千歳「ええから、行ったらあかん……」
千歳の言葉から、向日葵にある予感がよぎる。
向日葵「……まさか!」ダッ
千歳「行ったらあかんて!」
生徒会室前には杉浦先輩の姿があった。
あかり「杉浦先輩!どうしたんですか!」ダッ
綾乃「だ、大丈夫よ!だから、こっちには来ないで!」
綾乃「それより、先生を呼んできて!」
あかり「わ、分かりました。先生呼んでk
向日葵「櫻子おおおおおおおおおおおおおおおお!!」ダッ
向日葵があかりの横を走っていった。
綾乃「古谷さん!こっちに来ては駄目!」
綾乃の言葉は、向日葵には届かなかった。
向日葵が生徒会室にたどりついてしまった。
向日葵「い、いやああああああああああああああ!!」
向日葵「櫻子おおおおおおおおおおおおおおおお!!」
あかりは向日葵の悲鳴で理解する。
生徒会室ではきっと……
櫻子が死んでいるということを。
向日葵「どうしてええええええええええええええ!!」
向日葵「うわああああああああああああああああ!!」
↑
3日目終了
4日目
~教室~
あかり(……)
あかり(どうしてこんなことになっちゃったんだろう……)
京子ちゃんの時と同じく、今日も朝礼が開かれた。
内容は櫻子ちゃんが殺されたことについて。
それと、今後しばらく校内を警官が巡回するということについて。
そのことを話していたらしいが……よく覚えてない。
幼馴染に同級生、その二人が殺されたことで頭がいっぱいだった。
今日はちなつちゃんが学校に来ていた。
前のような無表情じゃなくなってた。
けど、櫻子ちゃんが殺されたことを聞いてまた無表情に戻ってしまった。
向日葵ちゃんは……もはや生気が抜けてた。
体はそこにあっても、心はどこかに行っている。
今日もすぐに帰宅らしい。
私はさっさと帰る準備をした。
クラスメイト「赤座さんと吉川さん、会長が呼んでるよ」
あかり「え、会長さん?」
確かにドアの前には会長さんの姿があった。
ちなつ「……」ガタッ
あかり「あ、ありがとうねー」
クラスメイト「どういたしまして」
ちなつ「……」スタスタ
あかり「あ、ちなつちゃん待ってよぉ」
りせ「……」
ちなつ「……」
あかり(二人とも黙ってる……)
あかり「あ、あの!何の用でしょうか!」
りせ「……」クイクイ
あかり(会長さんが手招きしてる……ついて来いってことかな?)
ちなつ「……いったい何の用なんですか。早く帰りたいんですけど」
あかり「ま、まあついてってみようよ」
ちなつ「……ふん」
人通りの少ない廊下までたどり着いた。
警官が巡回するとか言ってたけど、周りには見当たらない。
りせ「……」キョロキョロ
あかり「え、えーっと。何でこんなところまで来たんですか?」
ちなつ「……もしかして、また『アレ』ですか」
りせ「……」コク
あかり「あ、『アレ』って?」
りせ「……」スッ
二つの物が渡された。
りせに手渡されたものにはこう書かれていた。
『七森中学校生徒殺害事件調査記録の追記』
そして『七森中学校生徒殺害事件調査記録2』と。
ちなつ「……何が目的なんですか、私たちにこんなもの渡して」
りせ「……」ジッ
あかり「もしかして……」
あかり「もしかして、私たちに犯人を探して欲しいんですか?」
りせ「……」
りせ「……」コクッ
ちなつ「はっ……馬鹿馬鹿しい」
ちなつ「私みたいなただの中学生に犯人なんて分かるわけないでしょ!」
りせ「……」
ちなつ「……帰ります、さようなら」
あかり(会長と二人きりになっちゃったよぉ……)
りせ「……」ジッ
あかり「あ、あの!」
りせ「……?」
あかり「私には、犯人を探すことなんてできないと思います……」
りせ「……」
りせがあかりの耳元に顔を近づける。
りせ「……できるよ」
あかり「!?」
そう言うと、りせは去っていった。
あかり(できる……?あかりに……?)
あかり(どうしてあかりなのかな……)
あかり(とりあえず、一旦帰ってから見てみよう)
…
~あかりの家~
あかり「ただいま、お姉ちゃん……」
あかね「おかえり」
あかね「あかり、辛かったらちゃんとお姉ちゃんに言いなさいね?」
あかり「ありがとう、お姉ちゃん……」
~あかりの部屋~
『七森中学校生徒殺害事件調査記録の追記』
殺害された歳納京子の自宅から呼び出しに使われたと思われる手紙が発見された。
そこには『歳納なんたらへ、明日の放課後すぐに娯楽部裏に来い。
誰にもこのことは気づかれないように。明日は私にも話しかけるな。
上のことが守れないなら殺すから覚悟しておけ。池田千鶴より』と書かれていた。
池田千鶴については明日に事情を聞く予定。
あかり「千鶴先輩が京子ちゃんを呼び出したの……?」
あかり「もしかして千鶴先輩が……?」
あかり「……もう一つも見てみよう」
『七森中学校生徒殺害事件調査記録2』
20XX年XX月XX日 午後4時頃、七森中学校生徒会室にて大室櫻子の死体が発見された。
第一発見者は杉浦綾乃と池田千歳。
杉浦綾乃が被害者に生徒会室に呼び出されていて、生徒会室に行った際、発見した模様。
発見者の叫び声を聞いて、赤座あかり、古谷向日葵など、その他大勢が駆けつけた。
被害者は刃物で胸を刺されていた。
歳納京子と同じく、ガムテープで口を塞がれていて、体内から薬品が検出されたため同一犯だと考えられる。
死亡推定時刻は午後1時30分頃。学校は昼休みの終わり頃である。
同級生の古谷向日葵の証言によると、昼休み開始と同時にトイレへ行くと行って教室を出て行った。
しかし、教室からトイレと生徒会室は逆の方向にあるため、
被害者はなんらかの理由があって生徒会室に行ったと考えられる。
被害者の携帯電話は無くなっていた。不審な人物の目撃情報はなかった。
あかり(櫻子ちゃん……)
あかり(犯人を探すって言ったそばから殺されちゃった……)
あかり(このことは何か関係あるのかなぁ……)
あかり(犯人を探す、って言ったから犯人に殺されちゃったとか……)
あかり(だったら犯人は探さないほうがいいよね……)
(りせ「……できるよ」)
あかり(……どうして、あかりにできるんだろう……)
あかり(あかりだけじゃない……ちなつちゃんもだ……)
あかり(どうして、私たち……)
~池田家~
千歳「うぅ……ひっぐ……」ボロボロ
千歳「どうして二人が殺されなあかんのや……」
千鶴「姉さん、元気出して」
千歳「千鶴……すまんなぁ……」
千鶴「姉さんは悪くないよ」
ピンポーン
千鶴「誰か来たみたい。ちょっと出てくるよ」ガタッ
千歳「ありがとなぁ……」
バタン
4日目終了
5日目
~教室~
あかり(もう学校も登校している人が少なくなってきた)
あかり(それもそう。二人もの生徒が殺されてしまったのだから)
あかり(今日から学校はしばらく休校するらしい)
あかり(なぜなら……)
あかり(被害者が二人ですまなかったから……)
あかり(今日も朝礼があった)
あかり(そこで昨夜、千鶴先輩が殺害されたと聞いた)
あかり(なんだか、もう人が死んでも驚かなくなって来ちゃったなぁ)
あかり(あかりもさっさと帰ろう……)
あかり「と、思ったけど……」
あかり「やっぱり来たんですね、会長さん」
りせ「……」スッ
あかり「今日はいつもよりこの調査記録できるの早いんですね」
りせ「……」コクッ
あかり「……それじゃ、さようなら」
りせ「……」
~あかりの部屋~
今回の『七森中学校生徒殺害事件調査記録3』はいつもとは違った。
いつもは手書きではないけど、今回は手書きだった。
しかも、会長さんの字ではないだろう雑な字。
会長さんはいったいどこでこんなものを手に入れているんだろう。
『七森中学校生徒殺害事件調査記録3』
20XX年XX月XX日 午後11時頃、被害者宅の玄関にて池田千鶴の死体が発見された。
第一発見者は双子である池田千歳。
来客が来たため出て行った被害者が帰って来ないので、確認しに出た際、発見した模様。
被害者は刃物で背中を刺されていた。
今までの殺害と違い、体内から薬品は検出されなかった。
死亡推定時刻は午後10時45分頃。
不審な人物の目撃情報はなかったが、夜なので目撃されずに行くことも可能であった。
先日の歳納京子の殺人で疑いがかかっていたが、同級生の証言から、アリバイがあったことが判明した。
あかり(千鶴先輩まで殺されるなんて……)
あかり(……それにしても犯人探しかあ)
あかり(櫻子ちゃんも犯人探ししようとしてたけど死んじゃった……)
あかり(櫻子ちゃんに話すことあったんだけど……)
あかり(って、あかりは何を話そうと思ってたんだっけ?)
あかり(……)
あかり(あかり、櫻子ちゃんに協力しようと思ってたんだ)
あかり(誰のために……?)
あかり(……)
あかり(京子ちゃんのためだ……)
あかり(なのに、何で犯人探しをしたくないんだろう……)
あかり(……)
あかり(探そうとした櫻子ちゃんが死んじゃったからだね……)
あかり「誰だって、死ぬのは怖いもん……」
あかり「しょうがない……」
あかり「しょうがないよ……」
ガチャ
あかね「確かに、そうね」
あかり「お姉ちゃん……」
あかね「誰だって死ぬのは嫌だし、怖いわ」
あかね「だけど、それで大好きな友達のためになることを諦めてしまうの?」
あかね「私の知ってるあかりは何があろうと友達を第一に考える子だったわ」
あかね「たとえ自分の身に何があろうと友達を思いやる……」
あかね「そんな子だった」
あかね「でも……今のあかりは違うみたいね」
あかり「だって……あかりは死にたくないよぉ……」
あかね「大丈夫、あかりは死なないわ」
あかね「お姉ちゃんがついてるから」
あかり「お姉ちゃん……」
あかね「それに、あかりには協力してくれる友達がいるでしょう?」
あかね「もちろんお姉ちゃんも協力するわ」
あかね「だから……もう一度だけ頑張ってみましょう?」
あかり「……」
あかり「……うん!」
あかね「やっぱりあかりは笑顔が一番似合うわ」
あかね「これからずっと笑顔でいるためにも頑張りましょうね」
あかり「ありがとう、お姉ちゃん」
あかね「……とは言ったものの、あかりは疲れてるでしょうし今日は休みなさい」
あかね「明日から一緒に調べましょう?」
あかり「うん、そうするよぉ」
あかね「ところでさっきから気になってたのだけれど……」
あかね「その手に持っているものは何かしら?」
あかり「これ?」ヒョイ
あかね「七森中学校生徒殺害事件調査記録3!?……どこでこんなものを?」
あかり「よく分からないけど生徒会長のりせ先輩があかりにくれたんだぁ」
あかり「あ、そういえばちなつちゃんも貰ってた」
あかね「どうしてこんなものを持ってるのかしら……気になるわね」
あかね「ところでこれには3って書いてあるけど、それ以前もあるのかしら?」
あかり「うん、あるよ」
あかね「貸してもらえないかしら?お姉ちゃんも見てみたいの」
あかり「うん、分かったよ」スッ
あかね「ありがとう、あかり」
あかね「それじゃあ今日はゆっくり休んで、明日から頑張りましょうね」
あかり「うん!」
5日目終了
6日目
~あかりの家~
あかり「おはよう、お姉ちゃん」
あかね「おはよう、あかり……」
あかり「お姉ちゃん眠そうだね、どうしたの?」
あかね「昨日貸してもらった調査記録を読んでたらね……」
あかり「何か手がかり見つかったりした?」
あかね「いいえ……とりあえずこの調査記録をくれた会長さんに話を聞いてみるのが良さそうね」
あかり「それじゃ、今日聞きに行ってみるよぉ」
あかね「どこか行くならお姉ちゃんも一緒に行くわよ?」
あかり「本当?それじゃあ会長さんに話を聞く前に結衣ちゃんの家に行きたいんだけどいいかな?」
あかね「結衣ちゃん?」
あかり「うん。京子ちゃんが殺された日のことを詳しく聞きたいし……」
あかり「あかりに協力してくれるよう頼みたいんだぁ」
あかね「そう……まあ結衣ちゃんなら大丈夫でしょうね」
あかり「?」
あかね「昨日この調査記録を見て思ったんだけど……」
あかね「櫻子ちゃんは校内の人物に殺害されたと見て良さそうなのよ」
あかり「ど、どうして?」
あかね「櫻子ちゃんは昼休みに教室からすぐいなくなったのよね?」
あかり「……そうだったと思う」
あかね「そのとき、櫻子ちゃんは何か言ってた?」
あかり「あかりは何も言われてないよぉ」
あかね「櫻子ちゃんは友達に何も言わずに、トイレに行くと嘘をついてまで生徒会室に向かった」
あかね「そう考えられるわ」
あかね「あかりは知らない人に呼び出されたら、相談もせず友達に嘘をついてまで急いで向かう?」
あかり「たぶん、不安で相談しちゃうと思う……」
あかね「つまり、櫻子ちゃんは知っている人に呼び出された可能性が高いのよ」
あかり「た、確かにそうだね」
あかね「このことは京子ちゃんにも言えるわ。実際、千鶴ちゃんに呼び出されたみたいだもの」
あかね「だから、京子ちゃんと櫻子ちゃんに親しい人に相談するのは良くないと思ったの」
あかね「けど、結衣ちゃんが京子ちゃんを殺すはずがないし、きっと大丈夫よね」
あかり「うん、結衣ちゃんは少し前に京子ちゃんと付き合い始めたから、好きだったはずだもん」
あかね「あら、そうだったの……」
あかね「……そのことはあかり以外に知ってる人はいるの?」
あかり「ううん、あかりだけのはず……」
あかね「怪しいわね……」
あかり「ん?」
あかね「少し前に付き合い始めた人が一番に殺された……」
あかね「これは付き合い始めたことが犯人の動機だったりするんじゃないかしら?」
あかり「!?」
あかね「犯人が何かしらの形でそのことを知ってしまった……」
あかね「そして京子ちゃんを殺した」
あかね「つまり、犯人は結衣ちゃんに好意を持つ人かしら……?」
あかり「……!もしかして……」
あかね「心当たりがあるの?」
あかり「ちなつちゃんかもしれない……」
あかね「ちなつちゃん?確かともこさんの妹よね?」
あかり「うん、ちなつちゃんは結衣ちゃんのことが好きで娯楽部に入ったようなものだし……」
あかね「確かに怪しいわね」
あかね「けど、簡単に友達を犯人扱いしちゃ駄目よ?」
あかり「うん、分かってるよ」
あかね「ちなつちゃんが犯人かはともかく、結衣ちゃんは犯人じゃないと考えて良さそうね」
あかり「そうだね。結衣ちゃんに好意を抱いてる人が犯人なら結衣ちゃんじゃないもん」
あかね「それじゃあ、結衣ちゃんの家に行きましょうか?」
あかり「うん!」
…
あかり「あれ?ちなつちゃん?」
あかね「……」
ちなつちゃんが正面から走ってきた。
ちなつ「あ、あああ、あかかか、あかりちゃん?」
ちなつ「わわわわ、私急いでるから、そ、その、ごご、ごめん!」
ちなつちゃんはそのまま走り去っていった。
あかり「何だったんだろう……?」
あかね「……今、あの子結衣ちゃんの家の方から走ってきたわ」
あかり「え?」
あかね「嫌な予感がするわ……急ぎましょう!」ダッ
あかり「ま、待ってよぉ」ダッ
~結衣の家前~
あかり「結衣ちゃーん、あかりだよー」ピンポーン
シーン
あかり「結衣ちゃんいないのー?」ピンポーン
あかね「鍵は開いてないかしら?」
あかり「えっとぉ……」ガチャ
あかり「あ、開いたよぉ!」
あかね「そう、それじゃああかりは待っててね。お姉ちゃんが見てくるから」
あかり「どうして?あかりも行くよぉ」
あかね「……いいから、待ってなさい」
あかり「わ、分かったよぉ」
あかねは結衣の家に入る。
静かで、電気がついていないので不気味だった。
この中に生きている人間がいるのか、と思ってしまうほどに。
その通りだった。
あかね「……ッ!」
"生きている"人間はいなかった。
そこには、船見結衣が倒れていた。
念のため、あかねは脈をとるが、もう駄目だった。
あかり「お姉ちゃーん、もう入っていいー?」
最愛の妹の声がする。
何としても、あかりがここに入らせてはいけない。
せっかくあかりの元気を取り戻したのだから。
あかね「入っては駄目よ!お姉ちゃんももう出るから!」
急いで外に出て、ドアを閉める。
あかり「お姉ちゃん、結衣ちゃんはいた?」
あかね「……」
答えることはできない。
急いで携帯で110を押す。
あかり「え……」
あかり「ま、まさか!」ガチャ
あかね「あ、あかり!入っちゃ駄目!」
部屋に入って出てきた人が110に電話をかけた。
あかりには結衣がどうなっているのか予想できてしまった。
あかり「結衣ちゃん!結衣ちゃん!結衣ちゃ……
あかり「い、いやああああああああああああああああああ!!」
6日目終了
7日目
昨日は大変だった。
駆けつけた警察に事情聴取されたせいで会長さんに話を聞きにいくこともできなかった。
何よりやっと元気になったあかりが、また落ち込んでしまった。
そして私自身――あかねも、小さい頃から知っていた結衣ちゃんが死んでしまって悲しんだ。
この調子じゃ、もう犯人探しは諦めた方がいいのかもしれない。
あかりも私も、辛いだけだろうから。
そろそろ起きないといけないわ……。
…
あかね「おはよう、あかり……」
あかり「あ、おはようお姉ちゃん!」
あかね「!?」
予想外に元気で驚いた。
いったいどうしたのだろう。
あかり「あかり、昨日考えたけど……」
あかり「犯人探し、続けるよ」
あかね「え……?」
あかり「お姉ちゃんが何と言おうと、あかりは続ける」
あかね「そ、そんな無茶しなくても、辛いならやめていいのよ?」
あかり「それでも!」
あかり「それでも、私は京子ちゃん、結衣ちゃん、それに櫻子ちゃん、千鶴先輩のためにも……」
あかり「やめたりしないよ」
あかね「あかり……」
あかり「えへへ、お姉ちゃんに言われたから、こう思えるようになったんだよぉ」
あかり「ありがとう、お姉ちゃん!」
あかね「あかり……!」
あかね「ごめんなさい……一昨日、あんなことを言ったのに私が諦めてしまいそうだったわ」
あかり「ううん、あかりもそうだったから、お姉ちゃんが気に病む必要はないよ」
あかね「ありがとう……あかり……!」
あかり「それでね……」
あかり「さっき、会長さんに呼び出されたの。学校前に待ち合わせって」
あかね「会長さんって、あの調査記録くれた人よね?」
あかり「うん。たぶん結衣ちゃんの調査記録をくれるんだと思う」
あかり「ということはちなつちゃんも来ると思うんだぁ」
あかね「そう、ならお姉ちゃんも行くわ」
あかり「ありがとう、お姉ちゃん」
~学校前~
あかり「会長、おはようございます」
あかね「初めまして。あかりの姉、赤座あかねです」
りせ「……」ペッコリン
あかり「あの、ちなつちゃんも呼んだんですか?」
りせ「……」コクリ
あかり「じゃああかりもちなつちゃんに聞きたいことがあるんで一緒に待ちますよ」
りせ「……」
あかり「それと……会長さんにも聞きたいことがあるんです」
りせ「……」
あかり「この調査記録、どこで手に入れたんですか」
りせ「……」
あかね「私の予想なのだけれど……」
あかね「会長さんは、警察の関係者でしょうか?」
りせ「……」
りせ「……」コクリ
あかり「!」
あかね「それも結構警察の中で偉い方の関係者ですよね?」
りせ「……」コクリ
あかね「やっぱりそうですよね」
あかね「あの調査記録には警察か犯人にしか知りえないことも書いてあった」
あかね「けれど犯人がわざわざ手がかりを渡すとは思えない」
あかね「となると、警察の関係者というのが妥当でしょうから」
あかね「それに、手に入れるまでが早いから、偉い人の関係者だと考えたの」
りせ「……」パチパチ
あかり「あかり、全然わからなかったよぉ」
あかね「会長さんに聞きたかったことはこれだけです。ありがとうございました」
あかり「ありがとうございました!」
りせ「……」
あかね「それじゃあちなつちゃんを待ちましょうか?」
~30分後~
あかり「ちなつちゃん遅いですね……」
りせ「……」コクリ
あかね「あかり、電話とかしてみたら?」
あかり「あ、そうだね。電話してみるよ」
あかり「……」プルルルル
ちなつ『……何、あかりちゃん』
あかり「あ、ちなつちゃん。今どこにいるの?」
ちなつ『……どこだっていいでしょ』
あかり「会長さん待ってるよ?」
ちなつ『……』
あかり「新しい調査記録ができたみたいだから来ようよ」
ちなつ『……ない』
あかり「え?」
ちなつ『いらない!』
あかり「え、ちなつちゃんどうsブツッ
あかり「電話切れちゃった……」
あかり「どうしたのかなぁ……」
あかね「……いいわ、あかり。帰りましょう」
あかり「あ、そうだね。それじゃ、会長さんさようなら」
りせ「……」バイバイ
~あかりの家~
『七森中学校生徒殺害事件調査記録4』
20XX年XX月XX日 午前10時頃、船見結衣の死体が被害者宅で発見された。
第一発見者は赤座あかりと、その姉の赤座あかね。
被害者に用があって訪れた際に発見した模様。
被害者はロープのような物で首を絞められて殺害された。
そのロープのような物は発見されていない。
死亡推定時刻は9時30分。
丁度その前後に近所の防犯カメラに同じ学校で同じ部活の吉川ちなつが映っていた。
被害者の携帯から午前9時頃に吉川ちなつにメールが送られている。
内容は被害者宅に来てくれ、というものだった。
あかり「……」
あかね「……言いづらいけれど、やっぱりちなつちゃんが怪しいわね……」
あかり「そうだね……」
あかね「そ、そうだあかり。他に話を聞きたい人はいないの?」
あかり「京子ちゃんのことで聞きたい人はいるんだけど……」
あかり「犯人じゃないってことが分からないから……」
あかね「それじゃ、京子ちゃんの事件じゃなくて他の事件を見てみたらどうかしら?」
あかり「別の事件……櫻子ちゃんの事件を見てみようかなぁ」
あかり「この事件もよく分からないんだよね……」
あかり「でも、この事件も京子ちゃんと同じく計画的な殺人だよね?」
あかね「そうね。櫻子ちゃんは呼び出されて生徒会に行ったんだもの」
あかり「この事件も誰にでもできそうだから犯人分からないよ……」
あかね「そうね……」
あかね「じゃあ、犯人じゃない人を探してみたらいいんじゃないかしら?」
あかり「犯人じゃない人?」
あかね「そう。死亡推定時刻前後にずっと一緒にいた人は犯人じゃないはずよ」
あかり「そういえば授業が終わってから昼休みが終わるまでは向日葵ちゃんと一緒にいた!」
あかね「それじゃあ、その向日葵ちゃんに話を聞いてみるのがいいかもしれないわね」
~向日葵の家~
あかり「すみません、あかりです」ピンポーン
楓「どちら様なの?」
あかり「向日葵ちゃんのクラスメイトです」
あかね「そしてその姉の赤座あかねです」
楓「今、お姉ちゃんはあんまり元気ないの」
楓「だから今日のところは帰ってほしいの」
あかね「……じゃあ一つ聞いていいかしら?」
楓「別に構わないの」
あかね「最近向日葵ちゃんは何か言ってた?」
楓「……お姉ちゃんは最近全然話さないの」
あかね「そう……聞いてごめんなさい」
楓「あ……でも櫻子お姉ちゃんが妙なことを言ってたの」
あかり「櫻子ちゃんが?」
楓「お姉ちゃんが元気なかった日の夜に突然うちにやってきたの」
楓「櫻子お姉ちゃんは『絶対杉浦先輩が犯人だ!明日問い詰めてきてやる!』」
楓「ってことだけ言って帰ったの」
あかり「杉浦先輩!?」
あかね「ありがとう、もう十分だわ」
あかね「あなたも辛いでしょうに、ごめんなさいね」
楓「私は大丈夫なの」
あかね「それじゃあ帰りましょう、あかり」
あかり「うん、お邪魔しました。向日葵ちゃんによろしく言っておいてください」
楓「分かったなの」
~あかりの家~
あかり「櫻子ちゃんは殺される前の日に犯人を探すって言ってたんだけど……」
あかね「櫻子ちゃんがたどり着いた結論が杉浦さんなのね」
あかり「どうして杉浦先輩なんだろう?」
あかね「ねえあかり、杉浦さんってどんな人だか分かる?」
あかり「えっと、真面目で意外と乙女でプリンと京子ちゃんが好きな人だよぉ」
あかね「ここで京子ちゃんが出てくるのね……」
あかり「でも、京子ちゃんが好きなら京子ちゃんを殺したりしないよね?」
あかね「それでも櫻子ちゃんは杉浦さんが犯人だと思った……なぜかしら?」
あかね「あかり、京子ちゃんと結衣ちゃんが付き合ってるのを知ってたのはあかりだけよね?」
あかり「そうだよぉ」
あかり「あ、でも櫻子ちゃんが死ぬ前の日に結衣ちゃんが教室で大声で言ってたよ!」
あかね「櫻子ちゃんはそれを知っていたのかしら?」
あかり「櫻子ちゃんはその時結衣ちゃんの教室に来てたから、聞いたはず……」
あかね「ということは、そのことから杉浦先輩が犯人だと思ったのかしらね」
あかり「でも、京子ちゃんが殺されたんだから京子ちゃんが好きな人の仕業とは思えないよ……」
あかね「……あかり、櫻子ちゃんはちなつちゃんが結衣ちゃんのことを好きなこと知ってたの?」
あかり「うん。櫻子ちゃんに限らず誰でも知ってると思うよ」
あかね「……そう」
あかね「だったら杉浦さんよりちなつちゃんを疑うのが普通よね?」
あかね「なのに、杉浦先輩を疑った理由……」
あかね「……櫻子ちゃんはちなつちゃんが犯人ではないと知っていたのかもしれないわ」
あかり「……!」
あかり「そうだ!」
あかね「何か分かったの?あかり」
あかり「……ちなつちゃんに京子ちゃんは殺せないんだ」
あかね「どうして?」
あかり「あかりとちなつちゃんと櫻子ちゃんは授業が終わってからずっと一緒にいたから」
あかね「つまり……ちなつちゃんは犯人じゃない?」
あかり「そういうことなのかな……」
あかね「困ったわ……一番疑わしい人が白とはね」
あかり「他に、杉浦先輩が犯人だと思うに値する根拠があったのかな……」
あかね「でも、呼び出した人が呼び出された場所で死んでたとすると……」
あかね「呼び出された人が犯人……となるのかしら」
あかり「でも、調査記録には杉浦先輩と池田先輩が放課後に呼び出されて
生徒会室に向かったっていう風に書かれてるよぉ」
あかね「それは嘘かもしれないわ。証拠がないもの」
あかね「それに、証拠があっても偽造の可能性があるわ」
あかり「うー……」
あかね「うーん……」
あかり「櫻子ちゃんが杉浦先輩を犯人だと思った理由が分からないよぉ……」
あかね「私にも分からないわね……」
あかね「ずっと悩んでても仕方ないし、他の事件も見てみましょう?」
あかり「そうしようかな……」
あかり「でも、あと二つは両方とも手がかりが少ないんだよね……」
あかね「おまけに誰にでもできそうな時間帯と方法だしね……困ったわ」
あかり「千鶴先輩が殺された事件……夜中だから誰でもできちゃうよね……」
あかね「それに、千鶴ちゃんは京子ちゃんの件ではアリバイはあるけど、
京子ちゃんを呼び出してたから共犯の線はあるわね」
あかり「そうなると犯人は二人……?」
あかね「共犯ということは利害が一致しなくてはいけないわ」
あかね「千鶴ちゃんに京子ちゃんを殺したいような動機があるのかしら?」
あかり「そういえば千鶴先輩は京子ちゃんのこと嫌いだったよぉ」
あかね「あら、そうなの?」
あかね「でも嫌いってだけで殺害するとは考えられないわね……」
あかり「そうだね……」
あかね「手がかりらしい手がかりもほとんどないわ……ってあら?」
あかり「お姉ちゃん、何か分かったの?」
あかね「今までの事件には薬品が使われてたのに今回は使われてないのね?」
あかり「確かにそうだね。結衣ちゃんのときも使われてないみたい」
あかね「これは何か関係があるのかしら……」
あかり「分からないよぉ……」
あかね「この事件だけ見ると怪しいのは双子の千歳ちゃんね」
あかり「でも誰にもできそうだよぉ……」
あかね「それじゃあ結衣ちゃんの事件も見てみましょうか」
あかり「この事件も誰にでもできそうだよ」
あかね「ちなつちゃんが怪しいと思ってたけど……京子ちゃんの殺人が説明できないわ」
あかね「共犯がいるならちなつちゃんが怪しいけれど」
あかり「これも防犯カメラにさえ写らなきゃ誰にでもできるし……」
あかね「分からないわねー……」
あかり「これ以上手がかりはないし……」
あかね「やっぱり手がかりの多い京子ちゃんと櫻子ちゃんの事件を見るべきなのかしら」
あかり「うー……もう頭グチャグチャで分からないよぉ」
あかね「そうね……そろそろいい時間だし、明日にしましょうか」
あかり「そうするよぉ……」
…
~あかりの部屋~
あかり(う~ん、もやもやするよぉ……)
あかり(本当にこれ以上手がかりはないのかなあ……)
あかり(もう少し調査記録を見てみよう)パラッ
あかり(調査記録には死んだ日時・場所・人物、第一発見者、発見した後)
あかり(それに死体の状況、その他……大体こんなことが書かれてるけど)
あかり(どれを見たらいいんだろう……)
あかり(……)
あかり(京子ちゃんの死体、何度も胸を刺されてるみたいだけど)
あかり(杉浦先輩がこんなことするのかなぁ……)
あかり(……)
あかり(櫻子ちゃん、昼休み開始でいなくなって昼休み終わり頃に死んでる……)
あかり(この空白の時間は何かあったのかなぁ……)
あかり(他の二つは特に不自然な点はないけど……)
あかり(……)ペラペラ
あかり(何か手がかり……どの事件でもいいから……)
あかり(……)ペラペラ
あかり(……あれ?)
あかり(……)
あかり「あ……!」
7日目終了
8日目
あかね「確かに……これはおかしいわね」
あかね「よく見つけたわね、あかり」
あかり「そんな、たまたまだよぉ」
あかね「それじゃ、一緒に確認しに行きましょうか」
あかり「うん!」
あかり「まずは向日葵ちゃんのお家だね」
~向日葵の家~
あかり「おはようございます、あかりです」ピンポーン
向日葵「あら、赤座さん。昨日も来ていただいたのにすみません」
あかね「初めまして、あかりの姉の赤座あかねです」
向日葵「こちらこそ初めまして。古谷向日葵ですわ」
向日葵「それで、何の用ですの?」
あかり「あのね……」
あかり「京子ちゃんが死んだ日の話を聞きたいんだ」
向日葵「……あの日のことですか」
あかり「うん、お願い」
向日葵「……分かりましたわ」
向日葵「まず授業が終わってから生徒会に行こうと思ったのですが……」
向日葵「前の日に櫻子と喧嘩していたので、どうしようか考えていましたの」
向日葵「気づいたら櫻子も赤座さん達もいなくなっていたのですぐ生徒会に行きましたわ」
向日葵「その時生徒会には誰もいませんでしたが、すぐに杉浦先輩が来ましたわ」
向日葵「珍しく池田先輩と一緒ではなかったので、どうしたのか聞いてみたら」
向日葵「少し用があって遅れる、と言われました」
向日葵「しばらくしたら池田先輩は来ましたわ」
向日葵「そのとき、京子先輩はいなかった、と杉浦先輩に言ってましたわ」
向日葵「櫻子も少し待てば来るだろうと思ってたのですが……」
向日葵「いつまでも来なかったので私は探しに行くと言って生徒会室を出ました」
向日葵「たぶんいるなら娯楽部だろうと思い、娯楽部に向かったのですが……」
あかり「もうそこまででいいよ、向日葵ちゃん」
向日葵「そうですか……」
向日葵「それで、知りたいことは分かりましたか?」
あかり「うん。おかげで、私の予想している犯人に確信が持てたよ」
向日葵「犯人が分かったんですの!?」
あかり「うん……」
向日葵「誰ですの?」
向日葵「誰ですの!櫻子を殺したのは!」
あかね「向日葵ちゃん、落ち着いて」
向日葵「す、すみません。少々取り乱しましたわ」
あかり「今はまだ言えない」
向日葵「そうですの……」
あかり「今はまだ証拠を集めてる段階なんだけど、一緒に来てくれる?」
向日葵「な、何でですの?」
あかり「向日葵ちゃんにしかできないことがあるんだぁ」
向日葵「はあ……」
あかね「それじゃ、行きましょうか」
あかり「これで犯人はほぼ確定だね」
あかね「ええ、当たっているはずよ」
あかり「それじゃ、会長のお家に行ってから……
あかり「杉浦先輩のお家だね」
…
あかり「すみません、赤座あかりです」ピンポーン
ガチャ
綾乃「赤座さん?どうしたの……って!」
綾乃「あ、赤座さん?これはどういうこと?」
綾乃はあかりの後ろに待機する2台のパトカーと警官を指して言った
あかり「これは会長さんに頼んだんです」
あかり「これから、犯人のところにも行く予定だから」
綾乃「は、犯人?」
綾乃「もしかして歳納京子を殺した!?」
あかり「そうです」
綾乃「だ、誰なの?その犯人って」
あかり「今はまだ言えないです」
あかり「けど、少しの質問とあるものを見せて貰えれば答えます」
綾乃「あるもの……?」
あかり「櫻子ちゃんから貰った、おそらく手紙のようなものです」
綾乃「な、何でそのことを知ってるの?」
あかり「とりあえず持ってきてください」
綾乃「わ、分かったわ」
…
綾乃「これよ」スッ
あかり「ありがとうございます」
あかり「これは下駄箱か机に入ってましたか?」
綾乃「下駄箱に入ってたけれど……どうして赤座さんが知ってるの?」
あかり「質問は後でまとめて受けるんで、少し待ってください」
あかり「向日葵ちゃーん」クイクイ
向日葵「なんですの?」
あかり「これって、櫻子ちゃんの字かな?」スッ
向日葵「こ、この下手糞な字は紛れもなく櫻子のものですわ!」
あかり「そう。ありがとう、向日葵ちゃん」
あかり「ありがとうございました、杉浦先輩」
綾乃「別にいいけど……」
あかり「それじゃ、少し話を聞かせてください」
綾乃「何の話をすればいいの?」
あかり「京子ちゃんが死んだ日の放課後の話です」
綾乃「……いいわよ」
綾乃「放課後になってすぐに船見さんが歳納京子を探してたのよ」
綾乃「それで千歳が探すの手伝うって言ったから、私も手伝おうと思ったのだけど……」
綾乃「千歳に先に生徒会に行ってて、と言われたの」
綾乃「それで生徒会室に行ったら古谷さんがいて……」
あかり「あ、そこまででいいです。ありがとうございました」
綾乃「も、もう?」
あかり「はい、十分です」
綾乃「じゃあ、私の質問にも答えてくれる?」
あかり「わかりました」
綾乃「犯人は……誰なの?」
あかり「……知りたいなら」
あかり「一緒に行きましょう」
あかり「犯人のところまで」
ピンポーン
??「はいは~い、今出ますわ~」
ガチャ
??「どうしたんや、赤座さん?」
??「そんなに人引き連れて、何しに来たん?」
あかり「皆のために、罪を暴きに来ました」
あかり「あなたが犯人ですよね?」
あかり「池田先輩?」
千歳「何や何や~、いきなり人の家きてあなたが犯人やって~」
千歳「あんま笑えへんで~」
あかり「もうとぼけないでください……」
あかり「もう分かってしまったんだから……」
千歳「……聞かせてもらおか?うちが犯人やっていう理由」
あかり「正直、全然分からなかった」
あかり「でも、先輩はミスをしたの。とても大きなミス」
千歳「……何や?そのミスって」
あかり「それは……」
あかり「千鶴先輩の殺し方だよ」
千歳「何がおかしいんや?」
千歳「千鶴は来客の応対をしに家を出たら、殺されてしまった」
千歳「それだけのことやん?」
あかり「それならどうして……」
あかり「千鶴さんは背中を刺されていたのかな?」
あかり「先輩が言った殺し方が正しければ、正面を刺されているはず……」
あかり「それなのに、背中を刺されて死んでた……」
あかり「おかしいよね?」
千歳「出たら不審者がいたから、戻ろうとして背中を刺されたんちゃう?」
千歳「それか、何かの薬で眠らされたかも知れへん」
千歳「そんなら何もおかしくないで」
あかり「不審者がいたりしたら声を出すのが普通だよ」
あかり「さらに千鶴先輩は家の中から外に向かって倒れてたって警察さんに聞いたよ」
あかり「それに、この殺人では薬品は使われてない」
あかり「そんな理由は通用しないかな」
千歳「……」
あかり「……他に確たる証拠はないよ」
千歳「なんや、それだけでうちを犯人扱いするんか?」
千歳「赤座さんそれは酷いわ~」
あかり「証拠なんて一つあれば十分だよ」
あかり「それに、方法から動機まで先輩が犯人なら説明できる」
千歳「……そこまで言うなら、全て聞かせてもらおか」
あかり「言われなくてもそのつもりだよ」
あかり「まずは京子ちゃんの殺害」
あかり「京子ちゃんが教室から消えた後、先輩は探しに行ったそうだね」
あかり「その時に先輩は京子ちゃんを呼び出した娯楽部裏に行った」
あかり「そして眠らせてから殺し、何食わぬ顔で生徒会室に戻った」
あかり「娯楽部裏に呼んだのは、結衣ちゃんを見つからないためだろうね」
あかり「部活に行く前に消えたんだから、娯楽部にはいないだろうと思わせたんだよ」
あかり「次は櫻子ちゃんの殺害」
あかり「これも最初の殺人と同じく櫻子ちゃんを呼び出して眠らせて殺した」
あかり「生徒会室には昼休みに人が来るとは思えないけど、生徒会の人ならいても不思議ではない」
あかり「生徒会室に入る櫻子ちゃんを見ても他の人は何とも思わない」
あかり「だから生徒会室を選んだんだよね?」
あかり「それにこの殺人は犯人探しへの大きな抑止力になる」
あかり「さらに池田先輩は杉浦先輩が櫻子ちゃんに放課後呼び出されたことを知っていた」
あかり「そのことを利用して、生徒が集まりやすい放課後に見つかるようにしたんだと思う」
あかり「次の千鶴先輩の殺害は特に言うことはないです」
あかり「同じ家に住んでいるのだから隙をつくのなんて簡単なはずだよ」
あかり「そして殺した後に玄関まで移動させて、見つけたふりをした」
あかり「そして最後の結衣ちゃんの殺害」
あかり「これは誰にでもできる。殺した後に見つからなければいいだけ」
あかり「これで終わりです。反論はありますか」
千歳「あるであるで~もちろんあるで~」
千歳「最初の事件でうちが京子ちゃんを呼び出したらしいやん?」
千歳「同じクラスの人がわざわざ待ち合わせすると思うん?」
千歳「それが本当なら京子ちゃんも疑問に思うはずやで」
あかり「確かに、普通ならそうだね」
あかり「普通なら疑問に思うはず……」
あかり「でも、先輩なら思わせないようにできた」
千歳「私だけにできるん?何やその方法は?」
あかり「双子の千鶴先輩の存在を使ったんだよ」
あかり「双子なら成りすますことも簡単だよね?」
あかり「実際、千鶴先輩から京子ちゃん宛ての手紙が見つかったよ」
千歳「……」
あかり「これ以上反論はない?」
千歳「……」
あかり「もう認めてください、池田先輩」
千歳「……動機も説明できるって言ってたなぁ?」
千歳「……それも聞かせてもらえんか?」
あかり「動機はたぶん……」
あかり「京子ちゃんへの復讐だよね?」
千歳「歳納さんへの復讐?」
千歳「うちは歳納さんに復讐することなんてあらへんで」
あかり「確かに池田先輩にはないかも知れないけど……」
千歳「じゃあ、誰にあったんや?」
あかり「……杉浦先輩の気持ちに応えなかった京子ちゃんへの復讐」
あかり「そうですよね、池田先輩?」
綾乃「わ、私?」
あかり「たぶん、池田先輩はどこかで京子ちゃんと結衣ちゃんの交際を知ったんだろうね」
あかり「だから京子ちゃんを殺した」
あかり「そしてその犯人を探そうとした櫻子ちゃんを殺した」
あかり「櫻子ちゃんが杉浦先輩を疑ってるのを知って殺したってこともあるかもしれない」
あかり「次は予想だけど、千鶴先輩は犯人に気がついちゃったんだろうね」
あかり「だから口封じのために殺した」
あかり「そして最後に京子ちゃんを奪った結衣ちゃんを殺した……」
あかり「……これで当たってますか?」
千歳「……」
千歳「すごいな、赤座さんは」
千歳「よくここまで分かったなぁ」
千歳「ただ、"1ヵ所だけ間違えてる"けど……」
千歳「それ以外は正解やで、赤座さん」
あかり「認めるんだね」
千歳「どうせうちの携帯とか調べられたらたくさん証拠出てくるからなぁ」
千歳「家に大室さんから奪った携帯置きっぱなしやしな」
綾乃「ち、千歳……」
綾乃「本当にあなたなの……?」
千歳「……そうやで」
綾乃「ど、どうして……」
千歳「さっき赤座さんが言ったとおりや」
千歳「偶然歳納さんが船見さんと電話してるのを聞いてしまったんよ」
千歳「だから私は聞いたんや」
千歳「綾乃ちゃんの気持ちはどうする気なん?ってな」
千歳「そうしたらな、歳納さんこう答えたんやで」
千歳「『綾乃の気持ちは嬉しいけど、私は結衣の方が好きなんだ』」
千歳「『綾乃にはこのこと言わないでおいてくれる?』って言ったんやで」
千歳「おかしいやろ?」
千歳「自分に好意を寄せている子の存在に気づきながら、隠れて付き合ってるなんて……」
千歳「それを知ったとき、その子がどんだけ悲しむか……」
千歳「……これが動機やな」
千歳「他の殺人は犯人やとバレないためにやっただけや」
綾乃「そ、そんな……」
向日葵「……」
千歳「……もうええやろ?早く連れてかんかいな、警察さん」
りせ「……」ゴー
警察「分かりました」
綾乃「千歳……私たち親友としてやり直せないかしら……?」
千歳「……それは無理やな。綾乃ちゃんは優しすぎるで」
千歳「犯罪者なんかは憎まなきゃあかんわ」
綾乃「千歳……」
向日葵「池田先輩」
千歳「何や?」
向日葵「私、先輩のしたこと絶対に許しませんから」
向日葵「櫻子の墓にあなたの首持って行きますから、覚悟しときなさいな」
千歳「そうやな……それもええかもしれんな……」
あかり「池田先輩!」
あかり「私、いつもニコニコしていて、皆に優しい先輩が大好きでした!」
あかり「もし、またそんな素敵な先輩に戻れたら」
あかり「この町に戻ってきてください!」
あかり「また皆で過ごしましょう!」
千歳「……優しすぎるのはあかんって、さっきも言ったやろ?」
千歳「それに古谷さんに首持ってかれなあかんし、無理やわ」
千歳「……じゃあな」
千歳「私が言うのもおかしいかもしれんけど」
千歳「綾乃ちゃんは幸せになってなぁ」
綾乃「そんな心配、いらないないナイアガラよ……!」
こうして今回の事件は幕を閉じた。
4人もの人が死んじゃって、
池田先輩もいなくなっちゃったけど、
明日から、今まで通り楽しく過ごせたらいいな……
8日目終了
京子「ここしか出番貰えなかった京子だよん!」
京子「この事件はこれで全て解決!」
京子「事件が終わったし、このSSもおしまい!」
京子「みんな、ここまで読んでくれてありがt
???「終わると思いましたか?」
×日目
あかり「久しぶりだね。京子ちゃん、結衣ちゃん」
ちなつ「……」
あの事件からしばらく経った。
私とちなつちゃんは京子ちゃんと結衣ちゃんのお墓参りに来ていた。
あかり「あかりは元気でやってるよぉ」
あかり「二人も天国で元気にしてるのかなぁ」
ちなつ「……」
あかり「娯楽部はまだ続けてるよ」
あかり「せっかく京子ちゃんが作ってくれた部活だもん」
あかり「残さないともったいないもんね」
ちなつ「……ぇ……ぁ……」
あかり「そうだ、今日は花屋さんで綺麗な花をたくさん買ってきたんだよぉ」
あかり「そうだよね?ちなつちゃん」クルッ
あかりが振り向いた先には、
震えながら膝をついてあかりを見つめているちなつがいた。
あかり「ち、ちなつちゃん?どうしたの?」
あかり「せっかく買ってきた花まで落として……」
ちなつ「なんで……」
あかり「ん?」
ちなつ「な、なんで結衣先輩がいるんですか……」
ちなつちゃんは私を見ながら言った。
あかり「え?」
振り向いてみるがそこには誰もいない。
あかり「どうしたの?結衣ちゃんなんていないよ?」
ちなつ「ど、どうして結衣先輩があかりちゃんみたいな話し方してるんですか……」
再びちなつちゃんは私を見ながら言った。
あかり「え?あかりはあかりだよぉ」
ちなつ「どう見たって結衣先輩じゃないですか!」
あかり「ちなつちゃん落ち着いて?ここにいるのはあかりだよぉ」
ちなつ「いや……近づかないでよ……」
ちなつ「なんで……どうして……」
あかり「ちなつちゃん、少し落ち着こうよ」
あかり「ほら、深呼吸しよう!」
あかり「すーはー、すーはー」
ちなつ「だから近づかないでってば!」
あかり「ち、ちなつちゃん……」
ちなつ「結衣先輩はもう死んだのに……」
ちなつ「なんでなんでどうしておかしいですこんなのどうして結衣先輩がまだ生きてるんですか」
ちなつ「私を呪いにでも来たんですか?私が悪いんですか?」
あかり「ちなつちゃん!もう結衣ちゃんはいないんだよ!」
ちなつ「結衣先輩が言わなくても分かってますよ!」
.
ちなつ「私が殺してあげたんじゃないですか……!」
.
あかり「え……?」
ちなつ「何意外そうな顔してるんですか」
ちなつ「頼んだのは結衣先輩じゃないですか」
ちなつ「私を殺してくれって」
ちなつ「京子先輩のいない世界なんて嫌だって」
ちなつ「だから殺してあげたのに」
ちなつ「私が悪いんですか」
あかり「ち、ちなつちゃん?何言ってるの?」
ちなつ「あ、もしかして」
ちなつ「殺し足りなかったんですか?」
そういうとちなつちゃんは私を突き飛ばした
頭を墓石にぶつけた
痛い
痛いよぉ
ちなつちゃんは無言で近づいてくる
嫌
やめて
来ないで
何か硬いもので頭を殴られた
頭が熱い
たぶん血が出ちゃってる
また殴られる
痛い
痛い痛いいたいいたいイタイいたい痛いイタイ痛いイタイいたい
たすケテ助けてタスケテたすけて助けてタスけテタすケテたすけて助けて
また殴られる殴られる殴られる殴られる殴られる
ちなつちゃん、やめてよぉ……
声が出ない
でも出さないと
あかり「……ゃ……」
あかり「ち……ゃ……」
あかり「ちなつちゃ……」
ちなつちゃんが持っている何かを大きく振りかぶった
グチャ
終わり
104 : 忍法帖【Lv=23,xxxPT... - 2012/11/23 16:49:07.80 mRMHwTfD0 133/137ありがとうございました
この後に孤立した向日葵と綾乃の対立やら
病んだあかねとか考えてたけど胸糞悪いし蛇足なのでやめました
突っ込まれた点は今後参考にさせてもらいます
ひまさく、あかちな好きです
疑問点あったらどうぞ
105 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2012/11/23 16:50:13.45 amMj2crK0 134/137ここまでやったんやら胸糞悪くてもいいから続けて欲しいなぁ
108 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2012/11/23 16:54:16.23 FL2zEzcg0 135/137池田家のピンポーンは千歳がトリックを使ったの?
111 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2012/11/23 17:07:45.07 EgzCSkFn0 136/137りせがあかり達に資料を渡していたのは、
りせになにか思惑があったからなの?
113 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2012/11/23 17:10:44.38 mRMHwTfD0 137/137さるった
>>108
そう
>>111
りせじゃ犯人が分からないから京子と親しい二人に渡した
結衣にも渡そうとしたけどキレられたからあかちなに
胸糞好きがいるようなんで気が向いたら続き書くよ
千歳は何故推理の間違いを指摘しなかった?
りせの行為は無謀すぎない?
返り血は?
私、気になります。