1 : 以下、名... - 2010/06/30(水) 20:27:39.99 cDNlWpbm0 1/142

「うげ…っ!何だコレ!?」

めんどくさいと思いつつ、仕方無しに部室にトンちゃんの世話をしにいったら…。

「…これって…やっぱアレだよなぁ?」

部室のテーブル。いつも皆でお茶を飲んでダベっているその上に。

「バイブ…だよな?」

なんだか凶悪なアイテムがそこに置かれていた…。

「流石に聡のとは全然違うなー、昔の話だけど」

内心びっくりしながらも、興味深げに観察する律…。



元スレ
律 「これ…どうしよう…」
http://yutori7.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1277897259/

2 : 以下、名... - 2010/06/30(水) 20:35:05.10 cDNlWpbm0 2/142

「だけど、何でこんなのが部室に…」

何となく考えたのが同じ軽音部のメンバーである。

唯…。まぁ、ありえないなー。 

澪…。そんな訳あるか!と自らにツッコミ。

紬…。何となくって感じで、まぁ無いよな…。

梓…。梓はもっとありえないだろー。

で、最後に脳裏に浮かんだのがさわちゃん…。

「…ありえるから怖いな…」


3 : 以下、名... - 2010/06/30(水) 20:35:35.23 lz6hoi95O 3/142

ローター梓のバイブ編ですかな


※梓 「…これ…って…」
http://ayamevip.com/archives/54564184.html

4 : 以下、名... - 2010/06/30(水) 20:45:32.37 cDNlWpbm0 4/142

思わずトンの世話も忘れて『ソレ』を凝視する。

「だけど、幾らあのさわちゃんでも部室ではしないよなー」

これから先、律のさわちゃんを見る目が変わってしまいそうである。さわちゃんの所有物と言う証拠は一切無いのだが…。

「…やっぱさわちゃんに返した方がいいかな…?」

と、その時、部室のドアの向こうに人の気配。誰かが来たようである!

「うわっ!えっとコレ…ええい!」


↓思わず隠してしまう 鞄の中or部室内


5 : 以下、名... - 2010/06/30(水) 20:48:10.64 kLZC7x/z0 5/142

鞄の中


7 : 以下、名... - 2010/06/30(水) 20:53:27.11 cDNlWpbm0 6/142

律は手近にあった自らの鞄の中にソレを掴んで無造作に投げ込んだ。それと同時に扉が開いて、部室にさわちゃんが入ってくる。

さわ「あら?今日のトンちゃんの世話はりっちゃんだったの?」

「あ、あははは…」

さわ「…?どうしたの?床に座り込んで…?」

「いえ!何でもないですよ?ええ、別に何も」


8 : 以下、名... - 2010/06/30(水) 21:01:06.60 cDNlWpbm0 7/142

律はすぐさま立ち上がると、ソレの入った鞄をなるべくさわちゃんの視界から外すように物陰へと押しやった。

「ところでさわちゃん先生は部室に何の御用で?」

さわ「そりゃあ、私は軽音部の顧問として様子を見に来ただけだけど…、どうしたの?様子がおかしいわよ?」

「いえ!これが普通ですよ!…ところであの、さわちゃんに一つ聞きたい事が」

さわ「何なのよ?」

「つかぬ事をお聞きしますが…、さわちゃん部室に忘れ物したとかは…?」

思い切って聞いてみた。


10 : 以下、名... - 2010/06/30(水) 21:05:21.94 cDNlWpbm0 8/142

さわ「?…これと言って思いつくモノは無いわね…?何か私の私物でもあった?」

「…本当に?」

さわ「…ええ、あ、もしかしてまた物置から昔使ってたような物が出てきた?」

様子を見る限り、アレがさわちゃんのモノでは無い事が分かった。

「いえ!ただ何となくです!気にしないで下さい!」


11 : 以下、名... - 2010/06/30(水) 21:10:30.26 cDNlWpbm0 9/142

律のその様子に不審がるさわ子であったが、職員室でやり残した仕事が残ってる以上それ以上の追求は断念する。

さわ「まぁいいわ、トンちゃんの世話済んだら寄り道せずに早く帰りなさいね?」

そして律はトンの世話が終わると同時に、さわちゃんから逃げるように学校から帰宅した。


13 : 以下、名... - 2010/06/30(水) 21:18:45.45 cDNlWpbm0 10/142

自室。

「って!持って帰って来てどうすんだ!」

鞄の中から転がり出る特徴的なその形状。床に落ちたソレからは異様な迫力が漂ってくる。

「と、とにかくどうにかしないと!」

すっかりパニック状態である。無意味に引き出しを開けたり、本棚から楽譜をだしたり…。

「…って!落ち着け!」


15 : 以下、名... - 2010/06/30(水) 21:29:44.46 cDNlWpbm0 11/142

一旦落ち着いて深呼吸。それだけで大分思考が纏まりだす。

「まずは部屋に鍵!OK!」

こんなアイテムを弟や家族に見られたらそれこそアウトである。

「とりあえず散らかしてしまった部屋の片付け!OK!」

パニクってた時に引っ掻き回した部屋を整理する。

「そして、このブツの処遇!…どうしよう」

自室の床に転がるソレを目にして、改めて持って帰って来てしまった自分の浅はかさを後悔した…。

「…いや、マジで…」

もうどうしていいか分からないレベルの難問であった。こんなに悩んだのはいつ以来だろうか。


↓どうする? 隠すor捨てる


16 : 以下、名... - 2010/06/30(水) 21:32:03.63 YrL0Q2riO 12/142

隠す


17 : 以下、名... - 2010/06/30(水) 21:41:44.73 cDNlWpbm0 13/142

「ねーちゃん?何ドタバタ騒いでんだ?」

「!?!?」

扉の向こうで、弟の聡がドアノブに手を掛けたのが分かった。

「おわっ!聡!ちょっと待て!」

思わずベッドの下にソレを滑り込ますように投げ入れた。そして鍵を開ける。

「鍵なんか掛けてどうしたんだよ?」

不審そうにそう聞いてくる弟に私は。

「なんでもねーよ、それより何の用だよ?」

「いや、一人でドタバタ騒いでれば様子ぐらい見に来るだろ…」


18 : 以下、名... - 2010/06/30(水) 21:51:19.50 cDNlWpbm0 14/142

その後、多少の押し問答の末に何とか聡を追い返した律。

「う~ん、どうしようか…」

ベッドの下からソレを取り出して再び悩みだす。そして何となくスイッチを入れてみた。

「うおおおっ!何かすげー!」

驚きよりも、物珍しいモノを見たと言う感動の方が僅かに勝る。

「うわぁ…、こんなに動くモノなのかぁ…」

ウネウネと蠢くソレを前に、律は段々と自分の顔が赤くなるのを感じた。


39 : 以下、名... - 2010/07/01(木) 03:19:25.97 M2MVe0/P0 15/142

「… … …」

好奇心から、その蠢いている部分を手で握る。

「うひゃあ!」

自分の手の中で力強く旋回運動をするその感覚に律は思わず声を上げた。

「本当、何か…、凄い」

手を放すのを忘れ、真顔でそう呟く律…。


41 : 以下、名... - 2010/07/01(木) 03:27:20.29 M2MVe0/P0 16/142

「こんなのが…、その、ここに入っちゃうんだよな…」

昔、調べ物をしている際にネットでチラッと見たその手の動画の事を思い出す。

「こんなのが…入って…」

その時に画面内で乱れていた女優の姿が、何故か自分の姿に変換される。

「な!?嘘!私はそんな事しないってーの!」

律は顔を真っ赤にしてその想像を振り払った…。


42 : 以下、名... - 2010/07/01(木) 03:44:19.18 M2MVe0/P0 17/142

その日、家族が集まる夕食時も律は心ここに有らずって言う感じであった。前の勘違いラブレター(?)騒動の時の感じによく似ている。

(…はぁ…)

湯船に浸かりながら律は思わず溜息を吐いた。握った手の感触が頭から離れない。

それと、その時脳裏に浮かんだ自分の乱れた姿…。

(実際、あの動画みたいに気持ちいい筈は無いよなー…)

動画ではあの後、男優に貫かれて悦んでいる女優の姿。

(私、まだそんな経験ないし…)

顔の半分を湯に沈めてブクブクと泡を立てる。その顔は湯にのぼせる以外の理由で真っ赤だった。


43 : 以下、名... - 2010/07/01(木) 03:49:54.55 M2MVe0/P0 18/142

風呂から上がり、台所で牛乳を飲む。その律の後ろをこれから風呂に入る聡が通り過ぎた。

(… … …)

横目で聡の後ろ姿を眺める。

(昔はあんなに可愛かったのに、今は違うんだろうなぁ…)

幼少の頃、まだ一緒にお風呂に入っていた頃の聡を思い出す。

(クレしんかっ!)

そして思わず自分にツッコミを入れた。


45 : 以下、名... - 2010/07/01(木) 03:57:01.18 M2MVe0/P0 19/142

髪の毛を乾かし、ヘアバンドで纏めずに自室に戻る。

「はぁ…」

出るのは溜息ばかり、自分でもおかしいと思う。と言うか、原因ははっきりと分かってはいるのだが…。

「…コレ…だよな…」

ベッドの下から再び取り出し、自分の前に置いて見る。

「… … … …」

無言で部屋に鍵をして、オーディオで音楽を再生させた。


47 : 以下、名... - 2010/07/01(木) 04:12:09.83 M2MVe0/P0 20/142

バイブをベッドの下に投げ入れると、部屋の電気を消してベッドに潜り込む。

「…し、しないからな…!」

誰に言う訳でもなく、顔を真っ赤にしてシーツから半分顔を出した状態で呟く。

だが、一度だけ想像してしまった乱れた自分のその姿を思い出し、そしてその想像は何時までも脳裏から離れなかった。

(~~~~~!)

シーツを頭まで被り、顔を枕に埋める。そして暫くそうやってゴソゴソとしていたが、やがてシーツから真っ赤になった顔を出し…。

(… … …)


コマンド

 する

 しない


48 : 以下、名... - 2010/07/01(木) 04:12:45.17 jzZHjUhKO 21/142

する


49 : 以下、名... - 2010/07/01(木) 04:25:42.21 M2MVe0/P0 22/142

部屋のオーディオは音量を抑えてはあるものの、自室でこれから行われる行為を誤魔化すには十分だろう。今までもこの方法でばれずに済んでいたし…。

律はそう思いつつ顔を真っ赤にしながら準備を始める。準備とは言ってもパジャマを全部脱いだりはしない。手元にティッシュの箱を置くぐらいである。

(…ん…)

肌蹴たパジャマの隙間から手を入れ、ブラの上から自らの胸を撫で擦り始めた。

(…は…ぁ)

決して声は上げない。たとえ小さく声を上げてもオーディオの音で誤魔化せるだろうが、隣の部屋では弟が寝ているのだ。注意するに越した事は無い。

(…っ!…ふっ!)

ブラを捲り上げて胸を露にする。そして軽く指先で転がすように乳首に触れた…。


51 : 以下、名... - 2010/07/01(木) 04:32:43.45 M2MVe0/P0 23/142

(んんっ!…ふはっ…!)

軽く痺れるような、くすぐったい感覚が乳首に走る。律はこの感覚が結構好きだった。

(…あ…っ…、くふっ…)

両方の乳首を同じように責める。指先で先端を撫で回し、擦り、軽く摘む…。


↓まだ胸で愉しむ?下の方を弄る?


52 : 以下、名... - 2010/07/01(木) 04:35:58.34 /xSbnNnX0 24/142

下の方を弄る


53 : 以下、名... - 2010/07/01(木) 04:54:54.65 M2MVe0/P0 25/142

(… … …)

片方の手を下半身にゆっくり持って行き、そっとその手をパンティーの内部に侵入させる。

(…んっ…)

軽く触れる。少し湿り気を帯びたその部分から走った電流が律の身体を支配し始めた。

(はっ…ぁ、あんっ…)

自らの一番感じやすい力加減で擦り上げる。やがてほんの少しだった湿り気は十分にその指に纏わり付くぐらいに濡れだした。

(は…ぁんっ!…ふっ…ぁ…)

人差し指と薬指で割り広げ、中指でその内部を責める。浅く埋没させて抜き差しを繰り返す。

(んんっっ!!!)

そして訪れる最初の、ごく軽い絶頂…。

(はぁ…、はぁ…、んっ!)

だがその指は止めない。次の絶頂を導く為にさっきよりも少しだけ激しく動かし始めた。


54 : 以下、名... - 2010/07/01(木) 05:03:43.41 M2MVe0/P0 26/142

(はぁ…、あんっ…!くふっ!)

シーツを噛みながら、ごろんと横向きになって胸と股間で指を動かし続ける。

(…あっ!ふぅ…!やっぁ…)

ノッて来たのが分かる。ここまでするのは久々だった。何時もは最初の軽い絶頂で終わらせているのだ。

(あっ…、ヤバ…、何時もより感じる…)

原因は直ぐに思いついた。今ベッドの下にあるモノと、それから連想してしまった自分で使用している妄想である。

(…使っちゃおうかな…?)

指を動かしながら、そう考えた…。


↓使う?使わない?


55 : 以下、名... - 2010/07/01(木) 05:05:56.11 m7bZ8I2kO 27/142

使う


57 : 以下、名... - 2010/07/01(木) 05:21:42.24 M2MVe0/P0 28/142

(…うん…)

寝転んだままベッドの下を漁り、転がっているバイブをその手に掴む。そして軽くウェットティッシュで拭き取ると。

(こんなの、入れる訳ないけど…)

そっと、その先端をパンティー越しに押し付けた。そしてゆっくりと動かして擦り始めた。

(んっ…あっ…、イボイボが擦れて…何かいいかも…)

暫くそのまま擦り続ける…。

(はぁ…、はぁ…、ひんっ!)

時折触れるクリトリスが気持ちいい。そして自然とその手はパンティーをずらしてその先端を直接触れるように持って行った。


59 : 以下、名... - 2010/07/01(木) 05:39:42.22 M2MVe0/P0 29/142

(んあっ!)

自分でも気が付いていなかった。襞を掻き分けるように直接擦り付けていたのだ。

(でも…、凄い気持ちいい…)

溢れた愛液がバイブの表面を湿らせ更に卑猥さを増していくその様に、律は背筋を通って何かの感情が脳に登って行くのを感じた。

(入れたら気持ちいいかも…、って!こんなの無理だよな…)

だけど流石に最後の一線を越える気にはならない。やっぱり一番最初は好きな人に捧げたいモノである。

(だけど…、それ以外なら…)


↓スイッチ入れる?入れない?


60 : 以下、名... - 2010/07/01(木) 05:45:21.26 1q+vIfglO 30/142

迷うな入れろ




スイッチを


62 : 以下、名... - 2010/07/01(木) 06:01:40.00 M2MVe0/P0 31/142

(…んっ)

そっと、そのスイッチを入れる。

(…!!)

その途端、自らの股間で怪しく蠢くバイブの先端に律の快楽神経は焼き切れそうになった。

(ひっ!!!!!!)

仰け反る。力強く割れ目を押し広げて襞を掻き分けるようなその動きに思わず胸を弄っていた手を口元に持って行って声を抑える。

(嫌っ!こ…こんなのって…!)

まさかここまでとは思って居なかった。だがそのバイブを掴むその手は緩められなかった。不意打ちのような快感に身体が一瞬固まってしまったからだ。

(あっ…はぁ!凄…い!暴れてる!あっ…ああああああっ!!!!)

うねり、掻き分け、割れ目を、そしてクリトリスを容赦なく擦り犯すソレの暴力的な快楽に律は何度も飛んだ。

(うああっ!また…!来るっ!)

シーツに潜り、その上からでも分かるぐらいに絶頂を繰り返す律。

(んあっ!あ!あ!あ!…!!!!!っ)


63 : 以下、名... - 2010/07/01(木) 06:09:14.57 M2MVe0/P0 32/142

数分後…。

ベッドの上には放心して涙目で横たわる律の姿があった。

「何コレ…、凄すぎるよ…」

こんなのをもしアソコに入れられたなら死んじゃうかもしれない…。

「流石に、入れないけどさ…」

(でも、好きな人に…ならいいけど…)

そして、そのまま眠りの世界に落ちていった。


一日目終了


70 : 以下、名... - 2010/07/01(木) 10:43:22.26 M2MVe0/P0 33/142

翌日…。

「…おい律、起きろ」

「…んぁ…?」

心地良い眠りを妨げる知った声が聞えると共に身体を揺さぶられる。あれ?昨夜は部屋に鍵掛けたよな?

…って、そうか、夜明け前に一回目が覚めてトイレ行ったんだっけ…。そのままだったな…。

「いい加減に起きろ!もう昼前だぞ!約束どうすんだよ!」

あまりのしつこさに薄く目を開けてみると、そこには怒った顔で私を覗き込んでいる澪の顔があった。

「…あれ…?澪?こんな朝からどったの?」

すると澪は私の目の前に目覚まし時計を突きつけると。

「朝じゃない!もう昼前だ!買い物行く約束だろ!」

なんだっけ?そんな約束していたようなしなかったような…。だがそんな事よりも…。


72 : 以下、名... - 2010/07/01(木) 11:00:23.56 M2MVe0/P0 34/142

「澪~!とりゃー!」

「うわっ!」

私の身体を揺さぶる澪の手を掴むと、そのままベッドに引きずり込む。

「み~お~、…お前が欲しい」(キリッ)

「なっ!寝ぼけてるのか律!って何だその格好は!殆ど半裸じゃないか!」

昨夜、汗やら何やらで汚れた衣類は全て洗濯機に投入済みである。今私が身に着けているものは下着に大き目のTシャツのみ。

「セクシーだろ?澪も一緒にどうだ~?」

この瞬間、確かに私は半分寝ぼけていたのかも知れない…。寝ぼけていたからこそ悪ふざけのリミッターも外れていた。

「ほら、澪も脱いじゃえ!」

「いい加減に…」

…あれ?怒らせたかな?

「起きろーっ!!」

澪の怒りゲージが振り切れると同時に、頭頂部にたんこぶを作ってベッドに崩れ落ちる私の姿がそこにあった…。


73 : 以下、名... - 2010/07/01(木) 11:11:27.87 M2MVe0/P0 35/142

昼下がりの商店街…。

「お~、痛ててて…。まだ痛いよ澪~」

頭頂部を擦りながら隣を歩く澪に話しかける。

「あれは律、お前が悪い。何をどうやったら目覚めて直ぐにセクハラ行動とれるんだ?」

「いや~、面目ない…自分でも何したか記憶が曖昧なんだ、はっはっはっ!」

「笑い事で済ませれるその精神が凄いよ…」

お互い、目的の夏のバーゲンで買った服を持って商店街の他の店を見て回る。

そう言えば慌てて出て来たから昼ご飯すら食べてないや。

「な~澪。どこかで何か食べない?」

「そうだな、もう昼も過ぎたし…。何食べるんだ?」


↓ハンバーガーorファミレス


74 : 以下、名... - 2010/07/01(木) 11:12:50.12 mnV0wVo/0 36/142

ファミレス


75 : 以下、名... - 2010/07/01(木) 11:24:51.71 M2MVe0/P0 37/142

「う~ん、お金もそんなに余裕無いし…、だけど色々食べたいし…」

「ならファミレスでいいだろ、ほら、私さっきの買い物で割引券とか貰ったし」

「おお、澪ナイス!じゃあ行くぜ!」

いつも買い物帰りとかに立ち寄るファミレスに入り、私はピザとケーキを、澪はパスタを注文する。もちろん双方ドリンクバーでまったりする態勢だ。

「ん~、空きっ腹に沁みるなぁ…」

「ちょ…!恥ずかしいぞ律!」

大きな口でピザにかぶりつく私を澪が制止する。だけどそんな事言われてもお腹空いてるのは事実だし…。

「そんな事言うなよ澪ー、ほら、一口やるからさ」

そう言ってピザを一切れ手に取ると、澪に差し出した。

「ほら、あーんしろ!あーん!」


76 : 以下、名... - 2010/07/01(木) 11:31:35.17 M2MVe0/P0 38/142

「ちょ、だから…!」

「え~?ほら、今は誰も見て無いからさ、ほれほれ」

口元に押し付けるようにピザを更に差し出す。

「~…」

やがて観念したのか、澪は小さく口を開けると私の差し出したピザを齧った。

「んむ…、ん~」

お約束のようにチーズが伸びて澪は少し困った顔をしたが、それでも何とか一切れを全て完食した。

「…おいしい…」

照れたように私にそう言う澪。

「じゃあ澪、そのパスタ一口私に食べさせて!」

私は口を開けて澪のパスタをねだる。どんな反応するか楽しみだ。


78 : 以下、名... - 2010/07/01(木) 11:36:56.25 M2MVe0/P0 39/142

「え…?むぅ…、仕方ないな…」

以外にも澪は素直に従ってくれた。手にしたフォークで器用にパスタを絡め取ると、そのまま私の口に入れてくれる。

「ん~、美味しい!私もコレ頼めばよかった」

「同じもの頼んだらこんな事をする必要は無かったな」

「ん~、それは違うぞ澪~!こうやってお互いの足りないモノを補ってこその友情だと思わんかね?」

「いや、訳が分からないし…」


79 : 以下、名... - 2010/07/01(木) 11:47:03.83 M2MVe0/P0 40/142

「ほほぅ?間接キッスすら済ませたこの友情が分からないと申すか」

私は意地悪な言動をする。勿論澪の真っ赤になった顔が見たいが為だ。

「なっ!何で間接キッスとか出て来るんだよ!」

案の定、澪は顔を真っ赤にして反論してきた。

「そう、先程の澪が私に食べさせてくれたそのフォーク!それはさっきまで澪が使っていたモノ。違うかね?」

探偵モノのドラマのように、証拠となったフォークに指を突きつける。

「はっ!そういえばそうだった!」

脳内で効果音等を再生し、アリバイを崩されてショックの澪を演出しようとしたその時。

店員「お待たせしました~、ご注文のケーキです~」

「おっと、ケーキはこっちね店員さん!」

脳内BGM再生はあっけなく中止になった。


92 : 以下、名... - 2010/07/01(木) 16:08:31.31 M2MVe0/P0 41/142

夕方…。

駅前で澪と別れ、苛烈なバーゲンでの戦場で勝ち取った服を抱えながら帰宅する。

「いやー、今日は大収穫だったなー」

自室の鏡の前で買ってきた服に着替え、既に持っていた他の衣裳と合わせながら昼間の事を思い出す。

「あの時の澪の顔、間接キッスとか言ったら本当に…」

「… … …」

思い出して、何だか急にこっちが恥ずかしくなってきた…。そしてさりげなく指で自分の唇に触れる。

「な、何なんだよ…もう…」

ファーストキスですらまだ未経験なのに、間接とは言え意識したその相手が親友の澪。

「む…、う~ん…」

だが、何となく悪くは無いとか思ってみたりした…。


95 : 以下、名... - 2010/07/01(木) 16:25:19.76 M2MVe0/P0 42/142

鏡を見る…。

自分の唇。澪と間接…。

今まで意識などしてなかった分、澪との関係を改めて考えると凄い事だと思う。同性とは言え、家族以外で一番長く付き合ってきたのだ。

もし澪が男だったら、その関係はどうなっていたのだろう?

「なんてなー、それを言ったら唯と和の関係なんか私達以上だよな!ははははー!」

鏡の前で笑う。

だが、その笑いは自分を納得させる為の無理やりな笑いであった。


…あと、部屋の前を通りかかった聡が『ねーちゃん、気持ち悪いぞ』とか言ったのでとりあえず殴っといた。


98 : 以下、名... - 2010/07/01(木) 16:42:57.79 M2MVe0/P0 43/142

夜…。

家族揃って…と言いたいものの、今日は父親が残業で帰りが遅くなり、母親は町内会の行事で今は家に居ない。

「聡、ねーちゃんご飯作るけど何か食べたい物あるかー?」

姉として弟の面倒は見る。だが当の聡は私の腕をあまり信用していないらしく、『インスタント』の何かでいいとか、チクショウ。

取り合えずレトルトのカレーを温めて食事を済ませ、先に聡を風呂に入れてその間洗い物を済ます。

そして洗い物が終わったと同時に、聡が風呂から上がった。

「さてと、それじゃあ私も入ってサッパリするかー」


100 : 以下、名... - 2010/07/01(木) 16:56:04.10 M2MVe0/P0 44/142

湯に浸かりながら鼻歌を歌い、今日一日の汗を流す。

そして何となく鼻歌を止めて耳を澄ますと、居間からそれなりの音量で聡がゲームを始めたのが分かった。

(あーあ、こりゃ暫く熱中するな…)

ちょっとだけ観たい番組があったが、そうなると弟と居間の大画面を争う事になる。まぁ今回は聡の勝ちにしておくか…。

今度は鼻歌を混じりにスティックを操るように手を動かす。お風呂に入るときの日課だ。

(そういえば合宿の時に見た澪の胸…、あれはまた育ったな)

どうでもいいことを思い出し、そして自分の胸と比較してみて少しへこんだ。

(うう、唯もああ見えて私よりはあるし…、もう仲間は梓だけだ!)


101 : 以下、名... - 2010/07/01(木) 17:12:00.00 M2MVe0/P0 45/142

(揉めば大きくなるとか言うけど…あれマジなのか?)

さりげなく湯船の中で自分の胸を触ってみる。

(あっはっはっは…、澪の半分ぐらいしかねーよ)

それでも多少は鯖を読んでみる。…悲しくなった。

(まぁ、これでも一年の頃に比べたら多少は増量してるんだがなぁ…)

自分の胸を揉みながら一人思う。

(やっぱエロくないと大きくならないのか?)

女性ホルモンとかそう言った話を思い出す。関係あるようなないようなレベルの話だが。

(さわさわ…もみもみ…)

(何だか…、変な気持ちになってきた…)


↓もっと揉むor風呂から出る


102 : 以下、名... - 2010/07/01(木) 17:13:00.54 O7hU6iFv0 46/142

もむ


103 : 以下、名... - 2010/07/01(木) 17:34:51.54 M2MVe0/P0 47/142

(うん、やっぱ温めながらマッサージ…だよな)

強弱をつけて揉み始める…。

(… …んっ…)

寄せて、上げて、下から掬い上げるように…。

(んっ…、ふぅ…)

手の平で乳首が擦れて気持ちいい。

(やっぱ、大きいのっていいよ…な)

脳裏には何時の間にか澪が浮かんでいた。


108 : 以下、名... - 2010/07/01(木) 18:29:47.65 M2MVe0/P0 48/142

やがて胸を揉むその手が、そのまま下の方に移動しようとしたその時。

「律ー?入ってるの?」

「うわっ!…は、入ってるよ」

帰ってきた母の声によって現実に引き戻された。

(…仕方ない…、続きは部屋で…)

そう思いつつ、湯船から出た瞬間…。

「…あれ…?」

急に目が回り、足から力が抜けてそのまま床にへたり込んでしまった。


114 : 以下、名... - 2010/07/01(木) 19:07:09.75 M2MVe0/P0 49/142

「もう、一体どれだけお風呂に浸かってたのよ…」

湯当たりを起こして倒れた私は、部屋でデコにヒエピタ貼って寝かされていた。

「うう~」

「まぁ処置はしたし、暫くしたら復活できるわよ。それまで大人しく身体休めときなさい」

何してんだろ私…。それよりも明日は皆揃っての練習だし、しっかり回復させないとな…。


116 : 以下、名... - 2010/07/01(木) 19:26:01.48 M2MVe0/P0 50/142

翌朝、しっかりと休息を取ったおかげか予想以上に早く目覚めてしまう。

おかげで午前中には家でやるべき事は全て終え、学校に行くまで暇を持て余す事になってしまった。

「どうしようかな…、ちょっと早いけど部室に行ってみようか?」


コマンド

部室に行く

行かない


117 : 以下、名... - 2010/07/01(木) 19:32:13.00 ATc1k0nBO 51/142

行く!


119 : 以下、名... - 2010/07/01(木) 19:50:18.19 M2MVe0/P0 52/142

「…はぁ…」

やはりというか、流石に部室には誰も来ていなかった。

「やぁ、トン」

あまりに静かで暇だったので、軽音部のマスコットであるスッポンモドキのトンちゃんに話しかける。

「ほーら、餌だぞー、たんと食えー。それと私昨日湯当たりで倒れたんだぜー?」

だがトンは餌を食べるのに夢中で、律の事などこれっぽっちも眼中には無かった…。

「べ、別に…、亀に分かってもらおうとは思ってないやい…」

そう言ってから律は何気なく部室を眺めた。

「静かだな…」


120 : 以下、名... - 2010/07/01(木) 19:58:21.51 M2MVe0/P0 53/142

校庭や中庭からは運動部や体育会系文化部の練習の声や音は聞こえるものの、この軽音部だけは限りなく無音に近かった。

「そう言えば、最初は私と澪だけだったんだよな…」

懐かしい記憶が甦る。私が半ば無理やり澪を軽音部に誘ったんだよな…。

その後にムギが来て、そしてカスタネットしかやったことの無い唯が来て…、さわちゃんが顧問になってくれて、そして何とか形になって…。

長椅子に横たわる。

「で、梓が入学してきて…」

だんだんと眠くなってくる…。そして静かに寝息を立て始めた…。


148 : 以下、名... - 2010/07/02(金) 05:25:38.66 mlcfdRM50 54/142

「… … …」

部室に行くと、珍しく律が一番最初に来ていた。しかも寝てるし…。

「おい律、起きろ」

揺さぶって起こそうとしたが、前回の事もあってか躊躇してしまう。

「律~、朝だぞ~起きろ~」

「…ん~…」

(…流石に寝顔は可愛いな)

悪戯心が芽生えた私は、律の耳元でそっと囁いた。

「あんまり寝坊すると、悪戯しちゃうぞ~?」

軽くその頬を突付きながら、その寝顔を観察した。


151 : 以下、名... - 2010/07/02(金) 05:34:45.78 mlcfdRM50 55/142

「…ぁぅぅ…、ゴメンよ澪~…」

(プッ…、寝言か?今の)

夢の中で私に説教でもされているのか、聞き取れないぐらいの声で情けない声を出す律。

(って、夢の中でも私の役どころって怒ってるのか)

「…軽音部…、作ったのに…辞めないでょ~澪~」

どうやら、夢の中で私は軽音部を辞める事になっているようである。

(辞める訳ないだろ、私は皆の居るこの軽音部が大好きなんだから)

律の頬を突付くのを止め、その手で優しくその頭を撫でた。

「澪の事…が…好きなのに…」

(…え?)


154 : 以下、名... - 2010/07/02(金) 05:42:36.70 mlcfdRM50 56/142

思わず聞き返そうかと思った。

「… … …」

だけど、それ以降律は寝言を発する事なく寝息を立てるだけだった…。余程悪い夢だったのか、その目には薄っすらと涙が浮かんでる。

「…律…」

澪は寝ている律の頭の横に座ると、他の皆が来るまでその頭を撫で続けた…。

「…ずっと一緒だよ、律…」


155 : 以下、名... - 2010/07/02(金) 05:50:46.62 mlcfdRM50 57/142

何だか悪い夢を見ていたような気がした。夢の内容はもう思い出せない…。

だけどその悪夢は急に終わり、非常に穏やかなモノに変わったのだけは理解できた。まぁ気にはしないでおこう。夢だし…。

そしてゆっくりと、そして静かに目が覚めた…。

(… … …)

はい、自分はまだ夢の中に居るようです。だって、澪が寝ている私の横に座って頭撫でてくれてるんだぜ?

(絶対にこれ夢だろ?な?皆?)


コマンド

 うん、夢

 いやっ…これはっ…紛れも無いっ…現実っ!


156 : 以下、名... - 2010/07/02(金) 05:52:08.98 0aDXIst10 58/142

いちばち 夢


157 : 以下、名... - 2010/07/02(金) 06:00:25.19 mlcfdRM50 59/142

(そうだよなー、澪が私にここまで優しいって無いよなー)

これは夢。そう結論付けた私は暫くこのまま澪の手の感触を感じる事にした。

(うん、いい気持ち…)

時折鼻歌交じりに私の頭を撫でる澪。目を瞑っていてもその姿は想像出来るし、そしてその手からは澪の優しさが伝わってくる。

(やっぱ、澪って可愛いよな…)

無意識に私の手が伸び、澪の手を掴もうと宙を彷徨う。

「…?」

そしてその手に気付いた澪は、優しくその手を握ってくれた。

「…起きたのか?」


↓まだ寝たふりor起きる


158 : 以下、名... - 2010/07/02(金) 06:01:40.11 0aDXIst10 60/142

寝たふり


160 : 以下、名... - 2010/07/02(金) 06:14:30.51 mlcfdRM50 61/142

「… … …」

「まだ寝てるのか…」

澪はクスッと笑うと、私の手を握ったまま再び鼻歌を歌いだした。

(こういうのって…、いいな)

凄い安心感。澪になら全てを委ねていいと思い始める。

(流石は夢、現実ではこうはならないよな~)

目を瞑ったまま、ほんの少しだけ身体を動かして頭を澪の太ももの方へと移動させる。

「…もう…」

困ったような澪の声。だけど次の瞬間には私の頭を持ちあげ…、そして太ももの上へと…。

(ふぉぉぉっ!まさかの膝枕…!)

何かもう…、妄想がそのまま具現化した夢すぎて、私実は死んでしまってるのか?とか思った。ほんと天国のような感触。

(ああ、もう目覚めたくないよなー)


162 : 以下、名... - 2010/07/02(金) 06:35:25.75 mlcfdRM50 62/142

澪に手を握られ、頭の下には澪の太もも、BGMは澪の鼻歌で、おまけになんだかいい匂い…。

(…でも、いい加減目を覚まさないと、練習もあるし…)

余りにも唐突に、そして急に思考が現実味を帯びる。

(だけど、目覚める前に…)

私は優しく握られた手にほんの少しだけ力を込めて握り返し、そしてうっすらと目を開け、澪を見つめた。

「目、覚めたか?」

「… … … …」

「どうした?」

「…澪、好き…」


時が固まった…。


164 : 以下、名... - 2010/07/02(金) 06:52:00.60 mlcfdRM50 63/142

「…えっと…、寝ぼけてる…のか?」

「… … … …」

私はあえて無言で澪を見つめたままだ。澪の顔がだんだんと赤くなって来たのが分かる。

「えっと、あの…その…」

立ち上がろうにも私に手を握られ、そして太ももには私の頭…。無理に立ち上がったら私は椅子から転げ落ちる体勢なので動く事が出来ない澪。

「…冗談…だよな…?」

赤くなりながらも、何て答えを返したらいいのか分からないような困った表情になる澪。

「… … …っ」

『冗談…だよな…?』澪の困り顔でのその台詞に、私はこれ以上無いぐらいの現実に引き戻された。

「…うん、冗談…。だから気にしないで澪…」

私は笑う事無く、そっと澪から視線を外す。

「…冗談…だから」


168 : 以下、名... - 2010/07/02(金) 07:00:37.56 mlcfdRM50 64/142

「… … …律…」

太ももに頭を乗せたまま目を逸らした律。

「…どうしたんだ?らしくないぞ?」

再び、そっと律のおでこに手を乗せた。…あれ?

「律、何だか熱いぞ?」

部室内の室温を考慮しても、微妙に熱い。

「ひょっとして、熱あるんじゃないか?」

「あー、かも…、昨日湯当たりで寝込んでたし…」

「何してたんだよ…、えっと、とりあえず濡れたハンカチで冷やすか」

「私の鞄の中にヒエピタ入ってる…」

「分かった」

私の鞄を開けてヒエピタを取り出した澪。そして私の額に張ろうと…。


169 : 以下、名... - 2010/07/02(金) 07:06:35.85 mlcfdRM50 65/142

「ちょっと待って…」

だが私はそれを制止。

「何だよ、貼らないと」

「…貼る前に、デコチューしてくれたら嬉しいな」

「… … …」

あ、澪の目が急に冷ややかに…。

「…馬鹿」

チューの代わりにデコピンされる。

「あはは、ゴメン澪」

「… … …」

「一回だけだからな」

額にキスされた…。

「… … … …」

「って!言った本人が放心するんじゃない!」

その直後に、その額に叩きつけるようにヒエピタが貼られた。


173 : 以下、名... - 2010/07/02(金) 07:21:50.63 mlcfdRM50 66/142

「あう~、酷いよ澪~、結構痛かったぞ~」

私は起き上がり涙目で抗議する。

「うるさいっ!律が悪いからだっ!」

怒った表情、だが照れつつそっぽを向く澪。と、そこに…。

「やっほー!あれ?りっちゃんと澪ちゃん、早いねー?」

&「!?」

トンちゃんの世話当番だった唯が部室に入ってきた。そして私達二人の顔を見て…。

「…あれ?何かあった…?」


やがて、梓とムギも来て練習が始まった…。


181 : 以下、名... - 2010/07/02(金) 11:20:07.83 mlcfdRM50 67/142

やがて今日の練習も終わり、帰り支度をしていると…。

「あ、そうだあずにゃん」

唯が梓に。

「この前のケーキのお礼に憂がウチにご飯食べにきなよ~って」

「…え?」

「歓迎するよ~?おいでよあずにゃん」

どうやら梓が唯の家にケーキを持って行ったらしい。そして唯はこちらにも振り向くと…。

「皆もどう?ウチでご飯」

しっかりと誘われた。

憂ちゃんの作るご飯の美味しさは知っているが、だけど、これでも一応は病み上がり(?)である。

「あ~、悪い唯。今日はパスだ」

非常に残念だが、他の皆と楽しんでくれ。だが、その澪とムギも…。

「すまん、私もちょっと都合が悪くて…」

「ごめんね唯ちゃん、行きたいんだけどどうしても外せない用事が…」

それぞれ何かしらの理由で都合が悪いようであった…。


183 : 以下、名... - 2010/07/02(金) 11:29:29.82 mlcfdRM50 68/142

「あ~、それじゃあ仕方ないよね…」

残念そうな唯の笑顔。あちゃ、これは無理してでも行くべきかな?と思ったその時。

「わ、私は行きますよ?死んでも行っちゃいますから」

唯に抱きつかれながら梓はそう答えてくれる。

「そう?それじゃ、あずにゃん一名様ご案内~」

まぁ、梓の作ったケーキのお礼っていうぐらいだから、梓が行けるなら別にいいか。

「じゃあ、今日はこのまま解散だな。皆おつかれ」

澪の合図と共に、今日の練習は終了した。


184 : 以下、名... - 2010/07/02(金) 11:38:46.72 mlcfdRM50 69/142

「…ふぅ…」

皆が部室を出て行くと共に私は一人部室に残って椅子に座り込む。結構疲れた。

(あ~、だるい…)

デコに貼り付けたヒエピタも温くなってきたので張り替えようとしたその時、部室の扉が開く。

「あれ?澪?どったの?用事は?」

テーブルの上でへタりながらそう聞く私に、澪は自販機で買ってきたらしいスポーツドリンクを私の額に引っ付けた。

「うひゃあ、冷たくて気持ちいい~」

「律、お前結構無理してただろ?」

苦笑交じりでそう聞いてくる澪…。ありゃ、バレてたか。

「私の用事ってのは律を家に送る為だからな…。ほら、立てるか?」


185 : 以下、名... - 2010/07/02(金) 11:48:22.24 mlcfdRM50 70/142

「…あ~、もうちょい待って…」

澪の買ってきてくれたドリンクを飲み、空調の効いた部室で暫く休憩する。その間、澪は黙って私が回復するのを待ってくれた…。

「…なー、澪ー」

「何?」

「…好きな人って…、居るか?」

「何?突然」

私の突拍子も無い質問に、澪は意外と冷静に聞き返してきた。何時もの具体性の無い事だと思われたらしい。

「…私は居るぞー」

「…え?本当か律!?」

そこで初めて澪は何時もの反応を返してくれた。やっぱこうでないと。

「…うん、澪だぞー」

一瞬、顔を真っ赤にする澪…。そして冷静さを装った態度になって…。

「…馬鹿」

と、一言だけ返してきた。


197 : 以下、名... - 2010/07/02(金) 16:49:39.37 mlcfdRM50 71/142

夕方…。

私は澪に付き添われて自宅に帰り着く。最初は一人で帰れると断ったのだが、澪は私の事を心配したのか頑なに送ると言って聞かなかった…。

「えっと、おばさんは居ないのか…?」

「この時間帯だと買い物か、町内会の寄り合いと言う名の井戸端会議だなぁ。聡も友達の所だろうし」

誰も居ない家の鍵を開けて自室へと向かう。

「まだ気分優れない?」

「いや、そこまでは…。多分寝たら治るだろうし」

心配してくれるのが何だか嬉しい…。

「うん、ちょっと汗かいたから着替えて来る…」

私はタンスから着替えを取り出すと、鞄と制服のタイを適当にベッドの上に放り投げて洗面所へと向かった。


199 : 以下、名... - 2010/07/02(金) 16:52:09.18 mlcfdRM50 72/142

そして、律の部屋に澪が一人残される。

「まったく…、ベッドの隙間にタイが落ちて…」


澪のコマンド

 拾う

 そのまま


200 : 以下、名... - 2010/07/02(金) 16:53:06.85 dCUG4akxO 73/142

拾う


203 : 以下、名... - 2010/07/02(金) 17:00:07.35 mlcfdRM50 74/142

「…はぁ…」

洗面所で着替え終わり、顔を洗って少しスッキリとする。

「澪に冷たいお茶でも持って行ってやるか」

送ってもらったにしてはささやかすぎるが、暑い中付き合ってくれたのだ。このぐらい当たり前だろう。

台所に行って冷蔵庫を開ける。そして冷えた麦茶を取り出して氷の入れたグラスに注いだ…。

「澪ー、お茶しかないけど飲…」

部屋の扉を開けた途端、澪は驚いたように私を見る。

「…どしたの?澪?」

何だか、澪の私を見る目がおかしい…。

「… … … …」


207 : 以下、名... - 2010/07/02(金) 17:14:58.15 mlcfdRM50 75/142

私は部屋のテーブルの上にお茶を置く。

「澪…?」

だが、澪は後ずさるようにして私から距離を取る…。

「…何でもないよ、律…」

明らかにおかしい。

「何でもない…って、どう見てもおかしいぞ?」

澪のその手には、私の放置した制服のタイが握られていた。どうして…?

「…ううん、やっぱり思春期の真っ只中だからな…、そんな事もある…よな」

私と目を合わさずに、澪は一人納得させるようにそう呟いた。その姿に、私は体調が悪いのも合わさってほんの少しだけイラッとして。

「だから、何なんだよ澪!」

語気を強めるつもりは無かった…。だけど、気が付いたらそうなっていた。

「…律」

そこで初めて澪は、怒ってるような、悲しんでるような目線を私に向ける。


209 : 以下、名... - 2010/07/02(金) 17:33:11.10 mlcfdRM50 76/142

私の苛ついたその口調に、澪も思わず火が付いたのだろう…。

「…ベッドの下…」

静かにそう呟いた澪の台詞に私はあの存在を思い出した。そう、部室で拾ったアレの事だ。

「…え?…まさ…か…」

「…私も、アレがどういったモノとかは分かるよ…」

「あ、あの…、澪…?あれは…」

「そりゃあ、そんな気分になる事もあるだろうけど…」

私はそこで今更ながら澪の性格を思い出す…。生真面目で、恥ずかしがりで、純情すぎるのだ。

「でもまさか、律がこんなのを買って使ってるなんて、信じたく無かったな…」

耐性が低い故の、嫌悪感…。


210 : 以下、名... - 2010/07/02(金) 17:38:11.82 mlcfdRM50 77/142

「あの…、澪…、これはね…別に私のじゃ」

私は必死で良い言い訳を探す…。だけど咄嗟に澪を納得させるような言い訳は浮かんでこなかった。

「… … …」

そして…。

「…馬鹿律…」

たった一言…、そう呟いて澪は部屋から出て行った…。

「…澪…」


211 : 以下、名... - 2010/07/02(金) 17:46:30.09 mlcfdRM50 78/142

ひょっとして…、嫌われた…?

私は部屋で一人、立ち尽くす。

「…そう…だよな、あんなモノ持ってるようじゃ、嫌われる…よな」

ベッドにそのまま倒れこむ。もう、シーツ被るのさえ面倒だ…。



空調の効いた部屋で、二つのグラスに入った氷が『カラン』と音を立てた…。


216 : 以下、名... - 2010/07/02(金) 18:40:31.81 mlcfdRM50 79/142

三日後、次の練習日…。

「…りっちゃん来ないね…」

「はい、どうしたんでしょうか?」

もう既に他のメンバーは全員集まってるのに、律だけが部室に現れなかった…。

「澪さん、何かありました?」

「知らない、どうせ遊びすぎて寝坊でもしてるんだろっ!」

一人不機嫌な澪…。

(ねー、あずにゃん…。澪ちゃん何か機嫌悪いね…)

(そうですね、ひょっとして律先輩と何かあったんでしょうか…?)

(あずにゃん、ここは前みたいに猫耳付けて場を和ませちゃう?)

(ええ、嫌ですよ!… …でも唯先輩が見たいなら…)

部室の隅でやたらと仲の良い二人のヒソヒソ話が聞えてくる。

「… … …」

「っと…、律さんの携帯にメールを入れときましたから、お茶でも飲んで待っておきましょう皆」


222 : 以下、名... - 2010/07/02(金) 19:35:53.83 mlcfdRM50 80/142

しかし、待てども暮らせど律からの返信は来なかった…。

「… … …」(イライライラ…)

一人苛々とする私と、それを不安げに見守る他の三人。

(絶対何かあったんだよー、あずにゃん、澪ちゃんに聞いてみてよ~)

(嫌ですよ…、何だか怖くて近寄りがたいですし…)

しっかりと聞えてるよ、唯に梓…。


223 : 以下、名... - 2010/07/02(金) 19:44:04.65 mlcfdRM50 81/142

「澪さん」

そこに、ムギが私にそっと話しかけてくれる。

「何?」

「今日はもう無理っぽいですし、お開きにしましょう?」

と、ニッコリと何時もの柔らかい笑顔。

「で、でも!…そうだよな、律が居なければ音もペースも合わせられないし…」

そう、ドラムの律が居なければ練習にならないのだ…。ホント、何やってんだよ律…。

「私達はこのまま帰りますけど…」

尚も苛々とする私に…。

「澪さんは帰りに律さんのお家に行って様子を見に行ってくれないかしら?」

「え?」


225 : 以下、名... - 2010/07/02(金) 19:46:13.43 mlcfdRM50 82/142

そんな私に、ムギは続ける。

「やっぱり心配ですし、それに澪さんが一番律さんとお家が近いですから」

「はいはーい私も行…むぎゅ!」

(しーっ!唯先輩!ここは大人しくムギ先輩に任せましょう!)

「しかしだな…」

「駄目ですよ澪ちゃん?これは澪ちゃんにしか出来ない事なんですから」

有無を言わせない笑顔。

「~~~…仕方ないな、ムギがそこまで言うのなら…」


ムギが、今の私の状況を打破するキッカケを作ってくれた…。


233 : 以下、名... - 2010/07/02(金) 19:57:42.97 mlcfdRM50 83/142

一階から話し声が聞える…。

私はまどろみの中でその会話を聞いていた…。

『あら、いらっしゃい』

『こんにちは、律居ますか?』

『あら?あの子ったら連絡入れてなかったの?ちょっと風邪ひいて寝込んでいたのよ』

『え?』

『もう大分良くはなったんだけどねぇ…。あ、そうだ、少しの間律を見てくれないかしら?私ちょっとお買い物に行かなければならないの』

『はい、わかりました』

そして、階段を上がってくる足音を聞く。


235 : 以下、名... - 2010/07/02(金) 20:03:15.07 mlcfdRM50 84/142

「みおー?」

扉を開ける前に言い当てた。

「…当たり…」

「… … … …」

扉を開けて、部屋に入って来る澪。

「…風邪…、引いたんだって?」

複雑な表情…。

「…うん、さっきまで寝てて今は落ち着いてる…」

「メール見てなかったのか…」

そう言われたので確認したら、ムギからのメールが一通入っていた。澪の口調からして部室からか。


236 : 以下、名... - 2010/07/02(金) 20:08:10.49 mlcfdRM50 85/142

「ごめん、気が付かなかった…」

「…確か、よく似た事が前にもあったよな…」

思い出す。うん、前にもあったな…。

「… … … …」

「… … … …」

気まずい沈黙が部屋を支配する…。そしてそのまま数分が過ぎた頃、澪が口を開いた。

「…なぁ、この前の事…」


239 : 以下、名... - 2010/07/02(金) 20:14:24.24 mlcfdRM50 86/142

思わず、被ったシーツの中で『ビクッ』と身体が反応した。

「…その、ごめん…、私あの時びっくりして…」

「…初めて見たから…その…」

「無神経だったよね…、誰にでも秘密はあるのに…」

(待って、違う!それは誤解だ澪!)

それと同時に、澪にそうと誤解されていると言う事実に私は泣きたくなるぐらい悲しくなった。

「…澪は…、私があれを使ってる姿…、想像した?」


240 : 以下、名... - 2010/07/02(金) 20:16:33.47 mlcfdRM50 87/142

「…え?」

「…想像…、したよね…?」


澪は何と答える?

 想像した

 してない


241 : 以下、名... - 2010/07/02(金) 20:17:36.64 Zm5sCUU30 88/142

した


244 : 以下、名... - 2010/07/02(金) 20:24:28.89 mlcfdRM50 89/142

「…うん、…ごめん」

澪はあえて本当の事を告白した。ここは嘘で取り繕っても仕方が無いからだ。

「…そっか…、そうだよな…」

掠れた声。

「私、エロいもんな…、アレ使って遊んでるんだもんな…」

「律…、私…」

泣きそうな律の声に澪は焦った。あからさまに何時もの律ではないからだ。

「…今更、コレ使って遊んでないとか言っても信じないよな…使ったのは事実だし」


コマンド

 なぐさめる

 そのまま様子を見る


245 : 以下、名... - 2010/07/02(金) 20:25:39.57 Zm5sCUU30 90/142

そのまま・・・


248 : 以下、名... - 2010/07/02(金) 20:38:48.44 mlcfdRM50 91/142

「… … …」

黙って律の言葉を聞く。そして後悔した。どうしてあの時黙っておかなかったのか…と。

たとえ見つけても、あのまま黙っていれば律のこんな姿を見る事は無かった筈である。

「アレを突っ込んで、一人で悦んで…そうだよな?」

「…何とか言えよ澪…、そうじゃないと私…」

起き上がる。

「…だったら、澪の想像通りに私がコレを使って遊んでるのを見てよ!」


250 : 以下、名... - 2010/07/02(金) 20:44:37.44 mlcfdRM50 92/142

律はベッドの上で着ているパジャマのボタンを全部外し、下も脱いで下着だけの姿になる。

「うわっ!ま、待て律!落ち着け!」

「嫌だ!澪!逃げるな!私の事をそう思ってるなら最後まで見ろっ!」

涙目で澪の制止を振り払う。

「お願いだよ澪…、私を見てよ…」


どうする?

見守るor止める


251 : 以下、名... - 2010/07/02(金) 20:45:32.83 G4djxYas0 93/142

とめる


255 : 以下、名... - 2010/07/02(金) 20:52:23.20 mlcfdRM50 94/142

「…律、いいから落ち着け…」

「嫌だ!澪が見てくれないなら、私もう軽音部辞めるから!」

(ヤバイ…、律のヤツ完全に自暴自棄になってる…)

(止めようと思ったけど、もし今止めたら…)


どうする?

 それでも止める

 暫く様子を見てから止める


256 : 以下、名... - 2010/07/02(金) 20:52:48.64 dzKEKFrY0 95/142

もうちょい様子見だ


259 : 以下、名... - 2010/07/02(金) 21:08:15.02 mlcfdRM50 96/142

律は澪が動かないのを肯定と見たのか、壁に背を預けて自分の身体を触り始めた。

「ん…っ…」

ブラの上から胸を揉みつつ、パンティー越しに大事な部分を擦り始める。

「…澪…、見てる…?」

熱っぽい視線で澪を見つめる律。

「本当は…、澪にこう言った事をして欲しかった…。私澪の事好きだったんだから」

指を止めずにそう告白した。

「…律…」

律のその姿に目を逸らせない澪…。逸らしちゃいけない気がしたからだ。

「…はっ…あっ…澪…澪…っ!」

そして…、律はベッドの隙間に手を伸ばしてソレを取り出した。


262 : 以下、名... - 2010/07/02(金) 21:11:37.87 mlcfdRM50 97/142

パンティーをずらし、恐らくまだ完全に準備の整っていない部分にソレを宛がう。

「…澪…見ててね?」

ゆっくりと力を入れる…。

「律…、止めて…、お願いだからそれ以上は…」

だが律は止まらない。


264 : 以下、名... - 2010/07/02(金) 21:21:14.01 mlcfdRM50 98/142

しかし…。

「…んっ…あ、あれ…?うまく、入らないや…」

「…律?」

「は…ぁ…っ、このま…ま…、痛っ!嘘、何で…?」

入り口に宛がう度に逸れてうまく挿入できない…。

「嘘っ、何で入らないのよ…、入れなきゃ駄目なのに…」

涙ぐみながら焦りの表情で尚も続けようとする律。

「…律、もう止めよう…」

澪は律に歩み寄ると、そっとその身体を抱きしめた。


268 : 以下、名... - 2010/07/02(金) 21:28:00.64 mlcfdRM50 99/142

「…澪…ごめんね。澪の想像どおりにしなきゃいけないのに…うまく出来ないよ…」

澪の胸の中で呟く律…。

「ごめん…律…!ごめんね…!私、酷い事…律に…ごめんね!」

「…だから、もう悲しい事しないで…お願いだから!」

そう言って抱きしめながら涙を流す澪に、律もやっと心が解放されたのか…。

「…澪…、澪…!みお…ぉ…!」

澪の背中に手を回して、号泣しだした。


272 : 以下、名... - 2010/07/02(金) 21:38:25.52 mlcfdRM50 100/142

お互い、どれだけの時間を抱き合ったまま泣いていたのだろうか…。

「…ごめんね澪…私どうかしてた…」

赤くなった目を擦りながら、律は澪に謝った。

「らしくないよね、私ってもっとこう…、どかーん!って感じで弾けてるのに」

軽く微笑んだ。

「うん、律はもっとどかーん!って感じだな」

同じく微笑む。

「なぁ澪…」

「ん?何?律」

「今だけは、もうちょっとだけこのまま抱いていてくれる?」


↓どうする? 抱いているor抱かない


273 : 以下、名... - 2010/07/02(金) 21:39:30.89 dzKEKFrY0 101/142

抱く


276 : 以下、名... - 2010/07/02(金) 21:46:52.04 mlcfdRM50 102/142

「しょうがないな…、今だけだぞ?」

「ありがとう…、澪…」

目を瞑って、澪に身体を預ける律。そうしているとこれ以上無いぐらいの安心感が律を包んだ。

「…なぁ律…」

「…何?澪…」

「律は普段は元気一杯で、色々とおかしいところもあるけど…」

「…酷いなー、澪は」

「…でも、辛くなったら…、これからは何時でもこうしてやるからな…」

「…今回は澪の責任だけどなー」

「…うっ…!ごめん…」


277 : 以下、名... - 2010/07/02(金) 21:52:26.46 mlcfdRM50 103/142

痛い所を突かれて思わず言葉に詰まる澪。

「あっはっは、うん、もういいよ?」

「…うう…」

そして、律は何かを思いついたのか…。

「じゃあさ、キスしてくれたら今回の事は許してあげる!」

「…え?」

「ほら、ちゅーしようぜ、ちゅー」

そう言って唇をタコのように突き出す律本人も、この後の事は予想していなかった。

「…しょうがないな、ほら」

(…え?)

しっかりとキスされていた。


280 : 以下、名... - 2010/07/02(金) 21:57:40.61 mlcfdRM50 104/142

キョトンとする律に澪は言う。

「ファミレスで間接キス済ませてあるんだ、女同士だしこれぐらいはな」

「…うわぁ…」

「って!何だその反応は!もっと喜べよ私が恥ずかしいじゃないか!」

「いや冗談だったのに、てっきり『調子に乗るな!』とか言ってゲンコツが来ると思ってたから」

「~~~!!!」

案の定、澪のゲンコツが律の頭頂部にヒットした。


284 : 以下、名... - 2010/07/02(金) 22:02:11.08 mlcfdRM50 105/142

「痛たたた…、酷いよ澪~」

「私のファーストキス返せ!」

「え~?さっき女同士ならとか言ってたじゃんかよー」

「それはそれ!これはこれだ!」

何時の間にか、普段の彼女達の遣り取りが繰り広げられていた。だけどあえて二人はそれを言わない。

これが彼女達の普通だからだ。

「ところでさ澪」

「ん?」

「これ…どうしよう…」

「…あー…」

例の、今回の騒動の発端となったバイブ…。


288 : 以下、名... - 2010/07/02(金) 22:07:41.59 mlcfdRM50 106/142

「捨てれば?」

凄くあっさりと澪は答えた。

「え?でも部室で拾ったモノだよ?勝手に捨てていいのかな?」

「だからだよ!それよりも誰のとも分からない物を勝手に持ってくるな!」

「うひゃあ!…分かったよ、うん、澪の言うとおりに捨てる」

「よろしい、捨てる時は私も確認の為に一緒に行くからな?」


291 : 以下、名... - 2010/07/02(金) 22:26:02.24 mlcfdRM50 107/142

後日、澪が捨て場所に選んだのは…。

①学校の焼却炉
②海辺の高い堤防の上から海中に
③近隣の男子校の塀越しに投げ込む

の三択であった…。


292 : 以下、名... - 2010/07/02(金) 22:26:52.69 ARg7tz2G0 108/142




301 : 以下、名... - 2010/07/02(金) 22:49:04.08 mlcfdRM50 109/142

「色んな意味で難易度が高いぞ澪…」

はっきり言って、鞄の中にコレを忍ばせたまま遠くまで出歩くのはかなり勇気のいるミッションである。まぁ、学校から持ち帰った時に既に通った道だけど…。

「文句言わない。ここを選んだのは律だろ?諦めろ」

地元から遠く離れた熱く焼けたコンクリートの護岸…。真夏のこの昼の時間帯だと釣り人も居ないので捨てるにはもってこいの場所ではあるが。

「ほら、別れは済んだか?律」

澪が微妙に意地悪な笑みをこぼしながらそう聞いて来た。普段だとそれは私のキャラなんだけどなぁ。

「はいはい、別れは済ませましたよっと」

私はそう言って、周囲に自分達以外誰も居ないのを確かめてからソレを鞄の中から取り出すと。

「じゃあな諸悪の元凶!」

力いっぱい放り投げると、キレイな放物線を描いてから海中に没する…。色々な意味で感動的でもない別れであった。

そして、全てが終わったのを確認してから澪は言った。

「よし!今日は帰るまでに思いっきり遊ぼう!そして明日からはまた練習だ!」

そう言って、澪は私の手を取って走り出した。


304 : 以下、名... - 2010/07/02(金) 23:01:48.25 mlcfdRM50 110/142

そして次の日…。部室にて…。

「うぁー…」

「うぅ…」

真夏の日差しの下、調子に乗って遊びすぎた二人が揃って部室でダウンしていた。

「どしたの二人とも…、あずにゃんみたいに日に焼けてるよ?」

「しかも腕と顔だけしっかりと焼けてるみたいですね…」

どうしてこうなったのか聞いてくれるな二人とも…。勢いというものは時には残酷なんだ。一夏の夢なんだよ。

「訳わかんないよりっちゃん、それよりも練習出来そうなの?」

「「ごめん、今日は無理!」」

その様子を見ながら、部室の隅でお茶を入れながらムギが笑った。

「じゃあ、今日はお茶だけにしましょ。仲直りの記念に」


終わり





91 : 以下、名... - 2010/07/01(木) 15:35:15.63 tIW1bPvJ0 112/142

この間の唯梓のその後の関係の補完が欲しい…
ちょっとだけでいいしエロじゃなくても全然構わないんで


323 : 以下、名... - 2010/07/03(土) 01:07:17.28 Ij4htSA60 113/142

「…ごくり…」

今、私の目の前には『レジャープール招待券』と『温泉型大浴場優待券』の二枚があった…。

選べるのはどちらか一枚だけっ!

そして、私がどちらかを選ぶのを辛抱強く待ってくれているお米屋さんの宅配の人…。

宅配員「あの…、早くしてくれるとありがたいんですけど…」

少し困った顔でそう急かすものの、数十分間も悩み抜いている超真剣なその姿にそれ以上の発言は避けた。

(…唯先輩と二人っきりでデート…二人っきりでデート…)

はっきり言ってどちらも欲しかった。

唯先輩とはあの日以来進展は無いが(元からそう言う約束だったけど)やはり好きな人とはもっと思い出を共有したいものである。

(う~~~、どっちがいいのよ~…)


コマンド

 プール

 温泉


324 : 以下、名... - 2010/07/03(土) 01:09:42.70 yW5jEmpX0 114/142

温泉


333 : 以下、名... - 2010/07/03(土) 06:25:21.19 Ij4htSA60 115/142

「ならば!」

徐に私は目を閉じる。選べないのなら心の目で選ぶべし!

宅配員も半ば諦めたのか、素直に私の前でチケット二枚を分けて広げてくれる。

「…これですっ!」

結果、私が引き当てたチケットは…。

「温泉型大浴場…!やった!」

まぁどちらでも良かったのだが、私のその喜び様に宅配員の人が。

宅配員「良かったねぇ、彼氏とか誘うのかい?」

と、少し疲れた顔で言ってくれた…。


335 : 以下、名... - 2010/07/03(土) 06:42:19.90 Ij4htSA60 116/142

「え…?いや、まぁ…。そんなところかな…?」

本当は付き合ってもいない上に『彼女』ですけど…。

疲れた顔の宅配員が帰った後、私はどうやって唯先輩を誘うかを考え始める。正直に真正面から誘う…?だけど理由は?

「う~ん…、約束ではあの日の事は無かった事になってるんだし…、その関係を理由には誘えない…よね?」

もしそうすれば嫌われちゃうだろうし。

「一番ベストな理由が思いつかない!どうしよう!」


コマンド

 真正面から誘う

 こっそりと誘う


336 : 以下、名... - 2010/07/03(土) 06:45:21.75 jPCPwPt+O 117/142

こっそり


337 : 以下、名... - 2010/07/03(土) 07:02:10.59 Ij4htSA60 118/142

「部室だと何だか邪魔が入りそうですし、とりあえずメールで唯先輩を呼び出して…っと」

場所は何時ものハンバーガーショップを指定。やがて返信が来て会う約束に成功。

「よしっ!」

思わずガッツポーズを取ってしまった。


339 : 以下、名... - 2010/07/03(土) 07:20:15.09 Ij4htSA60 119/142

一時間後…。

「お風呂…?」

「はい!二名一組のチケットを貰っちゃって」

笑顔でそのチケットを見せた私に、唯先輩は苦笑交じりに答えた。

「う~ん、誘ってくれるのは嬉しいけど~、でも家族とかじゃなくて私?」

「はい、都合が悪いようで…。やっぱり、駄目…ですか?」

そこで私は少し寂しそうな演技をする。唯先輩の優しさを利用するような気がして心苦しいけど…。

「…ぅ~…」

「うはぁ…っ!あずにゃんその表情は反則だよぉ~!」

結果、明日一緒に大浴場へ行く約束に成功した…。


342 : 以下、名... - 2010/07/03(土) 07:40:51.95 Ij4htSA60 120/142

翌日の朝…。私はその施設方面へと向かうバスの乗り場で『三十分も早く来て』唯先輩を待つ。

忘れ物は無し、全部バッグに入ってる。昨日の夜に何度もチェックした。

(うん、唯先輩と二人っきりで旅行に行くみたい)

日帰りだけど、思わずそんな妄想をしながら待つ事二十分…。

「あずにゃん、おまたせ~、待った~?」

「唯先輩!いえ私も今来た所です!」


347 : 以下、名... - 2010/07/03(土) 08:06:57.68 Ij4htSA60 121/142

時刻通りにバスがやって来たので二人で乗り込む。乗客は自分達二人だけであった。

「誰も乗ってないね~」

「学生以外は平日ですからね。広々としていいじゃないですか」

ゆったりとした座席で二人並んで座る。貸し切り状態だ。

「で、その大浴場ってどこにあるのあずにゃん?」

「えっと、このバスの終点…。郊外の結構な山の中ですね」

本格的な温泉風を目指したのか、その施設はそんな少し不便とも言える場所に作られていた。

「まぁ、今は車で向かう人が殆どなので問題は無いんでしょうね」

「山かぁ~、楽しみだなぁ」

鞄からお菓子を取り出しながら嬉しそうに話す唯先輩。そしてポッキーを一本手に取ると…。

「あずにゃんも食べる?」

「はい、いただきます」

「ほら、あ~ん」

私は唯先輩に差し出されたポッキーをそのまま齧った。


354 : 以下、名... - 2010/07/03(土) 10:14:32.25 Ij4htSA60 122/142

そしてバスに揺られる事約1時間。真夏の緑茂る山の中にその施設が見えてきた。

「ここかぁ~、広々としていい所だね」

時間帯もあってか駐車場にも殆ど車もなく、静かにお湯に浸かれる雰囲気。

「休日とかだとそれなりに人も来るみたいですけどね」

入り口の大きく『ゆ』と書かれた暖簾をくぐり、カウンターでチケットを渡して脱衣場へ…。

「ねーねーあずにゃん!露天風呂あるかな?」

隣で服を脱ぎながら聞いてくる唯先輩に、私はチケットと引き換えに渡された案内書を見る。

「あ、はい…。奥の方にあるみたいですね?」


355 : 以下、名... - 2010/07/03(土) 10:51:08.98 Ij4htSA60 123/142

「露天風呂なんて一年の時に行ったムギちゃんの別荘以来だよ~」

「そうなんですか?あ、唯先輩!」

言うが早いか、唯はタオル一枚で浴場に向けて先に行ってしまう。

「待ってくださいよ先輩ー!」

私も唯先輩を追いかける為に身体にタオルを巻いて駆け出した。


358 : 以下、名... - 2010/07/03(土) 12:38:14.48 Ij4htSA60 124/142

唯先輩の後を追い、脱衣所から僅かに人の居る室内浴場を通り過ぎて外に出ると…。

「おぉぉぉ~」

「これは…、結構凄いですね…」

人の居ない露天風呂…。山間の柔らかい夏の日差しを浴びて湯気が煌いていた。

「凄いよあずにゃん!日本庭園だよ!」

唯先輩の言った通り、そこには日本庭園風の大きな露天風呂。

「これは…、予想外の作りですね…」

てっきり岩風呂に+αしたような露天風呂を想像していたけど、まさかここまでとは…。設計したオーナーの拘りが見て取れる。

「早く入ろうよあずにゃん!」

それを前にはしゃぐ唯先輩。だけど…。

「駄目です!まずは身体を洗うのがマナーですよ唯先輩」


360 : 以下、名... - 2010/07/03(土) 13:25:29.34 Ij4htSA60 125/142

唯先輩の隣で談笑しながら私も身体を洗い始める。話の内容は軽音部の皆の事だったり、それぞれの家族の事だったり…。

だけど、私は話をしながらも頭の中では別の事を考えていた。勿論、あの時の夢のような体験である。

(…はぁ…)

唯先輩には最初で最後と言われて、その時は私も納得したけれど…。やはり心のもやもやは募るばかり。

(もっと、思い出は欲しいよねやっぱり)

しつこい女と思うなら思え。

(だけど、やっぱりしつこいのは唯先輩に嫌われるよね~)

とんでもないジレンマであった…。


362 : 以下、名... - 2010/07/03(土) 13:31:43.03 Ij4htSA60 126/142

「どうしたのあずにゃん?手が止まってるよ?」

そんな私の悩みなど関係ないように、唯先輩が私の顔を覗きこむ。

「なにか悩みでもある?」

「い…!いいいい、いえ!何でもありませんっ!」

目の前にアップで現れた唯先輩に私は顔を真っ赤にしながら目を逸らした。そして凄い勢いで身体を洗い始める。

そんな私の姿を見て、唯先輩は更に私を混乱させる一言を放つ。

「あずにゃん、背中洗ったげるよ~」


363 : 以下、名... - 2010/07/03(土) 13:37:26.61 Ij4htSA60 127/142

言うが早いか、唯先輩は私の背中側に回るとタオルに石鹸をつけて擦り始めた。

「わひゃあ!ゆ、ゆゆゆ、唯先輩っ!?」

思わずあの時の事が鮮明に思い浮かぶ。

(いやいやいや!待て私!ここは公共の場!公共の場!素数とか数えて…)

…とても無理だった。一気に頭に血が上る。沸騰寸前とはこの事だ。

唯先輩は鼻歌で放課後ティータイムを歌いながら私の背中を洗い続ける。ここは天国ですか?


364 : 以下、名... - 2010/07/03(土) 13:58:12.94 Ij4htSA60 128/142

もう、公共の場とか頭から消えそうです…。そう思い始めた途端、不意にお湯で背中を流された。

「…え?あれ?」

「ほい、終わりだよ~♪次はあずにゃんが私の背中洗ってくれる?」

そう言って私に背中を向ける唯先輩…。その無防備な背中に思わず鼻血が出そうです。


365 : 以下、名... - 2010/07/03(土) 14:21:22.29 Ij4htSA60 129/142

「そ、それでは行かせてもらいます…」

緊張で震える手で泡を立て、そっと唯先輩の背中に触れてみる。

(うわぁ…、スベスベお肌だ…)

前は触られるだけだったが今回は私が触れる番だった。思えば唯先輩の肌に私から触れるのって初めてじゃない?

「遠慮しないでどーんとしっかり洗ってね、あずにゃん?」

振り向いてニッコリ笑う。や、やってやるです!


366 : 以下、名... - 2010/07/03(土) 14:35:14.69 Ij4htSA60 130/142

ゆっくりと唯先輩の背中を洗い始める。タオル生地の石鹸の泡が唯先輩の肌の上で更に泡立った。

(うわー!うわー!)

タオルを上下に動かして丁寧に擦る。抵抗無く滑るタオルと泡の隙間から覗く唯先輩の素肌。

「あずにゃん上手いねー、気持ちいいよー♪」

ああっ!もう可愛いなっ!このまま唯先輩の全身を洗いたくなってきた!そしてゆっくりとその手を背中以外に伸ばそうとしたその時。

「…あずにゃん、背中だけでいいんだよ?」

「!?」

静かに釘を刺された…。


371 : 以下、名... - 2010/07/03(土) 16:37:05.01 Ij4htSA60 131/142

やがて互いに身体も洗い終わり、露天風呂の湯船に浸かり始める。

「はぁ~、気持ちいいね~あずにゃん♪」

「そうですね、これなら長く浸かってられそうです」

流石は『温泉風』と言うだけあって熱過ぎでも無く、冷たくも無く…。気温に合わせて温度管理はされているようだ。

「私達以外、誰もこの露天風呂に入ってないし…泳げそうだよね~?」

「ちょ!恥ずかしいですからそれだけは止めて下さい唯先輩!」

今にも泳ぎだしそうな唯先輩の手を掴んで引き止める私。全くもって油断出来ない人である。

「あはは、流石に冗談だよあずにゃ~ん」

いい笑顔で笑う唯先輩。

「いえ、本気で冗談に聞えませんでしたよ…」

この手を放したら絶対に泳ぎだしそうである。


372 : 以下、名... - 2010/07/03(土) 16:42:12.55 Ij4htSA60 132/142

(…あ)

理由はどうあれ、唯先輩と手を繋げているのに今気付いた。

「あずにゃ~ん、泳がないから手を放して~?」

うずうずした様子で解放を要求する唯先輩に私は…。


↓放すor放さない


373 : 以下、名... - 2010/07/03(土) 16:43:49.21 jFX5Nvpy0 133/142

放す


374 : 以下、名... - 2010/07/03(土) 17:04:16.17 Ij4htSA60 134/142

う~ん、嫌な予感がするものの、ここは唯先輩が大人だと信じて…。

「うはっ!ありがとあずにゃん」

手を放した途端、唯先輩は『ニカッ』と、悪戯っぽく笑うと…。

「とりゃ~~~っ!」

速攻で湯に潜ると、岩を蹴って向こう岸まで泳ぎきった。

「ほらー!あずにゃんもこっちにおいでよ~」

湯をバシャバシャと波立たせながら笑う。

「な…!やっぱり手を放すんじゃなかったー!」

私は思いっきり後悔した…。


376 : 以下、名... - 2010/07/03(土) 17:47:16.83 Ij4htSA60 135/142

「あずにゃーん、もうしないから~」

「駄目です!放しません!」

湯船の中で、私は唯先輩の手をずっと握っている事にする。

「放したらまた泳ぐでしょ?」

少し怒った私に、唯先輩は照れたように笑うだけであった…。

「まぁ、いっか…。あずにゃんに手を握って貰ってるのって嬉しいし」

「~~~!!!」

「あずにゃん、顔真っ赤だ~」

…まったく、照れくさい事を平気で言ってくれるから余計に困るんですよ…。


381 : 以下、名... - 2010/07/03(土) 18:54:31.80 Ij4htSA60 136/142

「ねー、あずにゃん」

手を繋ぎながら、唯先輩は遠くの景色を眺めつつ言った。

「ひょっとして、まだあの時の事を忘れていないの?」

「…」

先輩の手を握っている自分の手に少しだけ力が入った。肯定したも同然の反応。否定はしないけど。

「…言ったよね?あれは夢だって…」

私は唯先輩の手を握ったまま下を向く。湯船の中で揺れる自分の足が視界に入った。

「どうして…、あずにゃんは私が好きなの?」

「!?」


383 : 以下、名... - 2010/07/03(土) 19:01:23.52 Ij4htSA60 137/142

意地悪な質問…。どうして私は唯先輩の事が好きなのか…。

数秒考えた。そして…。

「…好きになるのに、理由が必要ですか?」

俯いたまま、何とかそれだけを答えた。

「ううん、意地悪な質問だったよね…。ごめんね」

そして。

「私も、あずにゃんの事が凄く好きだよ?」

「え…?」

そこで私は顔を上げ、唯先輩の方を見る。


384 : 以下、名... - 2010/07/03(土) 19:10:49.98 Ij4htSA60 138/142

「… … …」

唯先輩は、私の方を向いてはいなかった。

ただ、晴れやかな笑顔で真っ直ぐ遠くを見つめたままだった。

「… … … …」

そうだ…。唯先輩は、私と見たあの時の夢からとっくに覚めているんだ。

なのに、私はまだ夢から覚めないままで…。そしてまだ夢を見ている私に付き合ってくれたんだ…。

「…優しいんですね…、いつだって唯先輩は…」

夢を見たままだと、先に進めない。

「…優しすぎますよ…」


385 : 以下、名... - 2010/07/03(土) 19:17:02.04 Ij4htSA60 139/142

「えへへ…、あずにゃんに褒められちゃった?」

何時もの笑顔を浮かべて私の方を見る。

そしておもむろに私の背後に回ると、ギュッと私を抱きしめてくれた。

「さ、あずにゃん!何時もの台詞!」

「…え?何時もの…って?」

私は混乱する。

「ほら、私が抱きついた時にあずにゃんが何時も言ってる台詞だよ~」

そう言われて、私はその台詞を思い出した。


387 : 以下、名... - 2010/07/03(土) 19:19:47.34 Ij4htSA60 140/142

だけど、改めて言うとなると結構照れくさいものである。しかしこれは夢から覚める為の必要な台詞なのだ。


「う~、離れて下さい唯先輩!」


388 : 以下、名... - 2010/07/03(土) 19:24:56.27 Ij4htSA60 141/142

私がそう言った瞬間、唯先輩の動きは止まる…。

そして。

「おはよう、あずにゃん」

最後に、ほんの一瞬だけ抱きしめられてから唯先輩は私から離れた。

「さて、そろそろ出よっかあずにゃん!あんまり浸かってるとまたのぼせちゃう」

湯船から上がって私に手を差し伸べる。

「…はい!」

そして、私はその手を掴んだ…。


389 : 以下、名... - 2010/07/03(土) 19:35:05.97 Ij4htSA60 142/142

お風呂上り…。

お約束のように私は牛乳を買って飲み、将来を少しでも確かな物とする努力を怠らない。時計を見ると時刻は既に昼となっており、私達は施設にある食事処で昼食を食べてから帰路についた。


そして、帰りのバスの中…。

「ぐぅ…」

唯先輩は私の肩に頭を預けて熟睡中。

「…もぅ…」

ちっとも嫌じゃない重さを感じながら、私は前とは違う新たな夢を見ようと思った…。


EXエンド


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