ハルヒ「はっ!」
こなた「え?」
ハルヒ「どこが?」
こなた「えーと……」
ハルヒ「どこがどう面白かったか言ってみなさい」
こなた「いや……いつものけいおんらしさが出ててよかったよ。それに音もすごいし」
ハルヒ「ぷっ!」
こなた「……」
ハルヒ「涼宮ハルヒの消失のほうが何倍も面白かったでしょ?」
こなた(うわぁ……けいおんアンチだぁ)
元スレ
ハルヒ「劇場版けいおん!どうだったの?」こなた「面白かったよ?」
http://hibari.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1323309741/
ハルヒ「そもそも、けいおんって何で人気なわけ?」
こなた「日常がうまく……」
ハルヒ「シャラップ!!」
こなた「……」
ハルヒ「日常がなんですって?」
こなた「だからね、女の子たちの日常が上手く、そして細かい描写がなされてて……」
ハルヒ「そんなの私だって描かれてたし、らき☆すたもでしょ?」
こなた「うーん……らき☆すたはちょっと毛色が違うかな……」
ハルヒ「一緒よ一緒。オタクに迎合している点では同類よ」
こなた(ハルヒちゃんがそれいうの?)
ハルヒ「正直、何のひねりもなく、淡々とした日常を綺麗な作画で描いてるだけじゃない」
こなた「違うって」
ハルヒ「波もないし、最終回付近ですこーしだけお涙頂戴して、ほら、DVDだのBDだのを買えといってくるじゃない」
こなた「あのさぁ……」
ハルヒ「楽よね。キャラクターの設定なんてA4用紙一枚の半分ぐらいじゃないのあれ?ストーリー構成なんかも季節を変えて、季節ごとのイベントをこなしてるだけじゃない」
こなた「いや……」
ハルヒ「あんなのによくお金落とすわよねー」
こなた「……」
ハルヒ「普通はもっとハラハラドキドキしたり、SFしたり、恋愛したりするのがアニメ、エンターテイメントってやつじゃないの?」
こなた「だから、けいおんはそういう常識を覆して……」
ハルヒ「はぁ?常識を覆す?手抜きでしょ?」
こなた「……」イラッ
ハルヒ「所詮は萌えアニメ。万人のオタクが群がるだけの凡作よ」
こなた「ハルヒちゃんはけいおんみたの?」
ハルヒ「一期の途中までね」
こなた「それでけいおんのこと語るとか……ちょっと、常識的におかしいとおもうんだけど」
ハルヒ「どこがよ?あんな子守唄の代わりにしかならないアニメ、普通は叩かれて然るべきよ」
こなた「けいおんのすごい所は、作画の丁寧な作りこみもそうだけど、本質はもっと違うところにあるとおもう」
ハルヒ「たとえば?」
こなた「放課後ティータイムのかけあい」
ハルヒ「かけあい?」
こなた「そう。みんな本当に楽しそうに部活を満喫してるから、それにノスタルジーを―――」
ハルヒ「あっはっはっは!!」
こなた「な……?」
ハルヒ「あんな女子ばっかりの軽音部に共感できるやつって誰?大半が男でしょ?きもっ」
こなた「……」イラッ
ハルヒ「ありえないわ」
こなた「音楽もいいし」
ハルヒ「冒険でしょでしょやハレ晴れユカイよりも名曲なんてあったの?」
こなた「いやいや……Cagayake!GIRLS、 GO! GO! MANIAC、Utauyo!!MIRACLE、OPだけでもすごいって」
ハルヒ「はぁ?」
こなた「GO! GO! MANIACなんて一位だし」
ハルヒ「どうせ、どっかの馬鹿たちが一人の何十枚も購入したんでしょ?」
こなた「なんでそんなこというの?」
ハルヒ「それで名曲なんていっちゃう?最近のAKBの初日ミリオンぐらい滑稽よね」
こなた「あれはまた違うよ」
ハルヒ「一緒よ。現にけいおんだって特典付き前売り券乱造してたじゃないの」
こなた「そんなの欲しい人だけが買えばいいし」
ハルヒ「嫌なら見るな。嫌なら買うなってやつ?駄目よ駄目駄目。そんなの言い訳にもなんないわ」
こなた「どうして?」
ハルヒ「消費者に買えって言ってるようなものだもの」
こなた「……」
ハルヒ「いい?アニメのファンなんてものはどんなに金のかかる特典でも飛びつくことは向こうは承知なわけ」
こなた「うん」
ハルヒ「どんなに酷いことをしても離れることはない。そう確信しているからこそ、あんなことをする」
こなた「……」
ハルヒ「嫌なら見るななんて、ただの逃げ口上。認めたくないだけでしょ?自分が搾取されてるって」
こなた「……違う」
ハルヒ「何が違うの?」
こなた「自分の好きなものやことにお金を使ってるから、搾取とか第三者の意見にすぎないよ」
ハルヒ「そんなんだからけいおん信者は気が狂ってるって言われるのよ」
こなた「……!!」
ハルヒ「24回ぐらい見ろよと言わんばかりのこのシート、なんなの?」ペラペラ
こなた「それ私の!?返して!!」
ハルヒ「ほーれほーれ、ここよー」
こなた「はっ!!」ドゴォ
ハルヒ「うげぇ?!」
こなた「もう……やっと17回分の半券をてにいれたんだから……」
ハルヒ「……そもそも、けいおんの人気って『けいおん!』の実力といえるのかしらね?」
こなた「……」
ハルヒ「映画だってTVスペシャルやOVAで良い様な内容だったわけで……それを絶賛している奴らの頭を覗きたいわ」
こなた「みてないからそういえるんだよ」
ハルヒ「見なくてもわかるって。どうせ平沢があうあうあーっていって、ゴキブリがにゃんにゃんって鳴いてるうちにエンドロールでしょ?」
こなた(殺そうかな)
ハルヒ「正直、部屋の真ん中にコタツ置いて、五人の座談会でも映画としては成立してたんじゃない?」
こなた「……ちがうよ。ロンドンにいって―――」
ハルヒ「映画だから海外にいきましたーって?馬鹿よねー?経済効果を考えるなら東京、名古屋、大阪、北海道とかを舞台にしたほうが盛り上がったでしょうに」
こなた「うぉい!!」
ハルヒ「なんで海外?オタクが海外旅行するだけの行動力なんてもってないってーの」
こなた「ライブシーンとかもすごかったし……」
ハルヒ「いやいや。けいおん!ってライブシーンが肝になってないでしょ?かわいい5人がなんかわけわかんないことを言い合ってるシーンを遠巻きでみるのが醍醐味でしょ?」
こなた「全然違うし……」
ハルヒ「というか、あの内容でなんで映画化なんてしたのかしらね?しょぼすぎ」
こなた「音響とか映像とかがね……」
ハルヒ「あのさぁ、アニメシリーズを散々やってきたんだから、映画ではもっとお祭り要素があるべきでしょ?」
こなた「たとえば?」
ハルヒ「新キャラでてくるとか」
こなた「新キャラなんていらないよ」
ハルヒ「嘘ばっかり。出たら出たであの子、かわいいー!!とか言うんでしょ?」
こなた「邪魔なだけだよ。作品を壊すかもしれないし」
ハルヒ「それは脚本次第じゃない?それとも新キャラが出てきただけで崩れちゃうような脆弱な世界観なのかしらぁ?」
こなた(帰りたい……もうやだ……)
ハルヒ「あとオリキャラがだめっていうなら、このけいおんの新刊で出てくる新入部員を出すとかも手だった思うわ」
こなた「出してどうするの?」
ハルヒ「原作とのクロスよ。そうすれば観客が『だれこれ?』『新刊のキャラだ』『マジで?じゃ、新刊買うか』って流れが出来たはず」
こなた「ならないし」
ハルヒ「それはどうかしらね。ま、なんにせよ、お祭り要素絶無の映画なんて映画ではない」
こなた「……」
ハルヒ「それに加えて、特典で客を無理やりリピートさせたり、前売り券を大量購入させて初動員数の底上げをしたりする根性はどうかと思うわね」
こなた「だから……」
ハルヒ「それって、作品はつまんないっていってるようなものよ」
こなた「……」
ハルヒ「もっとこうフェスティバルな感じを―――」
こなた「……っ!!」ダンッ
ハルヒ「……?!」ビクッ
こなた「……」
ハルヒ「そ、それに、あれよ、けいおん!なんて私たちがいなけりゃここまで注目されることもなかったはずでしょ?」
こなた「なにが?」
ハルヒ「考えてもみなさい。けいおん!が製作されるまでにどれだけの名作が生まれたと思う?」
こなた「?」
ハルヒ「いい。ふもっふ、AIR、フルメタセカンド、ハルヒ、Kanon、クラナド……そしてけいおん!なのよ?」
こなた「それが?」
ハルヒ「それまでの輝かしい実績によって『けいおんをプッシュしたら儲かる』ってスポンサーやTV局の信頼を得たわけよ」
こなた「で?」
ハルヒ「だから……けいおんがプッシュされて全国ネットで放送されたり……全国ロードショーになったのは、偏に私たちのおかげで」
こなた「……」
ハルヒ「……」
こなた「そうなの?」
ハルヒ「違うの?」
こなた「じゃあ、らき☆すたも?」
ハルヒ「当然よ。こなたがいなかったら、今のけいおんはなかったともいえるわ」
こなた「ふーん」
ハルヒ「だからね……」
こなた「じゃあ、あくまでもけいおんの実力じゃないっていうこと?」
ハルヒ「ええ」
こなた「……それはどうだろう」
ハルヒ「なにが?」
こなた「だって、らき☆すたもハルヒも見てる層が狭いもん」
ハルヒ「な?!」
こなた「それに比べてけいおん!は小さな子供からお年寄りにも愛されてるし、なにより女子中高生も多い」
ハルヒ「こ、こっちだってキョンや古泉くんに釣られて……」
こなた「そんな腐った人じゃなくて、こっちは……いうなればポケモンを見に来るような感覚で」
ハルヒ「ないわね!!!!」
こなた「……」イラッ
ハルヒ「どうしてオタクってそう一般人がーとかいうの?現実みなさいよね」
こなた「……いや」
ハルヒ「一般人に人気?嘘嘘。あんなキモイアニメを見るのはオタクだけよ」
こなた「ちがう!」
ハルヒ「エヴァと無理やり対比させたいんでしょうけど、けいおんはそんなに知名度ないから」
こなた「ある!!」
ハルヒ「ない!!そもそも深夜帯の放送のみでどうやった早く就寝しがちな子供やお年寄りがみるっていうの?」
こなた「録画!!」
ハルヒ「はいぃ?テレビ欄の下のほうに『(新)けいおん!』って書いてるだけでこぞってみんな録画するの?すごいわねー、どんな魔法?」
こなた「……」ブチィ
ハルヒ「夢を見るのもたいがいに―――」
こなた「エンドレスエイト」
ハルヒ「……」
こなた「そっちだって同じ話を二ヶ月も繰り返して!!この伏線は映画でね?とか阿漕な商売したくせにぃ!!!」
ハルヒ「だーれが阿漕よ!あれは演出なの」
こなた「へー、最終話の長門さんを長時間俯瞰するだけのシーンも?あれこそ手抜きでは?」
ハルヒ「手抜きじゃないわよ。エンドレスエイトだって同じ絵は一切使ってないんだからね!!」
こなた「それ、けいおんと何が違うの?」
ハルヒ「は?」
こなた「同じ話をするハルヒと、同じ内容を流すけいおん。どっちも同じだと思うけど?」
ハルヒ「よりにもよってけいおん!と私を比べるとは……」
こなた「その点、毎回全力投球で挑んでいた私のほうがすごいけどね」
ハルヒ「へっへーん!!銀幕デビューもしてないくせにー!!」
こなた「OVAはでた!!」
ハルヒ「谷口がわーわーいって、ばるさみこっすてただけでしょ?」
こなた「むきー!!!」
ハルヒ「確かにエンドレスエイトは汚点とは言わざる終えないけど、消失で全てを巻き返したからねー」
こなた「けいおんに初動でまけたくせに」
ハルヒ「負けて当然よ。全国で24館のみの上映だったんだもの」
こなた「!?」
ハルヒ「でも初動で2億突破しちゃったからねー。大成功といえるでしょ?」
こなた「でも……」
ハルヒ「けいおんは3億だっけ?100以上の映画館で上映してるのに?わらっちゃうわー」
こなた「ぐぬぬ」
ハルヒ「所詮、けいおんなんてハルヒにも劣る駄作なのよ」
こなた「ちがうよ」
ハルヒ「違わないわ」
こなた「違う……!!」
ハルヒ「どう違うか言ってみなさいよ」
こなた「……」
宗介「―――お前ら、静かにしろ。爆弾の解体がうまくいかん」
ハルヒ「うおぉぉ!?!?」
こなた「うおぉぉ!?!」
宗介「ふう……よし。で、どうして口論していた?」
ハルヒ「あなたは……」
宗介「相良宗介だ」
こなた「フルメタの……?」
宗介「そうだ。TVシリーズを三度もやって、銀幕デビューも果たせなかったがな。パチンコにはなったが」
ハルヒ「でも、貴方のおかげで私たちの人気は―――」
宗介「違うな」
ハルヒ「え?」
宗介「フルメタとハルヒ、らきすた、けいおんの視聴者層はまるで違う。俺たちの評価などなんの役にも立っていない」
こなた「ど、どういうこと?」
宗介「もっと突っ込んで言えば、ハルヒとらきすたは同じ層でも、けいおんは異質な層だろうな」
ハルヒ「どうしてよ?」
宗介「今や中高生はおろか小学生も知っているからだ」
こなた「おぉ!?」
ハルヒ「ちょっと待って……嘘よね?」
宗介「無論、確証はない。しかし、根拠はある」
ハルヒ「どういう?」
宗介「これはごく最近だが、けいおんはモバゲーになった。これで知名度はうなぎ上りだ」
ハルヒ「ふーん」
宗介「あと最近の小学生は普通に夜更かしをする」
ハルヒ「!?」
宗介「けいおん!の放送時間まで起きている子供など、もはや珍しくもない」
こなた「ですよね!ですよね!!!」
宗介「さらに、ニコニコ動画がある」
ハルヒ「な……?!」
宗介「小学生も気軽に利用しているのは周知の事実。ならば、けいおんというタグを見ないわけがない」
こなた「おぉ!!」
宗介「そういった観点から、小学生にも浸透していると十分に言えるだろう」
こなた「すてきー!!」ギュゥゥ
宗介「暑苦しいぞ、泉」
ハルヒ「で、でも……けいおん!以上にハルヒのタグはあるでしょう!?」
宗介「その通りだが……」
ハルヒ「なによ?」
宗介「もう古い」
ハルヒ「!?」
宗介「原作も長期間滞っているし……先がないな」
ハルヒ「あんたも一緒でしょ?!」
宗介「いや!!最近、新しい漫画ができた!!」
ハルヒ「あのエロい女の子が表紙のやつ?はっ!フルメタの質、下がったんじゃないの?!」
宗介「排除する」カチャ
ハルヒ「ちょ……!?」
宗介「貴様……いい気になるなよ?」
ハルヒ「あ、あのねえ……この中だと、新作アニメーションの発表を期待されてるのは私、涼宮ハルヒなの!!」
こなた「……」
宗介「こなたも俺も皆に待ち望まれている」
ハルヒ「はいはい、フルメタなんて一部のミリオタが切望してるぐらいでしょう?」
宗介「なに?」
ハルヒ「いい?私には佐々木っていう最強の隠しだまがあるわけ。分裂、驚愕を映画化するー!!なんていったら、もうねネットがひっくりかえるわ」
こなた「佐々木はみたい……かも」
ハルヒ「大手掲示板も連日落ちちゃうくらいのどんちゃん騒ぎは間違い」
宗介「それはフルメタも……!!」
ハルヒ「フルメタはもう時代錯誤も甚だしい。萌えキャラいないし」
宗介「大佐殿がおられる」
ハルヒ「CVゆかなの需要ってまだあんの?」
宗介「きさまぁぁ!!!」
こなた「あるよ!!かわいいよ!!!」
ハルヒ「えー?まだCV杉田のほうが……」
宗介「貴様は……処刑する」
ハルヒ「まったまった。正直な話、けいおんなんかよりも金になる木なのよ?私は。それを消しちゃあまずいでしょ?」
こなた「でも……新刊だってなんか変な感じだったし」
宗介「もう忘却の彼方ではないか?」
ハルヒ「ちっちっち。こっちはハルヒちゃんと長門有希ちゃんがあるからねー。しかも結構好評だし」
こなた「森さんがかわいいだけじゃん」
宗介「うむ」
ハルヒ「でも、既にアニメ化もしちゃってるから、長門有希ちゃんがアニメ化するのも目に見えてるわね」
こなた「ないない」
ハルヒ「まだまだ休めそうにないわー」
宗介「……残念だな。それならこちらにも大仕事はある」
ハルヒ「なんですって?」
宗介「曲がりなりにもこちらはロボット物だ……。つまり、そろそろ据え置き機でスーパーなロボットたちと大戦するだろう」
こなた「おぉ!?」
宗介「そうなればまたフルメタに火がついて、新規アニメシリーズ、はては劇場版も……!!」
こなた「夢じゃねー!!」
ハルヒ「ぷー!!」
宗介「何がおかしい?」
ハルヒ「スーパーなロボット大戦に出演して、人気でたの?」
宗介「……」
こなた「でた!!」
ハルヒ「あのゲームはもともとコアな人たちしかしないし、フルメタなんて元からしってる世代ばっかでしょ」
宗介「いや……」
ハルヒ「あのゲーム、もはや新規ユーザーの獲得なんか目指してないしねー。今更あれでフルメタが出たからって、喜ぶのは古参のフルメタファンだけ」
宗介「なに……?!」
ハルヒ「あとついでとばかりにCVゆかながガンダム勢で出ちゃうと、また色々言われるから出ないほうがいいって」
宗介「それは関係ないだろ」
ハルヒ「それに、今の時代は貴方みたいに設定が深い作品は受けないって」
宗介「そう……なのか?」
ハルヒ「軽いように見えて実は深かったと思わせるか、けいおんみたいに中身を空っぽにする作品が受ける」
こなた「それは……そうかも」
ハルヒ「いきなり重厚な設定を語られても普通のファンは逃げてくだけ」
宗介「だがスパロボは違う。あれで再燃したアニメも多い」
ハルヒ「でも、フルメタはまだ再燃しないのね」
宗介「……フルボイスなら」
ハルヒ「はいはい。勝つのはハルヒみたいに一見軽そうだけど、実は重い設定がある作品なのよ」
宗介「いきなり多くの情報をあたえるとだめなのか?」
ハルヒ「そうね。駄目ね」
こなた「そっか……じゃあ、けいおん!が売れたのは、そういうところが……」
ハルヒ「でも解せないわ。どうしてけいおんだけがプッシュされ、そして皆に受け入れられたのか」
こなた「どういうこと?」
ハルヒ「だって……ちょっと、こっちにきなさい」
ゆの「は、はい」
こなた「ゆのっち!?」
ハルヒ「ひだまりスケッチは、けいおん!と類似する点が多い。放送局も同じ。なのに、けいおんにはなれなかった」
ゆの「えっと……私は別に……深く愛してもらえれば」
ハルヒ「なーにいってんのよ!!四期も控えてるくせに、どうしてもっと前にでないの!?」
ゆの「えと……」
こなた「でも確かに……ひだまりスケッチはけいおん!並にプッシュされても……」
ハルヒ「けいおんはゴールデンでもいいとかよくきくけど、ひだまりなんてNHKのアニメ枠でもいいわよね?」
ゆの「い、いえ……結構危ないネタありますから」
こなた「あるっけ?」
ゆの「えと……ヒロさんとか……宮ちゃんが……」
こなた「ふーん、でもそのキャラデザなら―――」
宗介「キャラデザでいいといなら、リリカルなのはもゴールデンでいけてしまう」
ハルヒ「いけるでしょ?」
宗介「無理だ。なんか……あれはゴールデンに適したの様相ではない」
ハルヒ「ばぁーか。CCさくらという淫獣を世に解き放ったのはNHKよ?今さらレズがなんだっていうのよ」
こなた「時代が違うし……」
ゆの「はい」
宗介「さくらか……」
ハルヒ「お兄ちゃん……」
宗介「それにしても、けいおんとひだまりの違いを探れば、どうしてけいおん!が人気なのかわかるのではないか?」
ハルヒ「そうね……正直、中身のないアニメでいったらAちゃんねるとかゆるゆりとかあったわけで……どれもけいおんには至らなかった」
ゆの「そうですね」
宗介「……」
ハルヒ「違いねえ……」
ゆの「違い……」
こなた「……」
宗介「けいおん!に百合要素はあったのか?」
ハルヒ「お?」
こなた「うーん……ムギちゃんが若干そうだけど……あれは正直、見る人によるからなぁ」
ゆの「それです!きっと百合があるかないかです!!」
ハルヒ「そうなの?」
宗介「そうとしか考えられんな。けいおんは純粋な部活動のあつまり、友達との談話だ」
こなた「最近よくある女の子ばっかりのアニメって、そういえばなんか百合ってるよね」
宗介「ああ……やはり百合は一般的には嫌悪の対象でしかないのかもしれんな」
ハルヒ「じゃあ、例えばの話だけど、唯と和がなんか変な空気とか出してたら、ここまでの人気はでなかったの?」
こなた「あれだよ、ハルにゃん。あれだけ萌えに特化しちゃうと、カップル成立が一番駄目なんじゃない?」
ハルヒ「カップル?」
こなた「脳内カップルを楽しめなくなるし」
ハルヒ「えー?それ理由になるー?」
ゆの「あ、あと……変なお色気とか?」
宗介「パンチラのことか?」
ゆの「あ、はい……」
ハルヒ「パンチラがあっても関係ないでしょ。みくるちゃんは何度も脱いでるし」
こなた「じゃあ……どうして……」
宗介「ふむ……」
ゆの「わかりませんね」
ハルヒ「けいおん!があれだけえげつない商法に打って出ても、ファンの心を離さない理由ね」
ひたぎ「―――いや、まあ、考えても答えはでないわ」
ほむら「その通り」
ゆの「?!」
ハルヒ「だれ?」
ひたぎ「どうもこんにちわ。今度映画化します、戦場ヶ原ひたぎです」
ほむら「同じく、映画化決定しました、暁美ほむらよ」
ハルヒ「なんのよう?」
ひたぎ「売れるアニメに法則性なんてないもの。悩むだけ時間の無駄」
はむら「そういう作品が出ることもある。ただそれだけよ」
ハルヒ「はっ!時間を行き来しすぎて脳みそが退化しちゃったんじゃないの?」
ほむら「……」
ひたぎ「あら、言ってくれるわね」
ハルヒ「法則性がなくても理由はあるはずでしょ?」
ほむら「それがわかれば、おそらく不景気にはならない」
ひたぎ「ヒット商品を百パーセント出せるというならね」
こなた「それもそっかぁ」
ひたぎ「まあ、ハルヒさんのお気持ちもわかるわ」
ハルヒ「どういうこと?」
ほむら「ああいう売り方で売れるなら、初めから設定なんていらないじゃないか。そう思ってる」
ハルヒ「ええ」
ひたぎ「それすなわち、質の低下に繋がる。だから、憤慨しているのよね?」
ハルヒ「けいおん!は別にいいのよ?そういう作品が世に1つぐらいはあっても。でも……」
ほむら「一度の大成功が負の連鎖を起こす」
ハルヒ「そうよ。今ここでみんなが悩んでもけいおんがどうしてヒットしたのかなんてわからなかった」
ひたぎ「わからないけど似たようなことをすれば儲かるだろう……大人はそう考える」
ほむら「そして迎えるはアニメの終焉……というわけね?」
ハルヒ「だから、私はこうして怒ったわけよ!!」
こなた「む……」
ひたぎ「どうどう。ハルヒさんの言い分ももっともよ」
ほむら「ええ。同意するわ」
ハルヒ「でしょう!?」
ひたぎ「―――でも、やらざるを得ない」
ハルヒ「え……?」
ほむら「そもそもどうしてここまで必死になるか……わかる?」
ハルヒ「なにが?」
ひたぎ「私もきっとやるわ。特典付き前売り券や戦国さんとの握手券つき前売り券とか」
ほむら「30枚の半券を集めた人に、まどかとほむらのクリアファイルとかね」
ハルヒ「ちょ……」
ひたぎ「それはファンを馬鹿にしているわけではないわ」
ハルヒ「う、嘘よ!!」
ほむら「いえ……だって、そうでもしないと……タダで見る人が多いし。ネットとかで」
ハルヒ「は?」
ひたぎ「けいおん!も初日に流失しちゃってるぐらいだからね」
ほむら「もともと市場は小さなものよ。ディズニーやジブリじゃないんだし」
ひたぎ「タダ見されちゃあ、なんとか採算合うようにしても結局赤字を招いてしまう」
ほむら「なら、どれだけリピーターを呼び込めるかどうかが鍵。そのためには特典で釣るしかない」
ひたぎ「それに、作品さえちゃんと無難につくってればファンはとりあえず『最高』の評価をくれるわ」
ほむら「その後、待っているのは信者とアンチの不毛な言い争いだけ」
ひたぎ「ハルヒさんとこなたさんが言い合ってたことはネットで永遠に繰り返される」
ほむら「売り方が汚い、ファンの勝手だ。互いを認め合うことはなく平行線」
ひたぎ「そして私たちは後に発表されるエヴァQの影で泣くだけ」
ほむら「そのころにはもうマミがデブさんなんて呼ばれることもないのね……なんていう皮肉かしら」
ひたぎ「全くね」
ハルヒ「……」
ハルヒ「それで正当化できるとでも?」
ひたぎ「じゃあ、アップロードするなダウンロードするな」
ほむら「金はきっちりよこせ。それですむの」
ハルヒ「……」
ひたぎ「タダ見分を回収できるならフィルムも配るし、缶バッチもつけるわ」
ほむら「AKB商法をしたってファンは逃げない。それはけいおんで立証された」
ハルヒ「やめてよ……それなら私みたいに上映館を少なくしてよ……」
ひたぎ「少なくすれば集客ができない。だからまあ、少なくても100館ぐらいでやりたいわね」
ほむら「そうね。そこでこの30回分のシートをつければ」
こなた「もうやめて!!ファンを何だとおもってるの!?」
ひたぎ「ATM」
ハルヒ「!?」
ほむら「枯れることのない金のなる木……それがファン」
ハルヒ「な、なんてことを……!?」
ひたぎ「じゃあ、そろそろロケに行く時間だから」
ほむら「わたしも」
ハルヒ「待ちなさい!!」
ひたぎ「なに?」
ほむら「……?」
ハルヒ「ファンがATMですって……ふざけないで」
ひたぎ「じゃあなにかしら?」
ほむら「内容に関心を向けない集まる人たちなのだから、絞れるだけ絞ってもいいでしょうに」
こなた「そんな言い方!?」
ゆの「あんまりです」
宗介「謝罪を要求する」
ひたぎ「作品の内側を吟味してる人はどだけいるかしらね?みんなあの子がかわいい、この子が嫁、そんな会話ばかり」
ほむら「キャラの外見で作品を選び、ネットの評価で意見を変える。そんな人たちからは上っ面の評価を頂くよりはお布施を頂きたいわ」
ハルヒ「腐ってる ……」
ひたぎ「何も間違ってはいないわ」
ほむら「ええ」
ハルヒ「リピーターを増やすなら内容で勝負しなさいよ!!」
ひたぎ「だから、その内容をみない連中が多いからこうして映画以外のもので釣るしかないのよ」
ほむら「ぶっちゃけ、楽なんだもの」
こなた「うおぉ!?」
ハルヒ「じゃあ、アニメの未来は終わったわね……」
ひたぎ「終わらせてたのは消費者のほうよ。こういう売り方が普通になりつつあるんだもの」
ほむら「その通り。もっと批判してくれていい」
ひたぎ「でも、批判するのはもとから映画になんて見ない連中だから、参考にはならないわ」
ほむら「そうね」
ハルヒ「……」
こなた「ハルにゃん……」
宗介「……」
ゆの「ハルヒさん……」
ひたぎ「さよなら」
ほむら「ほむほむ」
ハルヒ「ちょ―――」
「―――特典付き前売り券とか、映画の質とか正直どうでもいい」
ひたぎ「だれ?!」
ハルヒ「え?」
「作品っていうのは一人でも多くの人の心を掴めばいい」
ほむら「あそこ」
こなた「!?」
セイバー「はっ!!」シュタ
ハルヒ「!?」
セイバー「けいおんは多くの人の心を掴んだ。ハルヒもまた然り。フルメタも、まどマギも、らきすたも、化物語も」
ハルヒ「それが?」
セイバー「そこで話は終わりのはずです。けいおんがどのようにリピーターを得ようがハルヒファンには関係のないことです。違いますか?」
ハルヒ「え……」
セイバー「好きなら見る。それだけの話。対岸の物に文句をつけても、返ってくるのは野次だけです」
ハルヒ「それはそうだけど」
セイバー「では、もう終わりましょう。これ以上続けても双方の傷がいたずらに広がるだけです」
こなた「う、うん……」
ひたぎ「ふん……」
ふむら「……」
セイバー「二人も。やりかたを通すのはいいですが、それが表に出てはいけないし、ましては開き直ってもいけない」
セイバー「やるなら気取られぬように慎重になるべきだ」
ほむら「……」
セイバー「いいですね?」
ほむら「さようなら」
ひたぎ「それじゃあね」
セイバー「全く…… 」
ハルヒ「セイバー……」
セイバー「あなたも売り言葉に買い言葉でしたね。一つの作品に意見するときは必ず周囲に信仰者がいると思って発言してください」
セイバー「全てを愛でるのは楽ではありませんよ、ハルヒ?」
ハルヒ「そうね……」
こなた「さっすがセイバーさん、達観してるなぁ」
セイバー「そんなことは」
宗介「だが、違う作品の悪い点を挙げたいときはどうする?」
セイバー「単につまらないと言うだけではなく、きちんとみた上で発言するのが好ましい」
ゆの「なるほど」
ハルヒ「じゃあ、セイバー?」
セイバー「はい?」
ハルヒ「どうして、Fateの映画はあんなにつまんな―――」
セイバー「セクスカリバァァ!!!!!!」ドォォォォン
こなた「?!」
セイバー「……」
宗介「おまえ……」
セイバー「何か?」
こなた「言論統制だぁ」
セイバー「つまらなくない!!それをいうなら涼宮ハルヒの消失なんてネタバレし放題だったではないですか!!」
セイバー「あんなものを映画にするくらいなら、佐々木を出せ!!佐々木を!!!」
ハルヒ「おぉ……?」
セイバー「それでは」
こなた「結局あれだね」
ゆの「好きな作品は貶されたくないんですよね」
宗介「そういうことだな。ハルヒ?」
ハルヒ「な、なに?」
宗介「次から否定するときはもっと材料を集めてからにしろ。少なくとも批判する前に作品は見ておけ。でないと死ぬぞ?」
ハルヒ「……うん、そう……するわ……」ガクッ
fin