摩耶花「おかえり」
折木「あぁ…ただいま」
摩耶花「ご飯にする?」
折木「先に風呂入ってくる、先に食べてていいぞ」
摩耶花「……」
摩耶花「(一緒に食べたいから、食べないけど…)」
摩耶花「何か面白いテレビやってないかなー…」ポチポチ
元スレ
摩耶花「はあ、なんで折木なんかと同棲してるんだろ」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1347363310/
折木「ふう…」
摩耶花「あ、出てきた」
折木「…食べてないのか」
摩耶花「一人で食べても美味しくないでしょ」
折木「なるほどね」
摩耶花「あ、ビールあるけど」
折木「久しぶりに飲むかな」
摩耶花「はぁい」
折木「……」モグモグ
摩耶花「どう?今日のご飯」
折木「…相変わらず美味いな」
摩耶花「もうちょっと心込めていいなさいよ」
折木「悪い悪い」スッ
摩耶花「…はい」
摩耶花「私も飲もうかな、ビール」
折木「え…」
摩耶花「ちょっとだけだからいいでしょ、ほら注いで…」
折木(どこがちょっとだけだ)
摩耶花「そういえばさあ、この間私実家に帰ったでしょ」
折木「ああ」
摩耶花「あれ友達の結婚式だったんだけどさ」
折木「聞いてた」
摩耶花「そうしたらさあ、お母さんに私もそろそろとか言われてさあ」
折木「それは大変だったな」
摩耶花「そうよ、それも全てあんたのせいよ」
折木「そうか。それはすまないな」
摩耶花「あんたなんかとー、一緒にいるせいで私の婚期がー」
折木「……」グビッ
摩耶花「……ちょっと、なんで黙るのよ」
折木(どう言えというんだ)
摩耶花「そこはもっとさあ、ないの?男としてさあ」
摩耶花「なら俺が!とか!」
折木「お前」
摩耶花「あに?」
折木「俺に言われたいのか、そんなこと」
摩耶花「折木が、私に?」
摩耶花「あはは、ないない。折木と私が?結婚?ないない」
折木(むっ……そこまで言われると少しむかつくな)
摩耶花「あはははは」
摩耶花「あー、笑った笑った。あれ」
摩耶花「お酒がなーい」
折木「じゃあ、もうやめ」
摩耶花「もう一本持ってきて」
折木「伊原」
摩耶花「いいじゃん。持ってきてよ」
折木「……」
折木「なんかあったのか」
摩耶花「……なんにもない」
折木「嘘をつけ」
摩耶花「なんにもないもん!」
折木「……はぁ。別に、嫌なら言わなくてもいいが」
摩耶花「……」
折木「飲むなら一人で飲め。俺はもう付き合わん」
摩耶花「……優しくないよね」
折木「?何が」
摩耶花「折木は、私には優しくない」
折木「そんなことはない」
摩耶花「折木は私に優しくない・・・」
折木「(なぜ二度言う)」
折木「・・・なぁ、お前と一緒に住むようになったのはいつからだったか覚えてるか?」
摩耶花「・・・覚えてないわよ」
折木「俺は覚えているぞ。大学を卒業してしばらくたった後だ」
摩耶花「・・・」
折木「お前はいきなり俺の部屋に押しかけてきたんだ。忘れるわけがない」
摩耶花「そう、だったかしら・・・」
折木「その時も今も無理に事情を聞くつもりはないが、その・・・」
折木「そろそろ話してくれてもいいんじゃないか?」
折木「このままいつまでもこうしてるわけにはいかないだろう」
摩耶花「・・・」
折木「・・・」
摩耶花「・・・そうだよね。折木に迷惑だもんね」
折木「(なぜそうなる)」
折木「俺の事よりお前の事が・・・」
摩耶花「・・・お酒」
折木「だからこれ以上は身体に障るぞ」
摩耶花「お酒くれたら、全部話す・・・」
折木「っ」
折木「(・・・ここは聞くべきなんだろうな)」
折木「・・・ほれ、最後の一本だ」
摩耶花「ありがと」カシュッ
摩耶花「」ゴクゴクッ
摩耶花「・・・はぁ」
折木「・・・」
摩耶花「大学、楽しかったね」
折木「・・・そうだな」
摩耶花「みんなでバカみたいに騒いで、みんなで卒業した」
折木「・・・あぁ」
摩耶花「・・・でもね、ふくちゃんは私の気持ちに答えを出してくれなかった」
折木「(やはり里志絡みか・・・)」
摩耶花「待つのはいいの。結構、慣れてるから・・・」
折木「・・・」
摩耶花「でもね、見ちゃったの」
折木「・・・なにを」
摩耶花「・・・」
摩耶花「・・・ふくちゃんが、ちーちゃんとキスしてるとこ」
折木「!?」
折木「そ、それは本当なのか!?」
摩耶花「・・・うん」グビッ
折木「・・・そうか」
折木「(正直驚いた。まさか里志と千反田がくっついていたなんて・・・)」
折木「(・・・いや)」
折木「それは本当にその、キスだったのか?事故とかじゃなく」
摩耶花「二人で顔を寄せて唇を合わせてたのよ!事故なわけないじゃない!」
折木「そう、か」
摩耶花「・・・折木は、二人からなにか聞いてない?」
折木「いや、就職してからはほとんど連絡取ってないな」
摩耶花「・・・私も」
摩耶花「これって私達に後ろめたい事があるからよね?」
折木「そう決め付けるのはまだ早いんじゃないか?」
摩耶花「・・・」
折木「・・・そうか。それで俺のところに」
摩耶花「・・・うん」
摩耶花「はい、私の話は終わり。もう満足?」
折木「あ、あぁ」
摩耶花「もう寝る。明日も仕事あるし」
折木「・・・」
摩耶花「」スゥスゥ
折木「・・・」
折木「(今から電話してみるか?・・・誰に?)」
折木「(・・・どう考えても里志だろうな)」ポチポチ
折木「・・・」
摩耶花「ふくちゃん・・・」
折木「(・・・まったく、俺の省エネ主義はどこへ行ってしまったんだ)」ピッ
ゲンザイ、デンパガトドカナイハンイニ
折木「(・・・くそっ)」
折木「(里志の奴、どこでなにを・・・)」
折木「(なら千反田のところか)」
折木「(・・・いや、こんな時間にいきなり電話したら警戒させてしまうか)」
折木「(摩耶花の話も断片的で全容は掴んでいない)」
折木「(シラフの時にもっと詳しく聞くべき、か・・・)」
折木「・・・」
折木「まったく。散々飲み散らかして」ガサガサ
折木「俺も寝よう。シャワーは、朝でいいか」
折木「(いつになったら俺のベットで寝れる日が来るのだろうか・・・)」
・・・
折木「」スカー
摩耶花「・・・」ムクッ
摩耶花「・・・」パカッ
摩耶花「・・・」ポチポチ
摩耶花「・・・」
摩耶花「・・・っ!」ピッ
摩耶花「・・・はぁ」
摩耶花「折木・・・」
数日後
ガチャ
摩耶花「あー疲れた。折木、お酒買ってきたから飲も?」
折木「・・・その前にちょっといいか」
摩耶花「なに?私が買ってきたんだから飲むな、なんて言わせないわよ」
折木「そうじゃない。だが、酒が入る前に聞きたいんだ」
折木「この前のこと」
摩耶花「・・・」
摩耶花「あれは、もういいじゃない・・・」
折木「そういうわけにはいかん」
摩耶花「・・・」
折木「お前は気にならないのか?二人が本当に付き合ってるのか」
摩耶花「・・・っ!付き合ってるに決まってるじゃない!だってキスしてたのよ!?」
折木「・・・実はついさっき里志に電話したんだ」
摩耶花「えっ・・・」
折木「そしたら、まったくの別人が電話に出た」
折木「どういうことかわかるか?」
摩耶花「・・・」
折木「あの日の夜にも電話をした。そしたら電波の届かない範囲か電源が、と言われた」
折木「それならわかる。単に里志が充電し忘れたとか説明が付く」
折木「だが違う。別人が出たんだ」
摩耶花「そ、それは・・・。ふくちゃんが携帯をどこかに忘れて拾ったとか・・・」
折木「それはない。確認したがその別人の物だそうだ」
折木「盗まれたとも、たまたま同じ携帯番号というのもありえない」
折木「なら答えは一つだ」
折木「誰かが俺の携帯の里志の電話番号を書き換えた」
摩耶花「・・・」
折木「おそらく千反田の電話番号も、メールアドレスも変えられてるだろう」
折木「人の電話番号をいちいち全部覚えてるわけないからな」
折木「一番の誤算は変えた電話番号が他人に使われていたことだ」
折木「当初の計画では『現在、この電話番号は使われておりません』となる予定だっただろう」
折木「それなら里志達が携帯番号を変えたで十分説明がつく」
折木「だが」
摩耶花「もういい!」
折木「・・・」
摩耶花「・・・もう、いい」ペタン
折木「どうして・・・」
摩耶花「・・・ねぇ、お酒飲まない?」
折木「今はそういう気分じゃない」
摩耶花「・・・折木は私に優しくないね」
折木「そんなつもりは・・・」
摩耶花「・・・」
折木「問いただすような聞き方をして悪かった。すまん」
摩耶花「・・・」
摩耶花「ううん、私のせいだもん。折木は謝らなくていいよ」
折木「わけを、話してくれるか?」
摩耶花「・・・」
折木「・・・その、無理にとは言わないが」
摩耶花「・・・折木が好きだから」ボソッ
折木「・・・え?」
摩耶花「っ!」ガサガサ、カシュ
摩耶花「」ゴクゴクゴク
折木「お、おい」
摩耶花「・・・はぁ」カラン
摩耶花「あんたの事が好きだからよ!」
折木「」ポカーン
摩耶花「あんた、本当に気付いてなかったの?」
摩耶花「好きでもない相手のところに押しかけるわけ、ないじゃない」
折木「・・・」
折木「・・・その、いつから」
摩耶花「もう忘れちゃった。・・・でも、卒業する前からかな」
折木「そう、だったのか・・・」
折木「じゃあ里志達の話は」
摩耶花「それは本当。・・・だと思う」
折木「思う?」
摩耶花「単に顔を寄せてただけかもしれないし、本当に事故かもしれないし」
摩耶花「すぐに逃げちゃったから・・・」
折木「そうか・・・」
摩耶花「折木はまだちーちゃんのことが好きなの?」
折木「・・・わからない」
折木「ちょっと待て、まだってなんだ。まるで昔は好きだったみたいじゃないか」
摩耶花「違うの?」
折木「それは・・・」
摩耶花「そう、優柔不断な折木も悪い」
摩耶花「折木がまだちーちゃんの事が好きだって言ってくれればいいのに・・・」
摩耶花「そう言ってくれれば、私も後腐れなく出ていくのに・・・」
折木「・・・」
摩耶花「・・・ねぇ、この奇妙な同棲生活も今日で最後かもしれないし・・・聞くね」
折木「」ゴクリ
摩耶花「折木は私の事、・・・好き?」
折木「俺は・・・」
摩耶花「・・・」
折木「・・・好き、だと思う」
摩耶花「・・・」
摩耶花「この期に及んで思う!?これだからふくちゃんにちーちゃんを取られちゃうのよ!」
折木「(お前に言われたくないんだが・・・)」
折木「だ、だがいきなり言われてもだな」
摩耶花「折木が私に優しくしなかったから私も容赦しない!」
摩耶花「好きなの?嫌いなの!?」ズイッ
折木「(選択肢はそれしかないのか・・・)」
折木「・・・俺も酒を飲んでいいか?」
摩耶花「・・・さっきそんな気分じゃないって」
折木「今はそんな気分なんだ」
摩耶花「じゃあ、私も飲む」
カシュ
折木「」ゴクゴク
折木「・・・はぁ。・・・これでおあいこだな」
摩耶花「なにが?」
折木「酒に逃げたことだ。俺も、お前も」
摩耶花「・・・」
折木「そして今度は俺の番、だな」
摩耶花「・・・」
折木「・・・俺は、摩耶花が好きだ」
摩耶花「・・・」
折木「この数年のお前との生活は間違いなく楽しかった」
折木「だから、これからも一緒にいてほしい」
摩耶花「・・・」
摩耶花「・・・名前」
折木「え?」
摩耶花「あんた、いつから私の事名前で呼ぶようになったっけ?」
折木「えっと、・・・さぁ」
摩耶花「それじゃあフェアじゃないわよね」
折木「・・・そうだな」
摩耶花「・・・奉太郎」
折木「うっ・・・」ドキッ
摩耶花「・・・これでおあいこね。文句は言わせないわよ」
折木「な、なぁ伊原・・・」
摩耶花「なに、奉 太 郎 ?」
折木「・・・」
摩耶花「ふふっ、でもよかった」
折木「(俺はよくない)」
摩耶花「正直、追い出されると思ってたから」
折木「俺がそんなひどい男に見えるか」
摩耶花「だって、奉太郎は私に優しくないから」
折木「・・・十分優しくしてきたつもりだ。今も、・・・これからもな」
おわり

