…
※デーモン遺跡※
篝火が燃えている。
ほむら「…」グビグビ
喉が渇く…
篝火に当たり、エスト瓶を満たす。
ソラール「ここを越えればイザリスだな!」
ほむら「…」ジリジリ
至るところでマグマの噴流が起きている。
まどか「ほむらちゃん大丈夫?」
マイヤー「ふぅ…貴公が一番涼しげではあるがな!ガハハ、ハ…」
一同「「暑い…」」
ハモる事で一段と暑さが増した気がする…
元スレ
ほむら「エスト瓶よ」
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/14562/1348745914/
ソラール「…」
ソラール「行くか…」
マイヤー「しかし、この暑さは異常だな…以前はもっと、こう…」
マイヤー「…」
ほむら「どうしたの?」
ジークマイヤーの目線の先、溶岩の海に燃え盛る巨人が居る…
ソラール「体から溶岩が流れ出ているな…」
まどか「彼が原因かな?」
ほむら「随分ナンセンスな話だけど…そうでしょうね…」
マイヤー「ウワッハッハ!ならばあの者をどうにかすれば、以前の気候に戻るやも知れぬ!と言う事だな!」
だだ漏れのマグマは収まるだろうが…
噴流は起きているのだから気温はあまり変わらない気がするのだけど…
…
ほむら「でっかい…」
ソラール「でかいな…」
最下層のドラゴンよりも、さらに大きい…
爛れ続ける者「…」
マイヤー「気付かれては無いな…」
ガラッ
ソラール「!?」
まどか「わ、わわ!」ズルッ
ほむら「まどか!」ガシッ
足場が脆かった様だ…
慌ててまどかの腕を掴む。
まどか「はぁはぁ…ありがと、ほむらちゃん」
ほむら「えぇ…」チラ
爛れ続ける者「…」ジー
ばれた。
マイヤー「ばれたな…」
爛れ続ける者「ォオオォオォォオ!」メキメキメキメキ…
ソラール「来るぞ!一旦下がれ!」
まどか「は、はい!」タタッ
ほむら「あのサイズ…」
銃は愚か、爆弾も効かないだろうし…
爛れ続ける者「!」グググ
ほむら「ちょっ…何かするつもりよ!」タッタッ
ソラール「!?」
爛れ続ける者「ォオオ!?」バンッ
ジャンプした!?
マイヤー「跳んだ!?」
ほむら「まz…
爛れ続ける者「オ?」ズルッ
ヒューーーー…グワガラグワガシャーン
ほむら「…」
ソラール「…」
まどか「…」
マイヤー「…」
マイヤー「落ちたな」
ほむら「落ちたわね…」
ソラール「まぁ、あのサイズで跳べばなぁ…」
足場は崩れる、か…
まどか「マグマに沈んじゃった…」
ほむら「…」
マイヤー「行くか…」
ソラール「…だな」
…
まどか「わわー!見たことあるシルエットが!」ヒュン
山羊頭「…」ズシンズシン
この場所はデーモン遺跡と言うらしい。
ほむら「ソラール!そっち一匹行ったわよ!」
牛頭「…」ドスンドスン
そして、名の通り大量のデーモンが襲いかかってきた…
ソラール「多いな…ジークマイヤー殿!」
マイヤー「ガハハハ!任された!」ガキンッ
流石に4人いる状態でも油断出来ない…
ほむら「…」キョロキョロ
牛頭「…」ドス…バタリ
ほむら「片付いたかしら?」
ソラール「中々の手合いだったな…」ウワッハッハ
まどか「!…ほむらちゃん!」
ほむら「まだ!?」
まどかに視線を移す。
少し困った様な表情。
ほむら「?」
マイヤー「おや?この感じ…むぅ…」
まどか「違うの…ファントムが…」
ほむら「敵は敵じゃない…どうしたの?」
まどか「う、うん…でもこの感じ…こないだの…」
ソラール「こないだの?」
タッタッタ
まどか「あ、やっぱりほら」
さやか「わっはっはー!リッベーンジィィーー!!」タッタッタ
ほむら「さやか…」
刺々の馬鹿が来た…
さやか「おらー!今度こそ人間性をーっ!?…って多っ!?多いなー!」
ソラール「運が無かったな」チャキッ
さやか「ストーップ!多勢は卑怯だよ?さやかちゃん泣いちゃうぞ!?…1対1だ!1対1を所望する!」
ほむら「じゃあ私がやるわ…知り合いだし…」
まどか「ソラールさん、ほむらちゃんに任せて大丈夫だから…」ティヒヒ
マイヤー「なんじゃ知り合いか…ガハハ」
ソラール「ほむらの知り合いは、変わった連中が多いな!」ウワッハッハ
アッハッハッハ…
さやか「…」
さやか「なんだ…このフワフワした空気は…」ギリギリ
ほむら「はいはい、さっさとやるわよ…」ゴソゴソ
さやか「あっ!駄目ーっ!」
ほむら「?」
さやか「黒いのだろ!黒いのは禁止!」
ほむら「…構わないけど」
ソラール「凄い奴だな…正直と言うか…」
さやか「本当だな?聞いたからな?」
ほむら「えぇ…使わないわよ?だから、さっさとやりましょ?」
さやか「わははー!愚か者めー、そんな状態でさやかちゃんに…
カチッ…カチッ
さやか「…あ?あれ?愚か者は?」キョロキョロ
ほむら「隣よ?あと愚か者じゃ無くて私はほむら…」ニコ
さやか「ぴゃー!?」
ほむら「…」ケリッ
さやか「ああぁァァー…
火口に落ちていく…
ほむら「他愛も無いわね…あれ?さやかの剣が落ちてる…」ヒョイ
ソラール「色々と酷かったな…」
まどか「悪い人じゃ無さそうなんだけど…」
マイヤー「ガハハハ!まぁ良い!行くぞ!」
…
デーモンを倒しつつ下に下に降りて行く…
ほむら「暑いわ…」ジリジリ
ほむら「…あと」
ソラール「?」
ほむら「最下層ってあったわよね?」
ほむら「…はるか上に」
まどか「そうだね…」
ほむら「何をもって最下層なのか、名付けた奴に小一時間聞きたくなるわね…」
マイヤー「まぁそうイライラするな!」ガハハ
ソラール「ほら、建物に入れそうだぞ」
ほむら「ほっ、熱風が防げるだけでも助かるわ…」
…
ブォオオオ…
デーモンの炎司祭(以下、炎司祭)「オォァオオ!!」
熱風が吹き荒れる…
ほむら「こんな事だと思ったわ…」ダラダラ
マイヤー「大丈夫だ!こやつを叩けば涼しくなるぞ!」
ほむら「もう騙されないわよ」
ほむら「まぁ、倒すけど…」
ソラール「しかし、燃えてて近付けんぞ?俺の雷も残弾は少ないしな…」
ほむら「よし、まどか!手を!」ギュッ
まどか「へ?」
カチッ
まどか「…」
まどか「!?…あれ?オーンスタインさんの時の?」
ほむら「暑くて敵わないから、ありったけの魔法をあいつに当ててくれない?」
まどか「あっ、うん」シュルル
ほむら「…」パスパスパスパスパスパス…
キュウゥン…シュルル…シュルル…シュルル…シュルル…
パスパスパスパスパスパスパスパスパスパス…
ほむら「…もう良いわよ」
まどか「…これは」
カチッ
炎司祭「!?」
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド…
ソラール「!?」
マイヤー「!?」
デーモンはピクリとも動かなくなった。
まどか「ほむらちゃん…その魔法凄すぎるよ…」
ほむら「そう?」
ソラール「何度見ても慣れんな…仕組みも解らんし…」
…
ソラール「なるほど…ほむらしか使えんのは救いだな…」
マイヤー「触れていれば、魔法の影響を受けないのか…いややや?受けるのか?」ムーン
ほむら「受ける、が正しいわね…あら?」
道が上下に別れている。
ほむら「ほむ…」スタスタ
まどか「ほむらちゃん…上が正解なの?」
ほむら「涼しいからよ…」スタスタ
ソラール「…」
まどか「…」
マイヤー「ガハハハ!儂も涼しいほうが良いな!」スタスタ
…
ほむら「…」
クラーグ「…」
ほむら「…」ペコリ
クラーグ「…」ペコリ
ほむら「それっぽい台座だから、当たりだと思ったのに…」
まどか「まさか、クラーグさんの住処に出るエレベーターなんて…」
エンジー「またお主らか…そこはイザリスとここを繋ぐ、クラーグ様達の抜け道じゃ」
マイヤー「ならば初めからここを使えば良かったな!ガハハハ!」
ほむら「言っちゃった…」
エンジー「お主らイザリスに向かうのか?」
まどか「はい、そうです」
エンジー「なら、もう一つ抜け道があるから、そこを使ったらえぇ」
エンジー「あ…じゃが塞がれとったかの?」
ほむら「じゃあ駄目じゃない…」
エンジー「とりあえず、行ってみぃ…場所は…」
クラーグ「?」ジー
マイヤー「?」
まどか「玉葱じゃ無いですよ?」
クラーグ「…」
マイヤー「…食うなよ?」
…
ほむら「言ってたのは、この先よね?」
エンジーに言われた場所に向かうことにした。
まどか「確かに空気は流れてくるね…」
涼しい…
ほむら「あら?誰かしら?」
通路の縁に人が座っている。
ソラール「この先に誰か居るのか?」
マイヤー「暗くてなんも見えん…」
ほむら「あ、いやそこの縁に…」
まどか「…?」ジー
ほむら「え?そんな目を凝らす様な距離じゃ…」
?「ほぅ私が見えるのか?」
ほむら「!?」
頭に直接響くような声…
静かな、優しい声だ…
まどか「ほむらちゃん?」
ほむら「少し待ってて、ね?」スタスタ
ソラール「?」
ほむら「貴女は、どちら様?」
クラーナ「私はクラーナ…」
クラーナ「お前たちを何度か見たよ…」
ほむら「?」
クラーナ「姉を殺さずに居てくれてありがとう…」
ほむら「姉?」
クラーナ「クラーグだ…向こうの娘には妹も世話になっているみたいだが…」フフ
ほむら「クラーグの…」
ほむら「貴女は…人間なのね…」
クラーナ「姿はな…お陰で酷く不安定な存在になってしまった…」
クラーナ「皆を見捨てて逃げた罰…だろうな」
ほむら「…」
クラーナ「お前に見えた事は幸いだな…孤独を感じなくて済む…しかし、何故だろうな…遥か昔にも一人居たが…」
ほむら「さぁ…」
ほむら「…似たような罪があるから、かしらね…」
クラーナ「おもしろい事を言うな…お前は」フフ
クラーナ「クラーグの命の礼もある…この先を開放してやろう…」
ほむら「あら、ありがとう」
まどか「誰か居るの?」ヒョコ
まどかが様子を見に来た。
ほむら「えぇ…クラーグの姉妹のクラーナよ?」
手で座っている場所を示す。
まどか「見えなくてごめんなさい。初めましてクラーナさん」ペコリ
ほむら「信じるのね…見えないのに…」
まどか「ほむらちゃんが嘘言わない顔だったから…」ティヒヒ
クラーナ「…」
クラーナ「ふふふ…お前は、この世界に似つかわしく無いな…」
ほむら「よく言われるわ…」クス
ほむら「まどか、この先に案内してくれるそうよ?ソラールに伝えてもらえる?」
まどか「やった!教えて来るね!」
クラーナ「ふふ…おもしろい連中だ…」
…
道の先は行き止まりだ…
ほむら「本当にここ?」
クラーナ「あぁ」ピト
ゴゴゴゴ…
まどか「壁が…」
マイヤー「ガハハハ!凄いものだな!」
壁が動き、道が拓けた…
クラーナ「まっすぐ向かえば、イザリスの中心に着く…そこにイザリスの末路がある」
クラーナ「私が終わらせねばならぬ相手だった…」
クラーナ「…すまない」
ほむら「…」
まどか「なんか、たくさん虫がいるね…」
たしかに、30cmくらいの虫がピョンピョンと跳び跳ねている…
クラーナ「あぁ、太陽虫か」
ほむら「太陽虫…と言うらしいわよ?」
ソラール「なんだと!?」ガシッ
ほむら「ソラール!?」
凄い力で肩を掴まれた…
痛い…
ソラール「こいつらが!?こんな…こんな奴らがそうなのか!?」グググ
ほむら「ク、クラーナが言うには…そうらしいわ…」
ソラール「こんな…」ペタン
床にへたり込んでしまった。
ソラール「こんなモノが…太陽…」
ソラール「俺の太陽…太陽よぅ…」
まどか「ソラールさん…太陽虫を探していたんですか?」
ソラール「…」
ソラール「ロードランが最後の希望だった」
ソラール「太陽の名を冠した…光輝く生物がいると…」ザクッ
太陽虫の一匹を仕留める…
それはぼんやりと光り、消えた。
ソラール「こんな道一つ、照らせない脆弱な光とは…な…」
マイヤー「…」
ほむら「ソラール…」
ソラール「…大丈夫だ…だが、少し…一人にしてくれないか?」
ほむら「…」
ほむら「じゃあ、先に行ってるわね…」
クラーナ「この男は私が見ていよう…どうせこの先に私は踏み入れん」
ほむら「そう…助かるわ」
クラーナ「何、ついでだ…知った者に何かあっては寝覚めが悪くなるしな…」
ほむら「ありがとう…クラーナも気を付けて…」ボソ
まどか「待ってますから…ソラールさん…」
ソラール「…」
…
※混沌の廃都イザリス※
ほむら「…」ヌラ
まどか「…その亡者は…知り合い?」
マイヤー「貴公か言うから、手は出さずにいたが…何なのだ?」
ほむら「たぶん…クラーグ達の姉妹…」
まどか「あ…」
クラーナと同じ装束の亡者に教われた…
もしかすると、クラーナの体だったのかも知れない…
今はそれを確認する術は無いけれど…
ほむら「…彼女達は助かっただけ、他の姉妹よりもマシだと考えたのかしら…」
まどか「でも、それは…」
マイヤー「む!?」チャキッ
まどか「…っ!ファントム!」
まどか「…あれ?またこの感じ?」
ほむら「?」
まどか「ほら!」
振り向くと、さやかがソロソロと近付いてきていた。
スタスタスタ…
さやか「…」キョロキョロ
なにか様子がおかしい…
ほむら「さやか?」
さやか「…ほむら…だっけ?」
ほむら「えぇそうよ」
さやか「私の剣、知らない?」
ほむら「…」ゴソゴソ
ほむら「これ?」ヒョイ
さやか「やっぱり!あの後、崖ん所で必死に探したんだからな!」
さやか「返せ!返せよ!それはさやかちゃんの物だぞ!」ムキー
ほむら「どおぞ」ポイ
さやか「…」
さやか「あり?」
ほむら「何よ?」
さやか「いや、返してくれないと思ってたから…」
ほむら「要らないわよ、そんな小汚い剣…」
さやか「ムキーッ!言い方があるだろ!」
まどか「まぁまぁ」
さやか「あんた誰さ」
まどか「まどかです。よろしくお願いします」ペコリ
さやか「これはこれは、ほむらとは大違いだね」ハッハッハ
ほむら「…」イラッ
まどか「そんな事ないです!その剣を使うつもり無いのに拾った理由を考えてみて下さい!」
さやか「…」
さやか「おや?」
さやか「ままま、まさか…さやかちゃんに返すため?」
まどか「きっとそうです!」ティヒヒ
違う…
断じて違う…
さやか「なんだー…ほむらはツンデレちゃんだったのかー!」
ほむら「違うわよ?消し飛ばすわよ?」
さやか「照れるなってー!さやかちゃんの嫁になるが良いぞ?」ハッハッハ
まどか「…」ムッ
ほむら「…」ゴソゴソ
さやか「本当ありがとね!この剣、思い出の品だったからさー!お礼に情熱的なベーゼを…」
ほむら「…」バンッ
さやか「いやはやツンデレすなぁ…シュウウ…
マイヤー「…」
マイヤー「今度は盾を落としてったぞ…」
ほむら「…」
まどか「拾わないの?」
マイヤー「拾わんのか?」
ほむら「…」ハァ
ほむら「…」イソイソ…ゴソゴソ
まどか「…」ウェヒヒ
マイヤー「さて、と…この先だな…」
ほむら「随分、急な下りね…まるで滑り台だわ…」
まどか「何事も無く、ソウルが回収出来れば良いけど…」
ガシャ…ガシャ…
マイヤー「なぁに…」チラ
マイヤー「この4人なら大抵の事は切り抜けられるわ!ガハハハ!」
ほむら「そうね…頼らせて貰うわ」
まどか「あ…えと…そ、そうだね!」チラ
ソラール「ウワッハッハ!まぁ任せてくれ!」
ほむら「当たり前よ…大部分は貴方に任せるわ」
ソラール「まじか…」
ほむら「遅れて来た罰よ」
まどか「てぃひひ…行こう!」
マイヤー「ガハハハ!」
…
シューーー…ズザッ
坂を下る…
パキ…パキパキパキ…
目の前に現れたのは巨大な樹木…
ほむら「これが王?」
まどか「そう、だね…」
パキ…パキパキパキ…ズザザザザ…
まどか「根本に安置された遺体がこの樹を動かしてるんだって…」ヒョイ
ソラール「クラーグ達から聞いたのか?」
まどか「うん…」
パキパキ…パキパキパキ…ズザ…
マイヤー「しかし、ヘンテコなキラキラが邪魔をして入れんなぁ…」ガキン
動きが単調だから避けるのは難しく無いけど…
ほむら「どうやって、根本にたどり着くかよね…」
パキ…パキパキ…ズザッ
ソラール「このサイドの根は叩き切れれな…」ザクッ
パキパキ…ズザザザザ…
ほむら「この端の根だけはバリアが無いのね…」スパスパ
ソラール「なんじゃこれ?」バキッ
ぼんやり光る幹がある…
ほむら「怪しさが溢れてるわね…」パキン
幹をへし折ると光が弾けて消えた。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…
マイヤー「な、なんと…床が!?」
まどか「床が落ちてく?わわ、わ!」ガシッ
ソラール「ウワッハッハ!しかし、主幹の防壁は無くなったようだな!」ガシッ
マイヤー「ガハハハ!ならば根を這い上がり、遺体に向かうのだな!」ガシッ…ヨジヨジ
ほむら「…なるほどね」ワシッ…バッ
こうなれば、私の身軽さが役に立つ…
ほむら「…」
ほむら「酷いものね…」ザクッ
太陽虫もろとも遺体に剣を突き立てる…
あっさりと樹木は静寂に還って行く…
こんなにも脆い遺体が、呪いを吐き、クラーグ達を生んだのかと思うと…
…少し、怖くなった。
※info※
■ほむら
武器:ショートソード+5/ライトクロスボウ+8
:砂時計の盾/棘の盾
装備:魔法少女一式
魔法:時間停止
■まどか
武器:ロングボウ+5/魔術師の杖
:レザーシールド+5
装備:薄汚れた一式+2/老魔女の指輪
魔法:ソウルの矢/ソウルの太矢/音送り
■ソラール
武器:太陽の直剣+10/太陽のタリスマン
:太陽の盾+10
装備:鉄の一式+5/黒焦げた橙の指環
魔法:雷の槍/大回復
■ジークマイヤー
武器:ツヴァイヘンダー+5
:ピアスシールド+2
装備:カタリナ一式/青い涙石の指環
魔法:無し
※info※
…
※火継ぎの祭祀場※
マミ「あら、遅かったわね?」
ほむら「貴女達が早いのよ…」
祭祀場に戻ると、書庫に向かったマミ達がくつろいでいた。
マミ「皆無事のようね!さすがアケミさん!」
ほむら「?…ローガンとグレッグスは?」
ニート「あぁ…あいつらか…」
マミ「…」
ほむら「まさか…死んだの?」
ローガン「勝手に殺さんでくれ…」
岩影から二人が出てきた。
ほむら「おどかさないでよ…」
マミ「驚いたのは、私達だわ…」
ニート「まったくだ…あの岩影を覗いてみな…」ハァ
ほむら「?」スタスタ…ヒョイ
ほむら「ぶっ!?」
グリッグス「あ、ご無事でしたか」ペコリ
目の前に広がる、グリッグスと大量の本、本、本…
ほむら「な、何よこれ?」
マミ「帰りにね、ローガンさんが戻りたくないって駄々こねだして…説得も聞いてくれないし…」
ニート「めんどくせぇから、置いて行こうって話してたんだが…」
マミ「祭祀場で落ち着いて本を読みたい派のグリッグスが帰り際に幾つか持ち出したの…」
ほむら「いや、グリッグス…そこは師匠と残りなさいよ…」
グリッグス「いえいえ!私は師を居場所を確認に来ただけで、心中に来た訳ではありませんから」
ローガン「…」
グリッグス「私は、安全な場所で知識を深めたいのです」ウンウン
マミ「まぁ、その本の中にローガンさんのお目当ての物もあってね…」
まどか「揉めたんだね…」ティヒヒ
マミ「言葉だと一言だけど揉めに揉めたのよ」
ニート「ドン引きするほどな…」
マミ「最終的に読みたい蔵書を全て持って帰る方向で話がついたのだけど…」
ソラール「それがこれ、か」
ニート「運んだのは俺達だしな…」
マミ「そうなのよ!そこなのよ!」プンプン
マイヤー「なるほどなぁ…」ガハハ
ニート「笑えねぇよ…」
…
まどかはまたローガン達と話し込んでいる。
ほむら「とにかく、あと二つよね…」
ソラール「だな…」
ほむら「貴方は平気なの?…その…」
ソラール「探し物の話か?」
ほむら「…えぇ」
ソラール「ウワッハッハ!気にするな!」
ソラール「正直な…ショックではあったが、すぐに喪失感は無くなったんだ…」
ソラール「むしろ、その事に驚いてな…俺の太陽への執着はこの程度の物なのか?とな…」
ほむら「…答えは出たの?」
ソラール「さてな…」ウワッハッハ
タッタッタッ…ガサッ…
ペトルス「…ここでしたか…」
ほむら「ペトルス…さん?」
ほむら「墓地の方に向かったと聞きましたけど…?」
ペトルス「そうです…そうだったのですが…」
ソラール「?」
ペトルス「仲間とはぐれてしまいまして…祭祀場に戻っては居ないかと…」
ほむら「…」チラ
ソラール「…」フルフル
ほむら「見てないわ」
ペトルス「あぁ…何と言うことだ…調子づいて巨人墓地まで踏み込んだばかりに…」
ペトルス「戻ってないとすれば、もはや手遅れでしょう…嘆かわしい事だ…」
ほむら「私達も今から墓地に向かうつもりですが…居なくなったのは何人です?」
ペトルス「!?…今から向かわれるのですか?」
ほむら「えぇ…何か?」
ソラール「…」
ペトルス「はぐれたのは3人、です」
ほむら「探してみます、それとも一緒に行きますか?」
ペトルス「い、いえ…私は…」
目を伏せる…
恐怖?
何があるのだろう…
ほむら「では、私達で探しますので…」ニコ
ペトルス「…お願い…致します」
ソラール「…」
…
まどか「あと二つ、深淵と墓地だよ」
ニート「あの馬鹿二人は本に齧りついてるぜ?」
ほむら「あれ?ジークマイヤーは?」
マミ「あぁ…言ってなかったわね…書庫に行った時にね?…娘さんに会ったの」
ほむら「娘?」
ほむら「娘!?…娘なんていたの?」
ニート「あぁいたんだとよ…で、フラムトん所で何やら話してる…」
まどか「ジークリンデさんだって!ほむらちゃんも後で挨拶に行こう?」
ほむら「そう、ね…」
じゃあ、ジークマイヤーも待機かしら…
ほむら「とりあえず、墓地に行きたいの…はぐれた人が居るみたいだし」
まどか「そうだね…でもそうなると深淵は後回しかな?」
ニート「いや、俺がいく…」
ほむら「ニートが?」
ニート「俺は小ロンドに向かうまでは、順調に各地を歩いてたんでな…」
ニート「やる気ついでに、色々取り戻すさ…」
マミ「たしかに墓地は足場が狭いから多勢で向かうのもどうかと思うわ…」
ソラール「だったら、俺も深淵に向かおう…アルトリウスの足跡を辿るのも悪くない」
ほむら「じゃあ、墓地は私とまどか…?」
マミ「と、私ね!」ニコニコ
ほむら「ソラールはそれで良い?」
ソラール「構わんぞ?」
ラレン「何なら俺が行こうか?」
ほむら「あら、助けてくれるの?」
ラレン「呪術の調整も終わったしな、後は実践ってな…深淵歩き…付き合うぜ?」
マミ「ふふ…決まりね!」
…
フラムト「あり得ん…」ムムム
マイヤー「…」
ジークリンデ(以下リンデ)「…」
フラムト「玉葱が分裂した…」
マイヤー「…」ガチャガチャ
リンデ「…」ガチャガチャ
フラムト「たっ!玉葱が!震動しとる!」
ほむら「…」
フラムトの前で鎧を揺らしてる…
まどか「うぇひー」
ほむら「何してるのよ…貴方達…」
マイヤー「おおっ!?」ガチャ
リンデ「!…」///
マイヤー「なんだ貴公か!紹介しよう!娘のリンだ!…どうした?話していたほむらだぞ?」
リンデ「…ジークリンデと申します。申し訳ありません、父が随分とご迷惑をかけたようで…」ペコリ
ほむら「これはこれは御丁寧に…」ペコリ
まどか「ジークマイヤーさんには沢山助けて頂きましたよ?」
リンデ「あら?そうでしたか?」
マイヤー「言ったではないか!このジークマイヤーの剣技、リンにも見せたかったものだ!」
リン「もう、父さん?社交辞令を真面目に受け取るものでは無いのよ?…すぐ調子に乗るんだから…」
マイヤー「むぅ…」
ほむら「残りのソウルを見つけてくるわ…二人はこれからどうするの?」
リンデ「私は父に従います」
マイヤー「まだ決めてはおらんなぁ…」ガハハ
ほむら「だったら…
まどか「でしたら、私達が戻るまで…ここに居てもらえませんか?」
ほむら「?」
マイヤー「むーん…むぅ…」
ほむら「ひ、火防女の事もあるし私からもお願いしたいのだけど…」
マイヤー「おぉ、なるほどそうか!…あいわかった!篝火の番でもしておくとしよう!」
ほむら「ありがとう、助かるわ。ジークリンデさんも宜しくね?」
まどか「…」ホッ
ほむら「…」
…
マミ「こっちよ!」フンフーン
フラムトの場所から墓地に抜ける…
この先から地下に入れるようだ…
ほむら「地下だらけよね?この大陸…」
まどか「そうだね」
マミ「…」フンフフーン
まどか「マミさん機嫌良いね」
ほむら「確かに…」
ドタタタタタ…
マミ「誰!?」
走る音が近付いてくる…
さやか「見ーつーけーたーぞーっ!」ドタタァ
さやかだ…
兜で顔がよく見えないが、涙声なのは何故だろう?
ほむら「久しぶりね」ゴソゴソ
さやか「ストーップ!生身!今生身だから!」
ほむら「知ってるわ、冗談よ?」
まどか「どうしたんですか?」
さやか「…」グスッ
さやか「盾…返して…」
ほむら「はい」ポイッ
さやか「やたー!ありがとーほむらー!」
マミ「アケミさん?もしかして彼女…」
ほむら「…前世組よ」
マミ「あらやだ」キャー
さやか「いやー、いつもの調子で防御したらさー、盾ないじゃん?」
まどか「うぇひー」
さやか「…ようやく行く先々で、亡者にボッコスコにされる日々とはおさらばだー!」
さやか「しっかし、襲い掛かる私をねじ伏せたのに、何も奪わないなんてね!そんなやつぁ初めてですよ!」
ほむら「まぁ、貴女は驚異でも無かったし…」
さやか「そう言うほむらも胸囲は無さそうですなぁ」ハッハッハ
ほむら「…」イラッ
まどか「…」ショボーン
マミ「…」ボイーン
さやか「はっ!?」
マミ「…」ボインゴ
さやか「なんだあの化物は…」ガクガク
ほむら「コントは済んだ?…じゃあもう行くわね…」スタスタ
さやか「マジ!?ちょっ、ちょっと話くらいしようよー!」スタスタ
まどか「…仲良いですね…」
マミ「確かにね…前世では親友かしらね?」
まどか「むー…」
ほむら「えっ!?付いてくるの?」
さやか「オマケみたいに言うなー!私は強いんだぞ!」
心が安らぐ…
…穏やかな日々を思い出す。
※info※
■ほむら
武器:ショートソード+5/ライトクロスボウ+10
:砂時計の盾
装備:魔法少女一式
魔法:時間停止
■まどか
武器:ロングボウ+5/魔術師の杖
:レザーシールド+5
装備:薄汚れた一式+5/老魔女の指輪
魔法:ソウルの槍/ソウルの結晶槍
:追尾するソウルの塊/強い魔法の盾
■マミ
武器:肉断ち包丁+5/呪術の火+10
:木板の盾
装備:ずた袋のみ+10/錆びた鉄輪
魔法:毒の霧/鉄の体
:激しい発汗/内なる大力
■さやか
武器:棘の直剣+5
:棘の盾
装備:棘一式/毒噛みの指輪
魔法:無し
※info※
…
※地下墓地※
ほむら「…」スタスタ
ゴチン
さやか「イタッ!」グラ…ワシッ
マミ「誰よ!変なとこ触らないの!」
まどか「落ち着いて…落ち着いてくださいね?真横崖だよ?」ソロソロ
ほむら「…」
さやか「…」
まどか「…」
マミ「…」
ほむら「暗いのよ!」
マミ「!?」ビクッ
ほむら「若干見えるけど、動きやすい環境では無いわ…」
さやか「確かにね…こりゃランタン使った方が良いかも…」
まどか「あれば使うんだけど…」ウェヒヒ
さやか「?…さやかちゃんが持ってるよ?」
マミ「…」
ほむら「…」
…
ペッカー
さやか「何も殴らなくても良くない?」ヒリヒリ
ほむら「っと…貴女との掛け合いは常に実力行使だったわ」ズババッ
マミ「前世から変わらないやり取りなのね!素晴らしいわ!」
さやか「前世?…ねぇまどか…あの、マミさん?だっけ?…ちょいちょい挟んでくるけど何なの?」ヒソヒソ
まどか「うぇひー」
さやか「やっぱ、胸でかいと頭に栄養が行かないのかね…」
マミ「貴女に言われたくはありません!」
さやか「やべ聞こえてた!?まどかガード!」
まどか「ひゃっ!?」
キャイキャイ…
ほむら「…」ザシュ…ケリッ
最後のスケルトンを崖に落とす…
ほむら「…手伝いなさいよ」
…
外と中の出入りを繰り返す為、一向に暗闇に慣れない…
ほむら「下り階段かしら…?」
ほむら「暗くなってるから、足下に気を付けてね?」
マミ「えぇ」
まどか「はーい!」
ほむら「…」
ほむら「暗いわよ?さやかが先頭に…さやかは?」
マミ「あら?」キョロキョロ
まどか「いないね」
ほむら「…」
ランタンが居なくなった…
ほむら「とりあえず、ゆっくり下に向かうわよ…」
マミ「さやかさーん!」
ヤカサー…カサー…サー…サー…
道は真っ暗だ…
まどか「さやかちゃーん!」
ヤカチャー…カチャー…チャー…チャー…
タースケチクリーー…
まどか「居た!い、今声が!」
ほむら「今の聞こえかただと何処に居るか特定できないわ、まどか…とりあえず落ち着いて…
まどか「いったい何処から声g…ズルッ
マミ「まどかさん!?」
ウェヒー…ドサッ
ほむら「だから言ったのにーっ!」
ッタノニー…タノニー…ノニー…ニー…ニー…ニー…
ほむら「…」ゴクリ
ほむら「ま、まどかー?」
ホムラチャ…ズルッ…ウェヒー…
ほむら「…」
マミ「さらに落ちたわね」
マミ「…行くの?」
ほむら「行くわよ…もう慣れたわ…」
底は暗く見えない…
私は慣れた…私は慣れた…私は慣れた…
ほむら「えいっ」ピョン
マミ「死にませんように…」ピョン
…
カツーン…カツーン…カツーン…
バモス「ほれ」
大柄な骸骨から打ち直した武器を受け取る。
落ちていくまどかを追って飛び込んだ先に鍛冶屋を見つけた…
ただの鍛冶屋なら安心するところだが、もろ骸骨フェイスのバモスに迎えられ…
…大騒ぎした。
まどか「バモスさん、五月蝿くしてすみませんでした…」
ほむら「骸骨感が有りすぎなのよ…」
マミ「もう、アケミさん!」
ほむら「一番騒いだのはマミ、貴女よ?」
マミ「…」///
バモス「何でもえぇから、はよどっか行け」
バモス「気が散るワイ」カツーン…カツーン…
まどか「失礼しました」
ほむら「バモスー、出口は何処かしら?見当たらないけど?」キョロキョロ
マミ「この壁脆そうだけど、ぶち抜いて良いの?」
まどか「ちょっと、二人とも!」
バモス「五月蝿いやっちゃ…」フゥ
バモス「その辺の壁を崩して出ていけ」
まどか「あ、それで良いんだ」
バモス「お前も出ていけ…」
まどか「はい!ありがとうございました」ペコリ
バモス「何もしとらん」カツーン…カツーン…
…
壁を壊して外に出た…
目の前に大きめの空洞が広がる。
そして…
カンカンカンカンカンカンカンカンカン…
車輪をつけた骸骨が壁に向かって突進を続けていた…
さやか「ややっ!ほーむらー!マミさーん!助けてー!」ブンブン
マミ「高台にさやかさんが…」
ほむら「なるほど、骸骨の狙いはさやかか…」
まどか「早く助けないと!」キリキリ
ほむら「貴女、今までそれで、よく生きてたわね…」パスパス
さやか「へへへ」///
マミ「誉めてないのよ?」
…
横たわる夥しい骸骨…
ほむら「ふぅ、終わったわ…降りてきなさい?」
さやか「…」
マミ「どうしたの?」
さやか「あ、いやー…ここにサイン見つけまして…」
まどか「召喚サイン?」
さやか「そだよ?」
じゃあ、それに助けて貰いなさいよ…
ほむら「なるほど、さやかを生かしてきたのは運ね…」
マミ「確かに…」
私の知ってるさやかより、格段に運が良さそうだ…
まどか「不死人になった時点で、幸運でない気はするけど…」
前言撤回…
明るく振る舞う事で、状況に潰されないよう生きてきたのかも知れない…
ほむら「なんだかんだ、心も安定してるしね…」
この世界のマミやさやかだったら…
まどか「?」
ペカー…
ほむら「!?…ちょっと何してるのよ?」
さやか「いやー、折角だから呼びだしてみようかと…」
マミ「この先に何か居るのかしら?」
さやか「そこも教えてもらいましょう!」
シュウウ…
ほむら「…!」
この世界が覚悟を強めるなら…
彼女はどちらに転んだのか…
ほむら「…杏子」
キョウコ「ん?…今、あたしの名前呼んだか?」シュウウ…
さやかと共に降りてくる。
キョウコ「どっかで会ったっけ?」
ほむら「いえ、初めまして…名前を当てるのが得意なの」
キョウコ「はっはっは、そりゃ役に立たねぇ特技だね」ニコ
キョウコ「しっかし、4人か…」
マミ「えっと、キョウコさんで良いの?」
まどか「宜しくお願いします」ペコリ
キョウコ「畏まらなくて良いよ…あたしはキョウコだ。宜しく」
さやか「私、さやか!宜しくねキョウコ!」
キョウコ「まぁ、取り合えず目的を果たそうぜ?あたしの時間は限られてるし…」ニコ
ほむら「…」
ほむら「そうね…行きましょ?」
…
マミ「この先?」
キョウコ「あぁ、厄介な奴が住んでんだが…少し前に不死人を取り逃がしたとかでぶちギレてんだよね…」
さやか「不死人捕まえて何すんのさ?」
キョウコ「実験だってさ…切ったり貼ったり…」ペラペラ
さやか「…聞かなきゃ良かった」
まどか「これだけ居れば大丈夫だよね?」
キョウコ「ま、楽勝っしょ?」ニコ
ほむら「先に行くわね」タッ
マミ「気合い入れなきゃ」タッ
…
薄暗い部屋の奥にぼこぼこと蠢く塊がある…
塊はゆっくりと体を反転させ、三つの顔を覗かせた。
三人羽織「キョキョキョキョキョキョ!」
さやか「うげ、変なのがいる」
ほむら「とっとと殺るわよ」パスパス
ブスブス…
三人羽織「!?」パァァ…
矢が刺さったとたん、塊が消えた…
ほむら「どこに…」キョロキョロ
マミ「さやかさん!後ろよ!」
さやか「ほぁっ!?」ガキン
まどか「ほむらちゃん!隣に現れたよ!」
ほむら「なっ?」バッ
キョウコ「分身してんなぁ…おらっ」ブン
杏子の振りかぶる一撃が幾つかの塊を霧散させる。
キョウコ「ま、殴ってきゃいずれ本物に当たるってね?」
さやか「なーる!」ズバッ
三人羽織「!?」ブシュ
さやか「本物だー!これ!これ本物ー!」ザックー
ほむら「五月蝿いわね…」パスパス
まどか「てぃひひ」シュルル…バァン…
マミ「なるほど…良くも悪くも引きが強いわ…」
キョウコ「あたし要らねーなぁ、楽に稼げるってな良いねぇ」ハッハッハ
…
マミ「凄い…注ぎ火と呪いに関してここまで研究してるなんて…」
まどか「そうですね…やっぱり、そう…なんだ…」
まどか「でも…」
まどか「…それだけ犠牲になった人達も…」ギュ
キョウコ「…じゃ、あたしは行くよ?」ニコ
シュウウ…
ほむら「…」
ほむら「…助かったわ、ありがとう」ニコ
キョウコ「あたしも、ここに来たばっかで心細いしな…また、どっかで会おうなぁ」
シュウウ…
さやか「行っちゃった。良い奴だったね」ハハハ
ほむら「…」
マミ「この先が巨人墓場よ?」
ほむら「ペトルスの言ってた場所ね…」
全員無事だと良いけれど…
横目には祈りを捧げるまどか…
さやか「まどかって魔術師だよね?グウィンの信仰って訳じゃ無さそうだし…」
マミ「まどかさんの祈りは白教のモノでも無いのよね…」
ほむら「?…どういう意味?」
マミ「…いえ、彼女は何に祈りを捧げてるのかと、ね?」
ほむら「死者を弔うのに、祈る相手なんて考えてないわよ…まどかの祈りはそういう類いのモノでは無いわ」
マミ「そう…そんな考え方もあるのね」
…
※巨人墓場※
地下墓地よりも遥かに暗い…
何も見えない…
ほむら「さやかしか見えないわ…」
さやか「うっひょー!殺し文句ですなぁ…」
突っ込む気も起きない。
マミ「み、皆居る?」
まどか「いますよ?」
マミ「本物よね?実は声だけ聞こえてて実物は…なんて事無い?」
ほむら「怖い事言わないでよ」
さやか「光輝く私についてくるのだー!」
さやか「…おや?」
ほむら「何?」
さやか「道が無いけど、どーすんのさ?」
確かに柱の様な物が倒れてるだけで崖になってる…
ほむら「柱は根本があるからここに倒れてるのよね?」
さやか「まじ?」
ほむら「私から行くわ…大丈夫なら合図を送るから…」ズッ…
まどか「ほむらちゃんって全然躊躇わないよね…」
マミ「不死人で無いのを忘れそうになるわ…」
さやか「え!?ほむら呪われてないの!?」
余計な事を…
ズッ…ズッ…ズザザ
ほむら「ふぅ、大丈夫よ。そんなに高さも無いわ」
まどか「良かった…」ズザザ
さやか「ねぇ?あんたは何でここに来たのさ?」ズザァ
ほむら「ロードランにって事?」
さやか「ん」コク
ほむら「何で知りたいのよ?」
さやか「いいじゃーん!教えなよー!」ペシペシ
ほら、うざい。
ほむら「盾の仕掛けを元に戻したいのよ…」
さやか「ふーん」
まどか「…」
…
明かりが見える…
さやか「敵かな?こそこそ進む?」
ほむら「いや、こっちも明かりがあるんだから互いにバレてるわよ…」
マミ「ランタンを貸してくれない?一人で近づいてみるわ…何かあったら合図するから」
まぁ、見た目的には一番の威圧感だし…
ほむら「頼んだわ」
岩影に隠れる。
明かりが接触した。
アラアラ…コンナトコロデ…ヒトニ アウダナンテ…キグウネェ
マミは不自然に大きな声で喋っている…
ほむら「バレるわよ、馬鹿マミ」
まどか「あれ?い、移動してるよ?」
さやか「何してんだろ?」
ドンッ…キャーー
明かりが一つ消えた。
カチッ…カチッ
スキンヘッドの男が立ってる。
パッチ「へっへっへ、あんたも間抜けだな!精々亡者になって俺の生活の足しになんなよ!?」
ほむら「…」
パッチ「さてと、動かなくなるまでは…」クル
ほむら「こんにちわ」
パッチ「ひ!ひぃぃ!?」ザザッ
よほど驚いたのか、思ったより大きなリアクションをして…
ズルッ…アーッ
落ちた。
テメェ…ナンテコトシヤガ…ア…イエ…ゴブジデシタカ…
ほむら「…」
イダッ…イヤアレハ ジコデ…イダダダダ…
さやか「先行くなよー」スタスタ
まどか「マミさんは?」
ゴメンナサイゴメンナサイ…スンマセ…オンギャア!…
ほむら「元気みたいね…」
タスケッ…ギャー…オレタ!オレタカラ!…イヤホントニ…ギェピー…
…
マミ「酷い目にあったわ!」プンプン
パッチ「…ずんまぜん」ピクピク
さやか「あったあった、あれ?ランタン二つに増えてる?」
ほむら「それにしても…」チラ
この禿げに落とされたのはマミだけでは無かったようだ…
まどか「すみません、連れのお二人は…」
レア「そうでしたか…いえ、彼らを止めていただいて感謝しております…」
助かったのは一人だけ…
ほむら「…」ジロ
パッチ「な、何だよ…俺だって生きるのに必死なんだよ…わかるだろ?な?」
ほむら「わかるわ…だから私も生きる為に危険な相手は排除すべきだと考えてるの…」ガシッ
崖の淵まで引きずる…
ほむら「理解してくれるわよね?」
パッチ「止めてくれよ…は、反省してる…あんたらには手ぇ出さないって…」
パッチ「悪かった!死にたくねぇんだ!」
ほむら「…」グググ
パッチ「い、嫌だ!もうしねぇよ!もう誰も騙さねぇ!ほ、本当だ!本当なんだ!」
ほむら「…」チラ
まどか「…」フルフル
パッチ「頼む…頼むよぉ…」
まどか「本当に…約束できます?」
パッチ「へ?…あ、あぁ!勿論だ!」
まどか「誰も騙らない、殺さない…」
パッチ「約束するよぉ!いや、話のわかる奴がいて助かった…」
こいつ…
パッチ「俺はパッチだ…この礼は必ずするぜ?」ヘヘヘ
マミ「良いの?」
まどか「レアさんも同じ考えだったから…」
まどか「マミさんもそれで良い?」
マミ「私は構わないけど…」
まどか「良かった」ティヒヒ
ほむら「…」
さやか「いやはや、ここ色々落ちてたよ…あれ?何か変な空気…」
さやか「…」
さやか「空気に敏感なさやかちゃんは、レアさんの所に居るよ」ソソクサ
まどか「ほむらちゃん、ごめんね?」
ほむら「何でまどかが謝るのよ…」
まどか「ほむらちゃんの気持ちを、解ってたのに…あんな事させちゃったから…」
ほむら「考えすぎよ…私は本当に落とすつもりだったわ」
貴女は優しすぎる…
私は悲しみたくないだけなのに…
…
篝火が燃えている。
パッチに案内された場所で休息をとる。
さやか「どーすんの?多くない?」
マミ「…」
マミ「私が二人を祭祀場に連れていくわ」
ほむら「それが一番、かしらね…」
マミ「アケミさん、後宜しくね?」
ほむら「まどかもさやかも居るし、なんとでもなるでしょ?」
さやか「ハッハッハ!まどか共々信頼されてますなー!」
まどか「てぃひひ」
まどか「これでペトルスさんも安心だね…」
レア「ペトルスは…無事でしたか」
ほむら「えぇ、貴女とはぐれた後、祭祀場に戻ったみたいよ?」
パッチ「はぐれた?」
ほむら「?」
パッチ「ペトルスってな、デブの僧兵だよな?」
ほむら「まぁ、たぶんそれね」
パッチ「は、はぐれた!はぐれたんだってよ!?聞いたかい聖女さん!」
レア「…」
パッチ「流石だぜ、彼奴はもろに聖職者って面だったからなぁ!」
ほむら「黙りなさい、どういう事?」
レア「いえ、気になさらず…私が力量を見誤り、ここまで踏み込んだ事が問題で、彼に責任はありません」
パッチ「そもそもは彼奴が、付き人の一人を落としたのさ…聖女様に大事な話があったみたいでな!」
パッチ「それで、もう一人とも…あの傷がなけりゃあ、あの二人は生きてたかもなぁ?」
レア「っ…」
マミ「追い討ちをかけたのは貴方でしょ?」
パッチ「いや、まぁ…へへへ」
パッチ「で、でもよぉ?俺が来たから、あのデブは逃げたんだぜ?…言ってみりゃ聖女様の救世主って奴だ、な?」
さやか「んで、その後レアさんを突き落とした、と」
パッチ「…蒸し返すなよ」
ほむら「…」
ほむら「マミ、二人を頼んだわね?」
マミ「任せなさい、あの父娘も居るしね」
…
マミ達と別れ、先へ進む…
さやかからランタンを一つ貰った。
分裂したそうだ…
まどか「絶対、分裂じゃ無いと思うよ?」
さやか「細かいことは気にしないー♪」
ほむら「ま、明かりがあるのは良い事だわ」
さやか「そゆことそゆこと」ウンウン
道幅が狭い…
ほむら「この人数で正解ね…」
巨体の骸骨を倒しつつ進む…
カシャン…
ほむら「?」
ガッシャ…ガッシャ…
さやか「何か来た!」
ガッシャガッシャガッシャガッシャ…
ほむら「この音…確か…」
さやか「黒騎士だー!」
まどか「へっ?」
ほむら「まずい!」カチッ
咄嗟に時間を止める…
やはり、はじめの頃に対峙した騎士だ。
ほむら「…こいつは駄目だわ」ゴソゴソ
ジャコン…ダン!…ダン!…
カチッ
ドスドスッ
黒騎士「!?」グラ
さやか「あり?体勢が…今ださやかちゃんアターック!」パリィ
ドンッ…アー…
バランスを崩した騎士はさやかの盾に弾かれて落ちていった…
さやか「へっへーん、黒騎士も大したことないね!」
まどか「凄いよ!さやかちゃん!」
ほむら「やるじゃない…」
さやか「もっと誉めたまえよ」ナッハッハ
…
さやか「おー、ここは明るいねぇ」
ほむら「他に比べればだけどね…」
大きな空洞に出た…
壁際の細い道をゆっくりと進む…
まどか「あ!」
ほむら「どうしたの?」
さやか「…侵入者だ」
まどか「あれ?…でもこの感じ…」
ほむら「?」
現れるファントムの影…
ほむら「…杏子」
キョウコ「…なんだお前らか」ニコ
さやか「脅かすなー!」
キョウコ「悪ぃ、悪ぃ」スタスタ
ほむら「…」
キョウコ「いやぁ墓荒しが多くてね…」
まどか「そうなんですか?」
キョウコ「墓守り気取ってるって訳さ」ニコ
キョウコ「あれ?ほむらはもしかして…」
意地の悪い笑顔を作る。
キョウコ「襲われるなんて思っちゃったか、なっ!!」ブンッ
…バコォン!
キョウコ「!?」
私の目の前で杏子が振り上げた武器は、まったく検討違いの壁に降り下ろされた…
キョウコ「…へぇ、凄ぇな」
キョウコ「あんたの顔に当てたはずだけど?…どうやって移動した?」
ほむら「貴女を移動させただけだけどね?」
キョウコ「おっかしいねぇ…比較的信用してもらえたと思ったんだが…」ポリポリ
まどか「キョウコちゃん…」
ほむら「私、貴女に一つ嘘をついたわ」
ほむら「…本当は貴女の事良く知ってるの…」
キョウコ「なるほど、信用されない訳だ」ハッハッハ
さやか「ほむら凄ぇー!」
ほむら「逆よ、信用していたの…貴女の行動を…共に戦った事もあるしね…」
キョウコ「あたしは誰とつるんだ記憶も無いけど?不死人にゃなったばっかだしね…」
ほむら「そう…でもどうする?」
カチッ…カチッ
後ろに回り込む…
ほむら「続ける?…この状況で貴女に勝ち目は無いわよ?」
キョウコ「だね…やめだやめだ…こうも手の内を知られてるとあっちゃね…」
キョウコ「で?…あたしをどうすんだい?」
ほむら「別にどうもしないわ…言ったでしょ?戦友だって…貴女が覚えて無くてもね?」
キョウコ「…だったら」
ほむら「こう言う言い回しが嫌いなのも知ってるわ…それに、利害の一致があれば共闘出来る事も…」
キョウコ「ハッハッハ!面白いじゃ無いか…交渉しようってんだ?」
さやか「あれ?…って事は…」
さやか「時間止めて、キョウコをいそいそ運んだのか…なんかシューr…
ほむら「…」クワッ
さやか「…すいません」
ほむら「…オホン」
ほむら「今はファントムでしょう?…話を聞く気なら祭祀場に来なさい。仲間は多い方が良いわ…よね?」チラ
まどか「へ?…う、うん」
キョウコ「考えとくよ…」シュウウ…
ほむら「行ったわね…」フゥ
まどか「ほむらちゃん、あの…なんで…」
ほむら「まどかは分かりやすいのよ…ジークマイヤーにしろ、ソラールにしろ…対応を見ていれば何か考えてる事くらい解るわ」
まどか「ご、ごめんなさい」
ほむら「話せる時が来たら聞かせてね?」
まどか「…」
まどか「うん」ティヒヒ
さやか「…」
さやか「私の時と対応が違いすぎない?」
ほむら「さやかはさやか、杏子は杏子よ?」
さやか「納得できねぇー!」
…
うず高く積まれた骨の上でさやかが騒いでる…
さやか「ふははー!勝利のポーズ!私、調子に乗ってんねー!」
ほむら「確かに…冷静に見てたけど、さやかも腕は立つのよね…」
さやか「もっと言って!もっと言って!」フフン
まどか「ほむらちゃん、ソウル回収したよ?」
ほむら「しかし、最初の死者が動き回るって矛盾だわ…」
さやか「なんで?」
ほむら「独り言よ…この世界の死の概念は一生理解出来ないだろうし…」
まどか「これで、ソラールさん達が戻って来てれば…」
ほむら「今度こそ終わり?」
まどか「うん!」
その時…
砂時計はまた動き出すだろうか?
この世界のまどかを救う事が出来たなら…
きっと、きっと…
※info※
■ほむら
武器:ショートソード+5/ライトクロスボウ+10
:砂時計の盾/頭蓋ランタン
装備:魔法少女一式
魔法:時間停止
■まどか
武器:ロングボウ+5/魔術師の杖
:レザーシールド+5
装備:薄汚れた一式+5/老魔女の指輪
魔法:ソウルの槍/ソウルの結晶槍
:追尾するソウルの塊/強い魔法の盾
■さやか
武器:棘の直剣+5/頭蓋ランタン
:棘の盾+5
装備:棘一式/毒噛みの指輪
魔法:無し
※info※
…
※火継ぎの祭祀場※
フラムト「おぉぉ!遂に!遂に!グウィンを継ぐ事が出来るのか!」
フラムト「おぉーん!おぉーん!」
まどか「…」
ほむら「…これ泣いてるのよね?」
さやか「…だろうね」
フラムト「おぉーん!おぉーん!」
まどか「…」
ほむら「嬉しそうで、何よりだわ」
…
ほむら「また増えてる…」
さやか「あぁー!嘘!?ヒトミ!?」
ヒトミ「あらさやかさん?」
魔女魔女しい格好をした仁美がいる。
ソラール「いやはや、彼女に色々助けられてな…」ウワッハッハ
マイヤー「結局最後まで共に、と言うわけだ!」ガハハ
ニート「まぁ、ソラールが大分無理言ったんだがなぁ…」
まどか「そうなんだ…」
ほむら「あっちの赤いお爺さんも?」
真っ赤なローブの老人がなに食わぬ顔で立っている。
ニート「いや、あっちは戦力外。勝手に祭祀場に来ただけだ」
ソラール「おいおい、俺が誘ったんだぞ?」
そう言えばマミが居ない…
ほむら「…」キョロキョロ
さやか「結局、ヒトミも呪われたんだ…」
ヒトミ「申し訳ありません、彼を託されたと言うのに…」
さやか「いいって、いいって、こればっかりはしゃーないよ…」
ほむら「!…居たわ…」スタスタ
パッチ「…?」
ほむら「貴方だけ?」キョロキョロ
パッチ「あの女共なら、俺にここに居ろっつって脅したあと…教会区に向かったぜ?」
ほむら「あの二人に何かしてたら、脊椎を引きずり出すからね…」スタスタ
パッチ「怖っ!?」
…
ほむら「まどか?」
まどか「あっ、ほむらちゃん!これで全員かな?」
ほむら「マミ達を呼んでくるから、少し待ってて…」
まどか「うん!」
ほむら「…」キョロキョロ
居ないのはマミ、レア…それと…
ソラール「俺達が戻った時には既に居なかったぞ?」
ほむら「?」ビクッ
ほむら「…えっと」
ソラール「ペトルス殿だろう?レア殿達も探していた…」
ほむら「逃げた…のかしら?」
ソラール「さぁな」
…
カラカラカラカラ…カシャン…
※城下不死教区※
祭壇の前でレアは手を合わせている。
マミ「あら、アケミさん?…無事だったのね!」
レア「貴女方には、なんとお礼を言って良いか…」フカブカ
ほむら「気にしないで…まどかが今いる不死人に話したい事があるらしいから祭祀場に来てもらえる?…良ければレアさんも…」
ほむら「…強制はしないけどね?」
マミ「じゃあ、行きましょ?」
レア「あと少し、祈りを捧げたら向かいます…先に降りていて貰えますか?」
マミ「あら、だったら…
ほむら「そうね、先に降りてましょ」
マミ「え?…えぇ、じゃあ待ってるわね?」
レア「ありがとう…」
スタスタ…カチャン…
カチッ…カチッ
カチャ…カラカラカラカラカラカラカラ…
レア「…」
レア「貴方にも詫びなければなりません」
ペトルス「わざわざ一人になってまで…律儀なものですね…」スッ
柱の影からペトルスが現れる。
レア「巨人墓場へ踏みいった判断も貴方を御しきれなかった事も全て私の…責任です」
ペトルス「責任ね…では、どうやって償って頂けますかな?」
レア「あの二人を巻き込んでしまった事は償いきれぬ罪です…貴方に憎悪を与えてしまった事に関しては…」
レア「…」
レア「お好きな様に…私を殺す事で気がすむのなら…」
ペトルス「ははは…」
ペトルス「憎悪ですか…それだけではありませんが…まぁ良いでしょう」ニヤ
ペトルス「では、死んで貰います…少し楽しませて貰ってからね…」ガシッ
レア「貴方を導けなかった事も私の罪…ですが神に捧げた身…」
レア「汚そうと言うのなら自ら命を絶ちます…」
ペトルス「構いませんよ?…私は聖女などと呼ばれ、図に乗ったお前を辱しめる事さえ出来るなr…
カチッ
ここには、あの騎士が捕まっていた場所があった事を思い出す…
探せばすぐに見つかるものだ…
カチッ
ペトルス「らば…!?…貴女は…むぐっ!?」
ほむら「こんにちは」
ペトルス「っ!?…!?」ググ
ほむら「…貴方は亡者として生きる方が似合いそうね?」
ペトルス「ーーっ!?」ジタバタ
ほむら「大丈夫よ…」
ほむら「辱しめたりはしないわ」
…
カラカラカラカラカラカラ…カシャン…
※火継ぎの祭祀場※
ほむら「…」スタスタ
まどか「あっ!ほむらちゃんが最後だよ!」
さやか「おっそいぞー!」
キョウコ「おっせえぞー!」
ほむら「…」
ほむら「…」ジー
キョウコ「何だよ?あんたが来いっつったんだろ?…おいしい話があるからって」
そんな事は言ってないけど…
レア「…」チラ
ほむら「…」
レア「…」ペコリ
ま、気付かれるか…
ソラール「さて、と」
まどか「あ、あの…皆さんに聞いて欲しい事があります!」
…
マイヤー「火を継ぐのか?グウィン王から?」
まどか「そ、そうです」
マミ「全員で?」
ソラール「そうだ」
ニート「んな事出来るのか?」
ソラール「知らん、だが試す」
まどか「私、考えたんです…」
まどか「火を継がなければ、世界から火が消えて闇に覆われる…また寒い世界に戻れば今の世界は生きられない…」
まどか「でも、火を継げば…確かに闇に支配される事は無いけれど…」
まどか「継いだ者の力が強ければ強いほど、火が作り出す影も濃いものになる…」
まどか「耐性の無い者が不死人に…不死人ならまだしも、体に変化が起きれば最下層に追われる人々がまた産まれてしまう…」
マミ「まどかさん…」
まどか「私は…最下層で消える事の無い呪いを一身に受け止めている方に会いました」
まどか「…」
キョウコ「…」
まどか「私は…呪いを絶ちたいんです…」
ラレン「あー、なるほどな…火の力をそれぞれに分散出来ないかと考えた訳だ…」
まどか「はい、それで呪いの力が弱まるなんて保証は無いです。火を継いだ皆さんにどんな変調が起こるかも…」
マミ「火が強大になるような事は無いかしら、グウィン王もそれを考えて仲間を募ったのよね?」
まどか「イザリスの火や地下墓地の実験を考えればそれは無いと思います…本物の火では無いのであれですけど…」
ほむら「…」
やっと少し解った。
まどかの行動の意味…
恐らく、考え始めたのはクラーグの住処を訪れた時だ。
そして、世界の仕組みを知ったのがフラムトに会った時。
それから、まどかはずっと…
ずっと悩んでいた…
ほむら「…」
まどか「それでも…試してほしいんです」
ソラール「結局は、個人の判断に委ねる…やれる奴だけ同行してくれ」
…
まどか「フラムトさんも渋々だけど認めてくれたよ!…失敗だけは勘弁してくれって」
ほむら「そう…なら安心ね…」
まどか「てぃひひ、ごめんね?今まで黙ってて…」
ほむら「良いのよ、気にしてないわ…」
ほむら「だから、皆をここに留めようとしてたのね」
まどか「…」
まどか「うん」
まどか「無責任かな…」
まどか「火を継げば、炉から動けなくなるかも知れないのに…」
ほむら「だから強制はしなかったんでしょ?」
ほむら「大丈夫よ、上手くいくわ…」
…
ソラール「さてと…少し時間を作ったが、何人が賛同するか…」
レア「私は同行いたします…」
ほむら「ありがとう」
レア「貴女方に救われた命ですから…」
ローガン「おぉまだ居ったか…良かった良かった」ホッホ
ソラール「ローガン殿も来られるか?」
ローガン「火を継ぐなど、求道者としては見逃せんイベントじゃからな…」
グリッグズ「その…私も…」
まどか「嬉しいです、グリッグズさん」
ほむら「心中はしないとか何とか…」
グリッグズ「ははは…」
マミ「私たちも手伝うわ…戦友だものね?」
さやか「感謝するが良いぞ?」
キョウコ「ま、そういう賭けは嫌いじゃないしね…不死人じゃどうせまともな未来は無いからさ…」
ヒトミ「…私は素晴らしい考えだと思いますわ」
ほむら「ふふ…助かるわ」
マイヤー「ガハハハ!貴公等の意思確かに届いたぞ!なぁに呪いなぞ儂一人でも払い除けてやるわ!」
リンデ「父さん…あ、私も手伝いますね?」
次々に集まる…
言葉はないが、ニートもいつの間にか横に座っている…
ここに居た者、全て…
それぞれの意思で集まってくる…
ほむら「あら?貴方も来るの?」
パッチ「はっ、わりぃかよ?貰えるもんは貰う主義でね」
…
王のソウルを捧げる…
私には見えないけれど…
器から押し出される火が、その存在を感じさせてくれた。
※最初の火の炉※
ほむら「広い…」
耳が痛くなるほどの静寂…
さやか「広っ!?やっほほー!」
マイヤー「なんと、足元は全て灰か…歩き辛いものだなぁ」ガハハ
…でも無くなった。
皆で進む。
そして…
…
大きな扉が開かれた。
その先は見えない。
ソラール「この先がグウィン王の間か?」
まどか「そうみたい」
ソラール「本当に、来たい者だけで良いぞ?」
ラレン「はぁ?とっとと行くぞ?」
ニート「戻るのも面倒だしな…」
皆が進んで行く…
ソラール「何が起きるか解らん。火を継げん者は来るなよ?」
マミ「じゃあ、行ってくるわね?アケミさん」
ほむら「え、えぇ…」
さやか「そっか、ほむらは不死人じゃ無いんだっけ…」
キョウコ「え!?…まじ?」
ほむら「そうよ…だから火とやらは継げないわ」
そうだ…
私は不死人ですらない…
結局、私は部外者なんだ…
…
ニート「…また後でな、ほむら」スタスタ
残りは三人。
ソラール「じゃあ、行ってくる。待っていてくれよ?」
ほむら「信じてるわ」
まどか「必ず、必ず成功しますから…」
ソラール「ウワッハッハ!…ではな、ほむら…」
ほむら「えぇ」
私はここで皆の無事を…
ソラール「…まどかも、な」
まどか「はい…お願いします…」
…え?
え?
…扉が閉まる。
私とまどかを残して…
ほむら「ま、どか?」
まどか「ほむらちゃん…」
火を継がない?
違う…まどかはそんな選択をしない…
だったら…継げない…
まどか「私ね、ほむらちゃんに出会えて良かった」
まどか「私だけだったら、何も出来なかったから…」ティヒヒ
ほむら「…」
まどか「本当に幸運だったの…まるで魔法みたいに…ほむらちゃんが突然現れた…」
まどか「…」
まどか「ねぇ、聞いてくれる?」
不意に思い出したのは…
たくさんの違和感。
まどか「今さらだけど、聞いてほしいんだ…」ティヒヒ
悲しいまどかの笑顔。
この世界のルール。
私は気付いてた…ただ…
…考えないようにしてただけだ。
……
…
※昔、祭祀場に篝火さえ無かった頃※
まどか「ここが…ロードラン…」
まどか「パパ…ママ…」グス
まどか「…」
まどか「ダメダメ…強くなるって決めたんだから!」フルフル
まどか「そうだ!」
この近くにサインを書いて…
…
まどか「出来た!」
まどか「これで私を知ってる人が来たら、反応するはず…」
まどか「誰かが触れてくれます様に…」
それで二人でいれば寂しくないよね…
…
まどか「バーニス騎士団の方でしたか…ありがとうございます!」
まどか「うぇひひ…私、ドジだから…」
まどか「…え?」
まどか「一緒に…?」
彼は無口で、無愛想で、優しくて…
…
まどか「ごめんなさい…ここからは一人で…」
まどか「もう、私は巡礼を続けられない…」
まどか「ここの亡者達の救いに…」
まどか「ごめんなさい…ごめんね…」
これ以上、貴方の傷を見たくない…
…
まどか「痛い…痛いなぁ…」ティヒヒ
まどか「もう、顔も面影無いよね…」
まどか「…?…誰?」
まどか「あ…どうして?」
まどか「…また…守って、くれるの?」
どうしよう…嬉しいや…
…
まどか「相変わらず喋らないね…」
まどか「ん?」
まどか「わわ!…フード取らないで!私…」
…ワシャワシャ
まどか「…」
まどか「…てぃひひ」
ありがとう…ありがとう…
…
まどか「…」
ねぇ…
まどか「…」
聞こえてる?
まどか「…」
もう、守らなくて良いよ?
もう、私は…
……
…
『?…見間違いかしら?』
……
…
※最初の火の炉※
私は役目を終えていた。
終えていたと思っていた。
まどか「私が不死人だった頃、同行者が欲しくて祭祀場にサインを書いたの…」
私を知っている人が現れたら、いつだって協力して…
まどか「でもね、誰も現れなかった」
何年も、何年も…
まどか「その内、この世界を歩いて…私の力では巡礼を終えることが出来ないと解ったの…」
まどか「だからね?私は不死人を辞めた…」
少しでも呪われた人々の救いになれたら…
ほむら「まどかは、火防女…だったのね…」
まどか「ねぇほむらちゃん、人間性って何だか知ってる?」
ほむら「見えないものは…理解なんて…」
まどか「人間性はね、具現化した精霊…人間性一つ一つが生きてるの…」
まどか「でも、皆深く考えずに使っちゃう」ティヒヒ
まどか「使われた後…姿を失った精霊が死ぬことは無いんだ…」
まどか「精霊は消えずにさ迷うの…そして、近くの火防女に宿る…」
まどか「人間性として形作る為に、火防女の心と体を食い潰す…」
まどか「そして、群がる精霊の尽くが人間性に変わった頃…生きる術を無くした火防女は役目を終えて、その思念は消えることの無い篝火になる」
ほむら「そんな…」
まどか「私はね?ほむらちゃんがロードランを訪れた時、既に役目を終えていたんだ…」
骨と皮だけが祭壇に祀られて…
それで良いと思ってた。
まどか「でもね?…ほむらちゃんがサインに触れた…」
幸運だったのは、最後まで私に同行してくれた彼が居たこと。
意思を失ってなお、私の魂を守り抜いてくれた。
まどか「本来はソウル体で召喚されるはずの体。でも肉体を失って魂だけの私には奇妙な現象が起きたの…」
ほむら「その姿…?」
まどか「うん、生きていた頃の体…」
ほむら「じゃあ…まどかは…」
まどか「てぃひひ、何故か召喚されたのは自分の遺体の前だったけど…」
それから、ほむらちゃんを待って…
まどか「すぐにわかったよ。あ、この人だって…それにほむらちゃん、私の名前呼ぶんだもん」ティヒヒ
びっくりしちゃった…
まさか知らない人だと思わないから。
まどか「マミさんに話した異世界の話しも…冗談混じりだったけど、私も嘘だと思わなかった…」
ほむら「…」
まどか「ねぇ、ほむらちゃん」
まどか「異世界の私は…どんなだったの?」
ほむら「…」ポロ
まどか「…」
まどか「そっか…ごめんね…きっと私と同じで沢山迷惑をかけたんだね…」
ほむら「そんな事…ない…」ポロポロ
それから…
クラーグさんの姉妹にあって…
まどか「クラーグさんの妹は、耐性が無くて姿すら保てない不死人の呪いを肩代わりしていたの…」
それなのに…
クラーグさんは妹の為に人間性を貪欲に求めて…
彼女はそんな姉への罪悪感に押し潰されていた…
悲しい、連鎖だった。
ほむら「…何で…」ポロポロ
まどか「フラムトさんに私では火は継げないと教えられて…当然だよね…」ティヒヒ
ソラールさんに、アノール・ロンドで話して…
火を継いでもらう為に。
ほむらちゃんには、言わないでって…
だって、ほら…
泣いちゃうんだもん…
ほむら「ごめ…なさ…」ポロポロ
てぃひひ、優しいなぁほむらちゃんは…
ほむら「じゃあ…」
ほむら「じゃあ、貴女はどう…なるの…」
まどか「成功したら、役目を果たしたら…私は眠るの…今度こそ、本当に…」
ほむら「そんな…これから、平和に…これから…」
まどか「そうだよ、だからもう良いの…」ティヒヒ
ほむら「…まどかが望んだ世界になるんじゃないの?…まだ皆とだって…ヒック…」
ほむら「…」
ほむら「どうして…なんで…」
まどか「もう、良いんだ…私は本当は何も出来なかった…何も出来ずに死んでいったの」
火防女になっても…
私が救えたのは一握り…
まどか「でもね?…ほむらちゃんがチャンスをくれたの…だからこれは存在しない時間…」
ほむら「…ヒック…グス…」ポロポロ
泣かないで欲しいなぁ…
私まで泣いちゃいそうだよ…
まどか「ねぇほむらちゃん、お願い聞いてくれる?」
ほむら「…え?」グス
まどか「最後はほむらちゃんの笑顔…見ておきたいんだ」ニコ
ほむらちゃん…ソラールさん…そして彼も…きっと偶然じゃ無いんだよね?
こんなにも人の意思に溢れた奇跡なら…
成功しない理由なんて、きっと無いから…
ほむら「…ヒック…」
もうすぐ私は役目を終えるはずだから…
まどか「駄目、かな?」
ほむら「グス…ヒック…」グシグシ
必死に笑顔を作るほむらちゃん…
てぃひひ。
本当に私には勿体ない友達…
ほむら「…」スー…ハァ
ほむら「…この世界は…救われるの?」
まどか「きっとね」
ほむら「貴女は、幸せ…だった?」
まどか「うん、最後まで幸せだった…」
まどか「…ほむらちゃんのお陰だよ?」
ほむら「そぅ…」
ほむら「…」
ほむら「ありがとう…楽しかったわ…」
やった…
いつものほむらちゃんだ…
ほむら「大好きよ、まどか」ニコ
うん…うん…
ほむら「あら、まどかったら…」フフ
私も…大好きだよ…
ほむら「貴女が泣いたら、意味無いじゃない…」
…シュウウ
まどか「てぃひひ…」ポロ
バイバイ…
シュウウゥゥ…
ほむら「…バイバイ、まどか」
カチッ…
サラ…サラサラサラ…
………
……
…
…
※火継ぎの祭祀場※
ソラール「行くのか?」
ほむら「えぇ、砂時計も動いたし…」
ソラール「しかし、本当に異界から来たとはな…」
ほむら「そうよ…幾つもの世界を犠牲にしてきた…」
ソラール「それでも、まだ求めるのだろう?」
ほむら「貴方は旅を続けるの?」
ソラール「あぁ、弱まったとは言え、呪いの影響を調べんとな…」
ほむら「あら、探し物はもう良いの?」
ソラール「見つけたさ、俺の…俺だけの太陽…」
ソラール「形は無いがな…確かに今、俺の中にある」
ほむら「ふふ、あの娘も喜ぶわ…」
ソラール「ウワッハッハ!もう俺は迷わん!」
ソラール「ほむら!忘れるな!…困ったときは俺のサインを探すといい!」
ソラール「光輝く太陽のサインだ!」
ほむら「えぇ…」
ほむら「貴方の事、忘れないわ」ニコ
ほむら「…ありがとう、ソラール」
カチッ…
キュルルル…
…
ソラール「ありがとう、か…」
ソラール「礼を言うべきは俺だがな……お前たち二人に…俺の太陽にな…」
ソラール「いや?…ほむらは月明かりの方が似合いそうだ…ふむ」
ソラール「…まぁ月も讃えればすむことか!ウワッハッハッハ!」
………
……
…
…
キーンコーンカーンコーン…
まどか「えっと、暁美さん?…お弁当、一緒に食べない?」
ほむら「…」チラ
さやか「…やっほー」フリフリ
ほむら「お邪魔しても良いのかしら?」
まどか「勿論だよ!」ティヒヒ
仁美「あら、暁美さんはパンですのね?」
さやか「栄養偏るぞー」ヒヒヒ
ほむら「ほむらで良いわ…パンも良いものよ?」ガサガサ…チャリン
ほむら「あ」
コロコロ…ヒョイ
まどか「はい、落としたよ?…ほ、ほむら…ちゃん…」///
ほむら「ありがとう、鹿目さん」
まどか「それは外国のお金?」
ほむら「違うわ。大切な御守りなの」
仁美「初めて見ますわね…」
まどか「てぃひひ、綺麗なコインだね!…あ、あと…その…私もまどかで良いよ?」
ほむら「解ったわ。ありがとう、まどか」ニコ
まどか「うぇひひ」///
さやか「あーヤバイ、何かほむらにまどか取られそうだわ…」
まどか「うぇぇ!?何言ってるのさやかちゃん!」
仁美「ふふふ…あら?…変わった水筒ですのね?」
まどか「わ、本当だ…綺麗な色」
さやか「へぇー…硝子とは違うみたいだね…」
ほむら「えぇ…これはね…」
終わり
457 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/10/14 23:37:22 xbKppgwE 400/405終わりです
最後まで読んでくれた、方ありがとうございました
おやすみなさい
456 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/10/14 23:36:44 d8SBpaN2 401/405あっさりした終わり方だけど不思議な雰囲気で面白かった
乙
458 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/10/14 23:37:40 nPz26Tv6 402/405タイトルのセリフにつながると
乙
462 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/10/14 23:51:13 DhAd197g 403/405乙
まどマギの方しか知らんかったけど、面白かった
463 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/10/15 00:01:12 ZUqw9txA 404/405乙です。
ソラールさん、ニートさん共々生きててよかったw
464 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/10/15 00:27:34 RKJX0Af. 405/405乙!
追加ディスクでも人間性を捧げ続けるか…