1 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/07(火) 14:15:22 74DQF5j. 1/413

ネコートさん「遥か東の島国から君に依頼が来ているんだ。」

ハンター「妙な依頼だな。差し出し人は?」

ネコートさん「魔法少女…とだけ記されている。」

ハンター「ふ~ん。…それより“ワルプルギスの夜”ってどんなモンスターなんだ?」

ネコートさん「それがギルドでも詳細を掴めていない。…もしかすると古龍の類かもしれない。」

ハンター「未知のモンスターってことか。」

ネコートさん「かなりの危険が伴うかもしれない。受けるか受けないかは君に任せるよ。」

ハンター「受けるさ…俺は、モンスターハンターだからな。」

ネコートさん「…フッ。実に君らしいな。気を付けて行ってくるんだよ。」

ハンター「あぁ。行ってくる!」


元スレ
ハンター「“ワルプルギスの夜”討伐依頼?」
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/14562/1328591722/

3 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/07(火) 14:47:08 74DQF5j. 2/413

ネコートさん「行ってしまった。…本当に彼を向かわせて良かったのだろうか…。」
ポッケ村長「なぁに。あやつなら大丈夫じゃよ。伝説の覇竜や崩竜をも退け、この村を救ってくれたあやつならな。」

ネコートさん「…し、しかし!」

ユクモ村長「きっと大丈夫ですわ。」

ネコートさん「…。」

ユクモ村長「私は幾度となく見てきました。絶望に立ち向かい、その度に皆の喝采とともに生還を果たした彼の勇姿を。」

ユクモ村長「だから、彼を…彼の力を信じましょう。」

ネコートさん「そう…ですね。(無事に帰ってきたまえよ…ハンター!)」


4 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/07(火) 15:09:46 74DQF5j. 3/413

~東の島国 見滝原 ~

ハンター「これは驚いたな…コンクリートジャングルというやつか。」

ハンター「ケルビ一匹いやしない。」

???「あなたが、ハンターさん?」

ハンター「そうだが、君は?」
ほむら「私は暁美ほむら、あなたに依頼を出した者よ。」


5 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/07(火) 15:26:07 74DQF5j. 4/413

ハンター「では君が“魔法少女”なんだな?」

ほむら「そうよ。ここで色々話すのもなんだから、付いて来て。」

ハンター「わかった。」


8 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/07(火) 16:10:56 74DQF5j. 5/413

ほむら「私にはどうしても助けたい友達がいるの。」

ほむら「だからワルプルギスの夜を倒すためにあなたの力を借して欲しい。」ファサ…

ハンター「つまり依頼の達成条件はワルプルギスの夜討伐とその友達を助けることだな?」

ほむら「そうよ。察しが良くて助かるわ。」

ハンター「状況はわかったが…ワルプルギスの夜について詳しく教えてくれないか?」

ほむら「えぇ。…信じてもらえるかどうかわからないけど…。」


9 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/07(火) 16:28:50 74DQF5j. 6/413

少女は少しためらいがちに話し始めた。

魔法少女のこと。

魔女のこと。

そして自分自身が何度も時間を繰り返してワルプルギスの夜と闘ってきたこと…。

あまりに荒唐無稽なこんな話を信じてもらえるだろうかと少女は不安だった。

…だが彼の反応は意外なものだった。

ハンター「そうか…よく一人で頑張ったな。」

ほむら「…信じて…くれるの??」

ハンター「君の依頼はちゃんと受けたからな!」

ほむら「…!」

気が遠くなるくらい長い間孤軍奮闘を続けざるを得なかった彼女にとって…

それはどれだけ力強い一言であったろうか。


10 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/07(火) 16:42:38 74DQF5j. 7/413

ほむら「あ、ありがとう…。」

ハンター「礼なら依頼を完遂してからでいいよ。」

ほむら「でもどうしてこんな話を信じてくれるの?」

ハンター「君の目が真剣だったからね。それに…」

ほむら「それに…?」


11 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/07(火) 17:07:25 74DQF5j. 8/413

ハンター「世の中には信じられないような不思議なことがいっぱいあるからな。」

ハンター「俺もそういうものを実際に見てきた。」

ほむら「…そうなんだ。」
ハンター「あぁ。それこそ山みたいにデカイ怪物や自然災害そのものみたいな化け物と闘ってきたんだ!」

ハンター「だから大抵の事は信じるよ。」

ほむら「ふふっ。頼もしいわね。流石はモンスターハンターといったところかしら?」

ハンター「流石かどうか知らんが、どんな困難でも力を合わせればなんとかなるもんだよ。」

ほむら「そういうもの…なのかもしれないわね。」


12 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/07(火) 17:21:19 74DQF5j. 9/413

ハンター「そういうもんだ。…さて、じゃあ早速ワルプルギスの夜を狩りに行こうか?」

ほむら「待って!ヤツが現れるのはもう少し先よ。」

ハンター「それはどういう?…!そうか!君は少し先の未来を知ってるんだったな。」

ほむら「そういうこと。」

ハンター「なるほどな。…ではまず、何をすればいい?」

ほむら「明日私と来て欲しいところがあるの。それから…」

ハンター「それから??」


13 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/07(火) 17:34:31 74DQF5j. 10/413

ほむら「あなたが着ているその甲冑を脱いてちょうだい。目立って仕方ないわ…。」ファサ

ハンター「…ここで?」

ほむら「えぇ。わざわざ私の部屋まで来てもらったのはその格好をなんとかする為でもあるもの。」

ハンター「…////」

ほむら「そういうわざとらしいリアクションはいらないわ…。」

ハンター「わ、わかったよ。」


14 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/07(火) 17:59:55 74DQF5j. 11/413

少女はその光景に思わず魅入っていた。

甲冑を脱ぎ、その中から出てきたのは想像していたような筋骨隆々な無骨な男ではなかった。

むしろ思っていたよりもずっと細身で少し長い髪をたなびかせた、端正な顔だちの優男だったからだ。

ほむら「…////」カァ

ハンター「そういうわざとらしい照れたリアクションとかいらないから。」

ほむら「ち…違うわよ!」

ハンター「え?わざとじゃないの?」

ほむら「…。そ…それより!その甲冑を貸しなさい!」

ハンター「…?あ、あぁ。」


15 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/07(火) 18:16:55 74DQF5j. 12/413

甲冑を受けとると少女は小さな卵型の宝石を胸に掲げた。

瞬間…少女は眩い光に包まれ、魔法少女へと姿を変える。

その光景に魅入るの男の顔はただただ驚愕の表情を浮かべている。

ハンター「これは…さっき話には聞いたが……凄いな。」

ほむら「大抵のことは驚かないんじゃなかったの?」

少女はさっきのお返しとばかりに言い放つ。

ハンター「実際に見るとまた違うよ。…それよりなんでいきなり変身したんだ?」

ほむら「それはね…」


16 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/07(火) 18:29:32 74DQF5j. 13/413

ほむら「こうする為よ。」

少女はそう言うと、先程男から受けとった甲冑の腕甲を左手の小さな円形の盾に近付け…“収納”した。

ハンター「…ッ!え??」

続いて足具、銅、そして兜が文字通り盾に“収納”された。

ハンター「これは…手品か何かか?」

ほむら「いえ、手品ではないわ。…これが魔法の力。」

ハンター「…魔法。」


ほむら「そう。魔法。そして私の力は時間を操る力。」


17 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/07(火) 18:43:17 74DQF5j. 14/413

まだ目を白黒させている男の手をとり、少女は力を発動させた。

刹那。世界はモノトーンに染まる。

ほむら「あれを見て。」

ハンター「あれ…って?」

男は少女に言われるがまま、少女が指差す窓の外を眺めた…。

ハンター「…ッ!」

空中に静止する鳥、動かない雲。…視線を下にやるとまるで石化したかのように固まった人々。

ほむら「これが私の魔法。」

ハンター「………。」


18 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/07(火) 18:56:09 74DQF5j. 15/413

しばらくして少女は魔法の力を解除し、男から手を離し、正面に向き合った。

ほむら「この力を使って何度挑んでも勝てなかった。」

ほむら「ワルプルギスの夜はそれほど強大な相手なの。」

ハンター「……。」


ほむら「…?ハンター??」


19 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/07(火) 19:07:23 74DQF5j. 16/413

怪訝そうな表情を浮かべる少女に男は言い放った。

ハンター「礼を言わねばならないのは俺の方だな。」

ほむら「…え?」

ハンター「久し振りにそんな強い獲物と勝負したかったんだ!」

先程までの顔とは打って代わり、男は不敵な笑みを浮かべ目を輝かせている。


20 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/07(火) 19:17:37 74DQF5j. 17/413

そして、その言葉を聞いた少女は不思議な心持ちになっていた。

ほむら(この人なら…ワルプルギスの夜を倒して、まどかやみんなを救えるかもしれない。)

彼女にそう思わせるに十分な安心感のようなものが伝わってきたからだ。


21 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/07(火) 19:37:23 74DQF5j. 18/413

ほむら「今回は…いけるかもしれない。」ボソ

ハンター「…何か言った?」

ほむら「いえ、何でもないわ。」

ほむら「それより、話は少し飛んだけど…。」

ほむら「さっき預かった鎧はいつでも出せるから安心して。」

ハンター「そうか…確かに普通に持ち運びするより便利だな。君に預けておくよ。」

ほむら「わかったわ。…じゃあその刀も貸して?」

ハンター「あぁ。頼むよ…。」


23 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/07(火) 19:50:01 74DQF5j. 19/413

刀を少女に差し出し…ふと思う。

この刀は駆け出しの頃から、様々な素材で鍛えに鍛えずっと一緒に闘ってきた。

言わば彼を狩人たらしめる象徴。彼の魂と言っても過言ではない。

今まで誰に「貸してくれ」と言われても触らせることすらしなかった自身の“魂”を自然と差し出した自分に少し違和感を覚える。

ハンター「大事に扱ってくれよ。そいつは俺の“魂”なんだ。」


24 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/07(火) 20:08:03 74DQF5j. 20/413

少女はその大きな刀を受けとる。

…それは手に取るとずっしりと重い。

まるで彼の生き様をかい間見たような気がした。

ほむら「…心得ておくわ。」

つい数時間前まで初対面だったはずの二人。

だが、お互いに相手が信頼に足る人物であることを二人とも感じていた。


25 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/07(火) 20:21:13 74DQF5j. 21/413

ほむら「さて…それじゃ明日に備えて今日は休みましょう。」

ハンター「あぁ…」

ほむら「空いてる部屋がひとつあるからそこを使って。」

ハンター「わかった。」

ほむら「それからお風呂とトイレはここだから自由に…」

ハンター「なぁ、ほむら。俺、服はどうすればいい??」

ほむら「あっ…。」

ハンター・ほむら「……。」


26 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/07(火) 20:32:37 74DQF5j. 22/413

少女はすっかり失念していた。話があまりに盛り上がってしまったからだ。

あるていど事情を説明したら途中で話を切り上げて夕方になったら適当な服を買いに行くつもりだったのだが…。

あたりはすっかり夜の帳に覆われていた。

ほむら「…ごめんなさい。明日買って来るわ。」

ハンター「…あ、あぁ。」

少女の目の前の、黒いシャツとスパッツ姿の男は力なくそう答えるのみだった…。


27 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/07(火) 20:43:13 74DQF5j. 23/413

~翌日 ほむらの家 ~

窓からは明々と日の光が差し込んで、男の顔を照らす。

ハンター「…ん。朝、か?」

部屋の時計を見ると短針は13時を差している…。

ハンター「!しまった。少々寝過ぎたか。」

慌てて部屋を出るとリビングでは椅子に腰掛けた少女がティーカップを片手に本を読んでいる。

ほむら「あら、遅かったわね?」

ハンター「すまん、少し寝過ぎたようだ。」


28 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/07(火) 20:50:02 74DQF5j. 24/413

ほむら「いいわ。長旅で疲れていたでしょうし…はい、これ。」

少女は男に紙袋を手渡す。

ハンター「これは?」

ほむら「あなたの服よ。あなたが寝ている間に買って来たの。…まさかそのまま外に出るつもり?」

ハンター「あ…。はは…。そうだった。ありがとう。」

ほむら「…別にいいわ。それより着替えたら早速行くわよ。」

ハンター「わかった。直ぐに着替えて準備してくるよ。」


29 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/07(火) 21:14:51 74DQF5j. 25/413

~見滝原 病院 ~

二人は走っていた。

歩みを進める二人の前に白い大きな建物が見えてきた。

ハンター「昨日言ってた“行くところ”ってここのこと?」

男はジャケットにカーゴパンツというラフな服装に着替えていた。
その腰にはベルトに引っ掛けるように大きなポーチがぶら下がっている。

ほむら「えぇ。…はぁはぁ。」

息を切らせる少女とは対称的に男は顔色ひとつ変わっていない。

ほむら「昨日、魔女のことは話したわよね。」

ハンター「あぁ。“グリーフシード”ってのから産まれるんだったよな。」

ほむら「そうよ。そしてあの病院にはもうすぐ羽化するグリーフシードがあるの。」

男は目の前の建物が病院であることに驚いたが、今はそんな些細なことに触れないでおいた。

ハンター「そうか…確かその魔女ってのが羽化すると“結界”とかいう厄介なのができるんだよな。」

ほむら「そう。そして私が助けたい友達も近くにいて巻き込まれてしまうの。…だから…ッ…!?」


30 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/07(火) 21:28:43 74DQF5j. 26/413

ハンター「…!?…ほむら?…どうし…?」

病院の玄関が目の前というところまで来た時だった。

前を走っていた少女が急に立ち止まった為、男は勢いを殺しきれず軽くぶつかってしまう。

ハンター「おっと!…すまん!!」

ほむら「…どうして!?…いつもより早い!??」

男の謝罪も耳に届いていないかのような、どこか上の空といった感じでそう呟いた。

ハンター「一体どうしたんだ?」

ほむら「“結界”がもう出来上がってる…。」

ハンター「…ッ!何だって!?……それはつまりもう魔女が産まれたってことか!?」


31 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/07(火) 21:42:24 74DQF5j. 27/413

男は少女の視線の先に目をやるが、そこには何もない。

怪訝そうな顔をしている男を尻目に彼女は視線の先に進み…“それ”を開いた。

ハンター「…なッ!?」

少女がかざした右手。
その前に唐突に楕円形の異空間への入り口が現れた。

ほむら「これが“結界”この中は魔女とその使い魔が支配する危険な世界。」

ハンター「これが…“結界”。」

ほむら「…!まずいわ。私の友達も、もう中にいる!…急ぎましょう。」

ハンター「…あぁ!そうだな!!」


33 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/07(火) 22:14:58 74DQF5j. 28/413

~病院 結界内部 ~

そこは異様な空間だった。様々な物や瓦礫が複雑に配置され、そして宙を舞っている。

…陰湿な色が溢れ、

…遠近法が乱れているため平衡感覚が狂う。

…何より見るもの全てがグロテスクで、焦燥間を大いに掻き立てる。

ハンター「あまり長居したくはないな。」

そんな弱気な発言とは裏腹に、彼の表情は全く平然としたものだった。

それだけで彼が今までどれほどの修羅場をくぐり抜けて来たのかを察することができるほどに。


34 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/07(火) 22:23:11 74DQF5j. 29/413

ほむら「あら、随分と余裕ね?」

ハンター「そんなことはないさ。ほら…見てくれよ。足がこんなに震えてる。」

そう言うと彼は大袈裟によろめいて見せた。

ほむら「なら今から帰る?…私は一人でも行くけど?」

彼の落ち着いた態度に影響されたのか、少女も口元に意地の悪い笑みを浮かべて切り返した。

ハンター「はは…。それもいいかもね…けど。」

ハンター「依頼主を危険な目に遭わせる訳にはいかないからね。俺も行くよ。」

少女の鋭い切り返しに対しやんわりと答える。


35 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/07(火) 22:30:13 74DQF5j. 30/413

ほむら「そう。」

彼と一緒にいると一人の時には常に感じていた不安は一切感じない。

代わりに不思議と安心感すら覚える。

少女は言葉少なく答えたが、内心では彼が依頼を快く受けてくれたことに感謝していた。

ほむら「さぁ!もっと先を急ぐわよ!」

ハンター「あぁ!急ごう!!」


36 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/07(火) 22:46:06 74DQF5j. 31/413

暫く進んでいくと少女は、はたと足を止めた。

ほむら「もうすぐ追い付くわ」

そう言うと彼女は例の如くあの宝石を胸元に掲げ…。

魔法少女へと姿を変える。

ほむら「後少しで大きな広間に出るわ。」

ほむら「私の友達と一緒に、一人、魔法少女もいて、その子のお陰でここまで使い魔に遭遇せずに済んだけど…。」

ハンター「…。」

男は真剣な彼女に対し無言で頷く。


37 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/07(火) 22:54:03 74DQF5j. 32/413

そして少女が男の“魂”、刀を盾から取りだし手渡した瞬間…!

ほむら「…ッ!しまっ!!」

彼女のとりまくの空間から何の前触れもなく黄色いリボンが出現し…。

ハンター「これは…!?」


瞬く間に、生きている蛇のような動きで彼女を拘束してしまったッ…!!

???「今度こそ邪魔はさせないわ!」


38 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/07(火) 23:05:56 74DQF5j. 33/413

迂濶だった。一人で行動していれば決して生じなかった僅な油断。

その一瞬の油断が今の結果を招いてしまった。

ほむら「くっ!巴マミ!!」

巴マミと呼ばれた少女は真っ直ぐこちらに向かって来る…。

マミ「抵抗さぇしなければ何もしないわ。」

ハンター「ほむら!」

ほむら「私は平気よ!今はそれより…ッ!!」


39 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/07(火) 23:20:41 74DQF5j. 34/413

桃色の髪の少女「ほむら…ちゃん??」

青い髪の少女「あぁー!お前!転校生!!」

巴マミと呼ばれた魔法少女の後ろから、彼女を追って戻って来たのか、二人の少女が姿を表した。

ほむら「…!まどか!騙されては駄目!!」


少女は必死に彼女に訴えかける。

男はまどかと呼ばれた少女に目を向ける。
そして昨日ほむら聞いた話から察するにもう一人が“美樹さやか”であることを確認する。


40 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/07(火) 23:33:19 74DQF5j. 35/413

まどか「ほむらちゃん…どうして?こんなことするの??」

ハンター「…?ほむら。事情を話してな…?」

ほむら「いいからッ!」

男の質問を遮るように彼女は叫ぶ。

マミ「…そういえばそちらの方は?」

三人の少女の怪訝そうな視線が男に集まる。

ハンター「俺は…そう!ただの協力者だ。」

さやか「…協力者ぁ~?」
不審がっていることを少しも隠さない口調で彼女はそう言った。

???「まったく…君はいつも予想外なことばかりしてくれる。」


41 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/07(火) 23:41:05 74DQF5j. 36/413

ほむら「…(ギリッ)キュウベェ!!」

そのキュウベェと呼ばれた動物(?)が表れた途端、彼女の顔は苦々しい表情に変わる。

ハンター(なるほど…こいつがキュウベェか…。)

キュウベェ「何を企んでいるか知らないけど、ボクらの邪魔しないでよ。」

さやか「そうだ、そうだ!こんなヤツらほっといて先に行こうよ、マミさん!」

マミ「えぇ…そうね。」

二人の少女は踵を返して先に進み始める。


42 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/07(火) 23:45:54 74DQF5j. 37/413

まどか「ほむらちゃん…私も…行くね?」

まどかと呼ばれた少女も二人に続き先へと歩みを進めめ…キュウベェも後に続く。


43 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/07(火) 23:53:59 74DQF5j. 38/413

その時だった。周りの景色歪み…形容し難い異形のものが現れる…!

ほむら「私は大丈夫だから…みんなを追って!!」

ハンター「いや!全然大丈夫じゃないだろ!!その盾に触れられないと魔法使えないんだろ!?」

ほむら「お願い!」

男は選択を迫られる…。

…どうする?

…いや、考えるまでもない!!

ハンター「ちょっと黙ってろ!…すぐ終わる。」


44 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/08(水) 00:13:27 KYkKThxk 39/413

ほむら「…ッ!!」

男は背中に背負っている刀の柄に右手を無造作にそえる。

次の瞬間…男の身長ほどはあろうかという刀はその刀身をあらわにし、正面に立っている使い魔の両足の間。地面にめり込んでいる…


45 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/08(水) 00:16:04 KYkKThxk 40/413

使い魔「ギギッ…?」

使い魔は自身の身に何が起こったかわからない。

目の前には凄まじい形相の男が立っている。

視線を足下にやると、自身の両足の間の地面に刀身をめり込ませた刀がある…。
再び男に視線を戻す。

男は静かに刀を鞘に納め…。
使い魔の視界は縦一直線に亀裂が走り…。

眼前の景色が分断された。
それがこの異形の者が見た最後の光景だった。


46 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/08(水) 00:25:56 KYkKThxk 41/413

ほむら(速いッ!!)

それはほむらですら時間を止めたのかと思わせるほどの早業だった。

しかも、状況から判断するに、身の丈ほどもある太刀を右腕一本で抜き放ったのだ!

ほむら(これが…モンスターハンター…!)

あまりの出来事に彼らを取り囲む使い魔達は怯んだが一斉に遅襲いかかって来たッ!


47 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/08(水) 00:41:09 KYkKThxk 42/413

ハンター「…この程度か。」

男は誰にともなく冷徹に言い放つ。

眼前から二体。そして後方から一体、その後ろにやや距離をおいてもう一体。
計四体が迫ってくる。

ハンター「…小物に用はないッ」

静かに呟くと背負っていた刀の鞘のベルトを外し、腰に添える。

まず前方から飛びかかって来た使い魔に強烈な蹴りを放つ!

腹部を強かに打たれた使い魔は吹き飛ばされ、今跳びか掛ろうとしていたもう一体に激突する。


48 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/08(水) 00:48:11 KYkKThxk 43/413

前方の二体は堪らず折り重なった状態で姿勢を崩す。

そこへ無慈悲な横一文字の一閃が閃く。

その男の無防備な背中へ後方から一体の使い魔が襲いかかる!

ほむら「危ない!」

少女は思わず叫んでいた。
後方からとびかかった使い魔の腕は降り下ろされ…。


49 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/08(水) 00:57:38 KYkKThxk 44/413

しかし…その腕は降り下されることはかなわなかった。

男は前方の二体を横薙ぎにした勢いそのままに上半身を右へねじって後方の敵をも薙払った!

使い魔は一矢報いることなく消え去った。


50 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/08(水) 01:07:40 KYkKThxk 45/413

少女は振り向いた男と目が合った。

すると男は少女に駆け寄り…少女の顔に鋭い突きを放った!

ほむら「…!!?」

少女は思わず目を固く瞑る。

使い魔「ギギ…ギ…」


目を開けると右頬すれすれに刀が突き出されている。


51 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/08(水) 01:15:18 KYkKThxk 46/413

このままでは敵わないと標的を男から少女に変えた使い魔は胸を貫かれ消滅した。

ハンター「終わったな…怪我はないか?」

ほむら「え、えぇ。」

ハンター「今、下ろしてやるからな。」

そう言うと男は少女の四肢を拘束するリボンを斬りつけた。

ハンター「…!?」


52 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/08(水) 01:26:59 KYkKThxk 47/413

ハンター「硬い!?」

男は何度もリボンに斬りつける。

見た目に反して硬い手応えが返ってはくるが…徐々にリボンに切り込みが入る。
ハンター「良し!時間は掛ければなんとか…!!」

ほむら「ハンター!今度こそ私は大丈夫だから今から言う話を良く聞いて!!」

危機迫った少女の声に思わず彼は手を止める。

ほむら「一人でまどか達を追って!!このままだと…巴マミは!!」

ハンター「……!!」


53 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/08(水) 01:47:13 KYkKThxk 48/413

~病院の結界 最深部~

一方…先へと進んだ少女達はこの結界の主と遭遇。
今まさに戦闘が開始されようとしていた。

まどか「…あれが…魔女?」

さやか「…?何かこの間の奴よりちっちゃくない?」

シャルロッテ「……。」

確に…今まで見てきた魔女よりも随分こじんまりとした風貌。

まるで小さな縫いぐるみだ。

マミ「二人とも危ないから退がって!」

その小さな縫いぐるみを守るかのようにたくさんの使い魔が配置されている…。


54 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/08(水) 01:54:57 KYkKThxk 49/413

シャルロッテ「……!」

マミ(こちらに気付いた!…来るッ!!)

マミは使い魔が仕掛けてくる気配を察知し、無数の単発式マスケット銃を召喚する…。

そして襲いかかって来る使い魔をことごとく撃ち落としていく…!

マミ「…いける!いけるわ!!」


55 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/08(水) 02:02:29 KYkKThxk 50/413

さやか「おぉ~!流石はマミさん!!」

後は魔女を残すのみ!

マミは残りのマスケット銃からありったけの弾丸を小さな縫いぐるみにくれてやった。

シャルロッテ「…!…ッ」

さやか「…効いてる!効いてるよ!!」

まどか「マミさん!頑張って!私たちも一緒だからッ!」


56 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/08(水) 02:12:27 KYkKThxk 51/413

マミ(そう。私はもう一人じゃない!)

マミ(体が軽い。今なら何でもできそうな気がする!)

マミは集中し、魔力を練り上げ巨大な銃を召喚し、照準を小さな魔女に合わせ…引金に指をかける。

マミ「ティロ…フィナーレ!!」

彼女が放った光の奔流は一直線に魔女を飲み込んだ!


57 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/08(水) 02:21:03 KYkKThxk 52/413

彼女が放った光の奔流が消えると、そこには満身創痍といった様子の小さな縫いぐるみがあった。

シャルロッテ「」

その小さな魔女はもはや微動だにしない。

さやか「やった…やったよ!マミさん!」

まどか「やっぱりマミさんはすごい!」

マミ「えぇ。やったわ!」

キュウベェ「……。」


58 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/08(水) 02:29:25 KYkKThxk 53/413

マミ「グリーフシードを回収するから二人はそこから見てて。」

そして魔女シャルロッテへと近付く…。

シャルロッテ?「」

マミ「…?(あら?グリーフシードが…?)」


さやか「…!マミさん!!」

まどか「うしろー!!!」

マミ「…え?」


59 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/08(水) 02:43:51 KYkKThxk 54/413

シャルロッテから抜けだした“それ”はマミの背後に忍び寄り…。

今まさにマミの頭に喰いつかんとする“それ”彼女の後頭部より少し上空で大きな口を開けて…。

その大口からマミの肩にボタリと唾液が滴った…。


マミ「」


60 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/08(水) 02:49:57 KYkKThxk 55/413

まどか・さやか「~!」

二人の少女はもはや声にならない叫びをあげる。

誰もが最悪の光景を想像した。

二人の少女は思わず目を臥せる。


61 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/08(水) 03:07:51 KYkKThxk 56/413

……だが、その絶望に文字通り希望の光が差した。

結界の最深部を覆い尽すほどの眩い閃光!

フラッシュは一瞬だったが、シャルロッテの中から現れた巨大な蛇のような物は堪らず退けぞった。

???「…ふぅ。間に合ったか。」

マミ「ありがとう…あなたは?」

マミは気付けば先程の男に抱きかかえられていた。

ハンター「俺はハンター。それに礼ならほむらに言うんだな。」

マミ「それって…どういう?」

ハンター「話は後だ!…来るぞ!!」


62 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/08(水) 03:30:09 KYkKThxk 57/413

男は巨大な蛇の魔女の攻撃バックステップで避け、マミを優しく下ろした。

続けて男はカーゴパンツのポケットから球状の物を取り出し…。

それを魔女の眼前に投げつけた。

再び強烈なフラッシュが辺りを覆う。

そして魔女が怯んでいる隙に一気に距離を詰め、流れるような斬撃を叩き込む。

三人の少女はその光景をただ見守っていた。


63 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/08(水) 03:43:32 KYkKThxk 58/413

暫くは怯んでいた魔女だったが次第に視力が戻り反撃を開始する。

ハンター「…チッ!視力が戻ったか…。」

シャルロッテ「……!」

魔女は先程のお返しと言わんばかりにその大口を開け、突進を繰り返す。

ハンター「悪くはない攻撃だ。…だが当たらねば意味はないッ!」

男はそれをサイドステップで巧みに避け、確実にカウンターを浴びせていく。

マミ(すごい…!魔女を圧倒しているわ。)


64 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/08(水) 04:03:27 KYkKThxk 59/413

ハンター(後もう一押しといった所か…。)

男は抜き身の太刀を鞘へ納め正面の魔女の様子を伺う。

シャルロッテ第二形態「…。」

魔女は動きを止めている。
ハンター(仕掛けてこない。…それより奴はどこを見て…?)

ハンター「そうか!奴の狙いは…。」

言うないなや彼は真後ろに駆け出した。

同時に魔女も動き出す。


そう。狡猾な魔女は男の背後…消耗して座り込んでいるマミを狙った。

男がマミをかばうために攻撃を受け止めざるを得ないことを見越して…。


65 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/08(水) 04:16:18 KYkKThxk 60/413

魔女の口から牙を覗かせ、動けないマミに再び襲いかかる。

マミ「…い、いやぁ!助けてぇ!!」


魔女が凄まじい勢いで少女に激突しようとした時。
恐怖に震える少女の前に男は踊り出た。


66 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/08(水) 04:36:02 KYkKThxk 61/413

…ガキィン!…

形容するならそんな甲高い金属音が響き渡った。

大きく開かれた口に、横一文字に“つっかえ棒”を当てがう形で長大な太刀の刃が食い込んでいる。

魔女は刃の食い込んだ口の両端から血を流し、ぴくりとも動けない。

目の前の男も微動だにしない。

ハンター「今のは中々の攻撃だった…だがッ!」

男の手に力がこもる。

ハンター「当たったとしても意味はないがな…。」

シャルロッテ第二形態「…ッ!?」

男はそのまま強引に力任せで刀をメリこませて行き…一刀の元に魔女を両断した。


67 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/08(水) 04:44:30 KYkKThxk 62/413

哀れ、二枚におろされた、元は魔女だった物は次第に光に包まれ消えてゆく。

消えゆく魔女の光を背に、男は静かに太刀を鞘に納め一人ごちた。

ハンター「狩られる側に回った気分はどうだい?」


70 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/08(水) 11:38:40 KYkKThxk 63/413

再開します。


少女を拘束するリボンが消え結界の最深部にたどり着いた時、光に包まれ消えゆく魔女と、
太刀を鞘に納める男の姿が目に飛込んできた。

ほむら「…これは!」

最深部の入口付近で唖然と立ち尽くす少女の姿を確認した男は彼女に声をかける。

ハンター「安心しろ。みんな無事だ!」

男の言う通り、まどかとさやか、そして巴マミも生存している!

ほむら(…この人なら、ハンターがいてくれたら…。)

ほむら(まどかだけじゃなく、本当にみんなを救えるかもしれない!!)


71 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/08(水) 11:55:30 KYkKThxk 64/413

危機は去り、壁にもたれ座り込むマミの元に自然と全員集まった…。

マミ「助けてくれてありがとう。」

まどか「ありがとうございます、ハンターさん」

さやか「あ、ありがと…。」

ハンター「どういたしまして…っと言いたいとこだが、」

みんな「…?」

ハンター「礼ならこのほむらに言ってあげてよ。」

男の一言で少女たちの視線はほむらに集まる。

ほむら「…え?」

ハンター「なぁ、ほむら…。みんなにもちゃんと言った方がいいと思うぞ。」

ハンター「…お前の“事情”を。」

ほむら「…。」


72 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/08(水) 12:04:03 KYkKThxk 65/413

ほむら「で、でも“今まで”だってッ!…」

ハンター「その“今まで”はちゃんと伝えてきたのか?」

ハンター「“今回”は違うかもしれないよ?」

ほむら「わ、私は。…。」

ハンター「もう一度、信じてみろ!」


ほむら「…!…そうね。」


73 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/08(水) 12:12:53 KYkKThxk 66/413

さやか「あ、あのさ…」

まどか「ほむらちゃんの“事情”って…?」

マミ「…?」

ほむら(確にハンターの言う通り、時間を長く繰り返す内に信じることを諦めていたのかもしれない…。)

まどか「…ほむらちゃん?」

ほむら(“今まで”はだめだったけど今回は確実にいつもと違う。)

さやか「どうしたんだよ、転校生?」

ほむら(もう一度、信じる、か…。)

マミ「暁美さん??」


74 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/08(水) 12:23:59 KYkKThxk 67/413

完全に蚊帳の外になっている三人の少女に対して、少女は意を決して話し始める。

…彼女の“事情”を。

ほむら「みんなに聞いてほしいことがあるの!」

ほむら「私は…」

彼女は語り出す。

ずっと時間を繰り返して戦ってきたこと。

それは他ならぬ親友の為であること。

故にまどかの契約を阻んでいたことを。

そしてハンターも先程みんなを救えたのはほむらの“予言”であるとフォローを入れた…。


75 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/08(水) 12:38:01 KYkKThxk 68/413

マミ「にわかには信じ難いけど…現にみんなこうして救われたのよね。」

さやか「転校生にも色々事情があったんだな…。」

まどか「うっ…うぅ…そんな…そんなのって…ほむらちゃんがあんまりだよぉ…。」

…とりあえずまどかが泣き止むのを待ってほむらはみんなに確認する。

ほむら「それで…私の話を信じてくれるの?」

マミ「えぇ。信じるわ。」

さやか「あたしらも信じるぞ!…なぁ?まどか。」

まどか「うん!あたしもほむらちゃんのこと信じるよ!!」

ほむら「まどか…!、みんな…!!」


77 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/08(水) 12:54:12 KYkKThxk 69/413

ほむら「信じてくれて…ありがとう!」

マミ「いぇ。お礼を言うのは私達の方よ、暁美さん。」

さやか「そうだな!ありがとなっ!“ほむら”!」

まどか「今までずっとありがとうね…ほむらちゃん!」

ほむら「…ッ。」

少女は何か言おうとしたが感極まり言葉にならない。積年の苦労が報われたような気がした。

胸の奥が温かくなる。視界がどんどん滲んでいく。

ハンター「ちゃんと話せば伝わるもんだよ。」

ハンター「…今は素直に泣いていいと思うよ…。」ボソッ


78 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/08(水) 13:07:47 KYkKThxk 70/413

その男の一言がきっかけだった…。

彼女の目から大粒の涙が溢れる…。

普段はどことなく大人びた印象の少女も、
今だけは年相応の少女のようにただただ溢れる感情に身を委ねる…。

そんな少女をいたわるように三人の少女は彼女を優しく慰める。

その光景を、男は遠くから感慨深げに眺めているのだった…。


80 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/08(水) 13:22:21 KYkKThxk 71/413

マミ「暁美さん、少しは落ち着いたかしら?」

ほむら「えぇ。心配をかけてしまったわね…。」

さやか「なに水臭いこといってんだ?ほむら。」

まどか「そうだよ。ほむらちゃんは私達の大切な友達なんだよ?」

ほむら「ありがとう…友達っていいものね。」

マミ「うふふ…そうね。一人は辛いものね。」

マミ「それはそうと…。」
ほむら「…?」


81 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/08(水) 13:33:25 KYkKThxk 72/413

マミ「グリーフシードはあなたに譲るわ」

ほむら「…いいの?」

マミ「えぇ。今回はあなた達のお陰だし。」

ほむら「わかったわ。」

そこで彼女はふと気づく。
ほむら(…?ハンターの姿が??)

とりあえず今はグリーフシードの回収を最優先にし、元魔女だった縫いぐるみへ向かおうとして…

ほむら(あ…いた。)

その縫いぐるみの側に男はいた。


82 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/08(水) 13:44:03 KYkKThxk 73/413

男は魔女の亡骸の側でかかんでいる。

その男に少女は近付く。
すると奇妙な音が聞こえてくる。

ザッ…ザシュ…ザッ…ザリッ…

ハンター「…♪」
《ハンターはシャルロッテの堅殻を入手!》ピコピコン♪

ほむら「ハンター?何をしているの?」

ハンター「何って…剥ぎ取りだけど?」

ザッ…ザシュ…ザッ…ザリッ…

ほむら「は…剥ぎ取!?…(ウプッ)」

《ハンターはソウルジェムを入手!》ピコピコン♪

ほむら(…見なかった事にしましょう。)


84 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/08(水) 13:58:06 KYkKThxk 74/413

マミ「暁美さ~ん?グリーフシードは回収できたの?」

ほむら「え、えぇ。無事剥ぎ取…回収したわ。」

魔女のグリーフシードが回収され、結界は徐々にその輪郭を失っていく。

魔女との厳しい戦闘を乗り越え少女たちは元の世界へと帰還する。


85 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/08(水) 14:11:57 KYkKThxk 75/413

~見滝原 病院前 ~

さやか「ふぅ~。やぁっと帰って来られたな。」

まどか「今回はすっごく危い目にあったねぇ」

マミ「こうやって無事に帰ってこられたのは暁美さん達のお陰ね。改めてありがとう。」

ほむら「と、当然のことをしたまでよ…////」

ハンター「照れるな、照れるな。」ニヤ

ほむら「ち、違うわよ!」カァ

さやか「それに、ハンターさんもホント強いんだな!」

ハンター「まぁ仕事柄だしね…。」

こうして暫く皆で談笑したあと、それぞれの連絡先を交換して、それぞれの家路に着いたのだった。


86 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/08(水) 14:29:51 KYkKThxk 76/413

~見滝原 病院前 ~

少女たちが病院を後にするその後ろ姿を眺めながら“彼”は呟く。

???
「なるほどね。どうりでボクと契約したことが曖昧になってたんだね。」

???
「やはり彼女はイレギュラーそのものというわけか。先手を打って行動されるのは厄介だね。」

???
「でも面倒なことになったな。彼女たちの結束が強くなって、接触し辛くなったのは痛いな。」

???
「まぁいいか…それは“彼女”をこの町に呼んで大いにその結束を乱してあげればいい。」

???
「今回はあのハンターとかいうもうひとつのイレギュラーのせいでうまくいかなかったけど…いい話が聞けたからよしようか。」

そう“彼”は結界の中で気配を消して様子を伺っていた。

???
「鹿目まどか…君は必ずボクと契約することになるのさ。」


87 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/08(水) 15:24:36 KYkKThxk 77/413

―翌日 午後―

男は座って待っていた。
…ただただ待っていた。

~見滝原 病院 ロビー~

何故彼がこんなところにいるかというと、事の発端は昨日の夕食事に遡る…。

ほむらとお互いの健闘を称え、労い、他愛のない話に花を咲かせていた時のふとした一言だった。

ハンター「それにしてもまぁ生身の人間がよく魔女に勝てたなって我ながら思うよ。」

それを聞いたとたん彼女の顔色はみるみる蒼くなった。
男は何事かと彼女の様子を見守っていると…
唐突に彼女はこう言った。…曰く。

ほむら「とっさのことだったとはいえ鎧を渡せず、ほぼ丸腰で死地に赴かせるようなことをして申し訳ない。」

男は別に気にしていないと伝えたのだが、
やれ「怪我はないの?」、「長時間結界にいて心労は溜っていないの?」
とまくし立てられ、挙げ句の果てに「頼むから明日精密検査を受けて!」
と懇願された結果、断るに断り切れず「わかったよ」と返事してしまった事がそもそもの元凶だった。


88 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/08(水) 15:40:35 KYkKThxk 78/413

ハンター「それにしても…」

この国は文明が物凄く発達しているんだなぁ…と男は思う。

男は朝から病院を訪れ“精密検査”とやらを受けさせられ、その結果を待っている。

正直、いろんな部屋をたらい回しにされ、見たこともない機材で体を調べられるのはいい感じはしなかった。
いきなり見たこともない機材で体をいじくり回されるような感じがどうしても好きになれなかった。

その苦痛な時間から解放された時には昼下がりのいい時間になっていた。

ハンター「…退屈だ。」


89 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/08(水) 15:55:48 KYkKThxk 79/413

退屈を持て余し、鬱蒼とした面構えの男が焦点のイマイチ合わない目でぼんやり景色を眺めていた時、
その視界の隅に見知った人物が写った。

ハンター「あれは昨日の…。」

とたん男の顔に生気がもどる。これで退屈とおさらばできそうだ。

男はその青髪の後ろ姿に声をかける。

ハンター「こんにちは、さやかちゃん。」

声をかけられた少女は振り返る。

さやか「…あ、ハンターさん…。」

少女は男に気が付くと笑顔を作るが、どこか消え入りそうで元気がない。
…と、いうより酷く疲れている印象を受ける。

その表情にその男は何かを察した。

ハンター「…何かあったのか?」


91 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/08(水) 17:32:47 KYkKThxk 80/413

さやか「あ、…はは。何かあったと言いますか…。」

ハンター「…悩みごと?」

さやか「…まぁ、そんなとこですね。」

ハンター「良かったら話くらい聞かせてよ。」

さやか「…じゃあ、聞いてもらえます?」

さやか「実は…。」


92 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/08(水) 17:50:37 KYkKThxk 81/413

少し間をおいて少女は話を切り出した。

この病院に幼馴染みが入院していること。

最近は見舞いに来ても何故か邪険にされてしまうこと。

何とかして彼の右手を治してあげたいこと。

そして仲のいい友達からその幼馴染みに告白すると宣言されたこと。

ハンター「はは…なるほどな。」

さやか「あ~、今ちょっとバカにしてません?」

ハンター「そんなことないよ。」

さやか「ホントですかぁ?」

ハンター「ホントだって。…なぁ、さやかちゃん。一つ聞いてもいい?」

さやか「…?何ですか?」


93 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/08(水) 18:07:39 KYkKThxk 82/413

ハンター「君はどうしたいの?」

さやか「…え~と?」

『…君はどうしたい?』
あまりに漠然とした問いに少女はその真意をつかめない。

ハンター「さっきの話を聞いてるとね、君の本音が全く見えないんだよな。」

さやか「あたしの本音?…。」

ハンター「もっとこう…自分に正直になってみてもいいと思うんだ。」

さやか「自分に、正直に…。」

ハンター「改めて聞くけど…」
そこで一旦止めると男は、少女の返答などおかまいなしに矢継ぎ早に質問を繰り出していく。


94 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/08(水) 18:25:47 KYkKThxk 83/413

ハンター「どうしてその上條君に邪険にされるのが嫌なんだ?」

さやか「そ、それは…」

ハンター「どうして彼の手を治してあげたいの?」

さやか「だから、あた…」
ハンター「友達が告白するのを応援してあげられないのはなんで?」

さやか「…どうして素直になれないんですかね?」

さやか「はぁ~。やんなっちゃうなぁ…あたしってホント、馬鹿…。」


95 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/08(水) 18:47:34 KYkKThxk 84/413

ハンター「ははははッ!そうだな。確に君は大馬鹿野郎だ!」

さやか「……、」ムッ

ハンター「せっかくだからこの際その仁美ちゃんに譲ってあげたらいいじゃないか。」

さやか「…なッ!?」

ハンター「だってそうだろ?どうせ、仁美ちゃん以外の誰かだったとしても簡単に譲れるんだろ?」

さやか「なにさ!あんたなんて何も知らないくせに!さっきから偉そうなことばっか言っちゃって!」

さやか「みんな自分勝手なんだ!あたしの気持ちなんて知ろうともしない!!」

さやか「仁美だって…恭介だってそう!!!」

さやか「あたしは恭介の事をどれだけ好きかなんてッ!!!!」


97 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/08(水) 18:58:56 KYkKThxk 85/413

突然の少女の激昂に病院のロビーは静まり返る。

何事かと驚く人々の中で、男は一人落ち着いていた。

ハンター「今ちゃんと言えてたぞ。」

さやか「…何がッ!……あっ…。」


ハンター「それが素直になるってことだよ。大事なことはちゃんと言わないと伝わらないからね。」

さやか「…うん。」

ハンター「それにね、俺は何事も戦いだと思うんだ。」

さやか「…?」

ハンター「人生も恋愛も時には誰かとぶつかることもあるよね。そういう時は…」

さやか「そういう…時は?」


98 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/08(水) 19:18:22 KYkKThxk 86/413

そこで男は不敵に笑いながら続ける。

ハンター「全力で相手を倒しにかかるんだよ!…だって手加減なんかしたら相手に失礼だろ?」

さやか「……。」

あまりに馬鹿らしく乱暴な言い草で、少女は一瞬唖然とした。

だが暫くすると胸の支えが取れるのと同時に笑いがこみあげてきた。

さやか「は、ははは…!そうだよね。そんな簡単なことなんだよね!!」

さやか「けど、ハンターさんが言うと何か重みが違いますなぁ。」

ハンター「そりゃもう日々戦ってますから。」

さやか「…あはは。それもそうですね。」


99 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/08(水) 19:41:40 KYkKThxk 87/413

すっかり元気が戻った少女の顔を見て男は安心した。

そして多分これ以上は余計なお節介だと知りつつも男は少女をけしかける。

ハンター「なぁ、さやかちゃん。」

さやか「なんですか?」

ハンター「今からお見舞いに行くんだろ?」

男は誤魔化しても無駄だと言わんばかりに少女の右手に握られている物に視線を向ける。

それは一輪差し用の花だった。

さやか「…はい。」

ハンター「全力で戦ってこい!」

さやか「…!はいッ!!」

少女は男が何を言わんとしているのかを汲取り力強くそう答えた。


100 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/08(水) 19:53:23 KYkKThxk 88/413

足早に階段へ向かう少女。

その直後、アナウンスで男の名前が呼ばれたので男は受付へ向かう。

そこで待ちに待った検査結果を受取り、入り口へと向かった。


101 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/08(水) 20:09:10 KYkKThxk 89/413

だがこの時の男は知らなかった。

足早に階段に向かったはずの少女が一刻も早く恭介に会いたいという気持ちを抑え、
階段の直前で振り返り、男の後ろ姿が見えなくなるまで見送ろうと心に決めていたことを。

さやか(ハンターさん…ありがとっ。)

少女は神々しくすら見える男の後ろ姿に感謝の言葉を送る。

そして男が入り口に差し掛かったその時。
男は自動ドアに派手に頭をぶつけ…少女を少しがっかりさせるだった…。

さやか(なんか…凄いのか凄くないのか良くわからん人だなぁ…。)

さやか(でも…良い人だよね。)

少女は心の中でそう呟き、男の姿が見えなくなると、上條少年の部屋へと急いだ。


102 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/08(水) 20:33:14 KYkKThxk 90/413

病院を出ると日は傾きかけていた。空がオレンジに染まっている。

先程ぶつけた額が痛む。

ハンター(どうもあの自動ドアとやらは苦手だな。不思議とタイミングが合わん…。)

帰りは生きと少し違う道を選んで歩いていると、男の目を一際惹き付けてやまない建物がそこにはあった。

男はその建物に吸い寄せられるように内部へと歩みを進めていく。


103 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/08(水) 20:58:41 KYkKThxk 91/413

―夕方―
~見滝原町 教会~

教会の内部は本当にどこにでもありそうなありふれた内装だった。

男は特別に敬虔な宗教家でもないし、故郷に似たような建物があったわけでもない。

だからこそ自分が何にひどく興味を惹かれたのかが尚更気になったが、結局それは何なのか分からなかった。

しかし入ってしまったとりあえず祈りを捧げようとずかずかと奥の祭壇に向かう。

男の他に人はいない。


104 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/08(水) 21:17:26 KYkKThxk 92/413

男は祭壇の前に立つと少し大袈裟に胸の前で十字を切り目を閉じる。

………。

暫しの静寂。


???「なぁ、あんた。神様って信じるかい?」

その静寂を打ち破るように、男は背後から声を掛けられる。

振り返るとそこには赤い髪とやや釣り上がった目が特徴的な少女が立っている。

男は少女に答える。

ハンター「神の存在は信じるけど、俺には必要ないな。」

赤髪の少女「…何で?」

ハンター「俺は自分の為にしか祈らないからだ。」

赤髪の少女「~♪」

男の返答が気に入ったのか少女は軽く口笛を鳴らす。


105 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/08(水) 21:35:37 KYkKThxk 93/413

赤髪の少女「あんた、中々わかってんじゃねぇか!」

赤髪の少女「気に入ったよ!あたしは佐倉杏子ってんだ。あんたは?」

ハンター「俺はハンターって言うんだ。」

杏子「そうか、なぁ。ハンター!さっきは何をお祈りしてたんだ?」

ハンター「“帰ったら美味い飯が食えますように”って祈ってたんだ。」

それを聞いた少女は腹を抱えて笑いだした。

杏子「…く……くくっ……あははははははッ!!」

杏子「最高だ!気に入った!ますます気に入ったよ!!」

ハンター「そりゃどうも。」

杏子「食いもんを大事にするヤツは好きさ。」

杏子「ハンター!受けとれ!」

そう言うと少女はポケットから何やら取りだし、男に向けて軽く投げた。


106 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/08(水) 21:58:47 KYkKThxk 94/413

少女が投げたそれを男は難無く片手で受けとる。

それは赤くて丸い…良く熟れたリンゴだった。

杏子「あたしは気に入ったヤツには食いもんを渡すことにしてんだ。」


ハンター「じゃあ早速頂くよ。」

男は少女の目の前で小気味良い音を立てリンゴを食していく。

そして芯も残さず平らげた。

杏子「いい食いっぷりだな。」

ハンター「良くそう言われるな。」

そして今度は男がポーチから何かを取りだし、少女に手渡した。

干し肉だった。

杏子「…?くれるのか?」

ハンター「あぁ。気に入った相手には食べ物を渡すのが君の流儀なんだろ?」


杏子「そ、そうだ。」


107 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/08(水) 22:08:02 KYkKThxk 95/413

ハンター「だから貰ってくれ。」

杏子「なぁ、ハンター。」

ハンター「なに?」

杏子「あんたとあたしは食いもんを交換したから、今日から友達だ!」

ハンター「あぁ。君の流儀だとそうなるね。」

杏子「そんで、ここは私の家みたいなもんだから、いつでも遊びに来い。」

ハンター「わかった。また来るよ。」


108 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/08(水) 22:25:36 KYkKThxk 96/413

男が教会を去ると再び静寂が訪れる…。

夕方の西日が窓から差し込むこの時間帯は嫌に孤独な気分にさせられる。

だが、今日の少女はそんなことは気にならなかった。

少女の中で先程の心地いいやりとりが思い出される。

杏子「…く……くくっ……」

杏子「それにしても面白いヤツだったなぁ…。」

杏子(何より初対面であたしと打ち解けるなんて相当の変わりモンだな。)

杏子(…って自分で言ってちゃ世話ないか…。)

杏子「アイツとはまた近々どこかで会える気がするな。」

こんなに笑ったのはいつ振りだったか…。

少女は珍しくそんなことを考えていた。


110 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/08(水) 23:57:24 KYkKThxk 97/413

―夜―

~見滝原 ほむらの家~

昼間の男と打って代わり、今度は少女がひたすらに待っていた。

ほむら(…遅い。)

男は全身の精密検査を受けたのだから、かなり時間がかかるのは分かる。

…分かるのだが。

ほむら「遅すぎるわ!」

確に遅すぎる。
男は午前中に病院に向かったはずだ。
もしかしたら検査の結果が深刻だったのかもしれない…。

ほむら「放課後様子を見に行った時は…」


《ピンポーン》

ちょうどその時インターホンが鳴った。


111 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/09(木) 00:14:34 7P3fA/FU 98/413

インターホンを鳴らした時に男は気付く。

ほむらから部屋の合鍵を渡されているのだから別に呼び鈴を鳴らさずともドアを開ければ良かったのだ。

男は鍵でドアを開ける。

玄関に入り靴を脱ぐと心配そうな面持ちの少女がリビングからやって来た。

ほむら「ハンター!何か深刻な問題でもあったの!?」

ハンター「いや、何も問題ない。」

………。

少し変な沈黙の後、少女は怪訝な顔で男に尋ねた。

ほむら「…だったらなぜこんなに遅かったというの?」

男は思う。心なしか少女の声が先程より随分トーンが低いような…と。

ハンター「回り道をしたら遅くなった。」

次の瞬間少女は光に包まれ。

男は何故かさっき開けたはずのドアの前に立っていた。


112 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/09(木) 00:29:30 7P3fA/FU 99/413

状況から察するに、彼女の魔法の力だろう。

男はポケットを探る…ご丁寧に合鍵まで没収されてしまったようだ。

いわゆる“閉め出し”というやつだ。
素っ裸にされなかったのがせめてもの救いか…。

さてどうしたものかと思案していると、ドア越しに少女の声が聞こえて来た。

ほむら「昨日、私が鎧を渡せなかったせいであなたの重大な傷を負ったのではないかと…とても心配していたの!」

ハンター「そうか…ごめん。」

ほむら「反省…した?」


ハンター「…あぁ。」


わずかな言葉のやりとりの後、ドアのロックが解除される。


113 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/09(木) 00:38:03 7P3fA/FU 100/413

ドアを開けて中に入る。

ほむら「…。」

少女は何も言わない。

ハンター「すまない。軽率だった。」

ほむら「…あなたが無事ならそれでいいわ。」

そう言い残して彼女は先にリビングへ向かう。

男もそれに続く。


115 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/09(木) 01:03:05 7P3fA/FU 101/413

リビングのテーブルには二人分の食事が用意されていた。

どちらも全く手がつけられていない。

男が帰ってくるまで待っていてくれたのであろう。

ほむら「じゃあ食べましょう。」

ハンター「あぁ。」

二人「いただきます。」

ハンター「うまいな。」

ほむら「ありがとう。」

こうやって美味い夕食にありつけたのは昼間のお祈りのお陰かもしれない。

神頼みも時には約に立つこともあるんだな…と彼はそんな他愛もないことを考えていた。


116 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/09(木) 01:22:42 7P3fA/FU 102/413

※114 ありがとう

ほむら「それにしてもあなたは大したものね。」

ハンター「なにが?」

ほむら「刀一本で魔女を倒したのも凄いけど…」

ハンター「…?」

ほむら「実は放課後にね…」

彼女の話によると、放課後男が心配になって病院に行ったらしい。

そして、さやかとのやりとりから男が検査結果を受けとる所まで見て家に帰ったそうだ。

ハンター「…来てたならどうして声をかけてくれなかったんだ?」

ほむら「素直に感心したからよ。」

ハンター「感心?」

ほむら「そう。あなたがさやかから受けた悩み事の相談があったでしょ?」

ハンター「確かに相談はされたが…?」

ほむら「その悩みがきっかけで色々と大変なことになるところだったのよ。」


117 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/09(木) 01:42:32 7P3fA/FU 103/413

ハンター「よくは分からんが…目標達成に大きく近付いたってことだな?」

ほむら「えぇ。そうね」

少女は薄く笑って答えた。

ハンター「役に立てて何よりだ。」

ほむら「ふふ…。期待してるわ。」


役に立てたのはいいが…。さっきから男は気になっていることがある。

ハンター「なぁ、一つ聞いてもいいか?」

ほむら「何かしら?」

ハンター「さっきのさやかの話のさ“色々困る事”って…何?」

…………。

ほむら「え?」


118 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/09(木) 02:03:51 7P3fA/FU 104/413

ハンター「俺らの目的はワルプルギスの夜の討伐とまどかを魔法少女にならせないことだったよな?」

ほむら「えぇ。間違いないわ。」

ハンター「つまりその目的の達成に支障がでることが即ち“困る”こと…だよな。」

ほむら「そ…そうね。」

少女は明らかに動揺している。

ハンター「だよな。俺が気になったのはそこなんだよ」

ハンター「普通なら個人のごくごく内面的な問題なんかがワルプルギスの夜の討伐に影響が出るとは到底考えられん」

ほむら「…。」

ハンター「けど、さっきのほむらの言い方だと、深刻な問題が生じるっていうように聞こえたんだよな。」


119 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/09(木) 02:23:08 7P3fA/FU 105/413

ほむら「………。」

ハンター「つまり、さやかが悩みを抱えたままだったら何かが起こってたんだな?」

ハンター「…と、言うよりさやかはどうなってたんだ?」

男のその言葉を聞いて少女は目を見開く。

少女はまだ男に一つだけ隠していることがある。

そして男はその隠し事にある程度の確信があるようだ。

ハンター「俺はじゃあ力になれない?」


120 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/09(木) 02:56:38 7P3fA/FU 106/413

ほむら「そんなことないッ!…そんなことはないけど!!」

ハンター「なら、教えてくれ。君の力になりたいんだ!」
男は尚も食い下がる。

ほむら「…分かったわ。」
そして少女は最後の秘密を打ち明ける。

…ソウルジェムの秘密。

…グリーフシードの秘密。

魔法少女と魔女の関係。

話し終わった彼女はただ辛そうにうつ向いている。

そんな彼女にかけられた言葉はまたしても意外なものだった。


122 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/09(木) 15:43:48 7P3fA/FU 107/413

ハンター「そんな顔しないでくれ」

ほむら「……あ。」

少女は顔を上げる。
そこには穏やかな男の顔があった。

少女は話の流れから隠し事をしたことを咎められるとおもっていた。

だからその意外な男の反応に対して少し間の抜けた声を出してしまった。

ほむら「…怒らないの?」

ハンター「…なんで?」

ほむら「だって…私はあなたに隠し事をしていて…みんなにも話せなくて…騙して。」

ハンター「それは騙したんじゃなくてみんなを気遣ったんだろ?」

ハンター「少なくとも俺には隠さなくてもいい」

ほむら「……。」


123 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/09(木) 16:03:55 7P3fA/FU 108/413

そう。先程男が気になったのはある程度検討がついていた隠し事の“内容”ではなかった。

彼が気になっていたのは少女が自分にまでわざわざ気を遣うことだった。

ハンター「君はいろんなものを背負い過ぎだ。…せめて俺にくらいは気を遣うな」

ほむら「だって…特にあなたは…」

ハンター「この事を知ったら…皆を魔法少女から解放する方法はないかと…、余計な心配を掛けてしまうと…そう思ったんだろ?」

ほむら「…えぇ。」

申し訳なさそうな彼女に対して、男は優しくこう言った。

ハンター「それこそ大きなお世話だよ」


124 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/09(木) 16:21:07 7P3fA/FU 109/413

ほむら「わかったわ…次からは気をつける。…ありがとう。」

ほむら(…本当に…ありがとう)

そんな男に、少女は言葉だけでなく心から感謝の意を示す。

ハンター「あぁ。それでいい。」

男は穏やかな笑みを浮かべそう答える。

少し安心して落ち着くと、少女の中で当然の疑問が浮かぶ。

ほむら「そういえば、あなたは魔女と魔法少女の関係について…」

ほむら「それなりの確信があったように思えるのだけど…」

その疑問に対して男は答える。

ハンター「ん?…まぁ、確信とまでは言えないけど、ある程度の見当はついてたな。」

ほむら「それは…いつから?」


125 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/09(木) 16:48:40 7P3fA/FU 110/413

ハンター「昨日の魔女との戦いで色々思うところがあったんだ。」

男はその“思うところ”について口を開く…曰く。

魔女と対峙した時、
自分に向けられたのは今まで相手にしてきたモンスターのような純粋な殺気ではなく…そこには人間のような雑多な感情のような物が混じりあっていたこと。

回収したグリーフシードの形状を見てなんとなくソウルジェムに似ている気がしたこと。

戦闘で消耗したマミがグリーフシードを使用したのを見た時、
“汚れ”を別の容器に移し変えただけで“汚れ”を溜める器という見方で考えると根本的には同じ物のような気がしたこと。

ハンター「まぁさすがに、本人の精神状態如何で魔女になるとは思わなかったが…。」

ほむら「……驚いたわ。」


126 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/09(木) 17:02:59 7P3fA/FU 111/413

少女は本当に驚いていた。強いだけでなく相当頭もきれる。…何より尋常ではないその観察眼に。

ほむら「あなたは…何者なの?」

ハンター「何者もなにも…見たまんまのしがない狩人だけど?」

男はとぼけてみせる。

ハンター「…それよりさ、提案があるんだけど。」

ほむら「…?何かしら?」
ハンター「この際依頼内容を変更しないか?」


128 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/09(木) 17:33:57 7P3fA/FU 112/413

唐突な提案に少女はその真意を掴めない。

何も言わない彼女に対し男は続ける。

ハンター「依頼の内容をワルプルギスの夜の討伐と…」

ハンター「……君の仲間を助けることにしないか」

ほむら「…ッ!」

ハンター「どうせ守るなら一人なんてケチケチしてないで全員でいいだろ?」

男はそう言い放ち、ふてぶてしく笑いながら続ける。

ハンター「その方が俺としてもやりがいっていうか、モチベーションが上がるしな!」

ほむら「なんて言うか…あなたらしいわね。」

そんな男を見て少女は微笑みを浮かべる。

ハンター「…本当はみんなを助けたいんだろ?…」

ハンター「…任せておけ。」


129 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/09(木) 17:59:28 7P3fA/FU 113/413

少女はそれ以上は何も言わず男から顔を反らす。

その目には涙が溜っていたからだ。

男もそれ以上何も言わず、彼女の方を見ないでただ一言「部屋に戻る」とだけ呟いてリビングを後にした。

一人リビングに残された少女は思う。

少女を閉じ込める永久に繰り返される時間の監獄。

あの男はその絶望の監獄から自分を解放してくれる鍵のようなもの…

いや、その絶望の監獄そのものを打ち砕き、自分だけではなくみんなを救う事ができる切札なのかもしれない。

ほむら(ハンター…。)

少女は熱くなった目元を拭い男が消えていったドアをただただ見つめていた。


130 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/09(木) 19:40:25 7P3fA/FU 114/413

―同日 深夜 ―

~見滝原 教会~

???「君がこんなところにいるなんて珍しいね。どういう風の吹き回しだい?」

声と共に唐突に“彼”は姿を現す。

???「ん?…あぁ、あんたか…今日は珍しく面白いことがあったんだ。」

少女はいきなりの来客にも関わらず眉一つ動かさずに応じる。

???「そういえば、いつもよりいい顔してるね。」
???「そう見えるか?」

???「まぁボクには人の感情なんて理解はできないけどね…。」

楽しげな表情の少女とは対称的に“彼”は無機質な表情のままだ。

???「ボクが君をここに呼んだのは他でもない。君に魔法少女としてやってもらいたいことがあるんだよ…」

???「わぁかってるよ!あんたに言われなくてもあたしはあたしのやり方でやらせてもらうさ!」

そう言うと彼女は口にくわえていた棒付きのキャンディを噛み砕いた。

夕方の穏やかな雰囲気とは打って変わって、その教会は不穏な空気が漂い始めていた。


131 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/09(木) 21:10:54 7P3fA/FU 115/413

ー 翌日 朝 ー

~見滝原 市街~

男は登校するほむらを見送った後、
来たるべき日に決戦の舞台となるこの町をもっと良く見ておこうと町を散策することにした。

ハンター(……。)

その道中、男は物思いに更ける。

今朝、彼らは二人ともかなり早くに目が覚めた。
なので少女の登校時間が来るまで色々話していた。

…彼は今正にその話の内容を思い変えしていた。

昨日教会で偶然会った佐倉杏子。
彼女もまた魔法少女であり、同時にほむらが助けたい仲間の一人であること。

魔女と魔法少女が表裏一体であることを知ると、マミの精神は危険な状態に陥ってしまうこと。

さやかが魔法少女になるとかなり高い確率で魔女になってしまうこと。

ハンター(これからは気を引き締めんとな…。)


男は眉間に皺を寄せつつ散策を続けた。


132 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/09(木) 21:37:24 7P3fA/FU 116/413

~三滝原中学校 教室~

長い黒髪の少女は教室に入ると一直線に自分の席へ向かい椅子に座る。

そこへ桃色の髪の少女が近付いていく。

まどか「おはよ~。ほむらちゃん!」

ほむら「おはよう。まどか」

回りのクラスメイト達はこの二人が短い間に名前で呼び合うほど仲良くなっていたことに少し驚いた様子だった。

ほむら「…あら?さやかは??」

まどか「今日はお休みなんだって。」

ほむら「そう…。」

まどか「珍しいよね。」

…確かに珍しい。

彼女の悩み事がいい方向へ向かったのだからこの時期に欠席しないはずなのだが…。

まぁ、風邪を引いたりする事くらいはあるか、と彼女は結論づけて、彼女はあまり気にしないことにした。


133 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/09(木) 21:58:37 7P3fA/FU 117/413

― 同日 朝 ―

~見滝原 某公園~

???「テレパシーを使ってわざわざこんなところに呼び出すなんて、どうしたんだい?」

後ろから声をかけられた少女は振り替える。

さやか「あんたにちょっと用事があってね。」

キュウベエ「どういうことだい?君は僕の目的を知ったんだろう?」

キュウベエ「それなのに君から接触してくるなんて…わけがわからないよ…。」

さやか「それでも…あんたにどうしても叶えて欲しい願いがあるんだ!」


134 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/09(木) 22:18:14 7P3fA/FU 118/413

キュウベェ「それはボクと契約して魔法少女になってくれるということなのかな?」

さやか「いいから速くして!」

少女は彼に願いを告げる。

彼女の胸元から卵型の宝石が出現し…

次の瞬間少女は光に包まれ魔法少女へと変身する。

キュウベェ「これで契約完了だよ。」

さやか「ちゃんと願いは叶えてくれたんだろうな?」

キュウベェ「もちろん。ボクはちゃんと約束を守るからね。」

さやか「嘘だったら承知しないからな。」

そう言うと彼女は変身を解き町外れの人気のない公園を後にした。


135 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/09(木) 22:32:04 7P3fA/FU 119/413

~見滝原 病院 ~

病院の玄関の前で立ち止まり少女は昨日の出来事を思い出す。

想い人、上條恭介に想いを告げ…恋人同士になれたこと。

彼の支えになりたいと心から思ったこと。

そして、彼の為に…。何より彼が喜ぶ顔を見たい自分自身の為に、彼の手を“治して”あげたいと思ったこと。

さやか(あたしは自分の為に魔法少女になったんだ!)

さやか(…だから後悔なんてない!!)

彼女は心の中で呟き…恋人の病室へ向かう。


136 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/09(木) 22:48:58 7P3fA/FU 120/413

~見滝原 病院 病室~

少女は病室の扉を開ける。
さやか「恭介~。お見舞いに…。」

恭介「さやか!?何でこんな時間に…?」

恭介「いや!それより見てよ!…右手が!指が動くんだ!!それでさっき丁度先生を呼んだところで…!」

少年は矢継ぎ早に巻くし立てる。

さやか「…!ホントに!?恭介…、良かったね恭介…。」

恭介「あぁ。これで退院できる…。さやか…退院したら一緒にデートしよう!」

さやか「うん…!うん…!」

少女は目に涙を浮かべてただただ頷いている。


137 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/09(木) 23:01:42 7P3fA/FU 121/413

恭介「…!そうだ!さやか。そこのバイオリン取っ手くれないか?」

さやか「……え?」

恭介「君にまた…僕の演奏を聞いて欲しいんだ。」

さやか「……ッ!」

驚きつつも少女は彼にバイオリンを手渡す。

少年はそれを受けとり、美しい音色を奏でる。

少女はただだだ黙ってその音色に耳を傾けていた。

暫く後、医者と看護師が来て検査の為に演奏は中断される。

少女は病室を後にする。

その顔に後悔の色などなかった。


138 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/09(木) 23:27:32 7P3fA/FU 122/413

― 同日 昼 ―

~見滝原 市街 ~

男は“コンビニ”とやらで買った缶ジュースを片手に街を歩いていた。

ギルドからあらかじめ支度金をこの国の通過で支給されていた為支払いも何ら問題はなかった。

ハンター(…しかし広い街だな。一日では回りきれんな。)

当てもなくただ歩く男に向かって元気な足音が近付いてくる。

さやか「ハンターさ~ん!」

ハンター「あれ?さやかちゃん?こんな時間にどうしたの?」

さやか「いいから、いいから!…それより聞いて欲しいことがあるんです!」

ハンター「あ~…もしかして昨日のこと。」

その表情で“うまくいった”ことは明白だが男は少女の肩に“ポン”と手を置き答えた。

ハンター「ご愁傷様だったね…。」グスッ…

さやか「いや…違いますから!」

さやか「むしろその逆…と言いますか…。」

少女は照れ臭そうに呟く。


140 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/09(木) 23:54:32 7P3fA/FU 123/413

ハンター「うまくいったんだ?」

さやか「はい!お陰様で。」

ハンター「俺はなんにもしてないよ。それより良く頑張ったな。」

さやか「えへへ~。頑張っちゃいました!」

はにかむ少女はとても嬉しそうだ。

少女の話が思っていた通りの内容だったことに安心し、男は缶ジュースを口もとに運ぶ…

さやか「それともう一つハンターさんに聞いて欲しいことがあるんです!」

ジュースを飲む男はアイコンタクトで「話を続けて。」と少女に促す。

さやか「私魔法少女になったんです!」

ハンター「ッ!?…ブッ!!」

そして、少女の口から語られた思いもよらない話に男は盛大に吹き出した…。

さやか「うわっ!ちょっとハンターさん!?…きったないなぁ~、もう。」

少女は反射的に避けたが、顔に少しかかってしまう。


141 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/10(金) 00:11:47 zJwqG5Fg 124/413

ハンター「ゲホッ!ゴホッゴホッ!…あぁ、ごめんごめん!…ゲホッ…!?」

少女はハンカチを取り出して顔を拭いている。

しかし今男に目の前の少女を気遣う余裕はなかった…。

ハンター(おいおい!嘘だよな!?彼女は悩みが解決したら魔法少女にはならないんじゃなかったのか!?)

さやか「…もう。大丈夫ですか?」

少女は健気にも男の背中をさする。

ハンター「…あぁ…ゴホッゴホッ!…ふぅ…ありがとう。」

男はとりあえずポーカーフェイスは崩さなかったものの、頭のあることで一杯だった…。

『さやかが魔法少女になった場合、高い確率で魔女になる…。』

ハンター「…もう大丈夫だ。」

さやか「あははは!以外とおっちょこちょいなんですね!」

大丈夫とは答えたものの、この時の男の心中はあまり大丈夫ではなかった…。


143 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/10(金) 00:43:15 zJwqG5Fg 125/413

その時の男の胸中を表したかのように、いつの間にか空は鈍よりとした灰色の雲で厚く覆われていた。

ハンター(まぁ、なんとか…なる……よな?そうだよな?…うん。)

男は必死でそう自分に問掛けて、自分で答えるという訳の分からない問答を繰り返していた。

そしてまた歩き出そうとしたその時だった。

さやか「この近くに使い魔の気配がする!…ハンターさん!!」

少女はそう言うや否やビルの間の路地裏に駆け込んでいく…。

ハンター「…待て!さやかちゃ…!…クソッ!行くしかないか!!」

そして男も少女の後ろ姿を追い路地裏へ急いだ。


144 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/10(金) 01:05:36 zJwqG5Fg 126/413

~見滝原 市街 路地裏 ~

さやか「ッ!いた!待てぇ~!!」

少女の後ろ姿を追いながら男はあれこれ思案していた。

ハンター(使い魔って結界の外にもいるものなのか!?)

ハンター(こんな市街地で遭遇戦になるとはな!)

ハンター(しかも今は完全に丸腰だ…何か使える物は…。)

駆けながら男は狩猟道具の入ったポーチに視線をやり、その中に手を入れる。

ハンター(今使えそうなものは、これと…これくらいか。)

男は瞬時に判断し、腰にぶら下がったポーチから手を引き抜こうとして…。


さやか「どうだ~!見たかぁ!!」


145 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/10(金) 01:17:08 zJwqG5Fg 127/413

男に選ばれた狩猟道具は使われることはなかった。

声の方へ視線を送る。

いつの間にか魔法少女へと変身した彼女は空中へ跳躍し、手にした剣で使い魔を両断していた。

だが…次の瞬間、少女の姿は“消えた。”

再び視線を路地に戻すとさやかは地にうつ伏せに倒れ、その背中には足が置かれている。

さやか「…ッ!?…痛っ!!」

倒れ込む少女の背中を踏み付けるその人物は眼下の少女に対し言い放つ…。

???「おめぇ…何やってンだよッ!」


146 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/10(金) 01:38:54 zJwqG5Fg 128/413

???「お前…魔法少女だよな?」

少女はさやかを踏み付ける足にさらに力を込める。

さやか「…ぐ…ぅ…。だったら……なんだッ…」

さやかは気丈に返事を返す。

???「お前は馬鹿か!?卵産む前の鶏シメてどうすんだよ!!」

少女は全く足の力を緩めない。

さやか「…な…にをォ…!?」

さやかは必死で彼女の踏み付けるから逃れようとするが、逃げられない!

???「使い魔は魔女になるまで泳がせて…」

???「グリーフシードを孕むまで待ってからシメなきゃ意味ないだろぉが!」

そう言って少女は手に持っている長い槍を振り上げ…。
眼下の少女に狙いを定める。


147 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/10(金) 01:59:31 zJwqG5Fg 129/413

ハンター「やめろ!杏子!!」

今、槍が振り下ろされんとしたその時、二人に追い付いた男は叫ぶ。

杏子と呼ばれたその少女は手を止め、視線だけをこちらに送ってくる。

杏子「あぁッ!?……ッ!…お前は……ハンター!?」

男に向けられた鋭い眼差し。
しかしその男が何者であるかを認識すると少女の目は大きく見開かれる。

ハンター「その子を離してあげてくれ!!」

男は杏子に向かって言い放つ。

杏子「……。チィッ!……あぁ~、もう。分かったよ!離しゃいいんだろ?離しゃあ。」

杏子は男の言葉に応じてさやかを解放する。


148 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/10(金) 02:41:58 zJwqG5Fg 130/413

杏子の足から解放されたさやかは咳き込みながら後方へ飛び退く。

そして息を整え立ち上がり杏子に剣を向ける。

さやか「馬鹿はお前の方だろッ!!」

杏子「あぁッ!?」

対峙する杏子は再びさやかに槍を向ける。

さやか「魔法少女ならッ!人を助けるのが使命だろ!…そうですよね!……ハンターさん!!」

杏子「違うなッ!魔法少女の力は自分の為に使ってこそのもンだ!!…お前もそう思うよな!…ハンター!!」

二人の少女の視線は一人の男に向けられる。

男は思う。
ハンター(二人ともなぜ俺に聞く?俺は魔法少女でもなければ、少女でもない。どちらかと言えば男だ。…むしろ野郎だ。)

男は深く自分の中で問答を繰り返している間にも二人はジリジリとお互いの距離を詰める。

ハンター「二人とも、武器を下ろすんだッ!」

杏子「―――ッ!」
さやか「―――ッ!」

もはや一触即発だ!!


149 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/10(金) 03:27:58 zJwqG5Fg 131/413

これ以上何を言っても無駄だと悟った男は軽く目を閉じて息を深く吸い込み…。

そして叫ぶ。

ハンター「杏子ッ!さやかッ!」

杏子・さやか「…ッ!?」

名を呼ばれた二人の少女は体をこわばらせ、戦闘体勢の姿勢はそのままに、視線だけを男に向ける。

ハンター「今更もう止めはしない!…けどここでは人目に付くかもしれない!」

ハンター「だからとりあえず場所を移そう!」

ハンター「それまでお互いに手をだすんじゃない!この勝負は俺が預かった!…いいなッ!?」

男の話を聞き終えた二人の少女は黙って頷き、変身を解いた。

だが二人ともあくまで休戦であって戦いを止める気配は毛頭ない。

勢いでこんなことを言ったものの、この先どうしたものかと男は思案を巡らせる…。

場に沈黙が訪れる。
その長い沈黙を破ったのはさやかだった。

さやか「ここの近くに木が生い茂って森みたいになってる廃れた神社があるから…そこで決着を付けましょう。」

そう言ってズカズカ歩いていくさやかの後を杏子は無言でついていく。
このまま二人だけにするわけにもいかず、男も二人の後に続く。


150 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/10(金) 04:03:18 zJwqG5Fg 132/413

~見滝原 町外れ 廃神社~

さやかの案内により、三人は市街地から少し離れた廃神社に到着。

境内は、少し開けた広場を覆い隠すように周り一面を鬱蒼と木々が生い茂り神社を一層人目から遠ざける。

奥の社(やしろ)は朽果ててボロボロになっている…。確に誰も好き好んでこんなところには来ないだろう。

さやか「着いたけど?」

杏子「じゃあ始めるか?」

二人はそれだけ言うと魔法少女へと姿を変え…向かい合う。


151 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/10(金) 04:14:55 zJwqG5Fg 133/413

一方男はまだ悪あがきをやめようとしない。この期に及んで二人を止める方法をしつこく考えていた。

男は確かに紛れもない手練の戦士だが何の武器も防具もない状態だ…。

その状態で魔法少女二人を相手にして、どちらも怪我をさせないようにとめる方法なんて…。

まるで「古龍の類の化け物を捕獲しろ!」と命令される位、無謀だ…。

と、そこまで考えて男はあることを思い付き、地面を見る…境内の地面の土である…。

そっと腰の大きなポーチに手を入れると確かに“それ”はあった!

男はその道具の手触りを確認すると不敵な笑みを浮かべる。

そう、男は、この土壇場で今まさに勝利の方程式に辿り着いたのである!

ひとつ深呼吸をすると男は努めて冷静なポーカーフェイスを纏って二人の少女にゆっくりと話かける。

ハンター「二人とも、ちょっと俺の話を聞いてくれ。」


152 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/10(金) 04:33:43 zJwqG5Fg 134/413

杏子・さやか「…?」

対峙する二人は構えを解かず再び視線だけを男に送る…。

勝負をやめるつもりはないが一応話は聞いてくれるらしい。
それを見て男は続ける。

ハンター「さっき勝負は俺が預かると言った。…だから勝負のルールは俺に決めさせてもらう!」

二人とも静かに頷く…。

その瞬間男は自身の揺るぎない勝利を確信した。

男は境内の中央へ行くと、腰にぶら下げたポーチから大き目の“ジャッキ”のような物を取り出す。

そしてその“ジャッキ”のような物はを地面に“設置”した…。

すると、設置された“ジャッキ”状の物からポールが延び、男を中心にして大きな六角形の枠が地面に敷かれ、その枠の内部の土はがやや盛り上がる。

そして最後にポールが地面に沈み込むと、境内の中央に“六角形の土俵”が表れた。


153 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/10(金) 04:49:17 zJwqG5Fg 135/413

ハンター「二人には今からこの“土俵”の中で戦ってもらう!」

ハンター「ルールは簡単だ。土俵から押し出されたり、膝を先に地面着いた方が負けだ!」

さやか「わかりました。」
杏子「へっ!上等じゃん!」

二人は“土俵”の中に入り再び静かに対峙する。


男は“土俵”から少し離れた所に片膝を地面に着いて屈んで右手を真っ直ぐ空に掲げた。

ハンター「準備はいいか?二人とも。俺が“始め”と言ったら勝負開始だ!」

二人はまた無言で頷く。

ハンター「じゃあいくぞ…」

男はゆっくりと息を吸い込んだ。

二人の少女は合図を今か今かと待っている…。


154 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/10(金) 05:14:50 zJwqG5Fg 136/413

すると男は無言で空高く掲げていた右手を堅く握り締めて拳をつくり、それを全力で振り下ろし地面を殴りつけた!
強烈な振動が地面に伝わる!
途端…二人の少女は浮遊感に襲われる。

さやか「え!ちょっ!?」
杏子「な!…はぁッ!?」

二人は地面に“落ち”首から上を残して埋まってしまった!

ハンター(…かかったッ!)ニヤ

二人の少女は目を白黒させている。

つまり男は“土の地面”に六角形の枠の“落とし穴”を設置して二人を“捕獲”してしまったのだった!!

さやか「な…何ですかこれッ!?…ハンターさん!?」

杏子「ハンター!てめぇ!…クソッ!…抜け出せねぇ…!!」

二人はあがくがビクともしない。
対大型モンスター用のトラップ相手に流石の魔法少女もなす術がなかった…。

唖然とする二人。
そこへ、先程から雲って来ていた空から雨が降り出した。

血が滲む右手の甲をさすりつつ、男はにこやかな顔で二人にこう言い放つ。

ハンター「…お前ら、そこで少し頭を冷やせッ」

その男の笑顔を見た時二人の少女は思った。(目が笑っていないッ!)、と。


156 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/10(金) 18:19:30 zJwqG5Fg 137/413

暫くして男は「喧嘩しないなら出してやる」と二人に告げる。

それでも尚二人の少女は必死で抵抗するがトラップから抜けらない。

おまけに降り出した雨に打たれ続けて徐々に戦意を喪失。

渋々男の要求を飲むことにした。

堀起こされたずぶ濡れの少女達は男に恨めしそうに見つめる。

杏子「こいつ、鬼だな」
さやか「…そうだな」

二人の少女はブツブツと恨み事を垂れ流す。

ハンター「ん?何かいったか?」

男はまたしても笑顔で答えるがやはり目の奥が笑っていない…。

杏子・さやか「…。」

男の異様な迫力にとうとう二人は文句を言うことをやめる。

すっかり大人しくなった二人を見て男は口を開く。

ハンター「それより雨宿りできる所を探さないとな。」

当然ではあるが男もずぶ濡れである。


157 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/10(金) 18:42:09 zJwqG5Fg 138/413

杏子「あ~ぁ、あんたには参ったよ。」

杏子「とりあえず手頃な雨宿りの場所ならあるけど二人とも来るかい?」

本格的に降って来た雨の中、三人は神社にせを向ける。

そして先程の短いやりとりを見て男は思う。

あの二人は実は気が合うんじゃないか…と。

杏子「おい!さっさと来いよ、何してんだハンター!」

さやか「早くしないと置いてっちゃいますよ~?」

少女達に急かされて男も神社を後にした。


159 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/10(金) 19:56:30 zJwqG5Fg 139/413

― 夕方 ―

~見滝原 教会 ~

杏子の案内により一行は町外れの教会についた。

偶然にも神社の裏手からはものの五分ほどの距離だった。

杏子「全く、散々な目にあったな。」

さやか「元はといえばあんたが…」

ハンター「はいはい、そこまでだ。」

男は面倒くさそうに体を拭いている。

この教会のタオルを杏子から借りたのだった。

そして教会で変身を解いた少女達の元の服は全く濡れていないので男は自分だけが損したような気分になっていた。

杏子「そういえばお前さぁ…」

ふいに杏子はさやかへ話掛ける。

さやか「なんだよ?」

さやかは不機嫌そうに答える。

初対面で踏みつけにされたのだから無理も無い。


160 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/10(金) 20:31:49 zJwqG5Fg 140/413

杏子は構わず続ける。

杏子「さっき魔法少女は人の為に戦うものだとか言ってたよな?」

さやか「それが何よ?」

杏子「おまえ、何の為に魔法少女になったんだ?」

さやか「だから何であんたなんかに…。」

そこで二人の会話を傍観していた男が口を開く。

ハンター「それは俺も気になるな…」

さやか「…!ハンターさん!?」

思わぬ質問に少女は驚く。

ハンター「ほら、町で会ってイキナリ“魔法少女始めました”みたいに言われたからさ。」

さやか「いや、そんな軽いノリじゃありませんからっ!」


162 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/11(土) 11:53:08 j7AOT.gw 141/413

さやか「あたしはちゃんと考えて恭介のために…」

杏子「…!…お前、他人のことを願って魔法少女になったのか!?」

ハンター「……。」

杏子「やっぱりお前馬鹿だろ?願いを他人の為になんて…」

さやか「さっきからひとのこと馬鹿、馬鹿って言うな!」

再び不穏な空気が漂い始める

男は頭を拭く手を止め様子を静かに伺う。


163 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/11(土) 12:20:38 j7AOT.gw 142/413

さやか「それに他人の為だけじゃない…」

さやか「あたしは“あいつ”の喜ぶ顔を見たいあたしの為にも願ったんだ!」

杏子「…後悔することになるぞ?」

さやか「あたしは後悔したりしないッ!」

杏子「…」
さやか「…」

二人の間の空気が張りつめる。


164 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/11(土) 12:37:18 j7AOT.gw 143/413

杏子「やれやれ…これだからシロートは…。」

さやか「…なっ!?」

杏子「ま、せいぜい頑張りな。」

さやか「…ふんッ。」

その時、男の腹から情けない音が鳴った。

ハンター「そういえば腹が減ったな。」

杏子はやれやれ、といった顔で服のポケットを探る。

そしてチョコレート菓子を取り出して男に差し出した。

男は礼を言うとそれを受けとる。

杏子「お前も食うか?」


杏子はさやかに手を差し出す。


165 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/11(土) 12:55:36 j7AOT.gw 144/413

さやかは差し出された手からチョコレート菓子を受け取ろうとして…。

さやか「やっぱ、あたしはいい。」

それを見た男は間髪入れずに言った。

ハンター「もらっといた方がいいよ。雨が止むまでしばらく出られないし…」

ハンター「それに…食える時にちゃんと食っとかないとな。」

さやか「…。」

さやかは杏子の手から菓子を受取り礼を言った。

さやか「…ありがと。」

杏子は満足気に答える。

杏子「それでいい。人の施しは素直に受けるもんだ。」

ハンター「そのとおりだな。」

杏子「お前はもうちょっと遠慮しろ…」

ハンター「良くそう言われるな」


166 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/11(土) 13:52:32 j7AOT.gw 145/413

しれっと答えるその男を見て杏子は笑う。

杏子「はは…。やっぱ変なヤツだな、あんたは。」

それにつられてさやかも笑う。

いつの間にか教会は穏やかな空気に包まれていた。

さやか「そういやさ…」

杏子「ん?」

さやか「あんたはどうして魔法少女になったのさ?」

さやかの問いに少し間をおいて少女は答える。


杏子「…そんな昔のこと、とっくに忘れちまったよ」

さやか「何それ?あたしのことだけ聞いといてズルくない?」

杏子「まぁ、またいずれ…な?」

さやか「なんだかなぁ…」


167 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/11(土) 14:15:04 j7AOT.gw 146/413

杏子「それはそうと、だ。」

少女は強引に話題をそらす。

杏子「ハンター、お前は何者なんだ?」

ハンター「そういや、言ってなかったな…俺はモンスターハンターだ。」

杏子「モンスターハンター!?…聞いたことはあったけど実際にいるんだな…。」

ハンター「あぁ。それも君の目の前にな。」

杏子「ははッ!違いねぇ。」


168 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/11(土) 14:46:28 j7AOT.gw 147/413

杏子「でも何でまた狩人になろうと思ったんだ?」

杏子「それこそあたしら魔法少女みたいに危険だろうに…。」

さやか「あ!それ、あたしも気になります!」

今度は男が問われる番だ。男は急に真剣な表情になった。

ハンター「……。」


さやか「…?ハンター、さん??」

杏子「…??」


169 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/11(土) 14:52:39 j7AOT.gw 148/413

ハンター「…そんな昔のこと、とっくに忘れちまったよ。」

杏子「あっこらお前!真似すんな!!」

さやか「あははは…似てる似てる!!」

杏子「どこがだ!全ッ然似てねぇよッ!」

杏子「ってか真面目に答えろよ!」

ハンター「…またいずれ、な?」

さやか「あはははは…!」


杏子「お前は笑いすぎだ!!」


170 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/11(土) 15:10:50 j7AOT.gw 149/413

しばらくして雨が止んだので男とさやかは杏子に声をかけて教会の入り口へ向かう。

そこで男はポーチから何やら取りだし振り返る。

ハンター「世話をかけたな。」

そう言うと男は干し肉を少女に手渡す。

杏子「気にすんな。」


男は再び踵を返し、少女とともに教会を後にした。


171 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/11(土) 15:23:14 j7AOT.gw 150/413

ひとり教会に残された少女は手渡された干し肉をかじる。

杏子「…かってぇなこれ。」

そして教会を去った男と少女のことを考えていた。

杏子(さやか…か。あいつを初めて見た時なぜかイラついたのは…)

杏子(昔のアタシに似てたからかもな。)

杏子(誰かの為の願い…か。)

杏子「あいつは後悔せずに進んでいくんだろうか?」


172 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/11(土) 15:43:27 j7AOT.gw 151/413

杏子(あたしは…まぁ過ぎたことだな。)

杏子「それにしても…。」

少女は先程の男の態度に気にことがあった。

男は狩人になった理由を聞かれた時、適当にはぐらかされた。

だがその直前の僅かな沈黙と真剣な表情から何か感じるものがあった。

杏子(確かあいつも“自分の為にしか祈らない”って言ってたな。)

杏子「あいつはもしかしたら…。」

…自ら望んでモンスターハンターになった訳ではない…もしくは狩人になったことを後悔しているのかもしれない…

なぜか杏子はそんな気がしてならなかった。

杏子「…まさかな。……あたしじゃあるまいし…。」
そう呟き少女は教会の遅の部屋へと消えていった。


173 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/11(土) 16:11:25 j7AOT.gw 152/413

~見滝原 市街地~

さやか「じゃあ、あたしはこっちなんで!」

ハンター「そうか。気をつけてな。」

さやか「はいっ!」

途中まで一緒だった男と別れ、少女は家路を急ぐ。

その道中一人になった少女は考え事をしていた。

さやか(…恭介が退院したら、一緒にデートか…。)

少女はそれだけでも自分が魔法少女になった甲斐があると思った。

しかし気掛かりなこともある。
魔法少女になった以上、自分の身には常に危険が付きまとう。
せっかく上條少年と恋人同士になれたものの…自分のせいで彼を悲しませてしまうかもしれない。

さやか(…やっぱり、恭介は仁美にまかせた方が…。)

さやか「…いや、そんなことない!」

彼女は弱気な考えを振り払うかのように首を振る。

さやか(あたしは絶対後悔したりしない!)

少し臆病風に吹かれた自分を奮い立たせ、少女は家へと急いだ。


174 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/11(土) 16:41:46 j7AOT.gw 153/413

― 夜 ―

~ 見滝原 ほむらの家 ~

男は玄関のドアを開けると見慣れない靴が二足ある。

男は気になりつつもリビングへ向かう。

ハンター「ただいま。」

ほむら「おかえりなさい…遅かったわね。」

マミ「こんばんわ、ハンターさん。」

まどか「お邪魔してます。」

ハンター「あぁ、ちょっとね。」

まどか「そんなことより…ほむらちゃん!」

マミ「うふふ…そうね。」

ハンター「…??」


175 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/11(土) 17:46:17 j7AOT.gw 154/413

ほむら「ハンター、あなたに…こ、これを。」

ハンター「これは?」

ほむら「PHSよ、持ってたほうが何かと便利でしょ。」

まどか「放課後にお店に寄って皆で選んだんだよね!」

マミ「ちなみに私達三人の連絡先はもう登録されてますから。」

ハンター「そうか。ありがとな、ほむら。それにみんなも。」

男は皆に礼を言ってプリペード式の携帯電話を受け取った。


176 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/11(土) 18:09:39 j7AOT.gw 155/413

まどか「ティヒヒ。喜んでもらえてよかったね、ほむらちゃん。」

ほむら「まどか!?」

マミ「すごく真剣に選んでたものね。」

ほむら「…。」

ハンター「大事に使わせてもらうよ。」

ハンターは受け取ったPHSをポケットにしまう。

マミ「じゃあ私達はそろそろお暇させてもらうわ。」

まどか「そうだね!あんまり二人の邪魔しちゃ悪いしね~。」

ほむら「もう!まどか!」


まどか「ティヒヒ。じゃあね~。ほむらちゃん。」

マミ「お邪魔しました。」


178 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/11(土) 18:28:04 j7AOT.gw 156/413

ほむら「まったく…。騒々しいんだから。」

ハンター「はは…。けど一人でいるよりもいいだろ。」

ほむら「そうね。」

淀みなく答える少女を男は穏やかに微笑む。

ハンター「そういえば君らの方こそ随分遅くまで遊んでたんだな。」

部屋の時計の短針は8時を差している。

ほむら「えぇ。それは…。」


179 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/11(土) 18:47:45 j7AOT.gw 157/413

ほむらの談によると、午後三時頃に授業が終わり、その帰りに三人で携帯ショップで買い物をしたらしい。

店を出てしばらく歩くと、先に帰ったはずのクラスメイト、仁美の後ろ姿を発見。

だが、うつ向きがちでどうにも様子がおかしいので後をつけると人気のない廃ビルに着いた。

そこで結界と魔女を確認したため、マミと共闘してこれを撃退。

そして、結界が消え、そばで気を失っていた仁美を介抱して自宅へ送り…。

店で買ったPHSを渡す為に三人でほむらの家行って男の帰りを待っていたそうだ。


180 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/11(土) 19:04:22 j7AOT.gw 158/413

ハンター「そうか…そんなことが。すまない。」

少女から話を聞いたあと男はバツが悪そうな顔で謝った。

ほむら「気にしないで。大した相手ではなかったわ…それに…」

ハンター「それに?」

ほむら「本来ならさやかが倒すはずの魔女だったから…」

ほむら「さやかが魔法少女になっていない以上、私達が戦うのは必然なのよ。」

ハンター「………。」

ほむら「…?どうしたの?」

ハンター「ほむら、そのこと何だが…。俺が今日帰るのが遅くなったのは……。」


181 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/11(土) 19:18:27 j7AOT.gw 159/413

男は今日の出来事を話した。

午前中に市街地を散策していると、さやかに遭遇。

さやかから悩みが解決したことと同時に自分が魔法少女になったことを告白される。

その直後使い魔を発見し追跡すると、もう一人の魔法少女、佐倉杏子が表れ、二人の魔法少女は険悪な雰囲気になる。

しかし、男の機転で二人の激突は回避され、途中降って来た雨をしのぐ為に教会へ。

雨が止むのを待つ間、三人で雑談を交し、天候が良くなったのを見計らって帰って来た。


182 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/11(土) 19:30:59 j7AOT.gw 160/413

ほむら「そう…さやかが魔法少女に…。」

男の報告を聞いた少女の表情が堅くなる。


ハンター「あぁ。だが魔法少女になったのは自分の為だと言っていた。」

ほむら「そうね。さやかの悩みが解決されたのだから…」

ほむら「魔女になってしまうことはないと思うけど…。」

懸案事項が増えた事に二人の顔は少し暗くなった。

ハンター「まぁなるようになるさ。」

ほむら「…そう、よね。」

重くなった空気の中、男は申し訳なさそうに口を開く。

ハンター「それとさ、ほむら。」

ほむら「なにかしら?」


183 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/11(土) 19:50:19 j7AOT.gw 161/413

ハンター「先に風呂に入らせてもらっていいか?まだ服が生乾きなんだ…。」

ほむら「…え?」

男の髪が乾いていた為に先程から誰も気が付かなかった。

そう言われてみれば男はどことなく寒そうにしている。

ほむら「どうしてそれを先に言わないの!」

ハンター「君らがせっかく俺にプレゼントを買って来てくれて、楽しそうにしてるところに水を差すのもどうかと思ってな。」

ほむら「まったく…まどか達といい、あなたといい…。」

ほむら「…それより早くお風呂に入って頂戴。…風邪を引かれたりしたら迷惑だわ。」

ハンター「は、はは…。そうさせてもらうよ。」

少女の許可を得て男は浴室へ入っていった。
一人になった少女は呆れたような、それでいておだやかな笑みを浮かべてそっと呟く。

ほむら「……ばか。」


188 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/12(日) 13:53:00 Mi0Q10Kc 162/413

浴室に入った男はすでに湯がはってあった浴槽に浸っていた。

恐らくは雨が降る中、帰ってくる男の為にほむらが風呂の準備してくれたのであろう。

ハンター「あぁ~、いい湯かげんだ…。」

冷えた体が温まる。
心の中でほむらに感謝しつつ、これまでの事を回想していた。

ハンター(明日でここに来てから五日目か…。)


ハンター(ワルプルギスの夜の出現はまだ先だとほむらは言っていたが、いつなんだろうな。)

ハンター「…魔法少女、か。」


189 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/12(日) 14:16:25 Mi0Q10Kc 163/413

男は頭の後ろで手を組み、足を伸ばして呟く。

今回の依頼の書類を受けた時、依頼人の名前として記されていた“魔法少女”。

依頼人が狩人に依頼を出す時に便宜上、偽名を使うことは少なくない。

だから依頼を受けたこの男もそれ以上の意味はないと思っていた……ほむらから事情を聞かされるまでは。

ハンター「自身の願いと引き替えに、過酷な運命を背負わされた少女達…。」

ハンター「何とかして彼女らをその運命から解き放つ方法は無いものか…。」


190 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/12(日) 14:29:09 Mi0Q10Kc 164/413

組んでいた手を解き、男は天井を見上げる。

ハンター(しかしまぁ、そんな過酷な運命と引き替えにしても彼女らは自分の道を選んだんだんだよな。)

ハンター「俺は…ある意味狩人として生きることしか選べなかったがな。」

男は大きく伸びをすると、湯船から立ち上がり浴室にを後にした。


191 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/12(日) 14:51:51 Mi0Q10Kc 165/413

男が風呂から上がると、二人で食事を摂り、今日のことを改めて話し合った。

その後、男は「先に休ませてもらう」と言い残すと部屋へ戻った。

少女はそんな男に「おやすみなさい」と声をかけた。

ほむら(ハンター…)

一人になった少女は今日の出来事で一番気になった事を思い返していた。

ほむら(“俺は狩人として生きることしか選べなかった”って…どういうことかしら?)

少女は先程、男の入浴中に、彼の服を踊り場の洗濯機に入れようとた時。

男の何気ない独白を聞いてしまったのであった。

ほむら(あの人も色々複雑な思いを抱えているのかもしれないわね。)

少女は、普段の瓢々とした態度からは想像もつかなかった彼の心の闇をかい間見たような気がした。


192 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/12(日) 17:58:01 Mi0Q10Kc 166/413

― 深夜 ―

~見滝原 某所~

夜も更け、人々が寝静まった頃、街を見渡せる電波塔の上に“彼”はいた。

キュウベェ「さて…杏子がこの街に来て動き出したようだね。」

キュウベェ「それに、どういうわけか、さやかも魔法少女になってくれた…。」

キュウベェ「これで全ての役者が揃ったわけだね。」

そこまで言って“彼”はその無機質な表情のまま、空を見上げる。

キュウベェ「…後はまどか、君に魔法少女なってもらうだけだ。」

キュウベェ「準備は整った。次は必ずボクと契約してもらうよ…。」

再び街を見下ろす“彼”は静かに電波塔から姿を消した。


193 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/12(日) 18:32:26 Mi0Q10Kc 167/413

― ??? ―

男は夢を見ていた。
彼が狩人になる少し前の頃の夢を…。

???「ハンター!早く早く!こっちよ!」

ハンター「そんなに急ぐと危ないぞ。」

(…やめろ。)

???「ハンター…私ね、もう少ししたら…。」

ハンター「はは…。どうしたんだ?急に。」

(……やめろッ!!)

………。

???「はぁはぁ…ねぇ……ハン…ター……。」

ハンター「もういいッ!…もうしゃべるな!」

???「いいの…もう……それより……ハンター……」

『……私のやってきたことは…所詮…何の意味もなかったのかしら……』

(やめろおぉぉぉおお!!)


194 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/12(日) 18:45:59 Mi0Q10Kc 168/413

― 朝 ―

~ほむらの家 男の部屋~

???「…て…ンター!…?起きて!!ハンター!!」

ハンター「……ッ!はッ!?」

ほむら「やっと起きてくれたわね。…ひどくうなされていたようだけど?」

ハンター「…君……は?」

男を起こしに来たほむら。
彼女の顔に夢の中の少女の面影が被る…。

ほむら「まだ寝惚けているのかしら?それより急いで支度してちょうだい。」

慌てた様子の彼女を見て男の意識は現実へと帰る。

ハンター「…何かあったんだな?」

男の問いに少女は無言で頷く。


195 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/12(日) 20:53:44 Mi0Q10Kc 169/413

ほむら「今、さやかから電話があったの!」

ほむら「学校の門の近くに魔女の結界を見付けたから先に向かうって!」

ハンター「…!?」

少女の話を聞いて男にも緊張が走る。

ほむら「巴さんにも連絡を入れたって言ってたけど…。」

ハンター「心配だな。俺たちも急いで向かおう!」

ほむら「…えぇ!」

男は急いでポーチの中身を確認し、支度を済ませると、少女と共に見滝原中学校へ急いだ。


197 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/12(日) 21:10:37 Mi0Q10Kc 170/413

~見滝原 見滝原中学校~

ほむら「私達の学校が見えて来たわ!」

ハンター「…あれか!」

懸命に走る二人の前に学校の門が見えて来た。

日曜日の朝と言うだけあって人気はほとんどない。

ほむら「学校に結界が出来るなんて…“今まで”そんなこと一度も…。」

そんな彼女の言葉を聞いて男は少し不安になった。

今朝見た久しぶりに見た“あの夢”。

“あの夢”を見た日は決まって良からぬことが起こるというジンクスがあったからだ。

ハンター(…何事もなければいいが……。)


198 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/12(日) 21:30:34 Mi0Q10Kc 171/413

さらに学校が近くなってくる。

すると、二人の前に同じく懸命に走って来る人物が見えてきた。

それは巴マミと…まどかであった。

ほむら「巴さん…ッ!…どうしてまどかまで!?」

四人は校門の前で合流する形になった。

マミ「暁美さん…それは…。」

まどか「今日は朝からマミさんに会う約束をしてたの!…それで…」

マミ「まどかちゃんが私の部屋に来てすぐさやかちゃんから電話があって…。」

ほむら「…ダメよまどか!…あなたはやっぱり帰って…!」

まどか「…私も一緒に行く!」

ほむら「…でも!」

男は一つ思案した後、口を開く。

ハンター「わかった。…だが危なくなったらすぐに逃げるんだよ!」


199 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/12(日) 21:41:55 Mi0Q10Kc 172/413

ほむら「ハンター!?」

ハンター「これだけ人数がいるんだ…恐らくは問題ないだろう。」

まどか「…ほむらちゃん。」

まどかは懇願するようにほむらを見つめる…。

ほむら「…わかったわ。」


まどかの必死な態度に少女は渋々同行を認めた。


まどか「…!ほむらちゃん!」

マミ「良かったわね。まどかちゃん!」

ハンター「良し。そうと決まれば俺達も先を急ごう!…さやかちゃんが心配だ。」

男の言葉を聞くと、三人の少女は真剣な顔で頷いた。


200 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/12(日) 21:54:48 Mi0Q10Kc 173/413

男と少女達が校門付近の結界内に突入して暫く後…。

杏子「ホントだ。おまえの言う通り結界が出来てるな。」

キュウベェ「君たち魔法少女のサポートをするのがボクの役目だからね。」

杏子をここへ導いた張本人は当然と言わんばかりにそう答えた。

杏子「まぁ何だっていいや。…あたしはあたしのやりたいようにやるだけさ!」

少女は魔法少女へと姿を帰ると、昨日、男から受け取った干し肉をくわえながら結界の入り口を開いた。

キュウベェ「……。」

そして、少女の後ろ姿に彼も続いて結界へと入って行った。


201 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/12(日) 22:12:46 Mi0Q10Kc 174/413

~学校の結界 最深部付近~

朝から恭介の見舞いに行く途中で偶然結界を見付けた少女は最深部へ辿り着こうとしていた。

さやか「もうすぐ退院する恭介に会ってデートの日にちを決める予定だったのに!」

少女は忌々しく吐き捨てる。

さやか「それにしても変だなぁ…。」

魔女の気配にかなり近付いているのに使い魔が全く現れない。

そして何より結界内部の景色が今までと明らかに違う。

さやか(…真っ白だ。)

この結界内部の景色は白一色でただひたすらに一本の道が続いている。

さやか(考えてても仕方ないか。それに後からみんなも来てくれるし…)

さやか「まぁこの魔法少女さやかちゃんがさっさとやっつけちゃえば済む話だしね!」

そして彼女はさらに歩みを進めて行く…。


202 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/12(日) 22:21:50 Mi0Q10Kc 175/413

~学校の結界 最深部~

さやか「あれは…魔女……なのか?」

少女は結界の最深部、一際広い空間に到着した。


その中央には卵型の“オブジェ”が配置されている。

魔女?「」

少女は剣を正面に構え、様子を伺う。

さやか「…?」

さやか(何もしてこない?というより動かない??)


203 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/12(日) 22:31:43 Mi0Q10Kc 176/413

一向に動く気配すら見せないこの結界の主を見て少女は構えを解いた。

さやか「…何だコイツ?」

不審に思いつつも少女は警戒しながらその巨大な“オブジェ”に近付いていく。

さやか「そういやこれって何か…」

……あたしらのソウルジェムとそっくりな形してるなぁ……

ふとそんなことを思い、少女が巨大なソウルジェムのようなモノに触れたその時…!

さやか「な…何よこれ!……うわあぁぁ…!!」

少女は最深部を覆い尽すほどの眩い光に飲み込まれた。


204 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/12(日) 22:49:19 Mi0Q10Kc 177/413

~学校の結界 通路~

結界に突入した四名は先を急いでいた。

ほむら「そろそろさやかに追い付くわ。」

マミ「そうね。魔女の気配が近いわ!」

まどか「…さやかちゃん。」
そこで男は立ち止まりほむらに話かける。

ハンター「ほむら…俺の甲冑を出してくれ。」

ほむら「えぇ。わかったわ。」

男は背負っていた太刀を下ろし、ジャケットを脱いで少女に渡す。

そしてほむらは男のジャケットを受取り盾ち“収納”すると、甲冑を取り出して渡していく。

男は少女から渡された甲冑を足具、胴、腕甲、兜の順に装着していく…。


205 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/12(日) 23:10:59 Mi0Q10Kc 178/413

全てのパーツを装着すると最後に男は目元を格子状に保護するフェイスガードを下ろして太刀を背負う。

すると彼は胴は和風で残りは西洋風な独特の姿になった。

鎧は黒一色で継ぎ目などに黒い毛のような素材がふんだんに使われている。

マミ「わぁ…まるで漆黒の騎士様みたいですね。」

ほむら「…。」

まどか「ティヒヒ。どうしたのほむらちゃん?」

ほむら「な…なんでもないわ」ファサ…

ハンター「待たせたな。さぁ、先を急ごう!」

漆黒の騎士を先頭に魔法少女達は先を急いだ。


206 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/12(日) 23:42:41 Mi0Q10Kc 179/413

~学校の結界 最深部~

男達は一本道をひたすらに進むと広大な空間に出た。

そこはコンサートホールのような風景で観客席には指揮者の姿をした無数の使い魔が配置されている。

コンサートホールの中央には人魚のような風貌の大きな魔女がたたずんでいる。

さらにその魔女の腹部は巨大なソウルジェムのようなものが埋め込まれていて…。

まどか「…!さやかちゃん!?」

その中には磔にされたキリストのような格好でさやかが取り込まれている!!

ほむら「これは…!?」

マミ「さ、さやかちゃん!」

異様な風貌の魔女を見た少女達は思わず声をあげた。


207 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/13(月) 00:11:51 WA9Zw7c2 180/413

男はほむらに駆け寄り小声で耳打ちした。

ハンター(…さやかは魔女になってしまったのか?)ボソッ

ほむら(わからない…わからないわ!“今まで”にこんなこと…一度も!!)ボソッ

うろたえる一同を前に、人魚の魔女はその三つの目で少女らを捕える。

オクタヴィア「………ッ!!」

ハンター「気付かれた!…仕掛けて来るぞ!!」

人形の魔女は手に持ってある剣を振りかざす!

そこから無数の歯車がこちらに向かって飛来する!

ハンター「ほむらはまどかを守るんだ!…マミには俺の援護を頼む!!」

まどか「……!」
ほむら「わかったわ!」
マミ「わかりました!!」


208 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/13(月) 00:29:37 WA9Zw7c2 181/413

男は号令を飛ばすと大太刀の柄に手を掛け、魔女に向かって疾走する。

マミ「ハンターさん!援護します!!」


マミは男に向かって飛来する歯車を召喚したマスケット銃で撃ち落としていく。

ハンター「さすがだな!…いい狙いだ!!」


ほむらはまどかを抱きかかえて後方へ飛び退く。

そしてまどかを下ろすと、盾から取り出した拳銃を両手に持ち、自身を狙う歯車を撃墜していく。

ほむら「まどか!私の側から離れないでね!」

まどか「うん!わかったよ、ほむらちゃん!」

彼らは二組ずつに分かれて戦闘を開始した。


209 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/13(月) 01:01:54 WA9Zw7c2 182/413

男は人魚の魔女との距離を詰めつつ呼び掛ける。

ハンター「さやかッ!俺の声が聞こえるか!?」

さやか「……」

魔女の腹部の中で磔になっている少女は目を閉じたままで反応がない。

オクタヴィア「…!!」

魔女は正面から迫り来る男に両手の剣を左右から振り下ろす。

ハンター「どけぇ!…邪魔だ!!」

男は目にも止まらぬ早業で刀を抜き放ち魔女の右手の剣を打ち払う。

そして魔女の左手の剣が男に迫ったその時だった。

ほむら「させないわ!」


オクタヴィア「!??」


ほむらは右手の拳銃を捨て盾から取り出したロケットランチャーから榴弾を放った。

次の瞬間、爆風と共に魔女の左手は消し飛んだ!


210 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/13(月) 01:17:21 WA9Zw7c2 183/413

ハンター「今だ!」

これを好機と見た男は魔女の腹部へと跳躍する。

そしてさやかを閉じ込める巨大な卵型のか球体に斬りかかる。

ハンター「…!?」

だが、甲高い金属音と共に刃は弾かれる。

ハンター「クソッ!!」

男は飛び退いて距離を取り、太刀を鞘へ納めて様子を伺う。

すると…。

オクタヴィアの左手が再生していく!!

ほむら「魔女の腕が!?」

少女は思わず感嘆の声をあげる。

さやか「…う…うぅ…あ゛あぁぁ……」

まどか「さやかちゃんが!!」

人魚の魔女の腕が再生され、さやかの口からうめき声が漏れる。

マミ「さやかちゃんの魔力が…!」


211 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/13(月) 01:30:13 WA9Zw7c2 184/413

ハンター「どういうことだ!?」

マミ「腕が再生された時にさやかちゃんの力が吸われたようです」

ハンター「何だと!?」

確に、さやかはさっきより苦しそうだ。

ハンター(これは無闇に攻撃できんな…。)

???「そいつはあたしがもらった!!」

四人の後ろから現れたその人物は人魚の魔女に向けて槍を等擲する。


214 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/13(月) 18:28:25 WA9Zw7c2 185/413

等擲された槍は一直線に魔女へと向かい、その頭部をふっ飛ばした。

ハンター「杏子!ヤツには下手に手を出すな!」

漆黒の鎧を纏った男は槍を放った少女に向けて叫ぶ。

杏子「その声はハンターか。そんな格好してるから誰かと思っちまったよ!最近はホントよく会うな!!」

杏子は男に不敵な笑みを浮かべて答える。

マミ「…杏子…ちゃん…。」

そんな少女にマミは不意に声を掛けた。


杏子「……あんたもいたのか…。」

マミの姿を確認したとたん杏子の顔が無表情になっていく。

男は二人の間に流れる妙な空気が気になったが今はそれどころではない!


216 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/13(月) 18:55:32 WA9Zw7c2 186/413

ハンター「それよりヤツを良く見てみろ!」

男は魔女の方を指差している。

杏子がその先へ顔を向けると頭部を失ったはず魔女は頭を瞬時に再生した。

杏子「…!?なんだありゃ!…どうなってんのさ?」

さやか「あ゛…あぁっ…」


杏子「…!さやか!?」

思いもよらない所から聞こえてきたさやかのうめき声に少女は驚きを禁じ得ない。

ハンター「ヤツを痛めつければさやかも傷付くことになるんだ!」

杏子「それじゃあ…あの魔女とさやかは今…一心同体ってことかよ!?」


217 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/13(月) 19:24:46 WA9Zw7c2 187/413

???「まぁ確かにそうとも言えるね。」

杏子「…!どういうことだ!キュウベェ!!」

杏子の後を追ってきた彼は少女の型に飛び乗り話を続ける。

キュウベェ「今のさやかはまだ魔女と混じり合ってはいないけど…」

キュウベェ「…君達魔法少女と魔女は一心同体と言うよりも全く同じ物だからね」

マミ「…え…??」


ハンター(…!この話は!?…マズい!ヤツを黙らせないと!!)

男はほむらの方を見る。

彼女はこちらから随分離れている上に、飛来する歯車からまどかを守ることで手一杯だ。


218 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/13(月) 19:37:02 WA9Zw7c2 188/413

ハンター(今はほむらの魔法でどうにかするのは無理か!)

男も迫り来る無数の歯車から後方の杏子とマミを守るために文字通り手が一杯だ!

ハンター(くそ!ポーチの音爆弾さぇ使えれば高周波で邪魔できるんだが!!)

男は後方で、呆然と立ち尽くす二人の少女に向けて必死に叫ぶ。

ハンター「二人とも!そいつの話を聞くな!!」

しかし、少女達の耳には届かない。


219 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/13(月) 20:05:23 WA9Zw7c2 189/413

マミ「……。」

杏子「魔女と魔法少女が同じだと!?…聞いてねぇぞそんなこと!」

キュウベェ「…だって聞かれなかったからね。なんなら今教えてあげるけど…」

ハンター「マミ!杏子!…そんなヤツの話を間に受けるな!!」

男の叫びは虚しく木霊する。


そして彼はゆっくりと語り出す。

ソウルジェムとグリーフシードの秘密を…さらに、魔法少女と魔女の関係を…。


220 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/13(月) 20:12:02 WA9Zw7c2 190/413

杏子「…嘘、だろ?あたしらはソウルジェムに“汚れ”が溜れば…」

杏子「魔法が使えなくなるだけじゃなくて魔女になっちまうのかよ!?」

マミ「そんな…。私達は……。」


キュウベェ「本当さ。それにほら、君達の間では大人になる前の女性を少女と呼ぶんだろ?」

キュウベェ「だから君達は…」


キュウベェ「成長して魔女になる前の存在だから魔法“少女”なんだよ。」


221 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/13(月) 20:28:02 WA9Zw7c2 191/413

そこまで言い終えると、キュウベェは何も語らなくなった。

飛来する歯車を太刀で打ち払いつつ少女達の元へ徐々に後退して来た男に叩き斬られたからだ。

ハンター「…お前…ちょっと死んでろ…!」

切り捨てられた彼を見下ろして男は吐き捨てる。

しかし斬られたはずの彼と全く同じモノが再び最深部の入口から姿を現した。

キュウベェ「無駄だよ。この体はたくさんあるからね。」

そして先程まで彼の体だったモノを一口で平らげた。

キュウベェ「だからと言って無闇に殺されてもあまりいい気はしないけどね。」

ハンター「気色悪いヤツめ!」

いかなる手段か…不思議な方法で復活を遂げた彼を、男は忌々しく睨みつける。


222 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/13(月) 20:45:57 WA9Zw7c2 192/413

その時だった。

マミ「…イヤ……嫌あぁぁぁあああ!!」

突然のマミの絶叫。

マミは召喚した単発式マスケット銃を杏子に向ける。

その照準は杏子の襟元…彼女のソウルジェムに絞られる!

ハンター「……!」


それを見た男は背負っていた太刀の鞘のベルトを外し、太刀を腰に重心を低く構えた…。

マミ「どうせ魔女になるなら!…こうするしかないじゃない!!」

マミの二度目の叫びとともに狙い澄まされた銃弾が撃ち出された。


223 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/13(月) 21:01:27 WA9Zw7c2 193/413

杏子はただ呆けたように立ち尽くしている。

だがその凶弾は杏子のソウルジェムを捕えることなく両断される。

杏子とマミの間にいた男が放った居相斬りに阻まれたのだった。

ハンター「落ち着くんだマミ!…杏子もボケっとするな!!」

男の呼びかけに対し杏子は返事をするも目から光が失われている。

マミ「…邪魔しないで!」

ハンター「やめないかッ!!」

再びマミは銃を構える。
その間も歯車は飛来する!
ハンター(クソッ!このままでは防戦一方か!!)

ほむら「ハンター!…何かあったの!?」

遠くからほむらとまどかがこちらに駆けてくる。


224 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/13(月) 21:16:05 WA9Zw7c2 194/413

ハンター「来るな!!」

男はこちらへ駆け寄る少女達を遠ざけようとした。

マミは再び無数にマスケット銃を召喚し、今度はほむらに銃弾を放つ。

ほむら「…!?」

だが次の瞬間、ほむらとまどかはやや左後方へ瞬間移動した。

マミ「…!?」

ほむらは魔法で時間を止めてこれを回避した。

そしてキュウベェの姿を見付け大体の状況を把握する。

ほむら「…!キュウベェ、あなた!まさか!?」

キュウベェ「やはり君は知っていたようだね。でも君だけ知ってるのはフェアじゃないからさ…」

キュウベエ「ボクは親切心でみんなに教えてあげたんだよ??」


225 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/13(月) 21:29:34 WA9Zw7c2 195/413

ほむら「キュウ…ベェ……!!」ギリリッ

少女は怒りを露にし、キュウベェを睨みつける。

まどか「マミさん!…お願い!!落ち着いて!!」

まどかは必死に呼び掛けるも彼女は耳を借そうとしない。

ほむら(どうすれば!?…時間停止の魔法を使うべきかしら?)

しかし彼女の時間停止の魔法は無限に使える訳ではない。

彼女の盾に内蔵されている砂時計。
その中の砂の量だけ使用することができるのである。

ほむら(重火器を調達するために随分使ってしまったし…)

ほむら(ワルプルギスの夜との戦いにもこの力を残しておきたいから…)

ほむら(…ここで長時間、私の魔法を使うわけにはいかないわ!…でも!!)


226 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/13(月) 21:40:04 WA9Zw7c2 196/413

彼女があれこれ思案している間にもマミの凶弾と魔女の歯車が迫り来る!

ほむら「…くっ!…こんな!?」

彼女はマシンガンを取りだし魔女の歯車を撃ち落としつつ、
もう片方の手の拳銃でマミの狙撃に抵抗し、まどかを守る。


反対側では男も同じく魔女の歯車とマミの銃弾の嵐から杏子を必死に守っている…。

それはまさしく絶望の光景だった。


ほむら(何よ…これ。……これは、一体何なのよ!!)


227 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/13(月) 21:57:05 WA9Zw7c2 197/413

ハンター…あの男が力借してくれる今回は何もかもが順調だった。

間違いなくそのはずだったのに!

だが今は……。

マミの錯乱。
さやかの魔女化。
大きな戦力になってくれるはずの杏子の戦意喪失。

少女が何よりも恐れていた最悪の事態が、揃いも揃って襲いかかってきた!!

ほむら(“今回”も…ダメなの!?)

まどか「マミさん!どうしちゃったの!?こんなの…ひどいよ!!」

ほむら(どうすれば…!?)


228 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/13(月) 22:19:06 WA9Zw7c2 198/413

キュウベェ「ねぇ…まどか。ボクと契約する気はないかい?」

ふと気がつくとほむらとまどかの側に彼はいた。

まどか「…こんな時に何を言ってるの!」

まどかはふざけないでと言わんばかりにキュウベェに鋭い視線を向ける。

キュウベェ「君が魔法少女になれば、この場をなんとかできる!」

まどか「…え?…ホント…なの??」

少女は悪魔の甘言に耳を傾けてしまう。

ほむら「まどか!騙されてはダメよ!!…こいつの目的は…!」

キュウベェ「君はみんなを助けることができるんだ!…それともまた見てるだけなのかい?」

キュウベェ「…みんながやられるところを……。」

まどか「…!…わ、私は…。」

ほむら「まどかッ!!」

ほむらの声はもはや悲鳴に近くなっていた。


229 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/13(月) 22:38:41 WA9Zw7c2 199/413

この圧倒的な絶望の中、皆の目からは光が失われつつあった…。

そんな中、ただ一人…その双眸に鋭い光を湛えた者がいた。

ハンター(ナメるなよ!今まで伊達に化け物どもとやりあって来た訳じゃないんだ!!)

ハンター(…勝気は必ず来る!今はまだ、その気配が見えないだけだ!!)

男の心はこの深い絶望の中にあって尚も折れてはいなかった!


ハンター(ほんの少しでいい!僅な隙さえあれば…ッ!)

男は腰のポーチに視線を落とす。

ハンター(だが…今は両手が使えない!!)

ハンター「……?」

その時男はある事に気付いた。


230 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/13(月) 22:52:38 WA9Zw7c2 200/413

オクタヴィア「……アタシ…ハ…オマエ…ナンカニ…マケ…ナ…イ!」

人魚の魔女の口からノイズ混じりではあるが確かにさやかの声が聞こえる。

ハンター「……!」

魔女に取り込まれた少女もまだ諦めていなかった。

ハンター「…杏子ッ!…聞こえるか!!」

杏子「……??」

オクタヴィア「アンタ…ヲ…ヤッツケ…テ…キョウスケ…ニ…アイ…ニ…イクンダ!」

杏子「さや…か?」


ハンター「あいつは!…さやかはまだ諦めてないぞ!」


231 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/13(月) 23:03:54 WA9Zw7c2 201/413

その声を聞いた杏子は魔女に向かって問い掛ける。

杏子「なんでお前はそんなに頑張れるのさ!」

杏子「あたし達は遅かれ早かれ魔女になるしかないのに!!」

杏子「…あたしもお前も…人の為に祈ったが為に魔女なんかになっちまうってのにッ!」

オクタヴィア「ソレ…デモ…アタシハ…キョウスケ…ガ…スキ…ダカラ」

杏子「…!」


232 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/13(月) 23:24:57 WA9Zw7c2 202/413

オクタヴィア「アタシ…ガ…イナク…ナッタ…ラ…アイツハ…カナ…シムカラ…」

声がする間も魔女の攻撃は止まらない。
男は杏子を守っている。

オクタヴィア「ダカ…ラ…アタシ…ハ…マジョ…ニ…ナンカ…ナラナイシ…コンナ…ヤツニ…ダッテ…マケ…テ…ラレ…ナイ!!」

杏子「…!!!」

オクタヴィア「アタ…シ…ハ…アキラメ…ナイ…シ…コウカイ…モ…シタク…ナイ…カラ…」

オクタヴィア「サイゴ…マ…デ…ゼン…リョクデ…タ…タ…カ…ウ…。」

ハンター(さやか…あの時俺が病院で言ったことを覚えてたんだな…。)


杏子(あんたは誰かの為に祈って、こんな絶望をつきつけられてもまだ…)

杏子(さやかを助けられれば…あたしも…あたしを許すことができるかもしれない!!)


233 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/13(月) 23:44:45 WA9Zw7c2 203/413

杏子「ハンター!あたしは死んでもさやかを助ける!!」

杏子「だから!お前は、マミ…さんを頼む!!」

先程まで死んだような目をしていた少女の目にも光が宿る。

ハンター「…任せておけ!」

飛来する魔女の歯車を杏子は難なく弾き返す。


男は全神経をマミの方へと向ける。

ハンター「杏子!後ろは気にするな!…全力でぶつかって来い!!」

男は杏子の後ろ姿にそう言い放った。

杏子「ハッ!…任せたぜ!…“相棒”!!」

男と少女はそれぞれの相手に向かって疾走する。

この圧倒的絶望の前に、今…反撃の狼煙が立ち上がる!!


234 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/14(火) 00:19:09 UMVH1a1Q 204/413

ほむらは迷っていた…。

まどかの契約を阻止するため時間停止を使うか否かを…。

彼女は決断迫らる。

時を止めてまどかを逃がすべきか…?

それともこの場でまだ抵抗を続けるべきか…?

ハンター「ほむら!もう大丈夫だ!!」

ほむら(…ハンター!?)

気が付けばハンターはマミに向かって来ている。

そして魔女の車輪の飛来も止み、杏子が魔女へと距離を詰めている。

ハンター「君はまどかを守ることだけに専念しろ!!」

ほむら「わかったわ!」

まどか「…ハンターさん!!」

キュウベェ(……。)


236 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/14(火) 00:35:56 UMVH1a1Q 205/413

マミは男の接近を確認すると、男に銃口を向ける。

男はジグザクにサイドステップを折り交ぜ狙いをつけさせない!

すると男は腰のポーチから左手で黒い“球”を取り出した。

それを見たマミは一瞬顔を伏せる。

マミ「その手は食わないわ!!」

マミはその“球”を男が以前に使った“閃光球”だと判断したからだ。

ハンター(もらったッ!)

それを見た男は例の不敵な笑み浮かべている。

男のその表情を見たほむらも自然と胸が高鳴った。

ほむら(あの人が“あの顔”をした時は…。)

そう…何かが起こる!


237 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/14(火) 00:45:11 UMVH1a1Q 206/413

マミの手前に投げられたその“球”は例の閃光を発しない…。

…不発か?マミはふと顔をあげる。

男はマミに向けて投げたその“球”に向けて太刀の切っ先を突き出した!

刀の切っ先に貫かれた“球”からは液体が滴り、太刀の刃をじっとりと濡らす。

マミ(…!…フラッシュが来ない!?)

マミは慌ててマスケット銃を構え直す。

ハンター「遅いッ!」

ハンターはマミの直前で地面を転がってマミの射撃を避け…。

立ち上がりざまに銃を構える右腕を切っ先で薄く斬った!!


238 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/14(火) 00:55:36 UMVH1a1Q 207/413

マミ「…くぅっ……さすがですが…私はまだ…!?」

そう言い終わりかけた瞬間、マミの視界がぐにゃりとひさゃげた…。

ハンター「いや、もう勝負はついてる。俺の……勝ちだ!」

男は太刀をゆっくりと鞘に納める。

刀が鞘に収まり、鯉口から軽い金属音が鳴ると同時にマミは地に倒れ込んだ。


そこへほむらとまどかが駆け寄ってくる。


ほむら「何をしたの!?」

まどか「マミさん…大丈夫?」

ハンター「安心しろ…マミは少し“眠った”だけだ。」


239 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/14(火) 01:13:11 UMVH1a1Q 208/413

ほむら「ハンター!あなたどうやって魔法少女を気絶させたというの!?」


男は二人に事情を説明する。

男が先程使った“球”は獲物を捕獲する時の“麻酔球”だった。

それを“閃光球”だと思わせて隙を作り、切っ先で“麻酔球”を破って“麻酔液”を刃に滴らせ…。

そのままマミに斬り付け、昏倒させたのだった。

まどか「やっぱりハンターさんはすごい!!」


さらに男はほむらにだけ耳打ちでこう続けた。

ハンター(それに、ソウルジェムが魔法少女の魂である以上、魔法少女の身体にいくら物理ダメージを与えても気絶させることは不可能だから…)

ハンター(ならばと体自体を麻酔で行動不能にしたんだ。これならばソウルジェムの中に意識があったとしても完封できると思ったんだ。)

ほむら「……。」


240 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/14(火) 01:27:57 UMVH1a1Q 209/413

ほむらは文字通り開いた口が塞がらなかった。

それほどまでに驚いていたからだ。

まどか「…ねぇねぇ!二人で何の話してるの??」

ほむら(この人は…本当に…。)

…私達を救ってくれる希望の光なのかもしれない…

少女はもはやそう信じて疑わなかった。

まどか「……?」

不思議そうな顔をしているまどかと神妙な面持ちのほむらに男は話しかける。


ハンター「二人とも、マミを連れて結界から脱出してくれ!」

まどか「…!けどさやかは!?」

ハンター「大丈夫だ!俺と……杏子で必ず助ける!!」

ほむら「…まどか…私達は私達のできることをしましょう!」

まどか「そう…だね。……ハンターさん!さやかちゃんを…お願いします!」

ハンター「あぁ!任せておけ!…必ず君の元に連れて帰ってやるよ!!」

男の自信に溢れた返事に満足し、二人はマミを連れて最深部を後にした。


241 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/14(火) 01:55:42 UMVH1a1Q 210/413

一方、魔女の方へと向かった杏子は魔女の攻撃をいなしつつ、さやかへ呼びかける。

杏子「さやか!お前は絶対にあたしが助けてやるからな!」

杏子「だから…誰かの為に祈ることは間違いじゃないってことを…」

杏子「このあたしに証明してみせてくれ!!」

必死に叫ぶ杏子の目には泪がたまっていた。


オクタヴィア「キョウ…コ…アン…タ…モ…ダレ…カノ…タメニ…」

オクタヴィア「マホウ…ショウ…ジョ…ニ…ナッタ…ノカ…?」

杏子「あぁ!そうさ!あたしはなぁ…!!」

杏子は語気を荒げて自身が魔法少女になった経緯を語りだした…。


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243 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/14(火) 02:23:20 UMVH1a1Q 211/413

彼女には宣教師の父がいたこと。

宣教師として人から見向きもされない父の為に信仰が集まることを願って魔法少女になったこと。

しかし、人々の信仰が集まったのは娘の“願い”のお陰であったことを知ると、彼はその精神を病んでしまう。
そして、彼は妻と杏子の妹の三人と共に一家心中を図り、家庭は崩壊してしまったことを…。

杏子「だから!…だからあたしは人の為に祈ることを止めたんだ!!」

杏子「あたしの願いがみんなを不幸にしてしまったからッ!!」

オクタヴィア「…キョウ…コ…アンタハ…マダ…アキラメテ…ナイ…ジャ…ナイ」

独白を終えた杏子の目からは大粒の涙が溢れていた。
オクタヴィア「ダカラ…ソンナ…ニ…クヤシイ…ンダ…ロウ?…アンタ…モ…マダ…アキラ…メキレ…テ…ナイカ…ラ…」

オウタヴィア「キョウコ…アタシ…モ…!?ウゥッ…ア゙ァ…ア…」

杏子「さやか!?おい!しっかりしろ!!…さやかッ!!」

そこへマミとの一戦を終えた男が駆け付けた。

ハンター「杏子!?どうかしたのか?」

杏子「さやかの意識が!!」
ハンター「…!?」


248 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/14(火) 18:33:24 UMVH1a1Q 212/413

オクタヴィア「……」

魔女は無言で剣を振り下ろす。

男と少女はその剣に裂かれるようにそれぞれ左右に跳躍して回避する。

ハンター「さやか!俺達の声が聞こえるか!?」

さやか「…」

男は再び呼びかけるも反応はない。

杏子「待ってろよ!…今あたしらがなんとかしてやるからな!」

二人は魔女から繰り出される無数の車輪と斬撃を避け、あるいは受け流していく。

ハンター(先程キュウベェは言っていた。“さやかはまだ混じりあっていない”と。)

男はいつの間にやら姿を消したキュウベェの言葉を思い出していた。

ハンター(まだ魔女になっていないなら…助ける方法も存在するはずだ!)

ハンター(冷静に考えろ!…このまま、また防戦一方では俺達も、さやかも…!)

解決策を見い出そうとする男。そこへ少女から声をかけられる。

杏子「おい!ハンター!あれ…!!」


249 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/14(火) 19:05:55 UMVH1a1Q 213/413

ハンター「…!」

絶え間なく攻撃を続ける魔女はピタリと動きを止めた。

そして、魔女の両肩が盛り上がり、腕のようなモノが形成されようとしている。

ハンター(…?…気のせいか?)

魔女の両肩から二本の腕が形成されようとしているその時だった。

男にはさやかを孕んでいる魔女の腹部の球体の輝きが鈍くなっているように見えた。

男は魔女を凝視する…。

ハンター「…!やはり気のせいじゃない!!」

言うやいなや男は魔女の腹部に斬りかかった。


250 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/14(火) 19:22:16 UMVH1a1Q 214/413

杏子「ハンター!何してんだよ!…そんなことしたらさやかが!!」

男は鈍い手応えと共に弾かれた。

だが先程とは手応えが明らかに違う!

そして何より、杏子の位置からは見えなかっただろが…魔女の腹部の球体に僅なヒビが入ったのだった。

ハンター(今なら…!)

男は再び魔女に飛びかかろうと、正面を見据える。

だが人魚の魔女は完全に四本腕になった途端、腹部の球体は元の輝きを取り戻した。

ハンター(そううまくはいかんか…だが分かったぞ!)

ハンター「杏子!…見付けたぞ!さやかを助ける方法をなッ!!」


251 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/14(火) 19:47:08 UMVH1a1Q 215/413

杏子「本当か!?」

杏子は感嘆の声をあげる。

ハンター「あぁ!ヤツは体を再生させる時に腹部の輝きが鈍くなる!」

ハンター「その瞬間を狙えばこちらの攻撃が腹部に通るようになるんだ!」

ハンター「だから…」

杏子「二人で連携して、片方がヤツを痛めつけて、もう片方がさやかを助けるんだな!」

ハンター「そうだ!ただし、さやかの状態から考えてチャンスは多分、一回きりだ!」

杏子「…。」

ハンター「俺が道を開く!…さやかお前がその手で助けろ…杏子!」

杏子「一回きりねぇ…しくじんなよ?」

少女は口元をにやりと歪めて言い放つ。


ハンター「お前、誰に言向かって言ってるんだ?」

それに対し男もふてぶてしい笑みを浮かべて切り返す。


252 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/14(火) 20:00:08 UMVH1a1Q 216/413

ハンター「…準備はいいか?」

杏子「…あぁ!いつでも行けるよ!!」

杏子の返事を確認した男は無言で魔女に向かって走り出す。

その後ろ姿に少女は呟く。

杏子「わざとらしくさやかを助ける役目はあたしに回しやがって…」

杏子「まったく…粋なことしてくれんじゃねぇか」

しばらくして、少女は目を閉じて意識を集中していく…。

少女を中心として蛍のような球状の光の粒が集まっていく。


253 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/14(火) 20:20:09 UMVH1a1Q 217/413

猛スピードで接近して来る男を確認すると、
魔女はその四本の腕の剣を一斉に男に目がけて振り下ろす。

ハンター「見切ったッ!」


その内の一本を、男は腰に携えていた鞘から抜き放った居合いで腕ごと切り飛ばした!

だが魔女の残りの三本の腕はそんなことお構いなしに男に向かう。

人魚の魔女はその瞬間勝利を確信した。


男は再び太刀を腰の鞘に納めた。

次の抜き打ちは間に合う筈がない…と彼女は判断したからだ。


オクタヴィア「…!」

しかし次の瞬間、魔女の三つの目は大きく見開かれる!

男を捉えた筈の腕がことごとく彼に届くことなく宙を舞う…。


254 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/14(火) 20:35:53 UMVH1a1Q 218/413

(まさか全ての腕を居合で叩き斬っていったとでも言うのか!?)

と顔に書いてあるかのように魔女は驚愕の表情を浮かべた。

再び魔女の腹部の球体の輝きが鈍くなる。

もはや遮るものは何もない!

ハンター「杏子!…今だ!!」

男は振り返らず背後の少女に合図を送る。

杏子「おう!」

杏子は自身をとりまく光の粒を纏い、眩い光の玉となって一直線に魔女へと突撃する。


255 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/14(火) 20:57:45 UMVH1a1Q 219/413

杏子(さやか、絶対にあんたを魔女に成らせたりしない!!)

杏子はソウルジェムの力を解放し自身の魔力の全てをその身に纏っていた。

まさに玉砕覚悟、決死の行動だった。

あまりに眩いその命の光は人魚の魔女に激突し…。

その腹をぶち抜いた。

オクタヴィア「……!!!」


腹に大きな風穴を空けられた魔女は徐々に風化した岩のように体がさらさらと消えていく…。

魔女に引頭を渡したその光の塊からも同様に段々と輝きを失ってゆく。

そして、その輝きが失われると、さやかを抱き抱える杏子の姿がそこにあった。


256 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/14(火) 21:13:37 UMVH1a1Q 220/413

さやか「…杏…子?」

抱きかかえられたさやかは絞るようにして声を出す。
杏子「…なんだ?」

さやか「ありが…と…」

そこまで言うとさやかは事切れた。

杏子「さやか!?」

杏子は慌ててさやかの口元に耳を近付ける。

そこからは穏やかな呼吸が繰り返されている。

杏子「…バカ野郎。」

そのことに安心した彼女は小さく悪態をつくと、さやかをゆっくり下ろした。

そして立ち上がり男の方へ振り向いて…膝から崩れてしまった。


258 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/14(火) 21:38:32 UMVH1a1Q 221/413

ハンター「馬鹿はお前だ…。」

さやかの側に倒れ込む杏子。
彼女の襟元のソウルジェムは魔力を使い果たし、真っ黒に濁りきっている。

男は魔女から回収したグリーフシードを杏子に手渡した。

杏子「ははっ!…違いねぇ!」

杏子は渡されたグリーフシードを自身のソウルジェムに当て“汚れ”を浄化した。

杏子「悪いけど…後のことは頼むよ…“相棒”」

どうやらもう体が動かないらしい。

ハンター「しょうがないヤツだな…。」

男はそう言うと、さやかを背負い、杏子を抱きかかえた。

杏子「世話…かけちまうな。」

ハンター「気にするな…“相棒”」


そんな男の返事を聞いて少女は満足気に目を閉じた。

主を失った事により結界はその輪郭を失っていく。


259 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/14(火) 22:13:10 UMVH1a1Q 222/413

~見滝原 中学校 校門 ~

ほむら「…急がないと!」


少女は再び見滝原中学校の校門を目指していた。


先に結界を脱出していたほむらはマミを背負ってまどかと共に彼女のマンションへ向かった。

そしてマンションに着くとマミを自室のベッドに寝かした。

彼女が目覚めた時に再び暴れないよう、まどかと二人で見守るつもりだったが、

まどか「一人で大丈夫だから、ほむらちゃんは行ってあげて!」

と言われたので、学校に戻ることにした。

ほむら(…ハンターは…みんなは無事なのかしら?)

さらに走り続けると校門が見えてきた。

すると、校門付近の景色が歪み、男と彼に介抱されている二人少女が現れた。


260 : 以下、名無しが深夜... - 2012/02/14(火) 22:45:54 UMVH1a1Q 223/413

ハンター「ほむら!…マミはどうしたんだ?」

ほむら「彼女ならマンションに送ったわ。…まどかも一緒よ。」

ほむらは話しながら男からさやかを受け取り、背負う。
男も抱き抱えていた杏子を背中に背負った。

ほむら「あなたは本当に凄いわね。」

ハンター「ん?どうしたんだ、急に?」

ほむら「あの最悪の状況からみんなを救い出すなんて。」

ハンター「当然だろ?…君と約束したからな。」

ほむら「…。」

ハンター「ワルプルギスの夜の討伐と…みんなを助けることが今の俺の使命だからな」

ほむら「ふふっ…そうだったわね。」

少女は短く答えると先に歩き出した。


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