~嘘つきなマミ~
昔、ある牧場に横柄なマミがおりました。
マミは牧場主である杏子の前ではとても良いマミでしたが、従業員のさやかとまどかに対しては好き放題やっておりました。
元スレ
ほむら「世界名作劇場」
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/14562/1337305696/
さやか「ちょっ、マミさん!小屋に戻りなって!」
マミ「ティロフィナ」バン
チュドーン
さやか「ぎゃあぁぁあ!小屋がぁああ!」
杏子「おらぁ、さやかぁ!今度は何やっt…うぉおおぉ!さやかぁああ!?」
さやか「私じゃない!私じゃない!」
杏子「嘘つけごらぁあ!マミがそんな事するわけねぇだろ!」ゴチン
さやか「うわーん」
マミ「むにゃむにゃ」ゴロゴロ
と、始終こんな調子でした。
ある日、杏子がまどかに仕事を与えました。
杏子「マミの飯の世話を頼むな」
まどか「うん。じゃあ、マミさん連れてくね」
まどかは心良く返事をしました。
杏子から貰った仕事です、まどかは張り切ってお気に入りのケーキバイキングに連れて行きました。
まどか「マミさん、美味しい?」
マミ「美味しいわ、とても美味しい」
まどか「満足出来たかな?」
マミ「たくさん食べたし、たくさん飲んだわ。もうチョコ一欠片も食べられないし、紅茶一杯飲めないわ」
まどかは安心して、牧場に戻りました。
まどかが帰って来ると、杏子はマミに聞きました、まどかがきちんと仕事をしたか気になったのです。
杏子「良いもん食えたかい?」
マミ「たくさん…はっ!」
マミは考えました、あまり正直に言って、大食いと思われるのは恥ずかしかったのです。
マミ「全然食べなかったし、飲んでないわ!ケーキは崩れて美味しくないし、茶葉も古くて飲めやしない!」
杏子はすぐさま、まどかを呼びつけます。
杏子「まどか!ちゃんとした所を紹介してやれよ!」ポカッ
まどか「うぅ…ひどいよマミさん…」
仕方なく、杏子はさやかに仕事を与えました。
杏子「マミの飯の世話を頼むな」
さやか「え~」
杏子「え~。じゃねぇ」
さやか「…ちぇっ、行くよマミさん」
さやかは渋々返事をしました。
杏子から怒られるのだけは避けたいさやかは、行き着けのフルーツパーラーに連れて行きました。
さやか「マミさん、どうです?」
マミ「美味しいわ、とても美味しい」
さやか「好きなだけ食べなよ?」
マミ「たくさん食べたし、たくさん飲んだわ。もう葡萄一粒も食べられないし、紅茶一杯飲めないわ」
さやかはドヤ顔で、牧場に戻りました。
さやかが帰って来ると、杏子はマミに聞きました、さやかがきちんと仕事をしたか気になったのです。
杏子「今度こそ良いもん食えたかい?」
マミ「だから全然食べなかったし、飲んでないわ!苺は潰れて酸っぱいし、茶葉も古くて飲めやしない!」
杏子はすぐさま、さやかを呼びつけます。
杏子「さやか!てめぇ、いつになったらちゃんと仕事すんだよ!」ガスッ
さやか「うわーん!…力加減が明らかに違う…うわーん!」
こいつらは駄目だ、とうとう杏子は自分で仕事をする事にしました。
杏子「マミ、私が旨い店連れてってやるよ!」
マミ「…」
杏子は、今まで不味い店ばかり紹介したお詫びにと取って置きのフレンチレストランに連れて行きました。
杏子「どうだ?旨いだろ?ジャンジャン頼むからドンドン食えよ?」
マミ「…美味しいわ」
杏子「全然食ってねぇじゃねえか!腹でも痛いのか?」
マミ「そう言う訳じゃないんだけど…」
マミは度重なる暴食で胃袋が限界でした。
マミ「なんだか、食が進まないから先に帰るわね…」
杏子「ちょっと待ちな…食いかけの飯が残ってるぞ」
杏子の口調は穏やかでしたが、目は笑っていませんでした。
マミ「…食べるわ」
マミはパンパンの胃袋に食事を詰め込みますが、料理は次から次に運ばれてきます。
笑わない杏子の監視の中、黙々と食べ物を流し込む作業が続きます。
薄れゆく意識の中でマミは、二度と嘘はつくまいと、心に誓いましたとさ…
~めでたしめでたし~
マミ「…」
ほむら「どう?」
マミ「何よこれ?」
ほむら「有名でしょ?嘘つきなマミ」
杏子「知らね」
マミ「だいたい、私の大食いやデブ設定は誰発信なのよ!」
まどか「そんな描写、アニメには無いですもんね…」
マミ「誰か解ったら、風穴開けてやるわ!」
さやか「何気に私の扱いが酷い」
杏子「ご飯残したマミが悪いな!」
~マッチ売りのまどか~
いつか、何処かにある寂れた町に一人の少女がおりました。
少女の名はまどか。
まどかの家はとても貧しく、母が死んでからというもの収入も無く、父は酒浸りでした。
まどかが稼いだお金も、父の酒代に消える有り様でした。
クリスマスを明日に控えた、とても寒い夜、まどかはマッチを売っておりました。
まどか「マッチは如何ですか?どなたかマッチを買っていただけませんか?」
このご時世、マッチを買ってくれる人はまばらです。
ある通行人が言いました。
中沢「道の真ん中で立ち止まらないでもらえるかなぁ、邪魔なんだよ!」ドンッ
通行人がまどかを突き飛ばし、マッチは四方に落ちてしまいました。
まどか「ご、ごめんなさい」
まどかがマッチを拾おうとしたその時、まどかの目の前で通行人が消え去ったのです。
不思議な事に、ばら蒔いた筈のマッチも籠に戻っていました。
パンッ
まどかは神様に感謝し、マッチ売りを再開しました。
すると、また別の通行人が言いました。
ショウ「お前なら買ってやるぞ?1セントでなぁ、ハッハッh…
そこまで言うと、またまどかの目の前で通行人は消えたのです。
不思議な事に、マッチが幾つか無くなっており、籠に紙幣が挟んでありました。
パンッ
まどかは神様に深く感謝し、またマッチ売りを再開しました。
まどか「そうか、明日はクリスマス…神様が見守ってくださってるんだ」
それからも不思議な事は起こり続けます。
まどかが悴んだ手足を擦ると、マッチが少し無くなり、目の前に綺麗な靴と手袋が置いてありました。
仁美「キャー!私の足!足が!」
執事「お嬢様ぁぁぁ!?裸足で外に出ては凍傷になりますぞ!」
まどかのお腹が鳴ると、マッチが少し無くなり、目の前に豪華な食べ物が置いてあるのです。
マミ「QB、テーブルの上の食事をどうしたの…」プルプル
QB「僕じゃ無いよ!急に目の前で消えたんだ!本当だよ!」
そして雪が強く降り始め、まどかの体が雪に覆われた時、マッチが少し無くなり籠に紙幣が入っておりました。
さらに…
ボゥッ
目の前の家が燃え始めたのです。
杏子「念願の…マイホームが…」
たしかに暖を取ることは出来ましたが、売っている物が売っている物だったので、まどかは家に戻ることにしました。
まどか「ただいm…パパどうしたの!?」
まどかが家に戻ると、酷く怯えた父親が穴だらけの壁を眺めておりました。
それからと言うもの、父親は酒をピタリとやめ、必死に働き始めました。
まどかはクリスマス前日の奇跡に感謝し、父親と幸せに暮らしましたとさ…
~めでたしめでたし~
ほむら「…」
さやか「どおよ?」フフン
ほむら「美樹さやか…あなた…」
ほむら「まどかにマッチ売りなんて辛い役をやらせるなんて…」
マミ「そっち!?」
杏子「やっぱり、神様は偉大だな」
まどか「本当だね、でも杏子ちゃんの家が燃えたのはやり過ぎだよね…」
杏子「きっと、真っ当な金で買った家じゃ無かったのさ…まどかが気にする事じゃ無いよ」
まどか「杏子ちゃん…」
さやか「君達?」
~杏子と豆の木~
これは、貧しい親子の話。
父が他界し、母一人の畑仕事で貧しく生きる親子がおりました。
子供の杏子は、とても母思いな娘で母の手伝いを懸命にやりました。
母は杏子に言いました。
マミ「杏子?悪いけれど、このままでは冬は越せないわ…仕方無いから雌牛を出来るだけ高く売って来てくれないかしら?」
杏子「あの雌牛、売っちゃって良いのかい?そりゃ冬は越せるかも知れないけど…」
マミ「良いのよ…頼んだわね」
親子は唯一手元にある雌牛さえも手放す事になりました。
杏子が雌牛を連れ、町に向かう途中、一人の商人に会いました。
杏子「高く買ってくれないかい?…何なら、麦や種籾とかでもいいんだ」
ほむら「確かに、良い雌牛ね…これと交換でどうかしら?」
商人が示したのは、不思議な形をした種でした。
それは大変魅力的な種でしたが、杏子の頭に母の顔がよぎります。
杏子「いやいや、駄目だ!冬どころか、一月も持たねぇよ…」
ほむら「貴女は本当に愚かね佐倉杏子。この種は魔法の種よ?…一晩で天より高く育ち、鍋一杯の豆を作るわ」
杏子「マジか!?そりゃ良いや!」
杏子は雌牛と種を交換する事にしました、そして意気揚々と家に戻ったのです。
マミ「あらあらご機嫌ね?そんなに高く売れたの?」
杏子「マミ母さん!これを見ろ!」
マミ「種ね」
杏子「種だよ」
マミ「えっ?それ一粒と交換したの?」
杏子「魔法の種なんだ」ニコニコ
マミ「…」
杏子「一晩で天まで育つって」ニコニコ
マミ「そう…母さん仕事に戻るわね…」
そう言うと、母は黙って畑仕事に向かいました。
杏子は種を裏庭に植えてから、母の手伝いをしました。
そして、次の朝…
あの商人のいった通り、裏庭に巨大な蔓が生えておりました、雲の先まで伸びている長い長い蔓でした。
母は大変驚きました。
杏子は早速、豆を回収するためスルスルと登って行きます。
マミ「あの娘、猿みたいね」
母は落ちやしないか心配です。
ある程度登ると、低い位置に雲が引っ掛かっている事に気が付きました。
気になった杏子は雲に向かう事にしました。
雲に着くと、そこにはとても大きな屋敷が見えました。
雲の上の屋敷に興奮した杏子は不法侵入を試みたのです。
杏子「ひゃー!何もかもでかいな…ひゃー!」
それもそのはず、その屋敷には巨人が住んでいたのです。
巨人はテーブルの上に向かって叫びました。
中沢「おいQB、卵を産め!」
QB「キュププ、今日3度目じゃないか!そんなにポコポコ産めないよ!」
中沢「はーい、じゃあデコぴん行きまーす!」
QB「死んじゃう!死んじゃう!…わかったよ産めば良いんだろ産めば!」
グググ…コロン
何とQBが産んだ卵は金の卵だったのです、杏子は生唾を飲みました。
またも、巨人はテーブルの上に向かって叫びました。
中沢「やい、さやか!眠るから音楽を奏でろ!」
さやか「うぅ…わかりました…」
さやか「…」
さやか「きぃりの立ち込むぅもぉりの奥深くぅー…へぁっ!」
それは、とても美しい歌声でした。
杏子は巨人が眠った所を見計らって、この二つをかっぱらう事にしました。
さやか「…生ぃきたまま蝋にぃん形の如くぅーうー…へぁっ!へぁっ!」
しかし、巨人は一向に眠りません。それどころか明らかにテンションが上がり始めておりました。
杏子「ロッソ・ファンタズマ!」
眠り(?)こけた巨人を尻目に杏子はQBとさやかを連れて帰ります。
QB「ここより労働条件が悪くならないなら構わないよ!」
さやか「いやー助かったよー。いつかデコぴんされるんじゃないかって気が気じゃ無くってさー」
杏子達が屋敷を抜けた頃、幻術の有効範囲から外れた巨人は我に返りました。
中沢「無い?無い!MP3プレーヤーと四次元ア●ルが無くなってる!?」
巨人は凄い形相で追いかけてきました。
杏子達は既に蔦を降り始めていましたが、追い付かれるのは時間の問題です。
中腹まで差し掛かった頃に巨人は蔦を降り始めていました。
杏子は母にテレパシーを送りました。
杏子(マミ母さん!状況見えてる?)
マミ(見えてます、随分大きなお友だちね?)
杏子(あれ友達じゃ無いよ!敵!敵!)
マミ(敵?杏子!貴女が何か怒らせたんでしょ!?)
杏子(違うよ!)
マミ(まったく杏子は…私も一緒に謝ってあげるから…)
進展しない会話を続ける間にも巨人は近付いてきます。
杏子「こうなったら…」
杏子(だって…あいつがマミ母さんの事、デブなんて言うからカッとなって…)
マミ「ティロ・フィナーレ!」
ボシュ
巨人は蔦の上半分と共に欠き消えてしまいました。
蔦を降りた杏子は母に経緯を説明し、三人と一匹は幸せに暮らしましたとさ…
~めでたしめでたし~
ほむら「…」パチパチパチパチ
まどか「てぃひひ、どうだったかな?」
ほむら「最高よ!100点だったわ」パチパチパチパチ
杏子「ちょっ!なんでまどかが私の…わ…技名知ってるんだよ!」///
ほむら「私が教えたのよ」パチパチパチパチ
杏子「ぬわーーっ!!」///
さやか「ぷくく…技に名前付けるなんて、マミさんへの憧れですかなー?」
杏子「うるせぇ、ロッソ・ファンタズマぶつけんぞ」
ほむら「…」パチパチパチパチ
マミ「私はグラマー、デブ違う…私はグラマー、デブ違う…」ブツブツ
~キュププイ人形劇~
カラカラカラ…←幕開けの音
まどまど「ホムラチャン?」
キョロキョロ
まどまど「ホムラチャン…」
まどまど「ホムラチャン?ホムラチャン?」
シーン
まどまど「ホムラチャン…」
シーン
まどまど「ホ…ホム…チャ…」グスッ
ほむほむ「マドカ!」ヒョコ
まどまど「ホムラチャン!」
ほむほむ「マドカァー!」ダキッ
…
まどまど「ホムラチャン!」テッテッテ
ほむほむ「マドカ?」クル
まどまど「ホムラチャーン!」テッテッテ
テッテッテ
…ズベチャ
ほむほむ「マドカァーーーーーーーーーーー
ーーーー!」ダダダ
まどまど「ホムラチャン…」ジワァ
ダダダ…ズザァ
ほむほむ「マドカ!」ギュ
ナデナデ
まどまど「アワワ」///
ほむほむ「ホム」ナデナデ
…
あんあん「ウマウマ」ハグハグ
さやさや「…」ジー
あんあん「ウマウマ」モグモグ
さやさや「…」ジー
あんあん「…」ゴクン
さやさや「…」ジー
あんあん「…」グーキュルル
キョロキョロ
さやさや「…」ポイッ
パシッ
あんあん「サヤカ…」ペリペリ
あんあん「ウマウマ」サクサク
さやさや「…」ジー
…
さやさや「アンコ!」
あんあん「キョーコ!」ポカッ
さやさや「アンコ!アンコ!」
あんあん「キョーコ!」ポカポカ
さやさや「アンコ!アンコ!アンコ!」
あんあん「キョ…キョーコ」ブワッ
さやさや「…」ビクッ
あんあん「キョ…コ…」スンスン
さやさや「…」
さやさや「キョーコ」ナデナデ
あんあん「サヤカ…」
さやさや「…」ナデナデ
あんあん「…」///
…
マミマミ「ティロ~」グデー
ゴロゴロ
マミマミ「ティロ~」グダー
ゴロゴロ
マミマミ「ティロティロ」ノビー
Qベー「マミ…」
マミマミ「ティロ?」グダー
Qベー「…」トテトテ
Qベー「…」ツンツン
プニプニ
Qベー「キュププ」グニグニ
マミマミ「ティティ…ティロ!」///
…
マミマミ「サクラサン!」
あんあん「…」プイ
マミマミ「サクラサン?」
あんあん「…」フン
ゴソゴソ
あんあん「…」チラ
あんあん「!」
マミマミ「ティロ~」パクパク
あんあん「…」ジー
マミマミ「サクラサン?」モグモグ
あんあん「…」ハッ
あんあん「…」プ…プイ
マミマミ「ティロ~」ハグハグ
あんあん「…」ジー
…
ほむほむ「…」スヤスヤ
まどまど「ホムラチャン!」
まどまど「ホムラチャン?」
ほむほむ「…」スヤスヤ
まどまど「ホムr…」
ほむほむ「…」スピョスピョ
まどまど「ティヒヒ」ナデナデ
ほむほむ「…」
まどまど「…」ウトウト
ほむほむ「…」チラ
まどまど「…」スースー
ほむほむ「ホム」ナデナデ
カラカラカラ…←幕引きの音
~めでたしめでたし~
QB「どうだい?僕の人形さばきは?…本当は話の幕間に入れる予定で書き貯めたんだけど…すっかり忘れてたよ」
まどか「てぃひひ、上手かったよ」パチパチ
ほむら「これよ…」
マミ「これだわ…」
さやか「こう言う事よね…」
QB「何がだい?」
マミ「この人形劇に世間一般のイメージが集約されてるわ」
ほむら「とりあえず、まどか人形は貰うわね…」イソイソ
マミ「そう言う所よ!」
杏子「さやかは食べ物いっぱいくれるって事?」
さやか「あんた、純粋だね…」
~裸のさやか様~
昔、昔ある所にワガママな女王がおりました。
欲張りで浪費家なその女王の名はさやか。
ある時さやかは、着飾る事がマイブームになっておりました。
そこで国中の服職人を集め、最高の服を用意させる事にしました…一番美しい服を用意した職人を国で抱えると触れたのです。
それに目をつけたのは、流行らない服職人のほむらとまどかでした。
これで一攫千金を狙おうと考えたのです。
しかし、そこは流行らない服職人、斬新なアイデア等出るはずもありません。
そこで二人は一計を案じることにしました。
まどか「それ、上手く行くかな?」
ほむら「大丈夫よ、さやか様は思考力に致命的な欠陥がお有りだから」
まどか「うーん、大丈夫かな?怒られないかな?」
ほむら「バレればね…でも安心してまどか、バレないから」
そして、審査締め切りの最終日にほむらとまどかは何も持たずに王宮に出向きました。
さやか「何さー!最終日に来たからさぞや凄い物かと期待したのにさー!」
ほむら「え?さやか様のお眼鏡には叶いませんか?」
さやか「何?その着てるヤツ?」
ほむら「い、いえ…此方でございます。」ヒラヒラ
まどか「わわ、ほむらちゃん引っ張らないで!シワになっちゃうよ!」
勿論ほむらは何も持っておりません、手をヒラヒラさせただけです。
しかし、まどかのアドリブの甲斐もあって、さやかは直ぐに食い付き始めました。
ほむら「実は、この七色に輝く生地なのですが、一つ問題がありまして…」
さやかには何の事だか解りませんでしたが、ほむらは構わず続けます。
ほむら「さやか様には影響が無いと思われますが、酷い嘘つきには見えない生地なのです。」
さやか「!」
ここでさやかは、全てを理解しました。今、ここに服があるのだと、そしてそれはとても美しい仕立てなのだと。
言われて見れば、うっすらと服が見えているような気さえしたのです。
まどか「やっぱり、さやか様は気に入らないみたいだね…」
ほむら「こればかりは、仕方ないわまどか。かねてより欲しがっていた異国の女王に献上致しましょう…」
さやか「ちょっと待ったー!」ビシッ
ここで服が見えてないとなれば、さやかは嘘つきとして国中の笑い者になる。
さらには本当に美しい仕立ての服を他人に譲る事も許せなかったさやかは、見えている体で話を薦める事にしました。
さやか「見える!見えるぞよ!なんと美しい服じゃ!」
ほむら「ありがとうございます。寝ずに仕立てた甲斐がありました」フカブカ
さやか「そうであろう、そうであろう。決めた!それを買うぞよ!」
こうして、さやかは酸素と窒素と諸々の化合物に大金を払ったのでした。
さやかは、すぐに試着し王宮ので働く者に意見を求める事にしました、どんな服なのか知っておきたかったのです。
王宮の者が待つなか、万を辞して登場した
さやかは裸でした。
正確には裸にコルセットという、より刺激的な出で立ちだったのです。
突如、兵達から歓声が上がりました。
まだ説明もしてないのに、歓声が上がった事で、さやかは服が存在する事を確信します。
さやかが服について詳しく話すと、キョトンとしていた人々も直ぐに服の素晴らしさを語ってくれました。
王宮中の人間の話を聞き、服の詳細をさやかはこっそりとまとめます。
それは、斬新な技法で仕立てられ、七色の生地でとても愛らしく、体のラインを美しく見せ、それでいてボリュームがあり、羽と輪っかと大きなリボンがついており、余分な装飾を省いたシンプルなデザインで、思わず赤面する程の妖艶さと懐かしさを兼ね備えた服でした。
さやか「?」
さやか「とにかく、素晴らしい服って事か!くぅー、皆さやかちゃんにメロメロですなぁー!」
調子こいたさやかは、町で開かれるパレードにこの服で出る事にしました。
その噂を聞いたほむらとまどかは、その日の内に荷物をまとめました。
自分達の処罰の事もありましたが、この国は、もう長くないと感じたからです。
そして、パレード当日。
お触れに服の事が書かれていたため、誰も服の事には触れませんでした。
男は男で、割れんばかりの歓声をさやかに送りました。
さ・や・か!…さ・や・か!
オ・シ・リ!…オ・シ・リ!…
さ・や・か!…さ・や・か!
しかし、パレードも最高潮に達した時、無駄に声のでかい一人の男が空気も読まずに叫んだのでした。
中沢「うっほう!さやか様、すっぽんぽんじゃあ無いですかぃ!眼福眼福ぅ!」
人々は言葉を失いました。
その男は近所で有名な引き籠りでした…余りの街道の盛り上がりに久しぶりに外に出てきたのです。
人々が静まり返ってしまった事で、さやかもようやく状況を把握しました。
さやか「イヤーーーーーーーーッ!?」///
中沢「恥ずかしがる表情がまたそそr…痛っ…えっ?ちょっ…何?皆怖い顔しt…ギャッ…痛い痛い!それは人にぶつける物じゃ無いから…
…それからしばらくして。
さやかの命令で、ほむらとまどかに手配がかかりましたが捕まる事はありませんでした。
さやかの全裸パレードは写真や動画で暫くの間、闇市に出回りましたとさ…
あ、国も隣のシヅキ王国に吸収合併されましたとさ…
~めでたしめでたし~
仁美「如何でしたか?」
さやか「めでたくねぇーっ!!」
マミ「いや、そんな事より誰?いつ上がり込んで来たの?」
仁美「志筑仁美と申します」
マミ「これはこれは御丁寧に、巴マミと申します」
さやか「聞けーっ!!」
まどか「私達、あんなに酷い事しないよ?」
ほむら「ね~」
さやか「明日、とりあえず中沢を殴る…」シュッシュッ
杏子「中沢って誰だよ」
マミ「ちょいちょい出てくるわよね…」
~三匹の子QB~
昔、昔ある所に巧みな連携で少女に契約を迫るQBの兄弟がおりました。
契約は凄まじい数でしたが、雑な説明で契約を迫るので恨みを買う事も多々ありました。
彼らはある日、ついにほむらと言う一人の少女を怒らせました。
彼らはほむらから逃げ惑い、それぞれの拠点に籠りました。
まず、初めに狙われたのは兄QBでした。
兄QB「キュププ…この高密度な藁で設計されたマイホームはそう簡単には突破されないよ!首筋に藁が触ってムズムズするがいい!」
杏子「おい、雨漏り補修したばっかなんだからあんま暴れんなよ」
ほむら「…」カチャカチャ
ほむらが準備をしたのは、対戦車ライフルでした。
ほむらの放った弾丸は、あっさりと壁もろともQBの眉間を貫きました。
杏子「頑張って補修したのに…」
キュップイ…パタリ
次に狙われたのは中QBでした。
中QB「キュププ…木造とはいえ、何層にも重ねた板壁はそうそう貫ける物では無いよ!日本伝統の長寿命工法に感銘を受けるがいい!」
中沢「ねぇ君誰?家に何の用?」
ほむら「…」カチャカチャ
ほむらが準備をしたのは、大量のガソリンでした。
ほむらが放った火種は、たちまちガソリンに引火しQBを蒸し焼きにしました。
中沢「扉が開かない!外から打ち付けられてる!」
キュップイ…パタリ
最後に狙われたのは弟QBでした。
弟QB「キュププ…なぜ兄達はあれほど旧式の建造物に籠ったのだろうね?訳がわからないよ…」
弟QBが母星から取り寄せた拠点は、壁一面が何かよくわからないメッチャ硬い金属でした。
当然、弾丸も爆弾も通りません、ミサイルさえ通さなかったのです…弟QBは余裕綽々でした。
暫くしてほむらは少女を一人連れてきました。
ほむらに耳打ちされた少女はこう叫びました。
まどか「困った、困った。誰か願いを叶えてくれないかな?」
弟QB「どうしたんだい、まどか?困り事なら相談に…」
弟QB「…あ」
キュップイ…パタリ
こうして三匹の子QBは皆、召されてしまいました。
しかし、ほむらの戦いは終わりません…いずれ第4、第5のQBが現れて少女を絶望に陥れるのです。
ほむらは戦い続けるしか無いのです、全てのQBを葬るその時まで…
~めでたしめでたし~
ほむら「…」
ほむら「似たような話でホムホムと七匹の子QBというのがあるけど、聞く?」
QB「遠慮しておくよ…」
ほむら「ホムホムと七匹の子QBという似たような話があるけど、聞く?」
QB「いらないってば…」
ほむら「あ、そうだ!似た話を思い出したわ。たしか題名が、ホムホムと七匹の子Q…何だったかしら?」
QB「ビィィィイィ!!…わかってるよ!まどかを勧誘するなって事だろ!」
ほむら「そうよ、誓いなさい…」
QB「はいはい誓いまーす、誓いますー。」
ほむら「…」イラッ
~ほむらと40人の盗賊~
ほむら「これだけの大所帯に女が一人も考えモノね…」
ほむら「ほら、皆順番に並びなさい…フフフ…焦らなくても私は逃げないから…」
ほむら「?…タイツは履いたまま?…私は構わないけど…」スルスル
※内容に問題があった為、削除致しました。
~百万回生きたほむら~
百万回繰り返したほむらがおりました。
百万回繰り返す内、ほむらは泣きも笑いもしなくなりました。
百万回繰り返したので、百万人が悲しみ、百万人が笑いかけました。
ほむらは泣きません、笑いません。
ある時、ほむらは青い髪の人間に邪魔をされました。
青い髪の人間が自分の間違いに気付いた時、ほむらは何も言わず繰り返しました。
青い髪の人間は泣いて後悔しますが、ほむらはもう居ないのです。
ほむらに未練など、ありませんでした。
ある時、ほむらは赤い髪の人間に命を狙われました。
赤い髪の人間はほむらに命を救われましたが、何も言う事を許さず繰り返しました。
赤い髪の人間はお礼を言おうとしましたが、ほむらはもう居ないのです。
ほむらに未練など、ありませんでした。
ある時、ほむらは緑の髪の人間と穏やかに過ごしました。
緑の髪の人間が心を開き始めた時、ほむらは人知れず繰り返しました。
緑の髪の人間はほむらの力になろうと誓ったのに、ほむらはもう居ないのです。
ほむらに未練など、ありませんでした。
ある時、ほむらは黄色い髪の人間と共に戦いました。
黄色い髪の人間が傷を負いましたが、一人戦ったほむらは一人繰り返しました。
黄色い髪の人間は最後まで共に戦おうとしましたが、ほむらはもう居ないのです。
ほむらに未練など、ありませんでした。
ある時、ほむらは白い毛の動物の命を奪いました。
白い毛の動物が心を持つ事でほむらに協力してくれましたが、礼も無く繰り返しました。
白い毛の動物は心が傷む事を知りましたが、ほむらはもう居ないのです。
ほむらに未練など、ありませんでした。
ある時、ほむらは誰とも深く関わりませんでした。
誰も理解せず誰にも理解されず、機械の様に繰り返しました。
皆が誰かに守られていると感じていましたが、ほむらはもう居ないのです。
ほむらに未練など、ありませんでした。
何度繰り返しても、ほむらは未練などありません…目的の達成だけが一番だったのです。
ある時、ほむらは桃色の髪の人間に感謝をされました。
ほむら「礼を言われる事等やっていない、貴方は忠告だけを聞いてなさい」
桃色の髪の人間はニコニコと笑っています、ほむらは笑い方など忘れていました。
ほむら「これは私の傷、貴女が痛い訳では無いでしょう?」
桃色の髪の人間はワンワンと泣いています、ほむらは泣き方など忘れていました。
そうして、その世界で、ついにほむらは目的を達成しました。
けれど、笑いません、泣きません。
桃色の髪の人間が何をやっても何を話しても、ほむらは小さく「そう」と返すだけです。
桃色の髪の人間が何をやっても何を話しても、ほむらは繰り返さない生き方を知らないのです。
でも、それでも…
ほむらは解らないなりに考えた事を、桃色の髪の人間に言いました。
ほむら「そばに居ても良いかしら?」
まどか「勿論だよ!」
その言葉で、その笑顔で、繰り返さない世界が色を帯び現実になりました。
ほむらは堪らず泣きました。
夜が来て、朝になり。
また夜が来て、朝になり。
ほむらは百万回も泣きました。
桃色の髪の人間はそれを止める事はしませんでした。
静かにほむらの隣にいました。
それは、とても幸せな涙でした。
~めでたしめでたし~
マミ「…どうかしら?」チラッ
シーン
QB「僕に聞いてるのかい?」
マミ「他の皆は?」キョロキョロ
QB「買い出しに出掛けたよ?」
マミ「…」
…
まどか「抜けちゃって良かったのかな…」
ほむら「良いのよ。あの話は色々駄目な気がするから…」
まどか「?」
杏子「これも買って!買って!」ユサユサ
さやか「だーっ!もう…どれか一つだけだって!」
~金のマミ銀のマミ~
ある時、正直者の杏子は熱心に仕事をしていました。
しかし、うっかり大事な商売道具のマミを泉に落としてしまったのです。
杏子「ぎゃあぁぁ!マミー!」
するとどうでしょう、突如泉が光りだし女神が現れたのです。
まど神「杏子ちゃんが落としたのはこの物言わぬ清楚な金のマミですか?」
杏子「違うよ?結構喋るよ?」
そのマミは大変美しいマミでしたが、杏子は正直に答えます。
まど神「では杏子ちゃんが落としたのはこの聡明で冷静な銀のマミですか?」
杏子「違うよ?すぐテンパるよ?」
そのマミは大変凛々しいマミでしたが、杏子は正直に答えます。
まど神「では杏子ちゃんが落としたのは使い古されたボロボロの、このマミですか?」
杏子「それだ!それが私のマミだ!」
そのマミは複雑な表情でしたが、杏子は正直に答えます。
まど神「てぃひひ、杏子ちゃんは正直者だね!全部あげるよ!」
杏子は3つのマミを貰うと、嬉しそうに仕事に戻りました。
その話を聞いた同業者は、すぐさま泉に向かいました。
最初に来た中沢が乱暴にマミを投げ入れると、同じように女神が出てきました。
まど神「中沢君が落としたのはこの物言わぬ清楚な金のマミですか?」
中沢「あれ、意外とそうかも?それだったかも!?」
美しいマミを手に入れようと、中沢は白々しく答えます。
まど神「ぶぶー!中沢君、嘘はダメだよ!」
そう言うと女神は中沢をひっぱたき、何も渡さず消えて行きました。
次に来た仁美がマミを投げ入れると、また同じように女神が出てきました。
まど神「仁美ちゃんが落としたのはこの物言わぬ清楚な金のマミですか?」
仁美「違いますわ、けれどそれを売って頂こうと思い、マミを投げ入れましたの」
まど神「え゙?」
仁美「話によると銀のマミもあるとか…セットの提示額を教えて頂けます?」
仁美の真剣な態度に、まど神は苦笑いしました。
まど神「きちんと対価を支払う考え方は偉いけど、その為にマミを捨てるのは感心しないよ…」
そう言うと女神は使い古されたボロボロのマミを返して消えて行きました。
最後に来たほむらがマミを投げ入れると、また同じように女神が出てきました。
まど神「ほむらちゃんが落としたのはこの物言わぬ清楚な金のマミですか?」
ほむら「私と結婚して下さい!」
まど神「えっ?」
ほむら「私と結婚して下さい!」
まど神「えっ?えっ?」///
ほむら「駄目かしら?正直に答えたのだけど…」シュン
まど神「あわわ…そ、その為に首が取れて壊れてるとは言え、マミを捨てるのは感心しないよ?駄目だよ?」
ほむら「そうね…貴女の言う通りだわ…失礼するわね、ごめんなさい…」トボトボ
まど神「ほむらちゃん!」
ほむら「?」
まど神「その…友達から…なら…」///
ほむら「まど神様ーーーーーっ!」ダキッ
こうして、女神とほむらは幸せに暮らしましたとさ…
~めでたしめでたし~
ほむら「まどかを女神に据えるなんて、さやかにしては上出来ね…」
マミ「…」
さやか「まさかほむらに誉められるとは…照れますなー」
マミ「…」
ほむら「ただ、私は常にこの方向性なのね…」
マミ「…」
まどか「私は少し恥ずかしかったよ…」
マミ「…」
QB「キュップイ、僕は出番無しかい?」
マミ「…」
~まどか姫と天邪鬼~
昔、昔ある所に心優しい老夫婦がおりました。
老夫婦の家の庭には古い瓜の木がありましたがある時、瓜の木に不思議な桃色の瓜が実りました。
和子「これは何かしらね?はい、お爺さん!」
中沢「えっ?えーと、不思議な瓜ですね…」
和子「その通りですね、では収穫してみましょう!」
老夫婦が瓜をもぎ取ると、瓜の中からとても可愛らしい赤子が現れたのです。
子宝に恵まなかった老夫婦は、赤子をまどか姫と名付け大切に大切に育てました。
まどか姫はすくすくと育ち、美しい娘になりました。
美しいだけでなく器量もあったまどか姫は、たちまち評判になり、機織りの姿を見に来る者まで現れました。
ほむら「まどか姫はなんて綺麗な声で歌うのかしら…」
ほむら「いやまったく!それに機織りの姿まで美しいと来た!」
ほむら「家のむすm…息子に嫁いでくれたらどんなに良いか…」
ほむら「ほんに可愛らしい娘じゃ…可愛らしいのぅ、孫に欲しいのぅ」
そんなある日、この辺り一帯を納める上條家から輿入れの話がまどか姫に来ました。
上條家からの呼び状を受け、まずは老夫婦だけで行く事にしました。
老夫婦は内心喜びましたが、まどか姫の気持ちを一番に思い何も強制しませんでした。
まどか姫「輿入れをお受けすべきかな?」
中沢「まどか姫が決める事だから、儂らを気にする必要は無いよ?」
和子「そうよ、娘の将来にまで口を出す様な男に嫁いだ覚えはありませんから…まどか姫が幸せなら私達夫婦も幸せよ?」
まどか姫「母様…父様…」
翌日、老夫婦は上條家へ向かいました。数日家を空けるので、まどか姫に用心するよう伝えたのです。
中沢「知らない者が来たら、けして戸を開けてはいけないよ…」
和子「お爺さんの言う通りです。まどか姫に何かあれば私達は…」
まどか姫「大丈夫だよ、父様母様こそ気を付けていってきてね!」
老夫婦を見送るまどか姫を遠くで見ていたものがおりました。
青髪の天邪鬼です、天邪鬼は上條家の跡取り上條恭介を慕っておりました。
それだけに、輿入れを望まれたまどか姫が許せなかったのです。
さやか「恭介が愛して良いのは私だけなのに…」ギリギリ
そんな天邪鬼に睨まれるまどか姫を遠くで見ていたものがおりました。
全国まどか姫の幸せを願う会(まどか会)、会長のほむらです。
まえまえから天邪鬼の動向を危険視し、会員と共に100人態勢で張り込みを続けていたのです。
ほむら「あいつ、まどか姫に何かしようもんなら…」ギリギリ
そんなまどか会の連中をさらに遠くで見ていたものがおりました。
それは上條恭介です。
まどか会の連中が町に入ってからと言うもの、治安は悪化する一方、当の会長は部下の品性に目もくれない。
取り締まれない上條家の信用も、日に日に失墜していったのです。
そこでどうにかして、規制せねばと私兵500人態勢で監視を続けておりました。
恭介「あいつら、町の平和を乱そうもんなら…」ギリギリ
そんな背景をまるで知らない天邪鬼はアホみたいな顔でまどか姫の元へ向かいました…
それにあわせて、まどか会と上條兵も動きます。
ゾロゾロゾロ
天邪鬼はまどか姫の家につきました。
ドンドン
まどか姫「誰…かな?」
さやか「あ・け・ろ!あ・け・ろ!」
ドンドンドンドン
まどか姫「ひっ!…ごめんなさい、知らない者は入れるなって…」
さやか「私、天邪鬼!これで知ったな!…さあ、い・れ・ろ!い・れ・ろ!」
ドンドンドンドン
まどか姫「ひっ!」
さやか「指一本だけでも!…指一本入れてくれたら満足するかr…なんだお前ら!?ちょっ…卑怯だz…この!」
まどか姫「?」
ほむら「まどか姫、もう安心よ貴女に危害を加える者はって…誰よ貴方達!くっ…何なのこの数!?」
まどか姫「??」
まどか姫は扉を開けませんでしたが、周りの騒ぎはドンドン大きくなります。
状況が解らないまどか姫は、遂に興味を押さえきれず扉を開けました。
するとそこは、天邪鬼を取り押さえる屈強な男達と、彼らに槍を向け威嚇する兵士が一触即発の状態でした。
その周囲では既に小競り合いが始まっています。
ヤイノヤイノ
まどか姫「…」
まどか姫「うん」
ピシャ
それからと言うもの、まどか姫が家から出る事はなくなり、何処にも嫁ぐことはありませんでした。
晩年まで老夫婦と静かに暮らしましたとさ…
~めでたしめでたし~
中沢「皆さんいかがでしたか?私、中沢と申します」
マミ「丁寧な挨拶は感心するけど…」
マミ「男が突然上がり込むのは、流石に無いわ」グイグイ
中沢「あれ?こっち玄関じゃなくてベランダ…」
QB「そんなに高さは無いから安心だよ」
ドンッ
中沢「ギャワァァアアァァ…」ヒュー
ほむら「自分の欲望がにじみ出てたわね」
さやか「ちょっと中沢殴りに行ってきますね…」スタスタ
マミ「…殴るなら落とさなきゃ良かったかしら?」
~桃雪姫~
昔ある国に、美しさに自信のある妃がおりました。
今日も今日とて、美しさに磨きをかけ兵士や鏡に感想を聞いておりました。
マミ「まぁ、冷静に考えれば。私より綺麗な人なんているはず無いのだけれど…ねぇ?」
妃は兵士に聞きました。
中沢「勿論でございます。個人的にも大好きです!」
妃は兵士の言葉だけでは満足せず、魔法の鏡に話しかけました。
マミ「鏡よ鏡。今日も私は美しい?」
中沢(裏声)「勿論でございます!この鏡、個人的にも大好きです!」
妃は続けて質問します。
マミ「鏡よ鏡。この世で一番美しいのはだぁーれ?」
中沢(裏声)「…妃様?一概に美しいと言われましても、土地や時代で美しさの基準と言うものは、変化します。なので妃様が一番と言ったとしても矛j…
マミ「だっしゃぁ!!」バキッ
中沢「直接!?」グハッ
マミはもう一度聞きました。
マミ「鏡よ鏡。この国の基準で一番美しいのはだぁーれ?」
中沢(裏声)「…それは南の森にすむ桃雪姫です…性格、容姿共に◎の断トツお嫁さん候補です。ちなみに妃様は部門部門では一位に輝いておりm…
マミ「だっしゃぁ!!」メキッ
中沢「うぉるとっ!?」ゴキン
マミ「桃雪姫ぇ?源氏名みたいな名前の癖に良い度胸じゃない!目にもの見せてやるわ!」
妃は、桃雪姫を亡き者にしようと企みます。
桃雪姫を毒殺する事に決めた妃は、餌付けした小飼の魔女に始末を頼みました。
杏子「任しときな!この毒リンゴでお陀仏だ!」
そう言って魔女は森に向かい、桃雪姫の元へ向かったのです。
桃雪姫は森で七人の小人と楽しく暮らしていました。
杏子「いやー、道に迷っちゃってね…」
桃雪姫「てぃひひ、そうだったんだね…ここを真っ直ぐいけばお城が見えて来ますよ」
杏子「助かったよ!お礼と言っちゃなんだけど…食うかい?」
桃雪姫「ありがとう。じゃあ、一つ貰うね」
桃雪姫は毒リンゴを食べてしまいました。
シャリシャリ
しかも、あまりに美味しそうに食べるので魔女も一緒にリンゴを食べることにしました。
桃雪姫「ご飯は皆で食べた方が美味しいもんね?」シャリシャリ
杏子「だな!」シャリシャリ
様子を見にきた小人の一人が発見した時、二人は眠り、いくら揺すっても目覚めることはありませんでした。
小人は仲間をよび桃雪姫を運ぶ事にしました…魔女もよく見ると可愛かったので連れていきました。
小人達は相談します。
QB(怒)「只でさえ狭いのに、何でまた連れて帰るんだよ!」
QB(困)「そんな事言われても…あー、でも今なら捨てても…でもこの娘も可愛いし…」
QB(泣)「食われないかな?…起きたら食われないかな?」
QB(食)「このリンゴうめぇ…まじうm…」シャリシャリ
パタリ
QB(怒)「只でさえ狭いのに、何でまた連れて帰るんだよ!」
QB(困)「そんな事言われても…あー、でも今なら捨てても…でもこの娘も可愛いし…」
QB(泣)「食われないかな?…起きたら食われないかな?」
QB(食)「このリンゴうめぇ…まじうm…」シャリシャリ
パタリ
小人達は原因が毒リンゴである事がわかり、残ったリンゴの解析を始めました。
QB(誠)「どうにか、解毒薬を作って飲ませたけどこれだけじゃ効果は無いよ」
QB(馬)「何が必要なのー?」シャリシャリ
QB(誠)「あとは人間の唾液だね…ただしただ唾液を流し込むだけじゃ駄目だ」
パタリ
QB(怒)「回りくどいんだよ!早く言えよ!」
QB(誠)「唾液に一定のホルモン分泌が必要なんだよ、すなわちこの二人に性的な興奮を覚える人じゃないと駄目だね」
QB(笑)「まぁ、こんだけ美人なら誰でも興奮出来るだろ?」キュップップ
QB(泣)「じゃ、じゃあ誰でも良いから近くの村で募ろう?」
QB(困)「とんでも無いのが集まりそうだけど…」
小人達がそんな会議をしていると、森に二人の若者が入ってきました。
それは妃の話をたまたま聞き、心配になって様子を見にきた王女様でした。
王子様は森の案内役として森に詳しい狩人を雇っていたのです。
ほむら「この先なの?急がないと、桃雪姫とかいう娘が大変な目にあってしまうわ!」
さやか「まぁ、一緒にいる小人達は当てにならないし、急いだ方が良いかもね」
ガサッ
QB(泣)「あ…狩人…」
さやか「あれ、泣き虫じゃん」
QB(泣)「あぁ、ついに殺されるのか…」
さやか「殺さないっての」ペシ
QB(泣)「キュプアァァ!狩人に殴られたー!殺されるー!」スタコラ
王女と狩人は逃げた小人を追って家に着きました。
そして小人に経緯を聞いて、眠る二人を見つけたのです。
ほむら「女神…」
さやか「え?何か言った?」
ほむら「キ…キスすれば目覚めるのかしら?」
QB(誠)「その通りだけど、おそらく君では無理d…」
ほむら「そう言うことなら仕方ないわね…死んでしまっては困るから仕方なく私がキスするわ!」
さやか「…」
ほむら「あ、そうだ…さやか」
さやか「何?」
ほむら「赤毛の方はあなたがやりなさい」
さやか「えーーっ!」///
私のファーストは、このタイミングじゃないと狩人はごねます。
ほむら「うちの、兵舎に裸で放り込まれたいの?」
王女が権力を振りかざすと、狩人は快く魔女にキスする事を決めました。
さやか「うー、なんか魔女の唇見てたら、どんどん恥ずかしくなって来たんだけd…」
ほむら「…」ブッチュー
さやか「…」
命を助ける為に躊躇わない王女を見て、狩人も覚悟を決めました。
さやか「…」チラ
杏子「…」スヤスヤ
さやか「…」///
さやか「…」スー…ハー…
さやか「…」チュ
さやか「…」///
ほむら「…」ブッチューーーー
桃雪姫「…んむ?」
するとどうでしょう桃雪姫と魔女が目を覚ましたのです。
QB(誠)「あれ?性的な興奮が無いと効果がないはずなのに…」
それは、二人の命を助けたいという純粋な想いが生んだ奇跡でした。
杏子「ん…あれ?ここは?」キョロキョロ
さやか「…」///
杏子「誰?…顔紅いけど大丈夫か?」
ほむら「…」ブッチューー
まどか「んむむ!むー!?」///
これがきっかけで、桃雪姫と魔女と狩人と王女は仲良くなり、四人は仲良く幸せに暮らしましたとさ…
ほむら「…」ブッチューーーーーー
まどか「んんっ…ふむっ」///
ほむら「…」レロ
まどか「!?!?」///
~めでたしめでたし~
仁美「…ふぅ」
QB「自分で喋って、自分で満足するんだね…訳がわからないよ」
まどか「…」///
ほむら「まどかが興奮しているわ…」
まどか「し、してないよ!」///
杏子「あ…あんなキスしたら、子供出来ちゃうだろ!」///
さやか「え!?」
杏子「ん?」
マミ「さすがに問題だわ…」ハァ
~人魚姫~
いつかの時代、どこかの国のお話。
その国の王子は人魚姫に命を助けられましたが、別の娘を恩人と勘違いし結ばれました。
人魚姫は人間になる魔法の代償として泡となり消えてしまいました。
ここまでが人魚姫のお話。
ここまでが「彼女」のお話。
ですが、とある神様が物語を大きく改変したようです。
~人魚姫~
いつかの時代、どこかの国のお話。
その国の王子はとても海が好きで、隙を見ては浜辺で遊んでおりました。
自分で泳げる年になると、家来の目を盗んで沖まで行くようになったのです。
家族も家来も、何故王子がそこまで海を好むのか不思議でした。
王子には一つだけ秘密がありました。
王子「大分、沖まで来ちゃったな…流れが速いから注意しないと…」
人魚姫「何ぃ?もしかして王子は怖いのかなぁー?ウリウリー!」グリグリ
王子「わっ!溺れちゃうよ!」
人魚姫「大丈夫だよ!何かあったら私が岸まで運ぶから!この人魚姫ちゃんにドーンと身を委ねなさい!」ケラケラ
王子「じゃあ、そうしようかな…」トプン
人魚姫「ちょっ!ちょっと!」ザブン
幼い頃に海で出会ってから、王子と人魚姫はこうして内緒で遊んでおりました。
人間が人魚を拐う事件があり、以降人間と人魚が会うこと禁じられていた為、二人は誰にも言えませんでした。
それでも人魚姫も王子も、この幸せな日々が続くと信じていました。
しかし…ある日を境に王子は現れなくなりました。
人魚姫がいくら待っても、王子が浜に来る事はありませんでした。
人魚姫「王子…何かあったのかな…それとも、もう私と遊ぶの飽きちゃった…かな…」
人魚姫は海の城に戻ります。
姉H「あら人魚姫?どうしたの泣きそうな顔して…」
人魚姫「何もないよ?私がそんな繊細に見える?」ハッハッハ
姉H「貴女ほど分かりやすい人も、中々居ないわよ…大方、あの人間と喧嘩でもしたのでしょう?」
人魚姫「な…なな、何で王子の事を!?」
姉H「貴女は本当に愚かね…私達の尾行にも気付かないなんて」
人魚姫「うぉい!ナチュラルに尾行すんじゃないよ!」
姉M「でも安心して!お父様は知らないわ!」ニョキ
人魚姫「わっ!姉さん、いきなり出てこないでよ!」
姉K「一応、私も居るからな…」
姉M「で?で?…あの男の子と何があったの?」ワクワク
人魚姫「実は…」
人魚姫は事の有り様を姉達に話しました、なんだかんだ真剣に聞いてくれたので、人魚姫の心は幾分楽になりました。
人魚姫「ま、やっぱり王子も人間同士遊ぶ方が楽しいだろうしね…これで良かったんだよ」ハッハッハ
姉M「…」
姉H「…まったく、そんなに気になるなら、魔法使いに聞いてみたら?…状況くらいはわかるんじゃない?」
姉K「確かに…人魚姫をほっとく位だからさぞや大事でもあるんだろうさ…」チッ
人魚姫と姉達は城お抱えの魔法使いのもとに向かいました。
しかし、魔法使いでも王子の近況を知る事は叶いません…が、落ち込む人魚姫を見て一つの提案をしたのです。
魔法使い「キュp…コホン、人魚姫が直接見に行くと言う手があるよ?」
人魚姫「どう言う事?」
魔法使い「人間になる魔法を使うのさ」
人魚姫「そんなのあるの?…だったら早く言ってよー!」
魔法使い「本来、用途が無い代物だしね…それに…」
魔法使いは魔法の制約と契約について話しました。
制約は魔法が使えるのは一度だけというもの、いつでも人魚に戻れる代わりに二度と人間にはなれない。
契約は想い人との繋がり、想いが相互関係にあるかぎり魔法が維持されるというもの。
そして最後に…
魔法使い「代償について、話さなきゃならない」
姉H「嫌な響きね…」
魔法使い「君が人間になると容姿はまったくの別物になる。さらに、人間で無い事がばれたら魔法は解けてしまうんだ。」
姉M「あぁ、良かった…死んだり、泡になったりでは無いのね…」
魔法使い「そうでも無いよ、陸で魔法が解けてしまったら人魚は生きていけないしね」
人魚姫「…」
魔法使い「因みに、愛が実れば魔法はより強いモノになるんだ!そしたら代償も軽減されるから、その後正体を明かせばいいよ!」
姉H「そこは人魚姫の手管ね…」
自分にそこまでの自信が持てない人魚姫は悩ますが、どうしても王子の様子が気になった為に魔法を掛けて貰う事に決めました。
魔法使い「じゃあ、魔法を掛けるよ?」
人魚姫「どんと来い!」
姉K「人間のまま口説きおとして一緒になっちゃいな!」
魔法使い「レナニトヒ、レナニトヒ、カヤサー!!」
すると人魚姫は見る見る人間になって行くのです。姉達は息を飲みます。
姉H「あれ?…ちょっと…」
そして人魚姫は人間に…
人魚姫「ゴバァァア!」ボゴボゴォ
魔法使い「あ、いっけね。ここ海底だったよ」
姉M「キャー!!」ガシッ
姉H「やっぱり!人魚姫?人魚姫!?」ガシッ
姉達が必死に陸に運び、どうにか一命をとりとめた人魚姫は王子の元へ向かいます。
人魚姫が王子の住む城に行くと、なにやら物々しい雰囲気で近付けませんでした。
仕方なく、町人に王子の事を聞くことにしたのです。
人魚姫は王子の様子を見にきた旨を伝えると、町人は悲しそうに言いました。
王子が事故にあい、両足が動かなくなったと言うのです、さらに、事故は人魚姫が王子を待っていたあの日に起きたと事を知りました。
それを聞いた人魚姫は、もう一度城へ向かいました。
今度は使用人であると嘘をつき、城へ入り込み王子を探します。
人魚姫「お…王子…」
王子「おや?…新しい給仕さんかな?」
人魚姫「あ、うぅ…ご…めな…さ…」ポロポロ
王子「ど…どうしたんだい?急に…」
足の動かない王子をみてただただ謝ろうとする人魚姫を王子はやさしく諭しました。
何故泣いてるのか王子は聞きますが、人魚姫は、本当の事を言えず誤魔化すしかありません。
コンコン
ノックと共に王子の部屋に美しい女性が入ってきました。エメラルドの髪と讃えられる貴族の娘でした。
聞けば、事故の時たまたま懐抱して以来、こうして懇意にしているとの事でした。
しばらく三人で話していると、貴族は人魚姫を外に連れ出します。
貴族「貴女に一つ、お聞きしたい事があります」
人魚姫「何…かな?」
貴族「そう構えずに…王子の友人についてです」
王子は貴族を話し相手に、友人の話をよくするそうでした。
貴族は友人との約束を守れなかったと後悔する王子を見て、力になりたいのだと人魚姫に言いました。
貴族「聞いても、友人の事は教えて頂けなくて…貴女は仲が良いみたいですし、何かご存じかと…」
人魚姫「ごめんなさい…私、ここに来て日が浅いので…」
貴族「そう…」
王子は私を忘れてはいなかった、私を恨んではいなかった。
少しでも王子を疑った罪悪感は消えませんでしたが、人魚姫は心の中で安心しました。
貴族「もう1つ、伺いたいのですが…」
人魚姫「?」
貴族「人魚を見たことはありますか?」
人魚姫は驚きました、自分の正体がばれたのかと思ったのです。
人魚姫「な、なんでそんな事聞くのさ?」
貴族「貴女も解っていると思いますが、王子の足はこのままでは一生動く事は無いでしょう…」
人魚姫「…」
貴族「ですが、魔力を湛えた人魚の血肉があれば王子の足を再生させる事が出来るかも知れません」
人魚姫「でも人魚との接触は禁じられていて…」
貴族「存じております、その魔力ゆえに人魚の乱獲を禁じる為のモノです」
人魚姫「だったら!」
貴族「私はそれでも王子に歩いて頂きたいのです…王子の心からの笑顔を見たいのです。…貴女は違いますか?」
人魚姫は再び王子の元に向かいました。
王子「内緒話は終わったかい?」
人魚姫「…うん」
王子「ハハ、君は何処と無く僕の友達に似てるよ…」
人魚姫「王子は…また歩きたい、よね?」
王子「そうだね、やり残した事が沢山あるから…だから、皆に何と言われても歩くのを諦めたりはしないよ」
人魚姫「王子は王子だもんね」
王子「立場じゃなく、個人としての責任がある」
人魚姫「そっか…」
人魚姫はその言葉を聞くと、王子の部屋から出て行きました。
そして、王子にけして言わない事を条件に人魚の血肉を渡すと貴族と約束するのです。
貴族が指定された浜辺に行くと、人魚姫が待っておりました。
その姿は人間ではなく人魚でした。
人魚姫はナイフで体の一部を切り取ると貴族に渡し、何も言わずに海に消えました。
フラフラと戻ってきた人魚姫をみて姉達は激怒しました。
姉K「なんで先に相談しねぇんだよ!」
姉H「相談すれば、反対するからでしょう?…でも、これは余りに愚かよ?」
姉M「と、とりあえず、傷を癒さないと!」
しばらくたっても、人魚姫の傷は完全には癒えませんでした。
長く泳ぐ事が出来なくなった人魚姫は、もうあの浜辺に行くことも無くなりました。
それどころか姉達がいくら言っても、城をでる事すらしません。
人魚姫「いいんだよ、あの貴族は本当に王子を慕ってるし…私はもう二度と人間にはなれない…」
姉達は言いました。
姉M「そんな事じゃ無いでしょう?…貴女は元気な王子を見たかったんじゃ無いの?」
人魚姫「でも、王子が浜辺にいるかもわからないし、自力で行く力ももう…」
姉K「そんなの私らが運んでやるよ!あんたの長所は深く考えない事だろうが!」
人魚姫「だって…王子が気付いたら?私の傷に…私説明できない…そんな事知ったら王子は…」ポロ
姉H「ねぇ人魚姫…確かに立場や世界が、人を隔てる事はあるわ。でもね、私が思うに貴女達はそれに当てはまらない。…あとは貴女の勇気だけだと思うの…」
人魚姫「勇気?」
姉H「そう、勇気。誰しも不確かな未来は恐ろしいものだわ…」
姉K「私の妹だろ!王子が来るまで待つ位の根性見せなよ!」
姉M「どうする?…人魚姫」
…
姉M「ここからは一人で、ね?」
人魚姫「うん、運んでくれてありがと…行ってくる」
人魚姫はゆっくりと浜辺に向かっていき、恐る恐る水面に顔を出しました。
砂浜には、一つ佇む影がありました。
人魚姫「…」
人魚姫「…久しぶり」
王子「うん」
人魚姫「何やってたのさ…」
王子「ごめん、本当にごめん。言い訳にしかならないけど少しバタバタしててね」
人魚姫「そっか…まだ泳げないの?」
王子「…ふふっ。うん、まだ万全じゃ無いからね」
人魚姫は少し安心しました、潜ることが無いなら傷を見られずに住みます。
静かな時間が過ぎました、二人は他愛のない会話をします。
そして日も沈み始めた頃、人魚姫はついに言ったのです。
人魚姫「私ね…」
王子「?」
人魚姫「私…」
王子「…」
人魚姫「王子が…好き…ずっと、ずっと好きだったよ」
王子「…」
人魚姫「私は、王子が好き…です」
王子「ごめん…」
人魚姫「…」
王子「その台詞は、本来僕から言うべき言葉なのに…」
人魚姫「え?…あの…」
王子「人魚姫に会えない日々の中で、僕は自分の心を知ったんだ…」
王子「人魚姫、一緒になろう」
人魚姫「あの…私…でも…人間じゃ…」ポロ
王子「人魚姫は、僕が人魚でも人間でもなかったら、嫌いになったかい?」
人魚姫「…ック。本当に…私…ヒック」ポロポロ
王子「また、一緒に泳ごう?僕は、人魚姫といる時が一番幸せだったから…」
人魚姫「エヘヘ…グス…王子らしくない台詞だね…」ポロポロ
王子「そうかな?…たとえ何があっても支え続けるから、この僕にドーンと身を委ねなさい!」
人魚姫「それ…私の台詞…でも嬉しいよ…」ポロポロ
王子「…」
人魚姫「じゃあ、そうしよう…かな…」
王子「うん、ありがとう」ギュ
二人が抱き合う様を、姉達は遠くで見ておりました。
姉H「長かったわ…でも姉さんは気付いてたのよね?」チラ
姉M「私が浜辺にいった時、緑の髪の娘に言われたのよ、傷が治ったら王子が来るって…」
姉K「あいつら、色んな人に世話かけてるな…」ニヤニヤ
二人の事は公にはなりませんでしたが、様々な人に祝福され人魚姫は生涯幸せに暮らしましたとさ…
~めでたしめでたし~
まどか「てぃひひ」パタン
ほむら「どうしたの、まどか?嬉しそうに絵本なんて読んじゃって」
マミ「人魚姫ね、懐かしいわ。ちょっとご都合主義だけど…」
杏子「良いんじゃねぇ?お伽噺なんだから、何一つ救われないのは寂しいもんな…」
まどか「そうだよね!」
さやか「…なんか、既視感ある話だね、何がって訳じゃないけど」パラパラ
ほむら「…」
~杏子と葡萄~
ある穏やかな日。
杏子は食べ物を探していました。
すると道の先に大きな葡萄の木を見つけました。
杏子は葡萄が大好きです、人目も憚らずよだれが止まりません。
葡萄の木に近付くと、意外と距離があることに気付きました、すなわち葡萄の木が尋常じゃなくデカかったのです。
杏子は木の真下まで来て、葡萄の房めがけてジャンプします。
杏子「…届かない」
一生懸命、ジャンプしますが葡萄にありつく事が出来ません。
杏子「…腹減った」
彼女が狐か何かなら諦めたでしょうが、杏子は人間です、葡萄を諦めきれません。
道端に長い棒を見つけた杏子はそれで突く事にしました。
杏子「らぁぁああ!」ブン
バチュ
一番低い位置にあった葡萄は弾け飛びました。
杏子「…」
杏子「甘い甘い」ペロペロ
とりあえず、棒の先を舐めながら次の手を考えます。
考えていると、ちょうどタイミングよくさやかが通りかかりました。
さやか「何やってんの?」
杏子「あの葡萄が食べたい」
さやか「店で買えば?」
杏子「バカ!」ガスッ
さやか「何すんのさ!?」ジワァ
杏子「私はあの葡萄が食べたいんだ!買った葡萄に浪漫なんてあるか!」
さやか「うわーん!杏子がよくわかんない理屈でぶったー!」スタコラ
杏子はとりあえず、棒高跳びの要領でもぎ取ろうとしました。
杏子「らぁぁああ!」ザクッ
ベキッ
長い棒はへし折れました。
杏子「…」
杏子「宮本武蔵」ブンブン
とりあえず二刀流の真似事をして、次の手を考えます。
考えていると、今度はマミが通りかかりました。
マミ「何してるの佐倉さん?」
杏子「葡萄食べたい」
マミ「ごめんなさい、家に葡萄は無いのよね…」
杏子「そっか」
マミ「マスカットならあったはずだけど、食べに来る?」
杏子「食べたい」
杏子はこうしてマスカットにありつく事が出来ました。
一部始終を見ていたほむらが葡萄を食べなから呟きます。
ほむら「変身しなさいよ…」モグモグ
~めでたしめでたし~
まどか「終わりだよ!」
ほむら「まどかが可愛かったわ」パチパチ
まどか「出てないよ?」
杏子「葡萄食べたい」
マミ「無いわよ?」
杏子「…」
マミ「マスカットも無いわよ?」
杏子「騙された!」ガーン
~泣いた赤毛鬼~
昔、昔ある山に赤毛の杏子と青毛のさやかと言う、二匹の鬼がいました。
杏子の方はとてもやんちゃで、しょっちゅう人里に降りては悪戯をしてました。
鬼といっても人間の見た目に角が生えてる程度だったので畏れられてはいませんでしたが、度重なる悪戯で信用は地に落ちていました。
一方のさやかも明るい鬼でしたが、特に人里にでる事もなく、野山を駆けていました。
たまに山に入った人間に出会うくらいだったので、認知度も低かったのです。
ある日、杏子はさやかに相談します。
杏子「悪戯も飽きてきたから、人間と仲良くしたい!」
さやか「仲良くするのに飽きたら?」
杏子「悪戯する!」
さやか「自分で考えろ!」
そうは言っても、何だかんだで杏子思いなさやかはどうにか杏子が受け入れられないか考えてみる事にしました。
さやかは人間が杏子に持っているイメージを知っておこうと、聞き込みの為、フードで変装して人里に降りたのです。
村で顔にと書かれた愉快なお姉さんを見つけました、聞いてみます。
マミ「赤毛鬼!あの娘ったら寝てる私の顔に草の汁で落書きしたのよ!3ヶ月は落ちないわ!」キィー!
學天則はとても怒っていました。
さやかは悲しくなりました。
次に髪が空にむかって伸びている不思議な美女を見つけました、聞いてみます。
ほむら「this way…follow me…」
よく見ると髪はかっちかちに固まっています、this wayに着いていくと、そこは彼女の家でした。
家の中はボンドが撒き散らされています、そして指差す先には赤い毛が落ちていました。
ゴゴゴゴ…
さやかはまた悲しくなりました。
さらに肥溜めから顔だけ出して笑っている陽気な若者を見つけました、聞いてみます。
中沢「落とし穴に落ちたとたんに、上からウンコが流れてきた…赤毛鬼が爆笑してた、ハハハ」
さやかは、少年の頭を鷲掴み、引っ張り上げました。
中沢「ハハハ…ハハハハハハ…赤毛鬼の奴ぅ…」
それから何人に聞いても、同じ様な反応でした。
さやかは、これはもう駄目だなと思いましたが、もし赤毛鬼が心から謝ったら許してくれるか聞いたのです。
マミ「顔に好きなだけ落書きさせてくれたら許してあげるわ…」
ほむら「first comes rock…rock、rock、rock…」
中沢「ハハハ…許す?…ハハハハハハ」
さやかはガッカリして帰ろうとしました。
しかし、突然村人に袖を掴まれ、フードを奪われてしまったのです。
マミ「やはり貴女も鬼だったのね…」
ほむら「…」ゴゴゴゴ…
中沢「ハハハ…肥溜めは意外に温かいんだよ?」
さやか「ひぃっ!」
さやかはみるみる血の気が引いていきます。
マミ「なんてね?」ニコ
さやか「へっ?」
マミ「貴女は貴女。彼女は彼女。わざわざそんな事を調べに降りてくるなんて、貴女は友達思いなのね…」
ほむら「貴女に免じて、誠心誠意謝るなら許してやらないでも無いわ」
中沢「許したい気持ちはあるけれど、心の中の鬼がどうするかだね」
さやかは村人に感謝し山へ戻り、事の次第を杏子に話します。
杏子「あぁー、こないだの話ね…」
さやか「そう!ちゃんと謝れば許してくれるってさ!」
杏子「それなんだけど…なんか、もう…いいや」
さやか「はい?」
杏子「悪戯してる方が、性に合うって言うかさ…だから、もういいや」
さやか「バカーーッ!怖かったのにーっ!」ウワーン
さやかは泣きながら山を降りてしまいました。
杏子はどうせしばらくしたら戻るだろうと、新しい悪戯を考える事にしました。
しかし、いくら待ってもさやかが戻ってくる事はありませんでした。
ウホウホ
心配になった杏子は悪戯ついでにさやかの様子を探ることにしたのです。
杏子「あいつ、馴染んでやがる…」
さやかは村人と仲良く過ごしておりました。
杏子「まぁ、酷い目にあってないなら良っか…」
中沢「なんだあれ?なんでバナn…うわぁぁあ!」ズボッ
杏子「あ、誰か掛かった」
ウホッ
中沢「イギャヤァアア!ゴリラが!穴にゴリラが!」
杏子「アハハハハ!」
悪戯も成功し杏子は山に戻りました。
ですが話を聞いてくれるさやかは居ません。
だんだん杏子は寂しくなってきました。
日も沈み、まだまださやかは帰ってきません。
杏子「あれ?もう村で暮らすのかな…」
杏子「うー…」ジタジタ
杏子「私達はたった二人の鬼なんだぞ!」
杏子「さやかの裏切り者ーっ!」ジタジタ
杏子「…」
杏子「寂しい…」グスン
さやか「あんた何泣いてんの?」
杏子「さやか!さやかーっ!」ガバッ
さやか「何々?何なのさ…村の人に夕飯よばれてたんだけど?」
杏子「うぅー…言ってけよ…」グスグス
もう寂しいのが嫌な杏子は、次の日さやかに連れられ村人に泣きながら謝りました。
村人達は杏子を許し優しく迎えてくれました…ゴリラ恐怖症の若者以外は。
杏子も悪戯をしなくなり、村人も鬼も仲良く幸せに暮らしましたとさ…
若者は一人静かに笑っておりましたとさ…
~めでたしめでたし~
マミ「おしまい」
杏子「私はそんなに寂しがりじゃねぇ!」
マミ「あら、そうだったかしら?」
ほむら「貴女結構寂しがりよね…」
さやか「へぇー、杏子ってばそうなんだー」
杏子「んなわけあるかー!」
まどか「てぃひひ、杏子ちゃん可愛い」ナデナデ
杏子「撫でんな!」
~ほむすびコロリン~
ある日、まどかはピクニックで近くの山へ向かいました。
頂上まで行くと、調度お昼時です。
さっそく、まどかはお昼を食べる事にしました。
早起きして作ったお握りを頬張ります。
まどか「てぃひひ、美味しいや」
次のお握りに手を伸ばした時、まどかは誤ってお握りを落としてしまいました。
まどかはお握りを拾おうと追いかけますが、お握りは坂道をコロコロと転がり大きな穴に落ちてしまいました。
まどか「あぅ、私のお握り…」
まどかがショックを受けていると、穴の底から楽しい歌が聞こえてきました。
ほむすびコロリン、スットントン♪
ほむすびコロリン、スットントン♪
とても愉快で綺麗な歌声にまどかは楽しくなり、持っていたお握りを全て穴に落としたのです。
まどかはこの穴がとても気に入り、次の日もお握りをを沢山持って行きました。
待ちに待ったお昼時。
まどかは次々お握りを投げ入れます。
ほむすびコロリン、スットントン♪
ほむすびコロリン、スットントン♪
昨日と同じく、綺麗な声で歌が始まりました。
お握りを全て投げ入れた後、どうしても中の様子が気になったまどかは自らも穴に飛び込みました。
コロコロコロリン…コロコロリン
まどかは驚きました、穴の先には沢山のほむらがいたのです。
ホムホム…ホムホムホムホム
数匹のほむらがまどかに近付いてきました。
ほむら「まどか!美味しいおむすびを落としてくれてありがとう!」
ほむら「今日は私達がごちそうするわ!」
そう言うと、ほむら達は歌いながら餅つきを始めたのです。
ほむほむペッタン、ペッタンコ♪
お餅をペッタン、ペッタンコ♪
まどかはとても楽しかったのですが、高度な自虐ネタの可能性もはらんでいたので、そこまではしゃぎませんでした。
ほむらの搗いたお餅はとても柔らかく、まどかは大満足です。
幸せそうなまどかを見てほむら達も大満足です。
その後も、ほむら達による寸劇や踊りなどまどかが飽きることはありません。
まどかが帰るとき、ほむら達は名残惜しそうに、お土産を渡しました。
望んだ物がなんでも出てくる葛籠だと言うのです。
さっそく、まどかは家に戻り、葛籠を使うことにしました。
葛籠から、歌が聞こえてきます。
ほむすびコロリン、スットントン♪
~めでたしめでたし~
マミ「あれ?」
杏子「どうした?」
マミ「原作とあまり変わらなかったわ…」
さやか「二人の配役が自然すぎんだよね」
まどか「ほむすびコロリン、スットントン♪」
ほむら「ほむすびコロリン、スットントン♪」
QB「ほむほむペッタン、ペッタンコ♪」
パンッ
~パンを踏んださやか~
昔、昔ある所に貧しい家に生まれたさやかと言う娘がおりました。
さやかはとても美人でしたが、貧しい暮らしの中で心まで貧しくなっていました。
さやかは、容姿と努力の甲斐あって貴族に奉公しておりました。
働き始めて一年、主人がさやかに暇を与えます。
仁美「さやかさんはよく働くし、外出の要求も無いですわ。そろそろ里帰りしてみてはいかがですか?」
さやか「はぁ、ありがとうございます」
さやかは貧しくみすぼらしい実家が大嫌いでしたが、見違えた自分の姿を見せつけるため帰る事にしたのです。
さやか「あのけちなワカメが服をくれるなんてね!真面目気取る甲斐があるってもんだわ!」
しかし、いざ実家が見えてくるとそこで必死に働く母親が見えました。
そのあまりの汚なさ、必死さに幻滅し、さやかはそのまま踵を反しました。
さらに一年がたち、また主人に暇をもらいます。
主人は新品の靴と焼きたてのパンをさやかに持たせました。
さやか「いやー、まさか今年も何かくれるとは!こりゃワカメの人間性を再評価しないと駄目だね!」
しかし、今度は実家までの道に泥濘が出来ていたのです。
新品の靴を汚したくないさやかは泥濘にパンをなげ、それを踏んで泥濘を越えようとしました。
さやか「ひゃっほぅ!ブレッドステーップ…な、なんぞ!?」
さやかがパンを踏むと、パンとさやかはズブズブと泥濘に飲まれてしまったのです。
中沢「見た見た!僕見た!パンを踏んだ罰当たりが泥濘に吸い込まれてったよ!ひゃー!」
一部始終を目撃した中沢は街中の人間に言いふらしました。
一方、さやかは堕ちた先でめっちゃ土下座をしていました。
目の前の人がやたら怖いのです。
杏子「で?」イライラ
さやか「パンを踏みました」
杏子「理由は?」イライラ
さやか「靴を…汚したくなかったので…」
杏子「で、結果は?」イライラ
さやか「全身汚れて裸足です」
杏子「何でだと思う?」イライラ
さやか「パンを踏んだからです」
こんな感じでかれこれ1週間は過ぎていました。
その頃になると、街中がさやかの悪評で溢れかえっていました。
そんな中、一人の少女まどかが言いました。
まどか「確かにその人は酷い事をしたけど、たった一度の過ちでそうも蔑み貶めるのは可哀想だよ…」
中沢「許せるわけ無いだろうが!お前は食うに困って無いからそんな事が言えるんだ!」
まどか「そうかもしれないけど…」
食うに困って無い中沢から怒鳴られ、まどかは、ならば自分だけでもとさやかに祈りを捧げる様になりました。
当のさやかはヘッドホンから流れる、地上でのさやかの評価を大音量で聞かされていました。
さやか「なにさーっ!」
とうとうさやかもぶちギレます。
さやか「パン踏んだくらいで何でこんな目に遭うのさ!理不尽だよ!」バシッ
杏子「なっ!そういう事言うからだろうが!刑期伸ばすからな!」ポカッ
さやか「うるさーい!知るかー!もーっ!」ポコッ
二人が殴りあいの喧嘩を始めたその時です。
ヘッドホンから、罵詈雑言以外の小さな声が聞こえました。
まどか「さやかちゃんが過ちを許されます様に」
さやか「バーカ!くたくたの槍なんか持ってダッセーの!」ポカポカ
杏子「なんだと!バカって言った奴がバカなんだぞ!」ポカポカ
二人は喧嘩に夢中で、まどかの台詞など耳に入っていませんが、タイミングはここしか無いと感じた神様は、気にせず現れました。
マミ「おぉ、何と心優しいムスm…」
さやか「バカバーカ!何度でも言ってやるバーカバーカ!」ポカポカ
杏子「くそ青毛が!平家蟹みてぇな顔しやがって」ポカポカ
マミ「とりあえず落ち着きなs…」
さやか「蟹は美味しいんだから馬鹿にすんな!」ポカポカ
杏子「だったらパンは不味いってのかよ!」ポカポカ
マミ「…」
マミ「二人とも鳥になれ」ティロヒナーレ
こうして鳥になった二人は、贖罪云々の前にまず静かに生きる事を矯正されたのでした。
杏子「私、何もしてないのに…」
さやか「何もしない事も罪なのよ」ポン
杏子「…」イラッ
~めでたしめでたし~
ほむら「何が言いたいか解る?」
杏子「パンはおいしい」
さやか「私の才能が羨ましい」
マミ「何この二人…」
ほむら「冷静に行動しないと痛い目を見るってことよ…」
仁美「とりあえず、暁美さんと美樹さんには私のニックネームについて聞きたい事がありますわ」
ほむら「…」
さやか「…」
~長靴を履いたマミ~
ある時、粉引き小屋の男が息を引き取りました。
男には3人の子供がいましたが、特に資産家でも無かったので残されたものは粉引き小屋と一頭のロバと一匹のマミだけでした。
二人の兄はマミなど、なんの役に立つものかと、早々に粉引き小屋とロバを受け取り末子にマミを押し付けました。
末子のほむらは優しく、感謝を忘れぬ若者で自分にも父の形見が送られた事を素直に喜びました。
ほむら「今日からは私の家族よ、仲良くやりましょう」
マミ「ご主人様…」
ですが、元々裕福でない家庭の末子です。
明日もわからぬ状況にほむらは内心困り果てておりました。
マミ「ご主人様?一つお願いがあるのだけれど?」
ほむら「なにかしら?」
マミ「ご主人様は二人の兄と違って、いつも優しくしてくれたわ…だから恩返しがしたいの!…何もいわず長靴と布袋を用意してくれないかしら?」
ほむら「…わかったわ、でもあまりむちゃしちゃ駄目よ…」
ほむらはマミの為に新品の長靴と丈夫な布袋を用意しました。
早速マミは布袋を森の柵にくくりつけます。
そして、森のウサギ達を柵に追いやります。
マミ「ティロ・フィナーレ!」
ボシュ
森は半壊、人々の叫び声が響き、森じゅうのありとあらゆる生き物が柵に向かって一目散に逃げて行きます。
サイズの小さなウサギは柵の間をすり抜けようと次々布袋に収まりました。
布袋一杯のウサギを担ぐと、マミは大公の元にいきました。
大公はウサギが大好物だったからです。
沢山のウサギをみた大公はとても喜びました。
マミ「こちらは、ほむら公爵から大公様への贈り物です」
恭介「それはそれは、一度礼に赴かないとね。案内を頼めるかい?」
マミ「勿論、ほむら公爵もお喜びになります」
こうしてマミは大公を案内する事になりました。
粉引き小屋の近くまで来た所でマミは大公に休憩を促し、ほむらの元へ向かいました。
ほむら「マミ!なにやってたの!…てっきり巻き込まれたかと…森で大きな爆発があってこの辺りは大騒ぎよ?」
マミ「ご主人様!今は森の事はどうでもいいから、すぐに裸で川に溺れて!」
ほむら「はは裸で!?なんでなんで!?」
マミ「すぐに助けが来るから、そしたら…えーと…そう!森の怪物に襲われたと言ってね!」
そう言うとほむらをひんむき、川に投げました。
マミ「大公様!大変です!」
恭介「うん、何か森も凄いことになってるね…」
マミ「それもなのですが、ほむら公爵が川で溺れているのです!」
恭介「な、なんだってーっ!」
ほむらは助けられるまでに一時間程かかった為、意外と普通に溺れてました。
ハァー イイオユダッタ
ようやく助け出されると、ほむらは森の化け物に襲われた旨を説明しました。
マミ「住人から化け物の話を聞いて、ご主人様は退治しようと向かったのです。ご主人様の腕を考えれば、相手は手負いでしょうから私が様子を見てきます」
そう言うと、マミは馬車を出て行きました。
大公はほむらが裸だった為、一度城に戻る事にしたのです。
ほむらはよくわからないまま、公爵に相応しい服を貰い、手厚く懐抱されました。
一方のマミは広大な農場で働く者達に話しかけます。
マミ「ここの持ち主は誰かしら?」
杏子「あの城にいる魔法使いさ…私達は家族を人質に取られて、働かされてるんだよ…」
マミ「もう少ししたら、馬車がくるはずだから、この土地の事を聞かれたらほむら公爵の土地だと説明してちょうだい」
杏子「そんな事したら、私の家族が!」
マミ「安心して、かならず助けるし魔法使いも何とかするわ!」
そう言ってマミは魔法使いの城に向かいました。
QB「キュップイ!僕の城に来るなんて変わった奴だね…」
マミ「貴方が素晴らしい腕の魔法使いと噂に聞いて来たのよ」
QB「まぁ、魔法知識に関して僕に並ぶ者はいないだろうね」フフン
マミ「私を弟子にしてくれないかしら?」
QB「雑用してくれるなら構わないよ」
マミ「本当!?だったら一度貴方の魔法を見てみたいわ、誰もが震え上がるような化け物になれるかしら?」
QB「お安い御用さ!」
そう言うと魔法使いの体は見る見る大きくなり巨大な竜に変化しました。
QB「どんなもんだい!凄いものだr…その筒なに?」
マミ「ティロ・フィナーレ!」
ボシュ
マミが魔法使いを森に捨てた頃、馬車も近くまで来ておりました。
ほむら「あぁ!マミじゃない!本当に貴女何したのよ!?」ヒソヒソ
マミ「お似合いよ、ご主人様!」ヒソヒソ
恭介「化け物はどうなった?」
マミ「もうじき見えて参りますよ、大公様」
馬車が森を抜け、視界が開けると竜のまま絶命した魔法使いが見えてきました。
マミ「ご主人様の一撃が致命傷だったみたいで発見した時は既に…」
恭介「…」アングリ
恭介「…ほむら公爵、君は凄いね」
ほむら「へっ?えぇ…まぁ」
さらに行くと豊かな農場が見えてきました。
マミが様子を伺うと、家族の再会は済んでいたみたいです。
恭介「ここは随分豊かな土地だね…誰が領主なんだい?」
杏子「あぁ!あの城に住んでるほむら公爵様の土地だよ!」
指差す先には不自然な穴の空いた広大な城が見えます。
大公は関心しきりでした。
広大な土地と城に、武闘の心得まであるほむらをいたく気に入りました。
ほむらが城に入ると、魔法使いに働かされていた者たちが歓迎をします。
人望がある事もわかり安心した大公は、度々ほむらに目をかけてくれる様になったのです。
こうして、公爵となったほむらは人望厚く、感謝を忘れない立派な領主になりましたとさ…
~めでたしめでたし~
まどか「やっぱり、マミさんはかっこよくなくちゃ!」
マミ「鹿目さん!」ウルウル
さやか「大公の后は誰だったの?」
仁美「自信が無いから心配になるのですわ…」フフン
さやか「無駄な希望を抱かせないようにの配慮だけど?」ハハン
杏子「こいつら怖い」
ほむら「…」
ほむら「長靴は?」
~QBの恩返し~
QB達を殺す、大変恐ろしいほむらが町を歩いておりました。
今宵も服は赤く染まっております。
そこに運悪く通りかかったQBがあっさりと捕まってしまいました。
QBは必死に命乞いをするのです。
QB「僕を見逃してくれるなら、君に何かあった時、必ず助けに行く!約束する!」
ストレスも貯まって無かったほむらは、QBを見逃してあげる事にしました。
QB「ありがとう!本当にありがとう!」
QBは深々と頭を下げ、いなくなりました。
しばらくしてほむらは、高笑いする化物と戦っておりました。
化物はとても強く、ほむらは追い詰められてしまったのです。
QB「お困りのようだね?」
ほむら「貴方はあの時の…」
QBの区別はつきませんでしたが、ほむらは空気を読んでくれました。
QB「その通りさ!助けにきたよ!」
そう言うと、化物に立ちはだかったのです。
ほむら「QB…あなた…」
QB「あ…と言っても、戦うのは彼女だけどね」
まどか「てぃひひ、契約したよ!」
ほむら「ノォォォオオオォォーーーーッ!!」
パンッ
動かないQBを見て、ほむらは思います。
QBなんて助けるもんじゃ無い。
~めでたしめでたし~
さやか「ジャジャーン!」キメッ
ほむら「…」
ほむら「笑えないわ」
QB「僕も笑えないね…」
まどか「ま、まぁお伽噺なんだし…私はほむらちゃんを悲しませる様な事はしないよ?」
ほむら「まどかぁーっ」ダキッ
QB「いやはや、まったく笑えない」
~錫の中沢~
昔、昔ある家に錫を溶かして作った兵隊人形がありました。
その中で一回り小さい兵隊がおり、その兵隊は中沢と呼ばれておりました。
中沢は最後に余った錫で作られたため、錫が足りずこんな体だったのです。
ある日、中沢はテーブルに置かれていたバレリーナ人形のマミに一目惚れします。
小さい中沢にとって、彼女はインパクトが凄かったからです。
中沢「あの娘はお乳が凄いことになっているなぁ…バレリーナとしては致命的だ。僕も兵隊らしい体格じゃないし、致命的な者同士で話もあうだろう」
そうして、バレリーナを眺め、野次を飛ばす日々が続いたのです。
そんなある日、家の子供が中沢を外に投げ飛ばしてしまいました。
中沢「イッヒャアアア!落ちる!落ちてる!」
コロン
中沢「うっふぅ、体が錫で助かった…ん?」
後ろを振り向くと猫がおりました。
ほむら「貴方、今4階から落ちてきたわね?」ゴロゴロ
中沢「はぁ」
ほむら「頑丈で何よりだわ、耳毛鼠に逃げられてむしゃくしゃしてた所だから殴らせニャさい」ゴッ
中沢「ガキ大将かy…」メコッ
中沢は吹き飛ばされ、排水溝に落ちてしまいました。
排水は流れが速く、錫なので泳げませんし、サイズが小さい為どんどん流されます。
中沢「速い速い!流れがh…ごばぁ!死ぬって!死ぬってば!」ブクブク
中沢は川にたどり着きました。
流れが弱くなったので流される事は無くなりましたが、ゆっくりと沈んで行くのです。
そんな中沢に近付いてくる者がおりました。
目についたものは何でも口にいれると評判の魚でした。
杏子「なんだありゃ!食い物か?」
中沢「おいおい、まさか狙ってないよね?狙われてないよね?」
杏子「いっただきー」バクッ
中沢「ぉぉおお!はい喰われました!今喰われましたよ!」
杏子「固い」
魚の腹に収まってからというもの、真っ暗で何が起きているのかもわかりません。
魚の尋常ならざる胃液がゆっくりと中沢を溶かしてゆくだけでした。
中沢「はかない…せめて最後くらいはあのお乳の中で死にたかった…」
中沢が諦めかけていたその時、急に光が差し込んで来たのです。
魚は釣られ、人家まで運ばれた事を中沢は理解しました。
中沢が取り出されると、見覚えのある景色が広がっています。
そこは中沢の住んでいた家でした、家の奥さんはとりあえず中沢をテーブルに置いたのです。
そこには、あのマミが置いてありました。
マミ「あら?貴方…」
中沢「ご存知でしたか!あの窓際に飾られていた兵隊です!」
マミ「やっぱり!毎日、私の胸を眺めて、詰ってた変態じゃない!」
強い口調と至近距離のマミのボリュームに興奮した中沢は苛烈なスキンシップを図ります。
中沢「お乳が…舐めたいです…」ブワッ
マミ「許可するわけ無いでしょう!自分の顎でも撫でてなさい!」
中沢「またまたぁ…見られたくなきゃ、その物騒なモノを隠してくださいよ!」
マミ「こういう風に作られたんだから仕方ないじゃない!」
中沢「さぞや、変態に作られたんでしょうなぁ…服を縫われる時は興奮しましたか?」ウヘヘ
マミ「…」ブチッ
マミは腰のリボンを巧みに操ると中沢を縛り上げそのまま暖炉に投げ飛ばしてしまいました。
中沢「うほっ…緊縛とはマニアックで…なつっ…ぁあっつっ!ヤバイヤバイ!マジでやばい!」
そのまま中沢は溶けてしまい、下劣な言葉を喋る事も無くなりました。
後日、家の主人が暖炉の煤払いをしたところ、割れたハートの形の錫が見つかりましたとさ…
~めでたしめでたし~
さやか「中沢を主人公にしてみたよ」
ほむら「中沢君はそう言う趣味なのね…」
さやか「じゃない?…知らないけど」
マミ「…私だって好きで大きくなったわけでは無いんだけど…」
ほむら「その台詞は特定の人を最も傷付けるから言わない方が良いわ…」
杏子「ほむらは何で泣きそうなんだ?…え?まどかも!?」
まどか「…」
ほむら「好きで…小さいわけじゃ…」
マミ「ごめんなさい」
~雪ほむら~
ある北国のお話。
一人孤独に暮らしていたまどかと言う少女がおりました。
引っ込み思案で友達らしい友達もいませんでした。
子供達が楽しく遊ぶ様を家の中で見ているばかりです。
子供達がいなくなった頃、まどかは寂しさをまぎらわす為、外で雪ダルマを作りました。
一生懸命に作った雪ダルマはとても出来が良く、嬉しくなったまどかは自分の服や手袋で飾り付けをしました。
まどか「名前は何にしようかな?」
ほむら「ほむらと申します」
まどか「わわ!雪ダルマが喋った!」
雪ダルマはそう名乗ると、見る見る内に体に色がつき美しい女の子になりました。
それを見たまどかは大喜びです。
まどか「ほむらちゃん…私の友達になってくれる?」
ほむら「勿論です。まどか」
まどか「うん!うん!…あ、でも友達だから敬語はやめてね?ほむらちゃん!」
ほむら「あ…はい。まどか」
その日から、まどかとほむらは毎日仲良く過ごしました。
二人がとても楽しそうに遊ぶので、まどかの周りにも次第に友達が増え始めました。
たくさんの友達と遊んだ後、家で二人は遅くまでお話をしました。
まどかは、ほむらといる毎日が夢の様に幸せだったのです。
ピチョン…ピチョン…
ほむら「まどか?これは何の音かしら?」
まどか「…屋根の雪が溶けているんだよ…完全な雪解けまではまだあるけど…」
ほむら「そう…」
まどか「春になったらね、とても綺麗な秘密の場所があるの!ほむらちゃんにだけ案内してあげるね!」
ほむら「ありがとう、とても…楽しみだわ」ニコ
まどか「うん!」
ピチョン…ピチョン…
少し溶け…
また雪が積もり…
また少し溶け…
繰り返し繰り返し日々は過ぎていきます。
そして春も近い、ある晩に、まどかはほむらに揺り起こされました。
まどか「ふぁ…どしたの?ほむらちゃん?」
ほむら「私…私ね…」
まどか「?」
ほむら「もう、お別れしなきゃいけないの…」
まどか「嘘…だよ…ね?」
ほむら「私は雪の精だから…雪解けが済めば消えてしまう…」
まどか「やだ…やだよ!そんなのやだ!」
ほむら「ごめん…ごめんなさい…まどかとの日々が楽しくて…どうしても言い出せなくて…」
まどか「だって…そしたら…ヒック…私また一人になっちゃう…」ポロポロ
ほむら「…たくさん友達も出来たじゃない…もう大丈夫…大丈夫だよね?」
まどか「でも、でも…」ポロポロ
まどかの涙は止まりません…まどかはとても後悔しました…いずれ消えてしまうほむらに未来の話を何度もしたのです。
それを笑って聞いてくれたほむらの気持ちを考えると涙が止まりませんでした。
まどか「ごめん…ごめんね…」
ほむら「まどかが謝る事なんて一つもないわ…貴女は私に心をくれた、想い出をくれた…冷たいだけの私の体に暖かさをくれたわ」ナデ
まどか「うん…うん…でも、ほむらちゃんはこれで良いの…?」
ほむら「辛い事を聞くのね…」
まどか「あ…ごめんなさい…」
ほむら「少しでも…長くいたいから…泣くのは我慢してたのに…」
まどか「ほむらちゃん…」
ほむらはたった一粒、涙をこぼしました。
それは雪の結晶となって、キラキラと地面に落ちて行きます。
ほむら「出来る事なら…もっとたくさん…もっと…まどかと…もっと…」
朝日と共に光が溢れ、ほむらは溶けて消えました。
まどかはその日、一日泣き続けました。
次の日、まどかが外に出ると光る物が落ちています。
それは雪の結晶でした。
ほむらが流した涙の粒は、けして溶けない雪の結晶になっていました。
まどかは、それを拾い上げ…大切にしまいました。
その日から、またまどかは笑うようになりました。
結晶を肌身離さず持ち歩き、ほむらに話した未来の事を一つづつ、こなして行きました。
そして、とても天気のよい日…ほむらに話した秘密の場所に向かいます。
そこは、春になると一面が花に覆われる広場でした。
春の間だけの綺麗な場所。
まどか「ほむらちゃん…綺麗な場所でしょ?…ちゃんと案内したかったな…」
まどかがそう呟いて一粒涙を流すと、合わせる様に雪の結晶は溶けて地面に落ちてしまいました。
まどか「そっか、ほむらちゃんも気に入ってくれたんだね…」
そう言って、まどかは腰をおろします。
暖かな陽気も重なり、いつの間にかまどかは眠っていました。
そして不思議な夢を見たのです。
花が土が集まって、雪の結晶を形作る夢。
暖かな風が吹きます。
微睡みの中でまどかは確かな温もりを感じました。
ゆっくりと目を開きます…
ほむら「…ただいま」
~めでたしめでたし~
杏子「へへっ、どうだった?」
ほむら「…」
まどか「…」
マミ「…」
仁美「…」
さやか「…」
QB「人間には様々な葛藤があるみたいだね…」
杏子「どういう事?」
QB「まぁ、悪い印象は無いみたいだよ?」
杏子「そっか、なら良いや」
305 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/05/23 23:03:03 15J/Ly6E 251/792本日はこれにて。
最後の「雪娘」は特に印象深い童話です。
機会があれば読んでみてください…軽く鬱になれます。
因みに、明日、明後日は書けないかも知れません。
次も読んでくれたら嬉しいです。
ありがとう、おやすみなさい。