1 : 以下、名... - 2011/04/27(水) 21:05:29.89 9SpOGaUU0 1/58



「……」

「ドゥフフwwww相変わらずいい抱き心地でござるwwwwwwwwww」ギュウウウwwww

「……唯先輩やめてください」

「出たwwwツンデレでたwwwww…………wwwwwwww」

「主人公にだけ垣間見せるツンデレktkrwwwwwwwwwww……ヌフwww」

「ヌフフフwwwあずにゃん氏は間違いなく拙者イコール物語の主人公の嫁でござるなwwwwwwwwwww」

「はぁ……ちょっと他の先輩たちみてないでなんとかしてくださいよこの人!」


「……」

「……うん」

「……そうね」


「フヒヒヒヒwwwwwwwwwいやほんとツンデレは至高ですなwwwwま、デレデレも好物ですがこれまたwwwww」

(きんもいなぁ……)

「アッタカアッタカなりwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」




元スレ
唯「オウフwwあずにゃん氏wwwwww」
http://hibari.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1303905929/

7 : 以下、名... - 2011/04/27(水) 21:12:44.43 9SpOGaUU0 2/58


「はーなーしーてー」

「先輩相手に抵抗するなんて言語道断ですぞwwwwwwwフホォwwwwwww」

(いやぁ、だって……)

(きもいもん……なんかつばとかすごい飛んでくるし……)


「あずにゃんにゃんwwwwwあずにゃんにゃんwwwwwww」

「あずにゃんにゃん氏はwww近年の萌えキャラナンバーワン候補ですなwwwww」


「あー、そうですか。はい」


「おーい平沢さん。そろそろ練習するぞー」

「そうだな。梓を離してやれ」


「ヌホホwwwではあずにゃん氏wwwまた後ほど愛を深めあおうですぞwwwwww」


(助かった……)




13 : 以下、名... - 2011/04/27(水) 21:17:25.68 9SpOGaUU0 3/58

ジャカジャン!


「……ww」

「なぁ、平沢さん。コード忘れたならちゃんと言ってくれないと」

「……ヌ、ヌフwwww」

「笑ってないでさー。あのな? こっちは誰もミスしてないんだよー」

「平沢さん一人が止まっちゃうと私たち一向にうまくいかないわ」

「あ……あ、そ、そっスね……www」

「真面目にやってください」

「あー、は、はい……ww……wwww……承諾したであります……wwww」

「はい。じゃあいまのとこもっかい合わせるからな」


「はい、ワンツー!」カン カン♪


……


「お前はなんでできないんだよッ!!!」


15 : 以下、名... - 2011/04/27(水) 21:22:56.06 9SpOGaUU0 4/58


「!!」

「おい!! これ何回目だ!? なぁ!?」

「ま、まぁまぁりっちゃん……」

「ブヒ……フヒ、フフ……ww」

「なんで笑ってるんだ」

「…………」

「あのさぁ、前から言おうと思ってたんだけど平沢さんさぁ……」

「……り、律先輩……それは」

「……あーわり。いまのなし」

「……w」

「と、とりあえずこの部分は課題ってことで。平沢さん、しっかり練習してくるんだぞ?」

「……合点承知之助wwwwwwww」

「無理なら無理で……」

「問題ナッスィングでござるよ琴吹氏wwwwwwwwwwww……www」

(唯先輩……)


18 : 以下、名... - 2011/04/27(水) 21:27:31.05 9SpOGaUU0 5/58

帰り道


「あれ、唯先輩は?」

「あぁあいつ? 先帰ったぞ。すごい速度で」

「またですか……はぁ」

「ほんと足並み揃わないやつだよなー」

「ちょっと個性的すぎよね」

「んでさー、どうする?」

「どうするって、あぁ例の件」

「例の件?」

「……あー、そっか梓まだしらないんだっけ」

「……あのね」

「くび! あいつクビ!」

「お、おいそんなはっきり……」

「だーって。どうせみんな思ってんだろー?」

「部活自体は梓ちゃんがいるおかげで存続できるしね……」


29 : 以下、名... - 2011/04/27(水) 21:34:56.93 9SpOGaUU0 6/58


「えっ、な、なにいってるんですか!?」

「……」

「梓。今日何回合わせるの失敗したかわかる?」

「……」

「15回だ」

「……それぐらいでしたね」

「梓ちゃんも気づいているでしょ?」

「……」

「世の中な、何度やってもうまくいかないやつっているんだよこれが」

「……でも」

「私たちの夢はさ、武道館だろ?」

「去年の今頃きめたんだ。もしゆ……平沢さんが一年たってもうまくならなければ、そのときは私たちは切り捨てるって」

「夢に向かって羽ばたくには、足枷を外さなきゃいけないの。わかってくれる?」

「……理屈はわかります」

「平沢さんはあんなあっけらかんな性格だからさ、自分がどう思われてるのかわかってないとおもうんだ」


31 : 以下、名... - 2011/04/27(水) 21:39:27.52 9SpOGaUU0 7/58


「私ちょっとひどいこというけど、あの子自分が周りに迷惑かけてるって気づいてもないのかも」

「……そう、ですかね……」

「私たちのほうが付き合い長いんだ。平沢さんのことはよくしってる」

「うんうん、あいつはそういうやつだ」

「なにより品がないのが困るわ……」

「あー、紅茶の飲み方とか汚いもんな」

「ケーキで口の周りべたべただし」

「教室でも変な遊びばっかりしてるしね」

「あ、それとさーあんとき、ほらっ」


ワイワイ ワハハハ



「……先輩」

「……私が憧れたけいおん部。こんなはずじゃなかったのになぁ」


33 : 以下、名... - 2011/04/27(水) 21:43:25.92 9SpOGaUU0 8/58



翌日


「唯先輩元気かな……」ヒョコッ


「……」


(唯先輩机に突っ伏して寝てる……)

(……呼んでみようかな)

「お、梓じゃん!」

「あら梓ちゃん。なにか御用?」

「あっ、い、いえ……」

「……」ピクッ


「……」

「たまたま通りかかっただけです。それじゃあまた放課後に」

「おう!」



37 : 以下、名... - 2011/04/27(水) 21:49:38.77 9SpOGaUU0 9/58


放課後

ガチャ


「どもですー」

「あずにゃん氏wwwwwwwwwwww」ダキッ

「んむ……唯先輩」

「ンフォwwwww待ってたでござるんるんwwwwwwww」

「ちょ……いきなりだきつかないでください」


「……チッ」

「おい律っ」ヒソヒソ

「わーってるって」

「今日の練習でもしも……」ヒソヒソ


「……ww……www」

「あーあずにゃん氏はあったかいですなぁwwwwwwwwwwww」



41 : 以下、名... - 2011/04/27(水) 21:57:30.75 9SpOGaUU0 10/58

(私はしっている)

「ヌホホwww余は満足でごじゃるーwwwwww」


「でさぁ、……平沢さんをさぁ」ヒソヒソ


「……ん」ピクッ


(気づいてますよ。唯先輩がずっと周りに対して聞き耳をたてていること)


「……アハハ、律それ最高」

「たのしそうねー」


「……ドゥ、ドゥフwww……www」ピクッ


(そして、唯先輩がちいさく小さく、震えていること)


「フヒヒwwwきょ、今日は頑張りますぞあずにゃん氏wwwwwwwwww」

(その笑顔さえも作り物だってことも。全部知ってるんですよ、唯先輩)

(気づかないわけないでしょう? こんなふうに抱きしめられてるんですから……)


46 : 以下、名... - 2011/04/27(水) 22:09:16.14 9SpOGaUU0 11/58


「よーし、じゃあそろそろ練習すっかー」

「うん。今日こそ、今日こそ成功させような? な? みんな」

「うん」

「……www余裕のよっちゃんwwwww」

「おー、言ったな。じゃあもし間違えたらどうする?」

「……フヒ、ヌホホ」

「……ま、やってみなきゃわかんねーよな」

「あぁ、平沢さんも昨晩血の滲むような努力したかもしれないし」

「そうね! まずはやってみましょ!」

「ギターとか余裕すぎクソワロティッショモwwwwwwwwwwwwww」


「ゆ、唯先輩……大丈夫なんですか……」

「心配ご無用でござるよwwwwwwwwwwwwwww」

「……ちょ、ちょっと私トイレ行きます! まってください」

「あ、唯先輩もさっき行きたいって言ってましたね。ついでにすましときましょう」


48 : 以下、名... - 2011/04/27(水) 22:15:08.65 9SpOGaUU0 12/58


トイレ


「オウフwwwあずにゃん氏wwwトイレにつれこむとは大胆不敵wwwwww」

「……」

「拙者ともしかしてフラグ成立でござるかwwwwヌホォwwwwwwww」

「イベント発生ktkrwwwwww感動のエンディングでござるwwwwwwwwwww」

「ねぇ、唯先輩」

「うはwwwwwwww夕日も差し込んで雰囲気ありまくりんぐwwwwwCG回収達成wwwww」

「しかし残念無念wwwあずにゃん氏wwwここはトイレぞなもしwwwwwww」

「唯先輩」

「……」

「使うコード、忘れないように手にかいときましょうね。あとCコードはこう。はい、真似してみてください」

「え……ww」

「そろそろイイトコみせなきゃ。ね?」

「……あずにゃん氏……wwww」


54 : 以下、名... - 2011/04/27(水) 22:23:29.59 9SpOGaUU0 13/58


「大丈夫です。自信もってやれば出来ますよ」

「……自信」

「大丈夫。唯先輩はできます。上手ですよ」

「そ……そう……でござるか……ww?」

「えぇ。唯先輩の音は生きてます。私、そんな唯先輩の音に魅せられてここに来たんですから」

「ちょっとやそっとの失敗がなんですか。そんなのくそくらえです!」

「せっかくのけいおん部なんですから、楽しく弾くことが全てですよ」

「だから唯先輩。堂々と、笑顔で、ね?」

「え……えと……あの、あう」

「あ……て、照れるでござるーwwwwwww」

「これはびっくりハップンwwwwwあずにゃんがデレ期に入ったでござるーwwwwwwwww」

「ヌホホホwwwwヌヒヒwww……」

「行きましょう。他の先輩達に目にものみせてやるんです!」

「オホwwwwあずにゃん氏がやる気ビンビンでござるwwwwwwww」

「やってやるです! なんてね、えへへ」 


61 : 以下、名... - 2011/04/27(水) 22:27:51.77 9SpOGaUU0 14/58


部室


「おそいぞー梓ー平沢さん」

「さっさと合わせるからな。準備して」


「……」ドキドキ

「唯……練習の成果みせてもらうからな」


「フヒwwwニョッホホwww」アセアセ
 
「大丈夫、大丈夫ですよ」

「……www」


「よし、やるか」

「これが5人で合わせる最後にならなきゃいいけどねー」

「おいおい」


「……えへwww……アグアガガアwwwwwwww」


68 : 以下、名... - 2011/04/27(水) 22:32:25.29 9SpOGaUU0 15/58


「アヒョヒョヒィホヒョwwwwwwww」

「ニョホホッホwwwwwwww」

「せ、拙者急用を思い出したのでこれでwwwwwww」

「ドロンするでござるwwwwフォカヌポウwwwww」


「えっ……」

「……ふーん」


「あっ……あ! あ!」ビクビク

「……ッ!」


ガチャン バタン ドタドタ


「唯先輩……どうして……」

「あら? なにかしたかしら」

「さぁ? よくわからないやつだからな」

「やーれやれ。ま、これでやっと平和に練習できるな」


75 : 以下、名... - 2011/04/27(水) 22:37:57.33 9SpOGaUU0 16/58


「わ、私も急用」

「え?」

「梓……はぁ」

「梓ちゃんは先輩思いの良い子なのね」

「……」

「なぁ、梓。やめとけって、これ以上唯に深入りするな」

「でも……」

「コレでよかったんだよ。私たちは夢を諦めたくないんだ」

「さぁ練習するぞー」

「あ、その前に。はいこれ。新しい曲の楽譜よ」

「……なにこれ……唯先輩のパートがない……」

「……うん」

「……しかたないのよ」



「私たちと平さ……唯ちゃんは少し歯車が噛み合わなかっただけ」


87 : 以下、名... - 2011/04/27(水) 22:45:01.52 9SpOGaUU0 17/58


「どういうことです……」

「あいつさー、もともと暗かったんだよ」

「あぁ。それもとんでもなくな」

「入部当初ね、りっちゃんが無理やり数合わせでひっぱってきたの」

「口もきかねーし、くすりともしねーし、何考えてんのかわかんない」

「んでさ、楽器も勉強もダメダメ」

「どうすっかなーって思ってた矢先、あいつ一回不登校なってさ。あーひきこもりってやつ」

「んで、けいおん部もろくに活動出来ず危うく廃部になるとこだったから無理やり引きずりだしたらさ」

「なんかもっと気持ち悪くなってた」

「きっとずっとアニメとかゲームして過ごしてたんだろうなー」

「なんか、私たち。ますます唯ちゃんについていけなくなったの」


「……」

「もちろん、なんとかしようとはしたさ」

「でもだめだ。あいつはそもそもああいうやつなんだ。まだ暗かったころのほうがマシだなこりゃ」


96 : 以下、名... - 2011/04/27(水) 22:51:22.46 9SpOGaUU0 18/58


「ま、もういいだろ……」

「唯ちゃんもあんまりギター弾くの好きじゃなさそうだったし」

「高かったのになあのギター」

「そうね……高くついたわ、いろいろ」

「もう唯はたぶんこないな」

「でも……お互いに精神衛生上これでよかったのよ」

「そうそう、私たちのことなんてなんのその、意外とあっけらかんとしてるって。ははは」

「だな」


「……そうですか」

「で、梓は? 唯にまだ未練ある?」

「……私は……えっと……」


(あれ、なんでこんなに私唯先輩のこと気にかけてたんだろう)


107 : 以下、名... - 2011/04/27(水) 22:58:24.92 9SpOGaUU0 19/58


(髪もぼさぼさだし、身だしなみもなっちゃいないし、笑い方も不気味だし……)

(あとちょっと汗臭いし……)

(はじめて抱きつかれたときは反射的に殴っちゃったなぁ)


(そういえばなんで抱きつかれたんだろう)

(わかんない……わかんないですよ唯先輩)

(でも、もやもやするんです)

(あなたはあの時あんなに嬉しそうに私に抱きついた)

(その笑顔だけは……偽りじゃなかったから……)


「今日は、やっぱり帰ります」

「ちょっと心の整理もつかなくて……すいません」

「ま、しかたないか」

「悪いな梓。見苦しいとこみせちゃって」

「先輩失格よね……」

「いえ……それでは」


115 : 以下、名... - 2011/04/27(水) 23:01:54.16 9SpOGaUU0 20/58



平沢家


「……」

「お姉ちゃんおかえり」

「……」

「なにか言いなよ」

「……うん……ただいま」

「……今日は早かったんだね」

「……うん」

「……ご飯、たべれる?」

「ちょっとだけ……あとでもってきて……」

「わかった。制服ちゃんと吊らなきゃだめだよ? わかってる?」

「……わかってる」

「……また何かあった?」

「…………ううん」


119 : 以下、名... - 2011/04/27(水) 23:06:04.72 9SpOGaUU0 21/58


唯の部屋


「あ……まいんちゃん始まる」

「……ww」

「ヌホホホホwwwまいんちゃーんwwwwwwwwwww」

「拙者いつも応援してるでござるよwwwwwwコポォwwwwwwwww」

「早く画面からでてきてほしいですぞwwwドプフォwwwwwww」


「……www」

「……w」


「…………」

「……つまんない」

「……いいんだ……どうせわたしなんてこんなもんだよ、あはは」

「いいの……もう十分楽しかったもん」

「ほんと……たのしかったから……これで……いい」ポロポロ


128 : 以下、名... - 2011/04/27(水) 23:10:57.01 9SpOGaUU0 22/58


「りっちゃん……」


『ねー君さぁ! けいおん部に興味ない!!』

『たーのむって! な?』

『あははっ、なんだうまいじゃん! そうそうそんな感じ!!』

『あー、なんか落ち着くなーこの感じ。だらだらーってさ』

『唯ってさー、へたっぴだけどなんか愛嬌あるよなー』

『なぁもうちょっとなんとかならない?』

『唯、練習してる?』

『真面目にやれよ』

『なぁ、なんでできないの? 唯のせいで私汗だくなんだけど』

『おい、でてこいよー。な、また学校いこ? けいおんしようぜ?』

『なにその喋り方……平沢さんってそんなんだっけ』

『なぁ平沢さん。そろそろ気づいたら? あ、ごめんわかんないか』

『いまさらだけど平沢さん、ギター向いてないかも』


140 : 以下、名... - 2011/04/27(水) 23:16:07.79 9SpOGaUU0 23/58


「澪ちゃん……」


『ごめんなぁ、無理やりひっぱってくるような真似して』

『は、入ってくれるのか!? あ、ありがとー!!』

『へぇ、唯のセンスは独特だな! いいギターだと思う。大事にするんだぞ!』

『こらぁ律! 唯! まじめに練習しろー!』

『がんばればできるようになるって!』

『唯またコード忘れたの?』

『唯、練習してるのか?』

『これ弾けるようになるまでおやつは無し』

『どうしてこんな簡単なフレーズができないんだ! 教える身にもなれよ! あ……ごめ……そういうつもりじゃ』

『唯ー、どうしたー。病気ならちゃんと病院いったほうがいいぞ』

『だ、だれ!? うわあぁあ』

『平沢さん。どうしてライブできなかったかわかる?』

『ギターが泣いてる』


149 : 以下、名... - 2011/04/27(水) 23:21:21.54 9SpOGaUU0 24/58


「ムギちゃん……」


『ありがとー! これで新生けいおん部結成ね!』

『さぁ、ケーキよ。いっぱい食べてね』

『もう一声~』

『うふふ、唯ちゃんって意外とおちゃめなのね』

『がんばろ? 私もなるべくわかりやすい曲つくるから!』

『唯ちゃん……この曲も無理?』

『唯ちゃんはおウチで練習してる?』

『ごめんね……今日は練習したいからお茶はなしなの』

『私……ちょっと唯ちゃんの気持ちはわからないかも』

『唯ちゃんお願い! 唯ちゃんがいないと学園祭ライブができないの!! だから学校に……』

『え、唯ちゃん? 嘘……誰……』

『あの……平沢さん……ごめんね。私……ちょっと無理』

『平沢さんってアキバ系ってやつ?』


159 : 以下、名... - 2011/04/27(水) 23:26:11.73 9SpOGaUU0 25/58


「……みんな……みんな、ごめんね」

「でも私……無理だから」

「もうどうしようもないから……」

「寝よ」

「明日は……どうしよ」

「私って、なんもむいてないな……あはは」


「……ZZZ」



居間


「ごめんね。突然おしかけて」

「ううん、きてくれてありがとう」

「……先に謝っとく。ごめん。ホントにごめんなさい」

「えっ、な、なに、どうしたの?」

「ごめんなさい!! 私たちが悪いの」


185 : 以下、名... - 2011/04/27(水) 23:33:56.45 9SpOGaUU0 26/58


「やっぱり……なにかあったんだ」

「ごめん……謝っても許してくれないよね、憂に謝るも間違ってるってわかってる」

「けど……頭をさげるしかできません」

「唯先輩にひどいことをしたのは私たちです」

「うん……」

「……ごめんなさい」

「頭上げて。梓ちゃん、少しお話しようよ」

「……うん」

「はぁ……お姉ちゃん。最近ちょっと調子良かったのになぁ」

「……?」

「お姉ちゃんね。昔っからすっっっごい根暗なの」

「……」

「根暗。うーん、なんていうんだっけ、コミュニケーション不全?」

「……」

「一時期はほんとひどかったなぁ……」


197 : 以下、名... - 2011/04/27(水) 23:40:16.18 9SpOGaUU0 27/58


「そうなの……?」

「ひどかったよー、私と話すのもままならなかったもん」

「中学も半分くらいしか行かなかった……先生なんどもウチに来たなぁ」

「あと遊び友達もほとんどいないし、頼れる人もいない」

「でも私にはどうすることもできなかったの」

「私があれこれすると、絶対お姉ちゃんのプライドに傷がついちゃうから……」

「そうなったら、繊細なお姉ちゃんはその傷が元でどんどん壊れて行っちゃうよ」

「……プライド」

「事情はそこまで詳しくないけど、梓ちゃんの前で強がってたのもそうじゃないかなぁ」

「後輩の前でってこと……?」

「うん、そういう人だから。けど梓ちゃんが知ってるのはいま現在の気持ち悪いお姉ちゃんだけでしょ?」

「いまの?」

「お姉ちゃんはね、去年の夏頃に一度不登校になってから変わったんだ」

「変わった……」

「とってもとっても……」


222 : 以下、名... - 2011/04/27(水) 23:47:01.94 9SpOGaUU0 28/58


「……どういうこと?」

「自分の素顔を、見せなくなったの」

「……」

「へーんなキャラ作りしちゃってね、口調も変だし」

「……やっぱりあれって……」

「そうやってずっと仮面かぶって人の視線から本当の弱い自分を守ってるんだよ」

「きっとそれはすごく無意識的なもの。自衛本能? お医者さんじゃないからよくはわかんないけど……」

「つまりね、お姉ちゃんは一人篭ってその間に、壁をつくっちゃったの」

「……」

「脆い人。わかってた。けど、私もバカでダメで臆病だから……ごめんねお姉ちゃん……」

「憂……」

「どうしたらいいのかな……」

「ごめん……きっと唯先輩がそうなったのは私たちがひどいことしたから……」

「ううん、けいおん部のせいじゃないよ」

「お姉ちゃん、ずっと楽しそうだった。毎日ジャカジャカ練習してたよ……」


248 : 以下、名... - 2011/04/27(水) 23:54:42.48 9SpOGaUU0 29/58


「あんなにどん底で暗かったお姉ちゃんがまさかけいおん部なんて! って初めはおもった、えへへ」

「……私たち、唯先輩はむいてないって言っちゃった」

「そっか……でも、結果はどうあれけいおん部に入って良かったと思う」

「けいおんは、お姉ちゃんに思い出をくれたから」

「……思い出」

「ご飯食べてる時ね! 合宿たのしかった。ってボソッっと言うんだよ」

「あはは、あとお姉ちゃん、ブログとかやってるみたい。毎日毎日飽きずにけいおん部の活動かいてるよ」

「……」

「見る?」

「悪いよ……」

「楽しいって直接口からは聞かなかったけど……あのヘンテコな笑顔はきっと、そういうことだよ」

「梓ちゃん。お姉ちゃんに素敵な思い出をありがとね」

「ありがとうだなんて…………まだ思い出じゃ終われないよ」

「えっ」

「なんのために私が来たと思ってるの! 絶対連れ戻す!!」


286 : 以下、名... - 2011/04/28(木) 00:05:32.29 x/o67Gq70 30/58

「でも……お姉ちゃんはもう……これ以上は……」

「私はそんなのしらない! 唯先輩が勝手に抜けるんてダメ!」

「私の中でのけいおん部は唯先輩を含んだ5人なの!」

「梓ちゃん……」

「唯先輩の部屋いってくる!」

「……」

「いいでしょ……?」

「うん……仕方ないよね……」

「私とお姉ちゃんじゃなくて、これはけいおん部の問題だもんね」

「ありがと憂!」

「私こそ。ありがとう梓ちゃん。こんなにお姉ちゃんを思ってくれる人がいるなんて」

「お姉ちゃんは幸せだね……」


(お姉ちゃん。梓ちゃん、とってもいい子だよ)

(ってそれはお姉ちゃんが一番良くしってるか。いつも嬉しそうに梓ちゃんの話してるもんね)

(いま梓ちゃんがそっちにいくよ。お姉ちゃん、だめだからね、可愛い後輩をこれ以上泣かせたら……)


299 : 以下、名... - 2011/04/28(木) 00:10:43.93 x/o67Gq70 31/58



「唯先輩……」 コンコン


「……」コンコン

「んあ……? んー……ご飯ならそこ置いといて。おきたらたべる……」

「唯先輩」

「は!?」

「入りますね?」

「あ、ま、まっ」

「おじゃまします」ガチャリ


「……あ、あ……」

「唯先輩……って、な、なんですかこの部屋……うわあ……」

「あー……えっと、ふ、フヒwwwwwwヌホホwwwもはや言い逃れる術はなしwwwwwwww」

「なにを隠そう拙者いやはや、ずいぶんなマニアでしてなwwwwwwwナハハハwwwww」

「壁一面に変なオタクポスターが……うわぁ」



319 : 以下、名... - 2011/04/28(木) 00:16:56.48 x/o67Gq70 32/58

「これはこれはあずにゃん氏www我が要塞へはるばるようこそでありんすwwwwwwwwww」

「ニョホホホホwwwいやしかしコレは参ったですなぁwwwwwwwいやぁああははwwww」

「敵襲ーwww敵襲ーwwwwww全軍警戒せよwwwwwwwwwwwwww」

「……唯先輩」

「……フヒヒ、フヒ………」

「泣いてたんですか?」

「!」

「……」

「な……フホォwww拙者どうやらアニメかっこ通常業務かっことじるで目を酷使しすぎたようですなwwww」

「ウムフゥwwwwwアイタタでござるwwwwwwwwwwヌホォww」


「……いいんですよ」

「……ww」

「ここは唯先輩の部屋ですから。いいんですよ。何も被らなくても」

「……ぁ」

「ベッド、腰掛けていいですか?」


345 : 以下、名... - 2011/04/28(木) 00:23:43.38 x/o67Gq70 33/58


「ぁ……あ……」

「座っちゃいますね」

「い、いやぁ! こないで……」

「……」

「く、くるな! あっちいけ!! あずにゃんなんて嫌いだもん!!」

「へぇ……そうですか」

「……あ……ち、ちが」

「それが、本当の唯先輩なんですね」

「……え……」

「やっとみれました…………よっこらせ、あは、ふかふかっ」ポフッ

「あずにゃん……氏……ww」

「……もうっ……えいっ」グニッ

「ふへ……にゃ、にゃにするの、ほっへひゃ……はなひて」

「やっぱり、すごく可愛い顔してるじゃないですか。ちょっとオタクになるにはもったいない素材ですよ?」



359 : 以下、名... - 2011/04/28(木) 00:28:19.06 x/o67Gq70 34/58


「……んむぅ!!」

「たてたて、よこよこ♪ まーるかいて♪ まーるかいて♪」

グリグリ

「いひゃひゃひゃひゃひゃっひいい」

「ごめんなさいっ」パッ

「も、もう!! な、なんなの!?」

「友達同士でよくやりません? ほっぺたつねり」

「……しない」

「でもいましました」

「……」

「次唯先輩やってみます? ほら、私のほっぺたどうぞ?」

「え、で、でも……」

「遠慮しないでいいですよ、ほら」

「……ぁ。 ぅ、ととと」オドオド

「はい、ちゃっちゃとつまむ」


383 : 以下、名... - 2011/04/28(木) 00:35:24.85 x/o67Gq70 35/58


「……ごめんねごめんねごめんね」グニュ

「あはは、あひゃまりながらちゅまむ人がいまひゅか」

「えっと……えと」

「た、たてたて……よこよこ」

「まるかいてまるかいて……あぁっ、ご、ごめ……」パッ

「んー、イタタ。えへっ。私たちこれでもう」

「あ、あずにゃん……氏……」

「……むぅ」

「氏ってなんですか」

「……ぇと……ソノ、デスネー」

「平沢氏! 平沢氏ー!」

「うっ……」

「わかりましたか? このちょっと寂しい距離感!」

「ごめ……なさ……」

「さて、そろそろ本題です」


408 : 以下、名... - 2011/04/28(木) 00:42:37.09 x/o67Gq70 36/58


「……」

「はい、顔そらさない。目はあわせなくていいですからせめてこっち向いてください」

「……」

「唯先輩、やめませんよね?」

「……」

「生意気な後輩ですいません。けど、これだけは聞いとかなきゃだめなんです」

「……」

「やめませんよね? けいおん部、とギター」

「……ぅ」

「私がなんでけいおん部に入ったかしってますか?」

「……あずにゃんは両親の影響で音楽が好きだから」モニョモニョ

「いいえ。それはけいおん部に入らなくても続けられます」

「……」

「では、なぜ私がけいおん部入ったか」

「……しらないもん」


424 : 以下、名... - 2011/04/28(木) 00:49:00.27 x/o67Gq70 37/58


「唯先輩ですよ」

「……私……?」

「新歓ライブ。素敵でした」

「ま、といっても唯先輩は端っこでライトも当たらず地味ーに弾いてるだけでしたけど」

「……うん……だって、無理だもん」

「それでも、唯先輩の一生懸命な音は私に届いてましたよ」

「へたっぴだけど、おもしろくって活き活きした音でした」

「私、音楽通ですから。あ、自称ですけどね。良い音と悪い音がわかるんです!」

「未熟ながらもあの人は絶対に光り輝くなにをか持ってる。そう確信しました」

「そ、そんな……ことないよ」

「だから、自信持ってって言ったでしょ?」

「……私、うまくないもん」

「はい! 唯先輩は下手くそです。覚えも悪いと思います」

「う……だよね」

「だから、これからもっともーっといっぱい一緒に練習して、うまくなりましょうよ!」


447 : 以下、名... - 2011/04/28(木) 00:55:06.46 x/o67Gq70 38/58


「でも……」

「?」

「私には……ひっぐ、もうけいおん部に居場所がないもんっ……」ポロポロ

「なら私がつくります」

「……」

「唯先輩の居場所なんて私がどこでもつくってやります!」

「前でも後ろでも隣でも! どこにいてもいいんですよ!」

「もう隅っこでうずくまらなくてもいいんです!!」

「私がいますから……私が……」

「私がギター教えてあげます、勉強だって、おしゃれだって!」

「あずにゃん……」

「だから……お願い……戻ってきてください……」

「やめるなんて、言わないで……」

「……」

「唯先輩……」


477 : 以下、名... - 2011/04/28(木) 01:01:57.17 x/o67Gq70 39/58


「うん……続ける」

「……!」

「後輩に、ううん、あずにゃんにそこまで言われたら……」

「む、無理強いはしないですけど……」

「やる。もう一度みんなの前でギター弾く」

「! はい!」

「……ギー太……いままでごめんね」

「……」

「ギー太に八つ当たりとか、しちゃったの……だめなやつ」

「……ギー太も唯先輩のことが大好きですよ」

「……?」

「持ち主を嫌う楽器が、あんないい音出すわけありませんから」

「あずにゃん……ギー太ァ……うっく」

「練習しましょう。見返して、納得させて、またけいおん部一丸となって夢の舞台を目指しましょう」

「……うん」


504 : 以下、名... - 2011/04/28(木) 01:09:27.01 x/o67Gq70 40/58


「皆さんわかってくれます。唯先輩のいまの目をみたらきっと」

「大丈夫かな……」

「思ったんですけど。みなさんそこまで嫌な人じゃないです、ただ目標に対してストイックすぎるというかですね、あのー」

「それは……うん、私も良くしってるよ。だって、もう一年以上の付き合いだもん」

(そう……ずっと一緒だったんだもん……)

「……ですね!」

「あ、で、でも早く謝らないと……」

「私からもう何通かメールおくりました。唯先輩はギターのことだけ考えていいんです」

「えっ……」

「大丈夫です。みんなもう高校生、ちゃんと気持ちに整理をつけることだってできますよ。それでもダメなら。私と二人でやり直しましょう? 私、唯先輩にならついていきますよ」

「……あずにゃん大人だね……わたしのほうが年上なのに……」

「んー……ませてるだけです、家庭が家庭だったので」

「……そっか」

「ふふ……さて、では早速。わしゃわしゃ」

「んひっ!? な、なにするの……」


517 : 以下、名... - 2011/04/28(木) 01:16:20.69 x/o67Gq70 41/58


「せっかくふわふわでいい髪の毛してるんですから。寝ぐせなんて野暮ですよ」ワシャワシャ

「んぅ……くすぐったいよぉ」

「んー実はいいシャンプー使ってるでしょ。見た目と相反する匂い……」

「憂が買ってくるやつ……」

「いい妹ですねー」

「うん……優しいし、気もきくし……ちょっと怒ると怖いけど……」

「でも唯先輩も、いいお姉ちゃんですよ」

「そんなことないよ……」

「憂があんなに唯先輩のことを思ってるんですから! 悪いお姉ちゃんなわけないじゃないですか。あ、ほら、背筋のばして」

「ん……うん」

「ちゃんと、服も整えて……ほらしゃんと立つ! ……よし、完璧!」

「ね! いいじゃないですか!」

「な、なにが……?」

「この壁一面の女の子たちよりよっぽど魅力的です!」

「そ、そんなことないもん……ぅぅ……」


532 : 以下、名... - 2011/04/28(木) 01:21:09.31 x/o67Gq70 42/58


「日曜日になったらお買い物行きましょう! 服くらい選んであげますよ」

「いいの……?」

「はい! 私も側にいる人はおしゃれでいてもらいたいですから」

「……この服ださい?」

「あ……う、うーん……ど、独特!」

「独特……えへへ」

「あ、やっと笑いましたね」

「えっ」

「わぁ……もっかい見たいです」

「私、笑ってた?」

「はい」

「んーっと……んーっとどうしよ……笑う……笑う……あ! ドゥフフフwwフヒヒヒwwww」

「…………えいっ」コチョコチョコチョ

「あははっ、あはっ、あははは、や、やめてよぉあずにゃあははははっ」


542 : 以下、名... - 2011/04/28(木) 01:26:34.43 x/o67Gq70 43/58


「それそれっ」

コチョコチョコチョコチョコチョコチョ

「あはははっ、ひーひー、あははっはっ」

「ほらほらー、もっともっと笑ってー」

「あひひひひっあはははっ、だ、だめだよおおっやめてええっ」


ドンドンドンドン ガチャン!

「何騒いでるの!!? 喧嘩はだめぇ……ん?」


「あひ?」

「憂。どうしたの血相変えて」

「……お姉ちゃん?」

「憂……」

「お姉ちゃん……なんか変……」

「えっ」

「こんな笑顔のお姉ちゃんなんて変ー!!」


556 : 以下、名... - 2011/04/28(木) 01:32:08.56 x/o67Gq70 44/58


「え"」

「お姉ちゃんどうしたの! 頭でもぶつけた!?」

「憂……」

「はぁ……やっぱ出来は違っても唯先輩の妹だね」

「ひどいよぉ……」

「でも……よかった、よかったよぉ……」

「憂……ごめんね、ごめん。私、間違ってた」

「ううん。いいの……お姉ちゃんが元気でいてくれたら、それだけで嬉しい」

「よーし! 唯先輩もやる気だしたし!」

「うん! さっそくギターの」

「壁のこれ剥がしましょう。全部」

「えっ……」

「私もこれからここで練習したりするんですよ? なのにこれはあまりにも……」キョロキョロ

「……不快です死にます」

「ええええっ!!?」


563 : 以下、名... - 2011/04/28(木) 01:37:24.10 x/o67Gq70 45/58


「ホントは人の趣味にどうこう言うきはないんですがこれは度を過ぎてます」

「そんなぁ……」

「当然です」

「……でもぉ……私のコレクション……と生きがい」

「じゃあこれからはギターと私を生きがいにしてください」

「うぅ……」

「私?」

「えっ? あっ!?」

「ごめんねみんな……また会おうね」ベリベリ

「……よかった」

「私?」

「もうっ! しつこいよっ!! ただの言葉のあやだってば!」

「そ、そうだよね……ごめん」

「……あ、剥がしたのは没収です」 

「えぇ……まぁしかたないか……」


587 : 以下、名... - 2011/04/28(木) 01:44:37.72 x/o67Gq70 46/58


「はいどんどん剥がしてー。頂戴します」

「はーい……」ペリペリ


(はぁ……似たようなのばっか……なにがいいのかな)

(音楽オタクだけどさすがにアニメオタクの気持ちはわかんないや……)

(どれもこれも全部一緒じゃん……二つ括りの髪の毛で……ん?)

(まぁ気のせいか……こんな絵に興奮するなんてやっぱオタクって変態だ)


「おわりましたぁ……」

「あー、すっきりー! さて! じゃあ練習! しましょっか!」

「……うぅ……私のコレクション」

「ちゃんと上達したら返しますって! さぁ返事は?」

「は、はい!」

「えへへ。梓ちゃん、お姉ちゃんのことよろしくね」

「まかせて! 絶対ぜーったい上達させてみせるから!」

「がんばる……!」


605 : 以下、名... - 2011/04/28(木) 01:51:03.13 x/o67Gq70 47/58



一週間後


「……」ドキドキ

「大丈夫……大丈夫なんだから」

「さて」

「見た目以外もどう変わったか見せてもらおうか、唯」

(唯……澪ちゃん……)

「でもびっくりしちゃったー、唯ちゃんがこんなに可愛くなるなんてー、うふふ」

「お、おいムギ! まだ私は評価は改めないからな!!」

「……じゃあ弾いてもらうか。ふわふわ時間」

「う、うん……」オドオド。

「……私も一緒でいいですか?」

「あ、あずにゃん……」

「ん、どうする?」

「そうだな……そのほうが本領発揮できるなら、それでいいよ」


619 : 以下、名... - 2011/04/28(木) 01:56:40.59 x/o67Gq70 48/58


「……わかった! じゃあいきます!」


ジャカジャカ ジャージャン―――


(いいですよ、唯先輩……大丈夫、あなたはもう大丈夫)

(あずにゃん、ありがとう)

(弾けてる……ちゃんと弾けてる!)

(私、楽しい! 楽しいよギー太!! こんなに弾くのが楽しいのってはじめて!)

(まるで空を飛んでるみたい! ふわふわ~って! 気持ちい! すっっっごく気持ちの!)


~♪ ~♪



「……」

「……うん」

「~♪」


……


632 : 以下、名... - 2011/04/28(木) 02:00:59.77 x/o67Gq70 49/58


「以上です……」

「ご静聴ありがとうございました」


「……」


「ど、どうかな……前よりはちょっとは……うまく……ソノ、デスネ」


パチパチパチパチパチ

「!」


「いやー、まいった……あー私らって見る目ねー」

「唯、すごくよかった。なんだか音が飛び跳ねてたよ」

「すっごく聞いてて楽しい演奏だった……」


「……みんな」

「当然です! 唯先輩なんですから!」

「あずにゃん……」


644 : 以下、名... - 2011/04/28(木) 02:06:10.32 x/o67Gq70 50/58


「でもわからないのはさ、どうしていままでうまくなれなかったのに急に……」

「それは……」

「生まれ変わったんだろ。梓のおかげでさ」

「……うん!」

「私たちも、いい加減変わらないとね……」

「うん……その……唯……ごめんな」

「いや、謝ってもだめか、ははは」

「ちょっと、きつくしすぎたと思ってる。反省してる」

「……いいよ、別に……もう」

「私はさ、間怠っこしいのはあんまり好きじゃないかならこの際はっきり言うけど」

「前の唯のこと嫌いだった。なんか、自分を取り繕って誤魔化してる感じがイチイチ癇に障った」

「!」

「でも、いまの唯は……嫌いじゃない……かな。知らなかった。唯って、そんなふうに笑えるんだ……」

「りっちゃん……」

「だから、こんなこというのはお門違いかもしれないけど。その……またよろしく、唯」


671 : 以下、名... - 2011/04/28(木) 02:13:00.34 x/o67Gq70 51/58


「うん……またよろしくね」

「……」

「澪ちゃん……」

「私は言うことはない。けど相応の実力がある以上は認める」

「う、うん……ありがと」

「でも……また、仲良くできる日がくればいいなとは、おもってるから……」

「……」

「また、よろしく……」

「ありがとう、澪ちゃん。いままでごめんなさい……」

「私のほうこそ……おとな気なかったし、陰湿だったかなって思う……」

「陰湿っていうか……うーん……」

「正直いうとどうしようもないくらい最低な先輩達でした」

「……」

「でも、そんな先輩たちでも変われるんなら、まだまだこれからですよ」

「このメンバーのけいおん部なんて、出来てたかだか一年ちょっとでしょ?」


711 : 以下、名... - 2011/04/28(木) 02:21:58.38 x/o67Gq70 52/58


「武道館いくんでしょ? 時には仲良しごっこじゃどうしようもない壁だって出てきますよ」

「……でも私たちは、とてもひどいことをした」

「自覚があるなら床が砕けるまで土下座でもなんでもしたらいいでしょ」

「あ、あずにゃ……」

「でもそんなのいらないんですよ。だって唯先輩だって悪いんですから」

「……」

「こんな弱っちい人初めて会いました。弱っちい人がまわりに潰されて終わるのは極当たり前なんです」

「弱っちいバンドは潰れても文句は言えないんです!」

「……あ、ごめんなさい」

「……まだ梓が何を言いたいのか今の私たちにはわからない」

「だけど……こんな私たちでいいなら……」

「いいよ。だってみんな友達だもん……許すとか許さないとかじゃないよ」

「……唯は、うまくなった。それだけで私は十分だ」

「……そだな」

「……先輩たちまだ勘違いしてますね」


727 : 以下、名... - 2011/04/28(木) 02:27:35.55 x/o67Gq70 53/58


「?」

「……え?」

「いますぐ演奏してください」

「?」


「武道館めざしてるんでしょ? 上手くてなんぼですよ。人の心を動かす演奏をしてなんぼですよ」

「さぁ、実力がものをいう世界です。弾いてみてください」

「次は私と唯先輩があなたたち三人が新生けいおん部に足るメンバーかどうか審査します」

「だって、私たちのほうがうまいですもん」

「あ、あずにゃん……そこまでは……」

「……別に唯先輩の復讐をしてるわけではないですよ」

「道理には道理を……ただそれだけです……生意気っていわれてもかまうもんか」


「……そうだな」

「……あー、頭わるいから言い返せないし、やるしかないかー」

「……わかったわ」


740 : 以下、名... - 2011/04/28(木) 02:32:10.24 x/o67Gq70 54/58



「み、みんな……ごめ……ごめんね」

「どっしりかまえててください」


「……よし、ふわふわ時間」

「わかってる」

「いきまーす」


~♪ ~♪



「ハァ……ハァ……どうだ!!」


「……」

「……」

「や、やっぱりみんなうまいっ!!」

「むぅ……おもったよりうまいですね……」



746 : 以下、名... - 2011/04/28(木) 02:37:22.46 x/o67Gq70 55/58


「……私たちだって、口だけじゃないんだ!!」

「そうよ。本気だもん。武道館」

「一度……あ、合わせてみましょう……!」

「……」

「たしかにまだまだギスギスしてますし、息ぴったりとは言えないかも知れません」

「けどこの個々のレベルの高さを考えると、もしかして……もしかしたら」

「……わかった」

「ひさしぶりね……こうしてみんなで演奏するの」

「……あぁ」

「……よし、これが新生けいおん部の初セッションだ」

「ワンツー!」カンカン


(……すごい……あんなにいがみ合って、潰しあったのに……)

(仲間より……ライバル……そういったほうがいいのかな)

(歪な関係だけど、どこかで根っこ、信念は繋がっている……そんな不思議な音……)


763 : 以下、名... - 2011/04/28(木) 02:45:55.13 x/o67Gq70 56/58


(なんだ……唯のやつ……さっきより音が跳ねてる、いや、踊っている)

(私たちに触発された……? なら、負けてられないな)


(唯……くそぉ……いままでヘロヘロだったくせに……なんだこの安定感……)

(梓並……いや、それ以上だな……)

(私は部長なんだぞ……リズム隊なんだぞ……負けらんねー!!)


(すごい……私の曲がこんな音になるなんて)

(全てはそう……リードギターの唯ちゃん……)

(侮っていたわ……もしかしたら唯ちゃんは……)


(すごい……緊張の中にいるはずなのに……なんでリラックスしてるんだろう)

(なんだか……なつかしいな、結成当初を思い出すよ)

(そうだ……これが新生けいおん部……うん、再スタートだよみんな!)

(私はもう逃げない……逃げやしない……)

(あずにゃんが開いてくれた世界は、とっても冷たくて厳しいけど、その冷たさは火照った体には心地いいんだから!)


768 : 以下、名... - 2011/04/28(木) 02:49:55.02 x/o67Gq70 57/58



ジャカジャン!


「終わった……」

「……うん」

「なんか……疲れた」

「でも……もう一度やりたいような」

「これが私たち……けいおん部です」

「うん……うん! すごいよ私たち!」

「はい!」

「確かに……いまの私たち……いけてるかも」

「なんだろうな、波長なんてちっとも合ってないかと思ったのに……」

「それがライバルってやつじゃないですか?」

「……ライバルねぇ」

「これからは……お互いに切磋琢磨ってことか」

「澪ちゃん……」


772 : 以下、名... - 2011/04/28(木) 02:56:01.66 x/o67Gq70 58/58


「と、とりあえずもう一度」

「その前に!」

「あ、和!」

「和ちゃん……」

「ちょっと書類をもってきたんだけど」

「ありがとう」

「なぁ和! 私たちの演奏どうだった!?」

「……演奏? んーそうね」

「……」

「あんまりうまくないわね。正直耳障りだわ。窓もしっかりしめなさい、他の部活の妨害になるわ」

「唯絡みのゴタゴタも憂から聞いたけど、下手くそ同士で潰しあうのも情けないからやめなさい」

「あとその書類。けいおん部の廃部に関しての書類だからしっかり目通しといてね」


「……は?」


━END━


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