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. V V その願い、
. i{ ● ● }i タダで叶えてあげようってんだから、
八 、_,_, 八 僕っていいヤツだよね
. / 个 . _ _ . 个 ',
_/ il ,' '. li ',__
元スレ
QB「君達は僕とさやかに、薄い本的な展開を望んでいるのだろう?」
http://raicho.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1299313486/
さやか「カーラスカラス、カラスが鳴いたら言い返そう~♪」
QB「……」
さやか「な~んて返そか迷うけど~♪」(おや? 変わった猫だなぁ)
QB「僕は猫じゃない」
さやか「うぉえっ!?」
QB「君は僕が見えるのかい?」
さやか「君は言葉が話せるのかい?」
QB「質問を質問で返すなって教わらなかった? イラっとするよ」
さやか「ゴメン……」
QB「まあいいや、僕はキュゥべえ!」
さやか「ふぅん」
QB「君の名前は美樹さやかだね!」
さやか「えっ? ウッソ大当たり! グアマテラ旅行プレゼント!」
QB「それも嘘なんだろ!? 本当だとしてもお断りだけど!」
さやか「あ、ウン」
QB「もっと驚いてよ、さやかっ!」
さやか「う、うわぁー! す、すげぇ~!」
QB「ちょっと傷付くな、死ね」
さやか「だってあんた、あたしの妄想が生み出した猫なんでしょ?」
QB「へぇ。さやかにはおっぱいもなければ、夢もないんだね?」
さやか「ゆ、夢くらいあるよ! 元気いっぱい夢いっぱい!」
QB「どうして君なんかに僕の事が見えるのか、訳がわからないよ」
さやか「くっ、撫でるぞコノヤロー!」
QB「しかし君の認識で、間違ってはいないのかも知れない」
さやか「はぁ」
QB「他人に僕の事を言ったら、頭のおかしいヤツだと思われるからね」
さやか「つまりあんたは、やはりあたしにしか見えない幻覚だと」
QB「僕が見える人間は極少数だからね。多くの人にはそれと同様だよ」
さやか「あたしの妄想なのに、ナニ難しそうな事いってんだ?」
QB「君が魔法少女になれば分かるよ」
さやか「私そういうのからは卒業したんだけど」
QB「いやいや。さやかはまだ中学生だろ?」
さやか「もう中学生だ! 子ども扱いすんな!」
QB「君くらいの年齢の子が、魔法少女として一番力がある時期なんだよ」
さやか「なんでよ?」
QB「少女は小中学生に限る。第二次性徴期を過ぎたらもう下降線さ」
さやか「よく分からんけど、爽やかに言っててもキモいな」
QB「ひょっとしたら、君は凄い才能を秘めているのかも知れない」
さやか「えっ? えへへ……そうかぁ? チョットそうかと思ってたけど!」
QB「でも実際の所ヤムチャレベル」
さやか「片付けておくか……このボロクズを」
QB「早まっちゃいけない。僕にはまだ利用価値がある」
さやか「んまぁー、雑巾くらいにはなりそうだけどな」
QB「お前にだけは言われたくないって、この事だったんだね」
さやか「早く言えよ」
QB「僕には、どんな願いでも一つだけ叶える力があるんだ」
さやか「何でも? 本当に?」
QB「今君は願いを無限にしてくれって思ったろ?」
さやか「うん」
QB「残念ながらそういうのはダメだ」
さやか「エー、何で? 何でもじゃないの? ねえ何で?」
QB「これは契約なんだ。あまりに僕に不利な願いは聞き入れられない」
さやか「じゃあ何でもじゃないじゃない。嘘つき」
QB「僕は嘘つきじゃない。現にこうして説明もしてるじゃないか」
さやか「ヨーシヨーシ」
QB「……僕を撫でたくなる気持ちは分かる。キュートだからね」
さやか「うん。動物はしゃべらない方がいいね」
QB「君もしゃべらなければ、かわいいかも知れない気もするのにね」
さやか「さぁて、そろそろ行くか」
QB「待ってよさやか。しばらく君の所でやっかいになってあげる」
さやか「ゴメンよキュゥべえ。私んとこペット禁止だからさぁ」
QB「固い事いうなよ。君の側にいる誰かに強大な魔力を感じるんだ」
さやか「中二病?」
QB「ひょっとして君、小さい妹とかいないかい?」
さやか「キ、キモッ!」
QB「酷いな……僕はロリコンじゃない。そうだとしても紳士だ」
さやか「近寄らないで」
QB「僕のこの真剣な表情を見てくれ。これでも信じられないのかい?」
さやか「無表情にしか見えない」
QB「それは君に表情を読み取る力がないせいだ」
さやか「いちいちムカつくんですけど」
QB「僕は理解されなくていい。しかし君達の事は理解したいと思ってる」
さやか「あんたも苦労してるって事か」
QB「そうさ。さやか、僕を連れてってよ!」
さやか「そろそろこの幻覚ウザくなってきたな」
QB「決まりだね!」
さやか「っかしいなぁ……今まで健全に生きてきたつもりだったのに」
午後六時半、さやかはダッシュでキュゥべえを振り切り、自宅に帰宅。
そして夕食を終えた自室にて、再会を果たした。
QB「ヤアさやか、先にくつろがせてもらってるよ」
さやか「……キュゥべえ」
QB「このクッション気に入った。僕が是非使ってあげる事にする」
さやか「何でいるのよ」
QB「この邂逅には運命を感じる。感動的ですらある」
さやか「はぁー、もう好きにして」
QB「言っただろ、僕には願いを叶える力がある」
さやか「うさんくさー、絶対裏あるわー」
QB「これは君にとって未曾有のチャンス。僕が悪党である筈がない」
さやか「じゃあ何か考えてみるよ」
QB「待った。君は願いの代償に魔法少女になるんだからね、分かってる?」
さやか「その魔法少女っていうの? 分からないんだけど」
QB「魔法少女は魔女に対抗できる唯一の希望さ」
さやか「あー、やっぱいいやぁ~。チラシ裏にでも書いてなよ」
QB「君は質問しておいて人の話を聞かないのか」
さやか「はいはいはい。ゴメンあたしが間違ってた」
QB「クソッ……壁殴ってしまった」
さやか「悔しがってるようには見えないけど」
QB「君如きに僕の繊細な感情が読み取れる筈がない」
さやか「まぁ願いといえば一つあるんだけどね」
QB「なんだい? どんな難題でも割といけるよ僕」
さやか「何でも叶えるって言ってたのに、割といけるになったんだ」
QB「君には誤魔化しがききそうにないからね。それで願いって?」
さやか「いや私じゃないんだけどさ、不治の病を治すって事は……」
QB「そういう前例もあるし、言うだけ言ってみなよ」
さやか「できんの!?」
QB「勿論だよさやか。たやすい願いさ」
さやか「で、でも私がやったって分かったら嫌だよ! あくまで自然に!」
QB「言いたい事は分かるけど、そんな事に願い事を使うのかい?」
さやか「ダメなの? こういうのじゃ?」
QB「願い事は魔法少女としての資質にも関わる。ちゃんと決めて欲しい」
さやか「でも恭介すごく辛そうで……」
QB「恭介? なるほど、君はその人に好意を持っている訳か」
さやか「ち、違う! 変な言い掛かりはやめて!」
QB「まどろっこしいな。その人が君に絶対の好意を持つ、その方が」
さやか「よ、余計な事しないで! バカキュゥべえ!」
QB「親切で言ってるのに……訳がわからないよ」
さやか「そっかあ~、出来るのか~。そっかぁ~」
QB「もういいや。それで契約でいい?」
さやか「え~、どうしよう? 何か怪しい感じするしな」
QB「さやかはバカの癖に慎重だね」
さやか「あたしがヤムチャならあんたはプーアルでしょ! 様つけて様!」
QB「人間はそんな小さい事に拘る。理解に苦しむよ」
さやか「マスコット風情が! もっと人間を敬いなさいよ!」
QB「それが君の願いかい?」
さやか「んなわけないでしょ」
QB「僕は君を侮っていたようだ。手強い部類に入る」
さやか「第六感が拒否するのよね、何故か」
QB「困ったな。僕は君の願いを叶えてあげようというのに」
さやか「そう、その必死さが何だか怪しいのよね。ウン」
QB「いや、これ以上は強要しない。ただ君の側にいる事は許して欲しい」
さやか「私の近くに凄い魔法少女がいるってやつ?」
QB「そう僕の本命はそれさ。さやかじゃない」
さやか「ふーん……キュゥべえはさ、どうしてそんなに魔法少女に拘るの?」
QB「魔法少女がいなければ魔女が蔓延る。そうなると不幸な人間が増えるんだ」
さやか「何で? 魔女って人に何かするわけ?」
QB「するよ。事故や殺人、自殺なんかも魔女が絡んでる事が良くある」
さやか「えぇっ!? た、大変じゃない!」
QB「そうさ、だから僕も必死なんだ。分かってくれたかい?」
さやか「で、でも私なんかがさぁー」
QB「いや君には力がある。魔女に対抗できる力が。誰もが持っている力じゃない」
さやか「ヤムチャもZ戦士って事か……」
QB「その通り。さやかも自分を過小評価するのはやめた方がいい」
さやか「でもヤムチャってすぐ死ぬよね」
QB「ヤムチャは自信だけは満々だった。君にはそれが足りてないね」
さやか「自信かぁ……」
QB「で、なるのかい?」
さやか「いや無理。この年で魔法少女ってハードル高すぎ」
QB「そうか……僕もガサツなさやかは魔法少女って柄ではないと思う」
さやか「やっぱ色々とひどいなあんた」
QB「君は今んとこ現状に満足してるし、普通が一番だと思っているだろう?」
さやか「普通? 普通の何が悪いの? お母さんも普通が一番って言ってるよ」
QB「人間の幸せ基準なんか知ったことじゃない」
さやか「すねた?」
QB「そんな事ない。もう疲れたから先に休ませてもらうよ、さやか」
さやか「ちゃっかり居座るって図々しい猫ね。別にいいけど」
QB「猫じゃないキュゥべえだ」
そして夜がふけ、さやかとその両親が寝静まった頃、暗闇の中で赤く光るモノが
二つ。それは息を潜め、タイミングを見計らっていた白い獣の目であった。
QB「さやか……さやか、寝たのかい?」
さやか「うぅん……」
QB「きゅきゅっ、人の夜は短いね。僕にとって、これからが本番だというのに」
キュゥべえは耳のようなアレで、さやかの布団をめくり上げ、素早くその中へと
侵入した。少女特有の、芳しい匂いがキュゥべえを包み込む。
QB(ああ思った通りだよさやか! このふくらみかけの胸、小振りなヒップ、
スラっとした太もも、猫を思わせるしなやかな筋肉とスベスベで張りのある
瑞々しい肌……どれもこれもマミなんかとは比べ物にならない! 素晴らしいよ!
さて感度の方はどうかな?)
キュゥべえはウキウキと器用に耳を動かし、さやかの○○○を優しく擦る。
他者から与えられる初めての性的快感に、彼女は思わず弓のように身をくねらせる。
さやか「……んっ……ん……んンぅっ!」
QB(おっと、思ったより感じ易いね。起こしたらマズい、慎重にやらないと)
さやか「……はゥッ……あっ」
QB(まだ緊張してるね……今ほぐしてあげるよ)
キュゥべえは色々と言えないようなテクを駆使して、さやかの幼い身体を弄ぶ。
彼女の呼吸は乱れ、顔は紅潮し、パジャマはその体をなさぬ程に脱げ掛かっていった。
QB(ふう……今日は初日だしこれ位にしておこうかな。楽しみはとっておくものだし)
さやか「はぁ……はぁ……」
さやかは無意識の筈だが、行為が終わった後もキュゥべえにしがみ付き、離さない。
キュゥべえは無表情に苦笑いを浮かべながら、彼女の頭を耳で撫で落ち着かせた。
QB(お気に召したみたいだね、さやか。君は頭は悪いけど、身体の方は百点満点だったよ。
契約して魔法少女になれば、ソウルジェムを使ってもっと凄いプレイだってしてあげられる。
僕が魔法少女を欲する一番の理由、それはこの役得の為なのさ! そうでもなければ
やってられないよ、無償でガキの世話なんて! きゅっぷいきゅっぷい!)
翌朝。支度を終え学校へ向かうさやかに、ウロウロと纏わりつく小動物。さやかは
グシャグシャの髪をいじりながら、心の声でそれに呼びかけた。
さやか(どうしてついて来るのキュゥべえ)
QB(気にしないでさやか、僕の姿は他人には見えない。両親を見て確認しただろ?)
さやか(私が気になるのよ)
QB(その寝癖は手で抑えてどうにかなる代物じゃない)
さやか「んな事いってないでしょ!」
思わず声を出してしまい、何事かと振り返る人の視線から顔をそむけ、苦笑いで
口笛を吹くさやか。キュゥべえは気にも留めない様子だ。
QB(しくじったね。学校でもこれをやらかせば立派な電波少女になれるよ)
さやか(キュゥべえあんた、私の中学校生活を崩壊させる気!?)
QB(そんなつもりは更々ない。それより魔法少女にならないかい?)
さやか(諦めたんじゃなかったの?)
QB(一晩寝たらさやかの考えが変わるかなって思って)
さやか(考えが固まった。契約しない方向に)
QB(つれないなぁ。契約すればさやかのバカな頭を良くする事だって可能なのに)
さやか(お金が貯まって彼氏も出来て体重も減ってウハウハってか?)
QB(誇大広告と一緒にして貰いたくないな。僕には本物の魔法が使えるんだ)
さやか(別にバカでもいいもん)
QB(これは嘘をついてる味だね、さやか)
さやか(ていうかホント静かにしててよ。友達と待ち合わせてんだからさ)
QB(やれやれ……分かったよ。黙っててあげる)
さやか(っんとにムカつくなぁ、あんた)
仁美「さやかさんおはようございます」
さやか「おっ、仁美! はよーん!」
QB(……)
さやか(み、見えてないんだよな?)
QB(その筈だよ。彼女からは力を感じない)
仁美「どうかしたんですの、さやかさん?」
さやか「ナハハッ! ど、どうもしないよぉ!」
まどか「あっ、さやかちゃん! 仁美ちゃぁん!」
QB(!)
さやか「まどか! 遅いぞこのぉ!」
まどか「あっえっ、ゴ、ゴメン」
QB(ソ、ソウルジェムが測定しきれない……!?)
仁美「時間通りですわ」
さやか「でもペケはペケだよね」
まどか「ひ、ひどいよさやかちゃん」
さやか「ジョーダンだって! 全くかわいいヤツだなまどかは!」
まどか「あ、ううぅ……」
さやか(キュゥべえ、まどかは……あれいない?)
仁美「うふふっ、あんまりお二人で仲良くしすぎたら嫌ですよ」
さやか「いや私らは仁美みたいにモテないし禁断の恋に走るしか!」
まどか「え、えええー!?」
さやか(結局あたしにしか見えてないし良かったかな)
仁美「そ、そんな! お二人がそんな仲だったなんてぇー!」
さやか「おい! どこ行くんだ仁美! 冗談だよ!」
まどか「ま、待って二人とも! 私そんな足速くない! うわあぁん!」
キュゥべえはいなくなっていた。元々さやかはアレを自分の生み出した
幻覚か何かだと思っていたので、喜ばしい事だったが少しは寂しい様子。
今日は、転校生の暁美ほむらがまどかにガンを飛ばしたり因縁つけたりする
事件はあったが、さやか自身は取り立てて何もない平凡な日。満足してない
訳ではないが、何か物足りなさも感じていた。
さやか(私って夢見がちな少女だったわけか。もうまどかの事からかえないや)
そんな事を考えながらお昼休み、飲み物を買いに一人で自動販売機までやって
来たさやか。目の前にいた白い獣を見て少し心が躍ったのが悔しかった。
QB「ヤアさやか。僕が突然いなくなって寂しかった?」
さやか「ナニいってんだヴァカ」
QB「素直じゃないなあ。でも説明するよ」
さやか「何か理由があったの?」
QB「鹿目まどか。彼女のような資質を持つ子と出会ったのは初めてだ」
さやか「……えっ、まどかが? まさか」
QB「うん、僕も驚いた。それで隠れた方がよいと判断した」
さやか「どういう事だよ」
QB「志筑仁美という第三者もいたからね。僕を見て事情も分からないまま
騒がれたらマズいだろ?」
さやか「確かにそれは……ってかマジでまどかもあんたが見えるの?」
QB「出来れば君がまどかを誘導してくれると助かる」
ほむら「それには及ばないわ」
さやか「あっ、転校生! こ、これはちょっと劇の練習をだね」
ほむら「慌てないで美樹さやか。私にもそいつは見えてる」
QB「君は……魔法少女か?」
さやか「マ、マジか転校生!?」
ほむら「ほむらでいいわ」
さやか「ほ、ほむら、あんた本当に魔法少女ってヤツな訳!?」
QB「ほら僕は幻覚じゃなかったろ?」
さやか「信じられない……じゃあ本当にキュゥべえに頼めば」
ほむら「美樹さやか、そいつから離れて」
さやか「へっ? 急に何だよ」
ほむら「魔法少女になろうなんて思わない事ね。全てを失う事になる」
QB「そんな事ないよ。戦いの使命が課せられるのは事実だけど」
さやか「ほむら、それってどういう事だ?」
ほむら「貴女に説明しても、信じてもらえるか分からない。でも」
QB「さやか! 僕と彼女、どっちを信じるんだい!?」
さやか「今の所ほむらかな……キュゥべえ何かテンションおかしいし」
QB「暁美ほむら、君は新しい魔法少女が生まれるのを阻止しようとしている。
それは君が魔女から生まれるグリーフシードを独占したいからだ。違うかい?」
さやか「??」
ほむら「ロクに説明もしてなかったようね。彼女困惑してるわよ」
さやか「あ、それはあたしも話を聞かなかったってのもある」
ほむら「正解ね。貴女が騙される前で良かった」
QB「いいさ! 君達になんて用はない!」
ほむら「待ちなさい! 鹿目まどかには手出しさせない!」
さやか「お、おい! ちょっと待ってよ!」
捨て台詞を吐き、矢のような動きで逃げるキュゥべえ。それを追うほむら。
さやかはあっという間に置き去りにされていた。
必死に目で追ったが、やがてどちらの姿も見えなくなり、さすがにさやかは
諦めた。しかし、しょんぼりして校舎に帰ろうかと思った時、ふと周囲の風景が
万華鏡のように変わって行くのに気がついた。
さやか「な、何だよこれ……?」
メルヘンチックな背景だが色彩が暗く、顔のない動物達や、壊れたオモチャが
お行儀よく行進してるという訳がわからない、理屈では説明できない不気味で
不条理な世界。
さやか「どうなってんだ……それともあたしがどうかしちゃったのか?」
それは精神病患者の歪んだ深層心理のような風景だった。さやかは見ている
だけで、自分の正気がどんどん失われてしまうような感覚に陥った。
さやか「ね、ねえ誰か! 誰かいませんか! おおーい!」
さやかの声は不気味に反響するだけ。ここが普通の場所ではない事くらい、
魔法少女でなくても分かりすぎる。自分が知らない内に死んでしまったのかと
思うくらいの状況である。
さやか(どうしよう……お母さん、まどか、仁美……恭介ぇ……)
中学生でなくても無理もなく、彼女は不安でその場に泣き崩れた。夢であって
欲しい。非現実の中で最後に残されたのはそんな当たり前の願望だった。
QB「これは魔女の結界だよ、さやか」
さやか「キュッキュゥべえ!!」
QB「無事だったかい? とんでもない事になっちゃったね」
さやか「うわああぁぁん!! キュゥーべえー!!」
QB「やれやれ……そんなに不安だったのかい?」
さやか「怖かった!! 怖かったよぉ!!」
QB「こんな事になったのもみんな暁美ほむらのせいだね。最悪だ」
さやか「そうなの? ま、いいや! ここから出して!」
QB「それは不可能というものさ」
さやか「はい?」
QB「僕自身に魔女を倒して結界を破るほどの力はない」
さやか「本当かよ!? 冗談いってる場合じゃないよ!?」
QB「冗談なもんか。やれやれ困ったもんだ」
さやか「困ってるような顔に見えないんだけど」
QB「そんな事はない。この目を見てくれ」
さやか「何も分からなかった」
QB「仕方ないね。さやか、いざとなれば願い事を考えておいてくれ」
さやか「そ、そんな……急に言われたって」
QB「君が魔法少女になれば、この結界を作った魔女に対抗出来るんだ。
分かってくれるよね?」
さやか「でも……」
さやかがキュゥべえの提案に躊躇している間に、壊れたオモチャの軍隊が
襲い掛かってきた。驚いて慌ててキュゥべえを抱えて逃げるさやか。
QB「もう危ないよ! 早く!」
さやか「私が魔法少女になったら本当に抜け出せる!?」
QB「保障は出来ないけど可能性はある!」
さやか「ピンチになったらイケメン仮面は駆けつけてくれる!?」
QB「そんなオプションはない!」
さやか「話が違うよー!」
QB「さやかってほんとバカ」
さやか「行き止まりだ!」
QB「年貢の納め時のようだね」
さやか「あ、あんたがいうな!」
QB「僕がさやかを魔法少女にしてあげるしか方法はない」
さやか「大きく出やがって」
QB「事実、君の力が必要だがそれを引き出すのは僕だからね」
飛んでくるオモチャを脱いだ上着で振り払うさやか。キュゥべえはただ
それを見守るのみ、僕には何の力もないと言わんばかりに。
さやか「あ、あっち行けよコノヤロー!」
魔力を帯びたオモチャは肉体的よりも精神的にさやかにダメージを与え、
彼女の身体はみるみる疲弊していく。
QB「残念だよさやか。君は魔法少女になれる資質がありながら、こんな所で
緩やかな死を待つわけだ」
さやか「ハァッ、ハァッ……わ、分かった……」
QB「本当かい!?」
さやか「あんたとの契約、嫌な予感がするけど死ぬよりはマシだ」
QB「信じていたよ、さやか。それで願いは?」
さやか「あたしの願いは――」
ほむら「その必要はないわ」
QB「ゲェーッ、キ、キサマはっ!?」
さやか「ほ、ほむほむっ!?」
颯爽と現れたほむらは、手榴弾のようなモノで、オモチャの兵隊を一瞬で
殲滅した。そして髪を掻き揚げ、振り返りもせず言い放つ。
ほむら「ほむら、よ。落ち着きなさい」
さやか「た、助けに来てくれたのか、ほむら!?」
ほむら「勘違いしないで。貴女が死んで悲しむまどかを見たくないだけ」
QB「聞いたかい? 彼女はレズだ。近付かない方がいい」
さやか「お礼くらい言えよキュゥべえ」
ほむら「いいわ。虫唾が走るだけだもの」
QB「ありがとう暁美ほむら! 助かったよ!」
ほむら「……」
さやか「け、喧嘩してる場合じゃないだろ? なっ?」
ほむら「別に怒ってないわ。ただちょっと殺したいなって思っただけ」
さやか「十分キレてんじゃん!」
QB「犯行予告だ! 通報してくれさやか!」
ほむら「私は冷静よ。本音を出すことで気を静めたの」
さやか「そ、そうか良かったー」
QB「余計タチが悪いよ!?」
ほむら「無駄話はここまで。脱出したいなら私について来なさい、美樹さやか」
さやか「ああ! 頼りにしてるぜ魔法少女!」
QB「僕の事こっそり無視してないか?」
ほむらはソウルジェムを探知機に使い、魔女がいる部屋をすぐに探り当てた。
その前で彼女はさやかを手で制する。
ほむら「任せて。すぐ終わらせる」
さやか「頑張れよ、ほむら!」
ほむら「……分かったわ」
QB(しくじれクソアマ)
さやか「聞こえてるぞキュゥべえ」
ほむらは魔女の部屋のドアを勢いよく蹴破った。魔女はダースベイダーのパチモンの
ような姿だった。すぐさまライトセイバーのようなモノが魔法少女に向かって来る。
しかしその宙を舞う光の刃を、すり抜ける、というよりも突き抜ける、といった風に
瞬間的にかわして行く。
とはいえ、防戦一方のように見えた。しかししばらくして魔女の本体が爆ぜる。
時限爆弾のようなモノをほむらが仕掛けたらしかった。
さやか「やったか!?」
ほむら「!?」
しかし魔女がバラけたと思ったその時、そのそれぞれが意思を持って一斉にほむらに
襲い掛かる。一瞬緊張が弛緩したせいか、瞬間移動するような気配が魔法少女から
感じられない。
ほむら「ウグッ……」
さやか「ほっ、ほむらぁっ!!」
QB「やったか!?」
ほむらは血だらけになって、地面を這い蹲った。相当の深手を負ったようだ。
しかし魔女は休む間など待ってはくれない。冷酷に彼女を追い詰めていく。
ほむら(この私が……油断するなんて……)
さやか『頑張れよ、ほむら!』
ほむら(何を浮かれているの! ここで死んだら何の為に! 私は――)
さやか「キュゥべえ! ほむらが、ほむらが死んじゃうよ!」
QB「まだ分からない。彼女の能力は魔法少女の中でもチート臭い」
さやか「な、何でっ! 何でそんな冷たい事が言えるんだ! キュゥべえッ!」
QB「誰も僕を責めることはできない」
さやか「あたしが! あたしが魔法少女になればっ……!」
QB「ようやく決心がついた? じゃっ、願い事は何かなァっ!?」
さやか「あ、ああ……私は」
ほむら「やめなさい美樹さやかっ!!」
さやか「ほむら!!」
ほむら「今の私を見て分からないの!? 貴女みたいな人がやって行ける程
甘いモノじゃないのよ!!」
さやか「ふざけんな! あんたに借りを作ったまま見殺しにしろって!?」
ほむら「いいから黙って見てなさい――もうマグレはないわ」
そうほむらが言い終えるなり、分裂した魔女が連鎖的に一つ残らず爆発した。
どうやら彼女は、小さな魔女全てに時限爆弾を仕掛けたようである。
そして風景が歪み、正常に戻りつつある。ほむらが完全に魔女を駆逐出来た
証拠だろう。次第に結界が解けていってるのが分かる。
さやか「も、戻って来た……戻って来たんだ! ほむら!」
さやかは急いでほむらの元へ駆け寄った。ほむらは変身を解いてすぐその場に
倒れ込んだからだ。
さやか「おいっ、無事か! しっかりしろぉ!」
ほむら「……ワンコじゃあるまいし、あまり耳元でギャンギャン騒がないでくれる
かしら?」
さやか「バカ……余裕してた癖に心配かけやがって……良かった」
QB「全くゴキブリ並の生命力だね! 感心するよ!」
ほむら「それってご自分の事かしら?」
さやか「で、でも本当に大丈夫なのか? あんなに傷付いてたのに」
ほむら「これ……さっきの魔女のグリーフシード。これを使えば平気」
さやか「グリーフシード?」
ほむら「魔女の卵よ。魔力を消耗して濁ったソウルジェムもこうすれば」
さやか「ななっ!? よく分からんが綺麗になった!」
ほむら「……とにかく、これで私は大丈夫」
さやか「そっか便利なんだ」
QB「その通り! 魔女退治にはこうして見返りもある! 悪い話じゃないだろ!」
さやか「それよりありがとな、ほむら」
ほむら「だから貴女の為にしたことじゃない。何度も言わせないで」
さやか「へえ、そんなにまどかが好きなんだ?」
QB「このレズ女、さやかの事も狙ってるんじゃないかな?」
ほむら「誰の為でもない。私は私自身の祈りの為に戦っている」
QB「うわ、自分に酔ってるんだ。引くなぁ~」
さやか「照れんなって、私と一緒だよ! 私もまどか大好きだ!」
ほむら「……」
さやか「まどかは私の嫁だけどな!」
ほむら「貴女もまどかが魔法少女にならないよう、見守っててくれる?」
QB「何訳の分からない事を言ってるんだろうねコイツ」
さやか「ああ! あんなのと戦ったらまどか泣いちゃうしな!」
QB「ヤムチャが悟空の心配なんかしなくてもいいんだよ」
ほむら「ありがとう美樹さやか……いえ、さやか……」
さやか「ほむら……そんな顔も出来るんじゃん」
QB「クールキャラ崩壊? 笑顔、似合わないからやめた方がいいよ」
さやか「ちょっと黙ってろよキュゥべえ」
QB「人間ってやる事に一貫性がないから嫌だね。いい加減にしてもらいたい」
ほむら「そうよ人間とはそういうもの……キュゥべえには分からない」
QB「下らない……僕がソウルジェムをいじってやれば君だって」
ほむら「私を思い通りに出来るとは思わない事ね……キュゥべえ……いえ、
淫キュベーター」
QB「へぇ、どこで君はその知識を手に入れたのか? 僕にはとても興味深い」
さやか「何の話だ?」
正体を指摘されても尚、無表情なキュゥべえに対し、のん気に尋ねるさやか。
その問いに答えた(?)のは、いつの間にか背後に現れていた見知らぬ少女の、
落ち着き払った声だった。
マミ「その子はね、私の友達なの」
QB「マ、マミ……」
マミ「キュゥべえ突然いなくなるんだもの。探しちゃった」
さやか「えっ……見えてる? あなたは一体……」
マミ「私は巴マミ、貴女と同じ見滝原中三年の生徒よ。そして魔法少女でもあるの」
さやか「魔法少女……本当に?」
ほむら「ええ、そのようね。それも相当強い」
さやか(キュゥべえを友達なんて言っちゃうくらいだから、すげーいい人っぽいけど)
マミ「貴女もとてつもない力を秘めているわよね。出来れば敵対したくはないんだけど」
ほむら「どうして私達が敵対する必要がある? 巴マミ」
マミ「あら? だって私の友達をさらったのは貴女じゃなくって?」
QB「なるほど、これはいい勘違いだね」
さやか「おい」
QB「おっと口が滑った」
ほむら「……そう、勘違い。こんな奴、勝手に連れて行けばいい」
マミ「何だ、ごめんなさいね。今までそういう魔法少女もいたものだから」
QB「でも僕はコイツに酷い目にあわされたんだ。マミ、やっちゃってよ」
マミ「あらそうなの? 困ったわね……」
ほむら「あまりそいつを信用しない方がいい、巴マミ」
マミ「んー、そうね。今回は見逃してあげる」
さやか「物分りのいい人で良かった!」
QB「君達は複雑なのか単純なのか」
マミ「貴女方も一応、名前聞かせてくれる? 私だけ名乗らせてズルいわ」
ほむら「……暁美ほむら」
さやか「あたし美樹さやか! ほむらと一緒の中二です! あなたの後輩!」
マミ「暁美さんと美樹さんね……分かったわ。縁があったらまた会いましょう」
ほむら「……」
さやか「は、はい! えっとマミさんとお呼びしても」
マミ「えっ……うふふ、構わないわよ。それじゃね」
QB「やれやれ……」
マミ「キュゥべえ! 行くわよ、言わせないで!」
キュゥべえと巴マミがその場を去って行き、取り残されたさやかは、思い出した
ように腕時計を見た。
さやか「ヤバッ! もうこんな時間! 午後の授業サボっちゃったよ!」
ほむら「死ぬかも知れない体験をしたのに、そんな心配?」
さやか「か、考えてみりゃそうだな、アハハー」
ほむら「ううん、さやからしいわ」
さやか「そうぉ? 今日初めて会ったのにそんな事分かる訳?」
ほむら「何となくね」
さやか「まー、あたしも単純だからな。言いかえせん」
ほむら「貴女は美樹さやかのままでいればいい。今まで通り、これからも」
さやか「なぁに当たり前のこと言って……いや、ゴメン」
ほむら「そろそろ学校に戻りましょう。鞄、取りに行かなきゃ」
さやか「そうだな行こっか」
ほむら「……」
さやか「なあ、ほむら」
ほむら「何?」
さやか「帰りも一緒にいい? CD屋付き合って欲しいんだ」
ほむら「……気を遣っているなら」
さやか「違う! あたしがそうしたいんだ!」
ほむら「仕方ないわね」
さやか「これからもよろしくな、ほむら!」
ほむら(美樹さやか、もう二度と死なせない)
さやか「えっと……何か言った?」
ほむら「つまり良くあるハッピーエンドにすればいいのよね」
さやか「アハハ、美人なのに変なヤツだなぁホント」
一方その頃、マミのマンションでは。
QB「どうだいマミ? これだね? これが欲しかったんだろメス豚?」
マミ「あぁン! はぁい! こっ、これなのォ! これェ!!」
QB「だったら君も、まどか勧誘を手伝ってくれるね?」
マミ「ふあぁァん!! キュゥべえのティロ・フィナーレ凄いよおぉッ!!」
QB(二人が結託してまどか魔法少女阻止計画? 笑わせる、そんなありきたりの
ハッピーな結末が現実にあるとでも? 夢見る少女が絶望するのは勃起するね。
すぐこうして次の一手で追い込む。さすがキュゥべえさん格が違った)
マミ「キュウウッ! 余所見しちゃ嫌ああアぁぁンッ!!」
QB(まるで淫売だな。これだからマミは苦手なん)マミ「聞こえてるわよキュゥべえ」
きゅっぷい姦きゅっぷい
94 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/03/05 22:32:35.87 F7BrN/jB0 54/55おもしろかった
乙です
95 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/03/05 22:47:37.15 LxNEa4Lk0 55/55あぁ姦ってそういう・・・
乙。続き待ってるぜ