…………
タンザー
リージョン間を徘徊する巨大生物
呑み込まれたシップの脱出は困難
レッド「まさか、タンザーに呑まれるとは……」
さやか「うわ、気持ち悪!」
さやか「どこもかしこもベタベタだよ……」
マミ「これは夢よ、夢」
さやか「マミさん、夢じゃないです。私たち呑まれてます」
マミ「止めて! 私を現実に戻さないで!」
元スレ
魔法少女まどかフロンティア
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「またシップか。今回は連続だな」
「おら、荷物をここに並べろ」
レッド「何だ、お前たちは」
「ゴチャゴチャ言ってねえで言われた通りにしろ!」
さやか「何よこいつら……」
マミ「うふふ、臓物の中から骸骨がでてきたわ~」
さやか「マミさん、これモンスターです。正気に戻ってください!」
「こいつらなめやがって……」
「やっちまえ!」
「お前ら、まだ懲りてなかったのか?」
さやか「!」
さやか「杏子!?」
杏子「あ? なんだ……って」
杏子「さやか!?」
杏子「……と、マミはどうしたんだよ?」
マミ「あら、佐倉さん? こんなところで奇遇ね~」
杏子「どうしたんだよ、コイツ」
レッド「マミはタンザーの中身にショックを受けたんだ……」
杏子「ああ……、ってアンタは?」
レッド「俺はレッド。マミとさやかには、色々助けてもらってる」
さやか「レッドさんは正義の……」
レッド「!?」
さやか「っじゃない! あの、なんかみんなを守る系の仕事を……」
「おいおい、あたしらを無視するんじゃないよ」
さやか「またなんか出てきた」
マミ「……どちら様ですか?」
杏子「お、立ち直ったか」
マミ「悪人の気配がするわ……」
さやか「さすがマミさん……」
「こいつらが手荒なまねをして済まなかったね。どうも気の短い連中でね、許しとくれよ」
杏子「ああ!? 何お前いまさらいい子ぶってんだよ」
さやか「え、何?」
杏子「こいつ、強盗団の頭なんだよ」
杏子「なんだっけ、ノーマッド?」
マミ「強盗!?」
レッド「強盗だと……」
ノーマッド「そうよ。あたしはノーマッドさ。確かに外じゃ悪さもしたさ」
ノーマッド「まあ、言い訳するつもりもないさ。けど……」
杏子「んじゃあ、とりあえずついてこいよ」
杏子「ここにいたら、タンザーに吐き出されてお陀仏だぜ」
さやか「そ、それを先に言いなさいよ!」
マミ「どこか、場所があるの?」
杏子「ああ、まあな。あたしも連れがいるんだ」
さやか「へえ、杏子が」
杏子「いいだろ、別に」
ノーマッド「……」
「お頭、どうします。連中行っちまいましたよ」
ノーマッド「チッ、仕方ないね」
ノーマッド「帰るよ!」
タンザー 居住地
マミ「場所って、ここ?」
杏子「ああ、一応安全だし、食いもんもあるぜ」
マミ「ふふふ、やっぱり臓物なのね……」
さやか「マ、マミさん、ほらこの辺りあんまりヌメってないですよ!」
マミ「そうね~なんだか動いてるわ~」
クーン「ねえねえ、その頭病気なの?」
「びょ、病気ではない! これは修行のために……」
メイレン「私をほっといて、その挙げ句に弁髪? 信じられない!」
さやか「えーと、あれは?」
杏子「ああ、あたしの連れだ」
さやか「……弁髪も?」
杏子「あれはタンザーで会った。この場所もアイツが使わせてくれてるんだ」
マミ「いい人なのね……」
杏子「フェイオンってんだよ。ガチガチの善人だな」
さやか「で、杏子は今まで何してたの?」
杏子「そこのクーンとメイレン、あいつらと指輪を探してる」
マミ「指輪?」
杏子「全部集めねーとあいつの故郷が滅びるんだとさ」
マミ「滅び……」
さやか「それでほっとけなかったんだねえ」
杏子「ニヤニヤすんな!」
クーン「そうだ、指輪だよ!」
クーン「フェイオン、指輪のことなんか知らない? すごい力の魔法の指輪!」
フェイオン「指輪か……。私は聞いたことがないな」
メイレン「指輪の持ち主が乗ったシップがタンザーに呑まれたっていう話があるわ」
メイレン「心当たりはない?」
フェイオン「……ノーマッドなら何か知ってるかもしれないが」
杏子「お前らは何をしてたんだ?」
マミ「……戦っていたわ」
マミ「正義のために!」
杏子「なんだよコイツ」
さやか「私も、正義のために……」
杏子「さやかまで?」
さやか「……いや、まあ、事情があってね」
さやか「私は魔法少女を探してたところに、マミさんと会ったんだ」
杏子「ふーん」
杏子「そうだ、ほむらには会ったんだ」
さやか「おお、ほむらに! どんなだった?」
杏子「まあ、相変わらずだな。なんか魔法が戻ってた。あとはまあ、なんか人形みたいのと一緒だったな」
さやか「人形って何よ。機械じゃなくて?」
杏子「人形みたいな服と顔した女二人だよ。ほむらも合わせて三人が人形だな」
さやか「綺麗どころがそろったのかぁ……」
マミ「鹿目さんは一緒じゃなかったの?」
杏子「あいつだけだったよ。ほむらも心配してたな」
さやか「ああ、目に浮かぶなあ……」
マミ「鹿目さん、大丈夫かしら……」
杏子「ま、お前らが無事でよかったよ。まどかもほむらが見つけるだろ、意地でも」
さやか「……そうだね」
マミ「無事に決まってるわ。当たり前でしょ?」
杏子「だな」
マミ「それで暁美さんとは別れちゃったの?」
杏子「合流するつもりだったんだよ。でもそこでタンザーだからさぁ……」
さやか「ああ、不運だね……」
クーン「キョーコ!」
クーン「キョーコ、行くよ!」
杏子「んー、なんか分かったのか?」
クーン「ノーマッドが指輪のこと知ってるかもって!」
杏子「あいつがぁ? 本当かよ……」
クーン「早く早く!」
…………
杏子「……」
杏子「お前らもくるのか」
さやか「当たり前じゃん!」
マミ「遠慮しないの」
レッド「フェイオンさんから事情は聞いた! 俺も協力する!」
杏子「暑苦しいな、おい」
クーン「仲間が増えた!」
タンザー ノーマッドのアジト
フェイオン「ノーマッドに取り次いでもらおう!」
「ああ!? お頭はお前なんかに会わねえよ!」
フェイオン「会うのは私ではない」
クーン「僕たちだ!」
ノーマッド「ふん、いい度胸だね。まあ、来るとは思ってたけどね」
ノーマッド「指輪のことだろう?」
クーン「知ってるの?」
ノーマッド「知ってるさ。あたしが持ち主だからね」
メイレン「あなたがね……、奪い取ったものかしら?」
ノーマッド「そういうわけさ」
レッド「なんという悪党……!」
ノーマッド「さて、アンタらの持ってる指輪を渡してもらおうか」
杏子「あ? 何言ってんだよ」
ノーマッド「とぼけるんじゃないよ。アンタが指輪を持ってることは、アタシの指輪が教えてくれた」
フェイオン「そんな話が通じるとでも?」
ノーマッド「あんたらには通じないだろうよ。でも、あんたと一緒にいるガキやらジジイやらはどうだい?」
フェイオン「貴様、まさか……!」
ノーマッド「そうさ、だからさっさと……」
「待ちなさい!」
「ノーマッド、貴様の悪事の数々、許せん!」
「アルカイザー、見参!」
「ティロカイザー、イグニッション!」
「サヤカイザー、行くよ!」
杏子「……何してんだお前ら」
マミ「今は合わせて!」
さやか「空気読んで!」
ノーマッド「なんだい、正義のヒーロー気取りかい」
ノーマッド「お前達やっちまいな!」
アルカイザー「雑魚に用はない! 行くぞ!」
マミ「はい!」
『シャイニング天地・フィナーレ』
杏子「うわ、だせえ」
「ギャアァァ」
「ぐはあぁっ」
ノーマッド「チッ、役に立たない奴らだね……!」
杏子「あいつ、逃げるぞ!」
アルカイザー「逃がすものか!」
フェイオン「待ってくれ、アルカイザー! あちらは危険すぎる。戻れなくなるぞ!」
メイレン「だからって、見逃すわけにはいかないわ」
クーン「指輪も持っていっちゃったよ! 追いかけないと!」
フェイオン「……仕方がない。だが本当に気をつけてくれ」
…………
さやか「うわ、本当にやばい感じ……」
マミ「うふふふふ、内臓だらけだわ~」
杏子「マ、ティロなんとか、正気に戻れ」
メイレン「いよいよ引き返せない感じになってきたわね……」
クーン「!」
クーン「あそこ!」
さやか「ノーマッド! が……」
さやか「何あれ」
クーン「食べられてる?」
ノーマッド「ヒー、助けてー!!」
フェイオン「あれはタンザーの心臓部だ……」
杏子「心臓に食われるってどういうことだよ!?」
メイレン「どうする、助けるの?」
フェイオン「あんな奴でも見捨てる訳にはいかん!」
アルカイザー「もちろんだ!」
ノーマッド「の、の・ま・れ・る~」
さやか「……」
マミ「……」
クーン「どうすればいいんだろ?」
メイレン「……攻撃?」
フェイオン「だが、下手に刺激するのも……」
『ブライトナックルゥ!』
さやか「ええ!? 殴っちゃうの!?」
アルカイザー「悩んでいてもしかたがない! 殴れ!」
杏子「よ、よし!」
杏子『チャージ』
さやか『デッドエンド』
さやか「いくよ、杏子!」
杏子「遅れんなよ!」
『チャーエンド』
フェイオン「ええい、私たちも行くぞ!」
フェイオン『爆砕鉄拳』
メイレン『曲射』
クーン『牙』
マミ「ど、どうかしら……」
さやか「だ、大丈夫ですよ。ほらなんかビクビクして……」
アルカイザー「吐くんだタンザー!」
ノーマッド「ぐ、ぐぼっ」
杏子「……」
クーン「呑まれちゃった」
マミ「ま、まだよ!」
アルカイザー「待て、無茶をするな!」
マミ「あの口みたいなところに……!」
マミ「まだ助けられる!」
さやか「マ、ティロさん、危ない!」
マミ「え……?」
マミ「ぐ、ぐぼっ」
クーン「呑まれちゃった」
杏子「どどどどうすんだ、おい!」
さやか「! ま、まだ足は出てる!」
アルカイザー「ひ、引きずり出んだ!」
ズズズズ……
杏子「で、出てきた……!」
さやか「いける! 今助けますからね!」
クーン「僕たちも手伝わないと!」
フェイオン「お、おお、そうだった!」
メイレン「衝撃的過ぎたわ……」
さやか「か、顔の所で引っかかってる……」
杏子「こんなもん、魔法少女にあっていい絵面じゃねえよ!」
さやか「わああああ!」
杏子「引けえええ!」
グボッ
マミ「……」
ノーマッド「……」
アルカイザー「ノーマッドを離さなかったのか……」
杏子「ったく、どこまでお人好しなんだよ」
…………
マミ「……」
さやか「え、えーと、大丈夫ですか……?」
杏子「か、カッコよかったぜ、さ、さすがはヒーローだな!」
マミ「……」
マミ「なんか、前にもこんなこと、合った気がする……」
杏子「え?」
さやか「ほ、ほら前世の記憶ってやつですよ。マミさんは前世でもヒーローだったんですよ!」
ノーマッド「……持ってきな」
クーン「指輪だ!」
ノーマッド「あたしを助けたこと、後悔するよ……」
フェイオン「ふん、まあこれで少しはおとなしくなるだろう」
レッド「なんだこの揺れは……」
フェイオン「さっきの戦いの刺激で、タンザーが暴れているんだ!」
フェイオン「シップに戻るぞ。タンザーが吐き出してくれるかもしれない!」
シップ内
マミ「……」
杏子「なあ、マミ元気だせよ。お前は立派だったよ」
さやか「そうですよ。マミさんがいなかったらノーマッドはきっと……」
マミ「うう……」
クーン「!」
メイレン「シップが動くわ!」
レッド「外にでるぞ!」
ゴン
杏子「お、おい、なんかぶつからなかったか?」
さやか「き、気のせいじゃないかな」
「シップ、脱出に成功しました!」
マミ「いぃぃやったぁぁぁ!」
…………
マンハッタン行き シップ内
「航路上にタンザーが出現!」
「緊急回避します!」
まどか「な、何!? 何が起きてるの!?」
ほむら「タンザー!?」
レオナルド「リージョン間を移動する巨大生物だ。飲み込まれたら大変だね」
ドゴン!
ほむら「!?」
T260「シップ底部に衝突を確認」
まどか「何が!?」
T260「タンザーに取り込まれていたシップと推測されます」
「推進部に異常発生!」
レオナルド「まずいね。付近のリージョンに不時着できないかな」
「現在確認中! 最寄りのリージョンは……」
…………
トリニティ・ラムダ基地
トリニティの軍事施設。執政官が統治する。
ほむら「不時着には成功したけれど……」
ほむら「ここは、軍事基地じゃないの?」
レオナルド「ここはトリニティ・ラムダ基地だね」
まどか「入っていいところなんですか?」
レオナルド「もちろんだめだ。だが今は緊急事態だから保護を求めれば……」
レオナルド「だが、僕たちには好都合かもしれない」
ほむら「どういうこと?」
レオナルド「ここならタルタロスと同様の情報が得られるかもしれない。なんと言ってもトリニティの軍事基地だからね」
T260「鹿目様、ご指示を願います」
まどか「ど、どうしようほむらちゃん」
ほむら「……警備状況によるわね」
まどか「場合によっては……?」
ほむら「侵入しましょう。大丈夫、慣れたものよ」
まどか「ほむらちゃんはそうかもだけど……」
ほむら「まどかは軍事基地初めて?」
まどか「は、初めてだよ!? それが普通だよ!?」
レオナルド「……なんだか様子がおかしいね」
T260「基地内に多数の警備モンスターならびに警備用メカが確認されます」
レオナルド「僕たちのシップは救難信号を出していたはずだ。モンスターまで放つのは異常だ」
ほむら「混乱してる、ってことかしら?」
レオナルド「そういうことになるのかな」
まどか「えっと、そうなると……?」
ほむら「出撃、しましょう」
まどか「ほむらちゃん、生き生きしてるなあ」
基地内
まどか「モンスターだらけだ……」
ほむら「博士、情報端末の位置は分かる?」
レオナルド「かなり深部だね」
レオナルド「君たちで少し時間を稼いでくれないかな。その間に僕とT260君が情報を取ってくる」
T260「多人数での潜入は危険です」
まどか「わ、分かった」
ほむら「時間稼ぎ、ね」
…………
まどか「ほ、ほむらちゃん、あそこ!」
ほむら「敵!?」
まどか「ち、違うと思う……。ほら、女の人が」
ほむら「……本当」
まどか「えーと、あの人の服、なんていうか……」
ほむら「扇情的ね」
まどか「せんじょう……?」
エミリア「どうなってるのよ!?」
エミリア「こんなとこに送られたと思ったら」
エミリア「いやらしい服まで着せられて!」
エミリア「最低!」
エミリア「……あそこにいるのは、子ども?」
エミリア「どうして……」
エミリア「あなたたち、どうしてこんなところにいるの!」
まどか「え、えーと、あの、シップが壊れて……」
ほむら「迷い込んだというか……」
まどか(基地の人じゃないのかな)
ほむら(ちょっと様子がおかしいわね)
エミリア「とにかく、ここにいたら危険よ! どこかに……」
まどか「!?」
ほむら「……まどか?」
まどか「今、あっちの方から何か……」
ほむら「……?」
ほむら「仮面? いえ、仮面をつけた男?」
エミリア「!」
エミリア「あなたたち、ここを動かないで!」
まどか「行っちゃった……」
まどか「さっきの仮面、すごく嫌な感じがしたよ……」
ほむら「確かに不気味なデザインだったけど……」
まどか「!」
まどか「こっちに来るよ!」
ほむら「……!」
ほむら「止まりなさい」
ジョーカー「……子どもに用はない」
『タイムリープ』
ほむら「逃がさないわ」
まどか「……男の人だね」
ほむら「仮面、外してみる?」
まどか「うん。この仮面、よくないと思うの……」
ほむら「取れるかしら」
まどか「……普通の人だね」
ほむら「知らない人。当然だけど」
エミリア「嘘……」
まどか「あ、さっきの……」
ほむら「……?」
エミリア「嘘でしょ……」
まどか「どうかしました……?」
ジョーカー「チッ」
まどか「あ、いつの間に!」
ほむら「また仮面を着けた……」
まどか「逃げていくよ」
ほむら「どうする、追いかける?」
まどか「うーん、でもおかしいところはなかったし……」
ほむら「怪しい人ではあったけど」
エミリア「……」
まどか「えーと、大丈夫ですか?」
ほむら「ここは危険よ?」
ほむら「って私たちが言うのも、おかしな話ね」
レオナルド「お待たせ」
ほむら「!」
T260「HQの位置情報を収得しました」
まどか「大丈夫だった?」
T260「基地内部に私たちとは異なる侵入者があった模様」
レオナルド「おかげで侵入は簡単だったよ。比較的ね」
ほむら「侵入者って……」
まどか「さっきの女の人?」
まどか「……あれ、いない?」
ほむら「スパイだったのかしら。でもそれにしては随分……」
レオナルド「行こう。長居はできないよ」
マンハッタン
巨大なショッピングモールを有する、商業に秀でたリージョン
トリニティの管轄下にある
シップ発着所
ほむら「無事、帰ってこられたわね」
レオナルド「取り調べくらいは覚悟していたけれど、何もなかった」
まどか「カメラとかに、私たち映ってたりしない?」
ほむら「大丈夫。常に死角にいたし、無理なものは破壊したから」
まどか「さ、さすが」
T260「HQの所在地が判明しました」
T260「準備が完了次第、出向予定です」
ほむら「その前に、杏子と合流してもいいかしら」
まどか「あ、そうだったね。もうシップがあるかな?」
レオナルド「そうするといい。HQへのシップの調達は少し骨だからね」
ほむら「クーロン、行けます?」
係員「タンザーは去ったようですね。問題ありません」
ほむら「よし、行きましょう」
まどか「うん!」
クーロン シップ発着所
杏子「ひどい目にあったな……」
さやか「久しぶりの乾いた地面だぁ」
マミ「もう何も怖くない」
クーン「でも指輪は見つかったよ!」
メイレン「それじゃあ、あと二つね」
さやか「あれ、もうそんなに?」
杏子「あたしが手伝う前から、何個か持ってたもんな」
メイレン「残ったのは策士の指輪と神秘の指輪」
メイレン「策士の方はオウミの領主が、神秘の方は指輪の君ヴァジュイールが持っているわ」
さやか「ヴァジュ……?」
メイレン「一筋縄では行かない相手でしょうね」
さやか「一応、その前にグラディウスに顔だして欲しいんだけど」
杏子「あー、それがお前のいる組織か?」
マミ「魔法少女を探しているのよね……」
杏子「何か胡散臭いんだよなぁ」
さやか「……イタリア料理、おごるよ?」
杏子「いくぞ、マミ。イタリアだ」
マミ「イタリア……。ティロカイザーの故郷ね……」
レッド「俺もシュウザーの情報が知りたい。一緒に行こう」
クーン「僕もイタリア食べたい!」
メイレン「はいはい、もう」
さやか「それじゃあ、みんなで……」
「やっとクーロンに着いたわ。杏子が待ちくたびれているでしょうね」
「杏子ちゃんに会うのも久しぶりだなあ……」
マミ「あれって……」
さやか「まどかと!」
杏子「ほむらじゃねーか!」
杏子「おーい、ほむら、まどか!」
ほむら「あら、杏子。出迎えてくれたの? それとも待たせすぎた……って」
まどか「さやかちゃんとマミさん!?」
ほむら「あ、あなたたち……」
さやか「ふふん、さすがのほむらも突然の再会には弱いかね!」
さやか「二人とも、元気だった?」
まどか「よかった、みんな無事だったんだ!」
マミ「鹿目さんだけ消息が分からなかったから、みんな心配してたのよ?」
まどか「すみません、でもほむらちゃんが見つけてくれました!」
まどか「私をロボットの輪廻から解放してくれたんです!」
杏子「ロボット?」
まどか「多段切りの悪夢からも!」
さやか「あー、なんかあったねこれは」
ほむら「まだ引きずってたのね……」
さやか「ま、話はご飯食べながらにしようよ。こっちもいろいろあったんだから!」
杏子「マミが食われたりな」
マミ「やめて」
ほむら「マミ、あなたはまた……」
マミ「また!? またって何!?」
クーロン イタリア料理店
まどか「さやかちゃんがグラディウスで」
ほむら「マミがヒーロー……ってこれは秘密なのね」
まどか「それで、みんなタンザーの中にいたんだ」
杏子「ああ、恐ろしいところだったぜ。マミ的な意味で」
マミ「……」
ほむら「マミ的……」
まどか「あの男の人がレッドさん」
レッド「よろしくな!」
ほむら「アルカぐむむ」
マミ「秘密だってば!」
まどか「あの犬っぽい子がクーン君で、チャイナ服の人がメイレンさん」
クーン「ほおろひく!」
メイレン「食べながらしゃべらない!」
ほむら「フェイオンさんというのは……」
メイレン「あいつは京に行ったわ。修行バカなの」
クーン「メイレンがいびるからでしょ」
杏子「髪型いじったからじゃね」
…………
厨房
ルーファス「おい、どれが暁美ほむらだ」
アニー「エミリアに謝るまで、教えない」
ルーファス「何故だ! 俺は常にグラディウスのために行動している!」
ライザ「それがだめなのよ。女にとってはね」
エミリア「……」
ルーファス「もういい! 直接聞く!」
ルーファス「ミラノ風ドリア、お持ちしました……」
マミ「あら、そんなの頼んだかしら」
ルーファス「あちらのお客様から、暁美ほむらさんに……」
杏子「あちらって誰だよ。あたしらしかいないじゃん」
ほむら「……」
さやか「グラさん、引っ込んで」
ルーファス「さやか、何故だ」
さやか「エミリアさんの話、聞きましたよ」
さやか「エロい服着せて軍事基地に送り込んだそうじゃないですか」
杏子「うわ、最低だな」
マミ「グ、グラディウスってそういう組織なの!?」
ほむら「さやか、抜けなさい」
まどか「そうだよ、よくないよ!」
ルーファス「どういうことだ、少女たちの私への評価が急落しているぞ」
アニー「そうなるよね」
ライザ「自業自得だわ」
マミ「鹿目さんはロボットと一緒だったのね」
杏子「なんつーか、意外だな」
まどか「私も意外だったよ……」
さやか「私、ほむらのストーリーが全然わかんないんだけど」
ほむら「だから、基地落として、時の君襲名して、半妖の逃避行に巻き込まれたの」
さやか「もうちょい分かりやすく」
ほむら「基地の武器を奪って、時の魔法を取り戻して、半妖と妖魔の駆け落ちに付き合ってた」
さやか「すごいというか、奇妙というか」
ほむら「みんなに聞きたいのだけど、こっちに来る時キュゥべえから何て言われたの?」
まどか「私はリージョンを守ってほしいとか……」
杏子「あー、あたしもそんな感じだな。あんま覚えてねーけど」
さやか「そう言われて、監獄に送られたんだけど」
マミ「私もそんな風だったわ。目覚めたのはキグナスね」
まどか「私はスクラップの酒場でした……」
ほむら「目覚めたら、秘密基地の最深部でした」
杏子「マミだけ優遇されてないか?」
ほむら「キュゥべえの贔屓かしら」
マミ「そ、そんなことより、私たちの使命について話しましょ!」
まどか「やっぱり、リージョンを守るんじゃないでしょうか」
さやか「でも守るって言っても、リージョンってそんなピンチなの?」
杏子「クーンのリージョンは滅びかけらしいが」
マミ「そこは多分、特別よね」
ほむら「私はクーデターを阻止したけど」
さやか「でもパトロールに追われてるんでしょ」
ほむら「……難しいものね」
杏子「まあ、今まで通りやるしかないだろ。他にやることもねーんだし」
さやか「となると、指輪探しとブラッククロスとロボットとジョーカーだね」
マミ「みんなで協力すれば、どれも大丈夫だと思うわ」
レッド「折角の所悪いが、俺は君たちの予定に付き合う訳にはいかない」
レッド「ブラッククロスは一日だって放っておくことはできないんだ」
マミ「悪の組織だもの、当然だわ」
クーン「僕も早くしないとマーグメルが滅んじゃうよ!」
メイレン「後回しにされるのはご免だわ」
ルーファス「我々の作戦も重要な段階に入った。君たちに合わせることはできない」
ほむら「ですって。どうする? 全員で一つの目標に向かうのは無理みたいよ」
さやか「うーん、じゃあまた個別行動?」
まどか「やっとみんなに合えたのに……」
マミ「困ったわね……」
杏子「別にしょうもないことにまで、全員で付き合うことはねーだろ」
ルーファス「私から提案がある」
さやか「……なんですか」
ほむら「……」
ルーファス「そう警戒するな。俺は君達の味方のつもりだ」
さやか「まあ、そうかもですけど」
ほむら「それで、提案って?」
ルーファス「この店を君たち魔法少女の拠点にするというのはどうだ?」
ルーファス「普段は個別行動を取っていても、仲間の協力が必要な時はここに来る」
マミ「決まった場所があるというのは、いいことだと思うけど……」
ルーファス「もちろん普段は君たちが自由に使っていい」
ルーファス「ベッドも食料も、射撃練習場もあるぞ」
ほむら「へえ……」
杏子「食いもんはタダか?」
ルーファス「タダだ」
まどか「うーん、みんなと離れるのは辛いけど、仕方ないのかなぁ」
ほむら「全員で行動すると、必ず後回しになる人がでるわ」
マミ「それはできないものね……」
…………
さやか「それじゃあ、一旦解散! 一区切り着いたらここにまた集合ね!」
杏子「そういやほむらはどうすんだ? 一人だけフリーだろ?」
ほむら「もちろん、まどかのサポートに……」
「その話、待ってくれないかな」
ほむら「……誰?」
「はじめまして。僕はゾズマだ」
さやか「胸に星形ニップレス……」
杏子「変態か」
マミ「く、口に出しちゃダメ!」
まどか「……ほむらちゃんに何か用ですか?」
ゾズマ「用があるのは僕じゃない。アセルスだ」
ほむら「アセルス? 彼女、何かあったの?」
ゾズマ「アセルスは白薔薇姫を失った」
ほむら「!」
まどか「!?」
ほむら「……どういうことかしら」
ゾズマ「オルロワージュの仕業だよ。彼女にはどうすることもできないことだった」
ほむら「……それで」
ゾズマ「アセルスはオルロワージュと決着をつけるつもりだ。ただ一人でね」
ほむら「……」
ゾズマ「彼女を助けてやってくれないか?」
ほむら「……ええ、もちろんよ。でも一つ聞かせて」
ほむら「あなたは何者?」
ゾズマ「ただのはぐれものの妖魔だよ。だからアセルスにはオルロワージュみたいになってほしくない」
ほむら「……」
ゾズマ「君なら分かるんじゃないかい? 大切な人のために、自分を捨ててしまう意味を」
ほむら「……ええ」
ほむら「……アセルスは今どこに?」
まどか「だ、だったら私も! 私もアセルスさんが心配です」
ゾズマ「……まあ、いいかな」
ほむら「ごめんなさい、まどか。T260の方が後回しになってしまって……」
まどか「……それは、うん。でも今いかないとアセルスさんは……」
ゾズマ「戻れなくなるだろうね」
ほむら「ちゃんと謝らないと……。武器を提供して埋め合わせしましょう」
さやか「ねえ、全然話についていけないんだけど」
杏子「あー、ほら言っただろ。ほむらの仲間の人形みたいな女」
マミ「それがアセルスさん? 待って駆け落ちって……」
杏子「そういうことなんだろうな」
さやか「おお……」
…………
マミ「それじゃあ、みんな気をつけてね。絶対に無理だけはしないで」
杏子「どっちかっていうと、マミが心配だな」
さやか「あー、私も」
レッド「いいのか? 別に無理に俺に付き合うことないんだぞ」
マミ「今更部外者扱いなんて、ひどいですよ」
レッド「……そうだな。ありがとう」
クーン「僕はみんな一緒がいいなあ」
メイレン「わがまま言わないの」
杏子「指輪ぐらい、あたし一人で十分だよ」
ルーファス「さやか、君にはエミリアと行動してもらう」
さやか「もらう、っていうか私が頼んだんですよね」
ルーファス「基地から戻って以来、エミリアの様子がおかしいからな。女たちでフォローしてくれ」
アニー「あんな事言ってるよ」
ライザ「誰のせいだと……」
さやか「……全部終わったら、ルーファスさんボコボコにしましょうね」
ゾズマ「アセルスは今ごろファシナトゥールに向かっているだろう」
ゾズマ「シップは用意したから、あとは君たちに任せるよ」
ほむら「え?」
ゾズマ「それじゃあ、僕は失礼させてもらうよ」
ほむら「……」
まどか「……消えた? っていうか……」
ほむら「あなたは行かないの!?」
…………
ファシナトゥール
妖魔の君オルロワージュが統治するリージョン
針の城とその城下からなる
城門前
アセルス「私はアセルス! 道を開けよ!」
アセルス(白薔薇、私がすべて終わらせるから)
アセルス「……?」
ほむら「……」
まどか「アセルスさん……」
アセルス「君たちか……」
アセルス「来てくれたんだね……」
ほむら「……白薔薇姫は」
アセルス「闇の迷宮にいる。オルロワージュを倒さないと永遠にそのままだ」
アセルス「私の妖魔の血もね」
ほむら「あなたは、人間として?」
アセルス「分からないよ。でも、せめて君たちの前では人間でいたい」
まどか「アセルスさんは人間です!」
ほむら「私たちが言うのも変だけど」
アセルス「ふふっ、そうかな」
アセルス「オルロワージュは私が倒さなければならない」
アセルス「二人の気持ちはうれしいけど……」
ほむら「そうね。私たちはあなたの露払いをさせてもらうわ」
アセルス「針の城はただの城じゃない。危険だよ」
まどか「それでも、私たちは行きます!」
アセルス「だけど……」
ほむら「……ついに、出番のようね」
ほむら「グレートマギカ、出撃!」
アセルス「え?」
まどか「ええ!?」
その日、ファシナトゥールにアセルス様がお帰りになりました。
巨大な機械と一緒に……
…………
ほむら「まどか、コックピットは狭くない?」
まどか「そ、それは大丈夫なんだけど、あの世界観的に……」
ほむら「出力全開、針の城を攻撃する」
ほむら「準備はいい、まどか?」
まどか「じゅ、準備って私は何をするの?」
ほむら「まどかには、ミサイルとロケットを任せるわ」
まどか「えええ!? 私が撃つの!?」
ほむら「操縦は私に任せて」
アセルス「ふふ、これでいいのかもしてない」
アセルス「こんな城があるから、みんな捉われるんだ」
アセルス「ほむら、遠慮はいらない!! 城ごと全部終わらせよう!!」
…………
「バスターランチャー、充填開始!」
「まどか、衝撃に備えて!」
「う、うん!」
アセルス「目標は城門だ! 撃ち抜け!」
…………
アセルス「宝物庫か……」
アセルス「ふん、こんなもの……」
アセルス「ほむら、まどか!」
「発射!」
「わわわ、これミサイルだったの!?」
「まどか、上手よ」
…………
…………
「前方に巨人型モンスターを確認!」
「ほむらちゃん、鳥みたいなモンスターも!?」
「第一装甲をパージ! からのハイパーバズーカ!」
アセルス「ふふ、すごいな」
アセルス「……針なんて、もう折れてしまいそうだよ」
…………
針の城 隠し部屋
アセルス「ジーナ! 君だったのか。大丈夫かい?」
ジーナ「アセルス様? 本当にアセルス様だ!!」
この時、私は奇蹟というものの存在を実感しました
ほむら「誰?」
まどか「誰だろう」
…………
アセルス「……ここまでだな」
アセルス「二人ともありがとう。ここからは私一人で行く」
ほむら「……もういいの?」
アセルス「十分だよ。もう針の城は原型も残ってない」
アセルス「セアトも消し飛んだ」
まどか「あああ、なんだか罪悪感……」
アセルス「じゃあね、ほむら、まどか」
アセルス「私はやっぱり人間でいたいと思う。そう思える」
アセルス「きっと君たちのおかげだ。私一人なら妖魔の力で進んでしまっただろう」
まどか「アセルスさん、絶対帰ってきてくださいね。白薔薇さんも一緒に!」
ほむら「……頑張ってね、アセルス」
アセルス「……ありがとう、本当に」
アセルス「二人とも行ったか……」
アセルス「さて……」
アセルス「ここからは私の戦い。そうでしょ、獅子姫」
アセルス「どうしても、戦わなくてはいけないの? 私が目指すのは、あなたの所ではないわ」
金獅子姫「言葉をかわす時は過ぎました。今は戦いで決着をつけるときです」
金獅子姫「今度は全力であなたを倒す!!」
アセルス「獅子姫……」
針の城 寵姫の部屋
ほむら「ここは無事でよかった……。危うく破壊するところだった……」
まどか「これは、棺っていうのかな。中に人が……」
ほむら「眠っているみたいだけど……」
まどか「アセルスさんが、解放してくれるのかな」
ほむら「そうだと思うわ」
「また派手にやったものじゃな」
ほむら「……あなたは?」
「わらわは零、オルロワージュの最初の寵姫じゃ。いや元寵姫というべきかの」
まどか「アセルスさんの味方ですか?」
零姫「ふむ、まあ味方というところじゃろう。案ずるな」
零姫「針の城もこの様では、格好がつかんな」
まどか「あの、やっぱりまずかったですか……?」
零姫「いや、この方がいい。これでいいのじゃ」
ほむら「……」
零姫「じゃがの、ここからは妖魔の君とアセルスの一騎打ち」
零姫「お主らは、引くべきじゃ」
ほむら「そのつもり、ですけど」
零姫「ふむ、物わかりがいい」
零姫「よし。いい子には褒美をやろう。受け取るが良い」
まどか「え、え、何?」
ほむら「こ、これは空間移動!?」
零姫「これで、舞台は整った。そうじゃな、オルロワージュ?」
…………
オルロワージュの王座
オルロワージュ「我にひれ伏すために舞い戻ったか、娘よ」
アセルス「私の中の妖魔の血。これを浄化するにはあなたを倒すしかない」
オルロワージュ「やはり人間は人間か。つまらぬな」
アセルス「あなたにとっては人間も妖魔もつまらない存在でしょう。でもみんな生きてる。赤くても青くても血が流れてる」
オルロワージュ「ありふれた物言いだな。もう飽いたぞ」
アセルス「オルロワージュ、覚悟はいい?」
アセルス「私は、あなたを倒すよ」
オルロワージュ「ふん、思い上がりだ」
…………
ジーナ「アセルス様、どうかご無事で……
ゾズマ「君がジーナかな」
ジーナ「ひっ」
ゾズマ「怯えなくて良い。僕はアセルスの味方だからね」
ジーナ「ア、アセルス様は……」
ゾズマ「ジーナ、君はアセルスを人間だと思うかい?」
ジーナ「……」
ジーナ「……アセルス様は、高貴な血の流れるお方です」
ゾズマ「それだけかい?」
ジーナ「……ですが、暖かい心をお持ちの方。そう、きっと」
ジーナ「人間なのだと、私は思います」
ゾズマ「なるほど」
ゾズマ「それじゃあ、僕も行かないとね」
ジーナ「あ、どちらに……」
…………
零姫「……」
零姫「イルドゥンか」
イルドゥン「……はい」
零姫「お主はいいのか。アセルスとオルロワージュの戦い、もう始まっておるぞ」
イルドゥン「……私にはもう分かりません」
零姫「ふむ?」
イルドゥン「ラスタバンはアセルスの血を狙って暗躍していた」
イルドゥン「彼は私にそう打ち明けました」
零姫「ほう、あの男が」
イルドゥン「……彼を殺したのは、私です」
イルドゥン「私は、どうすればよかったのか……」
零姫「奴を殺したのはオルロワージュのためか? それともアセルスのためか?」
イルドゥン「……」
零姫「お主、アセルスのために色々立ち回っておったのだろう?」
零姫「……友を手にかけたのだ。もう心は決まっておろう」
イルドゥン「……アセルスに戦いを教えたのは私です」
イルドゥン「見届けるのは、私の務めでしょう」
零姫「往くか。わらわも心を決めたところじゃ」
…………
アセルス「はぁ……はぁ……」
アセルス「ぐぁっ」
オルロワージュ「ふん、脆いものだ」
オルロワージュ「だが、それが人であるということだ」
アセルス「……私は負けない」
オルロワージュ「我の血に身を委ねれば、あるいは我に届くかもしれぬぞ」
アセルス「ふざけるな!」
オルロワージュ「ならばよい。もはや頃合いだ」
オルロワージュ「死ぬがいい」
『三人の寵姫』
アセルス「!」
アセルス「……? 何も起こらない?」
オルロワージュ「……」
オルロワージュ「どういうことだ」
零姫「ふむ、なんとかなるものじゃな」
ゾズマ「さすがは妖魔の君だね。邪魔をするのが精一杯だ」
イルドゥン「……」
オルロワージュ「……我に楯突くか」
零姫「も少し良い男だと思っておったのじゃがの」
ゾズマ「息苦しい王様は、もうたくさんなのさ」
イルドゥン「……どうしたアセルス。前を向け」
アセルス「イルドゥン……」
アセルス「零姫様も、ゾズマも……」
アセルス「どうして……?」
ゾズマ「みんな君のことが好きなのさ。今の君がね」
オルロワージュ「下らぬな」
オルロワージュ「四人まとめて消し去ってくれよう」
ゾズマ「四人?」
零姫「まったく、困ったものじゃな」
オルロワージュ「……何を言っている」
アセルス「ふふ……」
オルロワージュ「貴様、何がおかしい!」
アセルス「あなたの負けだ、オルロワージュ」
アセルス「……そうだよね、白薔薇?」
オルロワージュ「ついに狂ったか? 白薔薇は今も闇の迷宮にいる」
オルロワージュ「何ができるはずもない」
ゾズマ「二人の絆が、あんなチャチなもので切れるとでも?」
ゾズマ「魅了の君が、愛の力もしらないなんてね」
零姫「お主、言ってて恥ずかしくないのか」
ゾズマ「全然」
アセルス「行くぞ、オルロワージュ!」
アセルス「これが最後だ!」
オルロワージュ「よかろう」
オルロワージュ「見事その剣、我を貫いてみせよ!」
…………
アセルス「…………」
オルロワージュ「……何故だ」
アセルス「……私は人間だから、ちゃんと誰かを好きなれた」
オルロワージュ「……ふん」
オロロワージュ「……零よ」
オルロワージュ「……我が恐ろしいか?」
零姫「いいや。愛おしい男のままじゃ」
オルロワージュ「……そうか、これが」
愛
か
puella magi madoka ☆ frontier "The one loves her rose "
Story of Asellus END
…………
…………
クーロン イタリア料理店
アニー「いい? よく聞いて」
アニ「裏通りから、地下鉄の跡まで行くのよ」
マミ「も、もっと詳しく!」
アニー「そこからは、道なりよ」
…………
クーロン 下水道
マミ「アニーさんに教えてもらった道なんですけど」
マミ「……本当にこんなところに?」
レッド「シュウザーの秘密基地なんだ。どこにあってもおかしくない」
マミ「でもこんな下水道なんて、どこかにつながっているものかしら……」
レッド「噂じゃあ、巨大な地下洞窟にも通じているらしいぜ」
マミ「誰が設計したのよ……」
レッド「……向こうに行くには、このパイプを渡るのか?」
マミ「アニーさんの話通りですね。向こうが地下鉄跡みたい」
レッド「随分細いパイプだな……。滑ったら大変だ」
マミ「私が先に行きます!」
レッド「あ、おい!」
マミ「ほら、無事に着きました!」
レッド「意外と身軽なんだな……」
マミ「レッドさんもどうぞ。滑っても私が引き上げるから大丈夫ですよ」
レッド「ああ、まかせろ!」
レッド(渡れるかな……?)
レッド「へっ、楽勝楽勝……」
ツルッ
レッド「おお!?」
マミ「レッドさん、こっちに飛んで!」
レッド「と、とう!」
ムニッ
マミ「きゃあぁぁ! ど、どこ触ってるんですか!!」
レッド「い、いや済まない。わざとじゃないんだ」
マミ「お、女の子の胸に、そんな風に! それでもヒーローですか!」
レッド「悪かったよ。ほら事故ってことで……」
ツルッ
レッド「あ」
フニフニ
レッド「こ、これは……!」
マミ「ひん!?」
レッド「い、いや済まん。ほら足下が滑るだろ、この辺……」
マミ「に、二回も!! 何考えてるの!? セクハラですか!? アル・セクハラですか!?」
レッド「ご、ごめんなさい……」
マミ「もう! 行きますよ!」
レッド(う~ん、でかい)
クーロン 地下鉄跡
レッド「……マミのご両親はどんな人なんだ?」
マミ「突然なんですか? セクハラのごまかしですか?」
レッド「……いや、何となく聞いてみただけだ。悪かったな」
マミ(……シュウザーはレッドさんの家族の仇)
マミ(思うところがあって、当然よね……)
マミ「私の両親は事故でもう……」
レッド「!」
レッド「済まん、悪い事を聞いたな」
マミ「いいんです。レッドさん」
マミ「……これは復讐なんですね」
レッド「そうだな。シュウザーだけは、許す訳にはいかない」
マミ「レッドさん、気を悪くしないでくださいね」
レッド「何だ?」
マミ「レッドさんがブラッククロスを倒すのは、正義のためですか?」
マミ「それとも復讐のためですか?」
レッド「……」
マミ「ごめんなさい、生意気言って」
レッド「良いんだ、マミ。ちゃんと聞いてくれてうれしいよ」
マミ「レッドさん……」
レッド「……初めはヒーローなんてどうでもよかったんだ。奴らを倒せるなら正義でも悪でも何でもよかった」
レッド「そうだ、復讐するための力だと思ってた。今もそう思ってる」
レッド「けど、これまで戦ってきて分かったことがあるんだ」
マミ「……それは?」
レッド「この力で守れる人もいるってことだ」
マミ「ええ、それは間違いないです」
レッド「だからさ、今は弱い人たちを守るためにも、ブラッククロスと戦うと決めたんだ」
レッド「俺の復讐だけに使うなんのてのは、罰当たりだろ?」
マミ「……」
レッド「悪い、答えになってなかったな」
マミ「いいえ、十分です!」
レッド「そ、そうか?」
マミ「はい! だけど……」
レッド「だけど?」
マミ「怖いことや、寂しいこと、ありませんか?」
マミ「誰にも分かってもらえないまま、孤独に戦い続けること」
マミ「……私は、そうでした。ずっと怖くて寂しかった」
レッド「それの何がいけないんだ?」
マミ「……それで、戦いに無関係な人を巻き込んだとしても?」
レッド「……巻き込んだのか、魔法少女に」
マミ「原因の一つにはなってしまいました……」
レッド「俺の見る限り、誰もマミのことを恨んじゃいないと思うぜ」
マミ「それでも、私は……」
レッド「まだ中学生なんだろ? なんでも完璧になんてできないさ」
レッド「……中学生だと!?」
マミ「!?」
レッド(なんという、胸!)
レッド「ま、不安なら聞いてみたらいい。誰もマミのことを弱いとかダメだとか思っちゃいないさ」
マミ「……それは、みんな気を使って」
レッド「俺たちの事、信用できないか?」
マミ「そ、そんなことはないです!」
レッド「大丈夫だ。アルカイザーが保証する」
マミ「……」
マミ「……ありがとう、レッドさん」
レッド「!」
レッド「話はここまでだな」
マミ「線路が途切れた……」
マミ「ここが、シュウザーの基地……」
レッド「準備はいいか?」
マミ「ええ、後ろを向いてる暇はないもの!」
レッド「その意気だ!」
シュウザーの秘密基地
レッド「……なかなか厳重な警備だな」
マミ「それを見越して、暁美さんがこんなものを……」
レッド「これは……、爆弾か?」
マミ「これで、基地を爆破しろって」
レッド「あの子、見かけに寄らず過激だな……」
マミ「色んな意味で、見かけに寄らない子なの」
…………
戦闘員「キー!」
シュウザー「ほう、侵入者か。面白い」
シュウザー「このシュウザー城を前に、どこまでやれるか見物だな!」
戦闘員「キー」
シュウザー「しかも、たった二人だと?」
シュウザー「ふん、なめられたも……」
カッ!
…………
…………
レッド「ど、どうなってるんだ、その爆弾の威力は!」
マミ「わ、私に言われても……」
マミ「何でも、モンドとかいう人のものらしいけど……」
レッド「まずい、燃料タンクに火が!」
マミ「に、逃げましょう!」
…………
…………
「キー!」 「キー!」 「キー!」
シュウザー「ええい、静まれ!」
シュウザー「まさか基地もろとも爆破するとはな……」
シュウザー「!」
レッド「シュウザー!」
シュウザー「誰かと思えば、小此木の小僧か!」
シュウザー「このシュウザー城を爆破したことは褒めてやろう。だが、ここが貴様の墓場だ!」
VS シュウザー ブラッククロス四天王の一人 改造人間
レッド「シュウザー! 仇は取らせてもらうぞ!」
マミ(変身しない……?)
シュウザー「ふん、すぐに家族に会わせてやろう!」
シュウザー『バルカン』
レッド「そんなものが!」
レッド『三角蹴り』
マミ「レッドさん……」
『援護射撃』
マミ「!」
レッド「ちっ、戦闘員が残っていたのか!」
シュウザー「ふっ、嬲り殺しだ!」
レッド「マミは雑魚を頼む! こいつは俺が!」
マミ「……了解!」
シュウザー「一騎打ちか? 思い上がるな!」
『毒ガス』
レッド「食らえぇ!」
『あびせ蹴り』
レッド「!」💡
『三龍旋』
シュウザー「何!?」
レッド「スープレックスゥ!」
シュウザー「ぬおわぁ!」
マミ「レッドさん、すごい気迫……!」
シュウザー「ちぃ、撃て! 奴らを蜂の巣にしろ!」
戦闘員「キー!」
マミ「させないわ!」
『レガーレ・ヴァスタアリア』
戦闘員「キー!?」
マミ「私のリボンは解けないわ!」
シュウザー「おのれ……」
レッド『金剛神掌ォ!』
シュウザー「ぐはっ……!」
レッド「見たか、シュウザー!」
シュウザー「調子に乗るなよ、小僧!」
『クロービット』
レッド「この技は……!」
マミ「う、腕が分離した!?」
シュウザー「クロービットは全方位から貴様らを引き裂く!」
シュウザー「消えろ!」
レッド「ぐあっ……」
マミ「きゃあ!」
レッド「くそっ、アレを止めないとな……」
マミ「ここは、私が!」
シュウザー「ほう、小娘から死ぬか!」
マミ「残念ね、私はこんなところじゃ終われないの!」
シュウザー「食らえ!」
マミ「……」
マミ「今よ!」
『レガーレ』
シュウザー「な、何!? クロービットを捕らえただと!?」
マミ「その腕、縛らせてもらうわ。腕しかないけれど」
レッド「さすがだ、マミ!」
シュウザー「小賢しい真似を……」
『放射火炎』
レッド「今更そんなものが効くか!」
マミ「いえ、あいつに狙いは……!」
シュウザー「ふははは、残念だったな」
マミ「ヘリで逃げた!?」
レッド「……」
…………
…………
シュウザー「まったく、しつこい奴らだったぜ」
シュウザー「だがこれで……」
『アル・フェニックス!』
シュウザー「……何だ?」
シュウザー「火の鳥が……こちらに!?」
アルカイザー「うおおおお!」
シュウザー「まさか、ヘリに体当たりするつもりか!?」
シュウザー「そんな真似が、できるはずが……」
シュウザー「向かってくる!」
シュウザー「あの小娘か! あいつが打ち出したのか、アルカイザーを!」
シュウザー「何者だ、あの小娘は!」
アルカイザー「逃げられると思うなぁ!」
アルカイザー「倉らえぇぇ!」
シュウザー「ば、馬鹿な!」
…………
…………
マミ「ヘリが堕ちる……」
マミ「これで、レッドさんの仇が……」
アルカイザー「マミ、まだだ!」
マミ「!?」
シュウザー「お、おのれぇ……」
マミ「ぜ、全身ボロボロなのに、まだ動くの……?」
レッド「奴は改造人間だ。倒すには……」
シュウザー「ふははは、そうだ!」
シュウザー「俺を倒すには、この頭を打ち抜くしか無い!」
シュウザー「そして俺の頭には小此木の脳が埋め込まれているのだ!」
アルカイザー「!」
マミ「なんてことを……!」
シュウザー「やれるかアルカイザー! 俺様をやれるか!」
アルカイザー「……」
『ブライトナックル』
シュウザー「き、貴様!」
マミ「アルカイザー!」
アルカイザー「……父さん、今終わらせるから」
シュウザー「うおおぉぉ!」
アルカイザー「撃ち抜けぇぇ!」
…………
…………
レッド「……」
レッド「これで、ブラッククロス四天王は全滅だ」
レッド「後は奴らの本拠地に……」
マミ「レッドさん、大丈夫ですか?」
レッド「ああ、大丈夫だ」
マミ「……泣いてませんか?」
レッド「雨だよ。基地の火もすぐに消えるだろう」
マミ「ああ、確かに雨が……」
レッド「……」
レッド「……帰ろう、クーロンへ」
ツルッ
レッド「!?」
マミ「!?」
ムニッ
マミ「嫌あああ!」
【パート3】に続きます。

