1 : 以下、名... - 2011/03/04(金) 02:39:55.01 PYrh92Tv0 1/28

ジリリリリリリリリリリリ!

「……朝」

目覚ましを止める。もう朝だ。眠っている頭を強制的に使って、私は立ち上がる。うーん、と伸びをすると、体中の疲れが取れた気になる。

カーテンを開ける。曇り空。雨は降らないでほしいな、と思いながら自室を出る。

お姉ちゃんを起こすにはまだ早すぎる。先に朝ご飯を作ろう。

キッチンへ向かう。二十分ほどでご飯が出来る。よし、そろそろ起こしに行こうかな。



元スレ
憂「私が初めてキスをした日の出来事」
http://raicho.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1299173995/

5 : 以下、名... - 2011/03/04(金) 02:42:04.35 PYrh92Tv0 2/28

「お姉ちゃん、朝だよー。起きて」

お姉ちゃんの部屋を開けながら、私は言う。案の定、お姉ちゃんは寝息を立てていた。

「ほら、起きてお姉ちゃん」

お姉ちゃんを揺さぶる。う、うーん、という声を漏らすお姉ちゃん。可愛い。

でもまだ、目を覚ます気配はない。

お姉ちゃんの寝顔を見続ける。天使のような、という比喩では不十分なほど、お姉ちゃんは可愛かった。

劣情が、湧く。

実の姉に、なんていう感情を抱いているのだろうか。

頭を振って、忘れようとする。お姉ちゃんに変な感情を持ってはいけないのだ――。


7 : 以下、名... - 2011/03/04(金) 02:44:09.37 PYrh92Tv0 3/28

でも、おはようのキスぐらいなら……。

おはようのキスは欧米とかでよく見かける光景だし、姉妹同士でやっても許されるんじゃないか?

今は寝ている。やってもバレることはない。それに、たかがキスじゃないか。一度くらいやったって、神様は見逃してくれるはずだ。

――チャンス。

私はそう確信する。

今やらないで、いつやるというのだ。

私はお姉ちゃんに近づく。顔を、お姉ちゃんの吐息が聞こえる距離に近づける。

もうすこしで、唇が重なる。

心臓が不規則なビートを奏でる。お姉ちゃんの顔が視界いっぱいに広がっている。お姉ちゃんがいっぱい。

そして重な――。


9 : 以下、名... - 2011/03/04(金) 02:46:09.36 PYrh92Tv0 4/28

それより早く、お姉ちゃんが目を開けた。

「あれ? 憂の顔が大きい……」

私はとっさに身を離す。

「あ、お、お姉ちゃん起きたの?」

「? うん。どうしたの? 憂、そんなに焦って」

タイミングが悪い。もう少し起きてほしかった。

おかげでドキドキがまだ止まらない。


11 : 以下、名... - 2011/03/04(金) 02:48:23.56 PYrh92Tv0 5/28

「べ、別に何でもないよ」

運命の神様を呪った。

「そ、それよりさ、もう朝ご飯出来たから食べよう?」

「あ、うん。そうしよっか」

キスは未遂で終わった。それで良かったのか、それとも悪かったのか。もう判断はつかない。

ただ一つ言えるのは、私は残念に感じた、ということだけだ。

悔しい。そして、私の中に一つの欲望が湧く。

お姉ちゃんとキスがしたい。残念なままでいたくないのだ。


13 : 以下、名... - 2011/03/04(金) 02:50:45.83 PYrh92Tv0 6/28

朝ご飯を食べ終え、皿を洗ったり、歯を磨いたり、洗顔したりしていたら、学校に行く時間となった。

「お姉ちゃん、そろそろ行こう?」

「うん、そうだねー」

玄関から外に出る。湿っぽい空気が私たちを迎えた。

「……なんか、天気悪いね」

「そうだね。あ、傘持っていかなくて大丈夫?」

「多分、雨は降らないと思うよ」

「そっか」


15 : 以下、名... - 2011/03/04(金) 02:52:13.23 PYrh92Tv0 7/28

私たちは歩き始めた。二言三言会話して、双方黙って、数分するとまた会話が始まる。そんなこんなをしているうちに、学校に着く。

下駄箱の前で別れる。

じゃあ、また家でね。

うん、お姉ちゃん。

その会話を最後に、私たちは別々の教室に向かうのだ。

二年一組の教室には人気がなかった。早く来すぎちゃったのかもしれない。

自分の席に座って、窓の方に目をやる。

お姉ちゃんは雨が降らないと予想していたけど、私は降るような気がした。ここのところ晴れてばっかだったから、農家の人は雨を願っているだろう。


16 : 以下、名... - 2011/03/04(金) 02:54:18.84 PYrh92Tv0 8/28

そういえば、傘持ってきていたっけ?

と、あわてて鞄の中を確認する。ああ、良かった。あった。水玉模様の折り畳み傘。

「おはよー、憂」

そこに、純ちゃんが教室に入ってきた。

「あ、お早う、純ちゃん」

「あ、その傘可愛いね」

「そう? えへへ」

お姉ちゃんが選んで買ってきた傘なのだ。お姉ちゃんがほめられている。これ以上の幸せはない。早くキスをしたいものだ。あのピンクの唇を私色に染めたい。


17 : 以下、名... - 2011/03/04(金) 02:56:26.89 PYrh92Tv0 9/28

そうやって談笑していると、梓ちゃんが教室に来る。

「お早う、梓ちゃん」

「うん。おはよう、憂」

「ねぇ梓、傘持ってきた?」

「ううん。雨は降らないでしょ、多分」

「そうかなー……」

「もしも降ったら……先輩の傘に入れてもらうよ」

その声で、ふと思う。

お姉ちゃんは、傘を持ってきているのだろうか? 

多分、ないだろう。


18 : 以下、名... - 2011/03/04(金) 02:58:24.79 PYrh92Tv0 10/28

お姉ちゃんが雨にぬれて帰ってきたらどうしようか。興奮する。何せ濡れているのだ。興奮せざるを得ない。いや、そういうことじゃない。

風邪をひいてしまったら? そう考えると、朝学校に行く時、きつく言ってでも傘を入れておくべきだったかもしれない。

いや、待てよ。これは相合傘のチャンス。そうだ、いい方向に考えよう。

相合傘をして、良いムードになったところで、「お姉ちゃん、キス、しよ?」とせびるのだ。

甘い妹ボイスでお姉ちゃんもメロメロになるはずだ。今妹系が熱いのだとTBSのテレビでやっていたような気がする。

良いムードって具体的にどんなのだろう。紫色のスポットライトでも浴びたら、良いムードなのだろうか。近所にそんなスポットライトあったっけ?


19 : 以下、名... - 2011/03/04(金) 03:00:07.35 PYrh92Tv0 11/28

「憂?」

「……、あ、どうしたの? 梓ちゃん」

「いや、なんかボーってしていたから」

「……ちょっと考え事。お姉ちゃんも傘なかったなーって」

「あぁ、それなら澪先輩とか和先輩とかが貸してくれると思うよ」

「そうかなあ……」

ため息が出る。

貸してくれるかどうかを疑っているんじゃない。

貸さなくてもいいのに、と願っているのだ。


21 : 以下、名... - 2011/03/04(金) 03:02:54.26 PYrh92Tv0 12/28

そうしたら、私が家から直接傘を持っていって、お姉ちゃんと相合傘出来るかもしれないから。

窓の外に目を向ける。

雨がざんざん降ってほしい。お姉ちゃんに傘を貸す人は一人もいなくていい。私が届けてあげたい。

そんなことを考えるなんて、私は駄目だなぁ……。

お姉ちゃんには友達がたくさんいるのだ。誰かが傘を貸してくれるはずだ。貸さないでほしいけど。

あるいは、他の人がお姉ちゃんと相合傘をするかもしれない。

そしてお姉ちゃんと、その相合傘の相手は紫色のスポットライトが当たる場所でキスするのだ。想像するだけで腸が煮えくりかえる。

ため息が、教室の中に消えていく。

相合傘はできそうになかった。


22 : 以下、名... - 2011/03/04(金) 03:04:09.56 PYrh92Tv0 13/28

五時間目の授業の時に雨は降った。

最初はちらつく程度だったのだが、十分ほどすると雷が遠くから聞こえてくるようになり、二十分もたつと滝のように降り荒んでいた。

刺すような、という形容がふさわしい雨。

窓を叩く雨粒のノイズが、大きくなっていく。教室の壇上で喋っている先生の声が、雨音に交じって聞き取りづらい。

雨降ったねー、うっそー、ウチ傘ないんだけどー、教室の至るところからそんな声が聞こえてきた。

「雨か……」

どうせ相合傘はできないのだ。私には関係ない。

私は板書に集中した。


23 : 以下、名... - 2011/03/04(金) 03:06:09.39 PYrh92Tv0 14/28

放課後になっても雨の勢いは衰えない。

「じゃあね、憂」

「ばいばい、梓」

「また明日ね」

梓ちゃんが教室を出ていく。

「……純ちゃんは、ジャズ研に行かないの?」

「うーん、今日はサボっちゃおうかな」

「えっ?」

「雨の日にさ、一人で帰るのもつまらないし、それに私傘ないからさ、一緒に帰らない? 憂」

断る理由はない。

「いいね、そうしよっか」

まあ、たまにはいいかもしれない。一人で帰宅するよりは、二人で帰宅する方が楽しいだろうし。

相合傘の相手はお姉ちゃんと決まっているが、今回は特例だ。


24 : 以下、名... - 2011/03/04(金) 03:08:06.45 PYrh92Tv0 15/28

外に出ると、雨の音がさらに強く聞こえた。

「……雨って嫌い。早く止んでほしいな」

「私は嫌いではないけど、好きでもないなぁ」

傘を広げる。

「はい、純ちゃん」

「サンキュー、憂」

私と純ちゃんは二人、歩幅をそろえて帰路に着く。

むぅ。慎重にそんなに差はないはずだけど、純ちゃんの方が、歩幅が広い。私は早足状態になってしまう。


26 : 以下、名... - 2011/03/04(金) 03:10:26.05 PYrh92Tv0 16/28

そうだ、訊くのにちょうどいい相手がいる。

「今朝さ、お姉ちゃん起こしに行ったんだよね」

そう思い、私は話を始めた。

「へえ、それで?」

「お姉ちゃん起きて、って言っても起きないからさ、キスするチャンスじゃないかなって思ったんだよ」

ざあざあざあざあ。BGMにしては大きすぎる音。

「でもさ、その直前にお姉ちゃん起きちゃったんだよね」

「ふぅん。残念?」

「うん、残念。そこで純ちゃん質問なんだけどさ、どうしたらお姉ちゃんにキス出来ると思う?」

場違いすぎる質問だった。承知している。でも、どうしてもキスをしたい。

紫色のスポットライトはいらない。ムードはなくても構わない。だからキスをさせてほしい。


27 : 以下、名... - 2011/03/04(金) 03:12:20.04 PYrh92Tv0 17/28

「あのさ、憂は何で唯先輩にキスをしようと思ったの?」

「お姉ちゃんが可愛すぎて。あと、お早うのキスならありかな、と」

「……憂らしい」

水たまりを踏んでしまう。びちゃぁん、と水がはねる。私はキスがしたい。お姉ちゃんと熱いキスを交わしたい。

「明日の朝、もう一回チャレンジしてみたら?」

「…………やっぱ、それくらいしか思い浮かばない?」

「それくらいとはなんだー」

「他に、なんかない?」

「あ、じゃあさ――――」

結局、私たちが互いの家に着くまで、雨はやまなかった。私はキスがしたい。


28 : 以下、名... - 2011/03/04(金) 03:14:05.33 PYrh92Tv0 18/28

夕食の準備をしていると、携帯にメールが来た。キスへの情念はまだ膨れ上がっている。

誰からだろう――そう思い、携帯を開く。舌が疼いてしょうがない。

『from唯 件名:迎えに来て  本文:うい~、雨すごいよー』

私はレインコートと傘を持って、家を出た。欲情に駆られた、といっても間違いではないかもしれない。

レインコートは二着。

傘はもちろん、一本だけ。


29 : 以下、名... - 2011/03/04(金) 03:16:04.32 PYrh92Tv0 19/28

桜高の下駄箱のところに、お姉ちゃんはいた。

「えへへ、悪いね~、憂」

「……律さんとか梓ちゃんとかに借りなかったの?」

「傘が二本しかなかったんだよ、澪ちゃんとムギちゃん。澪ちゃんはりっちゃんと帰って、ムギちゃんとあずにゃんが帰ったんだ」

多分、自分から梓ちゃんに譲ったんだろう。私のお姉ちゃんは、優しいのだ。

「和ちゃんは?」

「和ちゃんは今日、生徒会のお仕事ないんだって」

「……そう」

駄目だ。お姉ちゃんの話を聞いているのに、お姉ちゃんの顔を見ているだけで、頭が沸騰する。


31 : 以下、名... - 2011/03/04(金) 03:18:07.19 PYrh92Tv0 20/28

口ではそっけない態度を取りながらも、内心、私は歓喜していた。

なんという幸運の巡り合わせ! 神様が私に相合傘をしろと言っているに違いない!

「じゃあ、帰ろう? 相合傘してさ」

「うん。ありがとうね、憂」

「改めて言わなくてもいいよ、お姉ちゃん」

言いながら、私はレインコートを渡した。おお気がきくねえ、とお姉ちゃんは喜び、私ははにかんだ。


32 : 以下、名... - 2011/03/04(金) 03:20:19.69 PYrh92Tv0 21/28

夜の不気味な校舎を出て、外を歩く。

これで満月とかが出ていたら、良いムードになったかもしれない。お姉ちゃんとキスできる環境が整っていたかもしれない。

だけど、空を見上げても、雨粒が目に入るだけだ。

まあ、相合傘を出来る幸せだけを感じていよう。

流石私たちは姉妹だ。意識しなくとも、歩調は合う。

「……ねえ、お姉ちゃん」

「なに? 憂」

「雨って好き?」

「うーん、どっちかっていうと嫌いだけど……今は好きかな」

「なんで?」

「だって、こうやって憂と一緒に帰れるもん」

「……そうだね。私も雨、今は好き」


33 : 以下、名... - 2011/03/04(金) 03:22:20.37 PYrh92Tv0 22/28

「こうやって二人一緒に帰るの、あんましなかったよね」

「私帰宅部だもの」

「学年も違うし」

そう言われれば、そうだ。私たちは、一緒に学校を行ったことがあっても、一緒に帰ったことはない。

「新鮮だね」

「そうだね」

雨は降り続ける。こんなしんみりとしているときに「キスしよう?」と誘うほど、私はKYではない。KYなんて死語、久々に使った。

しばらく談笑していると、直に平沢家が近づいてきた。

歩幅を縮める。せっかく、お姉ちゃんと一緒に帰れるんだ。もう少し堪能していたい。

しかし、そんな思いもむなしく、平沢家……私たちの家に到着してしまった。


34 : 以下、名... - 2011/03/04(金) 03:24:09.79 PYrh92Tv0 23/28

私とお姉ちゃんは玄関の中に入る。さて、ここからが本番だ。

純ちゃんが言っていた台詞を思い出す。

『あ、じゃあさ、おはようのキスがありならお帰りのキスをしてみたら?』

お帰のキス。欧米ではきっとある文化。ここは日本だとか、そういう野暮な突っ込みは要らない。互いの文化を尊重することが重要なのだと思う。

だから、お帰りのキスの文化を私は尊重する。

捕鯨問題にしても、文化を尊重しあうことが大切なのだと思う。まあ、そんなことどうでもよくて、私はキスさえ出来ればいい。

そう自分に言い聞かせながら、私は口を開いた。

「あのさ、お姉ちゃん、キスしない? お帰りのキス」


35 : 以下、名... - 2011/03/04(金) 03:26:09.26 PYrh92Tv0 24/28

朝感じた気恥ずかしさは、もうない。

「え、でもまず着替えてからにしない?」

たしかに、二人ともレインコートを着たままだ。

だが、それがどうしたというのだ。二人ともレインコートを着ているのだから大丈夫なはずだ。キスがしたい

私はキスがしたい。お姉ちゃんとキスがしたい。本当はもっと高度なことをしたいけれど、私たちには早すぎる。情熱的なキスがしたい。

「そんなの気にしないよ。……それともお姉ちゃん、嫌?」

「そ、そんなわけないよ! むしろしてもらいたい……」ゴニョゴニョ

後の方の台詞は、どもった声になっていて、よく聞こえなかった。熱いパトスをぶつけたい。

なにはどうであれ、私は狼になってもいいということだ。


36 : 以下、名... - 2011/03/04(金) 03:29:18.04 PYrh92Tv0 25/28

私はお姉ちゃんの肩を掴んだ。レインコートで覆われていて、お姉ちゃんの肌の柔らかさを知ることはできない。

お姉ちゃんの顔が間近に迫る。

鼻の頭がぶつからないよう、私は首を少し斜めにする。お姉ちゃんの吐息がかかる。淫靡なそのにおいは、私を高揚させた。

唇と唇が重なる一瞬。この世界からすべての音が消えたような気がした。

お姉ちゃんの唇は湿っていて、温かかった。私は両手をお姉ちゃんの背に回し、強く抱きしめる。抑えが効かない。私はもう駄目だ、舌も入れよう。

お姉ちゃんの口内へと、舌を潜り込ませる。お姉ちゃんの舌と私の舌が絡む。歯がぶつからないか心配だったけど、杞憂に過ぎなかった。


38 : 以下、名... - 2011/03/04(金) 03:31:29.72 PYrh92Tv0 26/28

ぴちゃ、ぬちゃ、という音が、雨よりも大きく響く。

腰が砕けそうになる。お姉ちゃんの唾液は無味だった。

ファーストキスはレモンの味だったかイチゴの味だったか。お姉ちゃんとのキスは、何の味もしなかった。

舌を早く動かす。お姉ちゃんが狼狽したような声を漏らす。その声に、私は更に興奮する。

頭がとろける。これ以上していたら変になる――。

私はお姉ちゃんから身を放した。それ以上は、こんな玄関でやりたくない。それに心の準備がまだ、だ。私はいつでも準備万端だけど、お姉ちゃんはまだだろう。

唇と唇に、わずかな時間、唾液の糸が繋がっていた。それはすぐに、切れてしまったけれど。


39 : 以下、名... - 2011/03/04(金) 03:32:22.75 PYrh92Tv0 27/28

「……えへへ」

私はそれでも興奮を抑えきれず、笑みを浮かべてしまう。

お姉ちゃんの顔を見る。ぽーっと、頬を赤くしながら、心ここに非ずな風で立っている。

気まずい沈黙が流れる。

「あ、あの、晩御飯作りに行くね!」

レインコートを脱いで、私は階上に向かった。

お姉ちゃんの味……。

私は唾を飲み込んだ。味はない。それともこれが、お姉ちゃんの味なのだろうか。


40 : 以下、名... - 2011/03/04(金) 03:33:42.22 PYrh92Tv0 28/28

晩御飯を食べ終え、お風呂からあがる。お姉ちゃんは居間でテレビを見ていた。

「お姉ちゃん、そろそろ寝よう? もう十一時だよ」

「あ、本当だ」

そう言って、お姉ちゃんは私の横を通り過ぎようと――。

「あ、あのさ、お姉ちゃん」

それを止めるように、私は言っていた。

お姉ちゃんが私の手前で立ち止まる。何? という顔つきだ。

私はとにかくキスがしたい。とろけるようなキスを、ずっとしていたい。

そして、いつかはそれ以上の関係に――。

私は笑んで、答えた。

「おやすみのキス、しない?」

                           おしまい


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