ガタンゴトン… ガタンゴトン…
女上司「あーっ、行っちまった!」
新人「ああ……」
女上司「ガハハハ、終電が無くなっちまったなァ!!!」
新人「そうみたいですね……」
女上司「こうなったらしかたねえ! あたしのアジト来い! 歓迎するぜぇ!」
新人「いえ、大丈夫ですから……。適当にホテルとか泊まるんで……」
女上司「遠慮すんなァ! さあ来い!」ガシッ
新人「ひいいいい……!」
元スレ
女上司「ガハハハ、終電が無くなっちまったなァ!!!」新入社員「ひ、ひいい……」
http://hebi.5ch.net/test/read.cgi/news4vip/1586782815/
ザッザッザッ…
女上司「こっちだ」
新人「はい……」
新人(なんだ、この岩山みたいな場所は……)
女上司「あそこだ」
新人(あ、あれは……!?)
ジャーン!
女上司「ここがあたしのアジトだァ!」
新人「すごい……!」
新人(石や丸太で、巨大な要塞が築き上げられている……!)
女上司「敵が攻めてきても、ちょっとやそっとじゃ落ちんぜ」
新人「敵ってなんですか!?」
女上司「おーい!」
見張り「へい、親分! お帰りなせえ!」
新人(高台に見張りの人が……!)
女上司「今帰った! 開けてくれ!」
見張り「分かりやした!」
ギギギギギギギ…
新人(見張りの人がハンドルを動かすと、大きな扉が開いていく……!)
女上司「よっしゃ、入れや」
新人「お、お邪魔します……」
ギャハハハハ… ワハハハハ…
新人「笑い声が聞こえますね」
女上司「あいつら、酒盛りしてやがんな」
新人「あいつら?」
女上司「戻ったぞ」
バンダナ「あ、親分!」
眼帯「お帰りなせえ!」
新人「こ、こんばんは……」
スキンヘッド「おっ、なんすか、そいつ!?」
女上司「戦利品よ」ニヤッ
十字傷「うひょっ、親分も隅におけませんねえ!」
ヒャハハハハハハ…
新人(ひいいいいい……!)
女上司「んじゃ、あたしはこいつと奥の部屋行くからよ」
新人「ひっ!」
バンダナ「おっ、お楽しみタイムっすか!?」
眼帯「親分のテクはハンパないっすからねえ! そいつ耐えられますかねえ!?」
ヒューヒュー! ピーピー!
女上司「からかうんじゃねえ。さ、行くぜ」
新人「は、はひ……」
女上司「すまねえな、子分どもがやかましくて」
新人「いえ……」
女上司「このアジトに男がやってくるなんて久しぶりのことだからよ」
新人「!?」
新人「あの人たち……みんな女性ですか!?」
女上司「おいおい、当たり前だろうよ! そりゃさすがに失礼ってもんだ!」
女上司「男と同棲なんてハレンチなマネできっか! ガハハハハ!」
新人「課長たちはアマゾネスかなにかですか……」
女上司「とりあえず、酒でも飲むか」
女上司「……」グビグビ
女上司「ぷはーっ、うめえ!」
女上司「おめえも飲むか?」
新人「あ、いえ……僕はあまり飲めないんで……」
女上司「ほぉーう?」ギロッ
新人「ひっ!」
新人(来る……! “上司の酒が飲めないのか”……!)
女上司「んじゃ、ウーロン茶にしとくか」
新人「へ」
女上司「おーい、ウーロン茶持ってこい!」
スキンヘッド「へい!」シュババッ
女上司「おう、すまねえな」
女上司「さ、飲め飲め」トクトク…
新人「いただきます……」
新人(課長って……案外優しいのかも……)
女上司「ところで……」
新人「はい?」
女上司「会社はどうよ? ちったぁ慣れてきたか?」
新人「えぇと、そうですね……」
新人「仕事を覚えようと頑張ってはいるんですけど、失敗ばかりで、先輩に迷惑かけて……」
女上司「ガハハハハ! そっかそっか」
女上司「焦る気持ちは分かる。だが、焦るこたぁねえ」
新人「え……」
女上司「おめえは社会人になったばっかで、分からないことだらけで当然なんだ」
女上司「背伸びしたり、近道しようとしたりしても、ろくなことはねえ」
女上司「腰を据えて……じっくりやってけや」
新人「ですけど、バリバリやってる先輩を見てると、“本当にこんな風になれるのかな”って不安になりますね」
女上司「ガハハハ! なるほどな」
女上司「だけど、先輩(あいつ)も新米の時は失敗だらけでよ」
女上司「10月に納入しなきゃならねえ品を、12月納入にしてた時はさすがに焦った」
女上司「しかもギリギリになってから、あたしに泣きついてきて……」
新人「あの先輩が……」
女上司「他にも、取引先と些細なことで大喧嘩したりよ……」
女上司「そんなあいつでさえ、今や立派な主力だ。おめえもじっくり成長していけばいいさ」
新人「は、はいっ!」
女上司「社会人になったら、失敗は許されねえなんていう奴もいるが……あたしはそうじゃねえ」
女上司「いくらでも失敗しろ!」
女上司「お前のミスは、あたしがいくらでもケツ拭いてやらぁ! それが上司の役目ってもんだ!」
新人「課長にそういわれると、本当に安心できますね」
女上司「そうか?」
新人「だけど安心できすぎて、かえって成長できなくなっちゃうかも……」
女上司「そりゃいいや! ガッハッハッハッハ!」
新人「アハハ……」
女上司「お前は大人しそうだから、ちょっと心配だったが……」
女上司「この分なら大丈夫そうだな」
新人「はいっ!」
女上司「……っと、もうこんな時間か。そろそろ寝ないとな」
女上司「あたしは雑魚寝すっから、お前はあのベッド使ってくれ」
新人「いえ、そんな……!」
女上司「いいからいいから! 上司の指図は受けるもんだ!」
新人「じゃあ……ありがたく使わせてもらいます」
新人「……」モゾッ
女上司「おう」
新人「……?」
女上司「子守唄でも歌ってやろうか」
新人「……お願いします!」
女上司「よぉーし、あたしの美声で眠らせてやらぁ!」
女上司「ねんねーん、ころーりーよー、おこーろーりーよー」
新人「……」ウト…
新人「お、お母さん……」ウト…
女上司「大人ってのはなかなか人に甘えられねえ。今は思いっきり甘えて、ぐっすり寝な」
新人「は……い……」
新人(そうか……これが……課長の“テク”……か……)
スゥ… スゥ…
…………
……
女上司「ふああああ……」
新人「おはようございます!」
女上司「おう、おはよう! シャキッとしてんな!」
新人「はい、こんなにぐっすり眠れたの久しぶりですよ」
バンダナ「親分とお客人! メシが出来たんで召し上がってくだせえ!」
女上司「おう!」
新人「いただきます!」
ズラッ…
新人「わっ、どれもおいしそうだ!」
女上司「うちの子分どもの料理の腕は天下一品だからな」
女上司「さ、食え食え!」
新人「はいっ!」
ガツガツムシャムシャ…
新人「う~ん、うまい!」
女上司「ガハハ、いい食いっぷりだァ! 朝からがっつり食えるのはいいことだぜ!」
女上司「じゃ、行くぜ!」
新人「はいっ!」
バンダナ「行ってらっしゃい!」
眼帯「お気をつけて!」
スキンヘッド「留守はお任せくだせえ!」
十字傷「親分バンザァァァイ! お客人バンザァァァイ!」
ワァァァァ… ワァァァァ…
……
先輩「この書類、お前に任せてもいいか?」
新人「はい! やらせて下さい!」
先輩「おっ、少し顔つきが変わったな」
新人「ええ、課長から色々とご指導を頂きまして」
先輩(課長の……そういうことか)
先輩「よし……だったらしっかり頼むぞ。期待してるからな」
新人「はいっ!」
女上司「お前もだいぶ社会人っぽいツラになってきたじゃねえか」
新人「これも課長や先輩のおかげですよ」
女上司「ガハハ、あまりおだてるなって」
新人「僕、課長のような立派な山賊になってみせます!」
女上司「おいおい……山賊じゃなくてサラリーマンだろうが」
新人「あ、失礼しました!」
ガハハハハ… アハハハハ…
おわり