1 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2012/07/17 19:41:19 7D3egraA 1/34

「なっちゃった…」

「いやだっ!」

「だって、お父さんの転勤なんだから、仕方ないじゃん!」

「い、行かないでよ、幼ちゃん!」

「もう決まった事なんだから…」

「いやだ!いやだ!」

「わ、わたしだって、行きたくないよっ!」

「男くんと、離れたくないよ!」

男・幼「うわーーーーーーーん!」

元スレ
幼馴染「今度引っ越す事に…」男「…」
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/14562/1342521679/

2 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2012/07/17 19:41:49 7D3egraA 2/34



「僕、幼ちゃんとお別れしたくない!」

「わたしも、男くんとずっと一緒がいい!」

「でも、すっごく遠くに引っ越すって…」

「いつ?いつ引っ越すの?」

「夏休みに入ったらすぐだって…」

3 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2012/07/17 19:43:01 7D3egraA 3/34

「…二人で逃げよう!」

「逃げる?」

「どこか、遠くに…」

「…どこに?」

「…」

「…」

「そうだ!僕のおばあちゃんの家なら!」

「男くんのおばあちゃん?」

4 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2012/07/17 19:43:34 7D3egraA 4/34

「おばあちゃんはすっごく優しいんだ!」

「絶対、黙っててくれるよ!」

「どうやってそこまで行くの?」

「大丈夫!電車の乗り方はわかるし」

「行き方は覚えてるし」

「お金も、貯金箱にある!」

「行こう!幼ちゃん!」

「…うん!」

5 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2012/07/17 19:44:24 7D3egraA 5/34




婆さん「ごめんね、男ちゃん…」

「おばあちゃんの嘘つき!」

男父「母ちゃん、電話くれてありがとう」

男父「まさかこいつがこんな事するなんて思ってなくて」

男父「警察に捜索願出す所だったんだ」

6 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2012/07/17 19:45:01 7D3egraA 6/34

男父「さ、帰ろう。二人とも」

男父「幼ちゃん。お父さんとお母さんが待ってるよ」

「父ちゃん!僕は帰らないよ!」

男父「男!いい加減にしないか!」

「いやだっ!僕、幼ちゃんとお別れしたくないよっ!」

「…男くん。もういいよ…」

「幼ちゃん?」

7 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2012/07/17 19:45:43 7D3egraA 7/34

「やっぱり無理なんだよ…」

「いやだーーー!」

「わ、わたしだっていやだよ!」

男・幼「うぅ…うわーーーーーん!」

男父「…困ったな」

男父「とりあえず、幼ちゃんのお父さんに電話しよう」

男・幼「うわーーーーん!」

8 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2012/07/17 19:46:31 7D3egraA 8/34



男父「母ちゃん、あの二人今日ここに泊めてもらってもいいかな?」

婆さん「私は構わないけど…大丈夫なのかい?」

男父「あぁ。今、幼ちゃんのお父さんと電話で話した」

男父「小さい二人には辛い事だから、ちょこっとだけ時間を、な」

婆さん「二人、同じ部屋で良いよね?」

男父「あぁ、その方が良いかな。いっぱい話しをさせてやりたいし」

9 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2012/07/17 19:47:38 7D3egraA 9/34



男父「あー、二人とも聞いてくれ」

男・幼「…」

男父「幼ちゃん、引越しの出発は明日にするそうだよ」

男父「とりあえず、二人は今日ここに泊まる事になった」

「…」

「…すみません、おじさん」

10 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2012/07/17 19:48:16 7D3egraA 10/34

男父「明日の朝には迎えに来るから、ちゃんと家に帰るんだぞ?」

「いやだ…うぅ…」

男父「男、これ以上わがままを言うな」

男父「幼ちゃんが一番辛いんだぞ?」

男父「お前がそんなにメソメソしてどうする!」

「…」

「…」

11 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2012/07/17 19:49:31 7D3egraA 11/34

男父「今日は二人、同じ部屋で寝なさい」

「え?」

男父「二人でたくさん話しをすると良い」

男父「男、ちゃんと話しをするんだぞ?」

「…うん」


「ねぇ、男くん」

「なぁに?」

12 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2012/07/17 19:50:19 7D3egraA 12/34

「わたしね、男くんの事が大好き!」

「ぼ、僕も幼ちゃんの事が好きだよ!大好き!」

「明日でお別れだけど…だけどね…」

「大人になったら…」

「わたしの事、迎えに来てくれる?」

「迎え?」

13 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2012/07/17 19:51:04 7D3egraA 13/34

「結婚して…お父さんとお母さんみたいに…」

「いつまでも一緒に居てくれる?」

「行くよ!僕、必ず幼ちゃんを迎えに行く!」

「今は子供だから無理だけど…」

「絶対、幼ちゃんを迎えに行くから!」

「その時は…僕のお嫁さんになってくれる?」

「…うん!わたしを男くんのお嫁さんにして下さい!」

14 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2012/07/17 19:51:51 7D3egraA 14/34

「約束だよ?」

「うん!」

「必ず…迎えに行くから!」

「じゃあ、約束ね…」

「え?」

チュッ

「!」

15 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2012/07/17 19:52:42 7D3egraA 15/34

「私のファーストキス」

「僕もファーストキスだけど…」

「忘れないでね?」

「絶対に忘れない!」

「…」

「…」

「…ね」

「なあに?」

16 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2012/07/17 19:53:28 7D3egraA 16/34

「男くんの布団に入ってもいい?」

「…うん」

モゾモゾ

「手、繋いでいい?」

「うん」

ギュッ

「あったかいね…」

「うん…」

「…男くん、大好きだよ…」

「僕も、幼ちゃんの事、大好きだよ…」

17 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2012/07/17 19:54:09 7D3egraA 17/34




「なーんて事があったよね?」

「んあー、照れくさい!懐かしい話しだな、おい」

「えへへー、照れてる照れてる」

「その顔が見たかった!」

「…あの頃は若かったな」

18 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2012/07/17 19:54:56 7D3egraA 18/34

「今だって若いじゃない。まだ18歳なんだから」

「まぁ、若いっちゃ若いけどさー」

「あの時の男の行動力は、今考えても凄いよね」

「子供2人で電車乗り継いで、婆ちゃんの家まで…か」

「我ながら、怖いもの知らずだったなー」

「小4のちびっこが出来る事じゃないわよねぇ」

「まさか、幼が3年でこっちに戻ってくるとは」

「夢にも思ってなかったからさー」

「必死だったんだよ」

19 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2012/07/17 19:56:03 7D3egraA 19/34

「えへへ。お互い子供だったよねぇ」

「ところで、何で今さらそんな話しをする?」

「いやぁ。今朝、夢で見ちゃってさー」

「夢、ねぇ」

「あ、所でさ、男」

「何だよ?」

「私ね…」

20 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2012/07/17 19:57:11 7D3egraA 20/34

「今度引っ越す事に…」

「…」

「え?マジで?」

「マジです」

「だ、だって…大学はどうするの?」

「せっかく同じ大学に通う為に、必死に勉強してるのに」

「…」

21 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2012/07/17 19:57:54 7D3egraA 21/34

「それに、さっきの話しじゃないけどさ」

「…や、約束は?」

「仕方ない事なんだよ、男…」

「い、嫌だっ!」

「男…」

「俺、幼の事…大好きなんだ!」

「行かないでくれよ、幼!」

22 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2012/07/17 19:58:35 7D3egraA 22/34

「もう…あんな気持ちになるのは嫌だっ!」

「どこかに引っ越すってんなら、俺もついてくぞ!」

「ガキだったあの頃とは違うぞ?」

「…幼が俺の事嫌いって言うなら…諦める、けど…」

「でも、そうじゃないなら!」

「…嬉しいよ、男。決まってるじゃんか」
ギュッ

「なっ?」

23 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2012/07/17 19:59:37 7D3egraA 23/34

「ごめんね、試すような事言って」

「でもやっと男の気持ちが聞けた…」

「あの時、男のおばあちゃんの家でした約束」

「ちゃんと守ってくれるんだよね?」

「もちろん守る気満々だ!」

「私がこの町に戻ってきてからさ」

「また仲良く遊ぶようになったけどさ…」

24 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2012/07/17 20:00:19 7D3egraA 24/34

「男の口から『付き合おう』とか」

「『好きだ!』とか、聞けなかったからさ」

「私、不安だったんだー」

「それこそ、あの約束の事、忘れちゃってるんじゃないか…って」

「俺はあの時の約束を、一瞬も忘れた事は無いぞ?」

「…まぁ、照れくさくて、口には出さなかったけどさ」

25 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2012/07/17 20:01:14 7D3egraA 25/34

「…ね、男もギュってして?」

「おう」
ギュッ

「約束、ね?」

「ずっと一緒に、居てね?」

「ずっと一緒に、居るぞ!」

「だから、ついていくぞ?」

26 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2012/07/17 20:01:54 7D3egraA 26/34

「どこに引っ越すんだ?」

「またおじさんの転勤か?」

「えへへ。実は引っ越すのは私だけなんだー」

「は?」

「あの家から出ようと思ってるんだ、私」

「え?どう言う事?」

「出ようと思ってるって…決定じゃないの?」

27 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2012/07/17 20:02:43 7D3egraA 27/34

「まだ住む場所、決めてないよ」

「今から探すんだから」

「え?え?マジでどう言う事?」

「鈍感だなぁ、男は」

「はぁ、まあ鈍感なのは自覚してるけどさ」

「一緒に住もうよ、私達」

「は?」

28 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2012/07/17 20:03:30 7D3egraA 28/34

「私達の実家からあの大学までって結構遠いじゃない?」

「…まぁそこそこ遠いな」

「大学まで10駅なのが、2駅くらいになったらさ」

「一緒に居られる時間が増えるじゃない?」

「…」

「…嫌なの?」

「いやぁ、幼はやっぱ凄いなぁと思って」

29 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2012/07/17 20:04:23 7D3egraA 29/34

「そう?」

「俺に出来ない事を平然とやってのける」

「そこにシビレる、アコガレるゥ!」

「意味わかんないけど、とにかくOKって事でいいよね?」

「おう!いいですとも!」

「じゃあ早速不動産屋へGO!」

「え?今から!?」

30 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2012/07/17 20:05:03 7D3egraA 30/34

「思い立ったが吉日って言うじゃん!」

「実はもう何件かアタリはつけてあるんだよね!」

「今日のお出かけって、そう言う事なのな?」

「ソユコトー」

「…やっぱ幼、凄いや」

31 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2012/07/17 20:05:48 7D3egraA 31/34




「幼、俺の番号あった?」

「あったよ。私のは?」

「おう、ちゃんとあったぞ!」

「ふぅ…まぁ自信はあったけどさ」

32 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2012/07/17 20:06:35 7D3egraA 32/34

「何が起こるかわからない、それが野球だもんな?」

「野球関係ないでしょ」

「いやぁ、それにしてもこれで肩の荷が一つ、おりたなー」

「そうだねー。とりあえず、一つだね」

「アパート、押さえておいて良かったなー」

「だよねー。この大学まで徒歩5分だもんね」

「バイトもこの近くで探そうぜ」

「そうだねー」

33 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2012/07/17 20:07:18 7D3egraA 33/34

「んじゃ、このまま不動産屋に行って、本契約してこよう!」

「だな。準備も出来てるし」

「…始まるね、いよいよ」

「ん?」

「二人での生活」

「そうだな」

34 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2012/07/17 20:07:54 7D3egraA 34/34

「ね、ウチの両親も、男の両親も認めてくれてるしさ」

「もういっそ入籍とかしちゃう?」

「んー。それはなー」

「嫌なの?」

「俺がちゃんと社会人になってから、改めてプロポーズしたい」

「!」

「それまで待っててくれよ、幼」

「…うん。待ってるよ、男」

「約束、ね?」

チュッ


おわり

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