P「あっ…やっちまった」
ちひろ「どうしました?」モグモグ
P「弁当忘れちゃいました。せっかく作ってくれたのに…」
ちひろ「例の彼女さんですか?」
P「えぇ。…っと、電話だ」ピッ
P「はい。うん、うん」
ちひろ(彼女ねぇ…)モグモグ
P「いや、ほんとごめん。うっかりしてた」
ちひろ(Pさん、仕事三昧なのにどこで出会ったんだろ)モグモグ
元スレ
【モバマス】P「あっ…やっちまった」
http://wktk.open2ch.net/test/read.cgi/aimasu/1592051242/
P「え!?いいよいいよ」
ちひろ(そもそも私、彼女さんが誰なのか知らないのよね)モグモグ
P「いや、うーん…じゃあ、お願いします」
ちひろ(誰だろう…アイドルの皆さんは流石に無いだろうし…昔の同級生とか?)
P「はい、ありがとう。じゃあ、また後で」ピッ
ちひろ(うーん、全然見当がつかないわね…)モグモグ
P「彼女が弁当を持ってきてくれるらしいです」
ちひろ「あら、良かったじゃないですか」
P「元は俺の不注意ですからね…今度焼き肉でも誘ってみようかな…」
ちひろ「焼き肉ですか?もっとこう、ディナーとか…」
P「彼女、ディナーは落ち着かないらしくて。がっつり食べるのが好きみたいなんです」
ちひろ「へぇー…ん?今からお弁当持って来てもらったら、昼休み終わっちゃいませんか?」
P「それが、家出る時に気づいて職場に持って来てくれてたみたいで。多分そろそろ来てくれるかなと」
ちひろ「随分と近いんですね。職場、この辺りなんですか?」モグモグ
P「この辺りと言うか、なんというか…」
ガチャ
ちひろ「彼女さんですか?」
P「多分そうですね」
ちひろ(Pさんの彼女さん…綺麗な人なのかな)
マストレ(以下麗)「失礼するぞ」
ちひろ「あれ、麗さん?」
麗「む、食事中だったか」
ちひろ「いえ、大丈夫です。何かありましたか?」
麗「何、忘れ物を届けに来ただけさ」スッ
ちひろ「忘れ物って…え?」
麗「ほら、忘れ物だ」
P「ありがとう。助かったよ」
麗「まったく…次は気を付けてくれよ?」
P「あぁ。お詫びといってはなんだけど、今夜食事にでもいかないか?勿論、俺の奢りで」
麗「食事はいいが…奢りは了承しかねるぞ」
P「ま、いいじゃないか。俺の不注意なんだし、俺から誘ったんだし」
麗「む…なら、遠慮なくご馳走になろうか」
P「決まりだな。じゃあ、お弁当はおいしく頂くよ」
麗「あぁ。今日は生姜焼きを作ってみたんだ」
P「どれどれ…おぉ、これは旨そうだ」
ちひろ「ちょっちょちょっと待ってください!」
P「どうしました?」
麗「何かあったか?」
ちひろ「どうもこうも!どうもこうもないでしょうが!」
ちひろ「Pさん!彼女さんって麗さんだったんですか!?」
P「ええ、まぁ」
ちひろ「社内恋愛じゃないですか!うち一応禁止ですよ禁止!」
P「そんなこと言っても、ねぇ?」
麗「だな」
ちひろ「何が!」
P「専務公認だし、別に問題はないかなと」
ちひろ「え?専務?専務公認???規則は????」
麗「専務曰く、『実務に影響がないのなら問題ない』そうだ」
ちひろ「あの野郎!!!!!!」
美城専務「呼んだか」ガチャ
P「あ、専務」
ちひろ「呼んでません!!!!!!!!」
専務「そうか。失礼した」ガチャ
P「何しに来たんだあの人」
ちひろ「…ふぅ」
麗「落ち着いたか?」
ちひろ「えぇ、何とか…」
P「ん、うまい」モグモグ
麗「だろう?」
P「ご飯と合うなぁ…いくらでも食べられるよ」
麗「妹たちに教えてもらいながら作ったんだ。ちょっと手間取ったが、仕上がりには自信があるぞ」
ちひろ「イチャイチャしてくれちゃって…」ハァ
麗「すまないな。すぐ仕事に戻る」
P「昼ごはんはどうしたんだ?」
麗「早めに食べた。今日はこの後打ち合わせがあるからな」
P「そうか。後で感想を伝えさせてくれ」
麗「勿論だとも。それじゃあ私は行くよ」
ちひろ「お疲れさまでーす…」
P「また後でな」
麗「あぁ。お疲れ」
ガチャ
ちひろ「…さて、Pさん」
P「何です?」モグモグ
ちひろ「色々と聞きたいことがあるんですけど」
P「答えられる範疇なら、答えますよ」モグモグ
ちひろ「では最初に。 麗さんとは、どこで知り合ったんですか?」
P「そうですねぇ…どこから話せばいいのか…」モグモグ
ちひろ「社畜のくせにどこであんな美人と接点を持ったんですか」
P「急に毒舌になりましたね?」モグモグ
ちひろ「毒も吐きますよそりゃあ」
P「…まぁいいか。彼女と最初に出会ったのは、高校時代です」モグモグ
ちひろ「同級生だったんですか?」
P「そうですね。高校…1年生の秋でしたか。クラスは同じだったんですが、如何せん接点が無かったものでして」モグモグ
P「俺の母校では、毎年秋に運動場を貸しきって、全校生徒総出で体育祭をやってるんです」
P「そこで行われた部活対抗仮装リレーが、接点を持ったきっかけでしたね」モグモグ
ちひろ「部活対抗リレーですか?」
P「えぇ。俺はいわゆる文化部の一部員で、麗はバレー部一年組のエースでした」
P「うちの部員はみんな動けない奴らばっかりでしてね。リレーも負けることは目に見えてたので、せめて最初だけでもと、まだ動ける方だった俺がトップバッターになりました」モグモグ
P「いざスタートラインに立つと、隣に筋肉質の気合いが入った人が目に入りました」ゴクッゴクッ
ちひろ「それが麗さんだったと」
P「そうです。当時彼女は部活で使ってるユニフォームで、俺は制服でした」モグモグ
P「レースがスタートして、俺と麗は全力で走り出しました」モグモグ
P「俺の方が内側のコースだったんですが、直ぐに彼女に追い付かれてしまいまして」モグモグ
ちひろ「片やユニフォーム、片や制服ですものね」
P「当然のように抜かされかけたんですが、そこで何を思ったか、俺はそこで加速をかけたんです」モグモグ
ちひろ「制服ですよね?」
P「えぇ。加速が功を奏して追い抜かれはせず、バトンタッチ直前まで並走しました」モグモグ
ちひろ「制服で…」
P「バトンタッチ直前、気が抜けたのか、俺の方が盛大に転びました」
ちひろ「大丈夫だったんですか?」
P「大丈夫じゃないです。2回転しました」
P「体を引きずって何とかバトンは渡せたんですけど、他の部活は遥か先です」
P「レース後、当然のように俺は男子連中のおもちゃになりました」
P「俺はその後も重い体を引き摺って競技に出続け、体育祭は終わりを告げました」
P「帰りに友人とラーメンを食べて帰り、泥のように眠ろうとしたその時、彼女からメールが来ました」
ちひろ「連絡先は交換してたんですか?」
P「まさか。後で聞いたら、俺の友人から伝ってきたらしいです」
P「内容は、体は大丈夫か、どこか痛まないかといった感じでしたね」
P「当時の俺は女性と話すことすら希でしたから、舞い上がっちゃいまして。そこから、俺と彼女のメール交換が始まりました」
ちひろ「何だか、時代を感じますね」
P「今はLINEがありますからね。そこからメールを交換し続けて…12月だったかな?話の弾みで、一緒にランニングをすることになりました」ゴチソウサマデシタ
P「最初こそ彼女に付いていくだけで精一杯だったんですが、段々と体力がついてきて、学年が上がる頃には彼女と同じスピードで走れるようになりました」
P「ランニングは学年が上がってからも続いて、最終的には卒業まで続きました」
ちひろ「青春ですねー…」
P「ランニングの他にも、学校帰りに買い食いをしたり、ゲーセンに立ち寄ったり…メールも続きました」
ちひろ「その時点で男女の関係だったと?」
P「いえ、当時はまだ付き合ってはいませんでした。仲のいい友人止まりでしたね」
ちひろ「それだけやってるのにですか?」
P「えぇ」
ちひろ「ほんとに高校生ですか…?」
P「高校生だからですよ。二人とも、交際経験なんてありませんでしたし」
P「二人とも大学は別々のところへ進んだので、徐々に疎遠になっていって…そのうち、メールもしなくなりました」
P「大学も卒業して、ここに就職して、念願のプロデューサー業についた頃に、彼女と再会しました」
ちひろ「何だか、ロマンチックですね」
P「こっちは驚きでロマンチックなんて言ってる暇無かったですよ」
P「そこから何やかんやあって、付き合うことになって、今に至ります」
ちひろ「その何やかんやが知りたいんですけど」
P「ここから先を話しちゃうと、麗に怒られちゃいますから」
ちひろ「むぅ…なら、潔く諦めます」
P「聞きたいなら、麗本人に聞いてみてください。ちなみにですけど、彼女…下戸ですよ」
ちひろ「…それはつまり?」
P「そういうことです。じゃ、仕事に戻りましょうか」
ちひろ「気になって仕事どころじゃありませんよ…やらなきゃならないんですけど」
P「ちひろさん、この案件なんですけど…」
ちひろ「それは一度専務に回して…」
―――――
―――――
P「んー…やっと終わった…」
ちひろ「お疲れ様です」
麗「失礼する。Pはいるか?」ガチャ
P「ん、いるよ」
ちひろ「お疲れ様です、麗さん。Pさんから色々とお話は伺いました」
麗「…P、どこまで話した?」
P「出会いと経過、あとは再会かな」
麗「…なら良し」
ちひろ「あのー…他の部分も良ければ…」
麗「すまないが、それはダメだ」
ちひろ「なぜです?」
麗「それはー…そのー…」
P「正直に言った方がいいんじゃないか?」ニヤニヤ
麗「こいつ…そうだ、私が恥ずかしいからだ!」
ちひろ「そこまではっきりと言われてしまっては、どうしようもありませんね」
麗「全く…覚悟しておけよ?」
P「お手柔らかにに頼む」
ちひろ「では、お疲れ様でーす」ガタッ
P「あ、はいお疲れ様です」
麗「お疲れ」
ちひろ「そうだ、麗さん」
麗「何だい?」
ちひろ「今度、飲みに行きませんか?」
麗「うっ…飲みに…呑みにか…」
ちひろ「是非」
麗「むぅ…」
P「いいじゃないか。たまには、羽を伸ばしてきたらいいんじゃないか?」
麗「うーむ…分かった。こちらも予定を合わせておくよ」
ちひろ「ありがとうございます♪では、お先に失礼しまーす♪」ガチャ
麗「…喋ったな?」
P「どうせいつかはバレると思って」
麗「このやろう!」グリッ
P「あっやめろやめてそれマジで頭いだだだだだ!!!」グリグリ
麗「全く…で、どうする?」
P「いたた…そうだな…今夜は開いてる?」
麗「あぁ。妹たちにも晩御飯はいらないと連絡済みだ」
P「なら、行くか。焼き肉」
麗「行こう。今日の私は飢えているんだ」ギラッ
P「奇遇だな、俺もだ」ギラッ
麗「どこに向かう?」
P「そうだなぁ…俺の家近くに評判の焼肉屋があるんだが…」
麗「決まりだな」
P「…わかった。じゃ、行こうか」ガチャ
麗「あぁ。覚悟しておけよ?」
P「お手柔らかに、頼むよ」ガチャ
―――――
―――――
ちひろ「…」
ちひろ(二人とも、昨日はどうしたんだろ)
ちひろ(焼肉屋、行ったのかしら)
ちひろ(そしてそのあと…は、ないわよね)
ちひろ「でも、もしかしたら…」
P「お早うございます」ガチャ
ちひろ「お早うございます。昨日はおたのしみでしたか?」
P「えぇ。焼肉、おいしかったです。財布は軽くなりましたがね」
ちひろ「それはようござんした。じゃ、仕事に移りましょうか」
P「なんか冷たいですね…まぁいいか」
加蓮「おはよーございまーす」ガチャ
凛「おはようございます」
奈緒「おはようございまーす」
P「ん、おはよう」
ちひろ「おはよう、加蓮ちゃん」
凛「ん?んー…」クンクン
P「どうした?」
凛「Pから焼肉の臭いが…」
P「えっマジかごめん。臭い消したはずなんだが…」
凛「多分、バッグだね。臭いが移っちゃったんじゃないかな」
P「んー…ほんとだ。後でフ○ブリーズかけとくよ」
加蓮「!」
加蓮「奈緒…」コソコソ
奈緒「…何だよ」コソコソ
加蓮「Pさんの首もと…」コソコソ
奈緒「?…!?キッキキキキスマークぅ!?////」
P「っ!」サッ
ちひろ「あっ、ふーん…」
凛「…P、手どかして」
P「いやー…ちょっとそれは…」
凛「早く」
P「はい…」ソッ
凛「…キスマークだね」
P「あの野郎…」
凛「誰の?」
P「えーとそれは…社外秘と言いますか、個人情報と言いますか…」
麗「失礼する。Pは…何事だ?」ガチャ
凛「麗さん、Pのコレ、何か知らない?」
麗「コレ?どれ…あー…」カァァァ…
凛「…そういうことね」
P「アァ…!オワッタ…!」
凛「とりあえずこの話は議会に出させてもらうから」
P「議会?何の?俺の知らないところで自治国家出来てるの?」
凛「先に撮影行ってくるよ。明日を楽しみにしてて。じゃ」ガチャ
加蓮「失礼…」ガチャ
奈緒「しましたー…///」ガチャ
麗「…ごめん」
P「いや、いいよ…どうせ遠からずバレてただろうし…」
ちひろ「御愁傷様です♪」
P「楽しそうですね…」
ちひろ「そんなことないですよ♪」
P「絶対嘘だ…」
麗「…どうする?」
P「…凛にバレてしまった以上、他のアイドルにも話は回るだろうし…下手しなくても、麗にも質問はいくだろうな」
麗「…ちひろさん。今夜、一杯付き合ってくれるか?」
ちひろ「えぇ、もちろん!」
29 : 名無しさ... - 20/06/13 21:38:56 5B3 29/29以上です
マストレさんいいよね