1 : 以下、名... - 2010/08/03(火) 12:52:24.38 PRyhWq2K0 1/48

「唯どうしたの?」

「あ、澪ちゃんあのねあのね、ギー太にスジャータがかかってるの」

「スジャータ~?」

「うん。きっとムギちゃんがお茶してこぼしちゃったんだね。ホントにもう~」

「スジャータなんて安物、ムギが使うかなあ…」

「じゃありっちゃんかなあ。牛乳飲んでおっきくなろうとしたんだね」

「スジャータと牛乳は違うと思う」



元スレ
唯「あれっ?スジャータがこぼれてる」
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1280807544/

3 : 以下、名... - 2010/08/03(火) 12:57:49.98 PRyhWq2K0 2/48

「おつかれー」

「おー噂をすれば」

「も~りっちゃんったら~!ちゃんと拭いとかないとダメだよ!」

「ん?何の話?」

「とぼけてもお見通しなんだから。スジャータだよお、スジャータ」

「スジャータ?へ?」

「あのね、コーヒーポーションがギー太にかかってたんだってさ」

「正直に言えば許してあげるよ~?」

「ばっ、バカ!そんな事する訳ないでしょうが」


10 : 以下、名... - 2010/08/03(火) 13:04:29.68 PRyhWq2K0 3/48

「あれ~?りっちゃんじゃないのかあ」

「当たり前じゃねーか。というか、どういう事か説明してよ」

「うーん、あのね、ギー太を置いてちょっとトイレにいって帰ってきたらこうなってたの」

「ほとんど一瞬なんじゃないか」

「あのなー、それでなんで私がやったって結論になるんだよ」

「一応言っておくとムギも疑われたんだよ」

「だってだって、りっちゃん小っちゃいから背を伸ばそうとしたんでしょ?」

「うっせー!スジャータは牛乳じゃねーよ!」


11 : 以下、名... - 2010/08/03(火) 13:07:34.66 PRyhWq2K0 4/48

「ごめんね。でもさ、それならスジャータって何なんだろうね?」

「何って何?」

「牛乳じゃないんでしょ?それなのに牛乳みたいでおかしいね」

「いやいやいやいや!おかしくないだろ!スジャータは植物性油脂と乳製品でできてるんだよ!」

「分かんないよお。だって使った事ないもん!」

「使った事ないのに勝手に思い込んでたのか…。よくスジャータって分かったな」

「さわちゃんの車乗った時にカーラジオで流れてたの。『スジャ~タ~スジャ~タ~♪』って」

「そんなに興味あるんなら味わってみたらいいんじゃねーの?」


12 : 以下、名... - 2010/08/03(火) 13:10:31.94 PRyhWq2K0 5/48

「あ、そっか!りっちゃん天才だね!」

「いやあ、それほどでもねえよハハハ」

「味わうって零れたスジャータなんか汚いだろ…っておい」

「(ぺろっ)…なんか苦いね」

「苦い?」

「うん。でも、割と癖になる味かも~(ぺろっ)」

「スジャータって苦かったかなあ…それになんか臭くね?」

「思い出せないな。あれは結構カロリーが高いから使わない事にしてるんだ」

「うん…(ぺろっ)美味しいよこれ(ぺろっ)美味ひい…(ぺろっ)」


14 : 以下、名... - 2010/08/03(火) 13:16:05.92 PRyhWq2K0 6/48

「結局拭かずに全部舐めとっちゃったのか。あっきれた…」

「ふえ~もっと食べたいよ~」

「おはようです!」

「あ~っあずにゃん!スジャータ持ってないかな?」

「えっ?何ですか?唯先輩」

「スジャータ~ねー持ってない?」

「どうも唯の奴、スジャータの味にハマっちゃったみたいなんだ」


17 : 以下、名... - 2010/08/03(火) 13:24:08.57 PRyhWq2K0 7/48

「んん?えっと持ってませんよ。あ、それからムギ先輩今日お休みです」

「あいつ何かあったの?」

「トンちゃんの調子が悪いから動物病院に連れてくって言ってました」

「心配だね」

「スジャータ~スジャータ~」

「しつこいなあ。そんなに欲しけりゃ憂ちゃんに買って貰えよ」

「その手があったか!よーし、みんな早く練習終わらせよう!」

「お前なあ…」


18 : 以下、名... - 2010/08/03(火) 13:28:20.52 PRyhWq2K0 8/48

「憂の御飯は美味しいなあ」

「ありがと、お姉ちゃん」

「はぁ…でもなぁ…やっぱりあれが欲しいなあ」

「どうしたの?」

「あのね、憂。大事な話をするから聞いてね。今日部室ですっごい美味しいもの食べたんだよ」

「何、何?」

「スジャータっていうんだ~!ラジオでコマーシャルしてる奴!」

「スジャータって食べ物って言うのかなあ」


21 : 以下、名... - 2010/08/03(火) 13:31:03.51 PRyhWq2K0 9/48

「すっごく美味しかったんだ~!だからさ、憂にお願い!買ってきて!」

「でも、お姉ちゃんコーヒーあんまり飲まないのに」

「コーヒーなんか要らないよ!スジャータがあればいいの!一生のお願いだよう!」

「もーしょうがないなあ」

(30分後)

「ただいまー」

「おかえり!あった?スジャータあった?」

「あったよー。はい、これ」

「ありがとう憂!愛してるよ!このこのー!(ごそごそ…ぺろっ)うえー何これ」


22 : 以下、名... - 2010/08/03(火) 13:35:43.94 PRyhWq2K0 10/48

「何ってスジャータだよ」

「違うよ!今日食べたのはこんな味じゃなかったよ!」

「けど、ちゃんと書いてあるでしょ。『スジャータ』って、ほら」

「本当だ~…どういう事なんだろう」

「うーん、明日もう一回みんなに訊いてみたらどうかな?」

「そうだね!ごめんね、憂。夜にわざわざ買い物にいって貰って」

「平気だよ。美味しいスジャータが食べられるといいねー」


23 : 以下、名... - 2010/08/03(火) 13:40:11.97 PRyhWq2K0 11/48

「…という訳でよく分からなかったんだ」

「ふーん、じゃあ昨日のは何だったんだろうな」

「あんま怪しいもん口にしない方がいいぞ、唯」

「私も食べてみたい」

「一緒に食べよ!美味しーんだよお!あーもう一度食べたいなあ…」

「大丈夫かこいつ…それよりトンちゃんはどうだったんだ?」

「どうも夏バテみたい」

「亀にも夏バテってあんのか~?」


24 : 以下、名... - 2010/08/03(火) 13:44:58.48 PRyhWq2K0 12/48

「まぁ元気になってくれるといいね」

「大丈夫です!ムギ先輩の介抱で少し快方に向かってきてます!」

「あ~あずにゃん親父ギャグ言ってる~アッハハー」

(ガラッ)

「ちょっとみんなー、暇してたら手伝ってくれないかな?吹奏楽部の機材運ぶのに人手が足りなくて」

「さわちゃん、丁度良かった。さっきから唯の奴が頭おかしくってさ、少し体動かしてシャキっとさせた方がいい」

「ひどいよ、りっちゃん!」


25 : 以下、名... - 2010/08/03(火) 13:52:03.90 PRyhWq2K0 13/48

「あーつっかれたー!さわ子先生、人遣いあらいんだよな」

「そんなに重たかった?」

「ムギは特別だろ。おお、肩凝った…っておい!」

「どうしたんですか?」

「あれ、あれ!」

「りっちゃんどうしたのー…ああっ!またギー太にスジャータがかかってるう!」

「おいおいおいおい!誰かがここに侵入したってのかよ!」

「うわー美味しそうだよお!」

「あれがスジャータ?」


26 : 以下、名... - 2010/08/03(火) 13:57:13.67 PRyhWq2K0 14/48

「すっごい美味しいんだよ!ムギちゃんも食べよっ!」

「止めとけって…どう見ても怪しいだろ。さっきまでこんなの無かったのに」

「もー澪ちゃんは黙ってて!はい!ムギちゃんから先に食べていいよ!」

「どれどれ…何だか変な匂いが…(ぺろっ)何これ?おえっ!」

「あっ勿体無い!もったいないお化けが出るよ!もー!」

「おえー」

「だから言わんこっちゃない…唯、お前ももう止せって」

「みんな分かってくれないんだからー!(ぺろっ)こんなに美味しいのに…(ぺろっ)」


27 : 以下、名... - 2010/08/03(火) 14:03:28.61 PRyhWq2K0 15/48

(ガラッ)

「みんな、さっきは有難うね。お茶飲んでゆっくりしよう」

「美味ひい…(ぺろっ)美味ひいなあ…(ぺろっ)」

「あ、さわちゃん…」

「ん?何してんの、この子?」

「唯先輩はスジャータを食べてるです」

「スジャータ?」

「さわ子先生の用事が終わって帰ってきたら楽器にスジャータがかかってて…」

「これ、昨日のスジャータと(ぺろっ)おんなじで美味ひいよ(ぺろっ)憂は間違って買っちゃったのかな(ぺろっ)」

「ごめん。ちょっと意味が分からない」


32 : 以下、名... - 2010/08/03(火) 14:10:37.18 PRyhWq2K0 16/48

「誰かがここに侵入したんですよ!あーヤダヤダヤダっ」

「澪ちゃん、ちょっと落ち着きなさい。唯ちゃん、それ何なの?」

「スジャータです(ぺろっ)そうだ!さわちゃん先生にもあげる!」

「あげるって言われても…(くんくん)きゃっ!こ、こ、これ…」

「どうしたの?」

「な、何でもない(この栗の花みたいな匂いって…)」

「分かってないなあ…(ぺろっ)こんなに美味しいのに…(ぺろっ)」

「唯ちゃん、いけない…(間違いない。あれはどう見ても精液だ)」


35 : 以下、名... - 2010/08/03(火) 14:14:26.74 PRyhWq2K0 17/48

「あ、梓ちゃん!ドアを閉めて!」

「えっ、どうしてですか?」

「いいから閉めて!」

「は、はい」

(ガラガラ、ピシャッ)

「鍵も!」

「え?はっ、はい。すいません」

(ガチャン)

「一体どうしたんだよ、さわちゃん」

「いい?落ち着いて聞いて…この近辺、いいえ、この校内に…変質者がいる」


40 : 以下、名... - 2010/08/03(火) 14:18:42.88 PRyhWq2K0 18/48

「へ…!ええっ?」

「やっぱり…でも、どういう事ですか?」

「…唯ちゃんが舐めてるその液体は…その…(精液だなんて、言えないわ)」

「何、何?」

「あの…えっと…(無理だ。こんな可愛い無垢な子達にそんな…)」

「ザーメン、ですね?」

「ザーメン?」

「何それ?」

「ムギちゃんあなた…そうよ。彼女が舐めてるのはザーメン」

「さわちゃん、ザーメンって何?」


41 : 以下、名... - 2010/08/03(火) 14:24:15.07 PRyhWq2K0 19/48

「えっ。あの、あの、あっあっあ、あの、そう!種!種の事よ!」

「そういう意味もあるけど、普通は精液の事だね」

「は、い…」

「精液って…ええええ?」

「誰がここに入ったんだー!うええん!」

「そっかあ(ぺろっ)これザーメンっていうのかあ(ぺろっ)」

「止めなよ!唯!止めて!汚いよ!」

「もう無くなっちゃったよ。澪ちゃん、どうして泣いてるの?」


46 : 以下、名... - 2010/08/03(火) 15:30:16.68 PRyhWq2K0 20/48

「唯のバカっ!お願い…いつもの唯でいてよお…」

「澪ちゃん泣かないで。澪ちゃん…」

「うう、うえっ怖いよ…変質者が…ぐすっ、いるんだよ?」

「澪ちゃん、大丈夫。鍵もかけてあるし誰も入って来れないよ」

「そうですよ、澪先輩。ここにいれば安全です」

「澪…おい唯!もう金輪際ザーメン禁止だ!部長命令!」

「え~こんなに美味しいのに…でも澪ちゃんの涙は見たくないからなあ」


47 : 以下、名... - 2010/08/03(火) 15:34:31.90 PRyhWq2K0 21/48

「ったく…いいから澪に謝んなよ」

「はあい。澪ちゃん、ザーメン食べてごめんね」

「そういう事じゃないよお…もういい。私こそごめん」

「許して…くれる?」

「うん。私もどうかしてたね…。好きなものを全力で好きになる、そんないつもの唯なのに…」

「えっ?」

「私、きっと唯の知らない面を見てとまどっちゃったんだ。置いてかれたようで寂しい気持ちになっちゃって…」

「ううん、安心して。私はザーメンよりも澪ちゃんが好きだよ。一緒に武道館目指そう!」


48 : 以下、名... - 2010/08/03(火) 15:40:43.58 PRyhWq2K0 22/48

「訳分かんねえ!まぁいいや!部室で閉じ込められてする事もないし練習だ!」

「おー!」

「ワン、ツー、ワンツースリーフォー」

(ジャカジャー『きゃあああ!!』ーン)

「ストップ!ストーップ!」

「なんか、今…」

「廊下の向こうで叫び声がした、よね?さわ子先生?」

「聞こえたような、そうでないような…」


49 : 以下、名... - 2010/08/03(火) 15:46:40.46 PRyhWq2K0 23/48

「き、気のせいかな。よーし、もっかい!ワン、ツー、ワンツースリーフォー」

(ジャカジャー『来ないで嫌あああ!!』ーン)

「唯、今のって…」

「憂の声だ!」

「まじか!さわちゃん、ドア開けて!早く!」

「ええっ!でも鍵を開けちゃったら…」

『助けて!お姉ちゃん、お姉ちゃん!』

「憂!(ガチャガチャ)開かない!何この鍵!ええい!(バキッ)」

(ガラッ)


50 : 以下、名... - 2010/08/03(火) 15:51:09.11 PRyhWq2K0 24/48

「お姉ちゃん!助けて!」

「憂!大丈夫?」

「憂ちゃん!変質者はどこ?」

「こらー!可愛い生徒に指一本触れたら許さないから!…ってあれ?」

「早くー!あっち、あっちに逃げたよ!」

「待~て~!ん?え?もしかして…」

「唯、気をつけて!」

「気をつけても何もさあ…(スパーン、プチッ)…ゴキブリだよお」

「はああ?ったく人騒がせなんだから…」


52 : 以下、名... - 2010/08/03(火) 15:56:31.07 PRyhWq2K0 25/48

「鍵の取換の領収書、平沢家できっておこうかな」

「ごめんなさい!私のせいで…」

「冗談よ。素敵な姉妹愛だったわ。でも、変質者がいる可能性はまだあるんだし気をつけないと…」

「気を取り直して練習してくださいね」

「はーい。…ひっ!あ、あれ!」

「ムギ、どうした?」

「また…ギー太に…ああああ!」

「一体どういう…誰も入ってないはずよ!みんな廊下にいたんだから!」

「美味しそう…おっと、いけないいけない」

「ねえ、梓ちゃん…一番入口近くにいたのって…」

「ち、ち、ち、違います!私じゃありませんよです!」


53 : 以下、名... - 2010/08/03(火) 16:01:21.38 PRyhWq2K0 26/48

「でもさ、この部屋ってさ…」

「密室、って奴だった訳よね」

「みんな早く中に入ってドア閉めて!いや、中は危ないからえーっと…ああもう!」

「でも、見た感じ、部室の中で隠れる所とかないよお」

「…それにこっちはこんなに人数がいるんだから戦っても勝てるかも」

「よし。と、とりあえず中に入りましょ…」

「梓ちゃん…」

「憂、信じて!私じゃ、私じゃないよお!」

「う、ん…」


55 : 以下、名... - 2010/08/03(火) 16:07:12.03 PRyhWq2K0 27/48

「さてと…」

「…(やっぱり美味しそうだなあ…)」

「律先輩!誤解です!私じゃありません!」

「梓ちゃん、冷静になろ。入口近くにいたけど誰か不審者見かけなかった?」

「そうだよ。例えば部室の外で待ち伏せてて、騒ぎに乗じて入った可能性も…」

「あのー私、廊下では誰も見てないですよ」

「そう、それに仮に何者かが侵入したとしてもどうやって脱出したのかという話になる」

「そっか、そうだよね。ドアの外には私達がいたんだし」

「窓も施錠されたままだし、カーテンや棚にも異常はない」

「だから、犯人はこの中に」

「…います…よね…」


56 : 以下、名... - 2010/08/03(火) 16:12:44.54 PRyhWq2K0 28/48

「で、でも!私に精液なんて出せる訳ないじゃないですか!」

「だよねえ…女の子だもんね」

「そうですよ!ほっほらネコミミ!ねっ?唯先輩、可愛いあずにゃんにそんな事できないニャーです!」

「梓ちゃん、やっぱり変よ?どうしたの?もう少し落ち着きなさい」

「そーだよお、あずにゃん深呼吸深呼吸」

「はっ、はい…(スーハースーハー)」

「本当に女の子なのかな?」

「えっ?」

「確かに梓ちゃんはこの中で一番女の子らしいよ。小柄だし髪も長いし」

「ごほっごほっ、ム、ムギ先…輩…?」

「でも、それが女の子である事の証明にはならないよね」


58 : 以下、名... - 2010/08/03(火) 16:21:53.58 PRyhWq2K0 29/48

「ちょっちょっちょっ!何言ってるんだよムギ!」

「そうよ!梓ちゃんが男かもしれないっていうの?そんな訳ないでしょう!」

「あのザーメン、あずにゃんが出したの?」

「出してません!」

「健康診断の資料等はご覧になってますか?」

「見てないけど…だからって」

「私、同じクラスだけど自分のおっぱいが恥ずかしくて他の子の事は分かんない…」

「憂!憂!」

「あ、梓ちゃん。信じてるって!女の子に決まってる…じゃない」


59 : 以下、名... - 2010/08/03(火) 16:26:39.11 PRyhWq2K0 30/48

「どうする?」

「ムギ、やめなよ!梓があんな事する訳ない!」

「そうだよ!バカ言ってんじゃねーよ!」

「分かりました…(スルッ)」

「梓ちゃん!」

「脱がなくてもいいんだって!さわちゃん言ったって!おい!」

「梓ちゃん、良くないわ…こういうのは、ねっ?」

「ぐすっ、だって…だって信じてほしいですから…ぐすぐす(スルッ)」

「ごくり…(あずにゃんの裸、日焼けが琥珀色してて綺麗だなあ)」


60 : 以下、名... - 2010/08/03(火) 16:31:55.05 PRyhWq2K0 31/48

「おいムギ!何も出てこねえじゃねーか!」

「そうよ。梓ちゃんが男なんて事ある訳ないわ!さあ、早く服を着て…」

「ちょっと待って!(くいっ)これは何?」

「ごくり…(ムギちゃん、あずにゃんのあんなとこ触って…羨ましいよう)」

「う、ううっ」

「あれ、それって…」

「なんて所に指入れてるのよ、ムギちゃん!」

「ん?もしかして…ピック?」


61 : 以下、名... - 2010/08/03(火) 16:37:17.18 PRyhWq2K0 32/48

(ペタン)

「うわああん!ああああ!」

「お、おいおいおい。急にどうしたんだよ。おい」

「どうしてピックなんかをそんな所に…」

「話せる?」

「ぐすぐす…私、ずっと好きでした。好きだったんです…」

「梓ちゃん…」

「澪先輩に…憧れてました…」

「えっ?」

「だらしない部活をひとりでまとめる澪先輩を見てると次第にひかれて…」


63 : 以下、名... - 2010/08/03(火) 16:45:28.96 PRyhWq2K0 33/48

「ぐすっ、おかしいですよね…何をしても許される唯先輩が妬ましかったです」

「あずにゃん…」

「バカみたい…先輩達は先に卒業していってしまうのに」

「じゃあ…そのピックは?」

「はい、澪先輩のものです。いつも一緒に、いつでも2人で演奏していたかったんです」

「梓…(ぎゅっ)」

「先、輩…?」


64 : 以下、名... - 2010/08/03(火) 16:52:09.50 PRyhWq2K0 34/48

「ごめんね…うっぐすぐす、気付いてあげられなくて…ごめん」

「梓ちゃん…よく頑張ったね」

「憂、あんた知ってたの?」

「うん…梓ちゃん、いつも澪さんの事ばかり話すから…」

「澪先輩…澪先輩…(ぎゅっ)」

「あの…ごめんなさい」

「梓、ぐすっ、私は想いに応える事はできない。ごめん。でも、ありがと」

「いいんです…すいません。すいません、ぐすぐす」

「じゃあ…あのザーメンは」

「誰だろうね?」


66 : 以下、名... - 2010/08/03(火) 16:59:44.49 PRyhWq2K0 35/48

「でも、紬さん、よく梓の気持ちが分かりましたね」

「ホントだよ~ムギちゃんもさわちゃん先生の事が好きだから分かったのかな?」

「ちっ違うよ!」

「まぁ…そうなの?」

「違う違う!唯ちゃんと私とどっちの言う事を信じるのよ!」

「あっはは~照れちゃって可愛いなあ」

「唯ちゃーん…あのね、何だろう。誰かがそう言ってる気がしたんだよね」

「誰かって何だよ」

「うーん、後ろの方からそう告げられてたような…」

(チャプンッ)

「ムギの後ろにはトンちゃんの水槽しかないよ?」

(チャプンッ)


67 : 以下、名... - 2010/08/03(火) 17:08:15.74 PRyhWq2K0 36/48

「(ゴゴゴゴゴ)パオーン!」

「きゃっ!」

「トンちゃんが」

「鳴いた…」

「ええっ?」

「ククククク…ようやく気付きやがったか…ククククク」

「というか喋った!」

「えっ?トンちゃんどうしたの?えっ?」

「トンちゃん凄いなあ」


68 : 以下、名... - 2010/08/03(火) 17:15:12.93 PRyhWq2K0 37/48

「俺は愛玩用の亀だ…ククククク」

「いや、知ってる」

「えっ?なんで普通に話してんの?ねえ?ムギ?」

「でもな、今ここで打ち明けてやろう…俺はな、お前らを見下しているんだぞ」

「トンちゃんひどいよお」

「まぁ…亀の分際で。えいっ(ポカッ)」

「痛っ!優しくしろよ!亀の頭には優しくするもんだろ糞ビッチ!」

「そうね、ごめんなさい…」

「分かればいいんだよ。でもな、実際そうなんだ」


69 : 以下、名... - 2010/08/03(火) 17:21:29.11 PRyhWq2K0 38/48

「どうして軽蔑なんてするんですか?」

「亀に敬語使わなくていいい、憂ちゃん」

「お前らには分かんねえよ…一生分かんねえよ…」

「そこを何とか教えてよ。いっぱい可愛がってあげたじゃない」

「そうだよ!夏バテしてたのを介抱して貰ったんじゃないの?」

「あのな、亀だって好きで亀に生まれてきた訳じゃないんだ」

「ふむふむ」

「何これ」

「まして、亀頭なんて呼ばれてさ…大迷惑なんだよ。恥ずかしい、放っておいて。それが本音だ」

「亀頭ってなあに?」

「カマトトぶってんじゃねえよこの売女が!たまたまさ、たまたま男性器に似ていただけなのさ…」


70 : 以下、名... - 2010/08/03(火) 17:26:45.12 PRyhWq2K0 39/48

「戦争をする人間の全てが人殺しをしたい訳じゃない。金持ち生まれの皆が上品な訳じゃない」

「カマトトってなあに?」

「ちょっと黙ってな」

「仕方ねえのさ…分不相応なものを背負っちまうってのはよ、仕方ねえのさ…」

「話が見えない」

「もしかして飼われたくなかった?」

「感謝はしてるよ。衣食住が保証されてる生活には。まぁ衣については自前の甲羅なんだけど」


72 : 以下、名... - 2010/08/03(火) 17:32:37.29 PRyhWq2K0 40/48

「だがよ、亀ってのは静かに暮らすべきなんだ。長く眠り、たまに泳いで甲羅干し」

「優雅なものじゃないですか」

「そうさ。だから、本来は知らなくていいんだよ、こんな生活」

「こんな生活って?」

「こんな生活さ。のんびりとした日常描写、退屈な日常を仲の良い友人達と過ごすモラトリアム…」

「亀も似たようなものだろ」

「違うね。眩しいんだよ。焦燥感を持ちながらも成長する姿が、未熟で拙いながらも夢を追う姿が」

「それは私達の責任ではないよ」

「眩しいのさ…知りたくなかったんだ。リア充って奴をよ…」


74 : 以下、名... - 2010/08/03(火) 17:36:49.73 PRyhWq2K0 41/48

「だから、俺は現実を突きつける事にした」

「まさか…」

「そう、夏バテの演技をして油断させ、その隙に精液を放出した」

「じゃあ、あのスジャータって…」

「お前はバカだよ。…いや、一番賢いのかもしれねえ。美味しい美味しいってな」

「ねえ?ここでは教育者は私なのよ?」

「しっ、ちょっとさわ子先生は黙ってて」

「いまだ恋を知らず、男性を知らず、実社会を知らないお前達が羨ましいだけさ」


75 : 以下、名... - 2010/08/03(火) 17:41:09.86 PRyhWq2K0 42/48

「ここを卒業すれば望もうと望むまいと、いつか誰かと恋をするさ」

「…」

「恋ってのはさ、月みたいなもんだ。遠くから見てる分には素敵でな」

「違うよ」

「でも、近づけば穴ぼこだらけ。苦しい事や汚い事で塗れてやがるんだ」

「違うよ!」

「落ち着けよ。…なぁ、あんたのは恋じゃねえ。恋に恋焦がれ恋に泣くって奴だよ」

「GLAYだね!」

「月とスッポンのスッポンが教えてやろうと思ったんだよ。こんな事ばかりじゃないって」


76 : 以下、名... - 2010/08/03(火) 17:43:32.19 PRyhWq2K0 43/48

「お前達の世界は幻想だ。お前達の暮らしは虚構なんだ。お前達の部活なんて嘘っぱちだよ」

「うるさい糞亀!恩を忘れやがって!(バキッ)」

「ちょっと、梓!」

「痛てて…うう、はっきり言ってやるよ。お前達は単なるアニメなんだよ!」

「へ?」

「『けいおん!』っていう深夜アニメなんだよ、これは!」

「え?何?何すか?メタ言語で話せば偉いと思ってる?」

「妄想もほどほどにした方がいいわよ」

「ぐはっ、甲羅が割れちまった…俺ももう長くないな…」


77 : 以下、名... - 2010/08/03(火) 17:48:37.64 PRyhWq2K0 44/48

「いつか分かる…お前達にもいつか分かるよ」

「うるさい!(ぐしゃっ)」

「ぐえっ!…でもそれでいいんだ。ひとつだけ、分かってほしい」

「なあに?」

「お前達の生活を外から見ているだけの俺みたいな亀が沢山いてさ、はぁはぁ…」

「何それ怖い」

「くだらない汚い奴らだけど彼らにもお前達みたいな時期はあったんだ。確かにあったんだよ…」

「興味ないね」

「でもな、そいつらは亀みたいに丸くなって殻に閉じこもりがちだけど…かはっ」

「言いたい事はそれだけ?」

「そいつらはさ、核を持っててさ…『人間嫌い』という核を後生大事にして真珠にしようとしてるんだよ…」

「うっさい死ね(ばきっ)」


80 : 以下、名... - 2010/08/03(火) 17:54:31.32 PRyhWq2K0 45/48

(ザアアア…)

「雨…降ってる…」

「ああ、教室で寝ちゃってたのか」

「机に突っ伏してたから体バキバキだあ。痛てて…」

「なんか、夢を見てたような気がするけど」

「思い出せないなあ…何だっけ」

「変てこな、夢」

「そうだ!部活行かなきゃ…」


81 : 以下、名... - 2010/08/03(火) 17:57:45.45 PRyhWq2K0 46/48

(ガラッ)

「おっはよー」

「おー遅いじゃん」

「ごめん。教室で寝ちゃってたよお」

「もー、みんな待ってたんだからね」

「そうそう。早く容易しちゃいな」

「はーい」

「あれ?」

「どーしたの?」

「ギー太に何か付いてない?」

「あれっ?スジャータがこぼれてる」

82 : 以下、名... - 2010/08/03(火) 17:59:28.85 PRyhWq2K0 47/48

1280807544-082


83 : 以下、名... - 2010/08/03(火) 18:09:03.88 PRyhWq2K0 48/48

なんかすまん。ひどい出来だとは思ってる。
けいおんを見た事がないからウィキペディア見ながら書いたらこうなっちまったんだ。


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