ゆかり「せ、先輩!大変です!」
美鶴「どうした?そんな血相を変えて」
伊織「きょ……今日は一回もアイツの姿見てないんで、部屋まで訪ねに行ったんすけど!そ、そしたら!」
美鶴「落ち着け。何があった?」
伊織「こ、これ読んで!読んで!」スッ
美鶴「手紙……?」パラッ
キタロー「色々(主に人間関係に)疲れたん)旅にでます」
キタロー「探さないで下さい。次の満月までには帰ります」
キタロー「追伸:リーダーはテレッテにでも任せればいいと思います」
美鶴「…………あのバカが……」プルプル
伊織「……ゆかりっち?ヤバくね?」
ゆかり「うん……」
美鶴「風花を!今すぐ風花を呼んで来い!」
元スレ
桐条美鶴「何?キタローが行方不明だと!?」
http://hibari.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1323246938/
ゆかり「連れてきました」
風花「ど、どうしたんですか!?」
美鶴「これを読んでくれ」スッ
風花「あ、はい……ふむふむ」
風花「えぇーっ!?」
美鶴「……何故呼ばれたかわかったな?」
風花「は、はい!今すぐ探知します!」
カッ
風花「えーっと……キタロー君は……」
風花「……あれ?おかしいな」
美鶴「どうした?」
風花「……キタロー君、どこにもいません」
美鶴「も、もう一度探してくれ!」
風花「は、はい!……う~ん……」
風花「やっぱり見つかりません……」
美鶴「もう探査範囲外にいってしまった、ということか?」
風花「それが……彼の移動した痕跡すら見つかりません」
美鶴「……どういうことだ?」
風花「いきなり消えた、としか」
伊織「マジかよ……」
ゆかり「そんなことってあり得るの?」
美鶴「実際に起こってしまったのだから仕方ないな」
美鶴「よし、彼の消息は桐条の総力をあげて探ることにする」
美鶴「……必ず見つけ出して」
美鶴「……処刑だ!」
伊織「今度こそアイツもヤバいかもな……」
ゆかり「うん……先輩の目が燃えてるし」
風花「キタロー君……どこへ行っちゃったの?」
~遡ること数時間前~
キタロー自室
キタロー(…………)ゴロゴロ
キタロー「……うーん」
ブチッ
キタロー「こんなギスギスしたチームでやってられるかッ!」
キタロー「何で根暗で『どうでもいい』が口癖のヤツが!」
キタロー「周りの顔色を伺って仲を取り持たなきゃいけないんだよ!」
キタロー「この……自己中共が!」
キタロー「……」ハァハァ
キタロー「どこか遠くへ行きたい……」
キタロー「温泉にでも浸かってゆっくりしたい……」
キタロー「……そうだ、一人で旅にでようかな……」
キタロー「……どうせすぐ見つかって、強制送還されるのが関の山だけど」
キタロー「はぁ……」
?「その願い、叶えましょう!」
キタロー「!?」ビクッ
キタロー「エリザベス……か」
エリザベス「はい、エリザベスでございます」
エリザベス「人間関係に疲れていらっしゃるようで」
キタロー「……えぇ」
エリザベス「そんなキタロー様を私は見たくありませんので」
エリザベス「私、こうして参上した次第でございます」
キタロー「……ありがとう」
キタロー「でも、どうやって?」
エリザベス「すぐに発見されて連れ戻される、のが問題なのでございますよね?」
エリザベス「ならば!時空間をひとっ飛びで!」
エリザベス「解決でございます」
エリザベス「さぁ、未知なる世界へ!」
キタロー「あんまり未知なのは……ちょっと」
エリザベス「……いけず」
キタロー「それに僕は温泉にでも入ってゴロゴロしたいんだ」
エリザベス「……承知しております」
エリザベス「では、近い未来の温泉旅館にご宿泊……でいかがでございますか?」
キタロー「……それなら」
キタロー「お願いしていいかな?」
エリザベス「その言葉をお待ちしておりました!」
エリザベス「では、早速……」ゴソゴソ
エリザベス「じゃーん!」バッ
キタロー「ハ、ハンマー?」
エリザベス「そこに直れ……」
キタロー「えっ?えっ?」
エリザベス「そいやッ!」
ゴーン!
キタロー(その時、僕の頭に強い衝撃が走った)
キタロー(……そして僕は……)
キタロー(気を失った)
ガタンゴトン……ガタンゴトン
キタロー「…………!?」
キタロー(……電車の……中?)
ブルルルルル……
キタロー(携帯に着信?)
キタロー(……エリザベスからのメールだ)
エリザベス「そろそろお気がつきになられた頃でしょうか?」
エリザベス「電車は稲羽でお降り下さい」
エリザベス「駅にスタッフを派遣しておりますので」
エリザベス「では、よいお旅を」
キタロー(なるほどなー)
キタロー「……ここが稲羽か」
キタロー(何か物凄い田舎だけど)
キタロー(ゆっくりできそうな予感)
?「キタロー様でございますね?」
キタロー「……はい」
?「エリザベスから話を伺っているかと存じますが」
?「私、ベルベットルームより派遣された……」
?「マーガレット、でございます」
マーガレット「よろしくお願い致します」
キタロー「こちらこそ宜しく」
マーガレット「では、お車が準備できておりますので……こちらへどうぞ」
マーガレット「今回は温泉でごゆっくりなされたいとのことでしたので」
マーガレット「老舗の温泉旅館をご準備いたしました」
マーガレット「尚、ご宿泊のご期日は決まっておりませんので……どうぞごゆっくり」
マーガレット「お帰りになられたい場合は、エリザベスまでご連絡を」
キタロー「わかりました」
マーガレット「あ、こちら支給品の……」
マーガレット「絶対に中身の減らないお財布でございます」スッ
マーガレット「何かと必要になると思いますので」
キタロー「……ありがとうございます」
マーガレット「それと万が一にも、……そうならないようにスタッフ総力をあげますが」
マーガレット「いざという時の為にこちらを」チャッ
キタロー「……召喚機」
マーガレット「それがお使われることがないよう、誠心誠意を尽くしますので」
マーガレット「……そろそろ目的地に到着いたします」
マーガレット「お疲れ様でした」
キタロー「ここか……随分と老舗な感じじゃないか」
キタロー(キタロー様って入り口に書いてある)
キタロー(テンションが上がってきた!)
女将「いらっしゃいませ、ご予約のお客様でしょうか?」
キタロー「はい、予約していたキタローです」
女将「……はい、承っております」
女将「今、係りのものがお部屋までご案内いたしますので、少々お待ちを」
女将「雪子、このお客様をお部屋までお願いね」
雪子「はーい」
雪子「お客様、お部屋までご案内いたします」
雪子「……」スタスタ
キタロー「……」スタスタ
雪子「……あ、あの……」
雪子「どこかでお会いしたことございませんか?」
キタロー「……ないはずだけど」
雪子「そうですよね……失礼しました」
雪子「……私の友達の男の子とどこか似ている雰囲気があるので……勘違いしてしまったのかもしれません」
雪子「……あ、着きました」
雪子「こちらがお部屋になっております」
雪子「ごゆっくりどうぞ」
キタロー「さて、と」
キタロー「浴衣にも着替えたし……」
キタロー「……温泉に浸かりに行こう」
キタロー「温泉!温泉!」
(入浴中)
キタロー「……いいお湯だった」
キタロー「事故で処刑されないって素晴らしい」
キタロー「……来てよかった」
キタロー「食事も楽しみだな」
キタロー「……美味しかった」
キタロー「……あとは部屋でテレビでも見ながらゴロゴロしてようかな」
キタロー「……あぁ、素晴らしき日常」
キタロー「非日常はもう沢山だよ」
キタロー「うーん」ゴロゴロ
~零時前~
キタロー「……そろそろ日付が変わる」
キタロー「影時間は……」
キタロー「…………」ドキドキ
キタロー「……こない!」
キタロー「何だか涙が出てきた……」
キタロー「今晩はぐっすり寝れそうだ」
キタロー「お休みなさい……」
~翌日~
キタロー「新しい朝が来た!希望の朝が!」
キタロー「……こんなに寝覚めがいいなんて……いつ振りだろう」
キタロー「生きてて……よかった」
キタロー「今日は市内を探索してみようかな」
キタロー「昨日CMでやってたジュネスとかいうのも気になるし」
キタロー「エブリデイ ヤングライフ ジュネス♪」
キタロー「ジュネス!」
キタロー「……よし、行こう」
キタロー「ジュネスは……凄い」
キタロー「何が凄いって」
キタロー「人が薄いテレビの中に入っちゃう」
キタロー「しかも何人も」
キタロー「遠くから見てたからよくわらないけど……高校生だったかな」
キタロー「世の中不思議なこともあるんだなぁ……さすが未来」
キタロー「お腹すいたかも……」
キタロー「この街はビフテキが名産だったかな……」
キタロー「食べに行こう」
キタロー「SEESの奴らは裏切るけど」
キタロー「肉は僕を裏切らない」
夜
キタロー「うーん、今日はいい一日だった」
キタロー「この素晴らしい一日の締めは……」
キタロー「やはり温泉」
キタロー「そうと決まれば……」
キタロー「行くしかない」
~露天風呂~
キタロー「あー、溶けちゃいそう」
キタロー「こんなに広い湯船を独り占めなんて……贅沢の極みだ」
キタロー「~♪」
キタロー「……ん?脱衣所に人の気配が」
?「雪子の家のお風呂入るの久しぶりかも」
雪子「うん、そういえばそうだね」
キタロー「……デシャブ!」
キタロー「いつだかのデジャブきたよ!」
キタロー「ま、まずい!」
キタロー「隠れなきゃ……って」
キタロー「隠れる場所がない!」
キタロー「スタッフは!?ベルベットルームの敏腕スタッフは!?」
?「今日はテレビの中で暴れすぎちゃったからね」
雪子「うん、ゆっくり100まで浸かった方がいいよ、千枝」
千枝「よし!お邪魔しまーす!」
ガララッ
キタロー「……」
千枝「……」
雪子「……」
キタロー「……落ち着こう、ね?」
キタロー「しょ、処刑とか早まった真似はよそう?」
雪子「きゃぁぁぁぁぁぁっ!」
千枝「な、何!?ち、痴漢!?変態!?」
キタロー「ち、違う!」
千枝「……で、でてけーッ!」
ガシッ
ビュッ
スコーン!
キタロー(せ、洗面器が……顔面に……)
キタロー(ま、また意識が……)
パタン
雪子「やったね、千枝。クリーンヒット」
千枝「……あれ?気絶しちゃってる?」
雪子「旅館の男の人を呼ぼう」
千枝「そ、そうだね」
キタロー「うーん……」
キタロー「ここは……僕の部屋?」
千枝「雪子!気付いたみたいだよ?」
雪子「……あ、あの」
キタロー(さっきの露天風呂の二人?)
雪子「わ、私達……女湯になってる時間帯を勘違いしちゃってて」
雪子「うちのお客様なのに……」
雪子「……その、すみませんでした」
千枝「すみませんでした」
千枝「ま、まだ……痛み……ますか?」
キタロー「……大丈夫」
キタロー「慣れてるから」
千枝「へ?」
キタロー「事故は……仕方ないよ」
千枝「そ、それって……?」
キタロー「もう許した」
雪子「わ、私が許されちゃった!」
雪子「……じゃなくて!」
雪子「ほ、本当に申し訳ありませんでした!」
千枝「申し訳ありませんでした!」
キタロー「……二人とも名前は?」
キタロー「僕はキタローというものだけど」
雪子「……え?あ、はい!私はこの旅館の娘の天城雪子で」
千枝「私は雪子の友人の里中千枝です」
キタロー「……なるほどなー」
キタロー「……高校生?」
雪子「はい。私達二人とも地元の高校に通ってます」
キタロー「……じゃあ堅苦しいのはなし、で」
千枝「へ?」
キタロー「同い年くらいだし」
キタロー「無理に丁寧に喋らなくていいよ」
キタロー「堅苦しいのとかギスギスしたのが嫌でここに来てるわけだし」
雪子「……わかった」
雪子「よろしくね、キタロー君」
千枝「よろしく!」
キタロー「よろしく」
雪子「旅行で稲羽に来てるの?」
キタロー「うん、粋な計らいで旅行できることになってね」
千枝「キタロー君も高校生?」
キタロー「高校生だよ」
千枝「えぇ!?じゃあさ!その~、学校は?」
キタロー「……豪快にサボった」
キタロー「温泉が僕を呼んでるから」
千枝「あ、そうなんだ!ハハハッ……」
雪子「……」
千枝「……」
キタロー「……」
キタロー(しまった……何か気まずい)
雪子「キ、キタロー君さ……明日は暇?」
キタロー「……暇だよ」
雪子「明日は日曜で私達も学校内から」
雪子「その……お詫びというわけじゃないんだけど」
雪子「この辺を案内しようかなって」
キタロー「……いいの?」
雪子「うん、任せて」
雪子「明日適当な時間に部屋まで迎えに来るから」
キタロー「わかった」
雪子「じゃあ、お休み」
千枝「キタロー君、お休み!」
キタロー「お休み」
千枝「雪子?あんな約束してよかったの?」
雪子「千枝は嫌だった?」
千枝「べ、別に全然嫌じゃないよ?」
雪子「……ならよかった」
千枝「……彼さ、何となくだけど雰囲気が似てるよね」
雪子「千枝もそう思う?」
雪子「だから、明日会わせてみようと思って」
千枝「それ、面白いかも」
~翌日~
キタロー「……」ジー
番長「……」ジー
キタロー「……君も苦労してるんだね」
番長「……お前ほどじゃないよ」
ガシッ
花村「で、出会って数秒で固い握手かよ!?」
千枝「じ、自己紹介もまだしてないのに!?男の友情!?」
雪子「まさかこんなことになるなんて……」
番長「こんな哀しい目をした漢が悪いヤツなわけがない」
番長「もっと早く出会いたかった」
キタロー「……僕もだよ」
千枝「え、えーとね?キタロー君?」
千枝「その~、握手した彼が……」
番長「番長だ、よろしく」
キタロー「よろしく」
花村「俺は花村陽介!よろしくな!」
キタロー「……テレッテー♪」
花村「え?て、テレッテー!?」
キタロー「……何でもない。よろしく」
雪子「今日は私達でこの街を案内するから」
番長「キタロー、任せろ」
花村「こんなにやる気のあるリーダーをみたの久しぶりだよ」
千枝「びっくりだよね」
千枝「雪子?どこから案内する?」
雪子「そうだね、どこからがいいかな?」
番長「商店街の方からでいいんじゃないか?」
千枝「そうだねー」
雪子「キタロー君、それでいいかな?」
キタロー「うん」
花村「そうと決まれば、早速行こうぜ!」
キタロー「……テレッテー♪」
花村「!?」
キタロー「何でもない……行こう」
花村「お、俺……何かしたかな?」
番長「気にするな、テレッテ」
花村「お前まで!?」
~商店街~
番長「そこの中華料理店には雨の日限定の隠しメニューがある」
キタロー「……是非挑戦したい」
番長「雨が降ったら一緒に来よう」
------------------
千枝「そこの総菜屋さん、安くて美味いんだよ!」
千枝「……でも、何のお肉なのかわからないんだよね……」
キタロー「な、なんだってー!?」
------------------
花村「聞いて驚け!この豆腐屋はな!」
花村「あのりせちーが働いてるんだぜ!?」
キタロー「……そうか」
花村「リアクション薄ッ!」
雪子「このお店変わってるでしょ?」
雪子「武器が置いてあるって不思議だよね」
キタロー「交番で買わなくてもいいなんて……」
------------------
番長「この本屋も変わっている」
番長「何故か俺が本を買いに来ると、決まって残り一冊なんだ……」
キタロー「か、買うしかない!?」
------------------
花村「なぁ、テレッテー♪って何なんだ?」
キタロー「…………」
番長「……聞くな」
花村「な、何なんだよ!?気になるし!」
雪子「商店街はこんなところだけど」
キタロー「楽しそうな街だね」
千枝「そ、そうかな!?何もない街だけど」
キタロー「帰りたくない……」ボソッ
番長「…………」
花村「と、ところでさ!そろそろお腹空いてない!?」
千枝「そういえば」
雪子「もうそろそろお昼だしね」
花村「実はさ、今日ジュネスでちょっとしたイベントやってるんだよ」
花村「ビフテキ食べ放題的なヤツ」
キタロー「!?」
キタロー「……行こう」
キタロー「肉を裏切るわけにはいかない」
千枝「こ、こんなに肉好きの同志が!?」
雪子「さすがに混んでるね」
番長「あそこの席がちょうど人数分空いてるな」
花村「俺、席とっとくから!みんなは適当に注文してこいよ」
------------------
千枝「お肉!お肉!」
雪子「私は食べ放題のヤツじゃなくていいかな……」
番長「……キタロー、何を見てるんだ?」
キタロー「……制限時間以内に食べ切ったら、金一封……」
千枝「さすがにこの量は無理じゃない?」
雪子「失敗したら物凄く高くつくよ?」
キタロー「……やるしかない」
番長「そうか」
店員「ほ、本当にやるんですか!?」
キタロー「やる」
店員「あなたで30人目の挑戦者ですけど……他の方は全員完食できませんでしたよ!?」
キタロー「……関係ない、やる」
店員「……わかりました!」
店員「ご準備にお時間いただきますので、暫くお待ちください」
店員「出来上がり次第、お席までお持ちしますので」
キタロー「わかった」
店員「お待たせしました」
ドンッ
キタロー「……」
店員「では、制限時間は15分ですので……」
店員「はじめ!」
キタロー「いただきます」
パクパク……カチャカチャ……
花村「……なんつー食べっぷりだよ」
千枝「見る見る山のようにあったお肉が」
雪子「私、見てるだけでお腹一杯」
番長「頑張れ」
キタロー「…………」
モグモグ……
キタロー「ご馳走様でした」
花村「せ、制限時間は!?」
千枝「……全然余裕みたいだけど?」
雪子「凄い、凄すぎる」
男A「スゲーな、兄ちゃん!惚れ惚れする食べっぷりだったぜ!」
男B「あの細い身体のどこにあの量の肉が!?」
女A「やだ……あの人格好いい」
女B「ちょ、あんた!何言ってるの!?」
ワイワイガヤガヤ
花村「ギャラリーまで出来てたし!」
千枝「キタロー君がもう何だかよくわからないよ!」
番長「店員を呼んでくる」スッ
店員「お、おめでとうございます!」
店員「こちら金一封です!」
キタロー「どうも」
?「あの~、すみません」
?「私、テレビ局のものなのですが」
花村「もしかして、こいつに取材!?」
局員「はい、そんなところです」
局員「凄い食べっぷりでしたね!お腹は
大丈夫なんですか!?」
キタロー「余裕」
局員「そ、そうですか!では、何か一言ありますか?」
キタロー「……肉は僕を裏切らない、僕も肉を裏切らない」
局員「ありがとうございます!」
局員「今日の夕方のニュースで流れると思いますので、よかったらご覧になって下さいね!」
局員「それでは」
~帰り道~
花村「何か変なヤツだと思ってたけど、お前って色々凄いんだな!」
千枝「うん、色々と驚かされっぱだよ!」
雪子「お風呂とかね」
花村「お、お風呂!?」
キタロー「事故だから仕方ないよね」
雪子「そうだね事故だからね、ふふっ」
千枝「そうそう!事故だから!」
番長「それは仕方ないな」
花村「何か俺だけ置いてけぼりなんだけど……」
花村「あ、俺こっちだから」
千枝「私もここで」
番長「また会おう」
------------------
キタロー「みんな……いい人だね」
雪子「うん……そうだよね」
キタロー「……やっぱり帰りたくないな」
雪子「そんなに辛い環境だったの?」
キタロー「……僕の周りは自分勝手な人ばかりでギスギスしてて」
キタロー「本当はみんな仲良くしたい筈なんだけど」
キタロー「……うまく行かないものだね」
雪子「……そっか」
雪子「……仲良くなれるといいね」
~それから数日後~
キタロー「……ここどこ?」
キタロー「確か僕は……散歩をしていたら」
キタロー「……急に後ろから頭を殴られて」
キタロー「その後……どうなったんだっけ?」
キタロー「……わからない」
?「やぁ、お目覚めかい?」
キタロー「……誰?」
?「あぁ、霧で見えないのか」
?「これをかけなよ」スッ
キタロー(……眼鏡?)
キタロー「……霧が晴れて見える」
?「凄いだろ、それ」
キタロー「……凄いな」
?「……」
キタロー「……」
?「君さ、僕を見ても驚いたりしないの?」
キタロー「……どうでもいい」
?「酷いな……酷いじゃないか!?」
キタロー「……だって綾時だし」
キタロー「影時間の関係者には会いたくなかった」
綾時「……それはすまなかった」
キタロー「……ここはどこなの?」
綾時「ここはテレビの中の世界さ」
綾時「君はとある人物にテレビに放り込まれたんだ」
キタロー「……そっか」
綾時「……あれ?もっといい反応してくれると思ったのに」
キタロー「テレビに入ってる人達この前見たし」
キタロー「凄い時代だよね」
綾時「……君はもの凄く勘違いをしているようだけど」
綾時「まぁ、いっか」
綾時「とにかく、ここはテレビの中だよ」
綾時「そして、君はこの後最悪死ぬことになる」
キタロー「……!?」
綾時「お、今度はいい反応じゃないか」
綾時「どういうことかはわからないけど、この世界のルールらしくてね」
キタロー「……まだ死にたくない」
綾時「……だろ?」
綾時「なーに、そんなに落ち込むことはないさ」
綾時「そのうち助けがくる筈だから」
キタロー「……助けが?」
綾時「うん、助けがくるよ」
綾時「もちろん薄情なSEESの奴らじゃない」
綾時「……この街の高校生がテレビに放り込まれた人間を助けて回ってるらしいんだ」
綾時「いい子達だよね、本当に」
綾時「……あ、そうそう」
綾時「この辺、意外と物騒だから……これ」チャッ
キタロー「召喚機?」
綾時「部屋に忘れてたよ、ダメじゃないか」
綾時「万が一、が起こるかもしれないんだからさ、ははは」
キタロー「…………」
綾時「悪かった、そう睨まないでくれよ」
番長「キタローが行方不明になって早数日」
番長「まさか……マヨナカテレビに?」
番長「……今晩はちょうど雨だ」
番長「マヨナカテレビを見てみよう」
番長「…………」
チュイーン……
番長「映った!」
デンデンデーンデンデンデーン♪
キタロー「ギスギスした生活に嫌気がさした僕は、一人旅に出た」
キタロー「一人目指した老舗温泉旅館」
キタロー「……温泉旅館といえば何?」
キタロー「美人女将?美味しい料理?」
キタロー「いや、違う!」
キタロー「温泉旅館といえば湯けむり殺人!」
マヨナカサスペンス劇場特別編
稲羽湯けむり殺人事件!キタローの死に泣くヤツはもういない!?霧の向こうに見えた孤独!
キタロー「まさか僕が殺される役だとは思わなかったけどね」
キタロー「探偵役とエロ要員は早くくるように」
キタロー「じゃ、死んできます」
ガガー……
番長「お前を殺させはしない!」
綾時「はい、カット!」
綾時「意外とキャラじゃないことできるじゃないか」
キタロー「……もうやらない」
キタロー「……疲れた」
綾時「……君があんまりにも暇だからって、僕がやるはずだった収録 を奪ったんじゃないか……」
キタロー「……そうだったっけ?」
綾時「そうだよ!」
綾時「……まぁ、いいや。これで放送されたと思うから」
綾時「すぐに助けが来ると思うよ」
綾時「あー、エロ要員楽しみだな」
~数日後~
キタロー「……まだ来ない」
綾時「おかしいなぁ……そろそろ来ると思うんだけど」
キタロー「……暇すぎる」
綾時「……そうだね」
キタロー「……しりとりでもする?」
綾時「そうだね、しようか」
綾時「じゃあ、タナトス、のスで」
キタロー「……ス?……スか……」
綾時「えぇ!?悩むところなの!?」
タタタタタ……バンッ!
番長「遅くなってすまない!助けに来た!」
綾時「お、来た来た」
キタロー「……君達が?」
花村「おう!」
千枝「キタロー君、大丈夫?」
雪子「……怪我はない?」
キタロー「……うん」
キタロー「君達が……そっか」
キタロー「……羨ましい」
番長「キタローのシャドウは?」
綾時「あー、シャドウ役は僕だよ」
番長「キタロー、落ち着いて聞いてくれ」
番長「そこのヤツがこれから何を言い出しても、それはお前だ」
番長「だから、決して否定しないで認めてやるんだ」
綾時「……だってさ?」
キタロー「……いや、こいつは僕じゃないし」
花村「お、おい!?今の話聞いてた!?」
綾時「……あれ?僕の迫真の演技がスキップされた!?」
綾時「……酷いヤツだな、君は」
キタロー「……どうぞ?気にせず続けて?」
綾時「……あぁ!そうさ!俺はお前じゃなねぇ!」
綾時「見てらんねぇんだよ、ウジウジしやがって!」
綾時「もっとよぉ、仲間を信用してやれよ!」
綾時「俺がもっと上手いことやってやるからよ!」
綾時「お前は、引っ込んでやがれ!」
番長「……くっ」
花村「やるしかないな」
千枝「キタロー君待ってて!」
雪子「今、助けるからね!」
キタロー「……あ、終わった?」
綾時「……素で聞くなよ……頑張ったのに」
キタロー「……番長」
番長「何だ?」
キタロー「……こいつ、倒せばいいの?」
番長「あ、あぁ」
キタロー「……」チャッ
キタロー「……ペルソナ!」カッ
タナトス「フシュー……」
綾時「痛いのは嫌なんだけど……」
綾時「出来れば可愛い子に倒されたいな」
キタロー「……そう?」
綾時「うん」
綾時「そう、可愛い子」
綾時「緑ジャージのあの子とか、いいね」
綾時「……あっちの赤い子も捨てがたい……」
綾時「あぁ!どうすれば!」
キタロー「……ペルソナ」カッ
アリス「……」ニコニコ
綾時「おや、可愛い子だね」
アリス「……お兄ちゃん」
アリス「死んでくれる?」
ガシャーン!
綾時「ちょ、待って!まだ心の準備が!」
綾時「うわぁぁぁぁぁぁぁ」
綾時「死ぬかと思ったじゃないか……」
キタロー「……殺す気だった」
綾時「そうか……そりゃそうだよな」
綾時「キタロー君、せっかく彼らが助けに来たんだからさ」
綾時「彼らに花を持たせようよ、ね?」
キタロー「……じゃあ、そうする」
綾時「……ゴホン」
綾時「……さぁ?かかって来いよぉ?こいつを助けたいんだろぉ!?」
花村「……何かもうよくわからなくなってきた」
千枝「……同感」
雪子「で、でも!キタロー君を助けないと!」
番長「今度こそ行くぞ!」
綾時「……アルカナが云々」
花村「こ、こいつ!さっきまでふざけてたのにメチャクチャ強いじゃねーか!」
綾時「……逃れられない死が」カッ
千枝「や、ヤバイかも……」
雪子「このままじゃ……」
番長「全滅?」
綾時「……ニュクス!」
キタロー「……綾時って強かったんだ」
?「先輩、ごめん!やっと着いた!」
?「大丈夫ですか!?」
?「……これ、ヤバくねーか?」
?「あれは反則だと思うクマ」
千枝「み、みんな!」
花村「おせーよ!」
雪子「途中で分断されちゃってたからね」
完二「み、道を間違えたのは俺のせいじゃないッスよ!?」
りせ「それはいいから!とにかく、あいつを!」
直斗「……さぁ、探偵役とエロ要員の出番ですね」
クマ「完二は後で罰ゲームクマね」
番長「行くぞ!」
キタロー「……全員揃ったら急に動きがよくなった」
キタロー「……コンビネーションというか、チームプレイというか」
キタロー「……彼らの間には強い信頼を感じる」
キタロー「……いいなぁ」
キタロー「……絆か」
キタロー「……初めは多少はあったはずなんだけど」
キタロー「……色々あってギクシャクしちゃったんだよね」
キタロー「……やり直せないかな?」
キタロー「……みんなをもっと信じろ、か」
キタロー「……帰ったら頑張ろう」
綾時「……ニュクスのアバターである僕が負けるなんて……」
シュー……
りせ「や、やった!」
直斗「危ないところでしたね」
クマ「強敵だったクマ!」
綾時「……なんちゃってね!」
番長「!?」
綾時「あ、もう戦う気はないよ」
綾時「キタロー君、彼らの戦いを見て……帰りたくなったんだろ?」
綾時「あんなに会いたくなかった人達に会いたくなったんだろ?」
キタロー「……やり直せるかな、僕」
綾時「やり直せるさ、きっと」
綾時「……というか、そうじゃないと困るんだ」
綾時「……さて、僕はそろそろ消えるけど」
綾時「またね、キタロー君」
~旅館~
キタロー「……やっと帰ってこれた」
キタロー「……質問責め……辛かった」
キタロー「……あれは尋問レベルじゃないか」
キタロー「……ま、仕方ないか」
キタロー「……事故じゃないけど」
キタロー「さて」
ピッ……プルルルルル……プルルルルル
キタロー「エリザベス?僕だけど」
キタロー「もう帰ろうと思うんだ」
キタロー「未練?……勿論あるけど」
キタロー「それよりやることができたから」
キタロー「…………」
キタロー「……はっ!」
キタロー「ここは……?」
キタロー「……寮の部屋のベッドの上か」
キタロー「……あれは……夢?」
キタロー「……とりあえずロビーにでも降りよう」
キタロー「……みんな……いるかな?」
ガチャ……バタン
~ロビー~
キタロー「…………」スタスタ
伊織「!?」
伊織「お前……何してたんだよ!?」
キタロー「……部屋で寝てた」
伊織「そ、そうじゃなくて!」
伊織「どこへ行ってたんだよ!?桐条が本気を出しても見つからないって大騒ぎだったんだぞ!?」
キタロー「……老舗の温泉旅館に宿泊してた」
伊織「……相変わらずだな、おい」
美鶴「何だ?伊織……騒々しい……」
美鶴「お、お前!?」
キタロー「只今帰りました」
美鶴「……他に言うことはないのか?」
キタロー「先輩……僕達やり直しましょう」
美鶴「……な!?お、お前!?急に何を!?そもそも私達は……まだそういう仲では……」アタフタ
真田「美鶴、何を取り乱しているんだ?」
真田「夜も眠れぬ程心配をかける馬鹿者は処刑してやるんじゃないのか?」
キタロー「……真田先輩」
真田「キタロー……すまなかった」
真田「こんなバラバラのチームをまとめるのを、お前一人に押し付けてしまったな」
真田「……お前が急にいなくなるのも最もなことだ」
真田「すまない……」
キタロー「…………」
美鶴「と、とにかく!」
美鶴「キタローが帰ってきたことを皆に知らせよう」
美鶴「……そして話合おう……今後のことを」
伊織「じゃあ、俺電話してきますね」
キタロー「……美鶴先輩」
キタロー「……処刑は?」
美鶴「……されたいのか?」
キタロー「……いえ」
キタロー「……この度は突然失踪し、皆様に多大なご迷惑、またご心配をおかけしてしまい、誠に申し訳ございませんでした」ペコリ
ゆかり「や、やめてよ!頭を下げないで!」
風花「そ、そうだよ!」
アイギス「キタローさん、謝る為に帰ってきたわけではないのでしょう?」
美鶴「やり直したい、とさっき言ってたな」
キタロー「……はい」
キタロー「僕達の関係は気付いたら劣悪な物になっていました」
キタロー「その原因の一端は僕ですが……」
キタロー「だからこそ僕は」
キタロー「みんなともっと仲良くなりたい」
キタロー「みんなを護りたい」
キタロー「もっとよいチームにしたい!」
キタロー「……今回の件で僕は強くそう思いました」
キタロー「だから……力を……」
ゆかり「……力にはなりたいんだけどね」
伊織「正直な所、どうやれば仲良くなれるかわかんねーんだよ」
風花「うん……私達は寄せ集めのチームだし……」
美鶴「……恥ずかしい話だが」
真田「……すまない」
天田「……ごめんなさい」
アイギス「……キタローさん」
コロマル「……くぅーん」
キタロー「……そうか、そうだよな……」
キタロー「僕達は一緒にいたくているわけじゃない」
キタロー「それが彼らとの一番の違いなのかな……」
キタロー「……よく考えたら、僕も仲良くなる方法なんて知らない」
キタロー「……何やってるんだろう、僕」
キタロー「……僕は無力だ」
アイギス「……でも、キタローさん」
アイギス「私はキタローさんのこと、
好きですよ?」
ゆかり「わ、私も好き!」
伊織「……俺も」
風花「わ、私も!」
美鶴「私も……好き、だ」
真田「勿論俺もだ」
天田「僕もです」
コロマル「ワン!」
キタロー「みんな……」
アイギス「ですから、キタローさん」
アイギス「私達があなたにされたことを、私達がお互いにしあえば仲良くなれるんじゃないかと思います」
美鶴「キタローにされたこと……?」
ゆかり「……/////」
伊織「ゆかりっち、そういうことじゃないと思うぜ?」
ゆかり「う、うるさい!」
風花「キタロー君って……私達の為にいつも走り回ってるよね」
真田「どうでもいい、とか呟きながらな」
キタロー「それは……」
天田「いつも僕らのことを想っててくださるんですよね?」
天田「損得抜きで」
キタロー「……うん」
アイギス「何でそんな大変なことを?」
キタロー「……それは……みんなが好きだから」
キタロー「……別にリーダーだからやってるわけじゃないんだ」
伊織「……簡単なことを忘れてたな、俺ら」
ゆかり「お互いに自己主張してばっかりで、相手のことを全く考えてなかったね」
美鶴「……私達に足りないのは、相手を気遣う心だな」
風花「そうですね……無償で相手を想う心が」
真田「……そうとわかれば話は早いな」
真田「アイギス、グッジョブだ!」
アイギス「え?あ、はぁ……」
キタロー「……そんなわけで、前よりはギスギスした感じはなくなった」
キタロー「……お互いに変に気を遣ってて逆にギスギスしてるところもあるけど」
キタロー「……そのうちよくなるはず」
キタロー「……そうそう、影時間がなくなったら、皆で温泉に行く事になった」
キタロー「この時代の、あの旅館に」
キタロー「……今から楽しみで仕方ない」
キタロー「……温泉は素晴らしい」
キタロー「……」
終