1 : 以下、5... - 2020/04/18(土) 19:03:56.466 fvqiiV2w0 1/27

大臣「大変です陛下! 敵国の部隊がこの城に向かってきているとの報告が……」

「なんだと!? すぐ兵を差し向けんか!」

大臣「それが……この城を守る騎士団や兵は全て、先日攻め込んできた敵軍の迎撃に向かわせており……」

「そういえばそうだった……」

「では、この城はまさにノーガードというわけか!?」

大臣「おっしゃる通りです……。おそらく、これが敵の策略だったのでしょう」

大臣「大軍勢で派手に攻め寄せこの城の守りを手薄にし、別働隊で陛下を狙うという……」

「誰か……誰かおらぬのか!? この城を守れる者は!?」

大臣「一応……騎士が残っています」

「おおっ! なんだ、おるではないか!」

大臣「ただし……バイトですが」

「バイト!?」

元スレ
バイト騎士「カーッ! この人数で国守れってか陛下wwwww」
http://hebi.5ch.net/test/read.cgi/news4vip/1587204236/

7 : 以下、5... - 2020/04/18(土) 19:07:10.154 fvqiiV2w0 2/27

騎士「カーッ! ……というわけで、俺の部隊が招集されたわけだ!」

槍使い「はい」

女魔法使い「ま、部隊ってほど立派なもんでもないけどねー。たった四人だもの」

女剣士「正規部隊に入れなかった者たちが、半ばお情けで雇われたバイト集団だからな」

騎士「しかし、そんな非正規な俺たちだからこそ、こういう時に役に立てるってわけだ!」

騎士「なんとか四人で、敵国の部隊を撃退するぞ! えいえい、おーっ!」

シーン…

騎士「やれよ!!!」

13 : 以下、5... - 2020/04/18(土) 19:10:07.199 fvqiiV2w0 3/27

槍使い「どうやって城を守るか、考えねばなりませぬな」

騎士「んなもん決まってんだろ!」

騎士「俺たち四人で、城の東西南北を守る! これしかない!」

女魔法使い「あんたバカでしょ!?」

騎士「なんだと!」

女魔法使い「ただでさえ少ない兵力をさらに分散してどうすんのよ!」

騎士「ぐぬぬ……」

15 : 以下、5... - 2020/04/18(土) 19:13:42.652 fvqiiV2w0 4/27

女剣士「敵の部隊は北から攻めてくる。これを少人数で迎え撃てる場所となると……」

女魔法使い「ここね」

槍使い「≪イーナ橋≫か」

女剣士「狭い橋を利用して迎え撃てば、四人でも多勢相手に戦える可能性がある」

騎士「決まりだな!」

騎士「よっしゃ、≪イーナ橋≫にレッツゴー! ここで敵を防ぐんだ!」

女魔法使い「自分で思いついたわけでもないのに、偉そうに……」

16 : 以下、5... - 2020/04/18(土) 19:16:17.007 fvqiiV2w0 5/27

≪イーナ橋≫

騎士「へえ、なかなか立派な橋だな」

槍使い「なにしろ100人乗っても大丈夫ですからな」

女剣士「敵が城を攻めるとしたら、必ずここを通らねばならない」

女魔法使い「この橋が最終防衛ラインってわけね」

騎士「カーッ! 敵が来るまでまだ時間はある! 四人で作戦会議だ!」

女魔法使い「できればあんた抜きで会議したいわ」ハァ…

21 : 以下、5... - 2020/04/18(土) 19:20:33.265 fvqiiV2w0 6/27

……

……

槍使い「こんなところだろう」

女魔法使い「これで何とかするしかないか」

女剣士「ああ、やるしかない」

騎士「よーし、この四人で敵軍を撃退してみせるぞ! えいえい、おーっ!」

シーン…

騎士「やれよ!!!」

22 : 以下、5... - 2020/04/18(土) 19:23:11.492 fvqiiV2w0 7/27

ゾロゾロ… ゾロゾロ…





女剣士「敵が来た!」

女魔法使い「別働隊といっても、ざっと500はいるわね……」

槍使い「騎士殿、号令を」

騎士「よし、この橋を渡らせないよう守備につけえ!!!」

バババッ

23 : 以下、5... - 2020/04/18(土) 19:25:08.794 fvqiiV2w0 8/27

敵軍――

隊長「敵はまんまと策にかかり、城はがら空きとなってると聞いたが、まだ兵が残っていたのか」

副官「はい、たった四人ですが……いかがいたしましょう?」

隊長「たった四人で我らを迎え撃とうというのだ」

隊長「よほどの実力者集団か……あるいは罠があるのかもしれん」

隊長「慎重にかかれ。まとめて罠にかかるような愚は犯すな」

副官「かしこまりました」

24 : 以下、5... - 2020/04/18(土) 19:27:05.817 fvqiiV2w0 9/27

敵兵A「たった四人で俺らを抑えられると思ってんのか?」

槍使い「思っている」

敵兵A「おもしれえ! だったらやってみやがれぇ!」ダッ

槍使い「むんっ!」シュッ

ズドォッ!

敵兵A「ぐはぁっ……!」

騎士「いいぞォ、槍使い!」

25 : 以下、5... - 2020/04/18(土) 19:30:10.918 fvqiiV2w0 10/27

女魔法使い「しょうがないわね。あたしの力見せてあげる!」

女魔法使い「炎よ、敵を焼き尽くせ!」

ボワァッ!

敵兵B「あぢいいいいっ!」



女剣士「この橋は通さんぞ! はあっ!」

ズバッ!

敵兵C「ぐわっ!」

26 : 以下、5... - 2020/04/18(土) 19:34:10.190 fvqiiV2w0 11/27

敵兵D「オラァッ!」ブンッ

騎士「ふん、そんな剣さばきじゃ……俺の首は取れないぞ!」

ザシュッ!

敵兵D「ぐああっ……!」ドサッ…

騎士「決まった……」

女魔法使い「へえ、やるじゃない」

騎士「だてに時給850Gで雇われてないぜ! うひゃひゃひゃひゃひゃ!」



隊長(なんだ、あのふざけた奴は……)

29 : 以下、5... - 2020/04/18(土) 19:38:02.674 fvqiiV2w0 12/27

副官「なかなか手強いようです」

隊長「手強いが、一騎当千というほどでもない」

隊長「落ち着いて波状攻撃を仕掛けていけ。奴らを休ませるな」

副官「はっ!」

隊長「まったく……面倒なことになったものだ」



ワァァァァァ… ワァァァァ…

キンッ! ガキンッ! ボワァッ! ザシュッ!

30 : 以下、5... - 2020/04/18(土) 19:40:16.711 fvqiiV2w0 13/27

槍使い「せやっ!」ズドッ!

女剣士「だあっ!」ザンッ!

女魔法使い「氷よ!」パキィンッ!

騎士「カーッ! まだまだ余裕だぜーっ!」ザシュッ!



隊長(あの騎士、本当にイラつくな……)

31 : 以下、5... - 2020/04/18(土) 19:44:49.227 fvqiiV2w0 14/27

しかし――

槍使い(くう……! いくら倒しても減らぬ……!)

女剣士(腕が上がらなくなってきた……)

女魔法使い(魔力が……尽きてきたわ……)

騎士「……」

騎士「おいおいお~い! せっかくがら空きの城狙ったのに、お前らってこんなもんかァ!?」

騎士「こんなんじゃ仮に城にたどり着けても、陛下に返り討ちにされるだろうな!」

騎士「カーッ! だらしなすぎて笑いが止まらん!」



隊長「……ッ!」

32 : 以下、5... - 2020/04/18(土) 19:47:19.522 fvqiiV2w0 15/27

隊長「おい」

副官「はい?」

隊長「チマチマとした攻撃はもうやめだ。全員に突撃命令を出せッ!」

隊長「あのやかましい騎士はとっとと八つ裂きにしなければ気が済まん!」

副官「は、はいっ!」

副官「全員、突撃だッ!」

隊長「たかが四人、一気に数で踏み潰してやれッ!」

33 : 以下、5... - 2020/04/18(土) 19:50:06.532 fvqiiV2w0 16/27

ワァァァァァ……!!! ドドドドド…



女魔法使い「全員で突っ込んできたわ!」

騎士「……!」

騎士「よし、退却するぞ! 橋を渡って逃げろ!」

タタタッ…



隊長「逃がすなァァァァァッ!!!」

34 : 以下、5... - 2020/04/18(土) 19:52:15.968 fvqiiV2w0 17/27

ワァァァァァ……!!! ドドドドド…

隊長「全員でこの橋を渡れぇぇぇぇぇっ!!!」

ミシ… メキ…

隊長「ん?」

副官「隊長! この橋が……我々の重みで……」

隊長「な……!?」

メキメキ…

うわぁぁぁぁぁ……!!!

ズズゥン…

38 : 以下、5... - 2020/04/18(土) 19:56:18.764 fvqiiV2w0 18/27

隊長「ぐ……!」

隊長「こ、これは……!?」

ウゥゥ… イテェ… ウゴケナイ…



騎士「≪イーナ橋≫は100人乗っても大丈夫……」

騎士「だけど、数百人が猛牛みたいな勢いで一斉に渡ろうとしたら、さすがに崩れる!」

女魔法使い「確証は全くなかったけどね……。崩れなかったら終わってたわ」

槍使い「まあ、一人あたり125人倒すよりはよっぽど分のいい賭けだ」

女剣士「疲れた……」ヘタ…

39 : 以下、5... - 2020/04/18(土) 19:59:46.557 fvqiiV2w0 19/27

隊長(私としたことが……あのうざい騎士にまんまと乗せられてしまった……!)

隊長(だが、負けたわけではないぞ……)

隊長「まだ我らの大勢は生き残っている! 時間をかけて、そこまで登れば……!」

騎士「おやおや、時間をかけちゃっていいのかな?」

隊長「なに!?」

騎士「この音が……聞こえないか?」



ドドドドド…

41 : 以下、5... - 2020/04/18(土) 20:03:23.490 fvqiiV2w0 20/27

隊長「これは、まさか……!?」

騎士「うちの騎士団だよ」

騎士「俺らが時間稼ぎしてるうちに、一部だけ戻ってきてくれたんだ」

騎士「俺らは最初からお前らに勝つつもりなんかなかったんだよ」

騎士「城に行かせず、時間さえ稼げれば、それでよかった」

隊長「おのれぇぇぇ……!」

隊長「おいお前ら、諦めるな! まだ……!」

「もうダメだ……」 「降伏しよう……」 「作戦失敗だ……」

隊長「くっ……!」

43 : 以下、5... - 2020/04/18(土) 20:06:34.154 fvqiiV2w0 21/27

隊長「くそぉぉぉぉぉ!!!」ダダダダダッ

女魔法使い「わっ、あいつすごい勢いで登ってきたわよ! どうなってんの!?」

槍使い「怒りに我を忘れてるな」

女剣士「誰が相手する……!?」

騎士「カーッ! 決まってんだろ……俺だ!」

隊長「ハァ、ハァ、ハァ……」

隊長「せめて、せめて貴様だけはブチ殺してやるぅぅぅぅぅ!!!」

46 : 以下、5... - 2020/04/18(土) 20:09:30.266 fvqiiV2w0 22/27

隊長「死ねぇぇぇぇぇっ!!!」

騎士「……来い!」

ガキンッ! キンッ! ギンッ!



槍使い「すごい斬り合いだ……!」

女剣士「敵もかなりの腕だ……」

女魔法使い「負けるんじゃないわよォ!」

47 : 以下、5... - 2020/04/18(土) 20:13:15.756 fvqiiV2w0 23/27

隊長「はあああああっ!」

ガキンッ!

騎士「ぐっ……!」

隊長「ここまでだなァ!」ニヤ…

騎士「俺は……バイトとはいえ騎士だ。騎士は国を守るのが……使命!」

騎士「騎士を……ナメるなァッ!!!」

ズバシュッ!

隊長「うぐ、おぁ……ッ!」

ドサッ…

騎士「……ふぅ」

48 : 以下、5... - 2020/04/18(土) 20:15:22.026 fvqiiV2w0 24/27

騎士「カーッ……さすがに……今回ばかりは疲れたな……」

騎士「しかし……疲れててもこれだけはやらないと……」

騎士「えいえい、おーっ!」

女魔法使い「おーっ!」

槍使い「おーっ!」

女剣士「おーっ!」

騎士「やるのかよ!!!」

…………

……

49 : 以下、5... - 2020/04/18(土) 20:22:54.159 fvqiiV2w0 25/27

……

騎士団長「よくぞ城を守り抜いてくれた。陛下も喜んでいる」

騎士「いえ、騎士として当然の務めを果たしたまでです」

騎士団長「ところで、君はバイトで騎士をやっていたそうだが……」

騎士団長「どうだ、正式な騎士になってみないか。このたびの功績を考えれば、誰からも異論は出ないだろう」

騎士「……」

騎士「いえ、自分にはバイトの方が似合ってますから……」

騎士「これからもあの三人と気楽にやっていきます!」

騎士団長「……そうか」

50 : 以下、5... - 2020/04/18(土) 20:25:09.514 fvqiiV2w0 26/27

騎士団長「あの三人は国からのスカウトに乗るそうだが」



槍使い「ちゃんとした兵士にしてもらえるとは!」

女剣士「嬉しい……!」

女魔法使い「キャーッ、夢みたい!」



騎士「なにいいいいいいい!?」

騎士「俺も! 俺も正式な騎士になります! なります! なりまぁぁぁぁぁっす!!!」

騎士団長「……」

51 : 以下、5... - 2020/04/18(土) 20:28:41.789 fvqiiV2w0 27/27

……

騎士団長「敵国は撃退できたが、まだまだ油断はできん! 民も不安がっている!」

騎士団長「これより市中見回りを開始する! 騎士団、出動!」

「はいっ!」 「はいっ!」 「はいっ!」

騎士「ついに俺も正式な騎士……正騎士か」

騎士「カーッ! 国のため市民のため、今まで以上にはりきって働くぞォ!」







― 完 ―

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