男「お、俺もすごい美人と過ごすし!」
幼馴染「嘘だー?」プークスクス
男「クソッ……み、見てろよ!?」
その夜
幼馴染「……その子、誰?」
男「だ、だから言ったろ?すごい美人と暮らすって!」
従姉(……私は頼まれて来ただけなのに、物凄い殺意を感じるんだけど)
元スレ
幼馴染「私、今日すごいイケメンと過ごすんだ!」
http://engawa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1324684754/
男「わ、わかっただろ?だから俺も今日は忙しいんだよ!」
幼馴染「……あっそう。私も、どうせ忙しいし」ギロッ!
従姉(な、何これ?もしかして痴話喧嘩にでも巻き込まれてるの私?てかこの娘こっわ…)
男「そ、そうかよ……。ま、まぁ、お互い良い日になりそうだな!」
幼馴染「……そうだね。ホント良い日になりそうだよ……」ギロッ!
従姉(ひっ!……こ、これ、まずいんじゃないのかな?……と、とりあえず挨拶でもして!)
従姉「あ、あの……」
幼馴染「あ?」
従姉「ひぁっ!……え、えーとね?わ、私は男の……うわっ!」<ガシッ!
男「と、というわけで!これからデートだから、ま、また今度な!」ダーッ!
従姉「ちょ、ちょっと、男!?デートって、わ、私は!」
男「い、いいから!早く行こう!」グイグイ
男(こんなところでボロ出されたら、俺の威厳が地獄の底を突き抜けちまうよ!)
幼馴染「……」ギロ
従姉(うわーん!どうしてこんな日にこんな目に合うの……。私も、彼氏いないけどさ……)
幼馴染「……そう、そうなんだ、男」
幼馴染「ちょっと、からかったつもり、だったんだけどな……」アハハ
幼馴染「……ホントは、ね?男と一緒に、過ごすつもり、だったんだよ?」アハハ…
幼馴染「……いつもみたく、冗談言い合って、笑って過ごしたかった、だけなんだよ?」…
幼馴染「……なのに、どうして、こう、なっちゃったの、かなぁ?」ヒック…
幼馴染「一緒に、いたいよ……男……」ヒックヒック…
幼馴染「…………………………惨めだな、私…………………………帰ろ」トボトボ…
====================
従姉「もうっ!一体どういう事よ、男!?」
男「ご、ごめん姉ちゃん……これにはちょっとした訳が……」
従姉「訳って何ッ!?あの娘、すごく怖かったんだけど!?」
男「?……怖かった?なんで?どこが?」
従姉(こ、こいつ、気づいてないの!?あの目は尋常じゃないでしょうに……)
男「……え、えーと、簡単に言うと、見栄を張ってしまいまして……」
従姉「……なるほど。今日、自分はボッチじゃないよって事、アピールしたかった訳ね……」
男「はい、おっしゃる通りです……」
従姉(はぁ……なんか、ややこしい事に巻き込まれちゃったなぁ……。だってあの娘、どう見ても男の事……)
男「……えーと、あの、姉ちゃん?」
従姉(……私だって、今日は何も予定なかったけど、男が『用事あるから家来て』なんて言うから来たのに……)
男「……おーい?」
従姉(……従弟だけど、やっぱ意識しちゃうじゃない?だって今日誘うってさぁ……)
男「……ちょ、ちょっと姉ちゃん?」
従姉(……小さい時からずっと仲良く遊んできたし、私だってちょっとは男の事さ……)
男「……」
従姉(ああー!もう!考えてたら腹立ってきた!)ゴゴゴ…
男(な、なんかやばい?……い、いや!これはやばい!)
従姉「男ッ!」
男「は、はひっ!?」
従姉「あんた、今日、私とデートするつもりだったのよね?」
男「えっ?あ、いや、その、あいつの前でフリだけはできたから、もう……」
従姉「す る つ も り だ っ た の よ ね ?」
男「は、はいっ!不肖、この男!あわよくば姉さんとデートするつもりでした!」
従姉「よーし!なら財布の中身いっぱいにして出掛ける準備しなさい」
男「えっ!?マジでデートすんの!?しかも財布の中身いっぱいって!?俺、今月ヤバイよ!?」
従姉「うるさいっ!私を都合良く使った事、後悔させてやるだから!」
====================
幼馴染「……ただいま」
幼馴染母「あら、帰ったの?あんた、今日、男君と一緒に遊ぶんじゃ?」
幼馴染「……あはは、なんかあいつ他の友達と遊ぶ約束しちゃってたんだってさ!」
幼馴染母「あら、そうなの?あんたもちゃんと確認しときなさいよね?男君だって都合ってもんがあるのよ?」
幼馴染「……そうだよね。ちゃんと、確認するべきだったよね……」アハハ…
幼馴染母「……ちょっと、あんた目が……」
幼馴染「!?」ダッ!
幼馴染母「ちょ、ちょっと!?どこ行くの!?もう夜ッ!」
幼馴染(もう、いやだよ……。こんなの……)
====================
従姉「ほら男!次はこれやるわよ!これ!」
男「ちょ、ちょっと待ってくれよ、姉ちゃん……お金が、お金が、俺のお金が……」シクシク
従姉「男がそんなにケチケチするもんじゃないわよ!……それに今日、私を呼び出したのは誰?」
男「……はぁ、わかったよ、姉ちゃん」ホレ
従姉「うんうん、わかればいいのよ」ニコッ
男(……まったく、何で今日この日に姉ちゃんとゲーセンで遊んでんだか……。まぁ、でも……)
従姉「キャー!これ楽しいーーッ!ほら、男もやろうよ!」ニコニコ
男(……悪くは、ないよな)
====================
従姉「うぅーん!はぁー!楽しかった!随分と熱くなっちゃったね!」ノビノビ
男「……俺の財布は寒くなったけどな」
従姉「もう!お金お金ばっかり言ってる!」
男「ビンボー人は辛いんだってば!」
従姉「……じゃあさ、もしかして私と遊ぶの、楽しくなかった?」
男「え?」
従姉「ほら、私って小さい時からこう、男の事無理矢理引っ張って色々巻き込むし……」
男「……確かに、小学生の頃、池に落ちたのはきつかったなぁ」
従姉「うっ……あれはだって、あの板があんなに脆いなんて知らなかったんだもん……」
男「祭りに行って姉ちゃん一人でで食い道楽してる内に置いてけぼり食らったり……」
従姉「あ、あれはその、おいしい食べ物たくさんあったし、幼い頃の私は我慢できなくて……」
男「その他にも、花火であわや火傷なんて事もよくあったよねぇ……」
従姉「う、うぅ……」
男「それでも、さ」
従姉「?」
男「……その、姉ちゃんと一緒にいるのは楽しいよ。楽しくなかった事なんてないよ」
従姉「!?」
男「だから、今日も楽しいっつーか、嬉しいっつーか、そのさ……」
従姉「……」
従姉(……えっ、えっ!?ちょ、ちょっと待ってよ!な、何よそれ!……もう、ずるいじゃない!)
男「……って、姉ちゃん?どしたの?急に下向いて?」
従姉「ちょ、ちょっとね!足が気になって!」
従姉(ああー、もう!今、絶対私顔赤い!うぅ、恥ずかしくて、男の事見れないよぉ……!)
男「足?なんで?痛いの?」
従姉「ううん!大丈夫!大丈夫だから!」
男(一体なんだ?急にどうしたよ?)
従姉(ああもう!なんなのよ、これ!男は私の従弟でしょ!それ以上でも、それ以下でもないじゃないの!)
男「姉ちゃん、マジで大丈夫か……?」
従姉「だ、大丈夫だってば!」
従姉(そう、私は男のお姉ちゃんなの!それに、男にはあの娘だっていたじゃない……)
男「なら、いいけど……。姉ちゃん、無理せずに今日はもう帰ろうよ」
従姉「だ、大丈夫よ!……うん、よし!今度は外をぶらぶらしよっ!ゲーセンで熱くなった体を冷ましに行くわよ!」
男「だ、大丈夫なの?」
従姉「平気よ!だから行くわよ!」
男「ならいいけど……。じゃあ、どこに行く?」
【行き先を決めてください 下5 1.近所の公園 2.近所の小川 3.やっぱり帰る 】
※選択肢でルートが別れます
従姉「よし!公園に行くわよ!公園!」
男「公園って、家の近くの?」
従姉「そう!家から近いし、文句ないでしょ?」
男「まぁ、姉ちゃんがいいなら別にいいけどさ……」
従姉「よし!じゃあ、レッツゴーッ!」グイグイ
男「うわっ、ちょ、いきなり引っ張んなよ、姉ちゃん!ってこら、話聞けよ!」
従姉「あはは!しーらない!」
従姉(……神様、サンタクロースさん、今日だけでいいですから。……今日だけは甘い夢を見せて下さい)
====================
幼馴染「……寒くなってきちゃったな」
幼馴染(……懐かしいな、この小川も……)
幼馴染(……私が初めて、男が好きだって気づいたのが、ここだったっけ)
幼馴染(……幼稚園にいた頃、よく男の子達に混じって遊んでて……)
幼馴染(ある日、この小川の近くで遊んでたら、私が滑って落っこちちゃったんだよね……)クスクス
幼馴染(今になってみれば、なんて事ない深さと流れだけど、その時の私は泳げなかったし、パニックになっちゃったんだよね……)
幼馴染(他の男の子も怖がって、私を助けに来てくれなかった。まぁ、助けを呼びに行ってはくれたみたいだけどね……)
幼馴染(……でも、あいつは違った。あいつは他の子達が怖がる中、川に飛び込んで助けに来てくれたんだよね……)
幼馴染(その時から、私の中ではあいつが一番になった……)
幼馴染(我ながら、ベタな展開で惚れたとは思うけどどうしようもないし……)
幼馴染(まぁ、今となっては、あいつもただのヘタレと化しちゃったけどね……)クスクス
幼馴染「……ははは、私も、素直じゃないね、ホント」
幼馴染「……私はあいつの事が好き。男が大好き!………………うん!良く言えました!」
幼馴染(……私の中での、あいつの存在、大きさは変わらない。だから、あいつが幸せなら、それも私の幸せだよね)
幼馴染「クリスマスは自分の幸せを願うものだと思ってたけど、人の、好きな人の幸せを願うのもいいよね!……だから!」
幼馴染「メリークリスマスッ!」
====================
男「な、なぁ、ホントに大丈夫か、姉ちゃん?」
従姉「う、うん、だ、大丈夫だよ!」
従姉(ふぅ、やっと落ち着いてきたよ……)
男「で、でもさ、ちょっと顔赤くね?」
従姉「!?……そ、外が寒いからよ!ほ、ほら、だって今冬でしょ!?」
従姉(あぁ、また顔が火照ってる……)
男「……寒いなら、もう帰った方が……」
従姉「い、いやッ!それはいやッ!」
男「!?……ど、どうしたんだよ急に叫んで……」
従姉「えっ、あっ、これは!ち、違うの!別に叫んだ訳じゃ……」
男「……今日の姉ちゃん、マジでちょっとおかしいぞ?一体どうしたんだ?」
従姉「べ、別におかしくなんか……」
男「いや、おかしいよ。俺は姉ちゃんの様子がわからなくなるほどモウロクした覚えはないよ」
従姉「……」
男「……」
従姉(だ、だめよ、私!雰囲気に流されちゃ、ダメ……。私は男の姉なん、だから……)ポタポタ…
男「!?ね、姉ちゃん!?な、なんで泣いてんの!?え、えっ、えぇ!?」
従姉「な、泣いてなんか、ない、わよぉ……」グスグス…
男「いや!めっちゃ泣いてるじゃん!?え、えっ!?俺なんかした!?」
従姉「……ううん、男は、何も、悪くない、よ……」
男「いや、明らかに俺でしょ原因!?俺、切腹した方がいい!?何でも姉ちゃんの言う事聞くから!」
従姉「なん、でも……?」
男「お、おう!なんでもだ!男が一度言った事は履がえさねぇ!……何でもかかってこい!」
従姉「じゃあ、この苦しみ、取り除いてよ……」
男「……えっ?」
従姉「男と一緒にいると、胸が苦しいの……。ぎゅーって痛くなるの……。なんとかしてよ……」
男「ね、姉ちゃん?それって……」
従姉「……でも、やっぱりダメ、なの。私は男の、お姉ちゃん、だから……」
男「……」
従姉「小さい時、から、ずっと一緒で、ホントの姉弟みたいに過ごして……」
男「……」
従姉「だから、ダメ、なの……。それ以上を望んだら、ダメ、なの……」ポタポタ…
男「……ッ!姉ちゃん」ギュッ!
従姉「!?お、男!?……だ、ダメ!ダメだよ!」ジタバタ!
男「いいから!ジッとしてろ!」ギュー
従姉「……やめてよ……放してよ。……余計、辛くなっちゃうよ……」グスグス
男「嫌だね!放すもんか!」
従姉「うぅ……」グスグス
男「……」
従姉「……う、うわーーーーーんッ!」ギュッ
男「……」ギュッ
====================
従姉「……」グスグス
男「……落ち着いた?」
従姉「……うん」
男「……そうか。なら良かった」
従姉「……うん……だから、もう放していいよ」
男「……」
従姉「……あはは、変な事言っちゃったよね、私!男も忘れて忘れて!」
男「……わかった。姉ちゃんが言った事は忘れるよ」
従姉「……うん、ありがとう、男」
男「……その代わり、俺が今から言う事を忘れないでほしい」ギュ
従姉「……え?……男?」
男「姉ちゃんとはガキの頃からずっと一緒で、一人っ子の俺にとって本当の姉同然の存在だった」
従姉「……」
男「だから、今まで俺は、姉ちゃんをずっと姉として想ってきた」
従姉「……」
男「でも、俺はそれ以上の想いを姉ちゃんに持てる思う。……いや、もう持ってるかな……」
従姉「!?……おと、こ?」
男「都合が良いのはわかってる。でも、俺は今日姉ちゃんと過ごして思ったんだ」
従姉「……」
男「……俺は、姉ちゃんが好きだよ」
従姉「おと、こ……」
男「俺はまだガキだし、ヘタレだし、どうしようもない男だけどさ……」
従姉「……」
男「姉ちゃんを想う気持ちに嘘はないから」
従姉「……」
男「……うん、だから、それだけは覚えといて」
従姉「……うん、忘れない、絶対、忘れない、から……ッ!」ポロポロ
男「ありがと、姉ちゃん。……てか、また泣くの?ホント今日はよく泣くなぁ」ハハハ
従姉「うるさい……ッ!だって、嬉しいん、だからしょうが、ないでしょ!」ヒック
男「はは、こんな姉ちゃんは久しぶりに見たよ」
従姉「うぅ……!いじわる……ッ!」
男「ははは!今更思い知った?」
従姉「……いつもは私にいじられる癖に、こんな時だけ……」
男「こんな時だからこそ、でしょ?」
従姉「もう……ッ!」
従姉(……くそー、嬉しいけど、なんかムカつく!……!そうだ!)
従姉「……ねぇ、男?」スッ
男「ん?何?……んむっ!?……んっ!?んむむむむーッ!?」
男(えっ?えっ!?これって……)
従姉「……ぷはぁ……………………………さ、さぁ、帰りましょ///」
男「……えっ、姉ちゃん今のって……」
従姉「な、何顔赤くしてんの?///はは、照れてる照れてる!///」
男「なっ!ね、姉ちゃんだって顔真っ赤じゃん!///」
従姉「あ、あんたの方がもっと真っ赤よ!///」
男「いいや、姉ちゃんの方がひでぇよ!///」
従姉「クスッ、あははははッ!」
男「ハハッ、あははははッ!」
====================
男「……そういえばさ」
従姉「……うん?何?」
男「……従姉弟ってちゃんと結婚もできるんだよなぁ……」
従姉「えっ!?……う、うん、そうだね///」
男「……姉ちゃん、いつか、また言ってよ。公園で言ってくれた事」
従姉「……あれ、忘れてくれるんじゃなかったの?」クスクス
男「おっと。そうだった……。じゃあ、俺が言った事に、いつか答えてよ」
従姉「……うん、必ず」
男「ありがとう」
従姉「あっ!雪、だね……」
男「おお、ほんとだ」
従姉「……ねぇ、今、私の言いたい事、わかる?」
男「……うん、たぶん」
従姉「それじゃ、せーの、で言おうよ」
男「おう!わかった」
従姉「それじゃ、いくよ?……………せーの!」
従姉・男「「メリークリスマスッ!」」
ー数日後ー
幼馴染「おーす!男!明けましておめでとー」
男「おーす。あけおめー」
従姉「あ、あの、明けまして、おめでとう、幼馴染ちゃん……」
幼馴染「あっ!お姉さんも、明けましておめでとうございます!」
男(……あれから、クリスマスの日から、幾日か経った)
男(あの後、姉ちゃんは何故か幼馴染の家を俺から聞き出し、すぐにそっちに行った)
男(そこで姉ちゃんが幼馴染と何を話したのかは俺の知る由もない)
男(ただ、姉ちゃんが帰って来た時、幼馴染が一緒に来て、俺が半殺しの目にあったのには未だに納得がいかない……)
男(まぁ、何はともあれ、今は前と同じように接してくれているが)
男(また、あれ以降、姉ちゃんと幼馴染は知り合いとなった)
男(幼馴染は姉ちゃんに対し、かなり親しく接しているようだが、姉ちゃんはどこか下手に出ている感じがする……)
男(それが何故かも、俺にはよくわからない)
男(だが、こうした日常を過ごせるのはいいことだと思う)
男(……それに、今までよりも姉ちゃんと会う時間も増えた、というより増やしたし)
男(……俺はまだガキだから、どうにも慣れない事ばかりだけど、姉ちゃんとは楽しくやっている)
男(しかし、あまり先には進んでいない。つまり何が言いたいかというと……………まだ童貞だよ)
男(でも、まぁ、ゆっくり進んでいければいいと今は思っている)
男(俺は、この日常を大切にしたいから)
幼馴染「おい、こら男。何一人で黄昏てんのよ?」
従姉「男?どうしたの?」
男「……いや、生きてるって素晴らしいなと」
幼馴染「また半殺しにしてあげようか?」
男「……全力でお断りします」
従姉「あ、あはははは……」
幼馴染「……まぁいいわ。……ていうか、そろそろ行かないと混んじゃうよ?初詣」
従姉「そうだね。それじゃ、男?」
男「……そうだな、じゃあ、行くか!」
従姉・幼馴染「「おおーッ!」」
―END―
終わりが中途半端で申し訳ないが、これにて終了
読んでくれてありがと
疲れたので寝る
おやすみ