1 : 以下、5... - 2020/07/08(水) 21:32:01.814 zt1jxmYi0 1/35

プシュー… ガタンゴトン… ガタンゴトン…

女上司「あっ……」

若手「あっ……」

女上司「終電……行っちゃったね」

若手「追いかけましょう!」

女上司「それしかないか」

若手「電車より速く走れますか?」

女上司「ナメないでくれる?」

ダッ!

元スレ
女上司「終電……行っちゃったね」若手社員「追いかけましょう!」
http://hebi.5ch.net/test/read.cgi/news4vip/1594211521/

4 : 以下、5... - 2020/07/08(水) 21:35:11.457 zt1jxmYi0 2/35

タタタッ…

若手「追いつきましたね」

女上司「よーし、飛び乗るわよ」

若手「はいっ!」

バッ

ガシィッ!

女上司「ガラスを割って……」パリィンッ

女上司「失礼しまーす」

7 : 以下、5... - 2020/07/08(水) 21:38:09.573 zt1jxmYi0 3/35

女上司「ふぅー、乗れたわね」

若手「間に合いましたね! これで家に帰れます!」

女上司(同じ車両に……私たちの他に客は四人か)



グラサン「……」ジロッ

「なにあれ……」

「見ない方がいいぜ」

酔っ払い「ウイ~……」ヒック



女上司(いかにも悪そうな奴に、若いカップル、酔っ払いのおっさん……)

10 : 以下、5... - 2020/07/08(水) 21:41:11.454 zt1jxmYi0 4/35

ガタンゴトン… ガタンゴトン…

若手「……」

女上司「どうしたの?」

若手「この電車、網棚に荷物が多くないですか?」

女上司「たしかにね……」

女上司「どれ、一つ開けちゃいましょうか」ヒョイッ

若手「あっ、駄目ですよ!」

女上司「いいのいいの」ベリッ

12 : 以下、5... - 2020/07/08(水) 21:44:32.176 zt1jxmYi0 5/35

女上司「これは……!」

若手「白い粉……ですね」

女上司「小麦粉じゃないってことは確かね。他のも開けてみましょう」

ガサガサ…

若手「こっちには銃が!」

女上司「これは……象牙だわ。ほら、一本丸ごと入ってる」

若手「象牙の取引は厳しく制限されてるはず……!」



グラサン「てめえら……見ちゃいけねえもんを見たな……」

14 : 以下、5... - 2020/07/08(水) 21:47:32.833 zt1jxmYi0 6/35

グラサン「死ねや!」チャッ

二人(銃!?)

パパンッ!

グラサン(かわしやがった!)

若手「はあっ!」バキッ!

グラサン「ぐほあっ……!」ドサッ

女上司「ナイスパンチ!」

17 : 以下、5... - 2020/07/08(水) 21:50:35.864 zt1jxmYi0 7/35

「シェアッ!」バッ

「シャアッ!」バッ

女上司(こいつら……爪を装備してる!)

「キョアアアアアッ!」シュババババッ

「キエエエエエッ!」シュババババッ

女上司「なるほど、コンビネーションってわけ……だけどそんな稚拙なコンビネーションじゃ」

女上司「私の首は獲れないわよ」ガシッ

「!?」

若手(二人の頭を掴んだ!)

20 : 以下、5... - 2020/07/08(水) 21:53:20.873 zt1jxmYi0 8/35

女上司「カップルはカップルらしく……キスでもしてなさい」

ゴツンッ!

「が……」

「は……」

ドササッ…

若手「やったぁ!」

酔っ払い「やれやれ、三人ともだらしねえ。俺の出番かい」コキッ

若手(こいつも!?)

22 : 以下、5... - 2020/07/08(水) 21:56:46.679 zt1jxmYi0 9/35

酔っ払い「ウ~イ!」ドカッ!

若手「ぐっ……!」

若手「これは……酔拳!?」

酔っ払い「そうよ、俺は酔拳の達人よ!」

酔っ払い「うぅぅぅっぷ!」ドカカカッ!

若手「ぐあああっ!」

女上司(手出しはしないわ……)

女上司(ここで殺られたら、所詮それまでの男だったということ!)

23 : 以下、5... - 2020/07/08(水) 21:59:24.655 zt1jxmYi0 10/35

酔っ払い「せあっ!」

バキィッ!

若手「あぐぁ……!」

若手(どんどん動きが鋭くなる!)

酔っ払い「俺様は酔えば酔うほど強くなるのよぉ~!」

若手「……!」

若手(そうか! こいつの攻略法が分かったぞ!)

若手(俺のカバンの中には、飲み会のためにアレが入っている!)

25 : 以下、5... - 2020/07/08(水) 22:02:29.540 zt1jxmYi0 11/35

酔っ払い「トドメだッ!」ダッ

若手「“ウコンの力”を喰らえッ!」

酔っ払い「ごもっ!?」

グビグビグビ…

酔っ払い「ううう……」ビクビクッ

酔っ払い「し、しまった! 酔いが弱く……」

若手「今だッ! 駆け込み乗車タックル!」ダッ!

ドゴンッ!

酔っ払い「ぐはぁぁぁ……!」

女上司「よいサラリーマンのみんなは決して真似しちゃダメよ」

26 : 以下、5... - 2020/07/08(水) 22:05:13.503 zt1jxmYi0 12/35

ガタンゴトン… ガタンゴトン…

若手「なんなんでしょう、この電車は」

若手「ヤバイ荷物があったり、客が襲いかかってきたり……」

女上司「……」

女上司「こんな噂を聞いたことがあるわ」

女上司「日本には、普通の電車を装って違法な商品を運搬する犯罪組織があると」

女上司「その組織の名は……≪トレイン≫!」

若手「トレイン……!」

『その通り!』

二人「!!!」

29 : 以下、5... - 2020/07/08(水) 22:08:16.761 zt1jxmYi0 13/35

放送『この電車は、我が組織≪トレイン≫の電車なのだ』

女上司「あなたが組織の長ね!」

放送『我らの秘密を知ってしまったからには、君たちには消えてもらわねばならない』

放送『全構成員に告ぐ! この二人を抹殺せよ!』

放送『私は運転席にいる……君たちの健闘を祈っているよ』プッ…

若手「おい、待てっ!」

女上司「気をつけて……来るわよ!」

33 : 以下、5... - 2020/07/08(水) 22:11:28.193 zt1jxmYi0 14/35

ドドドドド…

「敵はどこだ!」 「ブッ殺せ!」 「始末しろォ!」



女上司「ざっと30人ってところか」

若手「……」ゴクッ

女上司「ここから先、あなたのフォローをしてる余裕はないわよ」

若手「俺とて企業戦士……自分の身は自分で守ります!」

女上司「いい返事だわ」

35 : 以下、5... - 2020/07/08(水) 22:14:32.588 zt1jxmYi0 15/35

女上司「名刺投げ!」ヒュヒュヒュッ

ザクッ!

ドシュッ!

グサッ!

「うぎゃっ!」 「ぐげっ!」 「うぎゃあっ!」



構成員A「あの女、つええぞ!」

構成員B「だったら男の方からだ!」

38 : 以下、5... - 2020/07/08(水) 22:17:03.350 zt1jxmYi0 16/35

若手「ネクタイは暑苦しいだけ、なんていう人もいるけど……」

若手「こういう時は結構いい武器になるんだ」シュルルッ

若手「ネクタイウィップ!」ヒュンッ

ビシッ!

バシッ!

ズバシュッ!

「ぐはっ!」 「ぎゃっ!」 「いでえっ!」



女上司(へえ、なかなかやるようになったじゃない)

39 : 以下、5... - 2020/07/08(水) 22:20:24.543 zt1jxmYi0 17/35

痴漢「うへへへ……」

若手「なんだこいつ!?」

ヒュッ

若手「消えた!?」

若手「しまった、狙いは俺じゃない!」

女上司「後ろ!?」

痴漢「尻はもらったァ!」サワッ

40 : 以下、5... - 2020/07/08(水) 22:24:34.431 zt1jxmYi0 18/35

ガシッ!

痴漢「な……!? 尻で俺の手を挟んで……!」

女上司「痴漢なんか、こちとらピー年前からとっくに対策済みなのよ」

若手「ピー年前……」

女上司「女性の年を詮索すると、長生きできないわよ?」

若手「失礼しました!」

女上司「痴漢返し!」グインッ

痴漢「ぐはぁっ!」ズダンッ!

若手「お尻で投げ飛ばしたァ!」

42 : 以下、5... - 2020/07/08(水) 22:28:35.964 zt1jxmYi0 19/35

殺し屋「お遊びはここまでだ……」スゥ…

若手「手強そうなのが来たな……」

殺し屋「今宵の相棒はよく切れる……」サッ

若手(ナイフを繰り出してきた!)

ザシュッ!

若手「ぐっ……!」

女上司「若手君!」

殺し屋「若造に、真の殺しというものを教えてやろう」

若手「……!」

若手(だけど付け入るスキは……ある!)

44 : 以下、5... - 2020/07/08(水) 22:31:29.201 zt1jxmYi0 20/35

若手「ぜひお願いします」サッ

殺し屋「えっ」

殺し屋(メモ帳……こいつ本気か! 本気で学ぼうというのか!)

殺し屋「まず、刺すべき急所だが、素人は心臓を狙いがちだがこれは意外と狙いにくい――」

若手「スキありィ!!!」

ドゴォッ!

殺し屋「ぶへぇっ!」ドサッ…

若手「ふぅ……なんとかなった」

女上司「メモ帳を取り出すことで、殺し屋の“教えたがり”の心を突いたのね」

若手「ええ、人は得意分野の話になると、つい早口になってしまいますから」

45 : 以下、5... - 2020/07/08(水) 22:34:59.653 zt1jxmYi0 21/35

スキンヘッド「よくここまで来たなァ!」

スキンヘッド「だが、ガトリングガンにはかなうめぇ!!!」

ガガガガガガガガガガッ!

ガガガガガガガガガガッ!

ガガガガガガガガガガッ!



若手「うわっ、ずっと撃ち続けてますよ!」

女上司「弾切れも期待できそうにないわね……」

48 : 以下、5... - 2020/07/08(水) 22:38:25.742 zt1jxmYi0 22/35

若手「どうしましょう!? これじゃ進めない!」

女上司「大丈夫、私たちは会社員よ。あの程度の弾幕、どうってことないわ」

若手「えっ!」

女上司「思い出すのよ……あの満員電車を!」

若手「そうか……あのギュウギュウに比べれば!」

サッササッ サササッサッ

サササッ サッ サッ

スキンヘッド「なにいいい!? 弾丸をかわしてるだと!?」ガガガガガッ!

49 : 以下、5... - 2020/07/08(水) 22:40:22.695 zt1jxmYi0 23/35

女上司「呼吸を合わせて!」

若手「応!」

二人「とりゃあっ!!!」





ドゴォンッ!!!





スキンヘッド「ぶぎゃあああああっ!!!」ドサッ…

51 : 以下、5... - 2020/07/08(水) 22:44:11.925 zt1jxmYi0 24/35

運転士「ほう……運転席までたどり着くとはな」

若手「ここまでだ!」

女上司「もうこの電車にはあなたしか残ってないわ!」

運転士「日本のビジネスマン・キャリアウーマンは日々軍隊並みの訓練をしているようなもの……」

運転士「――という噂はあながち笑い話でもないようだな」

運転士「だが、私も犯罪組織≪トレイン≫の長……」

運転士「そうやすやすと屈服はせん! 行くぞっ!」

女上司「……来るわよ! 気を引き締めて!」

若手「はいっ!」

53 : 以下、5... - 2020/07/08(水) 22:47:20.595 zt1jxmYi0 25/35

若手「だああっ!」

運転士「よっと」ヒョイッ

若手(吊革につかまって……!)

運転士「ほれっ」

バキィッ!

若手「ぶっ!?」

若手(なんて身軽さだ……! 雑技団かこいつ……!)

54 : 以下、5... - 2020/07/08(水) 22:50:24.064 zt1jxmYi0 26/35

女上司「名刺投げッ!」シュバババッ

運転士「ほいっと」ヒョイッ

運転士「そりゃっ!」

ドゴォッ!

女上司「きゃあっ!」

若手「大丈夫ですか!」

運転士「吊革は“倒れないようつかまるもの”としか思っていないお前たちにこんな芸当はできまい」

運転士「加えて、この電車は私にとって自宅のようなもの!」

運転士「お前たちは私に触れることさえできないッ!」

55 : 以下、5... - 2020/07/08(水) 22:52:45.358 zt1jxmYi0 27/35

グラッ…

若手「揺れた!」ヨロッ

運転士「この勢いを利用して……」バッ

ドボォッ!

若手「うげっ……」

若手「揺れさえも……自分の武器に……!」

女上司「このっ!」ビュオッ

運転士「甘いッ!」ドガッ!

女上司「あ、ぐう……!」ガクッ

56 : 以下、5... - 2020/07/08(水) 22:55:25.758 zt1jxmYi0 28/35

運転士「よく粘ったが、いよいよ終点が近づいてきたな」

運転士「お前たちのたどり着く終点は……≪地獄≫だ。むろん折り返しなど不可能」

女上司「くっ……!」

若手「さ、最後に一つ……聞いていいか……」

運転士「……?」

若手「あんたは長年、電車を走らせ続けてきたんだろう。でなきゃ≪トレイン≫なんて組織は運営できない」

若手「あんたの攻撃からは、電車への愛がビンビン伝わってくる!」

運転士「!」

若手「なぁ……なぜこれほど電車を愛してるあんたが、違法商品の運搬なんて悪事を働くんだ!」

運転士「うぐっ……!」

58 : 以下、5... - 2020/07/08(水) 22:58:02.737 zt1jxmYi0 29/35

若手「あんただって、電車をこんな風に使いたくないはずだ!」

若手「いや……電車の方だって、あんたがこんな犯罪するなんて望んでないはずだ!」

運転士「いきなり何をいう! お前に私の何が分かる!」

若手「分からないさ。だが……」

若手「電車が悲しんでることだけは分かる!」

運転士「!」

若手「耳を澄ましてみろ……電車の音に!」

運転士「くっ……!」サッ

ガタンゴトン… ガタンゴトン…

64 : 以下、5... - 2020/07/08(水) 23:01:53.537 zt1jxmYi0 30/35

運転士「これは……泣いて……いるのか……?」

若手「聞こえたか?」

運転士「聞こえてないッ! なにも聞こえてなどいないッ!」

若手「まだ意地を張る気かッ! お前にはパンタグラフの嘆きが聞こえないのかッ!」

運転士「だまれええええッ!!!」ダッ



女上司(突っ込んできた!)

66 : 以下、5... - 2020/07/08(水) 23:04:14.900 zt1jxmYi0 31/35

ドゴォッ!!!

ミシ…

運転士「カウンター……か」

運転士「み、ごとだ……」ドサッ…

若手「はぁ、はぁ、はぁ……」

女上司(相手の拳を冷静に見切って、自分の拳を叩き込んだ……)

女上司(まるで手強い得意先との“打ち合わせ”における理想像ね)

女上司(成長したわね……)

67 : 以下、5... - 2020/07/08(水) 23:08:01.012 zt1jxmYi0 32/35

運転士「私は……元はただの運転士だった……」

運転士「だが、乗客は来る日も来る日もトラブルやクレームを引き起こす……」

『いつになったら運転再開すんだよ! もう一時間も待ってんだぞ!』

『この人痴漢でーす!』『違う、やってない!』

『今足踏んだだろうが!』『うるせえええええ!』

運転士「いつしか嫌気がさした私は、電車を悪用した犯罪に手を染めるようになっていたんだ……」

若手「……」

女上司「……」

69 : 以下、5... - 2020/07/08(水) 23:11:14.410 zt1jxmYi0 33/35

運転士「だが、私は間違っていた」

運転士「そんなことをしても、電車が悲しむだけだというのに……」

若手「運転士さん……」

運転士「たしか、次の駅の近くには、警察署があったな……」

運転士「私は自首するよ」

「お供します!」 「俺も」 「私も!」

ザワザワ…

運転士「みんな……ありがとう」

若手「≪トレイン≫の部下たちも……!」

女上司「やってきたことはどうあれ、この人は皆に慕われていたのね」

女上司(私もこういう上司にならないとね)

71 : 以下、5... - 2020/07/08(水) 23:14:20.415 zt1jxmYi0 34/35

若手「……終わりましたね」

女上司「終電を追いかけたら、まさか犯罪組織一つ潰すことになるとはね」

若手「社会人ってホント何が起こるか分かりませんね」

女上司「ここまで極端な例はなかなかないけどね」

若手「あっ、見て下さい。空が少し明るくなってますよ」

女上司「完全に徹夜しちゃったわね」

若手「目はギンギンに冴えちゃってますけどね。このまま会社に戻ってもへっちゃらです!」

女上司「若いっていいわね~」

75 : 以下、5... - 2020/07/08(水) 23:16:41.056 zt1jxmYi0 35/35

女上司「ところで……電車が来るのはいつ?」

若手「30分後ですね」

女上司「終電を追いかけた次は……始発を待つことにしますか!」

若手「はいっ!」







― 完 ―

記事をツイートする 記事をはてブする