女「なんの用? 話って……」
男「うん……」
男「実は俺……」
女「?」
男「君のことが好……」
電車「ゴオオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!!!!」
女「え……?」
元スレ
男「君のことが好……」電車「ゴォォォォォォォォォォォォォッ!!!!!」女「え……?」
http://hebi.5ch.net/test/read.cgi/news4vip/1589101818/
女「ごめん、よく聞こえなかったんだけど……」
男「だよね、もう一回いうよ」
男「俺は君のことが……」
電車「ゴオオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!!!!」
女「なんていったの?」
男「またかよ!」
男「ちょっと、場所変えようか」
女「うん」
スタスタ…
男(ここなら線路もないし……)
男「俺は君のことが好……」
電車「ゴオオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!!!!」
男「なんでだよ!?」
男「森の中なら大丈夫だろう」
女「で、話したいことって?」
男「君のことが好……」
電車「ゴオオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!!!!」
男「森にまで来るのかよ! しかも木にぶつからず!」
女「また聞こえなかったわ……」
男「ずっと前から君のことが……」
電車「ゴオオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!!!!」
男「君と付き合……」
電車「ゴオオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!!!!」
男「愛し……」
電車「ゴオオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!!!!」
男「さっきからなんなんだ、あのクソ電車はァ!」
男「とっとと好きですって告白したいのに、これじゃ出来やしねえ!」
女「あたしもとっととOKしたいのに、これじゃムード台無し!」
男「ふざけやがって……。こうなったら……あの電車に乗り込むぞ!」
女「え、だけどどうやって?」
男「ヤツは告白したら現れる……そこを狙うのさ!」
男「君のことが……」
電車「ゴオオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!!!!」
男「来た!」
女「すごいスピード!」
男「怖いか?」
女「ううん……あなたと一緒なら平気」
男「よし、飛び乗るぞ!」バッ
女「アクション映画みたい!」バッ
男「どうにか最後尾に乗れたな……」
女「うん……」
放送『よくぞこの電車に乗り込んできたな。褒めてやろう』
男「さっきから俺の告白を邪魔してきたのは……お前か!」
放送『その通り』
男「お前……絶対許さないぞ! ブッ倒す! ブッ倒して彼女に告白する!」
放送『私は運転席にいる……君らが来れるかどうか楽しみにしているよ』プツッ…
男「くっ……! ふざけやがって!」
女「……」
男「どうしたの?」
女「ううん、なんでも……(今の声、どこかで……)」
男「さあ、出発しよう! 先頭車両まで行くんだ!」
ガララッ
男「誰かいる!」
痴漢「≪痴漢エリア≫へようこそ……」
男「痴漢……!?」
痴漢「俺はどんな相手の尻も触ってきた、痴漢のベテラン……」
痴漢「さぁ、触られずに通れるかな?」
男「通ってやるさ!」ダッ
痴漢「……」シャッ
男「速い!」
シュバァッ!
男「くっ!」
痴漢「惜しい……」
男(なんて速さだ……! こんなの触られずに通れるわけが……!)
女「ふん」スタスタ
男「え?」
女「ほら」
痴漢「な……!?」
女「触ってみなさいよ。ほら」フリフリ
痴漢「うぐぐ……!」
男(あえて尻を見せつけてる……!?)
男(そうか……痴漢とは嫌がる相手の尻を触ってこそ! いわば“攻め”の犯罪!)
男(つまり、ああやって“守り”に回ってしまったら……ひどく脆い!)
痴漢「ま、参りました……」ガクッ
女「雑魚が」
<女性専用エリア>
男「ん……」
女「ここは……」
ブス「きゃあああああああああああああああああああああっ!!!」
ブス「男よ! 男がきたわああああああああああああ! 汚らわしいわぁぁぁぁぁ!」
男「え」
ブス「いやああああああああ! こいつ私を狙ってる! 狙ってるわああああああ!」
ブス「ぎぃやぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!! 犯されるぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!」
男「……」
バキィッ!
ブス「ぶげぇぇぇっ!」
男「ハッ!(し、しまった……つい殴っちまった)」
ブス「合格よ」ニヤッ
男「え」
ブス「女も殴れぬ軟弱な精神力では、この先の車両はとても越えられないからね。ナイスパンチだったわ」
男「……」
女「やったぁ! 早く行こ!」
男「お、おう」
男(俺としたことが……あのブスをちょっと“いい女”と思ってしまった)
<老人エリア>
老人「座りたいのう……」
老人「だけど席がないのう……どうしたらいいんじゃ……」チラッチラッ
女「床に座れば?」
老人「なんと冷たいことをいうおなごじゃあ! 氷じゃあ! 絶対零度レディじゃあ!」
男「どうぞ」サッ
老人「おおっ! 空気イスで席を作ってくれるとは! 合格じゃ!」
<イヤホンエリア>
DQN「……」シャカシャカ
男「うわ……」
女「完全に音漏れしてる……」
DQN「……」シャカシャカ
男「……」
男「む、この曲は……君が代!?」
DQN「正解だ……通りな!」
<スリエリア>
スリ師「……」コソコソ
男「気をつけろ……奴は他人の持ち物を盗む」
女「うん!」
スリ師「いただき!」ササッ
スリ師「――なんだこりゃ!? 男はポケットにへその緒入れてて」
スリ師「女は蛇皮でできたブラジャーつけてやがる!」
男女「てへへ……」
スリ師「ええい、合格ッ!」
<冤罪エリア>
JK「いやぁぁぁぁぁぁ! 痴漢されたぁぁぁぁぁぁ!」
男「今度は俺が痴漢にされるのか!」
JK「訴えてやるんだからぁぁぁ! あんたの人生終わりぃぃぃぃぃ!」
女「だったら……」モミッ
JK「あ……」
女「“痴女”で上書きすれば済むことね?」
JK「んっ……あたしの……負けっ……」
男「とうとう運転席だ!」
?「来たか……」
女「声の主は……やっぱりあなただったのね」
男「え?」
女「お父さん……!」
父「娘よ、失望したぞ。父と敵対するとはな」
男「お、お父さん!?」
女「私のお父さん、JRの運転士なの……」
男「知らなかった……」
男「どうして……俺が告白しようとするたび、近くを電車で走ったんです?」
父「決まってるだろう。娘への告白を妨害するためだ!」
男「よく運転士になれたな、あんた」
父「さあ、かかってこい、未来の息子よ……。私に勝たねば娘との交際は認めんぞ!」
男「なんか趣旨変わってる気がするけど、行きます!」
男「勝負方法は?」
父「電車でやる勝負といったら、“電車相撲”しかあるまい」
男「電車相撲ってなんですか?」
父「電車内で相撲を取って、電車から落とし合うスポーツだ」
父「私も若い頃はよく、クソみたいな客を見かけたら電車から投げ飛ばしたものよ」
男「お前マジでJR退職しろ」
父「ちなみに君たちが倒してきた連中は、みんな私に電車相撲で負けて仲間になったのだ」
男「昔のジャンプ漫画かよ」
女「じゃあ行司やるね。はっけよい!」
父「ぬんっ!」
ガシィッ!
男「ぐ……このパワー……ッ!」
父「相撲において、立ち合いから一気に相手を押し出すことを“電車道”という」
父「貴様も電車道にしてやろう!」グイイッ
男「お、押される……ッ!」ズズズ…
女「のこったのこった! のこったのこった!」
父「終わりだッ! バカ息子ォォォ!」
男「甘いな、義父さん……」
父「ぬ!?」
男「野球は9回ツーアウトから、サッカーはアディショナルタイムから、テニスはマッチポイントから……そして、相撲は……」
男「土俵際からッ!!!」グオオッ
父「こ、これはうっちゃり!」
父「うわあああああああああああっ……!!!」
父(落ちるッ……!)
ガシッ!
父「……え」
男「今……引き上げます」グイッ
ドサッ…
父「はぁ、はぁ、はぁ……。な、なぜ……情けをかけた……」
男「いや、運転士であるあんたが落ちたら危ないじゃん」
父「たしかに!」
父「私の……負けだ……」
父「娘との交際を認めよう!」
男「ありがとうございます!」
女「ありがとう、お父さん!」
父「そうと決まれば……この電車の次の行き先は決まったな」
男(いいデートスポットを知ってるのかな?)
女(それとも、家に招待……?)
父「このままラブホまで、電車で――」
電車「ゴオオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!!!!」
おわり