1 : 以下、名... - 2010/09/03(金) 21:32:18.18 Df7HXgsA0 1/58

先生「熱も少しあるわね。今日は一旦帰って、受診しに行った方がいいわ」

「はい」

先生「流行ってるのよね~。吐き気を伴う熱風邪が」

「そ、そうなんだぁ」

先生「うん。お大事にね」

「失礼しました」ペコ

ほんとはうそ。
少し心が痛いけどたまにはこれくらい嘘ついても許してくれるよね。
神様ありがとう。37.5℃。
全然体調は悪くないのに、熱があったからおうちに帰れそう。



元スレ
憂「お姉ちゃんの看病」
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1283517138/

2 : 以下、名... - 2010/09/03(金) 21:34:47.53 Df7HXgsA0 2/58

「次の時間テストだから!?憂ずるい~」

「そ、そんなじゃないよ」

「純じゃ無いんだから……憂、お大事にね」

「うん、ありがとぉ」

早く帰らなきゃ。お姉ちゃんが心配。
授業中も先生の声は全く頭に入らなかった。
お姉ちゃんが心配で心配で、授業どころじゃ無かった。
こんなことになるなら私も学校休んじゃえばよかった、なんて。


3 : 以下、名... - 2010/09/03(金) 21:38:06.26 Df7HXgsA0 3/58

お姉ちゃんの様子がおかしかったのは昨日の夜からだった。

『お姉ちゃん?』

『ああ…ごめんごめん』

お姉ちゃんは私の作ったお夕飯に箸をつけず、ぼーっと眺めていた。

『大丈夫?』

『大丈夫だよ!!今日も憂のご飯おいしいね~』

お姉ちゃんは笑顔で私の作った料理を食べてくれる。
そんなお姉ちゃんを見るのが私は大好きで幸せで、
ついつい作りすぎちゃうこともある。


4 : 以下、名... - 2010/09/03(金) 21:48:45.88 Df7HXgsA0 4/58

『う~…食った食ったぁ』

『お姉ちゃ~ん』

『えへへ~』

お姉ちゃんは満腹のそぶりを見せても食後のアイスは欠かさない。別腹だ。
お姉ちゃんと一緒に、のんびりアイスを食べる食後の時間も、私は大好き。

『ふぇ~……お部屋に戻ろ』

『お姉ちゃん、アイスあるよ?』

『ん~。今日はいいやぁ』

だけど昨日の夜は違った。お姉ちゃんは自分の部屋に戻っていった。
その時のお姉ちゃんの背中はなんだか元気が無さそうに見えた。


5 : 以下、名... - 2010/09/03(金) 21:54:12.89 Df7HXgsA0 5/58

そして今日の朝。

『お姉ちゃーん、そろそろ起きないと』

『はぁ……はぁ……』

『お姉ちゃん!?』

私がお姉ちゃんを起こしに行くと、お姉ちゃんは汗をかいて
とても苦しそうな表情をして横になっていた。

『はぁ……』

『大丈夫…?』

『……へへ、だいじょー…ヘックシ!』

『お姉ちゃん……』


6 : 以下、名... - 2010/09/03(金) 21:59:30.27 Df7HXgsA0 6/58

『風邪、かなぁ』

『う~ん……あっ』

『?』

『ごめん憂、吐きそう……』

『じゃあここに』

『うん…おっ……っ……』

『お姉ちゃん…』


7 : 以下、名... - 2010/09/03(金) 22:04:23.73 Df7HXgsA0 7/58

苦しそうに嘔吐するお姉ちゃんを見るのは辛かった。

『大丈夫だよぉ……っ……ごほっ…』

『全部吐いちゃえば楽になるから……』

私は苦しそうなお姉ちゃんの背中を一生懸命さすった。
私の料理のせいでお姉ちゃんが苦しんでいるのだとしたら、
全部吐きだして早く楽になって欲しかった。

『ふ~……大分楽になったかも』

『横になっててね』

『ありがと、憂』


8 : 以下、名... - 2010/09/03(金) 22:11:48.93 Df7HXgsA0 8/58

『今日は学校お休みしないと』

『憂は行っていいよ、私は大丈夫だから』

『うん……』

『大丈夫だよぉ、行っておいで、ごほっ』

『……やっぱり私』

『だめ』

『えっ?』

『私のことは私が分かるから。大丈夫だから』

お姉ちゃんは優しいから私を気遣って学校に行けって言う。
お姉ちゃんは心配だけど、お姉ちゃんがそう言うので、
私は学校に行く事にした。


10 : 以下、名... - 2010/09/03(金) 22:25:44.77 Df7HXgsA0 9/58

『憂~大丈夫~?』

『?』

『時間だよ。遅刻しない?』

『走っていけば間に合うよ』

『そんなに気を遣わなくてもいいのに~』

お父さんは海外へ出張に行ってて、お母さんはその付き添い。
だから今はお姉ちゃんと2人で暮らしてる。
何かあったら隣のおばあちゃんも来てくれるし、そんなに心配は無い。

寂しくなるとは思ってたけど、お姉ちゃんのお陰でへっちゃらだし、
むしろお姉ちゃんと2人でいれる日がずっと続けばいいなあ、
なんて思うこともある。

だからお姉ちゃんが風邪をひいたりすると余計に心配になってしまう。


12 : 以下、名... - 2010/09/03(金) 22:31:39.15 Df7HXgsA0 10/58

~~~~~~~~~

そんなわけで、結局私は学校を早退して帰ってきてしまいました。

「ただいま~」

お姉ちゃん、寝てるのかな?
階段を上がって、真っ先にお姉ちゃんのお部屋に入ります。

「お姉ちゃ~ん…」

「……zz…」

お姉ちゃんは汗をかきながら、すやすやと寝ています。


14 : 以下、名... - 2010/09/03(金) 22:43:04.86 Df7HXgsA0 11/58

お姉ちゃんの寝顔かわいいなぁ…
なんとも幸せな気分……だけどお姉ちゃんは苦しいんだろうなぁ…

「お姉ちゃん…」ぺろ

「…ん……」

お姉ちゃんの汗、少ししょっぱい。
…みんながテスト受けてる時間に、私なにしてんだろ。

「汗ふくよ~」

「ん~……zz…」

お姉ちゃん、寝てるけど返事はしてくれる。


16 : 以下、名... - 2010/09/03(金) 22:50:40.81 Df7HXgsA0 12/58

お姉ちゃんの腕、足。私より細くて、華奢。慎重に拭いていく。
お姉ちゃん結構汗かいてる。明日にはよくなるかなぁ。

「お姉ちゃん、着替える?」

「…zzz……」

起こすのもなんだか悪いかな。

11時30分。もうすぐご飯の時間。
お腹すいたらお姉ちゃん起きてくれるよね。

お粥作ってこよう。


17 : 以下、名... - 2010/09/03(金) 22:55:23.75 Df7HXgsA0 13/58

私が前に風邪ひいたとき、お姉ちゃんは私のためにお粥を作ってくれた。
目玉焼きが乗っかっててお姉ちゃんらしい独創的なお粥だった。
でも、とってもおいしかった。

だから今日は私がお姉ちゃんのために、おいしいお粥を作る!

「う~い~おかえり~」

「お姉ちゃん!?」

「えへへ、起きちゃった」

「大丈夫?辛くない?」

「ん~、ちょっとだるいかも」


18 : 以下、名... - 2010/09/03(金) 23:00:37.35 Df7HXgsA0 14/58

「いまお粥作って持っていくから、お部屋に戻ってて」

「ほーい」

お姉ちゃん、ふらふらしてる。
やっぱりまだ治ってないんだね…

「できたよ~お姉ちゃん」

「待ってましたっ!」

「お腹すいたよねー」

ぐ~

「憂もね~」

「えへへ…///」

ずっとお姉ちゃんの部屋にいたから、朝ご飯結局食べなかったんだ。


19 : 以下、名... - 2010/09/03(金) 23:05:36.03 Df7HXgsA0 15/58

お姉ちゃんにお粥を食べさせてあげよう。

「お姉ちゃん、あ~ん」

「自分で食べれるよう」

「そ、そうだよね…」

「でもいいや、あ~ん」

「ふふ、はい」

「もぐもぐ…」

「どうかなぁ?」

「ん~…でりしゃす!」

「よかった~。どんどん食べてね、無理しない程度に」

「うん!」


21 : 以下、名... - 2010/09/03(金) 23:09:32.41 Df7HXgsA0 16/58

「ねえねえ、憂」

「ん?」

「着替えてきていいよ。私食べてるから」

「あっ…」

そういえば帰ってきて制服のままだったんだ。

「ごめんね、お姉ちゃん、着替えてくる」

「うぃ~」


「おかゆうま」


23 : 以下、名... - 2010/09/03(金) 23:13:18.46 Df7HXgsA0 17/58

「おまたせ~」

「はい」

「えっ?」

「あ~ん」

「ふふ♪お姉ちゃんったらぁ」

「憂に食べさせてもらう方がおいしいもん」

「ありがと♪……はい、あ~ん」

「あ~ん……もぐもぐ」

「うま」

「良かったぁ」


24 : 以下、名... - 2010/09/03(金) 23:17:14.94 Df7HXgsA0 18/58

「憂はいいお母さんになれるね~」

「えっ…」

「優しいし~お料理上手だし~」

「…///お姉ちゃんもね」

「そう?あ~ん」

「あっ、はい」

「ん~…おいしいねぇ」

「もういいよぉ、お姉ちゃん」

「いやいや、おいしいものは何度でもおいしいって」


25 : 以下、名... - 2010/09/03(金) 23:19:58.79 Df7HXgsA0 19/58

「もういいや~」

「そう?」

「うん。ごちそうさま」

「は~い」

「憂、そこの漫画とって~」

「えっと……これでいい?」

「いいよ~。ありがと」

「でもお姉ちゃん、寝てた方がいいよ」

「は~い」


「あっ」


26 : 以下、名... - 2010/09/03(金) 23:25:25.30 Df7HXgsA0 20/58

「憂食べてないじゃん。私が食べさせてあげよっか!?」

「えっと……私のは別に用意してあるから大丈夫。お姉ちゃんは横になってて」

「ちぇぇ」

「ごめんね……でも、お姉ちゃんに早く治って欲しいから…」

「うんうん」

「…じゃあすぐに戻るね」


私は朝作ったお弁当食べないとね。
お姉ちゃんの気持ちだけ受け取ることにしました。


28 : 以下、名... - 2010/09/03(金) 23:30:00.63 Df7HXgsA0 21/58

「いただきまーす」

「~♪」

お姉ちゃんの鼻歌聞きながら、
マンガ読むお姉ちゃんを見ながらお弁当。

お姉ちゃんに見惚れちゃって箸がなかなか進まない…

「なんだかおいしそうな匂いが」

「朝作ったんだぁ。お姉ちゃんの分もあるんだけど…」

「食べる!」

「いや、私が食べるから大丈夫だよ」

「私が食べたい!」


29 : 以下、名... - 2010/09/03(金) 23:35:13.91 Df7HXgsA0 22/58

大丈夫かなぁ…

「だめ!?」

「う、うん……いいけど、無理しないでね」

「もちろん!!……いやぁ今日のもおいしそうだねぇ」

「本当に無理しなくていいからね」

「大丈夫だよぉ!これ見たらまたお腹すいてきちゃった」

「それならいいんだけど…」

「折角憂が作ってくれたんだしね」

「そんな」

「平気平気!」


32 : 以下、名... - 2010/09/03(金) 23:43:59.39 Df7HXgsA0 23/58

お姉ちゃんが嘘つくことは滅多に無いから、本当に平気なんだろうけど…
お粥もあんなにたくさん食べさせてあげたから、ちょっと心配。
もう気持ち悪くならなければいいんだけど。

「おいしいね~!」

「ありがとう♪お姉ちゃん」


それにしてもお姉ちゃんと2人でお弁当を食べることになるとは…


「ねえねえ、お弁当作るのって大変でしょ」

「う~ん…それほど大変!ってわけでもないよ」

「またまた憂は~。毎朝早く起きてお弁当作るのは大変だよ、絶対」


お姉ちゃん、意外によく見てるんだよね。
お姉ちゃんの言う通り、毎朝早く起きるのはちょっと辛い。
でももうだいぶ慣れたけどね。


33 : 以下、名... - 2010/09/03(金) 23:52:05.23 Df7HXgsA0 24/58

「あ~。おいしかった!」

「全部食べちゃったね……」

「当たり前だよっ!」

「ほんとに大丈夫?」

「んも~、憂は心配性なんだからぁ」

「そうかなぁ」

「大丈夫!それにね、だいぶ気分も良くなってきたよ」

「ほんとに?…じゃあ熱測ってみよっか」

「ほーい」

お姉ちゃん、何だかすっごく元気だし、もう大丈夫かな。


34 : 以下、名... - 2010/09/03(金) 23:56:34.74 Df7HXgsA0 25/58

ピピピ

「どう?」

「37.0!」

「わぁ!だいぶ下がったね!」

「憂のおかげだよぉ~ありがと~」

「お姉ちゃんがちゃんと寝てたからだよ♪」

「えへへ~、じゃあ学校に」

「えぇ!?」

「嘘だよ~!今日はゆっくりしてるね」

「う、うん。その方がいいよ~」

「お?そういや憂、なんでこんな早かったの?帰ってくるの」

ぎく。どうしよう…


35 : 以下、名... - 2010/09/04(土) 00:05:08.52 y9E0uWJc0 26/58

「えっと…」

「憂、もしかして……」

「な、なぁに…?」

「今日学校終わるの早いんだっけ?」

「え、えーっと…」

「違うっけ」

なかなか良い案が浮かばないなぁ…
お姉ちゃん携帯持ってるから、変なのはバレちゃうし。
この際ほんとのこと言っちゃおうかな。


36 : 以下、名... - 2010/09/04(土) 00:08:25.13 y9E0uWJc0 27/58

「ちょっと熱があって、早退してきちゃった」

「えぇ!?」

「あ、でも、全然大丈夫だよ、辛くないし」

「早退しちゃったの!?」

「う、うん……」

「うい~……」

「大丈夫だよ、お姉ちゃん」

お姉ちゃんが悲しそうな顔してる…
ちょっと失敗したかなぁ……


37 : 以下、名... - 2010/09/04(土) 00:13:20.05 y9E0uWJc0 28/58

「どれどれ」ごっつんこ

お姉ちゃんがおでこをくっつけてきました。
お姉ちゃんの顔がすごく近くて……

「憂、なんか熱いよ、やっぱり」

「そ、そう?///」

「うん。それに顔も何か赤いし」

「き、気のせいじゃないかなぁ」

「いーや。憂、熱測ってみなよ」

なんだか今になってくらくらしてきたかも…
でもこれは多分熱じゃなくて、その、お姉ちゃんのせいで…


40 : 以下、名... - 2010/09/04(土) 00:39:28.00 y9E0uWJc0 29/58

ピピピ

「何度~?」

38.5℃!?
嘘でしょお……

「ええっと、36.5℃、かな」

「あれ~…普通だねぇ。気のせいだったか」

「うん。じゃあお姉ちゃん、ゆっくりしててね」

「はーい!」

「…あ、憂、これの次の巻とって」

「は~い」

こんなに熱が上がってたとなんて…
確かになんとなく頭がくらくらする気がする。
でもこれくらい一晩寝ればなんとか……


51 : 以下、名... - 2010/09/04(土) 07:25:45.56 y9E0uWJc0 30/58




52 : 以下、名... - 2010/09/04(土) 07:39:43.78 y9E0uWJc0 31/58

「お姉ちゃん、何かあったら呼んでね」

「うんっ」

「私自分の部屋にいるから」

「おっけー」

お姉ちゃん、もう元気そうだし大丈夫だよね。
私もちょっと休憩しよう。

「ふ~…」

お姉ちゃん元気になって良かったぁ…
明日は2人で学校行けるかなぁ。

早く熱下げないと。

「うーいー!!」

「今行きまーす!」

お姉ちゃんが呼んでる。どうしたのかな?


54 : 以下、名... - 2010/09/04(土) 07:49:18.64 y9E0uWJc0 32/58

「あぁっ!」

どーん!

「憂!?」

「あ…お姉ちゃん」

「大丈夫!?」

こけちゃった。
なんかおかしいなぁ……

「うん、大丈夫。どうしたのお姉ちゃん」

「ポカリ入れてきてほしいなぁ…」

「あ、もう無くなっちゃったんだね」

「うん」

あんなに汗かいてたから、喉乾くよね。お姉ちゃん。
入れ替えてこよう。

「ちょっと待っててね」


55 : 以下、名... - 2010/09/04(土) 07:56:27.76 y9E0uWJc0 33/58

「うい?」

「?」

「なんかふらふらしてるよ?大丈夫?」

「えっ……そうかな」

「うん。やっぱり私自分で入れてくる。憂は休んでて」

「大丈夫だよお姉ちゃん。お姉ちゃんは横になってないと」

「ううん。ずっと寝てると、かえってだるくなっちゃうし」

「…そう?」

「うん!だから憂は戻ってて。呼び出しちゃってごめんね」

「あ…」

行っちゃった。
病人のお姉ちゃんに気を遣わせちゃったみたい…


56 : 以下、名... - 2010/09/04(土) 08:13:46.20 y9E0uWJc0 34/58

「ふ~……」

なんだか意識し始めたら余計にだるくなってきちゃった…
お姉ちゃんに移しちゃいけないし、自分の部屋で寝ていよう。

うそついたバチなのかなぁ…
でもお姉ちゃんはよくなってきてるし、このくらいは平気。

「おやすみなさい…」

はやく治りますように…


57 : 以下、名... - 2010/09/04(土) 08:21:15.74 y9E0uWJc0 35/58

~~~~~~~~~~~~~

「う~い~……」

「んっ……」

「おはよ~」

「あ……おはよ、お姉ちゃん」

「んふふ、憂、もう朝だよ」

「うぇっ!?」

『6:30』

なんでこんな時間まで寝てたんだろ…
お弁当作らないと!

「憂のおかげですっかり治ったんだ~」

「熱は?」

「さっき測ったらね、36.4℃。もう完璧ですっ」

「よかったぁ!」


58 : 以下、名... - 2010/09/04(土) 08:27:49.69 y9E0uWJc0 36/58

「あ、お姉ちゃん昨日お夕飯は……」

「ううん、私もあの後ずっと寝てたから大丈夫だよ」

「そっか~…。ごめんね、今から朝ご飯用意し……ごほっごほっ」

「ういも無理しないでね」

「へっ?私は全然大丈夫…」

「さっき熱測ったんだよ~憂の」

「えっ…」

「38.0℃だよ。うい~…ごめんね」

「な、なんでお姉ちゃんが謝るの」

「私がういに風邪移しちゃったのかも」

「だ、大丈夫だよこれくらい……よっしょ」


59 : 以下、名... - 2010/09/04(土) 08:33:47.58 y9E0uWJc0 37/58

あれ?
なんだか感覚が……

「うい!」

「わぁ…」ぐらっ

「危なかった~」

「えへへ……ありがと、お姉ちゃん」

「うい、今日は学校休まないとね」

「え?行けるよ、大丈夫だよっ」ごほっ

「んも~。憂ったらぁ」

「ほんとに行けるもん//」

「ほんとぉ?」

「うんっ!ちょっと咳が出るだけだし」


61 : 以下、名... - 2010/09/04(土) 08:41:08.04 y9E0uWJc0 38/58

「うい」ぎゅ

「え…」

「今日はゆっくり休もうよ。我慢しないで」

「お姉ちゃん…」

「うい、顔色悪いし、熱あるし、咳してるし。だからね」

「大丈夫なのに…」

「ううん。見れば分かるよ。だから今日は私が憂を看病するよ」

「えぇ!?大丈夫、大丈夫だよぉ。そんなに辛くないし」

「憂は強がりだねぇ」

「ほんとだよ、お姉ちゃん」

「いーの。今日は私が憂を看病しますっ」


62 : 以下、名... - 2010/09/04(土) 08:53:09.60 y9E0uWJc0 39/58

「でもお姉ちゃん、学校は行かないと」

「休むって連絡したよ。みんなにもメールした」

「憂が一番大事だからね」

「お姉ちゃん…」

「早くよくなりますよーに!」

お姉ちゃんと2人で学校行く予定だったんだけもなぁ。
でも、お姉ちゃんと2人で居れるなら、今日はお姉ちゃんに甘えちゃおっかなぁ…
ちょっと体もだるいし。ちょっとだけ。

それにしても私、うそついたりお姉ちゃんに迷惑かけたり……
だめだめだよね……

「うい?」

「?」

「そんな悲しそうな顔しないで」

「へっ?全然そんなことは」

「いいんだよ~。たまにはお姉ちゃんに甘えなさいっ!」

読まれてるよぉ…。


63 : 以下、名... - 2010/09/04(土) 09:00:27.88 y9E0uWJc0 40/58

「えへへ…//」

「あ、そうだ、お粥でいい?」

「あ……うん!」

「ふふ、任せなさい!ちょっと待っててね~」

「ありがと、お姉ちゃん」

「お安い御用~♪」

お姉ちゃんに看病してもらうの、今年に入って2回目なんだ。
お姉ちゃん受験生なのに……
私がもっとしっかりしないと。

「できたよ~憂」

「ごめんね、お姉ちゃん」

「妹が困ってる時に助けるのは、お姉ちゃんのぎむだからね!」

「えへへ…」


64 : 以下、名... - 2010/09/04(土) 09:04:54.46 y9E0uWJc0 41/58

「ほら~卵ものっけたよ!栄養まんてん」

「うん!おいしそ~」

お姉ちゃんの作るものはなんでもおいしいけどね~。

「平沢唯特製お粥ですっ。召し上がれ~」

「いただきまーす」

「あっ!」

「?」

「やっぱり私が食べさせてあげるよ」

「へっ」

「いいからいいから~」

「うん…」


66 : 以下、名... - 2010/09/04(土) 09:13:21.68 y9E0uWJc0 42/58

「ふ~…ふ~…」

お姉ちゃんがお粥を食べさせてくれるなんて。
バチどころじゃないし。神様ありがとう……って、
自分のことしか考えてないじゃん私。

お姉ちゃんありがとう。ごめんなさい。

「はーい、あ~んして~」

「あ~ん//」

「ふふ、憂ちゃんおいちいでちゅかぁ~」

「おねえひゃん!///」もぐもぐ

「冗談だよ~。お味はどお?」

「ん~……でりしゃす!!だよ!」

「おー?うい、真似したな~」

「えへへ…ばれちゃった」

「ふふ、でもよかったぁ」

「うんっ!」


とっても幸せな朝です!


67 : 以下、名... - 2010/09/04(土) 09:22:57.11 y9E0uWJc0 43/58

「おいしかった~。ごちそうさま」

「よかった~。あとは憂、寝てるといいよ」

「えっ…お姉ちゃんどこいくの?」

って私なに言ってんだろ…

「これお台所に持っていくだけだよ~。ずっと憂のそばにいるよ」

「えへへ…//」

良かったぁ。

「ちょっと待っててね」

「うんっ」

お姉ちゃんはほんとはとっても優しい人。
ほんとは っていうのも変だけど…。
私が甘えるとお姉ちゃんは一生懸命尽くしてくれるから。
だから私も、いつもお姉ちゃんの力になっていたい。


68 : 以下、名... - 2010/09/04(土) 09:29:02.58 y9E0uWJc0 44/58

「ポカリ飲んで~」

「うんっ」ごく

「…あ、うい、わたしお風呂入ってきていい?」

「もちろんだよ。気持ち悪いよね」

「汗かいちゃったからねぇ……じゃあごめんね、寝ててね」

「うんっ。ゆっくりしてきていいよ~」

「ありがと~」

私もお風呂入りたいけど……熱あるし。
後でお姉ちゃんに拭いてもらおうかなぁ……なんて。


70 : 以下、名... - 2010/09/04(土) 09:36:52.24 y9E0uWJc0 45/58

熱下がって治ったらお姉ちゃんに何作ってあげようかなぁ。
ハンバーグ?カレー?肉じゃが?
ありきたりかな…
お姉ちゃんのリクエストで決めようかな~。

「ういー」

「あ、お姉ちゃん」

「気持ちよかった~」

「よかったぁ」

お風呂上がりでヘアピンしてないお姉ちゃんはなんだか少し、
大人っぽく見える。かっこいいお姉ちゃん。

「憂はどお?汗かいてるでしょお」

「うん…ちょっと」

「よしっ!拭いてあげる!」

「あ、ありがと」

…実際やってもらうとなると恥ずかしいかも。
でも、お姉ちゃんなら全然平気。たぶん。


71 : 以下、名... - 2010/09/04(土) 09:42:24.87 y9E0uWJc0 46/58

「失礼しまーす」

「お願いします…」ごくり

「…」ふきふき

「ふ~…」

「…」ふきふき

「ごほん…」

「…」ふきふき

「…」

「…」ふきふき

わき目もふらずわたしの体を拭いてくれるお姉ちゃん…
無言だと、ちょっと恥ずかしいかも…

「お姉ちゃん…」

「…」ふきふき


72 : 以下、名... - 2010/09/04(土) 09:47:26.95 y9E0uWJc0 47/58

「お、お姉ちゃんってば」

「ふぇ?」ぴたっ

「あ、ごめん、拭いてていいよ」

「うん」ふきふき

拭いてていいよって何か違う…!拭いてて下さい、かなぁ?
んあああ、もうなんだか熱上がっちゃいそうだよ…

「えと」

「…」ふきふき

「お姉ちゃん」

「…」ふきふき

「何か食べたいものある?」

「え?」ぴたっ

いちいち手止めなくてもいいよぉ…お姉ちゃん……


73 : 以下、名... - 2010/09/04(土) 09:54:23.79 y9E0uWJc0 48/58

「ん~……って憂、なんか作ってくれるの!?」

「え、いや、熱下がったらね~」

「うんうん、そうだねぇ……」

「なんでもいいよ~」

「うなぎ!」

「うなぎ。いいよ~。どこで買ってこようかなぁ」

「あ、憂のお料理か」

「ううん、お姉ちゃんが食べたいものでいいよ」

「じゃあさ、カレー!カレー一緒に作ろうよ!」

「あぁ、いいね~!」

「でしょお!だから憂、早く治れ~」

「うんっ!」

お姉ちゃんとカレー。
なんだか楽しみだなぁ。早く治さないと!


74 : 以下、名... - 2010/09/04(土) 09:59:22.45 y9E0uWJc0 49/58

「ふきふき~…」ふきふき

「あっ…お姉ちゃん」

「ん~?」ふきふき

「そこは自分で…拭くから///」

「遠慮しないで~」ふきふき

「///」

な、なに考えてんだろ私…
落ち着いて!わたし!

「…」ふきふき

「お、お姉ちゃん///」

「な~に~」ふきふき

「今日は…いい天気だね//」

「だね~」ふきふき


75 : 以下、名... - 2010/09/04(土) 10:04:45.97 y9E0uWJc0 50/58

「憂のおなかぷにぷに~」

「///」

「へっへっへっ……とぉっ」つねっ

「わ//」

「憂かわいい~」

「お姉ちゃん//」

「えへへ、じょーくじょーく」

「んもぉ…」

でも、体拭いてもらうのってなんだか気持ちいいなぁ。

「終わりだよ~」

「ふ~……ありがと、お姉ちゃん」

「さっぱりした?」

「うん!」

「良かった~」


76 : 以下、名... - 2010/09/04(土) 10:08:34.67 y9E0uWJc0 51/58

「じゃあ、また寝ててね~」

「うん」

「あ、そうだ」

「?」

「ねえねえ憂、ここにいるから、ギー太の練習してていい?」

「えっ…」

「うるさいかな」

「ううん、全然いいよ!BGMになるし!」

「練習だよ~」

「いいよ~!」


79 : 以下、名... - 2010/09/04(土) 10:15:50.95 y9E0uWJc0 52/58

お姉ちゃんは練習中に色んな表情をするから、私も見てて楽しい。

「んっと……」

~♪

「ん~……」

~♪♪

「お~?」

「ふふっ」

「んー?どしたの、うい」

「お姉ちゃん、楽しそうだなぁって」

「う~ん……あとちょっとなんだけどねぇ」

「頑張ってお姉ちゃん」

「憂もね~。早く治ってね」

「うんっ!」


80 : 以下、名... - 2010/09/04(土) 10:19:24.39 y9E0uWJc0 53/58

~~~~~~~~~~

「んんっ……ふぁ~…」

もう夕方かぁ。

「ふんふん…」~♪

お姉ちゃんはまだ練習してる…
偉いなあ。

「お姉ちゃん」

「あっ、憂。おはよ」

「おはよ~」

「熱測ってみよ~」

「あ、そうだね」


81 : 以下、名... - 2010/09/04(土) 10:25:02.91 y9E0uWJc0 54/58

「軽音部入って、お姉ちゃん良かったよね」

「うんっ!」

「ふふっ♪」

「楽しいよ~!憂も入ろうよ」

「う~ん…」

ピピピッ

「お」

36.9℃。よし!
一晩寝れば明日には学校に行けそう。

「36.9℃だよ」

「えっ!憂すご!!」

「お姉ちゃんのおかげだよ~。ありがとう、お姉ちゃん」

「えへへ~。そうかな~」


82 : 以下、名... - 2010/09/04(土) 10:32:11.61 y9E0uWJc0 55/58

「うん!明日はきっと一緒に学校行けるよ!」

「う~い~」

「?」

「明日は日曜日だよ~」

「あっ//」

「かわい~憂」

「冗談だよ~…えへへ…」

「ふふ、じゃあさ、明日、作ろっか!カレー!!」

「え…大丈夫かな」

「平気平気!!」

「そ、そうだよね」


83 : 以下、名... - 2010/09/04(土) 10:43:04.68 y9E0uWJc0 56/58

「じゃ、明日のために今日は早く寝よう!」

「うんっ!!」

「あ、憂、お姉ちゃんここにいた方がいい?」

「えーっと……」

もうほとんど熱無いし、お姉ちゃんに移ることもきっと無いよね。
じゃあ……

「お姉ちゃん、一緒に……」

「ほぉ?」

「寝ない?……なんて…えへへ//」

「憂……」

「だめ、かな…」

「…待ってたよ!!寝よう!一緒に!!」

「あ、はは…ありがとぉ」

また気遣ってくれたのかなぁ…お姉ちゃん。
そしてまた甘えちゃったぁ。ありがとう、お姉ちゃん。


85 : 以下、名... - 2010/09/04(土) 11:04:14.17 y9E0uWJc0 57/58

~~~~~~~~~~~~~~

「お姉ちゃん」

「……zzz」

もう寝ちゃった。色々してくれたから疲れちゃったのかな。

そういえば、最初は私がお姉ちゃんの看病をしてたのに、
気づいたらお姉ちゃんの看病を私が受けてた。

「ありがとう、お姉ちゃん」

「んにゃ……zz…」

先生にうそついちゃって、そしてお姉ちゃんに甘えちゃって、
迷惑かけちゃったかもしれないけれど、私はこの2日間、
なんだかとっても幸せだった。当たり前だよね。

明日もまた、お姉ちゃんと2人でカレー作り。楽しみだなぁ。


89 : 以下、名... - 2010/09/04(土) 11:31:48.10 y9E0uWJc0 58/58

お姉ちゃんと一緒いる時間。
当たり前に続くと思えて、そんなわけは無かったんだ。
それを私に教えてくれたのは、お姉ちゃんだった。お姉ちゃんの歌だった。

でも私は、それが辛いとは思わない。
だって、今、お姉ちゃんと一緒にいれる時間は
とても大切で、貴重で、楽しい時間なんだって思えたから。
大切な時間を、大切に使うことができそうだから。

そんなことを改めて気付かせてくれたお姉ちゃんは、
やっぱり私のお姉ちゃんで、掛け替えの無い存在なんだって、
今改めて思います。


「ありがとう」

「んん……」

「これからもよろしくね、お姉ちゃん♪」

「…よろしくぅ……zz…」

「ふふ♪」



~おわり~


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