20 : 以下、名... - 2010/08/17(火) 17:02:38.90 9y/9rIV5O 1/53

屋上

「それで、私に話ってなに?」(ちょっと待てよ。屋上ってことはまさか……///)

「律先輩。私、ずっと前から悩んでることがあったんです」

「う、うん、なんだ?私でいいなら相談に乗るよ」ドキドキ

「ありがとうございます」

「…………」

「…………」

「は、早く言えよ」


元スレ
梓「律先輩に惚れ薬を使って私のことを好きにさせてやります」
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1282016793/

21 : 以下、名... - 2010/08/17(火) 17:07:35.71 9y/9rIV5O 2/53

「その……やっぱりここじゃ恥ずかしいです」

「へ?」

「律先輩のお家に邪魔してはいけませんか?」

「う、うん……いいよ」

「ありがとうございます、律先輩」

(ヤバい、マジ梓が可愛いすぎて直視できねえ///)

「じゃあ今から行きましょう」

「え? 今から?」

「はい!」

「……まあいっか」


22 : 以下、名... - 2010/08/17(火) 17:15:47.67 9y/9rIV5O 3/53

律の家

「お邪魔します」クルリ

(梓はえらいなあ。きちんと靴をそろえて)ジーッ

「どうしました?」

「へ? いやなんでもないっ! ホントになんでもないから///」

「顔赤いですけどね」

「と、とにかく私の部屋に行こう!」


26 : 以下、名... - 2010/08/17(火) 17:19:38.39 9y/9rIV5O 4/53

律の部屋

(よし、あとは私が告白すれば律先輩は私のものになる)

「律先輩の部屋って綺麗ですね」

「当たり前だろ? 澪の部屋とは違うぞ」

(……って部屋褒めてる場合じゃない)

「律先輩……」

「な、なに……?」

(さあ言うんだ……私!)


29 : 以下、名... - 2010/08/17(火) 17:25:35.81 9y/9rIV5O 5/53

「わ、私、律先輩に相談したいことがあるって言いましたよね?」

(お、落ち着け……落ち着け)ドキドキ

「う、うん……」

「あ、あれはですね」

(や、ヤバい……緊張しすぎて頭がおかしくなってきた///)ドキドキドキドキ

「わ、私……好きな人がいるんです///」ドキドキ
「だ、だ、だ、だ……誰なんだ?」

(ああああ緊張のあまり頭がおかしくなってる)ドキドキ

「そ、その人はいつも明るくて……///」ドキドキ
「う、うん」ドキドキ


30 : 以下、名... - 2010/08/17(火) 17:32:11.18 9y/9rIV5O 6/53

「ちょっと抜けてるところもあるけど……」ドキドキ

「あ、ああ」ドキドキ

「いつもみんなのことをきちんと考えていて……///」ドキドキ

「ほ、ほほう」ドキドキ

「……素敵な先輩なんです///」ドキドキ

「な、名前はなんて言うんだ?」ドキドキ

(いやつうか、絶対私のことだろ)ドキドキドキドキ

(でもヤバい。緊張しすぎて心臓の音がうるせー!)ドキドキドキドキ

ぷるるるるるるるる♪

(早く言えよ、梓ああああああ!)ドキドキ

「唯先輩……」

「へ?」


33 : 以下、名... - 2010/08/17(火) 17:36:37.43 9y/9rIV5O 7/53

「……唯先輩」

(……からメールが来た)

(タイミング悪すぎですよ、先輩! まあいいや。あとで返事しとこ)

「そ、それで、その人の名前は…………」ドキドキ


「」

「り、律先輩……?」


35 : 以下、名... - 2010/08/17(火) 17:42:48.84 9y/9rIV5O 8/53

「……唯先輩」


(な、なに? 今梓はなんて言った!?)

(ゆ、唯先輩!?)

(私じゃなくて、唯!?)


『そ、その人はいつも明るくて……///』

(確かに唯はいつも明るい)

『ちょっと抜けてるところもあるけど……』

(ちょっとどころじゃないけど)

『いつもみんなのことをきちんと考えていて……///』

(そうだな。唯は意外と思いやりのあるやつなんだよ!)

『……素敵な先輩なんです///』

(唯はたしかに素敵だあああああああああああああああああ)プシュー


36 : 以下、名... - 2010/08/17(火) 17:50:01.36 9y/9rIV5O 9/53

「あ、あの律先輩?」

「」プシュー

「律先輩!」

「…………………………………あ、ああすまないすまない」ハッ

「いささささか動揺してしまったよあはははは」

(え? なんか誤解してない?)

「安心しろ梓。理解は事情した」

「日本語が狂ってますよ!?」

「私はたとえ梓が唯に恋心を抱こうとも、否定しないさ。あははははは」

「え? ちょ、ちょっと先輩!?」


37 : 以下、名... - 2010/08/17(火) 17:55:50.31 9y/9rIV5O 10/53

「あははは、さあさあ梓は帰るんだ」

「まだ話は終わってません!」

(いけない!絶対に誤解してるよこの人!)

「わ、私が好きなのは……」

「わかっているよ。梓が好きなのは唯だろ?」

「けれど私は恋愛経験がないから相談には乗れない」

「いや、違うんです!違うんですってば!」

「トンちゃんにでも相談しな」ホイ

バタン


「誤解が解けぬまま部屋から追い出された……」

「律先輩の馬鹿……」シュン


38 : 以下、名... - 2010/08/17(火) 18:01:54.26 9y/9rIV5O 11/53

帰り道

(はあ……最悪)トボトボ

(惚れ薬が意味なく終わるなんて……)

ぷるるるる♪

「はい、もしもし」

『あ、もしもし、あずにゃん?』

「……なんですか?」



39 : 以下、名... - 2010/08/17(火) 18:07:44.82 9y/9rIV5O 12/53

『あずにゃん、機嫌悪いの?』

「どうしてそう思うんですか?」

『声が怒ってるような……』

「そうですよ!」

『へ?』

「唯先輩のせいです!」

『え? え? あずにゃん!?』

「…………すみません」

プチっ

(なにやってんだろ私?)

(自分が悪いのに人に八つ当たりして……)

「う……うわああああん」


41 : 以下、名... - 2010/08/17(火) 18:16:13.46 9y/9rIV5O 13/53

律の部屋

「……はぁ」

「……あずさぁ……」

(なんで私じゃなくて唯なんだよ……)

「…………ぐすっ……」


(……ワックスどこに閉まったけ?)


42 : 以下、名... - 2010/08/17(火) 18:20:50.72 9y/9rIV5O 14/53



「私の眉毛はとっても上手いのよ」

「あずにゃんも食べなよ」パクッ

「梓ちゃんももちろん食べるでしょ?」

「じゃあお言葉に甘えて……」

「いただきます」パク

「うまい……」




44 : 以下、名... - 2010/08/17(火) 18:26:49.43 9y/9rIV5O 15/53

「私、両方の眉毛がなくなると記憶が全部なくなっちゃうの……」

「あわわわ、た、大変だよ、あずにゃん!」

「ど、どうしましょう!?」

「そうだ!三角定規を使おう!」

「そんなもので……」

「ありがとう、唯ちゃん、助かったわ」


――――――――
―――――――――――
――――――――――――――

「……ん、夢?」

「……変な夢だったな」

「…………」

「そ れ だ 」


45 : 以下、名... - 2010/08/17(火) 18:28:40.96 9y/9rIV5O 16/53

「学校行ってきまーす」

梓母「今日はずいぶん早いわね」

「ちょっと用事があるの!」

梓母「気をつけていきなさいよー」

「行ってきます!」



46 : 以下、名... - 2010/08/17(火) 18:32:44.12 9y/9rIV5O 17/53

通学路

「この時間なら確実にムギ先輩と鉢合わせになる……」テクテク

「ムギ先輩のもってる忘れ薬を律先輩に飲ませれば……」

「律先輩は昨日のことを忘れる!」

「あ、ムギ先輩!」

「あら? 梓ちゃん? 今日は早いんだ」

「はい、それよりも先輩!」

「なに?」

「忘れ薬を私にもう一個ください!」

「…………」


47 : 以下、名... - 2010/08/17(火) 18:36:35.59 9y/9rIV5O 18/53

「……わすれくすり?」

「はい。忘れ薬です!」

「なんのことを言ってるの、梓ちゃん?」

「だ、だから忘れ薬です。もってるでしょう?」

「……よくわからないわ」

「あ」

(昨日、ムギ先輩に飲ませた忘れ薬は、忘れ薬の存在自体を忘れさせたんだ……!)

(完璧な作成が完璧に裏目に出るなんて……!)


49 : 以下、名... - 2010/08/17(火) 18:44:08.00 9y/9rIV5O 19/53

三年二組教室


ザワザワ ザワザワ ザワザワ

ザワザワ ザワザワ ザワザワ

「…………」


「ね、ねえ、澪ちゃん……」

「律のことだろ。どうしたんだろうな?」

「まさか律が……」

「髪を下ろしてくるなんて……!」


(……なんかみんなの視線が気になるな)


50 : 以下、名... - 2010/08/17(火) 18:48:27.13 9y/9rIV5O 20/53

「なあ、律」

「なんだよ?」

「いや、珍しいなと思って。律が髪を下ろしてくるなんてさ」

「…………」

「どうしたの、りっちゃん?」

「これが今流行りの、いめちぇん!?」

「違うと思うわよ」

「ただカチューシャがなかっただけだよ!はい、散った散った」


(りっちゃんの可愛さが普段の三倍増しになってるわ)ウットリ


53 : 以下、名... - 2010/08/17(火) 18:52:39.02 9y/9rIV5O 21/53

二年一組

「あずさー、元気かー?」

「元気じゃない……」

「どうしちゃったの、梓ちゃん」

「自己嫌悪の最中」

「部活でなにかあったの?」

「……なにもないよ」

「昨日お姉ちゃんが梓ちゃんに電話したら、梓ちゃん怒ってたって言ってたけど」

「……それは気にしないで」グテー

「変な梓」

「うるさい」


56 : 以下、名... - 2010/08/17(火) 18:59:30.35 9y/9rIV5O 22/53

二時間目終了

(ダメだ。律先輩のことが気になりすぎて、全然勉強に集中できない)グテー

「おーい、あーずさー」

「……なに?」

「うわっ、顔怖っ」

「今日は気分が悪いの」

「もしかしてあの日かな~?」

「う、る、さ、い!」

「まあまあ怒らないでよ。なんなら私が梓の悩みに乗ってあげるからさ」

「じゃあ、仮に好きな人が私にいるとするよ」

「うんうん、って誰か好きな人ができたの!?」

「あくまで、か、り、に、ね!」

「怖いなあ、今日の梓」


57 : 以下、名... - 2010/08/17(火) 19:03:36.08 9y/9rIV5O 23/53

五分後

「……つまり、梓の話では」

「本当は律先輩が好きなのに、ちょっとした誤解から律先輩には、唯先輩が好きだと思われている、と」

「うん、そういうこと……って、全部話してた!?」

「まあまあ、慌てない慌てない。私は梓の恋を応援するよ?」

「……ホントに?」

「うん」

「話は聞かせてもらったよ」

「憂? いつの間に!」


58 : 以下、名... - 2010/08/17(火) 19:12:16.52 9y/9rIV5O 24/53

「梓ちゃんの話では、律さんは惚れ薬によって確実に梓ちゃんのことが好きなんだよね?」

「うん。多分、間違いないと思う」

「なら、今から告白すればいいじゃん!」

「律さんは、梓ちゃんのこと好きなんだから、告白すれば確実に成功するしね」

「そっか」ポン

「私、今から律先輩に告白してくる!」ピューン


「足速っ」

(……うん? 惚れ薬?)

(……まあいっか)


62 : 以下、名... - 2010/08/17(火) 19:20:58.21 9y/9rIV5O 25/53

三年二組教室

(……ダメだ。梓が頭にこびりついてるみたいだ)

(梓……)

「……はぁ」


「気味が悪いくらい元気ないわね」

「あんなに元気のないりっちゃんは二年の学園祭ライブ前以来だよ」

「しかも髪下ろしてるから余計にアレだな」

「でも、今のりっちゃんすごく女の子らしくて可愛い……」


(梓…………)

「律せんぱーい!」

「!!」


63 : 以下、名... - 2010/08/17(火) 19:26:10.09 9y/9rIV5O 26/53

「あ、梓……?」

「今すぐ屋上に来てください!」グイ

「ちょっと……手を引っ張るな……///」(あ、梓と手をつないでる///)


「なんだかすごくいい展開が待ってるみたいね!」

「なにか二人にあったのか?」

「私はなにも知らないよ。和ちゃんは?」

「私だってなにも知らないわよ」


65 : 以下、名... - 2010/08/17(火) 19:32:11.07 9y/9rIV5O 27/53

屋上

「そ、それで話ってなんだよ?」

「唯のことなら私じゃなくて他の誰かに聞いたほうがいいぞ」

「違います!」

「え?」

「私は……私は……」

「あ、梓……」

(上目遣いの梓がマジで可愛い///)

(結婚したい、いや、せめてキスだけでも……)

「私は……私は律先輩のことが……」


67 : 以下、名... - 2010/08/17(火) 19:37:25.47 9y/9rIV5O 28/53

二年一組教室

「梓、告白うまくいったかな?」

「どうだろうね。成功してるといいけど」

「なんか気になることでもあるの?」

「うん、実はちょっとね」

「なになに?」

「惚れ薬の効果はずっと続くのかなって思って」

「ああ、たしかに。告白の瞬間に薬が切れたりしてね、あははは」

「純ちゃん、それ笑えないよ」


69 : 以下、名... - 2010/08/17(火) 19:52:11.16 9y/9rIV5O 29/53

(髪下ろしてる律先輩ホントに素敵で……可愛い)

(……じゃなくて!)

(言うんだ! 言うんだ! 私!)

「律先輩、あなたのことが……!」

「…………」

「好きです!」



「……え?」


71 : 以下、名... - 2010/08/17(火) 19:57:09.22 9y/9rIV5O 30/53

「え?」

「……だ、だから好きなんです! 律先輩のことが……」

「梓……」ポン

「な、なんですか律先輩?」

「先輩をからかっちゃダメだぞ」

「からかってないですっ。私は本当に……」

(どうなってるの? さっきまであんなに顔を赤くしてたのに……)

「もうすぐ休み時間も終わるから戻ろうな」

「話は終わってないです!」

「またあとで部活んときに聞いてやるって」グイグイ

「ええ? えええー!?」


72 : 以下、名... - 2010/08/17(火) 20:04:25.05 9y/9rIV5O 31/53

三年二年教室


「あ、りっちゃんが帰ってきたよ」

「梓となに話してたんだ、律」

「それが、なんかよくわからないけど告白された」

「告白?」

「うん、律先輩のことが好きなんです、って」

「り、りっちゃんはなんて返事したの?」

「先輩をからかうなよって返しといた」

「それだけ?」

「それだけ」


73 : 以下、名... - 2010/08/17(火) 20:08:06.48 9y/9rIV5O 32/53

三時間目

「……」カリカリ

(しっかし、なんでさっきまであんなに梓のことばかり考えてたんだろ?)

(まるで、アレじゃ……)

(梓に恋してるみたいだよな……///)

(いや、ないない。有り得ない)




75 : 以下、名... - 2010/08/17(火) 20:13:51.54 9y/9rIV5O 33/53

二年一組教室 三時間終了

「」グテー

「おーい、梓」

「」グテー

「あーずーさー」

「…………なに?」

「元気出しなよ。告白が失敗したくらいで、いじけちゃだめだって」

(やっぱり惚れ薬切れちゃったんだ……)

「べつに、まだ告白は失敗してないよ……!」

「ただ、私の思いが律先輩にきちんと伝わらなかっただけだもん」

「はいはい」


76 : 以下、名... - 2010/08/17(火) 20:17:58.56 9y/9rIV5O 34/53

「もういいや。今日は部活出ないで帰る」

「あの真面目な梓が部活に出ずに帰るの!?」

「今日はもうなんか全部やだ……」

「梓ちゃん、元気出して」

「無理……」グテー


77 : 以下、名... - 2010/08/17(火) 20:24:12.16 9y/9rIV5O 35/53

梓の家

「そんなわけで家に帰ってきてしまった……」

(……ああ、なにやってんだろ)

(そもそも、惚れ薬を使って告白っていうのが、最悪なまでにずるいよね……)

(……私、すごく嫌な子だ)


ぷるるるる♪

(誰かな? もしかして律先輩……?)パカッ


「……唯先輩、か。もしもし?」

『もしもーし、あずにゃん?』


79 : 以下、名... - 2010/08/17(火) 20:28:43.58 9y/9rIV5O 36/53

『あずにゃんが部活サボるって憂から聞いたから、電話しちゃいました』

「……すみません」

『どうしちゃったの、あずにゃん。なにかあったの? 元気ないよ?』

「……私、フラれちゃったんです」

『フラれた?』

「私、律先輩に告白したんです……でも、全然ダメでした」

『あずにゃん……』

「唯先輩、少しだけ私の話聞いてもらっていいですか?」

『いいよ、私は先輩だからね』



81 : 以下、名... - 2010/08/17(火) 20:34:57.72 9y/9rIV5O 37/53


『へえ。そんなことがあったんだ。ムギちゃんはすごいね』

「はい。惚れ薬なんて普通はありませんよね」

『それで、あずにゃんがりっちゃんに告白したときに、惚れ薬の効果が切れちゃったんだ』

「はい。本当に、私ったら馬鹿ですよね」

「卑怯な手まで使ったのに結局、相手にもされなかったんですから」

『そんなことないよ』

「そんなことありますよ」

『そんなことない。だってりっちゃん、あずにゃんが来ないって聞いたら、すごくあずにゃんのこと心配してたよ』

「それは……ただ後輩が来なかったから、ですよ」



82 : 以下、名... - 2010/08/17(火) 20:40:26.22 9y/9rIV5O 38/53

『あ、そっか』

「できれば納得してほしくなかったです」

『えへへ、ごめんね』

「いえ、実際その通りだなんで」

『でも、あずにゃんはりっちゃんにまだ、きちんとは告白できてないんでしょ?』

「まあ、一応。でもきちんと告白しても無理ですよ。だいたい女どうしっていうのが……」

『あずにゃん!』

「は、はい」

『やっぱりもう一回告白しなさい!』

「え……?」

『あずにゃん、諦めてるようだけど実はまだ諦めきれてないでしょ?』

「…………はい」


83 : 以下、名... - 2010/08/17(火) 20:45:31.66 9y/9rIV5O 39/53

『やっぱり、そうだよね』

「バレバレですか」

『声聞いてると、すごくあずにゃんの諦められないっていうのが伝わってくるもん』

『だからさ、今度こそきちんと告白してみなよ』

『あずにゃんの想いをりっちゃんにぶつけなきゃ!』

「唯先輩……」

『ねっ?』

「……はい!」

『応援してるからね、あずにゃん』




84 : 以下、名... - 2010/08/17(火) 20:52:22.65 9y/9rIV5O 40/53

「唯先輩、本当にありがとうございました。私ガンバります」

『うん、ガンバって。それと私、今すごく先輩っぽいでしょ?』

「すごく先輩っぽいです」

『えへへ』

「唯先輩……」

『うん?』

「昨日は八つ当たりしてごめんなさい」

『もう忘れちゃってたよ、あずにゃん』

『じゃあね、あずにゃん。ガンバって!』

「はい!」



96 : 以下、名... - 2010/08/17(火) 22:20:59.12 9y/9rIV5O 41/53

「唯先輩に応援してもらったし、ガンバらなきゃ!」

ぷるるるる♪

「電話……律先輩からだ」パカッ

『梓、もしもーし、私だぞー』

「はい、中野です」

『今日はどうしたんだよ、真面目な梓が部活来ないなんてなにかあったのか?』

「ごめんなさい、律先輩……その、今から律先輩の家に行ってもいいですか?」

『ん、ああ、べつに構わないけど』

「じゃあ今から行きますから……待っててください」

『……わかった』


97 : 以下、名... - 2010/08/17(火) 22:26:27.02 9y/9rIV5O 42/53

田井中家前

(大丈夫、私!)

(今度こそ、自分の想いを伝えるんだ)

「すぅーはー……」ピンポーン

「律せんぱーい」

ガチャ

「そんなに大きな声ださなくても出るって」

「す、すみません。ちょっと緊張しちゃって……」

「まあ、入りなよ」

「お邪魔します」



99 : 以下、名... - 2010/08/17(火) 22:35:17.44 9y/9rIV5O 43/53

律の部屋

「テケトーな場所に座ってくれ」

「ありがとうございます」

「んで、話ってなに?」

「……」

(マズイ。また緊張してきちゃったよ……)

「梓?」

「は、はい」ビクッ

(言わないと。言って伝えなきゃ……!)



101 : 以下、名... - 2010/08/17(火) 22:41:12.17 9y/9rIV5O 44/53

『あずにゃん。ガンバって!』

「……!」

(そうだよ、唯先輩だって応援してくれたんだから、なおさら言わないと!)

「律先輩」

「うん」

「私、先輩のことが好きです」

「…………」

「大好きなんです」

「……」


102 : 以下、名... - 2010/08/17(火) 22:47:41.53 9y/9rIV5O 45/53

「梓、最初に私は梓に謝らないといけない」

「…………なんですか?」

「屋上でさ、コクられたとき、わかってたんだ。梓が本気で私に告白したってこと」

「はい」

「でも、なんだかすごく変な感じがしてさ。いや、単純にびっくりしたのかも」

「そうですよね、急に告白されたら……」

「ううん、だって昨日は唯が好きだって言ったからさ」

「それは律先輩が勝手に誤解しただけです」

「そうなの?」

「そうです」


103 : 以下、名... - 2010/08/17(火) 22:55:20.40 9y/9rIV5O 46/53

「まあとにかく、まだ自分の気持ちはよくわかんない」

「これが私の本音」

「……そうですか」

「でも私は律先輩が好きです。大好きです」

「うーん、あのさ。いったい私のどこがいいんだ?」

「先輩、覚えてますか? 私が初めて軽音部の部室を訪れたときのこと」

「ああ、あのときか」

「今でこそ唯先輩が私に抱き着くのが、お約束みたいになってますけど」

「もともと私に最初に抱き着いたのは律先輩なんですよ?」」

「そういえば、梓が来てくれたとき、かくほーみたいなこと言って抱き着いたかも」

「抱き着いたんです」


105 : 以下、名... - 2010/08/17(火) 23:00:12.00 9y/9rIV5O 47/53

「でも、それだけじゃないだろ?」

「昨日、告白するときにも言いましたよ?」

「明るくて、思いやりがあって、ちょっと抜けてて、でも素敵な先輩が……好きだって」

「てっきり唯のことかと思ってた」

「まあ、唯先輩もそうですし、ムギ先輩も澪先輩も素敵です」

「でも私にとって一番素敵なのは、律先輩なんです」

「梓……」



107 : 以下、名... - 2010/08/17(火) 23:07:34.15 9y/9rIV5O 48/53

「よし、梓!」

「はい!?」

「明日は何曜日だ?」

「明日? 明日は土曜日。休日です」

「明日、二人でどっか行こう!」

「急ですね……」

「梓だって急に私の家に来たいって言ったじゃん」

「たしかに」

「似た者どうし、ということで。明日、出かけよう」

「二人きりですか?」

「もち」


108 : 以下、名... - 2010/08/17(火) 23:13:41.53 9y/9rIV5O 49/53

「さっき、自分の気持ちがわからないって言っただろ?」

「やっぱり、もっと相手のことを知って自分のことも知らなきゃさ」

「……わかりました。じゃあ明日はどこに集合しますか?」

「んー、そうだな」

「あそこのマックにしよう」

「了解です」

「梓は覚えてる?」

「なにをですか?」

「去年の夏休み、あのマックで言った言葉」

「?」


109 : 以下、名... - 2010/08/17(火) 23:20:57.41 9y/9rIV5O 50/53

「『あの人はガサツでいいかげんだからパス』って」

「……あう」シュン

「いや、怒ってるとかイヤミじゃないんだ」

「ただ、そんなこと言ってた梓が私のことを好きだって言ったのがすごくおかしくてさ」

「あのときは、まだ律先輩の魅力を知らなかったんです……///」カアアア

「なーるほど」

「と、とにかく明日は私、ガンバりますから!」

「うん、私も明日、楽しみにしてるから」


110 : 以下、名... - 2010/08/17(火) 23:27:33.99 9y/9rIV5O 51/53

次の日 マクドナルド前

(梓のやつ、おそいな)

(まあいいや、この時間を使って髪チェックしとこ)

(……前髪、下ろしてみたけど梓のやつなんて言うかな?)


「せんぱーい」


「お、梓。ようやく来たか」

「はい、すみません。昨日から服選んでたら……///」カアアア

「どうした? 顔赤いぞ」

「い、いえ。律先輩が髪下ろしてたから……」

「変かな?」

「全然!変じゃないです! すごく似合ってます?」

「そ、そうか」


113 : 以下、名... - 2010/08/17(火) 23:33:11.51 9y/9rIV5O 52/53

「で、梓はどっか行きたいとこある?」

「えと……律先輩とならどこでもいいです」

「嬉しいけど、それ困るな」

「すみません……」

「まあいいや、どっかテキトーにブラブラしようぜ」

ギュッ

「り、律先輩!?」カアアア

「なに顔赤くしてんだよ。デートなんだから手を繋ぐのは当たり前じゃん」

「デート……」

「そ、デート」


117 : 以下、名... - 2010/08/17(火) 23:47:00.45 9y/9rIV5O 53/53

「じゃあお言葉に甘えて、手をつながせてもらいます///」

「うんうん。それっぽいじゃん。よし、出発しんこー」

「律先輩、今日は絶対この手離しませんからね」

「メシどうすんだよ?」

「知りません!それより早く行きましょー!」

「はいはい」

(いつかは本当に恋人としてこんな風に手をつないで二人で、律先輩と歩けたらいいな)

ギュッ

「梓、手痛いぞ」

「私の愛が律先輩の手を強く握れって言ってるんですよ」

ギュウ!



終わり


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