魔王「ここまでくるとは正直思わなかったぞ」
勇者「そうか」
魔王「ふははは、では世界の命運をかけた勝負をしようではないか」
勇者「ああ、望むところだ」
魔王「……あ、いや」
勇者「魔王っ!覚悟!」
魔王「ちょっ!?まてまてまて!」
元スレ
幼女魔王「ふははは、よくきたな勇者よ」勇者「……」
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勇者「……なんだ?」
魔王「なんだじゃない!私を見て何とも思わないのか!」
勇者「別に」
魔王「どうみても幼い娘だろ!何故普通に闘おうとする!」
勇者「魔王だから」
魔王「…いや、確かにそうだが…違うだろっ!」
勇者「何が言いたい」
勇者「……なんだ?」
魔王「と、とりあえず剣をしまって」
勇者「…わかった、話を聞こう」
魔王「……ふぅ」
勇者「で?何が言いたい?」
魔王「こういう場合ってさ、普通闘わないよね」
勇者「何故?」
魔王「…え?いや、だって」
勇者「何故なんだ」
魔王「…あ…いや…それは…」
魔王「…こ…子供なんだぞ?心は痛まないのか?」
勇者「子供?何歳なんだお前」
魔王「今年で80になる」
勇者「俺の三倍は生きてるな」
魔王「あ、いや、魔族としては子供なんだぞ!剣抜かないで!やめて!」
勇者「子供でも魔王だろ?ここで一番強い奴なんだろ?」
魔王「いや…それが…」
勇者「なんだ」
魔王「ここに来る前に魔王軍四天王とかいうのいただろ?」
勇者「いたな、同時に出てこられたらヤバかった」
魔王「あいつら単体より私は弱い」
勇者「そうか」
魔王「…だから、その」
勇者「なんだ」
魔王「……見逃して」
勇者「………言い残すことはそれだけか」
魔王「まってまってまってまって!もうちょい話そう!」
魔王「私の力なんてゴミのようなものだ。四天王亡き魔王軍など壊滅したも同然」
勇者「だからどうした」
魔王「…私を殺さなくても問題ないんだ」
勇者「……なめくさりやがって」
魔王「……?」
勇者「いい加減にしろっっ!」
魔王「ひっ…」
勇者「お前ら魔王軍がしてきたことを言って見ろ」
魔王「に…人間領への侵略…」
勇者「そうだ、それによって多くの犠牲もでた」
魔王「………」
勇者「だから俺がお前を討伐しにきた…なのに…」
魔王「だ、だって…ヒック…じ、死にたくないんだ……グスッ」
勇者「……泣くなよ」
勇者「俺にだって勇者としての使命がある。お前を倒すっていう使命がな」
魔王「エグッもう…悪いことしないから…」
勇者「お前の首を持っていかないとな…」
魔王「ヤダヤダヤダ!まだ死にたくないよぉ!」
勇者「だから…」
魔王「うわぁあああああああん!」
勇者「とりあえず落ち着けっ!」
魔王「わぁああああん!」
勇者「………」
魔王「ヒック……ヒック…」
勇者「…落ち着いたか」
魔王「……うん」
勇者「お前が魔王である以上倒さなければいけない。これはわかるな?」
魔王「…倒したってことにして帰るのはダメなの?」
勇者「お前は魔王としてここに残るわけだろ?それじゃだめなんだ」
魔王「そ、それなら!ちょっと待ってろ!いや、逃げない!本当だから!剣収めて!」
魔王「どうだ!」
勇者「………」
魔王「村娘の服を着てみた!これでどこからどう見ても魔王には見えまい!」
勇者「…角が目立つな」
魔王「はっ!?これは帽子か何かで隠せば」
勇者「ところでその服はどうしたんだ」
魔王「こんなこともあろうかと、近隣の支配してる際に奪っておいたのだ」
勇者「…そうか」
ガシッ
魔王「何故角を掴む」
勇者「俺には妹がいたんだ」
ググッ
魔王「…いたっいたたたた」
勇者「見た目で言えばちょうどお前くらいの歳だったかな」
グッググッ
魔王「お…折れる…やめ…」
勇者「お前が今着てる服な」
魔王「い…た…」
勇者「妹のなんだよ」
ボキャッ
魔王「あ…あ…」パクパク
勇者「…駄目だ…やはり許せない」
魔王「いた…いたい……」
勇者「………」
魔王「た…すけ……」
ガクッ
勇者「痛みで気を失ったか…このほうが俺も気分的に楽だ……」
勇者「……さて」
魔王「………」
勇者「目を覚まさないうちにとどめを」
魔王「………」
勇者「…畜生…角折ったのは失敗だったな…」
チャキッ
勇者「…妹にダブって見える」
ブンッ
魔王「……う…う」
勇者「目をさましたか」
魔王「いたっ…」
勇者「そりゃ痛いだろ。さっきまで神経丸出しだったんだから」
魔王「…なんだこれ」
勇者「リボンだよ。角の折れた後を隠せる丁度いい大きさの」
魔王「……え?」
勇者「…妹のな」
魔王「………」
勇者「お前最初に言ったよな自分の姿を見て困惑しないのかって」
魔王「あ…ああ」
勇者「したさ。別に姿は似てるわけじゃないんだ…雰囲気がな…」
魔王「……泣いているのか」
勇者「………」
魔王「…お…お兄」
チャキッ
勇者「……やめろまた殺したくなる」
魔王「ひっ……」
勇者「…冗談だ」
魔王「…け…けっこう本気の目だったぞ」
勇者「…半分冗談だ」
魔王「…悪かった」
勇者「魔王は倒した」
魔王「ん?」
勇者「俺は魔王の角をへし折り国へ持ち帰る」
魔王「…つまり見逃して」
勇者「…ちがう」
魔王「ど、どういう」
勇者「見逃したんじゃない。倒したんだ」
勇者「じゃあな、どこか遠くでひっそりと暮らすんだな」
魔王「……まて」
勇者「なんだ」
魔王「やはりこの首をもっていけ」
勇者「………は?」
魔王「私は魔王だ。子供だろうとなんだろうとそれは変わらん」
勇者「いや、さっきは」
魔王「出すものを出しつくして決心もついた」
勇者「…おい」
魔王「実は先ほど着替える前にもらしていた」
勇者「………」
魔王「角だけと言わずに首ももってけ」
勇者「……んなこと言われたら」
魔王「みっともないところを見せたな」
勇者「………」
チャキッ
魔王「死ぬ前にひとつ言っておく。私が死んでも次の魔王が生まれるだろう」
勇者「………」
魔王「これは命乞いではないぞ。ただ、次の世代のときは……」
勇者「ああ」
魔王「手遅れにならんようにな」
勇者は魔王を倒しましたとさ、めでたしめでたし
「その勇者が曾お祖父様なの?」
そうですよ。その後国に帰った勇者様は滅びかけた国を立て直し国王の座についたのです。
「へー、で魔王は復活したの?」
していませんよ
「なんで?」
ふふっなんででしょうね?
「えー…なんで?なんでなんで?」
終
最後の滅びかけた国ってのがキーワードなのか?