俺が姉のその行動に気付いたのがすぐでよかった。もう少し対応が遅れていたら、俺の二次画像たちは哀れにも衆目の、というより両親の目にさらされることだっただろう。
それは、俺が習慣であるランニングに出かけたが小雨が降っていたためすぐに戻った時のことだった。
姉「♪」カタカタ
弟「姉ちゃん・・・何してんの?」
姉(ビクゥッ!)
姉「あ、あれぇ? ランニングじゃなかったの?」
弟「小雨降ってたからやめた」
姉「そ、そう。あ、あたしはちょっと弟のPC借りて調べ物しようかなあって・・・あははは」
明らかに様子がおかしい。ちらとデスクトップを覗き見る。いくつかのフォルダが開いた状態になっている。
姉(!)カチカチカチ
フォルダウィンドウ「あばよ」
姉「はいこれで元に戻したから。ごめんね勝手に使って。じゃ~」トテテテッ・・・バタン
弟「これはまさか・・・・」
元スレ
姉「エロ画像フォルダはどこかなっと」カタカタ 弟「ふっ、甘い甘い」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1335441851/
弟「こりゃ・・・・エロ画像探しか・・・・?」
弟「履歴履歴っと。・・・・これは『ブラウザ 履歴 見方』の検索履歴・・・・?こりゃ確定的だな」
弟「姉ちゃんは俺のエロ画像フォルダを探し当てようとしている」
弟「律儀にも履歴の見方を検索して、しかも姉ちゃんにやり方が分からなかったのは不幸中の幸いか」
弟(そんな天然な姉ちゃんが結構好きです)
弟「さて画像をどこに隠すか・・・・今まで『趣味』→『マンガ』→『新しいフォルダ』に隠していたが・・・・さすがに移さなくちゃな」
次の日、夜。
弟(さて、画像は全部『windows system38』という偽装フォルダに移した)
弟(ブラウズ履歴も全て削除した)
弟(あとはいつも三周のランニングを全力疾走で終わらせて、姉の様子を終わらせるか)
しばらくのち。
弟「ゼェゼェ・・・・」(死ぬる・・・・これは死ぬる)
弟(だがしかし! これもエロ画像を守るため!)
弟(足音を立てずに俺の部屋に、っと・・・・)
姉「♪」カチカチカチ
弟(どれどれ・・・・どうやらフォルダ漁りをしているようだな。これなら大丈夫か)
姉「うーん・・・・あ」ピカーン!
弟(なんだ? 手を軽く叩いて・・・・ん?)
ブラウザ「夜分どうもこんばんわ」
姉「えっと・・・・」カタカタカタ
弟(字が細かい・・・・だが俺の数少ない特技は視力がいいこと!)
弟(俺の目集中!)
ケンサクバー「『エロ画像 隠し場所』、だってよ」
姉「えい」エンタァッ!
弟(これは・・・・マズイ)
弟(なんで調べることは知ってるんだよこれはさすがにまずい――)
姉「お、なになに・・・・『システムファイルに偽装している可能性もあり・・・・windows~などは典型的・・・・』」
弟「」
姉「ほほーwindowsファイルにか。ちょっとチェックしてみようかn」
弟「かくなる上はあ~疲れた~!」
姉(ビックゥゥゥッ!)
ノートPC「あ乱暴に閉めないであ駄目ッ」バチコーン
弟「あれ?姉ちゃん何してんの?」
姉「ああいやあこれはつまり」
弟「勉強かなんかの調べ物?」
姉「ああうんうんそうそうそれそれ」
姉「じゃ調べ物終わったしもう戻るね。じゃ」トテテテッ・・・・バタン
弟「ふう・・・・」
弟(危なかった・・・・非常に危なかった・・・・)
弟(天才的な策だと思ったのにまさかすぐばれるとは)
弟(先人には先人がいるんだなあ。エロの力は偉大だ)
弟(しかし新しい隠し場所を考えねば)
弟(この分では検索すら覚えかねん)
弟(しかし俺のPCのjpgはエロ画像が大半だ・・・・思春期だなあ俺)
弟(しょうがない、jpgの検索外しに隠しフォルダにして、と)
弟(パスワードもかけてみるか。問題は俺は忘れっぽいことだ)
弟(何かにこじつけたパスワードにしなくては・・・・うむ、あれでいいか)
弟(よし、これでおk。パス隠しフォルダ検索外し全て完了)
弟(これならきっと見つけられんはずだ)
弟(ということで風呂入る前に一抜きしておくか)
エロ画像フォルダ「御開帳だぜ」
弟「・・・・ふぅ」
弟(さて風呂入る・・・・おっとフォルダ閉じねば)
弟(こういうとこからボロがでそうで怖い俺の忘れっぽさ怖い)
次の日。in the 学校。
弟「というわけでエロ画像隠しに尽力してる」
友「お前も大変だなあ」バン
友「だが携帯持っててメモリーカードごとにエロ画像を保管している俺には関係ないことよ」
弟「まったく、もしもし厨が。サイズが物足りなくないか」
友「スマホの画面は意外と大きい上下手な媒体より画質はいいんだぞ」
友「なールイズー?」
ケータイ「俺に話しかけられても」
弟「USBはなくしそうだし外付けハードは高いしなあ」
弟「やはり隠しきるしかないか」
友「ルイズぅぅうううわぁああああああああああああああああああああああん!!!」
ケータイ「だから俺に叫ぶなって唾飛んでる」
同日、夜。
弟(さて、ランニングタイムだ)
弟(姉ちゃんはそろそろ俺の部屋に入ることだろう)
弟(いつものコース3周で最速ラップ叩きだして――)ダッ
弟(――姉ちゃんの動向を観察してやる!)
しばらくして。
弟「はぁはぁ」
弟「っよぉし最速ラップ更新!」
弟(さて姉ちゃんのようすは、っと)
姉「エロ画像フォルダはどこかなっと」カタカタ
弟(ふむふむまだ無差別フォルダ漁りか)
弟(ふっ、甘い甘い。そんなんじゃ見つけられないって。・・・・おや?)
ブラウザ「二日連続っすね姉さん」
弟(何を検索するんだ・・・・なになに、『HDD内 検索 方法』か)
姉「うーん、スタートから下の検索バーに調べたいものを入れて、か・・・」
姉「えっと、『jpg』っと」カタカタ
姉「よし、エンター!」ワクワク
エンターキー「希望を乗せてエンター、いっきまーす!」ッターン!
姉「あれ全然ないなあ」
弟(ふふん。甘い、甘いぞ姉よ! 貴様のやることなど全てお見通しだ!)
弟(なんか頭いい悪役の気分になるなあ。悪役があんな台詞吐くわけだ)
弟(普通ならここまでくれば諦めてくれるはず・・・・)
姉「お、そうだ」カチャカチャ
弟(なになに・・・・『エロ画像 隠し場所』?二日目に見たのと同じ)
姉「えっと・・・・」
ウィンドウ「スクロールスクロール」
姉「『隠しファイルにすることでファイルを見つけられなくする』・・・・なるほど」
姉「『jpgは検索から外すことで検索にひっからなくすることができる・・・・ほうほう」
姉「『zipファイルにしてパスワードをかける』・・・・これか!」
弟「何!」
弟(何故だ、何故わかる・・・・いやまだ早い、隠しファイルにしているしそもそもパスワードがかかっている)
弟(やっぱり悪役の気分になるな)
姉「弟の性格からして何個も何個も方法を重ねて、最後に一番厳重そうなパスワードにする」
姉「これしかない、きっとこれだよ!」
弟(それしかない、見事に当たってるよ)
弟(だがパスワードどころかファイルの場所も見つけられないはず)
弟(毎回シャットダウン前にはキャッシュなどはまとめて消している・・・・CCleanerで)
弟(パスワードはおろか、ファイルを見つけることすらままならないはず)
弟(っと、時間も結構経った そろそろ潮時か)
弟「ふぃ~疲れたー」バーン
姉(ビクンビクゥゥゥン!)
ノートPC「ちょ頭わしづかみにしないでといっても頭どこか分かんないかもしれ」スパーン!
弟「あれぇ、また何してたの姉ちゃん?」
姉「これはだねそのだねあの」両手パタパタ
弟「あ、もしかして」
姉(ギクゥッ!)
弟「学校の調べ物?」
姉「え?ああうんそうだよ勝手に借りちゃったごめんね弟じゃあね」トテテテッ・・・バタム
弟「意外と進行が早い・・・・」
弟(まあでもエロ画像に追いつけるはずがない。まだ大丈夫だ)
弟(しかし運動後のせいかあれだけドキドキしたせいか)
弟(やたらムラムラするな。抜いて風呂行くか)
エロ画像「さぁさ好きな娘選んでってね」ヒャッカリョウランシュチニクリーン
弟「うっ・・・・ふぅオナニー最高」
弟(風呂に入る前にファイル閉じてCCleanerかけてキャッシュ諸々をクリアっと)
弟「風呂でオナニーは趣味じゃないんだよ、っと」
弟(よしウィンドウ閉じたしクリアも完了。風呂に行くか)
カポーン ※風呂
弟(しかし姉ちゃんの学習速度は速い)
弟(いやしかし、拡張子も変えて検索も引っかからないし隠しファイルにしてるし)
弟(第一パスも解けるはずがない 考えすぎだな俺)
弟「・・・・いやでも、場所はちょっと見つかりにくい場所に移しておこう」
弟「はてさて風呂上がったよっと」
弟(ちょうど眠くなってきたな。でも寝る前に)
エロフォルダ「表層→深層@引っ越しなう」
弟(よし移動完了シャットして寝るか)
弟(・・・・夜中に目が覚めたら姉ちゃんがPCいじってるなんてことありませんように)
弟(よし寝よう)消灯
次の日、学校。
友「んでまだPCエロファイル隠しやってんの」
弟「んまあそうだよ」
メガネ友「御苦労さんなことだ」
弟「ここまできたらひけないっつうか、そもそも見られるのはさすがに勘弁」
友「俺みたいにケータイに移植すればいーのに。ねールイズー」
メ「エロ画像は脳裏に焼けつけて削除するもんだろ」
弟「俺はそこまで記憶力よくない」
メ「そもそもさ、ユーザーそのものにパスつければよくね?」
弟「いちいち立ち上げの度パス入力なんて面倒じゃん」
メ「それにいやならそのお姉さんに、部屋の立ち入りかPCいじることを禁止すればいい」
弟「それは・・・・」
メ「そしてもって、ランニングから早く帰ってこれるなら観察なんかしないでお姉さんのPCいじりをやめさせればいい。なんでそれをしない」
弟「それは」
メ「ま、いいよ。昼休み終わるぞ。授業の準備しなくちゃ」
同日、夜。
弟(さてランニングだ)
弟(姉ちゃんはまだ風呂だから早く終わらせれば頭から観察ができる)
弟「・・・・よし」ダッ
弟(全力疾走でランニングを終わらせて観察だッ)
~弟全力疾走中~
弟「・・・・よしランニング終わり」
弟(タイムも上がってるしその上息も上がらない)
弟(エロは人の成長も助長するんだな)
弟(さてさて二階に忍び足・・・・)
母「弟、なんで足音立てないで階段登ってんの」
弟「クセになってんだ、音殺して動くの」キリッ
弟(ということで・・・・俺の部屋に到着した)
弟(姉ちゃんは、っと)
弟(お、ちょうどPC開いたとこか)
姉「♪」カチカチ
ブラウザ「ここんとこよく会いますね姉さん」
弟(まずはブラウザの履歴チェックか)
弟(表示ページの履歴を残さないようにしているから履歴は一切残らない)
姉「ξ」カチッ
ブラウザ「んじゃ」
弟(第一関門クリア)
弟(次は・・・・ファイルの使用履歴か)
弟(CCleanerで毎回クリアしてるからこれも大丈夫・・・・ん!?)
姉「お、一つだけあった」カチッ
zipパス付ファイル「初めましてお姉さん」
弟「何ィィィ!?」ガタッ
弟(なんでだ、履歴は消したはず――)ダラダラ
弟(――いや)
弟(――そういえば)
弟(昨日のファイル移動は、CCleanerをかけた後だった・・・・!)
弟(だからそこだけ履歴に・・・・!)
弟(クソ、墓穴を掘ることになってしまったわけだ。沢山の履歴の中の一つだったら見つからん可能性もあったが)
弟(履歴がたった一つでは目立ちすぎる)
姉「あれ、パスワードか」
弟(――いや、まだ急くには早い)
弟(姉ちゃんにパスを解く技術はないはず)
弟(これがある限り俺のファイルは安全――!)
姉「パスワードか・・・・弟の性格だと」
姉「・・・・弟忘れっぽいからなあ」
姉「きっと何かにこじつけたパスワードだろうな」
弟「さすが姉ちゃん、俺のことよく分かってくださる」ボソッ
弟(だがさすがにパスまではわかるまい)
弟(そして姉ちゃんにパス解析なんて技術はできない)
弟(これで――)
弟(・・・・勝った!)
姉「うーん、弟の覚えやすそうなパスワードかぁ」
姉「よし、かくなる上は!」
姉「まずは弟の誕生日と・・・・」カチカチ
弟(しらみつぶしか)
弟(だがしかし!)
弟(パスにはたどりつくことはない!俺の勝ちだ!)
姉「うーむ弟の誕生日に名前も入れてみたけどダメかぁ」はぁ
弟(あ、ため息可愛い)
姉「! そうだ!」カチカチッ
弟(ん? なんだ・・・・・・?)
ブラウザ「またお会いしましたね」
姉「えっと・・・・」カチャカチャ・・・ 『パスワード 例』
姉「なになに、『ただ誕生日にするとばれやすい、誕生日の逆入力などが有効』。ほうほう」
弟「」
姉「よし、弟の誕生日の逆さま・・・・っと、だめか。じゃあ名前も入れて・・・・あれダメだ」
姉「弟の誕生日じゃないとすると・・・・」
姉「そうだっ」カチャカチャカチャ
姉「まさかね」ターン
ファイル「オープンザロック」
姉「うそ・・・・開いた」
弟(\(^o^)/)
姉「やっぱろエロ画像ばっかり・・・・でもこれ・・・・?」
弟(\(^o^)/)膝ガックン
床「痛いよ!」ゴン!
姉「!」
弟移動・正座中
姉「あのね、これは、どういうことなのかな?」
弟「・・・・言い訳もできないよ」
弟(ほっぺ赤らめる姉ちゃん可愛い)
姉「ふーん、弟って巨乳好きだったんだぁ」
愚弟「おうぇう」
姉「ところで」
姉「なんで黒髪ロングの娘ばかりなの?偏ってるように見えるんだけど」
姉「それに妙にぎ、逆レ、レイプの奴が多いし」
姉「よく見ると姉弟ものが多いように見」
愚弟「すみませんでしたァ!」
姉「も、もしかして」ドキドキ
姉「あたしのことソーゾーして、これ集めてたの?」
愚弟「ぐふうい」
愚弟「いや、あのですね、これは」
姉「正直に話す!」
愚弟「ひゃい・・・・」
弟「はいそうです姉ちゃんに似たのを探していました」
姉「ふふんそうかそうか」嬉し恥ずかし赤面
弟「姉ちゃんが俺のPCいじってるのには気づいてたけど、それを眺めるのが楽しくて止めませんでした」
姉「それだけぇ?」
愚弟「うっ」エグリエグリ
弟「・・・・風呂上がりの姉ちゃんの香りがついたイスに座るのが楽しみでした」
姉「うむ、よろしい///」
姉「だから、パスワードがあれだったんだね」
姉「あたしの誕生日の逆入力」
弟(まさかばれるとは・・・・)
姉「でももう見つかっちゃったわけだし、隠す必要はないよね」
弟「エロ画像はもうパスワードかけません」
弟(一応対親のために隠しはするけど)
姉「そうじゃなくて」ドサッ
弟「!?」
弟(ち、近いっ!)
姉「あたしのことが好きだってことを、だよ」ドキドキ
弟(うわあああああ近い近いでも風呂上がりの姉ちゃんのいい香りでも近い近い)
姉「ふふ、冗談冗談///」
愚弟(あながち冗談じゃなくてもよかったのに・・・・)
姉「でもなあ、健全な少年がこれだけのエロ画像を所持して」
姉「図らずも姉に欲情するなんてなあ」
姉「親の報告するべきだよねえ」
弟「それだけはご勘弁をおおおおおおお」
次の日の朝。
弟「行ってきまーす」
姉「行ってきまーす」
休日。俺と姉ちゃんはなぜか一緒に出かけることになっていた。
弟「これは・・・・どういう?」
姉「きまってるじゃない」ウキウキ
姉「口止め料っていったでしょ?その口止め料のデートよデート」
弟「なるほどなるほど」
弟(納得できないけどなるほど)
姉「これからは」チラッ
姉「エロ画像なんて免罪符じゃなくて、あたしで堂々と抜きなさい///」
弟「えっそれって」ピクン
弟(姉ちゃんで抜いていいってこといやしかしだなでも姉ちゃんが俺にネタ提供してくれるってことじゃいやしかし)
姉「ほら、ぼーっとしない!」チュッ
弟「!? 今何を」
姉「細かいことを気にする男はもてないよ?」
姉「さあ行こう行こうもちろん弟の奢りね」
弟「ちょっと待ってよ姉ちゃん!」
メ(あれは・・・・弟と弟のお姉さんかな?)
メ(・・・・仲良さそうで何より)
メ(そして大体予想通り)
その日、俺は姉ちゃんに振り回され、挙句全財産の大半を失うこととなった。さらば俺の諭吉たち。
しかし、振り回されてもただ一言。
俺は姉ちゃんが好きだ。
~終わりました~