あやめ速報-SSまとめ-

結衣「いや、まぁ…………」

ちなつ「……」

京子「ほら」

あかり「えっ、えっ？なにが『ほら』なの？」

京子「だから、あかりは皆から嫌われてるんだよ。分からないの？」

あかり「え…………そ、そんなぁ！ウソだよ！結衣ちゃぁん！」

結衣「……あかりって、いちいちリアクション大きいよな」

ちなつ「ですよねー」

あかり「さ、三人とも……ど、どうしちゃったの……？」

結衣「正直、この部で一番いらないのってあかりだよな」

京子「うん。リアクション大きいしノリ悪いからいじりにくいし」

ちなつ「あー、分かります。いちいち傷ついた顔するのやめて欲しいですよね」

あかり「…………………」

京子「あれ、どうしたの、あかり」

あかり「………ヒドイよ………何も、目の前で言わなくても……｣ｸﾞｽｯ

結衣「だから泣くなって。いちいちフォローする私の身にもなれ」

あかり「う…………｣ﾌｷﾌｷ

ちなつ「あーあ。結衣先輩に迷惑かけるのだけはやめてね？」

あかり「……｣ｺｸﾝ

京子「それでいいよ。あかりは黙ってればいいからさっ」

あかり「……みんな……あかりのこと、いつから嫌いに……？」

結衣「先月ぐらいから、か？ ずっと陰口してたよな。今日は京子がガツンと言ってくれて嬉しかった」

あかり「せ、先月………一週間前、お泊りしたよね……？」

京子「嫌いだけど我慢してた」

あかり「……ウソだよ……みんな、笑顔でお話……｣ｸﾞｽｯ

ちなつ「だから泣かないでよー」

あかり「う……あかり、我慢できなくて、泣いちゃうよ……｣ｸﾞｽｯ

結衣「泣くなよ」

京子「泣くなって」

ちなつ「泣かないでよ」

あかり「…………ぅぅ………ひぐっ………そんな………なんで、あかり………｣ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ

京子「…………ｱｰｱ」

結衣「………ﾒﾝﾄﾞｸｻｲﾅｧ」

ちなつ「………ｱｶﾘﾁｬﾝ｡ｶﾞﾏﾝﾃﾞｷﾅｲﾉ」

あかり「……ごめっ、でもっ、あかり……ぅぅ……っ！｣ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ

京子「あー！ もうっ！空気が湿っぽくなっちゃったじゃーん！」

あかり「ご、ごめっ……｣ﾌｷﾌｷ

京子「――私、トイレ行ってくる。結衣とちなつちゃん、泣き止ませといて」

結衣「え、メンドクサイって。お前も手伝え」

ちなつ「そうですよ！言い出しっぺは京子センパ……」

京子「よろしくーっ！｣ﾊﾞﾀﾝｯ

結衣「……ったく……」

あかり「…………ひぐっ、ぅっ……｣ｸﾞｽｯｸﾞｽｯ

結衣「あー……ほら、あかり。泣くなって」

あかり「………うん………ごめん……｣ｸﾞｽｯ

ちなつ「結衣先輩、困ってるんだけど」

あかり「………………｣ﾌｷﾌｷ

結衣「お、泣き止んだ」

あかり「え、えへへ……ごめ、んね……ちょっと、傷ついちゃって……もう、大丈夫だから……っ」

ちなつ「……………」

あかり「みんな、あかりが悪いんだよね……あかりが……」

ちなつ「…………」

あかり「これからは気をつけるから……あかり、みんなの邪魔しないから……」

結衣「はは、ありがとう」

あかり「…………っ」

ちなつ「……ちょっと、いいですか？」

あかり｢｣ﾋﾞｸｯ

結衣「どうしたの、ちなつちゃん？」

ちなつ「いや、みんなの邪魔してるのはあかりちゃんじゃなくて……」

ちなつ「京子先輩だと思います」

あかり「……ちなつちゃん？」

結衣「突然だね、ちなつちゃん」

ちなつ「だって、京子先輩が言わなかったら、あかりちゃんだって泣くことなかったんですから」

ちなつ「てゆーか、私はあかりちゃん嫌いじゃないです。京子先輩が嫌いです」

あかり「ちょっと待っ……え？あれ」

結衣「確かに……正直、あかりは悪くないと思う。京子の度が過ぎるんだ」

ちなつ「えへへ、ですよねー」

あかり「あれ、あれ？ 二人とも、あかりのこと嫌いなんじゃ……？」

結衣「あー……ごめん。さっきは言いすぎた。よくよく考えたら、ウザイのは京子だ」

ちなつ「ごめんね、あかりちゃん」

あかり「い、いやぁ。その、気にしてないよぉ」

あかり(良かった～。あかりは嫌われてなかったんだ～)

ちなつ「じゃあ、あかりちゃん。お返ししよっか」

あかり「お、お返し？」

結衣「確かに……京子に、お灸を据えてやらないと。調子乗りすぎだよ、あいつ」

あかり「ふ、二人ともっ。何をするの？」

ちなつ「何って……いじめるんですよね？みんなで」

結衣「うん」

あかり「い、いじめる！？ そんなの、駄目だよ！？」

ちなつ「えっ」

結衣「あかり、苦しかっただろ？京子のことが、憎かっただろ？」

あかり「そ、そんなこと。あかり、嫌われてないって分かっただけで十分だよぉ」

ちなつ「京子先輩は、あかりちゃんが嫌いなんだよ？」

あかり「そ、それは…………」

ちなつ「まぁ、やりたくないって言うなら別にいいよ。あかりちゃんの自由だし」

ちなつ「でも、どっちの味方する方がいいかな……ですよねっ、結衣先輩」

結衣「うん」

あかり「…………！」

ﾀﾀﾀﾀﾀ………

ちなつ「あっ、帰ってきましたよ」

ｶﾞﾗｯ

京子「たっだいまー！」

結衣「おかえり」

ちなつ「おかえりなさーい」

あかり「お、おかえり…………」

京子「おっ、あかりが泣いてない！」

結衣「はは」

京子「あかりも反省したってことかー。うむうむ、良いことだ！」

あかり「…………」

京子「……返事してよー。さみしいなぁ｡ｱｯｶﾘｰﾝｱｯｶﾘｰﾝ」

あかり「え、えへへ。や、やめてよぉ……」

京子｢ｱｯｶﾘｰﾝ♪ｱｯｶﾘｰﾝ♪」

あかり「…………｣ｸﾞｽｯ

京子「あー泣き始めた。泣…」

結衣「おい京子」

京子「なんだね結衣くん」

結衣「調子のるな」

京子「え」

ちなつ「ほんとウザイですよ、それ。やられるあかりちゃんの身にもなりましょうよ」

あかり(…………こ、これ…………)

京子「あれ、なに、二人とも。いきなりノリ悪くなったじゃん」

結衣「黙れ」

京子「え」

結衣「…………」

ちなつ「………」

あかり「………」

京子「…………えっ？ えっ？ なにこの空気。おっかしいなぁ……」

結衣「京子って黙れないのかな、ちなつちゃん？」

京子「ちょっ」

ちなつ「まぁ、京子先輩はキャラ作ってますから。黙るのが不安なんじゃないですか」

結衣「昔は、良い子だったんだよ、これでも。今はこんな風になっちゃったけど」

京子「え？結衣？ちなつちゃん？」

結衣「それが、いつからかは忘れたけど………キャラ変え始めてさ。私に迷惑……」

京子「結衣！！！！！ちなつちゃん！！！！！！！！」

あかり｢｣ﾋﾞｸｯ

結衣「本当に、黙れないんだなお前」

京子「だって、だって！おかしいじゃん！なんで私の陰口してんの！？私はここにいるのに！」

結衣「……はいはい、わかった、わかったから」

ちなつ「もうっ！ホント迷惑な先輩ですねっ！」

京子「……結衣ぃ……なにこれ……？」

結衣「私に頼るなバカ。キャラは変えてもそこだけは、昔から変わってないんだな。私に頼りっきりなところだけは」

ちなつ「一番サイテーなパターンじゃないですか、それ」

京子「……あかり？ これ、あかりのせいなの？あかりが二人に何かしたの？」

あかり「…っ」

ちなつ「ちょっと、あかりちゃんに逃げないで下さいよ。あかりちゃんは悪くないです」

京子「ねぇ、あかり。ひどいよ。ひどい……」

結衣「おいコラ。さっきまで、あかりはこうなってたんだぞ？」

ちなつ「そうですよ？ 京子先輩のせいで、あかりちゃんは苦しかったんですよ」

ちなつ「それで、自分に矛先が向いたらとたんにこうなるんですよね、京子先輩」

結衣「こいつはそういうヤツだよ。調子いいんだよな」

京子「……｣ﾌﾙﾌﾙ

あかり「………………」

京子「…………｣ｸﾞｽｯ

結衣「泣くなよ。あかりには言っておいて……」

京子「だって……こんなの、絶対おかしいから………っ｣ｸﾞｽｯ

ちなつ「何でですか？ うざい人が嫌われることの、どこがおかしいんですか？」

ちなつ「…………だよね、あかりちゃん？」

あかり「―――えっ、何っ！？｣ﾋﾞｸｯ

ちなつ「都合いいよね、京子先輩。人には言っておいて泣いてるよ？」

あかり「あ…………えと…………」

京子「……｣ｸﾞｽｯ

あかり「…………っ」

結衣「どうしたの、あかり？ そういえば、あんまりしゃべってないけど……」

あかり「あ…………あかりは…………」

ちなつ「ほら、言っていいんだよ。あかりちゃんは、何も悪くないんだから」

京子「……ちなつちゃん……｣ｸﾞｽｯ

結衣「あかり。我慢はよくない。それに、京子のためでもあるんだ。ほっといたら、またイジメられるぞ」

京子「……結衣ぃ……｣ｸﾞｽｯ

あかり(………あかり………は…………)

結衣「………それに、さ」

結衣「一度、苦しさを味わってるんだから。また、なるのは嫌だろ？」

あかり「――！」

あかり「そ……それって……！」

あかり(言わなかったら……ノリ……かな。二人とも、ガッカリして……)

ちなつ「あかりちゃん。ね？」

あかり「………」

ｱｰｱ
ﾒﾝﾄﾞｸｻｲ
ｷｬﾗﾂｸｯﾃﾙ
ｳｻﾞｯ
ﾘｱｸｼｮﾝﾃﾞｶｲ
ｱｯｶﾘｰﾝｱｯｶﾘｰﾝ
ﾅｸﾅﾖ
ﾅｸﾅｯﾃ
ﾅｶﾅｲﾃﾞﾖ

あかり(……嫌だよぉ……もう、あんな風になりたくない……)ﾌﾙﾌﾙ

京子「あかり……！」

結衣「大丈夫。京子のためだから。そんなに気にすることでもないから」

あかり(…………)

あかり(……ごめんね、京子ちゃん……)

あかり(あかり、すごく怖い……)

京子「………｣ｸﾞｽｯ

あかり(…………)















あかり「泣かないで……京子ちゃん。」


・・・・
・・・
・・
・

～その日の夜、あかりの家～

あかり「…………」

あかり「ぅぅ……あかり……あかりはぁ………！｣ｸﾞｽｯ

あかり(あの後……何かが吹っ切れたみたいに……色々、ひどいこと……)

あかり(……今、思うと……すごく、サイテーなこと……ぅぅ、なんで止められなかったのぉ……！？)

あかり「いや……あかり……嫌だよぉ…………！｣ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ



・・・・
・・・
・・
・

～結衣マンション～

ﾋﾟﾝﾎﾟｰﾝ

結衣「……誰だろ、こんな時間に｣ﾋﾟｯ

『……』

結衣「―――京子？ もう夜遅い……やっぱり。夜の9時だ」

『ごめん……』

結衣「それに、びしょ濡れだぞ。傘は？」

『忘れた……ってか、走ってきた……ごめん、入れて欲しい……』

結衣「……まぁ、ここで見捨てるのは……入っていいよ」

『ありがとう……』

ｶﾞﾁｬ

京子「…………｣ﾎﾞｰ

結衣「いや、突っ立ってないで座れよ」

京子「あっ、うっ、うす！｣ﾄﾞｻｯ

結衣「……で？ こんな時間に何の用？」

京子「……迷惑？……やっぱり……」

結衣「当たり前だろ」

京子「……ごめん」

結衣「……はぁ。ほんと、ワガママというか……一度決めたら止まらないよな、お前……」

京子「……ごっ、ごめん」

結衣「あー……もういいけどさ。早く用を済ませよう」

京子「……その……あの後……いろいろ考えて……やっぱり、やり過ぎたかなって……」

結衣「…」

京子「結衣も言ってるとおり、一度、調子に乗ると止まらなくて……でも、これからは反省して、気をつけようと思うんだ……」

結衣「…」

京子「……それ、だけ」

結衣「……は？」

京子「結衣に、一番に聞いて欲しくてさ。どう思う？」

結衣「……あきれた。本当にそれだけ？」

京子「……うん」

結衣「……まぁ、いいんじゃない？」

京子「ほっ、ほんとっ！？」

結衣「いや、これから出来るかどうかはおいといてさ。言ってることは間違ってないよ」

京子「あ、そっか。……うん。これから、皆から嫌われないように……」

結衣「えっ？皆から？」

京子「ん？」

結衣「私、京子が嫌いになったなんて言ったか？」

京子「・・・」

結衣「もともと、私は京子が嫌いじゃないんだけど」

京子「……………えーと？」

結衣「言い出したのはちなつちゃんだからな」

京子「ど……どうい……え？」

結衣「ちなつちゃんが、京子が嫌いって言い始めたんだ」

結衣「まぁ、私も反省させたかったから、いろいろ言っちゃったけど。ちなつちゃんが京子を嫌いで、ちなつちゃんがイジメようってさ」

京子「あれ、私は、嫌われて……？」

結衣「私が嫌いなのはちなつちゃん。いちいち私のご機嫌をうかがってくる所が嫌いなんだ」

京子(…………結衣が、ちなつちゃんを…………ちなつちゃんは、私を………)

京子(………そして、私はあかりを………)

京子(……あかりは、きっと……)

京子(……まぁ、当然か)

結衣「………京子」

京子「ん……？」

結衣「どう思う？」

京子「……な、何が」

結衣「ちなつちゃんのこと」

京子「…………ひどいとは思うけど」

結衣「だよな」

京子「まぁ、私が調子に乗ったせいでもあるし……今はどーでもいいや」

結衣「そうか」

結衣「……京子」

京子「……？」

結衣「我慢できなくなったら、言ってくれ。私は京子とあかりの味方だから」

京子「……いや、いい。これ以上、あかりに汚いところ、見せたくないし……」

結衣「まぁ、私もケンカしたいワケじゃないから。見守るよ」

京子「……ありがと」

結衣「うん」

京子「……………」

結衣「……………」

～ちなつの家～

ちなつ「はぁ……今日は結衣先輩に近づけたいい日だったなぁ……」

ちなつ(そうよね。あれだけ迷惑かけられて、嫌いにならないワケないもん)

ちなつ(結衣先輩～結衣先輩～私、一生ついていきますぅ～！)

ちなつ「……ふふ……」

ちなつ(明日の部活、楽しみだなぁ……)

ちなつ(結衣先輩とあかりちゃんは、私の味方だもんね♪)

・・・・
・・・
・・
・

～翌日、放課後～

ｶﾞﾗｯ

ちなつ「あれ、先輩達きてない」

あかり「……そうだね」

あかり(結局、バラバラに学校に行って……いつも通り……ぅぅ……)

あかり(もしかしたら、二人とも来ないんじゃぁ……)

ちなつ「……結衣先輩、はやく来ないかな
～♪」

あかり「……」

～15分後～

ちなつ「……遅いね」

あかり「……そうだね」

ちなつ「何してるんだろう……？」

あかり(……)

ちなつ「あぁ……結衣先輩……結衣先輩……」

あかり(……あかりと京子ちゃんは、どうでもいいのかな)

あかり(……京子ちゃん……結衣ちゃん……)

あかり(……みんな、みんな……)

あかり(……バラバラに……)

ｶﾞﾗｯ

ちなつ「あっ♪」

結衣「ごめん、遅れた……」

京子「……｣ﾋﾞｸﾋﾞｸ

あかり「………」

ちなつ「結衣先輩あいたかったです！どうして遅れたんですか！？｣ｷﾞｭｯ

結衣「いや、こいつが宿題をやってなくて、手伝っててさ……」

ちなつ「……また、京子先輩ですか｣ｷﾞﾛｯ

京子「ぅ……いや、まぁ……ね。あは、あはは……」

結衣「……………」

ちなつ「結衣先輩も放っとけばいいのに。京子先輩が悪いんですから」

結衣「まぁ、そうだけど。待ってって言われたからさ」

ちなつ「京子先輩。昨日、反省したじゃないですか？ 周りに迷惑かけないって」

京子「……ご、ごめん」

ちなつ「謝られても困りますけど。ねっ、結衣先輩」

結衣「……ﾊｧ」

ちなつ「あれ」

あかり「……………？」

ちなつ「……」

京子「そ、そうだよねー。明日からは宿題やってくるよー。あはは……迷惑かけちゃ、駄目だもんねー……」

ちなつ「そうですよ。もっと嫌われちゃいますよ？」

京子「………ぅん」

結衣「……別に、そこまで言う必要ないよ」

ちなつ「えー。でも、京子先輩ですよ？ いっつも、反省したって言って、結局なにも変わらない京子先輩ですよ？」

結衣「…………」

京子「…………」

あかり「………あ、あはは……まぁまぁ………」

ちなつ「私達に、これ以上、迷惑かけないで欲しいですよねー。結衣先輩、あかりちゃん？」

結衣「………」

あかり「………」

ちなつ「……ねー……？」

ちなつ「……あれ」

結衣「……京子。ちなつちゃん、こんなこと言いたいだけなんだ。お前が嫌いなんだ。分かっただろ？」

京子「………うん」

ちなつ「な、なんですか。突然」

結衣「……ちなつちゃん……」

ちなつ「あれ、私、浮いてる……？」

結衣「ちなつちゃん……」

ちなつ「ゆ、結衣先輩っ。昨日みたいに、ガツンと言いましょう！反省させないとっ。ねっ、あかりちゃんも｣ｱｾｱｾ

あかり「えっ、あ、う、うん……」

結衣「―――じゃあ、ガツンと言ってあげようか、ちなつちゃん」

ちなつ「……はい！言っ……」

結衣「私はちなつちゃんが嫌いだ」

ちなつ「」

あかり(………え？ でも、昨日は……結衣ちゃん、ちなつちゃんと仲良く……え？も、もう分からないよぉ……！)

京子「―――ちょっ、結衣。見守るって言ったじゃん……」

結衣「私にも我慢の限界がある。嫌いな人に味方だと思われるのは気持ち悪いよ」

ちなつ「待っ」

結衣「私は、ちなつちゃんが嫌いだ。分かってくれた？」

ちなつ「」

ちなつ｢ｳｿ……………」

結衣「ちなつちゃんみたいな卑怯な人、大っ嫌いなんだ」

京子「………」

ちなつ「な、なんですか……これ……」

結衣「私も、ずっと我慢してた。抱きつかれても、嫌いって言わなかった」

ちなつ「そ……そんな。嫌なら……言ってくれれば！」

結衣「本当にワガママだね。言ったら泣くのに言えってこと？」

結衣「京子よりワガママだよ」

ちなつ「……なんですか、これ！おかしいですよ！昨日と全然違うじゃないですか！？なんで！？なんで私が責められてるんですか！！！！」

京子「……大体、私が責められたのもちなつちゃんのせいなんだよな……それで、自分が責められたとたん……」

ちなつ「はぁ！？京子先輩だって、責められたとたんに泣いたじゃないですか！？」

ちなつ「だ・い・た・い！そもそもですよ！？最初にイジメ起こしたの誰ですか！」

ちなつ「京子先輩じゃないですか！？」

結衣「……また京子のせいにするのか！？」

ちなつ「あれが無かったら、こんなにケンカすることもなかった！誰も傷つかずに済んだじゃないですか！！！」

京子「―――そんなの関係ない！！！ちなつちゃんが私へのイジメ起こしたのは事実だし！！！」

ちなつ「だ・か・ら！京子先輩があんなことしなければ……！」

結衣「いや、ちなつちゃんが京子をイジメようって言い始めたのが原因だろ！？京子がしたことは関係ない！！」

ちなつ「なんですかそれ……ぜーんぶ私のせいですか！？私だけの責任じゃないと思うんです！！！」


あかり「……………」

京子「まず自分の責任を認めたら！？ちなつちゃんが一番悪いのは事実なんだし！！」

ちなつ「……なんで、そうなるんですかっ……！？｣ｸﾞｽｯ

結衣「……ﾊｧ……ﾊｧ……なんだよ……誰のせいで……」

ちなつ「京子先輩が大元の原因です！！」

京子「ちなつちゃん！！！！」

結衣「ちなつちゃん……！！！」

ちなつ「……ひどいっ……なんで……裏切っ………！！｣ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ

結衣「……｣ｼﾞｯ

京子「……｣ｼﾞｯ

ちなつ「……なんで……っ｣ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ

あかり「―――もう嫌。あかり、もう嫌だよ」

結衣「……あかり、ちょっと黙ってて」

あかり「もう嫌だよぉ……」

結衣「あか」

あかり「……結衣ちゃんが一番、汚いよ」

結衣「……は？」

あかり「昨日は、あかりと京子ちゃん」

あかり「今日はちなつちゃんをイジメるんだねっ」

結衣「……別に、イジメてるワケじゃ…」

ちなつ「………｣ｸﾞｽｯ

あかり「もう、嫌。一度信じたことが、あっという間に消えちゃう。昨日は京子ちゃんに裏切られて」

あかり「今日は、結衣ちゃんに裏切られちゃった。だって、昨日と言ってること違うもん」

あかり「みんな、なんで？ なんで、ウソつくの？」

あかり「あかり、分からない。ウソつく人、嫌いだよぉ」

結衣「……じゃあさ。私はちなつちゃんに嫌いって言えばよかったのか？」

結衣「それで、傷つくのに？」

ちなつ「…………っ」

あかり「ウソつくよりはマシだと思う………こんなの、おかしいもん」

結衣「―――あかりだって、京子をイジメたくせに」

あかり「そ、それは」

京子「…………私も、嫌になってきた。キリないよ………」

結衣「………京子？」

京子「ウソついて、ウソついて。陰では、安心できる友達にグチグチ言ってる。そんなの嫌じゃん」

京子「……まぁ、私が言えることじゃないけど」

ちなつ「……今まで、嫌われる回数も、嫌いになった回数も多かったけど……」

ちなつ「結衣先輩には、嫌われたくなかっです」

結衣「……」

ちなつ「こんなこと言われても、困りますか」

結衣「……うん」

ちなつ「ですよねー……」

結衣「……私も」

結衣「あかりに嫌われたくなかったな」

あかり「……え？ あ、あかりが……？」

結衣「もう、いいよ。私なんか嫌いだろ。昨日と今日で、私の汚い所、ぜんぶ見せちゃったもんな」

あかり「…………そんなこと」

結衣「もう、私達にウソはいらない……だよな、京子」

京子「……たぶん」

結衣「私は、ちなつちゃんが嫌い。京子は、あかりが嫌い。ちなつちゃんは、京子が嫌い。あかりは、私が嫌い」

結衣「そういうこと、なんだ……私達は、ずっと、ずっと……どこかで我慢して、無理して一緒に居たんだ」

ちなつ「……これって」

結衣「解散だ。もう、私達は戻れない……」

京子「…………」

あかり「みんな、バラバラ……？バラバラに、なっちゃうの……？」

京子「……帰ろっか、結衣｣ｽｸｯ

結衣「ああ｣ｽｸｯ

ちなつ「あかりちゃん、帰ろ」

あかり「え………でも！」

結衣「こういう風に別れるのが、一番だよ」

あかり「……」




・・・・
・・・
・・
・

～一ヶ月後、結衣マンション～

結衣「……まだかな、二人とも」

京子「うーん……そろそろのはずなんだけど」

ﾋﾟﾝﾎﾟｰﾝ

京子「おっ、きたきた｣ﾋﾟｯ

京子「二人とも、入って入ってー！」


ｶﾞﾁｬ

京子「…………ねぇ、結衣」

結衣「ん？」

京子「楽しもうね…………この四人でさ」

結衣「……ああ……絶対、楽しいはずだよ」

結衣「…………てゆーか、こんなこと考えてる時点で、二人に失礼だ」

京子「……うん。代わりじゃ、ない。安心できる、友達……だもんね」


綾乃「おじゃまするわ」

千歳「どうも～」




・・・・
・・・
・・
・

～あかりの家～

櫻子「うーん……おいしい！！」

向日葵「このケーキ、どこで？」

ちなつ「あっ……その。お姉ちゃんが買ってきてくれたの」

あかり「…………」

ちなつ「…………」

櫻子「よっしゃ向日葵！！今からその店に乗り込むぞ！！！」

向日葵「バカ」

あかり「……………」

ちなつ「……………」

櫻子「バカだと……クリスマスでも憎いおっぱい……！！」

向日葵「なっ……胸は関係ありませんわ！！！」

櫻子「ほら、あかりちゃんとちなつちゃんも！！乗り込みに……って」

向日葵「二人とも、元気ないですわね」

あかり「あ………ううん！そんなことないよぉ！！ケーキ、おいしいなぁ！｣ﾓｸﾞﾓｸﾞ

ちなつ「う、うんうん！あー……おいしっ……｣ﾓｸﾞﾓｸﾞ

向日葵「ふ、二人までそんな、ケーキばっかり……」

櫻子「ふふん。向日葵、ケーキいらないの？｣ﾋｮｲ

向日葵「あっ、やめっ…」

あかり「………｣

ちなつ「………」

・・・・
・・・
・・
・

あかり(楽しかった………)




あかり(のに………………)




あかり(なんで、あかり)




あかり(こんなに、寂しいんだろう)






おわり