1 : 名無しさ... - 20/06/13 21:27:22 5B3 1/29

P「あっ…やっちまった」

ちひろ「どうしました?」モグモグ

P「弁当忘れちゃいました。せっかく作ってくれたのに…」

ちひろ「例の彼女さんですか?」

P「えぇ。…っと、電話だ」ピッ

P「はい。うん、うん」

ちひろ(彼女ねぇ…)モグモグ

P「いや、ほんとごめん。うっかりしてた」

ちひろ(Pさん、仕事三昧なのにどこで出会ったんだろ)モグモグ

元スレ
【モバマス】P「あっ…やっちまった」
http://wktk.open2ch.net/test/read.cgi/aimasu/1592051242/

2 : 名無しさ... - 20/06/13 21:27:49 5B3 2/29

P「え!?いいよいいよ」

ちひろ(そもそも私、彼女さんが誰なのか知らないのよね)モグモグ

P「いや、うーん…じゃあ、お願いします」

ちひろ(誰だろう…アイドルの皆さんは流石に無いだろうし…昔の同級生とか?)

P「はい、ありがとう。じゃあ、また後で」ピッ

ちひろ(うーん、全然見当がつかないわね…)モグモグ

P「彼女が弁当を持ってきてくれるらしいです」

ちひろ「あら、良かったじゃないですか」

P「元は俺の不注意ですからね…今度焼き肉でも誘ってみようかな…」

ちひろ「焼き肉ですか?もっとこう、ディナーとか…」

3 : 名無しさ... - 20/06/13 21:28:11 5B3 3/29

P「彼女、ディナーは落ち着かないらしくて。がっつり食べるのが好きみたいなんです」

ちひろ「へぇー…ん?今からお弁当持って来てもらったら、昼休み終わっちゃいませんか?」

P「それが、家出る時に気づいて職場に持って来てくれてたみたいで。多分そろそろ来てくれるかなと」

ちひろ「随分と近いんですね。職場、この辺りなんですか?」モグモグ

P「この辺りと言うか、なんというか…」

ガチャ

ちひろ「彼女さんですか?」

P「多分そうですね」

ちひろ(Pさんの彼女さん…綺麗な人なのかな)

4 : 名無しさ... - 20/06/13 21:28:35 5B3 4/29

マストレ(以下麗)「失礼するぞ」

ちひろ「あれ、麗さん?」

「む、食事中だったか」

ちひろ「いえ、大丈夫です。何かありましたか?」

「何、忘れ物を届けに来ただけさ」スッ

ちひろ「忘れ物って…え?」

「ほら、忘れ物だ」

P「ありがとう。助かったよ」

「まったく…次は気を付けてくれよ?」

5 : 名無しさ... - 20/06/13 21:29:02 5B3 5/29

P「あぁ。お詫びといってはなんだけど、今夜食事にでもいかないか?勿論、俺の奢りで」

「食事はいいが…奢りは了承しかねるぞ」

P「ま、いいじゃないか。俺の不注意なんだし、俺から誘ったんだし」

「む…なら、遠慮なくご馳走になろうか」

P「決まりだな。じゃあ、お弁当はおいしく頂くよ」

「あぁ。今日は生姜焼きを作ってみたんだ」

P「どれどれ…おぉ、これは旨そうだ」

6 : 名無しさ... - 20/06/13 21:29:26 5B3 6/29

ちひろ「ちょっちょちょっと待ってください!」

P「どうしました?」

「何かあったか?」

ちひろ「どうもこうも!どうもこうもないでしょうが!」

ちひろ「Pさん!彼女さんって麗さんだったんですか!?」

P「ええ、まぁ」

ちひろ「社内恋愛じゃないですか!うち一応禁止ですよ禁止!」

P「そんなこと言っても、ねぇ?」

「だな」

ちひろ「何が!」

7 : 名無しさ... - 20/06/13 21:29:46 5B3 7/29

P「専務公認だし、別に問題はないかなと」

ちひろ「え?専務?専務公認???規則は????」

「専務曰く、『実務に影響がないのなら問題ない』そうだ」

ちひろ「あの野郎!!!!!!」

美城専務「呼んだか」ガチャ

P「あ、専務」

ちひろ「呼んでません!!!!!!!!」

専務「そうか。失礼した」ガチャ

P「何しに来たんだあの人」

8 : 名無しさ... - 20/06/13 21:30:11 5B3 8/29

ちひろ「…ふぅ」

「落ち着いたか?」

ちひろ「えぇ、何とか…」

P「ん、うまい」モグモグ

「だろう?」

P「ご飯と合うなぁ…いくらでも食べられるよ」

「妹たちに教えてもらいながら作ったんだ。ちょっと手間取ったが、仕上がりには自信があるぞ」

ちひろ「イチャイチャしてくれちゃって…」ハァ

「すまないな。すぐ仕事に戻る」

9 : 名無しさ... - 20/06/13 21:30:34 5B3 9/29

P「昼ごはんはどうしたんだ?」

「早めに食べた。今日はこの後打ち合わせがあるからな」

P「そうか。後で感想を伝えさせてくれ」

「勿論だとも。それじゃあ私は行くよ」

ちひろ「お疲れさまでーす…」

P「また後でな」

「あぁ。お疲れ」

ガチャ

10 : 名無しさ... - 20/06/13 21:30:59 5B3 10/29

ちひろ「…さて、Pさん」

P「何です?」モグモグ

ちひろ「色々と聞きたいことがあるんですけど」

P「答えられる範疇なら、答えますよ」モグモグ

ちひろ「では最初に。 麗さんとは、どこで知り合ったんですか?」

P「そうですねぇ…どこから話せばいいのか…」モグモグ

ちひろ「社畜のくせにどこであんな美人と接点を持ったんですか」

P「急に毒舌になりましたね?」モグモグ

ちひろ「毒も吐きますよそりゃあ」

11 : 名無しさ... - 20/06/13 21:31:18 5B3 11/29

P「…まぁいいか。彼女と最初に出会ったのは、高校時代です」モグモグ

ちひろ「同級生だったんですか?」

P「そうですね。高校…1年生の秋でしたか。クラスは同じだったんですが、如何せん接点が無かったものでして」モグモグ

P「俺の母校では、毎年秋に運動場を貸しきって、全校生徒総出で体育祭をやってるんです」

P「そこで行われた部活対抗仮装リレーが、接点を持ったきっかけでしたね」モグモグ

ちひろ「部活対抗リレーですか?」

P「えぇ。俺はいわゆる文化部の一部員で、麗はバレー部一年組のエースでした」

12 : 名無しさ... - 20/06/13 21:31:44 5B3 12/29

P「うちの部員はみんな動けない奴らばっかりでしてね。リレーも負けることは目に見えてたので、せめて最初だけでもと、まだ動ける方だった俺がトップバッターになりました」モグモグ

P「いざスタートラインに立つと、隣に筋肉質の気合いが入った人が目に入りました」ゴクッゴクッ

ちひろ「それが麗さんだったと」

P「そうです。当時彼女は部活で使ってるユニフォームで、俺は制服でした」モグモグ

P「レースがスタートして、俺と麗は全力で走り出しました」モグモグ

P「俺の方が内側のコースだったんですが、直ぐに彼女に追い付かれてしまいまして」モグモグ

ちひろ「片やユニフォーム、片や制服ですものね」

13 : 名無しさ... - 20/06/13 21:32:05 5B3 13/29

P「当然のように抜かされかけたんですが、そこで何を思ったか、俺はそこで加速をかけたんです」モグモグ

ちひろ「制服ですよね?」

P「えぇ。加速が功を奏して追い抜かれはせず、バトンタッチ直前まで並走しました」モグモグ

ちひろ「制服で…」

P「バトンタッチ直前、気が抜けたのか、俺の方が盛大に転びました」

ちひろ「大丈夫だったんですか?」

P「大丈夫じゃないです。2回転しました」

P「体を引きずって何とかバトンは渡せたんですけど、他の部活は遥か先です」

P「レース後、当然のように俺は男子連中のおもちゃになりました」

14 : 名無しさ... - 20/06/13 21:32:34 5B3 14/29

P「俺はその後も重い体を引き摺って競技に出続け、体育祭は終わりを告げました」

P「帰りに友人とラーメンを食べて帰り、泥のように眠ろうとしたその時、彼女からメールが来ました」

ちひろ「連絡先は交換してたんですか?」

P「まさか。後で聞いたら、俺の友人から伝ってきたらしいです」

P「内容は、体は大丈夫か、どこか痛まないかといった感じでしたね」

P「当時の俺は女性と話すことすら希でしたから、舞い上がっちゃいまして。そこから、俺と彼女のメール交換が始まりました」

ちひろ「何だか、時代を感じますね」

15 : 名無しさ... - 20/06/13 21:32:54 5B3 15/29

P「今はLINEがありますからね。そこからメールを交換し続けて…12月だったかな?話の弾みで、一緒にランニングをすることになりました」ゴチソウサマデシタ

P「最初こそ彼女に付いていくだけで精一杯だったんですが、段々と体力がついてきて、学年が上がる頃には彼女と同じスピードで走れるようになりました」

P「ランニングは学年が上がってからも続いて、最終的には卒業まで続きました」

ちひろ「青春ですねー…」

P「ランニングの他にも、学校帰りに買い食いをしたり、ゲーセンに立ち寄ったり…メールも続きました」

ちひろ「その時点で男女の関係だったと?」

P「いえ、当時はまだ付き合ってはいませんでした。仲のいい友人止まりでしたね」

16 : 名無しさ... - 20/06/13 21:33:28 5B3 16/29

ちひろ「それだけやってるのにですか?」

P「えぇ」

ちひろ「ほんとに高校生ですか…?」

P「高校生だからですよ。二人とも、交際経験なんてありませんでしたし」

P「二人とも大学は別々のところへ進んだので、徐々に疎遠になっていって…そのうち、メールもしなくなりました」

P「大学も卒業して、ここに就職して、念願のプロデューサー業についた頃に、彼女と再会しました」

ちひろ「何だか、ロマンチックですね」

P「こっちは驚きでロマンチックなんて言ってる暇無かったですよ」

17 : 名無しさ... - 20/06/13 21:34:02 5B3 17/29

P「そこから何やかんやあって、付き合うことになって、今に至ります」

ちひろ「その何やかんやが知りたいんですけど」

P「ここから先を話しちゃうと、麗に怒られちゃいますから」

ちひろ「むぅ…なら、潔く諦めます」

P「聞きたいなら、麗本人に聞いてみてください。ちなみにですけど、彼女…下戸ですよ」

ちひろ「…それはつまり?」

P「そういうことです。じゃ、仕事に戻りましょうか」

ちひろ「気になって仕事どころじゃありませんよ…やらなきゃならないんですけど」

P「ちひろさん、この案件なんですけど…」

ちひろ「それは一度専務に回して…」

―――――

18 : 名無しさ... - 20/06/13 21:34:25 5B3 18/29

―――――

P「んー…やっと終わった…」

ちひろ「お疲れ様です」

「失礼する。Pはいるか?」ガチャ

P「ん、いるよ」

ちひろ「お疲れ様です、麗さん。Pさんから色々とお話は伺いました」

「…P、どこまで話した?」

P「出会いと経過、あとは再会かな」

「…なら良し」

19 : 名無しさ... - 20/06/13 21:34:51 5B3 19/29

ちひろ「あのー…他の部分も良ければ…」

「すまないが、それはダメだ」

ちひろ「なぜです?」

「それはー…そのー…」

P「正直に言った方がいいんじゃないか?」ニヤニヤ

「こいつ…そうだ、私が恥ずかしいからだ!」

ちひろ「そこまではっきりと言われてしまっては、どうしようもありませんね」

「全く…覚悟しておけよ?」

P「お手柔らかにに頼む」

20 : 名無しさ... - 20/06/13 21:35:25 5B3 20/29

ちひろ「では、お疲れ様でーす」ガタッ

P「あ、はいお疲れ様です」

「お疲れ」

ちひろ「そうだ、麗さん」

「何だい?」

ちひろ「今度、飲みに行きませんか?」

「うっ…飲みに…呑みにか…」

ちひろ「是非」

「むぅ…」

P「いいじゃないか。たまには、羽を伸ばしてきたらいいんじゃないか?」

21 : 名無しさ... - 20/06/13 21:35:54 5B3 21/29

「うーむ…分かった。こちらも予定を合わせておくよ」

ちひろ「ありがとうございます♪では、お先に失礼しまーす♪」ガチャ

「…喋ったな?」

P「どうせいつかはバレると思って」

「このやろう!」グリッ

P「あっやめろやめてそれマジで頭いだだだだだ!!!」グリグリ

「全く…で、どうする?」

P「いたた…そうだな…今夜は開いてる?」

「あぁ。妹たちにも晩御飯はいらないと連絡済みだ」

22 : 名無しさ... - 20/06/13 21:36:13 5B3 22/29

P「なら、行くか。焼き肉」

「行こう。今日の私は飢えているんだ」ギラッ

P「奇遇だな、俺もだ」ギラッ

「どこに向かう?」

P「そうだなぁ…俺の家近くに評判の焼肉屋があるんだが…」

「決まりだな」

P「…わかった。じゃ、行こうか」ガチャ

「あぁ。覚悟しておけよ?」

P「お手柔らかに、頼むよ」ガチャ

―――――

23 : 名無しさ... - 20/06/13 21:36:32 5B3 23/29

―――――

ちひろ「…」

ちひろ(二人とも、昨日はどうしたんだろ)

ちひろ(焼肉屋、行ったのかしら)

ちひろ(そしてそのあと…は、ないわよね)

ちひろ「でも、もしかしたら…」

P「お早うございます」ガチャ

ちひろ「お早うございます。昨日はおたのしみでしたか?」

24 : 名無しさ... - 20/06/13 21:36:59 5B3 24/29

P「えぇ。焼肉、おいしかったです。財布は軽くなりましたがね」

ちひろ「それはようござんした。じゃ、仕事に移りましょうか」

P「なんか冷たいですね…まぁいいか」

加蓮「おはよーございまーす」ガチャ

「おはようございます」

奈緒「おはようございまーす」

P「ん、おはよう」

ちひろ「おはよう、加蓮ちゃん」

「ん?んー…」クンクン

P「どうした?」

25 : 名無しさ... - 20/06/13 21:37:21 5B3 25/29

「Pから焼肉の臭いが…」

P「えっマジかごめん。臭い消したはずなんだが…」

「多分、バッグだね。臭いが移っちゃったんじゃないかな」

P「んー…ほんとだ。後でフ○ブリーズかけとくよ」

加蓮「!」

加蓮「奈緒…」コソコソ

奈緒「…何だよ」コソコソ

加蓮「Pさんの首もと…」コソコソ

奈緒「?…!?キッキキキキスマークぅ!?////」

26 : 名無しさ... - 20/06/13 21:37:58 5B3 26/29

P「っ!」サッ

ちひろ「あっ、ふーん…」

「…P、手どかして」

P「いやー…ちょっとそれは…」

「早く」

P「はい…」ソッ

「…キスマークだね」

P「あの野郎…」

「誰の?」

P「えーとそれは…社外秘と言いますか、個人情報と言いますか…」

「失礼する。Pは…何事だ?」ガチャ

「麗さん、Pのコレ、何か知らない?」

「コレ?どれ…あー…」カァァァ…

「…そういうことね」

27 : 名無しさ... - 20/06/13 21:38:24 5B3 27/29

P「アァ…!オワッタ…!」

「とりあえずこの話は議会に出させてもらうから」

P「議会?何の?俺の知らないところで自治国家出来てるの?」

「先に撮影行ってくるよ。明日を楽しみにしてて。じゃ」ガチャ

加蓮「失礼…」ガチャ

奈緒「しましたー…///」ガチャ

「…ごめん」

P「いや、いいよ…どうせ遠からずバレてただろうし…」

28 : 名無しさ... - 20/06/13 21:38:42 5B3 28/29

ちひろ「御愁傷様です♪」

P「楽しそうですね…」

ちひろ「そんなことないですよ♪」

P「絶対嘘だ…」

「…どうする?」

P「…凛にバレてしまった以上、他のアイドルにも話は回るだろうし…下手しなくても、麗にも質問はいくだろうな」

「…ちひろさん。今夜、一杯付き合ってくれるか?」

ちひろ「えぇ、もちろん!」

29 : 名無しさ... - 20/06/13 21:38:56 5B3 29/29

以上です
マストレさんいいよね

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