女「ガルルルル……!」
男「え?」
女「ガルルルルル……グルルルルルル……!」
男「これはまさか――」
女「ガァァァァァッ!!!」
男「牙を剥くってことか!?」
女「ガアアアアアッ!!!」バッ
ザシュッ!
元スレ
女「剥いてあげよっか?」男「うひょ~! お願いします!」
http://hebi.5ch.net/test/read.cgi/news4vip/1587027907/
男「ぐっ……!」ブシュッ…
女「ガァァァァ……!」
女「ガアァァッ! ガウアァァァッ!」ドドドドドッ
男「速いッ!」
女「ガアッ!」シュバッ
ズバッ!
男「ぐああっ……!」
男「こうなったら……この鞭で……」シュルル…
男「止まれ!!!」ビシッ!
女「!」ピタッ
男「止まった……」ホッ
女「はぁ、はぁ……まさか、ああなった私を抑えられる人がいるなんて……」
男「実は俺、調教師なんだ。だから猛獣には慣れてる」
女「そういうことだったのね」
男「それにしても、なんでいきなり牙を剥いたんだ? ビックリしたよ」
女「私は……生まれも育ちもサバンナなの」
女「赤ん坊の頃に親に捨てられて、ライオンに育てられて……」
女「だから未だに、ああやって“野性”が表に出てきてしまうの!」
男「そうだったのか……」
女「このままじゃ私、いつか本当に人を食い殺してしまう!」
女「ねえ、お願い! あなた調教師なら、私を調教して、“野性”を封印して欲しいの!」
男「……」
男「いいだろう、やってみよう!」
女「ありがとう!」
男「肉をここに置くよ」
ドサッ…
女「!」ピクッ
女「グルルルルル……」
男「抑えて!」
女「ぐっ!」
女「ググググ……」
男「抑えろ!」ビシッ!
女「ううっ……!」
男「よく抑えたね。次は肉を食べてみよう」
女「ガルルルッ!」
男「ちゃんとナイフとフォークを使う!」ビシッ!
女「ガッ! ぐ、ぐぐぐ……」
女「こ、こうね……」
男「そうそう。一口ずつ丁寧に食べるんだ。むさぼりついちゃいけない」
女「うん……」モグモグ
男「雄ライオンの写真だ」サッ
女「!」ピクッ
女「グルルルゥ……」
男「発情するな!」ビシッ!
女「うぐっ……私としたことが……」
男「もう一回!」サッ
女「ふん……こんなライオンなんかに……」プルプル
男「猫じゃらしを振るぞ」
女「うん」
男「……」フルフル
女「ガルッ!」
男「耐えろ! 耐えるんだ! 野性を抑え込め!」フルフルフル
女「うぐっ……これはキツイわ……! 遊びたくなっちゃう!」
こうして訓練は続き――
スタスタ…
男「だいぶ野性を抑えられるようになったね」
女「これもあなたのおかげ……ありがとう」
男「今日はなに食べる?」
女「野菜炒め!」
男「野菜もだいぶ食べられるようになってきたね」
女「うん!」
DQN「へへへ……」
男「ん」
DQN「俺さ、ちょっと金がないんだ。金貸してくんねえ?」
男(面倒なことになった……)
女「ガル……」ギロッ
男「よせ!」
DQN「よせだと? やめるわけねえだろ!」
女「ガルルルル……!」
男「抑えろ! 抑えるんだ! ここはサバンナじゃない! 弱肉強食の世界じゃないんだ!」
女「ぐっ……!」
女「はぁ、はぁ、はぁ……」
男「よし、よくやった!」
DQN「……?」
男「よく我慢したな! 偉いぞ!」
女「うん……なんとかね」
DQN「おい、よく分からねえが、俺を無視してんじゃねえぞ!」
男「ああ、君はもういい」ヒュッ
ビシッ! バシィッ!
DQN「いだぁいっ!」
?「ククク……」コソッ
スタスタ…
女「ふんふ~ん」
男(このままいけば、野性を封印できる日も近いだろう……)
男「……ん?」
ハンター「ククク……」
男「なんだお前は!?」
ハンター「お前に用は無い。用があるのはそっちの娘だ」
女「私?」
ハンター「俺は珍獣コレクターでね……この世のあらゆる獣をコレクションしている」
ハンター「君のような野性を併せ持った人間を見るのは初めてだ」
ハンター「狩って、剥製にさせてもらう」ジャキッ
男「な……!?」
女「銃……!?」
ハンター「動くなよ……一発で仕留めてやる」
女(こ、殺される……!)
男「やめろぉぉぉぉぉ!!!」ダッ
ハンター「!? こ、こいつ……!」
男「この子は人間だぞ!」ガシッ
ハンター「はなせっ!」
ズドンッ!
男「うぐっ!」ドサッ
女「ああっ……!」
ハンター「ちっ、つい撃っちまった。まぁいい、いくらでも隠蔽できる」
ハンター「さて、今度こそ君を……」
女「よくも……よくも……!」
女「ガルルルルル……!」
ハンター「おおっ! まさに本物の猛獣のようだ! 狩りがいがあるッ!」
女「ガァァァァァァァッ!!!」
男「や、やめろ……」
女「!」ピクッ
男「君は……獣じゃない……。あれだけ苦労しただろ……?」
女「……」
女「……うん!」
ハンター「なにをゴチャゴチャいってる!? まぁいい、もらったァ!」ズドンッ!
フッ
ハンター「かわした!?」
女「私……あなたを倒すわ!」
ハンター「……ほざけぇ! 俺は今までに幾多の猛獣をハントしてきたんだ! 獣には慣れてる!」
ズドンッ! ズドンッ! ズドンッ!
ハンター「あ、当たらない!」
ハンター(動きが読めん! これは……獣じゃない!)
男(あの速さ……! あの動き……!)
男(彼女は……理性を保ちつつ、野性を発揮している!)
男(まさに……理性と野性のハイブリッド!)
ハンター「く、くそっ! ――どこだっ!?」
女「こっちよ!」
ハンター「わっ!?」
女「はぁっ!」
バキィッ!
ハンター「ぐはぁっ!」ドザァッ
ハンター「馬鹿な……これまでどんな猛獣もハントしてきた私が……」ガクッ
女「しっかりして!」
男「大丈夫……急所は外れ、てる……」
女「すぐ病院に連れていくからね!」
ドヒュンッ!
男(速い……)
男(彼女は……野性をコントロールできるように、なった、みたい、だ……)
――――
――
男「お医者さんによれば、来週には退院できるそうだよ」
女「よかった……」
男「しかし……あの土壇場でよく、野性をコントロールする術を身につけたね」
女「うん……」
女「あの時私、怒りに我を忘れそうになってた」
女「もし、あのまま牙を剥いてたら、きっともう戻れなかったと思う」
女「だけど、あなたの言葉で人としての自分を取り戻すことができたの……」
男「そうだったのか……」
男「ってことは……もう調教は必要ないってことか」
女「うん……」
男「……」
女「……」
男「あ、あの……もしよかったら、これからも俺と一緒にいてくれないだろうか……」
男「俺なら……君をきっと幸せにできる!」
女「……!」
女「こちらこそ、一緒にいたい……できればずっと」
男「嬉しいよ……ありがとう」
女「じゃあ……さっそく彼女らしいことしたいな」
男「ん?」
女「リンゴ剥いてあげよっか?」
男「うひょ~! お願いします!」
―おわり―