ほむら「あら、久しぶりね。まどか」
まどか「あ、ほむらちゃん…」
ほむら「何週間ぶりかしら。ワルプルギスの夜を倒して以来、ずっと会ってなかったから」
まどか「そうだね…それじゃ、私は」
ほむら「最近、どうかしら。美樹さやかやとも…」
さやか「ちょっと転校生!何まどかと話してるのさ!」
ほむら「別に。ただ、久しぶりにまどかに会ったから最近どうしているか、話しかけただけよ」
元スレ
ほむら「一人ぼっちは寂しいわ」
http://hibari.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1322929400/
さやか「嘘、変な事まどかに吹きこもうとしてたんでしょ」
ほむら「違うわ」
さやか「あっそ。でもさ」
さやか「ワルプルギスの夜との戦いだけ共闘する約束だったしさ、もう一切関わってほしくないんだけど」
ほむら「久しぶりに会ったんだから、話しかけるぐらいいいじゃない」
さやか「でも…」
ほむら「わかったわよ。もうまどかを街で見かけても、一切話しかけないわ」
さやか「わ、わかってくれたんならいいよ。じゃあ、あっちいってよ」
ほむら「はいはい…」トボトボ
まどか「ありがとうさやかちゃん。ほむらちゃんに突然話しかけられて怖かったよ…」ゴニョゴニョ
さやか「大体アイツさ…」
ほむら(テレパシーで丸聞こえよ…)
ほむら「結局ワルプルギスの夜も倒したし、まどかの契約も阻止したけれど」
ほむら「誰からも愛されず…誰からも信用されず…」
ほむら「これで良かったのかしら」
ほむら「…まどかが契約せずにすんだのだから、それでいいわよ。彼女は魔法少女システムの恐ろしさを十二分に理解できたし、もう契約する事も無いでしょうし」
ほむら「…」
さやか「それで、転校生がまどかに接触してきたんですよ」」
さやか「まどかが何か変なことされたら心配で心配で…」
マミ「ふぅん…で、暁美さんに何て話しかけられたの?鹿目さん」
まどか「一応、挨拶だけです…何か言おうとしていたけどすぐさやかちゃんが助け船を出しに来てくれたから…」
マミ「挨拶だけ?」
まどか「はい…」
まどか「でも、私に話しかけた時のほむらちゃんは凄く目が血走っていて、目にもくまが出来ていて…」
まどか「何だか怖かったっていうか…」
マミ「危なかったかもしれないわね…美樹さん、あなたが居てくれて助かったわ」
さやか「…一応転校生は、私が言ったら、もうまどかに近付かないと約束したけど」
さやか「やっぱり怪しいですよね」
マミ「怪しいわね。元々あの子、鹿目さんに対してただならぬ執着を持っているようだし」
マミ「美樹さんは、鹿目さんのそばにいてあげて」
さやか「もちろんですよ!まどかの為ならいつでも!」
マミ「私は、暁美さんに対して、もう一度こっち側には関わらないようにと釘を刺しに行ってくるわ」
さやか「わかりました」
まどか「ありがとうございますマミさん。私のために…」
ほむら「…」ダダダダダ
魔女「…」ズズズズ
ほむら「ああ、もう弾切れ…時間停止で一旦逃げましょう」
ほむら「もう盾も使えないんだった…」
魔女「ギギギ…」ズイズイ
ほむら「どうしましょう…」
魔女「ギギ…グギャッ!」ターン ターン
ほむら「…?」
「ティロ・フィナーレ!」
魔女「ギャッ!ギャアアアアアアアアアッ!」
ほむら「ああ、巴マミだったのね。ありがとう、助けてくれて」
マミ「どういたしまして。グリーフシードは、私が頂いとくわね」
ほむら「ええ…」
マミ「また会えたのも何かの縁だし、ちょっと私の家に来ない?お茶ぐらいなら出すから」
ほむら(…!)
ほむら「行かせてもらうわ…」
マミ「ここが、私の家よ。初めてだったかしらね」
ほむら「そうかもしれないわね」
マミ「さあ、あがって」
マミ「はい、紅茶」
ほむら「ありがとう」
マミ「…」
ほむら「…」ゴクゴク
マミ「…」
マミ「あの、ちょっと貴女に言いたい事があるの」
ほむら「…何かしら」
マミ「ちょっと言いにくい事なのだけれど…」
ほむら「…?」
マミ「貴女、昨日の昼ぐらいに鹿目さんに話しかけたでしょう」
ほむら「…えぇ」
マミ「貴女自体は普通に挨拶しただけらしいし、別に他意は無かったのでしょうけど」
マミ「鹿目さんは、貴方を相当恐れているというか、もっといえば嫌っているみたいなの。それだからこそ、話しかけられたのが相当恐怖を感じたみたいで…さっき私に相談しに来たのよ」
ほむら「えっ…」
マミ「単刀直入に言うとね」
マミ「もう、鹿目さんと私達には一切関わって欲しくないのだけれど…」
ほむら「…」
ほむら「別に私はまどかに対して危害を加えるつもりなんてまったく無いし、むしろ…」
マミ「でも、鹿目さんは貴女をそういう人物として、見ているわ」
マミ「実の事を言うと、私や美樹さんも薄々そう思っているわ。あなたにそのつもりが無いとしても、私達にはどうも怪しくて信用ならない人間に見えるの」
ほむら「そんな…そんな…」
マミ「酷い事言ってごめんなさいね。でも本心だから」
ほむら「…」
マミ「出来ればこの街からも、出て行って欲しいわ。もうワルプルギスの夜も居ないんだし、この街に用は無いでしょう?」
ほむら「…わかったわ、もうこの街からは離れるし、今後一切関わらない。それでいいでしょう?」
マミ「飲みこみが良くなったわね。そうよ、それでいいの」
ほむら「じゃあ、さようなら」フリッ
ほむら「…」ゴソゴソ
マミ「…!」
マミ「盾をまさぐって、どういうつもりかしら?」チャキ
ほむら「別に、ハンカチを取り出しただけよ」
ほむら「…この部屋熱いわね。ちょっと汗をかいてしまったわ。暖房のかけ過ぎよ」
マミ「もう時間停止も使えないんだし、勝ち目も無いんだから、大人しく去りなさい」
ほむら「言われなくても…去るわよ…」トボトボ
マミ「ふぅ…一時はどうなる事かと思ったけど、予想以上にさっぱりしてたわね」
ほむら「…」パタン
ほむら「うっ…うぅ…」ポタポタ
ほむら「ううぅぅぅっ…!」ボロボロボロ
ほむら「うぅっ…」フキフキ
ほむら「はぁ…はぁ…」
ほむら「…旅支度をしないと」
ほむら「さて、じゃあこれからどうしましょう…」
ほむら「時間停止は使えないわね…グリーフシードはある程度は残っているし、武器弾薬もそれなりには残っているけれど」ゴソゴソ
ほむら「これが切れたら、どうしましょう」
ほむら「どうしましょう…」ヘナヘナ
ほむら「…」バタッ
夜
「嬢ちゃん、嬢ちゃん!」
ほむら「ん…あ…」
警官「道のど真ん中なんかで寝て、どうしたんだい?」
ほむら「すいません、ちょっと疲れていたので」
警官「疲れてたからって…大丈夫かい?」
ほむら「ええ、大丈夫です。では…」
ほむら「…」フラフラ
ほむら「…」フラフラ…パタン
ほむら「何のために…戦ったのかしら…私って…」
「あんた!大丈夫かい?」
ほむら「だから大丈夫ですって…気にしないで…」
「ほら、立てる?」
ほむら「立てますから…構わないで…」
「アンタぐらいの子が倒れてるなんてただ事じゃないよ。ほら、肩貸してやるから腕上げな」
ほむら「いいから…」
ペタペタ ペタペタ
ほむら「…誰…?おでこを触らないで」
「かみながーい」
「タツヤ、やめな」ペシッ
「ごめんなさい…」
ほむら「ん…あ…」
洵子「おっ、起きたね。あんたぐらいの子が道端で倒れてるなんて普通じゃないからね」
知久「さっきお医者さんを呼んで診てもらったけど、君も相当疲れて居たんだね。疲労から来る気絶だってさ」
ほむら「ありがとうございます…お医者さんまで呼んでもらったなんて…しかも見ず知らずの相手に」
洵子「何何、構わないでいいよ。放置するのも気分悪かったしさ」
洵子「私の名前は鹿目洵子。で、この優男が夫の知久、この子は息子のタツヤだよ」
洵子「それに、娘ももう一人居るんだけど…今日は帰ってこないのさ。友達とお泊りだって。いいよねぇ」
ほむら「そう…ですか」
ほむら「助けて頂いたこと、感謝します。いつかきっと助けてくれた事へのお礼を…」
洵子「いいよお礼なんて!それより、親御さん大丈夫?電話貸してあげようかい?」
ほむら「すいません、両親とも共働きでいつも家に居ないんです…」
洵子「ふぅん…」
ほむら「では私はこれで。介抱してくれた事、絶対に忘れません」
洵子「あ、ちょっと待ちなよ」
ほむら「何でしょうか?」
詢子「実は娘から今日泊るって連絡来たのちょうどさっきでさ。娘の分のご飯が余っているんだよ」
詢子「どう?食べてかない?」
ほむら「いや、でも…介抱してくださったどころか、ご飯まで頂くなんてそんな…」
知久「いや、むしろ僕達は助かるよ。わざわざ作った料理を捨てるのは勿体無いしさ」
ほむら「でも…」
たっくん「ごはんたべよーよ!おねーさん!」
詢子「タツヤもこう言ってるしさ…」
ほむら「じゃあ、迷惑掛けますが…」ペコリ
詢子「お嬢ちゃん、ソース取ってくれる?」
ほむら「はい」
詢子「サンキュー」
詢子「そういや、名前聞いてなかったね。あんた、名前なんて言うんだい?」
ほむら「…け…むらです」
詢子「ん?」
ほむら「暁美ほむらって名前です」
詢子「へぇー…どっかで聞いたような…えーっと」
詢子「もしかしてだけどさ、暁美さんって、ウチの娘のクラスメイトだったりするかな?まどかって子なんだけど」
ほむら「…あっ」
詢子「あ、聞き覚えある?」
ほむら「いえ…別に…」
詢子「あー、じゃあ気のせいかな?ごめんね、変なこと聞いて」
ほむら「…」
ほむら「今日は本当にありがとうございました。感謝してもしても仕切れません…」ペコペコ
詢子「そういうのいいって!困った時はお互い様、ね?」
ほむら「それでは私はこれで…」
詢子「もし良かったら、今晩だけでも娘の部屋貸してあげてようか?やっぱり中学生の子一人でアパート暮らしってのは心配だしさ」
ほむら「いいんです、では」
詢子「心配だな…アンタ、暁美さんを住んでるアパートまで付き添ってやりなよ」
知久「そうだね、じゃあ…」
ほむら「いいんです…構わなくて…それじゃ」ピュッ タッタッタッタッタ
詢子「あんな子一人だけ狭いアパートに置いてけぼりなんてねぇ…本人は寂しいだろうにね」
知久「…」
次の日
まどか「ただいまーっ!」
知久「おかえりなさい、楽しかった?」
まどか「うんっ!」
詢子「そういや昨日さ、まどかがお泊りしている間に変わった事があったよ」
まどか「変わった事?」
詢子「生き倒れの女の子を見つけたんだよ…可哀想に、相当疲労困憊しててさ」
まどか「…今時珍しいね」
詢子「それで家まで連れ帰ってお医者さんまで呼んでさ、大変だったよ」
まどか「へぇ…大丈夫だったの?」
詢子「うんまあ、ケガや病気じゃなかったからすぐ元気にはなったよ」
まどか「どうせなら泊らせてあげれば良かったのに。その子に会いたかったなぁ」
詢子「まあ一応泊るか聞いたけど、本人は拒否したからな。でも一緒にご飯は食べたよ」
まどか「ふぅん…名前何ていう子?知っている子だったらいいけど」
詢子「名前はえーっと…」
たつや「ほむら!」
まどか「えっ…」
詢子「あっ、そうそう!ほむらって子だよ。暁美ほむら。かなり顔立ちが良い子でさ、タツヤの嫁さんでも…」
まどか「暁美…ほむら…って子なの?」
詢子「うん、そうだけどアンタ何か…」
まどか「…」ゾクッ
まどか「…ちょっと私部屋に戻るね」
詢子「どうしたんだ?」
まどか「いいから…」フラフラ
詢子「…変なまどか」
まどか「…」ガタガタガタ
まどか「まさか、帰ったふりして隠れてるとか無いよね…」
まどか「ベッドの下とか…押入れ…居ない、良かったぁ…」
まどか「これで家、知られちゃった…やだよぉ…」
まどか「やだよぉ…うっ…ぐすっ…」
まどか「とりあえず、マミさんとさやかちゃんに言わないと…」
ピンポーン
まどか「!?」
詢子「あっ、暁美さんじゃないか!」
ほむら「あんなにしてもらったのに、菓子折りで済まそうと言うのも失礼ですけど…」
たつや「ほむほむー!」ギュッ
ほむら「よしよし…」ナデナデ
まどか「あっ…やだっ…」
詢子「おっ、磯部せんべいじゃないか!私これ好物なんだよね」
ほむら「良かった、お口に合うようで…」
まどか「た、助けを…」パタッ
ほむら「じゃあ私はこれで失礼します」
詢子「お茶飲んでかない?娘も居るしさ」
ほむら「いえ、急用があるので。さようなら」
詢子「暁美ほむらちゃん、いい子だったねぇ」
たつや「ねー」
まどか「たっくん!」ドタドタドタ
たつや「うわぁっ!」
まどか「大丈夫…?変なことされなかった…頭のあたりを触られていたみたいだけど」クシャクシャ
たつや「いたい!」
詢子「お、おい…どうしたんだまどか!」
まどか「そのお菓子は捨てて!何入っているか…!」
詢子「でも、これは…」
まどか「いいから!」
詢子「おい、まどか!」
まどか「何!?」
詢子「お前、どうしちゃったんだよ…あの子の事、嫌いなのか?」
まどか「嫌いだよ!だってあの子、さやかちゃんを殺そうとしたし、他にもマミさんに酷い事を…」
詢子「ちょっとまどか、あんたの言っている事支離滅裂だよ!落ち着きな!」
まどか「落ち着いてるよ…いいからママ、あの子が来たら…追い返して…」
詢子「まどか!おい!おーい!」
まどか「早くマミさんたちに連絡しないと…」
ほむら「さて、昼ごろには街を出ましょうか」
ビシッ
ほむら「…?」
ビシッ ビシッ
ほむら「弾痕…狙撃されてる!」バタッ
ほむら「まさかこれって…」
マミ「暁美さん」
ほむら「巴マミ…」
マミ「あなた、あの時私達に接触はもうしないって約束したわよね」
マミ「それを、破った。しかも鹿目さんの家に直接行って、コンタクトを取ろうとした」
ほむら「誤解よ!行き倒れてたら偶然まど…」ビシッ
マミ「言い訳は聞かないわ。この街から出てくか、ここで撃たれて惨めに死ぬか選びなさい」
ほむら「出て行くわ、出て行くから銃を降ろして…」
マミ「…」
ほむら「はぁ、わかったわよ、。じゃあ街の果てに行くまでついてきなさい」
ほむら「ここまでが見滝原、あっちからが風見野…」
マミ「…」クイクイ
ほむら「はいはい、もうこの場所を超える事は無いから、安心しなさい」
マミ「…」
ほむら「最後に一言だけ、言わせてもらうわ」
ほむら「何があっても、まどかに契約をさせるのだけは、やめて頂戴」
ほむら「契約をしたら、いつかは自分たちも滅ぼすことになるわ」
ほむら「言いたい事はまだあるけど、それだけは伝えとくわ」
ほむら「じゃあ、さようなら」
マミ「…」
ほむら「…」トボトボ
ほむら「…」ブツブツブツ
杏子「…おい、あれって」
ほむら「…」
杏子「…」ニヤッ
ほむら「…」
杏子「久しぶりだなほむら!ワルプルギスの夜以来か!」
ほむら「佐倉…杏子…」
杏子「会えて嬉しいよ!あれから何やってるんだ?」
ほむら「何って…まどかも助けられたし、やる事も無く…ただ手持ちのグリーフシードを消費していくのみよ」
杏子「へぇ、なるほどな」
ほむら「何か用かしら」
杏子「いや別に。知り合いを見かけたから話しかけただけだよ。そうだ、ちょっと飯でも食わないか?」
ほむら「…お金も無いわ」
杏子「奢ってやるよ、金は沢山持ってるから」ポンポン
ほむら「盗品の?」
杏子「ま、まあな」
杏子「ほら、食え食え」
ほむら「ファミレスとはいえ、こんなに沢山取って大丈夫なの?」
杏子「…食べ終わったら、ゲーセンにでも行こうぜ」
ほむら「ああ、ゲームセンター…あまり行った事無いけれど」
杏子「結構楽しいよ、金は消えてくけどな!」
杏子「よっ、っと。おっと」
ほむら「上手いわね」
杏子「ほむらもやるか?」
ほむら「…やらせてもらうわ」
杏子「そうか、じゃあ」チャリン
ほむら「払ってくれるの?悪いわね」
杏子「この矢印の通りに足を動かすんだよ、やってみろ」
ほむら「よいしょ、おっと、それっ」
杏子「初めてにしちゃ上手いじゃん」
ほむら「ふぅ…もう一回やりたいわ。お金出さないと」
杏子「ほら」チャリン
ほむら「払ってくれるの?重ね重ね悪いわね…」
杏子「どうする?映画でも見に行くか?」
ほむら「実は私、見たい映画があるの。パンパンの冒険って映画…」
杏子「そっか。はいタクシー!」
ほむら「ちゅ、中学生がタクシーなんて…」
ほむら「おじさん、怪訝そうな顔で見てたわよ…」ゴニョ
杏子「それよりさ、最近魔女狩りの調子はどうよ」
ほむら「時間停止能力が使えなくなったから、かなり浸ってるわね…使い魔ですら手こずるのよ」
杏子「へぇ…そうなんだ」
ほむら「えぇ」
杏子「実は私は別の意味で困ってるんだよな。最近風見野で魔女が生まれないんだよ…」
杏子「隣の見滝原は例のあいつらのテリトリーだしさ…」
ほむら「あなたも大変なものね…」
杏子「うんうん、本当に困ってるんだ…濁りきりそうなくらい…」
ほむら「…映画館に着いたわ、さあ見に行きましょうか。濁りが少しでもとれるでしょうから」
杏子「結構楽しかったな、あの映画」
ほむら「お金まで払ってもらって…悪いわ」
杏子「へへへ…」
ほむら「じゃあもうそろそろお開きにしましょうか。今日は貴女に会えて、楽しかったわ」
杏子「そうだな。あっ!」
ほむら「どうしたの?」
杏子「そういえばさ、ほむら…家は見滝原にあんだろ…結構遠いじゃん」
ほむら「まあ、そうだけど」
杏子「だからさ、私のホテルの部屋に泊っていかないか?」
ほむら「でも、悪いわ…」
杏子「いいからいいから」
ほむら「…じゃあ、お言葉に甘えて…」
ほむら「…久しぶりに暖かいお風呂に入れた…うちのアパート、冷水しか出なかったから」
杏子「そうなんだ…今、下のコンビニでお菓子買ってきたんだ」
杏子「ほら、ロッキー…食うかい?」
ほむら「頂くわ」ヒョイ
ほむら「…」カリッ
杏子「…」
ほむら「あれおかしいわ…視界が…ゆがむ…」
ほむら「頭が…くら…くら…」パタン
ほむら「Zzzz...Zzz...」
杏子「…」ゴソゴソ
杏子「ひぃ、ふぅ、みぃ…」
杏子「…」カキカキカキカキ
ほむら「佐倉…さん…私のロッキ…Zzz...」
杏子「…」
杏子「…」タッタッタッタッタッタ
ほむら「ん…佐倉杏子?」
ほむら「あれ…居ない…お風呂かしら」
ほむら「ん?書き置き?」
暁美ほむらへ
昨日私がお前に対して使ったお金のぶんを、グリーフシードで換算して払ってもらうぞ。 500円=グリーフシード一個
ゲーセン10ゲーム分(1ゲーム200円) 4個
タクシー代金 2650円 3個
映画代 1000円 2個
ホテル代金(一泊) 20000円 40個
合計 49個
※ファミレス代金は奢りのため0円
ほむら「…」クラッ
ほむら「そうだったわ、あの子は元々そういう子だった…」
ほむら「少なくとも、心を開いた相手以外にはこんなことは当たり前…」
ほむら「それはわかってたけど…でも…」
ほむら「…もう破滅だわ」
ほむら「残りのグリーフシードは…」ゴソゴソ
ほむら「…」カラカラカラ ポト
ほむら「あと一個しかない、しかもこれは」
ほむら「思い出深い人魚の魔女のグリーフシード、あの時まどかが私に使ってくれたグリーフシード」
ほむら「これを使えというの?」
ほむら「…」
ほむら「…」
ほむら「これはしまっときましょう。残っている武器を確認しないと」
ほむら「パンツァーファウスト3が二発、89式小銃に弾丸30発、9mm拳銃と弾丸20発、手榴弾1個、閃光手榴弾1個…」
ほむら「これが最後の武器、もう補給も無い…」
ほむら「うーん…」
ほむら「…パンツァーファウストは魔女を一撃で倒せるけれど、二発しかない」
ほむら「頭が痛くなってきたわ…」
ほむら「とりあえず、この街から出て隣の町で魔女を探しましょう」
ほむら「出来るだけ、弱い魔女…」
魔女パトリシア「…」
ほむら「懐かしいわ…大昔に倒した魔女と一緒」
ほむら「あの時は、確かスカートの中に爆弾を投げ入れて倒したのよね
ほむら「つまり、弱点はスカートの中!」シュボッ
パトリシア「キィィィィィィン」
ほむら「これでパンツァーファウストを一発消費してしまったわ…」
ほむら「とりあえず、グリーフシードを一個手に入れた…
ほむら「この調子で、何とか食いつないで行きましょう」
一週間後
魔女イザベラ「…」
ミヒャエラ「…」ウネウネ
ほむら「ああ、懐かしい魔女。あの時は巴マミも優しかったし、まどかも…」
ほむら「昔の事なんてどうでもいいのよ、今は戦う事だけを頭に入れればいいの」
ほむら「使い魔は自動小銃の単発射撃で蹴散らす」パン パン
ほむら「そしてあの凱旋門は、パンツァーファウストで倒す」
ほむら「…なんとなく、巴マミを思い出すわね…」
イザベラ「…」ゴォォォォ
ほむら「これで終わり…」
一ヶ月後
魔女ウールマン「ワンワン」
ほむら「ああ、この魔女はかなり弱い部類の魔女だわ」
ほむら「でも、どこか私に似ているかもしれない…」ターン
魔女ウールマン「キャウンッ!」
ほむら「…」ターン ターン ターン
魔女ウールマン「キャウッ!キャウンッ!キャ…」
ほむら「…」ターン ターン ターン ターン ターン ターン
魔女ウールマン「」
ほむら「…」ターン カチッ カチッ カチッ
数ヵ月後
ほむら「残りの武器がとうとう、手榴弾と閃光手榴弾一つづつ、それに9mm拳銃弾が一発…」
ほむら「調子に乗って遣いすぎたのかしらね」
ほむら「そして、グリーフシードもこの犬の魔女で最後」
ほむら「万事休すって奴かしら…」
ほむら「…」
ほむら「どうしましょう…」
ほむら「…」
ほむら(武器は無い、グリーフシードも無い…)
ほむら(もういっその事、盗んでしまおうかしら)
ほむら(どうせ死ぬのなら、少しでも希望のある方法で死んだ方がいい)
ほむら(見滝原の…巴マミの家のグリーフシードを…)
ほむら(そうよ、それしかない)
見滝原
ほむら「…」
ほむら「不思議と、魔法少女の気配が無い…」
ほむら「嫌な予感がするわね…まさか気配を消して、待ち伏せとかもあるかもしれない」
ほむら「拳銃の弾を薬室に入れときましょう」チャキ
マミホーム
ほむら「今は学校だから、家には居ないはず…」ガチャ
ほむら「そーっと…そーっと…」
ほむら「…確かここに隠してあったはず」キィィィ
マミ「…」
ほむら(…!)
マミ「…」
ほむら(後ろを向いているから、まだばれてないと信じたいけれど…)
ほむら(もしばれてたら、いち早く撃ってくるでしょうし)
マミ「…」
ほむら(…何か様子がおかしいわね)
ほむら「…」チャキ
マミ「…」
ほむら「…巴マミ?」ポン
マミ「…」フラ バタン
ほむら「!?」
マミ「」
ほむら「し、死んでいる!」
ほむら「…どうやら、頭をソウルジェムごと銃で撃ちぬいて、自殺のようだけど…」
ほむら「巴マミが自殺するということはつまり…」
ほむら「…まずいわ、まどかが危ない」
ほむら「とりあえずありったけのグリーフシードを…」
ほむら「まどか、まどかを探さないと…!」
ほむら「早くしないと…!」スタスタ
グニャニャニャ
ほむら「ああ、この結界の形はまさか」
オクタヴィア「ヴォオオオオオッ!」
ほむら「武器も無いのに…ああ、なんてこと…!」
ほむら「手榴弾に、閃光手榴弾…相当きついわね」
オクタヴィア「ヴォオオオオオッ!」ブォン
ほむら「時間も止められないから、車輪をよけるに必死で…」ゴロゴロ
ほむら「どう戦えばいいか…」ゴロゴロ
オクタヴィア「ヴォヴォヴォ…」ユラユラ
ほむら「とりあえず先行手榴弾で動きを止めましょう」ポイッ カラカラ
シュパッ
オクタヴィア「ヴォギャッ!」
ほむら「魔女の動きが止まった!」
ほむら「今のうちに魔女の体を登って…兜の目の部分に手榴弾を入れて」ポイッ
オクタヴィア「ヴォッ!」ドボン
オクタヴィア「ヴォォォォォォォオォォォォォッ!」
オクタヴィア「」カーン カーン
ほむら「はぁ…これで武器ももう…無くなった…」
まどホーム
ほむら「まどか!まどか!」ガチャ
ほむら「まどか…まどか?」
ほむら「まどか…」
まどか「うっ…ぐすっ…うっ…」
ほむら「まどか」
まどか「いっいや!近寄ら…ないで…」
ほむら「まどか、その格好…」
まどか「なっ…何っ…」
ほむら「魔法少女に…なってしまったのね…」
まどか「そうだよ…だから近付かないで…ほむらちゃんなんか…簡単に殺せるよ」
ほむら「ああ、そうなの」
まどか「そうだよ…だから…近寄らないで…」
ほむら「家族の人たちは、どうしたの?」
まどか「家族…」チラッ
「」
まどか「マミさんが、ソウルジェムが魔女を産むなら…って言いながら私を殺そうとした時にとばっちりを受けて…」
ほむら「…」
まどか「私…どこで間違ったのかな」
ほむら「…」
まどか「私…ほむらちゃんの事を誤解してた…魔法少女になるなってのは、こういうことだったんだね」
ほむら「まどか…」
まどか「ほむらちゃん…」ギュッ
ほむら「…」
まどか「…」ウルウル
まどか「今まで疑ってごめんね。これからはほむらちゃんの事、これからずっと信じてあげるからね」
ほむら「…」
まどか「大丈夫、グリーフシードが無いなら、私が魔女を倒してあげるから。だからこれからずっとにいよう…」ターン
まどか「えっ…どうして…」バタン
まどか「な…ぜ」
まどか「」
ほむら「契約したまどかは、私の守るまどかでは無い」
ほむら「地球を滅ぼす魔女は、まっさきに倒さないと…」
ほむら「…これで、また時間を繰り返さないといけなくなったわね」
ほむら「もう誰にも頼らない、どんな汚い手を使ってでも」
ほむら「本物のまどかを、化け物に成る前のまどかを助けてあげるわ」
ほむら「こんな惨めな姿に成る前に…」
ほむら「次のループは、まどかを監禁して…絶対に一か月外に出さないように…」
ほむら「他の子たちは、全てが終わったら殺して…」ブツブツブツ
終わり