勇者「この俺にそんなものがあると言うのです?」
国王「ああ、どうやらお前には勇者の素質があるらしい」
勇者「いやいやいやいや」
勇者「俺なんかより国王のほうが遥かに強いじゃないっすか」
国王「仕方がなかろう、神官がそう言っているのだから」
勇者「神のお告げって奴ですか?」
国王「そういう事だ」
勇者「・・・えー」
元スレ
勇者「素質ねぇ・・・」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1325639591/
国王「という訳でさっさと魔王倒してこい」
勇者「嫌ですよー、怖いし」
国王「いいから行ってこい」
勇者「国王が行けばいいじゃないですか」
国王「俺が行ったところで魔王は倒せん」
勇者「なんで?」
国王「お前の持つ神の加護が必要だそうだ」
勇者「じゃああげます」
国王「そういう問題じゃない」
国王「仕方がないな」
国王「俺も一緒に行ってやる」
勇者「お!マジっすか?」
国王「ああ、もとよりお前一人じゃ不安だからな」
勇者「とかいってただ暴れたいだけじゃ?」
国王「・・・・・・・・・はっ、そんなわけあるか」
勇者「わかりやすいなー」
国王「内政は妹に任せる」
姫「りょーかいであります!」
勇者「大丈夫なんですか?姫に全て任せて」
国王「アホの子っぽいが政治手腕は俺より上だ」
姫「まおー倒したらおみやげばなし聴かせてくだせぇ」
国王「ああ、すぐ戻る」
姫「がいせんパーティーのじゅんびは任せろぃ」
勇者「かなり心配だ」
勇者「というかパーティーはふたりですか?」
国王「ん?不安か?」
勇者「いや、普通魔法使いとか」
国王「大抵の魔法は使えるぞ」
勇者「戦士とか」
国王「俺の腕はお前も知るところだろう」
勇者「僧侶とか」
国王「蘇生魔法くらいなら使えるさ」
勇者「・・・もういいです」
勇者「・・・魔物か!」
国王「クエイク!」
勇者「いやいやいやいや」
勇者「いきなりそんな上位の魔法使っちゃダメでしょう」
国王「あ?MPならまだまだあまってるぜ?」
勇者「そういう問題じゃない」
国王「隣町か、人々の顔が優れんな」
勇者「町長に話でも聞きましょう」
国王「そうだな、行ってこい」
勇者「え?国王は来ないんすか?」
国王「俺は戦闘専門だ」
国王「そういった勇者っぽい事はやらせてやる」
勇者「マジで暴れるためだけにきやがった・・・」
勇者「どうやら北の洞窟で魔物が異常発生したらしい」
国王「さしずめそれにより交易路が断たれたから何とかならないか、ってところだろう」
勇者「さすがに話が早いっすね」
国王「どれ、ちゃちゃっと済ませて先に進もうか」
勇者「んじゃ向かいますか」
国王「ファイラ!ブリザラ!」
勇者「・・・・・・・・・」
国王「はっはっはっはっ!」
国王「どうした魔物ども!」
国王「サンダガ!」
勇者「・・・・・・・・・」
国王「ん?もう終わりか」
国王「まったくたいした事のない」
勇者「剣抜いてすらいないのにもう10レベルか・・・」
勇者「町長感謝してましたよ」
国王「それはよかった」
国王「では次はどうする?」
勇者「このまま北上しますかね」
国王「北か」
国王「山麓の国の女王は元気だろうか」
勇者「んじゃその国を目指しましょうか」
勇者「洞窟に魔物が一匹もいないとは」
国王「俺は中途半端に完全主義者だからな」
勇者「意味がわかりません」
国王「まぁいい、あの山が見えるだろう?」
国王「あれが『北方の天険』、大陸最高の山だ」
勇者「あの麓に国が?」
国王「ああ、向こう側だがな」
勇者「・・・は?」
勇者「ちょ!待って待って!」
国王「なんだ?山歩きは初めてか?」
勇者「山歩きっていうか登山レベルじゃないっすか!?」
国王「ほら、そこの岩は崩れるぞ」
勇者「あっぶな!」
国王「夏だっただけまだマシだろう」
勇者「夏なのに吹雪いてる不思議!」
勇者「だいたいあっちにちゃんとした道があったでしょう!」
国王「あんな道で行ったら四日はかかる」
国王「この先に横穴があってな、それならば一日かからん」
勇者「そうは言っても」
国王「見えてきたぞ」
勇者「吹雪でなんも見えませんが」
国王「いいからついて来い」
勇者「本当に横穴が掘られている」
国王「夏場だけ通れる隠し通路だ」
国王「冬はここら一帯雪に埋まるからな」
勇者「夏でよかったってのはこういう事ですか」
国王「そういう事だ」
国王「ほら、さっさと行くぞ」
勇者「置いてかないで!」
女王「ようこそおいでくださいました、勇者様」
女王「お久しぶりです、国王」
勇者「あ、はじめまして」
国王「ああ、久しいな」
勇者(ちょっとちょっと、めちゃくちゃ綺麗じゃないっすか)
国王(ん?まぁ綺麗といえば綺麗な顔をしているな)
勇者(国際結婚とかしちゃえばいいじゃないですか)
勇者(もう25でしょう?)
国王(悪いがそんな気はないな)
勇者(もったいない)
女王「それで、本日はどんな御用で?」
勇者「魔王討伐の道すがら、少々寄らせてもらった次第です」
女王「あら、魔王討伐?」
勇者「はい」
女王「なるほど、して国王はどういった用件で?」
国王「コイツの付き添いだ」
女王「という事は国王も魔王討伐に?」
国王「まぁな」
女王(キュピーン!)
女王「なるほど、あいわかりました」
女王「小さな国で申し訳ありませんがゆっくりしていってください」
勇者「ありがとうございます」
国王「で、何が代価だ?」
勇者「代価?」
国王「資源の少ない国が突然きた人間を無条件で受け入れる訳なかろう」
国王「それがコイツならなおさらだ」
女王「お話が早くてなによりです」
国王「それで、何が望みだ?」
女王「わたくしも、魔王討伐に御一緒させてくださいな」
勇者「いやいやいやいや」
国王「いいだろう」
勇者「えぇ~・・・・・・」
国王「不満か?」
勇者「不満というか、危なくないっすか?」
国王「それは問題ない、なにせ――」
兵士「女王様!魔物が!」
女王「魔物ですか?」
兵士「はい!上空から急襲を!」
ガシャーン!
勇者「んな!?」
国王「ほう、直接玉座の間を狙うとは」
女王「ナイフを」
兵士「ここに」
勇者「国王!ふたりで抑えるぞ!」
女王「勇者様、邪魔です」ドンッ
勇者「ぁう!」
勇者「いたた・・・」
勇者「女王、なに・・・を・・・?」
ギャアアアアアアア!
勇者「」
国王「どうだ?ドレスを翻しながら二本のナイフで魔物を切り刻む様は圧巻だろう」
勇者「・・・・・・」
国王「幼少の頃からの付き合いだが、俺は今まで一度も勝った試しがない」
国王「まぁ魔法は俺の圧勝だがな」
女王「見苦しいところをお見せしました」ツヤツヤ
勇者「いや、何と言うかまぁ・・・」
女王「それでは準備が整い次第出発しましょう」
国王「俺達は特にすることはない、お前がいいのなら今すぐに発つ」
女王「わかりました、ですが今晩は荒れます」
女王「明日早朝に発ちましょう」
勇者「わかりました」
勇者(絶対この人も暴れたいだけだ)
女王「それでは行ってまいります、国は任せましたよ」
兄「あ、うん、いってらっしゃい」
勇者「なんだか頼りなさげっすね」
国王「確かに頼りないが国民からの信は厚い」
国王「いうなれば仁君か」
女王「いってきます、お兄様!」ヒシッ
兄「待ってるからね、女王!」ダキッ
国王「そして互いに重度のブラコンとシスコンだ」
国王「次はどうする?」
勇者「うーん」
女王「行くあてがないのなら西の大陸に渡っては?」
女王「そちらに魔王城があると聞きます」
国王「海路か・・・」
国王「よし、港町を目指そう」
勇者「西北西方向だな」
国王・勇者「「じゃんけん・・・ぽい!」」
国王「ちっ、俺が見張りか」
女王「御苦労をおかけしますね」
国王「さりげなくじゃんけんに参加しないくせによくもまあ」
女王「くーくー・・・」
国王「相変わらず寝付きがいいな、オイ」
勇者「じゃあ時間になったら起こしてくださいね」
国王「ああ、わかっている」
勇者(ゆっくり考えると、このパーティーすごいんじゃないか?)
国王「あー、ブックオフ行きたい」
勇者(世界でも指折りの大国、『平野の国』の国王に)
女王「くーくー・・・んっ、ダメっぽい・・・くーくー」
勇者(厳しい自然環境に置かれる国、『山麓の国』の女王)
勇者(そして一度も剣を抜いていない勇者・・・)
勇者(いや、俺の存在意義って一体・・・・・・)
女王「やっと港町に着きましたね」
勇者「疲れました?」
女王「いいえ、まだまだいけますよ」
国王「とりあえずは船を調達せねば」
国王「ん?あれが造船所か?」
勇者「なんか騒いでるっぽい」
国王「様子を見てこい」
勇者「えぇ~・・・」
国王「勇者の仕事だろう、いけ」
勇者「なんでも造船所内に魔物が出たとか」
女王「殲滅すればよろしくて?」
勇者「あ、たぶん」
女王「ではわたくしが行ってまいります」
国王「ああ、遊び過ぎるなよ」
女王「はい、わかっております」タタタ
勇者「女王って、戦うの好きなんですか?」
国王「戦いというよりは、あいつは体を動かすのが好きだな」
国王「多分魔物狩りもスポーツとしか捉えてないだろう」
勇者「すごいな」
女王「ただいまもどりました」
勇者「はやいな」
国王「どうだった?」
女王「倒しても倒しても湧いてきます」
女王「おそらく本体がどこかにいるものかと」
国王「ふむ、だったらあの塔が怪しいな」
勇者「根拠は?」
国王「第六感だ」
勇者「それは根拠にならん」
女王「でも他に気になるところはありませんし、塔に向かいませんか?」
勇者「女王が言うならいってみましょう」
国王「おい」
国王「ふん、やはりこの大陸の魔物は弱いな」
女王「ええ、準備運動程度、といったところでしょうか」
勇者「ただ歩いてるだけなのに30レベル突破した」
国王「この階段の先が最上階か」
国王「勇者、先行させてやろうか?」
勇者「いいんすか!?」
国王「いや、聞いただけだ」
勇者「おい」
魔物「お?勇者一行か?」
女王「あら、人語を理解する魔物とは珍しいですね」
国王「ほう、知能が高いのは称賛に値するな」
魔物「うるせぇな、俺は勇者に――」
女王「・・・今、うるさいとおっしゃいました?」ニコッ
国王「はっはっはっはっ!口が達者な魔物だ!」ニコニコ
魔物「え、いやあの・・・なにこの殺気」
女王「うふふふふふ」スタスタ
国王「はははははは」スタスタ
勇者「ご愁傷様です」
魔物「」ボロッ
国王「知能の高さゆえ、もう少しはやると思ったが」
女王「一分も持たないのですね」
勇者「やっぱ俺の出番はなしか」
女王「あれに見えるは宝箱ですね」
勇者「あ、本当だ」
国王「開けるのは勇者の仕事だ」
勇者「罠だったら面倒なだけでは?」
国王「鋭いな」
勇者「否定しましょうよ」
勇者「これは・・・」
女王「あら、おそらく伝説の盾ですね」
勇者「そのわりには錆びてるなー」
国王「昔の事だから伝説になるんだ、仕方なかろう」
勇者「あ、でもなんだか聖なる力がわいてくる気がする」
国王「まぁ気のせいでないことを祈るがよい」
勇者「御礼に船をくれるそうです」
国王「まぁ当然だろうな」
女王「コレでようやく西の大陸に渡れるのですね」
勇者「女王は船に乗った事はありますか?」
女王「実はないのでございます」
国王「俺は南の国との外交上よく乗るがな」
勇者「誰も聞いてないっす」
女王「船と言ったらあれでございましょう?」
女王「髑髏の旗を掲げるのですよね」
勇者「いや、それは・・・・・・」
国王「ファイガ!」
国王「ふはははは!イカ焼きが出来たぞ!」
女王「まぁ、クラーケンの姿焼ですね」
勇者「ナチュラルにそんなもん出されても」
勇者「てかクラーケンとか結構強い魔物じゃあ」
国王「いまさらクラーケン程度じゃあ驚かん」
勇者「・・・まあそれはいいとして」
勇者「結局海賊旗掲げてるし」
勇者(髑髏にティアラとか海賊全て敵にまわしたかな?)
国王「そろそろだな」
勇者「もう着くんですか?」
国王「いや、大陸ではなく悪魔の三角海域にだ」
勇者「悪魔の三角海域?」
女王「海難事故が多発する、海流が早く霧深い海域です」
女王「あそことあそこ、それとずっと前方にある小さな島を結んだ三角形とちょうど重なるのです」
勇者「そうなんですか」
勇者「あれ?女王は船は初めてじゃ?」
女王「気球で渡った事ならあります」
勇者「じゃあ今回も気球でよかったんじゃ?」
女王「勇者様、旅と言ったら船ですよ」
勇者「そうですか」
国王「霧が深まってきたな」
国王「勇者、手分けして明かりを燈すぞ」
勇者「あいあい」
女王「あら?あれは・・・・・・」
国王「・・・・・・ふむ、亡霊船の類か」
勇者「亡霊船?」
国王「幽霊の船だ、それくらい知っておけ」
勇者「いや、実在するとは思わないし」
女王「逃げられそうにありませんね」
勇者「どうする?」
国王「乗り込んで来た奴を倒せばいい」
国王「敵わないと知ったら引き返すだろう」
勇者「戦いかー」
女王「不服そうですね」
勇者「だって出番ないんだもん」
幽霊「あーー・・・」
女王「ようこそおいでくださいました」スカッ
女王「あら?」
国王「ふむ、実体を持たないか」
国王「だったら俺の独壇場だな」
国王「ブリザガ!」
幽霊「うーー」シュォン
勇者「暇だな」
女王「しりとりでもしましょうか」
国王「まったくもって歯ごたえのない、トルネド!」
国王「どうした、もうおしまいか?」
国王「来ないならこっちから行くぞ!」ダダッ
勇者「ザッハトルテ」
女王「テクネチウム」
勇者「む、む・・・・・・あっ、国王がいない」
女王「本当ですね、乗り込んでいったのでしょう」
勇者「まったく・・・鞭打ち」
女王「知覚過び・・・・・・知覚」
勇者「・・・・・・クチナシ」
国王「いやぁ楽しかった!・・・・・・って、何をしている?」
女王「何をって・・・罰ゲームの肩たたきです」トントン
勇者「女王しりとり弱すぎますよ」
女王「勇者様が只管打座への変更を認めてくださらないから」
勇者「だって五回目ですよ」
国王「なんだっていいが、土産だ」
勇者「おお、まさかこの剣・・・」
女王「伝説の剣でございますね」
国王「感謝しろよ」
勇者「国王が装備すればいいんじゃないっすか?」
国王「俺が装備したって何の役にもたたねぇよ」
勇者「俺より強い」
国王「その俺よりコイツが強い」
女王「はい」ニコッ
勇者「あ、大陸が見えてきた」
国王「海岸線の形からして、おそらく魔法都市のちょうど東当たりだな」
勇者「それはちょうどいいっすね」
女王「魔法都市、とは?」
国王「魔法の研究が盛んな都市だ」
国王「市民の生活から戦闘まで、あらゆる方面に魔法を用いて発展した」
国王「俺の魔法も大半はこの都市から輸入した魔導書によるものだ」
女王「いくら魔法が発展しているとはいえ、土地的には魔王城に最も近い国では?」
国王「ああ、国土の西側大半は魔王に持って行かれたようだ」
勇者「それってかなり危ない国じゃ?」
国王「問題ない、国自体に魔法的な仕掛が施してあってな」
国王「ある魔法を使わない限り干渉出来ないようになっている」
国王「当然、俺は習得済みだ」
勇者「てことはつまり」
国王「道中でお前達にも覚えてもらう」
女王「」
国王「あと二日も歩けば魔法都市に着くぞ」
女王「そうは、いいましても・・・」
国王「勇者だって覚えたんだ、お前だってできるだろう」
女王「わたくしの魔法の腕は、ご存知でしょう?」
国王「ご存知た上で言っているんだ」
国王「それともなんだ?お前はこの程度の魔法も覚えられんのか?」
女王「・・・いいでしょう、そこまで言うなら覚えてみせますとも!」
女王「うぅ・・・」グタッ
国王「どうやればMP3の魔法でMP切れの症状を出せるのか・・・」
勇者「とりあえず宿にいきましょう」
国王「仕方ないな今日は休んで明日議長に挨拶にいこう」
勇者「議長?」
国王「この都市に王はいない、議会の決定が国の決定なんだ」
国王「その議会の長が議長、この国の最高責任者だ」
勇者(これ以上パーティーに王が増えなさそうでなによりだ)
勇者「できる限りの支援はするって」
国王「そうか」
勇者「あとこれを国王に」
女王「それは?」
勇者「対魔王用の魔法の魔導書らしいっす」
勇者「正直効果はあまり高くないらしいっすけど」
国王「まあ無効化されるよりはマシだな」
勇者「魔導書読むだけで魔法って使えるようになるんすか?」
国王「才能あればな」
国王「普通は道中みたいに体に覚えこませるもんだ」
女王「勇者様も読んでみては?」
国王「そうだな」
国王「俺が覚えられなかった回復魔法の魔導書だ」
勇者「そんなんムリでしょう」
国王「大丈夫、俺が回復に向いてないだけだ」
勇者「蘇生はできるくせに・・・」
勇者「・・・覚える以前にこの文字が読めん」
勇者「次はいよいよ魔王城かな?」
女王「たしか噂ではこの先にひとつだけ村があるとか」
勇者「村ですか?」
女王「はい、あくまで噂ですが」
国王「あながち噂ではないかもしれん」
勇者「根拠は?」
国王「魔王の領内だというのにそこまで強い魔物がいない」
勇者「まともな根拠だ」
勇者「あれ、か?」
女王「でしょうかね?」
国王「だろうな」
勇者「何もこんな開けた土地に・・・」
国王「いや、開けた土地だからこそだろう」
女王「確かに奇襲は防げるかも知れませんが・・・」
国王「正面から魔物とやり合ってるってことは」
国王「村人一人一人が歴代の勇者クラスの力を持っているってことか」
勇者「剣を抜かずに魔王城に到達するであろう勇者は俺だけだろうがな」
国王「む、使者か?」
女王「そのようですね」
国王「勇者、対応しろ」
勇者「えぇ~・・・」
勇者「なんか俺を見ただけで勇者だって見抜いてましたよ」
国王「ほう・・・加護を感ぜられる人種か」
女王「わたくし達と同族でしょうか」
勇者「ただいま」
国王「おう、それでこの村の実態はなんだ?」
勇者「村長曰く、ここはかつての勇者一行の村だそうです」
国王「かつての勇者一行?」
勇者「代々の勇者にお供した戦士や魔法使い達の村だと」
女王「・・・英雄になれなかった方々ですか?」
国王「なるほど、討ち死にした勇者一行の生き残りか」
国王「国にも戻れず、こんなところで細々とくらしているのか」
勇者「それと、女王にお土産です」
女王「わたくしに、ですか?」
勇者「かつて村長が使っていた、聖なる力の込められたナイフだそうです」
勇者「これならばわずかながら魔王にもダメージを与えられる、と」
女王「そうですか、ありがたく受け取ります」
国王「さあ、休んだら魔王城へ向かうぞ」
国王「あと少しだ」
勇者「結局一度も剣を抜かずに魔王城に着いてしまった」
勇者「いつの間にかレベルも50だし」
国王「勇者、おいてくぞ」
勇者「そんな殺生な」
女王「ではグリコしながら進みませんか?」
勇者「ラストダンジョンにあるまじき余裕」
勇者「ちよこれいと」
国王「やっと着いたか」
勇者「グリコなんてしてるから」
執事「おや、たったの三人ですか」
勇者「お前は!?」
執事「魔王様に仕えております、執事です」
執事「というか、パーティーの六割が王族って」
勇者「それに突っ込まんでくれ」
執事「まぁ何はともあれ魔王様のところには行かせませんよ」
執事「」ボロボロ
国王「中々やるようだったが、所詮はザコか」
女王「まあまあ楽しませていただきました」
勇者「腕組みしてるだけの簡単なお仕事です」
国王「では先を急ごう、魔王も近いようだしな」
勇者「はー、初戦闘が魔王か」
女王「御不満ですか?」
勇者「不安です」
魔王「よくきたな、勇者よ」
勇者「あ、うん」
魔王「ワシの配下を尽く打ち破るその力量、まさしく勇者に相応しい」
勇者「どもっす」
魔王「勇者よ、お前にひとつ問おう」
勇者「何かな何かな?」
魔王「・・・なにゆえ王族を二人も連れておるのだ?」
勇者「ですよねー」
魔王「まぁよい」
魔王「さあ、その力をワシに示してみよ!」
勇者「いくぞ、まお――」
女王「はぁ!」
ズドドドドドドドド!
勇者「ちょ」
女王「国王!」
国王「ああ、トリプル!」
国王「ホーリー!」
ズバババーン!
勇者「えぇ~・・・」
もわもわもわ
国王「ふ、他愛のない」
女王「お疲れ様でした」
勇者「まじすか・・・」
魔王「・・・フレア」
女王「っ!」ドォォン
国王「女王!?」
魔王「フラッド」
国王「ぐっ!」ドシャア
勇者「国王!女王!」
魔王「少々驚いたが、所詮まがい物」
魔王「致命傷には程遠いわ」
勇者「くそ!」ジャリンッ!
魔王「伝説の剣か」
魔王「見る影もないな、錆び放題ではないか」
勇者「錆びたって、伝説の剣だ!」
魔王「ならば試してみるがよいわ」
魔王「ふん!」
勇者「ぐあぁ!」
勇者「く、くそ・・・!俺じゃあ、勝てないのか・・・?」
女王「勇者、様・・・」
国王「ダメだな・・・勇者は、諦めかけている・・・」
国王「そんなことでは、神の加護はうけられん・・・」
女王「では・・・どうすれば・・・?」
国王「ったく、仕方ないな・・・」
国王「・・・女王」
女王「はい・・・?」
国王「勇者を頼むぞ・・・」
女王「えっ・・・?」
国王「じゃあな・・・」タタッ
女王「国王ッ・・・!?」
魔王「もはやここまでだな、勇者」
勇者「ぐ・・・」
魔王「何か、言い残すこ――」
国王「ホーリー!!」
魔王「ぬ!」ドォン
魔王「貴様・・・殺したはず」
国王「あいにく、丈夫なもんでな・・・ホーリー!」
魔王「ふん」パキィン
魔王「ならば今度こそ殺すまでよ」
勇者「国王・・・?」
国王「思い出せ、勇者!」
国王「俺は最初にお前に言ったはずだ・・・」
国王「お前には素質があると!」
勇者「!」
魔王「くだらん事を・・・すぐに殺してやろう」
国王「なんならもう一度言ってやる、お前には素質がある!」
魔王「対象は、国王ひとり」
国王「自分の素質を、自分を信じろ!」
国王「お前ならやれる!」
魔王「メテオ!」
国王「っ!・・・・・・俺もお前を、信じてるからな」
ズドドドドドドドド・・・・・・
魔王「さて、これでいよいよお前ひとりだな」
魔王「何か言い残す事はあるか?勇者よ」
勇者「・・・・・・」
勇者「正直、俺は自分が本当に勇者なのかわからなかった」
勇者「魔物を倒したこともないし、ましてや剣を抜いたことすらなかった」
魔王「・・・・・・」
勇者「今までの俺は、勇者じゃなかったんだ」
勇者「でも、やっとわかった」
魔王「・・・では問おう、何が勇者か」
勇者「人々に信じられ、仲間に信じられ、そして自分を信じられる者」
勇者「それが勇者・・・」
勇者「俺は、国王を信じきっていた」
勇者「だから、さっきまでの勇者は国王だった」
勇者「けど、国王のおかげで・・・」
勇者「今の勇者は、俺だ!」パァァァ
魔王「伝説の剣が・・・かつての姿を・・・!」
魔王「ぬぐぅ!」ドシャア
チャキッ
勇者「何か、言い残すことは?」
魔王「・・・ふ、はははははは!」
魔王「実に充実した人生だった!何も悔いはない!」
魔王「お前に殺されるならそれもよかろう!」
勇者「そうか、じゃあな」
魔王「ああ、さらばだ」
ズバァ・・・
勇者「女王!」ユサユサ
女王「んぅ・・・まだ、あと一週間・・・くーくー」
勇者「・・・はぁ」
勇者「まぁ、無事ならいいか」
国王「・・・・・・」
勇者「・・・フェニックスの尾を使っても蘇生しない」
勇者「国王・・・」
勇者「・・・・・・」ザッザッ
女王『そうですか、国王は・・・』
勇者「・・・・・・」ザッザッ
女王『国に戻られるのですね』
勇者「・・・・・・」ザッザッ
女王『どうしても辛くて、国に居られないようでしたら、わたくしのところへ来てくださいね』
勇者「・・・・・・」ザッザッ
勇者「そろそろか・・・」
姫「おお!ゆーしゃどのではありませんか!」
勇者「姫、ただいま」
姫「おかえりなのです!」
姫「あらら?あにきぃの姿がみえないようだが」
勇者「・・・・・・」
姫「ほほぅ、あにきぃが死ぬとは珍しいことも」
勇者「え?」
姫「まぁ何はともあってゆーしゃどのは帰ったのだ!」
姫「こよいは宴でないとふぃーばーですぞ!」
勇者「姫、気にしてなかったのか?」
勇者「・・・それも覚悟の上だった、のかな?」
大臣「勇者様、姫を知りませぬか?」
勇者「姫?」
大臣「先程から姿が見えないのでございます」
勇者「あ、じゃあ俺も探します」
大臣「かたじけない」
勇者(ん?この部屋、明かりが・・・)
姫「うぅ・・・ぐすっ」
姫「おにぃさまぁ・・・ぅぐ・・・」
勇者「!!」
姫「ひめが、おにぃさまの代わりに・・・ひくっ」
姫「しっかりしなきゃぁ・・・なのに・・・ぅ」
勇者(・・・やっぱり、いくら姫とはいえ、16の少女・・・)
勇者(たった一人の身内の死は、こたえるよな)
勇者「いいのかな、こんないいベッド」
大臣「よいのです、さぞお疲れでしょう」
大臣「ゆっくりとお休みください」
勇者「・・・ふぅ」ボフッ
姫『おにぃさまぁ・・・ぅぐ・・・』
勇者「・・・・・・寝れるわけねぇっすよ」
勇者「・・・・・・」ギィ
姫「くー・・・くー・・・」
勇者「寝ながら泣いてる、か」
勇者「ごめんよ、姫・・・俺はこの国にいるのが辛すぎる」
勇者「『この世界を平和にしてくるから、もうちょい待っててください』っと」
勇者「国王の形見の剣、返すね」
勇者「待たせてばっかりでごめんな」
勇者「・・・それじゃね、姫」
女王「・・・・・・」
侍女「狩りにはいかれないのです?」
女王「はい、気分が乗りませんので・・・」
侍女「左様ですか・・・」
兵士「女王様!」
女王「どうしたのです?」
兵士「国への横穴にて勇者様を発見しました!」
女王「す、すぐに運び込みなさい!」
女王「目が覚めましたか?」
勇者「・・・あ、女王」
女王「冬の近いこの時期にあの横穴を通るなんて、自殺行為ですよ」
勇者「いや、国王とここを通ったんだよなって思ったら・・・」
女王「・・・国王は、もはや世にはおらぬ人」
女王「それを、今一度心に御刻みください」
勇者「あ、はい」
女王「それに・・・耐えているのは、勇者様だけではございません」ポロポロ
女王「くーくー・・・ぅぅ~、てきーらー・・・」
勇者「女王、酒弱かったんだな」
勇者「テーブルに突っ伏して寝る一国の主・・・」
勇者「・・・」
勇者「・・・ここも、居辛いなぁ」
勇者「どうしても国王を思い出す」
勇者「行くあてがあるとしたら、あそこくらいか・・・」
女王「・・・・・・!」ガバッ
女王「いつの間にか寝てしまったのですね・・・」
女王「ん?手紙・・・」
勇者『すみません、俺にはここも居づらいようです』
勇者『それはきっと、俺は魔王を倒した英雄よりも、国王を救えなかった人間で居たいからでしょう』
勇者『つまりは俺も、英雄にはなれなかったってことです』
勇者『たいへん勝手ですみませんが、もし気が向いたら会いに来て下さい』
女王「・・・・・・そうですか」
その後、平野の国に英雄記念碑が建てられた。
それは自ら魔王討伐に赴く王の勇気と、勇者の凱旋を讃えたものであった。
裏側全面にわたって刻まれたふたりにまつわる物語の最後は、以下のようになっている。
『王は帰らず、勇者はただ去る。幸せを享受せよ。それは王の御霊であり、勇者の全てである。』
-END-
読んでくれたみなさん、ありがとうございます
矛盾はないようにしたつもりです
何か設定などで質問がありましたらお答えします
ちなみに勇者は魔王城近くの村にいきました

