1 : プロローグ - 2010/02/26(金) 01:57:46.63 M8fc019H0 1/257

学園都市の一角を歩く佐天涙子。彼女は様々な超能力者が在住するこの街の中でも、まったくの無能力者―レベル0だった。

佐天「はぁ…。せっかく皆で遊びに行こうと思ってたのに、初春と白井さんはジャッジメントのお仕事」

佐天「御坂さんもそれについてって、私はひとりぼっちかぁ…」

元スレ
佐天「独裁スイッチ?」
http://yutori7.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1267117066/

3 : 以下、名... - 2010/02/26(金) 02:00:02.40 M8fc019H0 2/257

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

佐天「おっす、初春~!遊びに来たぞ~」

初春「あ、佐天さん」

佐天「あ、御坂さんも白井さんもお揃いで!ねぇ、これから皆でおいしいもの…」

初春「ごめんなさい佐天さん!緊急の連絡が入りまして、今から現場へ行くところなんです!」

佐天「え?」

白井「せっかく来てくれたところを、実に申し訳ありませんわ」

佐天「そ、そうなんだ…」

御坂「何か私も行っておいたほうが良さそうな案件だし。ごめんね佐天さん」

佐天「い、いやあ、ジャッジメントの仕事ですからね。仕方がないでしょう」

白井「では早速参りましょう」

御坂「ごめんね佐天さん、終わったらこっちからメールするからさ」

佐天「あ、ちょっと待って初春!」

初春「え、何ですか、今この時に?」

佐天「私も現場についてっていいかな?私ももしかしたら役に立つかも…」

初春「駄目です!! ただでさえ現場は危険な状態なのに! お願いですからここで大人しく待っててください!」

佐天「…!!」

初春「佐天さんはジャッジメントでも、能力者でもないでしょう? 怪我させたくないんです。分かってください!」

佐天「あ、ごめん…。じゃあ気を付けて…」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

4 : 以下、名... - 2010/02/26(金) 02:05:12.33 M8fc019H0 3/257

佐天「あーあ…どうして私って無能力者なんだろうなあ…」

佐天「私も能力者だったら、スーパーマンみたいに、こうやってああやって、犯罪や事件から」

佐天「街の人たちを守るんだぁ!」

見よう見まねの型で空中を殴ったり蹴ったりする佐天。

佐天「てい!とう!やあ! 控えろ極悪人ども! 学園都市No.1…はちょっと調子乗りすぎかな?」

佐天「学園都市No.3の超能力者、レベル5、ジャッジメント佐天涙子のおでましだ!」

子供「ママー、あのお姉ちゃん、あんなところで何やってるの?」

母親「見ちゃいけません!早く帰りましょう!」

佐天「…………」

固まったまま動きを止める佐天。

佐天「はーやめたやめた。妄想ばっかりしてても変われるわけじゃなし。家帰ってアニメのDVDでも見ようっと」

ブーブーブー

佐天「ん?メールだ。あ、初春からだ!」

佐天「なになに『無事、事件が解決しました。今から皆で夕食でもとりませんか?19時にいつものファミリーレストランで』」

佐天「ん?追伸?『特別ゲストも参加しますので、楽しみにしてて下さい(´▽`*)ノ』」

佐天「特別ゲスト…え?誰だろ?もしかして芸能人とか?うわwすごい楽しみー」

一時の悲しみから解放される佐天涙子。

しかし、この時彼女はまだ知る由も無かった。

特別ゲストとの出会いが、彼女の運命を大きく変えてしまうことに。

5 : 以下、名... - 2010/02/26(金) 02:10:08.18 M8fc019H0 4/257

ファミリーレストラン―19時

佐天「初春たちまだかな~? にしてもどんな芸能人が来るんだろ?ワクワクw」

初春「佐天さーん」

佐天「あ、初春ぅー。よくも一人待たせてくれたなー」

ガバアッ

初春「きゃー、止めてください佐天さん///!!こんな人前で!」

佐天「ふっふっふ、ペナルティだ」

白井「まあまあお二人とも。じゃれ合うのもその辺で」

佐天「あ、白井さん!」

御坂「いつ見ても仲いいわよね佐天さんと初春さん。うらやましいわ」

白井「何を仰いますのお姉さま。黒子とお姉さまの関係も二人に負けず劣らずの純粋な間柄ですわ~」

御坂「あんたの場合、純水に混合物が混ざってるのよ」

6 : 以下、名... - 2010/02/26(金) 02:16:34.75 M8fc019H0 5/257

白井「まあまあまあお姉さまったら、ツンデレですわね」

御坂「誰がツンデレか!」ビリッ

白井「あうっ」

佐天「ははは…って、あれ、その人?」

初春「あ、紹介遅れました。この人が、特別参加ゲストの上条さんです!じゃじゃーん!!」

上条「えーあー、ただいま紹介に預かりました。世界一不幸な高校生、上条当麻です。よろしく」

ボサっとした髪に、頼り甲斐がなく幸薄そうな男子学生。

佐天涙子の上条当麻の第一印象はそれだった。

佐天「え?初春、芸能人??」

初春「芸能人?」

上条「あーなんか余計な期待させちゃったようで。今言ったとおり僕は普通の男子学生です」

佐天涙子の落胆は想像以上だった―。

7 : 以下、名... - 2010/02/26(金) 02:22:36.40 M8fc019H0 6/257

レストランの座席で一緒に食事をとる女子中学生4人と男子高校生1人。

異様と言えば異様な光景とも言えた。

上条「いやー、何だか場違いな感じもするけど、久しぶりに豪華な料理にありつけるのは嬉しいよモグモグ」

御坂「あんた普段どんな食事してんのよ」

上条「あれ、もしかして心配して下さってるのですか、ビリビリさん?」

御坂「んな訳ないでしょ!誰があんたなんか!」

白井「(とか言いつつも上条さんが席に座った瞬間、光の速さで隣を確保したのはお姉さまでしょうに)」

上条「にしても、さっきから変な視線を感じるのは気のせいでしょうか」

佐天「え?」

上条「あのー何か言いたいことでも?もしかして男が混じってたら話しづらいかな?」

白井「確かに上条さんとは言え、殿方がお一人加わるだけで雰囲気が変わりますわね。特に初春と佐天さんは」

8 : 以下、名... - 2010/02/26(金) 02:28:25.05 M8fc019H0 7/257

初春「だってー、御坂さんや白井さんみたく知り合いじゃないんですもん」

御坂「ま、まあ腐れ縁って奴? あんたもそう思うでしょ?」

上条「で、そちらのお嬢さんのお名前はまだ聞いてなかったけど何て言うの?」

御坂「(無視!?)」

佐天「え、あ、はい(お嬢さんて…)。佐天涙子です…初春と同じ学校の…」

上条「へーそうなんだムシャムシャ」

初春「実は上条さん、さっき、事件現場で運悪く巻き込まれてたんですよ」

初春「で、御坂さんと白井さんの知り合いだったようですし、せっかくならと食事に誘ったんです」

佐天「ふ、ふーん。そうなんだ。初春が『特別参加ゲスト』って言うからもっとすごい人かと…」

9 : 以下、名... - 2010/02/26(金) 02:31:15.70 M8fc019H0 8/257

上条「いやいや全然すごくないから。でも驚いたなー」

佐天「え?」

上条「今時の女子中学生って、人前でも平気で友達のスカート捲ったり捲られたりするんだ」

上条「普通の男子高校生・上条さんもこれにはさすがに目のやり所に困りましたよ」

初春「わー!あ、あ、あれは違うんです!/// いつも不可抗力で/// って言うか見ました?」カァァ

上条「………」ニヤニヤ

御坂「変態」

白井「さすがの黒子も引きますわ」

上条「いや、違うって。その子が言ったように不可抗力で!…」

わいわい やいのやいの

10 : 以下、名... - 2010/02/26(金) 02:37:13.64 M8fc019H0 9/257

一時間後

初春「でも、今日の御坂さんと白井さんはかっこよかったですね」

白井「いえいえそれほどでも」

初春「さすがレベル4とレベル5です!レベル1の私なんて見てるだけで精一杯で…」

御坂「学園都市No.3の『超電磁砲』としては、ああいう奴ら放っておけないのよね!」

上条「……………ムシャムシャモグモグ」

佐天「……………(さっきから、ずっと今日の事件の話ばかり。いいなーみんなして)」

佐天「(私も能力者かジャッジメントなら話に混じれるのに…。なんかつまんないや)」

佐天「(特別ゲストも、芸能人が来るのかと思ったら、ただの普通の高校生だったし…)」チラッ

上条「ん?」

佐天「(やばっ!)」

上条「???」

上条「(俺の飯、欲しいのかな?)ムシャモグ」

11 : 以下、名... - 2010/02/26(金) 02:41:14.74 M8fc019H0 10/257

白井「ではそろそろお開きにしましょうか。誰かさんはまだ食事中のようですが」

御坂「あんた、いつまで食べてるのよ! 偏った生活してると、健康に悪いのよ!」

上条「んー?いいだろーたまには。今日ぐらい大目に見てくれよビリビリー」

初春「(何か本当の夫婦みたいですね…)」

上条「にしてもありがとな。みんなの奢りで、久しぶりにたらふく食えたぜ」

御坂「は?何言ってるのあんた?」

上条「ん?」

白井「私たちは自分の分しか食費は持っていませんわよ」

上条「えっ」

御坂「誰も一言も奢るなんて言ってないでしょーが」

上条「えっ」

白井「通りで不思議でしたわ。普段、金も持っていない人があれだけ食べれるなんて」

上条「不幸だあぁぁぁぁぁあああ!!!」

12 : 以下、名... - 2010/02/26(金) 02:47:39.90 M8fc019H0 11/257

上条「今月の食費が…食費が…」

初春「でも私も久しぶりにたくさん食べちゃいました。やっぱり仕事帰りの外食はおいしいですね」

御坂「また何かあったら言いなさいよ。学園都市No.3の『超電磁砲』が駆けつけてあげるんだから!」

白井「お姉さまも懲りないですわね。ジャッジメントのお仕事なら私ひとりでも十分ですのに」

御坂「何だと黒子ー」

佐天「あ、あの!」

御坂白井初春「ん?」

佐天「ごめんなさい皆。ちょっと私これから寄る所あるから先帰るね!」

白井「あら、それは残念ですの」

御坂「気を付けて帰ってね」

佐天「はい。今日は誘ってくれてありがとうございました」

佐天「初春、また明日ね」

初春「もう帰っちゃうんですかー」

佐天「うん、ごめんね。じゃ!」トタタタ

上条「………」

13 : 以下、名... - 2010/02/26(金) 02:54:02.69 M8fc019H0 12/257

とある公園のベンチにて―。

佐天「早く帰りたかったから嘘ついちゃった」

佐天「だって、何だか私だけ仲間はずれみたいに思ったんだもん」

佐天「レベルアッパーで懲りたけど、やっぱり私も能力者になりたいなあ」

佐天「…あつっ」

振り返る佐天。

そこには缶コーヒーを持った上条が立っていた。

上条「よう」

佐天「か、上条さん!どうしてここに!?」

上条「まあまあそんなことはいいからさ。隣、座っていいか?」

佐天「べ、別に構いませんけど…(何この人、ストーカーなの?)」

上条「あ、このコーヒーやるよ」

佐天「け、結構です」

上条「寒いだろ?暖かくなるからさ、ほら」

佐天「………どうも」

佐天「…………」

上条「なあ、何で嘘ついてまであいつらと別れたんだ?」

15 : 以下、名... - 2010/02/26(金) 03:01:28.78 M8fc019H0 13/257

佐天「!?」

上条「一緒に帰ればいいのに。こんな所で一人で道草食ってさ」

佐天「べ、別に、そんなの上条さんに関係ないじゃないですか」

上条「君さ、レベル0だろ?」

佐天「!!」

上条「あいつらと食事してる時、ジャッジメントのこととか能力者の話になると、それまで元気に喋ってた君が急に黙りこくるんだ。大体分かるよ」

佐天「だったら何だって言うんですか!?仮にそうだとして、貴方に何が分かるんですか?あなただって、能力者でしょ!」

上条「いや、無能力者のレベル0だよ」

佐天「え?」

上条「まあ色々例外もあるけど、一応ここ学園都市の基準では、レベル0の無能力者なんだ」

佐天「そう…なんですか?」

上条「ああ、だからすぐ分かったぜ。君がビリビリや白井たちにコンプレックス持ってるってことをな」

佐天「…………」

上条「俺で良かったらさ、思いのたけぶちまけてみなよ。同じレベル0の無能力者として悩み聞くぜ」ニコリ

佐天「上条さん…」

17 : 以下、名... - 2010/02/26(金) 03:06:28.85 M8fc019H0 14/257

それから数十分。佐天涙子は心のうちを打ち明け続けた。

今までどれだけ辛い思いをしてきたのか。どれだけ悩んだのか。

どれだけ能力者たちにコンプレックスを持ってたのかを。

佐天「だがら…私は…うっ…ぐすっ…悔しくて…レベルアッパーだって本当は使いたく…なかっだけど…ひぐっ」

上条「でも友達に迷惑を掛けたのは本当なんだろ?」

佐天「だっで…!だっで!」グス

上条「俺さ、思うんだ。確かにこの学園都市は、能力者がたくさんいるけど…同じように俺たちのようなレベル0の無能力者だって生活してる」

上条「能力が有るのと無いのとでは全く違うけど、共存は出来てるじゃん」

上条「佐天さんだって美琴や白井、初春さんたちと仲良く暮らしてるだろ?」

上条「レベルとか、能力とか、関係ないよ。あいつらは君の友達。それだけでも幸せだと思うぜ?」

佐天「…………」

上条「だからもっと素直になろうぜ。佐天さんが美琴たちと違うって思い込んでるから、無意識に距離を置いちゃうんじゃないか?」

上条「友達なんだからさ、もっとあいつらのこと、頼って信じてあげてもいいと思うけど。…なっ!」

佐天「…それじゃ駄目なんですよ」ボソッ

22 : 以下、名... - 2010/02/26(金) 03:13:05.77 M8fc019H0 15/257

上条「ん?」

佐天「私だって、初春も御坂さんも白井さんも好きです。…だけど!!」

佐天「彼女たちの存在は、私を見下してる気がするんです!」

佐天「もちろん本人たちにそんな気が無いのは分かってます!」

佐天「だけど、彼女たちの存在は…彼女たちが放つ雰囲気は私を見下してるんです!」

上条「………」

佐天「初春たちに罪は無いけど、知らない間に私が傷ついているのは事実なんです!」

佐天「それが分からない時点で、やっぱり初春たちは私を馬鹿にしてるのよ!!!」

上条「ふーん…存在かあ」

上条「残念だなあ…よっこいしょ」

佐天「え?」

上条「君はもっと賢い子かと思ってたけど」

佐天「何ですって?」ギリッ

23 : >18-21ありがとう - 2010/02/26(金) 03:16:04.42 M8fc019H0 16/257

上条「おー怖い怖い」

佐天「中学生だからって馬鹿にしてるんですか?」

上条「まさか。それより明日、同じ時間にここまた来れるかな?」

佐天「何を言ってるの?」

上条「君に渡したいものがあってさ」

佐天「渡したいもの?」

上条「多分今の佐天さんに必要なものさ。君の不満を解消してくれる」

上条「これ以上、君がレベル0であることに悩まなくなるとっておきの秘密道具さ」

佐天「え!?」

24 : 以下、名... - 2010/02/26(金) 03:21:08.19 M8fc019H0 17/257

翌日。同時刻―とある公園にて。

佐天「何よあいつ。全然来ないじゃない」

上条「るーい子ちゃん!」

佐天「ヒャウ!! う、後ろから急に出てこないで下さい!痴漢かと思いましたよ!」

上条「あっはー、ごめんごめんただの冗談ですよ」

佐天「私、30分近くは待ったんですよ。自分から来いって言っておいて遅れるなんて言語道断ですよ!」

上条「いやあ、居候をごまかすのに時間食っちゃって」

上条「さすがの上条さんも女の子とのデートの待ち合わせをすっぽかすのは良くないですよね」

佐天「デ、デート!?///」

上条「冗談冗談。でも、ここに来るのを決めたのは佐天さん自身だぜ?」

佐天「…う」

上条「まあいいや、はいこれが君に渡すもの」

25 : 以下、名... - 2010/02/26(金) 03:25:39.96 M8fc019H0 18/257

佐天にとある物を渡す上条。

5立方センチメートルほどの小さくて柄もないただの箱だった。

佐天「え?何これ?ただの箱じゃないですか」

上条「大事なのはその中身さ。おーっと、今はまだ開けちゃ駄目だぜ」

佐天「??」

上条「家に帰って一人になって見てみな。そのほうが楽しみがあるだろ?」

上条「せっかくの上条さんからの愛のプレゼントなんだから、粗末にするなよ」

佐天「何それキモイです」

上条「…………」

上条「ま、まあいいや。じゃ、俺は用事が済んだからこれで。美琴たちに宜しく言っておいてくれよ」

佐天「え?これだけ?って、待って下さいよ!」

上条「出来ることならまた佐天さんと出会えることを祈ってるよ。じゃあなー」

佐天「何言ってんの?…変な人。でも、ホントに何だろこの箱…」

31 : 以下、名... - 2010/02/26(金) 03:30:17.59 M8fc019H0 19/257

佐天宅―。

佐天「改めて見てみると、何の変哲も無い箱だけど」

佐天「爆弾…とかじゃないよね? …まさかね。ちょっと開けてみようかな」

パカッ

佐天「…何これ?…ボタン?」

箱を開ける佐天。そこには透明のプラスチックで蓋がされたボタンと一枚の紙が入っていた。

佐天「これが渡したかったもの?もしかしてからかわれたのかな?」

佐天「こっちの紙は…『説明書』?何これ、ただのオモチャじゃない!」

佐天「中学生だからって馬鹿にして!今度会ったら文句言ってやる!」

箱を放り投げベッドに横たわる佐天。

手元にあった携帯電話を取る。

佐天「あ、初春ー?聞いてよ。ちょっとさっきムカツクことあったんだけどさー」

佐天「え?今忙しい?ジャッジメントの仕事で?」

佐天「そ、そうなんだ。じゃあ仕方ないよね。分かった。うん、また明日ね。バイバイ」

佐天「はーつまんないなー。初春もこんな遅くまで仕事なんてしなくていいのに」

佐天「…………」

32 : 以下、名... - 2010/02/26(金) 03:35:49.20 M8fc019H0 20/257

  『これ以上、君がレベル0であることに悩まなくなるとっておきの秘密道具さ』―

  『君の悩み事も一気に解決してくれる、おあつらえ向きのね』―

黙ったまま床に転がっている箱を見続けていた佐天。

が、しばらくするとベッドから足を降ろし箱に入っていた説明書を取り出した。

佐天「なになに?…

『このボタンは、新しい人生を探している方、退屈な日常に飽きた方、仲間から疎外感を感じて

いる方、疲れた現代社会に飽きた方、そして、気に入らない人間が身近にいる方にピッタリの道具です。

使い方は簡単。プラスチックのケースの蓋を開け、特定の人物の名前を叫びボタンを押すだけです。

それだけで、名前を叫ばれた人間は瞬時に消失します』

                                                」

佐天「…消失?」

佐天

『誰を消すかは貴方次第。例えば、身近に嫌な人間がいれば消すのも良し、嫌いな政治家がいれば消すのも良し。

もちろん、貴方の一言で総理大臣も大統領も消すことが可能です。その他、死刑にならなかった殺人犯がいて個人

的に納得できないのなら消すのもまた一つの道です。世界の人口が過剰に溢れていると思ったら、人工の半分を

消すことも出来ます。好きな人と二人だけで過ごしたいならご自身と好きな人以外の全ての人間をこの地球上から

消すことも可能。もちろん、使い方によってはこの世界を貴方の独り占めにすることだって夢じゃない。さあ、手始め

に身近な人間を消して試してみましょう!この世は全て貴方次第!さあ、貴方の理想の世界を創り上げましょう!

貴方は今日から神様です!!!』

                                                       」

36 : 以下、名... - 2010/02/26(金) 03:41:40.07 M8fc019H0 21/257

佐天「何これ…趣味わる…。そもそもどこのメーカーがこんな誰にも需要が無いオモチャ作ってるんだろ?」

佐天「って、どこにもメーカー名書いてないし。変なの。上条さんも何でこんなの私に…。嫌がらせ?」

佐天「待てよ…このオモチャと同じようなものを何かで聞いたことがある…あれは確かアニメだったっけ」

佐天「昔見たアニメだけど、何だったっけかなあ? 確か主人公の男の子がこれに似た道具を使って」

佐天「嫌な同級生を消していくとかいうストーリーだったような…。確かその道具の名前って…」



佐天「  独  裁  ス  イ  ッ  チ  ?  」



佐天「って、まさかねー。あんなのアニメの話だし。んなもん実際に存在してたら、犯罪者が悪用してるって!……」

佐天「…………」


ボタンを見つめる佐天。


佐天「ま、持ってるぐらいなら、いっか。さ、寝よ!」


カサカサカサカサカサ

佐天の目の前を黒いものが横切る。


40 : 以下、名... - 2010/02/26(金) 03:45:35.42 M8fc019H0 22/257

佐天「きゃーっ! 何々!??」

カサカサカサカサカサ

佐天「ゴ、ごきぶりいいいい@〇×※〒drftgyふじこ」

佐天「や、やだ、こっち来ないでよ!」

カサカサカサカサカサ

佐天「ふぇーん初春ーーーー!!!」

カサカサカサカサカサカサカサ

佐天「キャーもう、『ゴキブリ』なんて消えろー!」

ピッ

カサカサk…ピシュン!!

佐天「……って、え?」

43 : 以下、名... - 2010/02/26(金) 03:48:43.97 M8fc019H0 23/257

佐天「あれ?ゴキブリは? え?え?今までそこにいたのに」

ふと手元を見る佐天。

右手に収められたボタン。佐天の親指はそれに添えられていた。

佐天「ま、まさか『ゴキブリ』って叫んだから消えちゃった…?」

佐天「まさかね…。うん、そんなはずないもん」

佐天「きっと隠れてどっか行っちゃっただけ。…そうだよ。そんなこと実際あるわけないじゃん…」

佐天「寝よう。このボタンは早いとこ上条さんに返そう」


電気を消す佐天。

不安を残しつつ彼女は眠りに就いた。

45 : 第1部 - 2010/02/26(金) 03:52:58.78 M8fc019H0 24/257

翌日―。


佐天「うーーーーいーーーーはーーーーるーーーー!!!」

バサアッ

初春「キャーーーーー///佐天さん!!」

佐天「お、今日はクマちゃんかー」

初春「もう!!大きな声で言わないで下さい!///」

佐天「昨日私との電話を拒否したペナルティーじゃ!」

初春「きょ、拒否なんてしてませんよ。ただ、ジャッジメントの仕事が忙しくて…」

佐天「大丈V!! 佐天さんは初春さんの事情ぐらいちゃーんと分かってるから!」

初春「あ、ありがとうございます。助かります」


佐天「でも、あんまり仕事ばかり優先してると、初春を 消 し ち ゃ う よ ♪」


初春「…え?」ゾクッ


46 : 一応この話は元ネタをベースに多少設定をアレンジしてます - 2010/02/26(金) 03:56:50.57 M8fc019H0 25/257

佐天「なーんて冗談冗談!もう、何真に受けてるの?はは」

初春「そ、そうですよね。私ったら…はは」

佐天「ところでさ初春は上条さんの連絡先知らない?」

初春「上条さんですか?知りませんけど…」

佐天「そっかー、だよねー」

初春「何か用事でもあるんですか?」

佐天「ん、ちょっとねー」

初春「もしかしたら、御坂さんか白井さんなら知ってるかも」

佐天「あ、なるほどー。次会いに行ったとき聞いてみようっと」

キーンコーンカーンコーン

佐天「あ、朝礼のチャイムだ!ほら、急がないと遅れるぞ初春!」

初春「ふぇーん待って下さいよー佐天さーん!」

初春「(にしても、さっき一瞬だけ佐天さんの言葉に悪寒を感じたけど…あれは何だったんだろ?)」

初春「(何か嫌な予感がするけど…気のせいですよね…)」


48 : 以下、名... - 2010/02/26(金) 04:02:30.01 M8fc019H0 26/257

放課後―。


佐天「はぁぁぁあああ、ま・た、初春はジャッジメントの仕事かあ。最近多すぎだよホント」


 『何でもスキルアウトの一部が自棄を起こしてるらしいです。集団で一人の女の子を執拗に追いかけて疲れたところを一網打尽にするという卑劣な手段で。佐天さんも気を付けてくださいね』―


佐天「そりゃ確かに私は可愛い女の子だからさ、危ないのは承知だよ。でも初春、お前はどうなんだあ!」

佐天「ま、初春には白井さんや御坂さんがついてるし、大丈夫だよね」

佐天「それに私には何てったって、この秘密兵器『独裁スイッチ』があるのだー!」


ボタンを取り出し空中に掲げる佐天。


佐天「って、こんなオモチャが役に立つわけないじゃん。早く上条さんに返さないと」


49 : 以下、名... - 2010/02/26(金) 04:05:02.00 M8fc019H0 27/257

Grrrrrr

佐天「え?」

Grrrrrrrrrrr

佐天が振り返ると、そこには大きな牙を向いた2匹の野良犬が唸っていた。

佐天「の、野良犬!? なんか怒ってるし!」

Grrrrrrr

佐天「ちょ、何?私、餌なんか持ってないよ?」

ガウガウガウガウガウ!!!!!

佐天「きゃああああああああああ!!!」


51 : 以下、名... - 2010/02/26(金) 04:08:03.70 M8fc019H0 28/257

初春「!?」

初春「………!」

白井「どうしました初春?」

初春「いえ、何か今、嫌な予感がして…」

白井「相手は半錯乱化したスキルアウト。嫌な予感がしてもおかしくありませんわ」

白井「気を付けなければ我々もいつ襲われる対象になるのか分かりませんし」

初春「はい、そうですよね…」

初春「(何だか佐天さんのことが心配…でもそれとは別に嫌な予感がする)」

初春「(まるで朝会ったときに感じたような…)」

52 : 以下、名... - 2010/02/26(金) 04:11:26.78 M8fc019H0 29/257

佐天「…………っ」

顔を覆っていた腕をゆっくりと降ろし、恐る恐る目を開ける佐天。

が、しかしそこに野良犬の姿は無く…

佐天「…あれ?犬が…いない?」

佐天「確か私…」

――――――――――――――――――――――――――――――

ガウガウガウガウガウ!!!!!

佐天「きゃああああああああああ!!!」

佐天「野良犬なんか消えちゃえー!!!」

ピッ

ガウガウg…ピシュン!!

――――――――――――――――――――――――――――――

手元に目をやる佐天。

するとそこには、昨夜のゴキブリのときと同じく、あのボタンが握られていた。

佐天「嘘…嘘よ…」

佐天「私が犬を、消しちゃったの…?」

佐天「そんな…」

54 : 以下、名... - 2010/02/26(金) 04:16:29.57 M8fc019H0 30/257

そのボタンが、消したいものを本当に消す能力があるということを知った佐天。

翌日、彼女は意気消沈しながら学校に登校していた。

先生「では次の問題、佐天、解いてみろ」

佐天「…………」ボーッ

先生「佐天涙子!」

佐天「え、あ、はい…何ですか先生?」

先生「もういい、授業中にボーッとして。前田、お前答えてみろ」

佐天「すいません…」

初春「(佐天さん、どうしたんだろ元気がないな…)」

初春「(もしかして最近一緒に遊べなくてふてくされてるのかな?)」

初春「………」

55 : 以下、名... - 2010/02/26(金) 04:19:22.04 M8fc019H0 31/257

放課後―。

初春「佐天さん♪」

佐天「あ、初春…」

初春「何一人で帰ろうとしてるんですか?」

初春「一緒に帰りましょうよ」

佐天「…うん、そうだね」

初春「何だか元気無いですね。もしかして最近会えないから怒ってます?」

佐天「………」

初春「佐天さん?」

佐天「え、あ、ん?」

佐天「そんなことないよ!ないない!いつも通り佐天さんは元気一杯で可愛いですよ!」

56 : 以下、名... - 2010/02/26(金) 04:22:58.49 M8fc019H0 32/257

佐天「ほらこの通り!」

バサアッ

初春「キャーーーーーー!//また佐天さんはー!///」

佐天「今日やってなかったからその分ねー」

初春「もう!///」

初春「…ふふ。でも良かった」

佐天「ん?何が?」

初春「何だか今日一日、佐天さん元気無かったから。何かあったのかと思って」

佐天「あー、あれ?大丈夫大丈夫、気のせいだったみたいだから」

初春「何かお困りごとでも?」

佐天「違うの違うの。それよりさあ、御坂さんと白井さん、次いつ会えるかな?」

佐天「早く上条さんの連絡先知りたいんだけど」

初春「あーその件ですが、御坂さんと白井さんに聞いておきましたよ」

佐天「本当?さすが初春、手際いい!で、どうだった?」

57 : 以下、名... - 2010/02/26(金) 04:28:17.24 M8fc019H0 33/257

初春「でも残念ながら二人とも知らないようです。結構、上条さん神出鬼没らしくて…」

佐天「えーそうなんだー……」

初春「ごめんなさい」

佐天「あーうん、気にしなくていいよ。別にこの世からいなくなったわけじゃなし」

佐天「同じ学園都市にいたらいつか会えるっしょ」

佐天「(まあ、当然と言えば当然か……。)」

佐天「(上条さんと連絡つくまでは、あのボタンは家の引き出しの奥にでも封印しとこう…)」

初春「でもどうして上条さんの連絡先が知りたいんですか?」

初春「もしかして佐天さん、上条さんのこと…」

佐天「んんんな訳ないじゃん!誰があんな冴えない高校生」

佐天「そう言っておいて本当は初春が好きだったりして。年上とか好きそうだし!なーんて…」

初春「…………////」

佐天「えっ」

62 : お待たせしました - 2010/02/26(金) 05:07:23.71 DeKTQnkd0 34/257

女子生徒A「やだーあいつ誰キモーい」

女子生徒B「幽霊みたーい」

佐天「ん?」

後ろから聞こえた女子生徒の声に反応した佐天が校門の方に注意を向けると、

そこにはマッシュルーム型の髪型をした男子学生が一人突っ立ていた。

佐天「あ、あの髪型は…鋼盾くん?」

初春「お知り合いですか?」

佐天「あー知り合いってまではいかないけど、前に特別講習でちょっとね…」

初春「何かこっちの方見てません、あの人?」

63 : 以下、名... - 2010/02/26(金) 05:13:24.68 DeKTQnkd0 35/257

佐天「んー??…あ、行っちゃった」

初春「幽霊みたいに消えましたね」

初春「もしかして佐天さんに用事があったんじゃ?」

佐天「まさかー。きっと初春に声を掛けたかったんだよー。初春モテるし」

初春「冗談よして下さいよー佐天さん。佐天さんの方がモテますよー」

佐天「お世辞かこの、生意気な小娘め。頭から生えてるお花引っこ抜くぞー」

初春「生えてませぇぇぇえええん」

佐天「(にしても何だったんだろ??)」

64 : 以下、名... - 2010/02/26(金) 05:18:46.71 DeKTQnkd0 36/257

とある喫茶店前にて―。

佐天「あーおいしかったー」

白井「久しぶりに食べるパフェはまた格別ですわね」

初春「御坂さんなんておかわりもしてましたしね」

御坂「だっておいしいんだもーん。今が旬なんだから食べる時に食べとかないとね!」

白井「またまたそんなこと言ってお姉さまは。あの類人猿が聞いたら余りの羨ましさに死にそうですわね」

御坂「べべべべべべべ別にあいつは関係ないでしょ///」

御坂「あ」

御坂「そういや佐天さんごめんね、あいつの連絡先知らなくて」

佐天「え?あー、別にいいです。また会った時にでも聞いといて下されば」

御坂「本当は今すぐ教えてあげたいんだけどね(本当は私が一番知りたいんだけど…)」

御坂「あいつ、いつもどっかでフラついてるからその内会えると思うけど(っていうか、これを口実に私もあいつのメアドGET出来るんじゃ…)」

御坂「ま、会ったら聞いといてあげるから(でもどうして佐天さんはあいつの連絡先知りたがってるんだろ?)」

御坂「まさか佐天さんもあいつのこと好きなの!?(まさか佐天さんもあいつのこと好きなの!?)」

65 : 以下、名... - 2010/02/26(金) 05:24:27.15 DeKTQnkd0 37/257

佐天「え?」

佐天「あー無いです無いです。そんな大きな意味はありません。些細なことですし」

御坂「なーんだ、てっきり勘違いしちゃった(ビックリしたぁ…)」

御坂「そうだよね。佐天さんにはもっといい男が似合ってるしね(つい口に出しちゃったじゃない!)」

御坂「ま、あんな奴好きになる物好きなんてそうそういないだろうし…(いたらこの目で見てやりたいわ!)」

初春「…………」

白井「やれやれですの。とにかく今日はこれでお開きですの」

佐天「また近い内に4人で来たいですね!」

御坂「そうね。時間が出来たらまた来ましょ」

白井「では今日はこの辺りで」

初春「さよならー」

佐天「バイバイー」

66 : 以下、名... - 2010/02/26(金) 05:30:48.62 DeKTQnkd0 38/257

別れる4人。しかし、この時、彼女たちは誰一人気付いていなかった。

遠くから4人を羨望の眼差しで見つめる男の気配を…。

「ハァハァハァ…佐天さん…」

その後、佐天は初春とも別れ自分の部屋に戻るのだったが、

彼女はいまだ自分の身に差し迫る脅威に気付いていなかった。

佐天「今日も疲れたー」

佐天「上条さんの連絡先はまだ分からないけど、久しぶりに御坂さんたちと食べたパフェは上手かったな」

佐天「そうだ、もう独裁スイッチのことなんて忘れよう。あんなのがあったら、おちおち学生生活も楽しめないよ」

ガチャッ

佐天は鍵を開け、中に入る。

バタン

「ハァハァハァ…」

佐天「え?」

67 : 以下、名... - 2010/02/26(金) 05:35:59.19 DeKTQnkd0 39/257

振り返る佐天。

何とそこには、あの鋼盾掬彦が息を切らして立っていた。

鋼盾「ハァハァハァ…佐天さん…」

佐天「…鋼盾…くん?」

一瞬、何が起きたのか理解を得ないまま、佐天は言葉を搾り出す。

その声に押されるように、咄嗟に後ろを向いた鋼盾はドアの鍵をロックしチェーンを掛けた。

再びこちらに向き直った鋼盾のイッた目を見た瞬間、佐天は初めて恐怖を覚えた。

鋼盾「佐天…さん…」ニッコリ

佐天「何を…」

鋼盾「佐天さあぁぁぁああぁぁぁぁぁあぁあぁああああん!!!」

佐天「きゃああああああぁぁああああああああああああ!!!」

78 : 以下、名... - 2010/02/26(金) 08:24:13.96 vG1u/BFT0 40/257

腕を広げてきた鋼盾の突進を寸でのところですり抜ける佐天。

躓き、倒れた佐天に鋼盾が後ろから追い被さろうとする。

間一髪、体勢を起こした佐天は部屋の奥に逃げ込んだ。

鋼盾「佐天さん、逃げないでよ佐天さん…ハァハァ」

ゆっくりと部屋の中を進みゆく鋼盾。

鋼盾「僕たち、同じ落ちこぼれじゃない……ハァハァハァ」

佐天「やだ、来ないで…。鋼盾くん、どうしちゃったの…?」

鋼盾「僕さあ、初めて佐天さんを見たときから、佐天さんに惚れてたんだぁ。デュフフ」

鋼盾「ああ、こんな可愛い子も僕と同じなんだ、って。僕みたいに弾かれ者なんだって…デュフフフフ」

鋼盾「そう思ったら、いつの間にか佐天さんに恋してたんだぁぁ…ハァハァハァ」

ふと視線を動かす佐天。手が届く範囲に、台所の包丁があるのが目に入った。

佐天は咄嗟にその包丁を取り鋼盾に向ける。それが今、彼女に出来る精一杯の抵抗だった。

佐天「来たら、刺すよ…。お願いだから帰って」

81 : 以下、名... - 2010/02/26(金) 08:30:01.55 vG1u/BFT0 41/257

鋼盾「…………」

鋼盾「あ、これがヤンデレって奴かぁ…。初めてみた。いいねぇ、そそるなあ…」

鋼盾「あらら、涙浮かべてどうしちゃったの?怖いの?刺しちゃいなよ」

佐天「くっ……泣いてなんか…ない…!」

鋼盾「いいねーその顔。でもどんな抵抗やっても無駄だけどね」

佐天「え?」

突如、佐天の両手から離れたかと思うと、包丁は部屋の隅にまで飛んでいった。

鋼盾「これが僕の能力。おどろいたぁ?特別講習のあと、いきなり開花しちゃったんだああああ」ニヤア

佐天「そんな…!」

鋼盾「君も能力者だったら、僕ぐらい何とか対処できたろうにね」

鋼盾「ホント、無能力者って可哀想ー」

佐天「(どうして私ばっかりこんな目に…!神様のバカ!)」

鋼盾「諦めなよ。諦めて僕のものになりなよ」

82 : 以下、名... - 2010/02/26(金) 08:36:04.13 vG1u/BFT0 42/257

再び室内に注意を向ける佐天。すると、鋼盾が立っている位置より3歩ほど

間隔を開けたところに、学生鞄が落ちているのが見えた。さっき玄関で躓いた

時に落としたのか、その衝撃で中身が散らばっている。鞄のすぐ側には、携帯電話

が落ちていた。

意を決しそちらに飛び移った佐天。携帯電話を取り上げ着信履歴から「初春」の表示を

呼び出す。が、発信ボタンを押した瞬間、上から鋼盾が覆い被さってきた。

佐天「きゃああああ!!」

能力で浮かした携帯電話を佐天の手から奪い取った鋼盾は、通話ボタンを切ると

それを遠くに放り投げた。

佐天「やだ!!誰か助けてえええええ!!誰か来てえええええええ!!!」

頭を押さえつけ馬乗りになる鋼盾。

鋼盾「大人しくしなよ。デュフフ。これから楽しいことしようねー涙子ちゅぁああん」

佐天「やめてぇぇぇぇえぇえええ!!!」

83 : 以下、名... - 2010/02/26(金) 08:43:02.43 vG1u/BFT0 43/257

叫んでも、みんな留守にしているのか誰も助けに来ない。

佐天「白井さぁぁああん!!! 御坂さぁあああん!!!」

佐天「初春助けてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇええ!!!」

鋼盾「ああ、さっき会ってたあの可愛らしいお友達のことかな?無駄だよ無駄」

鋼盾「ほら泣かないで。僕が癒してあげるからさ」

佐天「いやぁぁぁ、助けてー上条さぁぁああぁん!! 上条さぁぁああぁぁん!!!」

鋼盾「上条!?この間公園で会ってた男のことか!!!この僕という人間がいながら!!!」

「上条」の名前を耳にし、急に暴力的になった鋼盾は佐天のセーラー服に手をかけた。

と、その時、目の前にとある物体を見つけた佐天。背中から押さえつけられながらも必死に

数cmほど這った佐天はその物体を両手に収めた。


鋼盾「お前は一生僕の奴隷だああぁぁぁああああぁぁぁぁああああ!!!!!!」


佐天「鋼盾なんか消えろおおおおおおおお!!!!!!!!」


ピシュン!!!

86 : 以下、名... - 2010/02/26(金) 08:52:07.30 vG1u/BFT0 44/257

佐天「…はぁ…はぁ…はぁ」

急に静まり返った室内。急に軽くなった背中。

しばらく息継ぎをし、ようやく落ち着くと佐天は後ろをゆっくりと振り返った。

佐天「………いない…」

恐る恐る両手を開けてみる。そこにはあのボタンが握り締められていた。

佐天「いやぁ!」

ガッ

ボタンを放り投げる佐天。怯えるようにボタンから後ず去った佐天は壁に背中を預け丸まった。

佐天「…ふふ…消しちゃった…消しちゃった…」

佐天「私、人間を消しちゃった…」

佐天「初春…私、鋼盾くんを、消しちゃった……フフフ」

佐天「ふふふ…ふ…う、うううう…グス…グス」

89 : 以下、名... - 2010/02/26(金) 08:56:01.45 vG1u/BFT0 45/257

翌日―。

先生「佐々木!」

生徒「はい!」

先生「佐天!」

………シーン…

先生「佐天?……なんだ欠席か。あいつに限って珍しいな」

初春「(佐天さんが欠席…!?昨日はあんな元気だったのに…)」

初春「(そういや放課後、私と帰るとき何となく落ち込んでたっけ…。)」

初春「(それに昨日の夜、1秒だけ佐天さんからコールがあったけど何だったんだろ)」

初春「(あの後電話してもメールしても何の返事も無かったし…。何か嫌な予感がする…。放課後、行ってみよう)」

90 : 以下、名... - 2010/02/26(金) 08:59:32.49 vG1u/BFT0 46/257

佐天の部屋―。鋼盾を消したことによる余りのショックからか、

佐天は学校を休み、一日中何も食べず部屋の中でボーッとしていた。

佐天「…………」

佐天「(…まさか、本当に人間が消えるなんて…思ってなかった…私、鋼盾君を殺したことに……なるのかな…?」

佐天「うっ…ひっぐ…グス…ひぐ…」

ピンポーン

佐天「!!」ビクッ

佐天「…だ、誰?」

ピンポーン

佐天「やだ…来ないで!来ないで!」

初春「佐天さーん!いないんですかー?」

佐天「初春…!!」

初春「(留守なのかな?)」

ガチャッ

佐天「…初春…」

初春「佐天さん、いるじゃないですか!」

初春「(…にしてもすごいクマですね…。何かあったんでしょうか)」

92 : >>91ありがとう - 2010/02/26(金) 09:04:32.22 vG1u/BFT0 47/257

初春「驚きましたよ佐天さん。普段は滅多に休むこと無いのに学校欠席してるんですから」

佐天「ごめん…」

初春「…………」

初春「そう言えば昨夜、電話かけませんでした?1秒ほど佐天さんからコールがあったんですけど…」

佐天「…そうだっけ?…」

初春「そうですよ!私気になってその後、電話したりメールしたのに何の返事も無いから心配しちゃって」

初春「おまけに今日、学校休むんですから。何か、あったんですか…?」

佐天「………」

初春「…佐天さん、悩み事があるなら相談してください。私、これでも佐天さんの一番の親友ですよ」

佐天「…う…」

初春「?」

佐天「初春ぅ!!」ガバッ

初春に抱きつく佐天。訳が分からないのか初春は拍子が抜けた顔をする。

93 : 以下、名... - 2010/02/26(金) 09:07:05.93 vG1u/BFT0 48/257

佐天「初春…私ね、私ね…」

初春「は、はい…」

佐天「鋼盾くんを…消しちゃったの!」

初春「え?」

佐天「昨夜、家に戻ってきたら鋼盾くん、密かに私のこと尾行してたみたいで…それで襲われそうになったの」

佐天「だって、誰だってビックリするよね?いつの間にか部屋の中に入ってるんだよ!」

佐天「しかも変な目してて、いきなり私を襲ってきたんだ!だから、私、私…誤って消しちゃったんだ…」

佐天「消しちゃったんだよ鋼盾くんを!この、私が…!だって、うぐっ…ひぐっ…仕方ないじゃん」

佐天「怖かったんだもん!殺されると思ったんだもん!ひぐっ…だから、消しちゃったんだ…」

佐天「ねえ初春?初春はこんな私でも親友でいてくれるよね?ずっと友達だよね、私たち、ね?」

初春「佐天さん…」

佐天「グスッ…」



初春「  鋼  盾  く  ん  っ  て  誰  で  す  か  ?  」

94 : 以下、名... - 2010/02/26(金) 09:12:25.99 vG1u/BFT0 49/257

佐天「え…」

初春「んーっと、イマイチ話が見えないんですけど…まず鋼盾くん?って誰なのかなーって」

佐天「何言ってるの初春!昨日、学校から帰るとき校門にいた男の子じゃん!」

初春「えーっと…えーっと…うーん、いましたっけ?」

佐天「いたよ!!ほら、マッシュルームの髪型で、校門から私のこと見つめてた…」

初春「???」

佐天「後ろの女の子二人も『幽霊みたい』って陰口言ってたじゃん!」

佐天「ほら、言ったでしょ?私が例の特別講習で一緒になった男の子!肥満気味の!」

初春「ごめんなさい…どうしても思い出せません」

佐天「何で!?いたよ!」

初春「昨日の放課後は確かに一緒に帰りましたけど、校門には誰もいませんでしたよ」

佐天「え?」

96 : 以下、名... - 2010/02/26(金) 09:18:36.23 vG1u/BFT0 50/257

初春「あの時私たちは確か、今度行くセブンスミストでどんな服を買おうかって話をしてましたし」

初春「確か後ろを歩いてた女の子たちも、ずっと友達の話で盛り上がってたような…」

初春「少なくとも私は昨日、佐天さんが言うような鋼盾くんに合致する人は見てないんですけど…」

佐天「からかってるの初春?」

初春「からかってませんよ!……佐天さん、その…言いにくいんですけど、最近疲れてません?」

佐天「…どういう意味?」

初春「もし極度に疲れてるなら、一度、病院で診てもらったほうが…」

佐天「初春…?」

佐天「(はっ!…『消す』…あのボタン、説明書には『消す』って書いてあった…。『殺す』とか『死ぬ』じゃなくて…)」

初春「でも何者かに襲われたのなら、只事じゃありませんね」

佐天「(待って…もしかして、『消す』って、最初から存在しないようにすることなの!?)」

初春「とりあえず白井さんと連絡して、佐天さんを襲った人を捜してみましょうか?」

97 : 以下、名... - 2010/02/26(金) 09:23:20.87 vG1u/BFT0 51/257

  『貴方は今日から神様です!』―

佐天「(『神様』…『消す』…初めから生まれてきていない…『鋼盾』なんて男の子は最初からいない?)」

佐天「あああああああああああ!!!!」

初春「佐天さん!?」

頭を抱える佐天。初春は心配そうに顔を覗き込む。

佐天「やだ、頭おかしくなりそうだよ…いやだ…一体どれが現実なの?」

初春「どうしたんですか佐天さん!?大丈夫ですか!?」

初春「佐天さん!!」

佐天「来ないでええええええ!!!」

ボタンが入った箱だけ持ち、部屋を飛び出す佐天。初春は突然の行動に

拍子を抜かれ、反応が遅れてしまった。

初春「佐天さん!どこ行くんですか!」

初春「佐天さああああああん!!!」

98 : 以下、名... - 2010/02/26(金) 09:29:26.62 vG1u/BFT0 52/257

初春から逃げるように必死に走った佐天は、

息を切らし人目につかない場所で休んでいた。

箱を開け、説明書を開く。

佐天「消えた人のことについては何も書いてない…何なのこれ…」

チラと視線を動かすと、一筋の小川が目に入った。

佐天「捨てちゃおうかな…捨てちゃえば、もう、誰も消さないで済む…」

不良A「よー子猫ちゃん!そこで何してんの?」

佐天「!?」ビクッ

不良B「俺らさ、近くの高校のもんなんだけどさ、今暇なんだよねー」

不良C「良かったら、俺たちと遊ばね?くひひひひ」

佐天「………っ」ビクビク

佐天「来ないで…」

                        第1部・終わり

105 : 第2部 - 2010/02/26(金) 09:56:17.38 QQoQ+rcy0 53/257

翌日・ジャッジメント第177支部―。

白井「はー肩が凝りますわ」

固法「こらこら、まだ中学1年生にして何を言ってるの?まだ若いんだから」

白井「最近は、仕事が多すぎますの…。まったく、お姉さまと戯れる時間もない…」

ブブブブブブ

白井「あら、メール…初春からですの」

白井

    『佐天さん、今日も学校を休んで家にいたらしいです。一応、放課後に訊ねてみたのですが、相変わらず

     元気が無くて困りました。たまに外出はしてるようですが、どこに行ってるのかも教えてくれなくて…。

     ただ、たまに「また消しちゃった」ってうわ言みたいに言ってて何だか怖いんです。白井さん、どうしましょう。

     やっぱり病院に連れて行くべきでしょうか?』

                                                          」

106 : 以下、名... - 2010/02/26(金) 09:59:32.10 QQoQ+rcy0 54/257

白井「(佐天さん…一体どうしてしまったのかしら?私からのメールや電話にも出ませんし…)」

白井「(一度は尋ねてさしあげたいのですが、こちらも仕事が忙しくて抜け出せないですし…)」

白井「(そうだ!お姉さま………も確か、メールを送っても反応が無いんでしったっけ。)」

白井「(確か佐天さんの家に尋ねても初春しか面会を許されないとか…。むーとても心配ですわ)」

白井

   『初春、原因はまだ分からないにせよ、貴女が佐天さんとの関係を繋ぎ止めているのは事実です。

   今はあまり刺激を与えずに様子を見てあげてください。その上で何か問題があれば、病院に

   入院させるのも一つの手でしょう』

                                                」

白井「送信…っと。ふぅ、心配ですわね…」

固法「何が心配なの?」

白井「はっ、い、いえ何も…」

固法「また、例の不思議なことが起こったわよ」

白井「例の…ああ、あれですか」

固法「今度は第五高等学校ね。しかも3人分」

108 : 以下、名... - 2010/02/26(金) 10:03:06.65 QQoQ+rcy0 55/257

白井「確か初めに起こったのは4日ほど前でしたっけ?」

固法「ええ、何でもそのクラスは38人で全員なはずなのに、初めから39人編成で組まれてたのよね」

固法「机の数も39人分。出席簿にも39人分の枠が。でもそのクラスは4月の初めから38人でやってきてたのよ」

白井「確か注文した教科書の数も39人分でしたっけ」

固法「ええ、それだけでなく他にも諸々。とにかく、初めから39人いたようなことになってる」

白井「一応、書庫(バンク)で検索してみましたが、きっちりそのクラスの定員は38名でしたわよね」

固法「そう。これだけだったら別に勘違いで済むんだけど、3日前も違う高校で同じことが起こったのよね」

固法「クラスは初めから全員で40名のはずなのに、何故か43名いたような形跡が残っている」

固法「でも、その3人分が誰であるかはクラスメイトも知らないし先生も知らない」

白井「まるで怪談ですわね。まあこの学園都市で怪談など有り得ない話ですが」

固法「で、今日もまた違う高校で同じことが起こったわ。第八高等学校。」

固法「ここは、39人クラスであるはずなのに、まるで初めから42人いたような形跡がある」

110 : 以下、名... - 2010/02/26(金) 10:08:06.32 QQoQ+rcy0 56/257

白井「でも、誰もその3人分の名前も存在も知らない…と。能力者の仕業でしょうか…?」

白井「と言っても、学園都市全ての人間の記憶を改竄するとなると、少なくともレベル5クラスの実力が無ければ不可能でしょうし…」

白井「不思議ですわね。まるでそれまでいた人間が、ある日存在を消されたような………」

白井「…消す?」


  『たまに「また消しちゃった」ってうわ言みたいに言ってて何だか怖いんです』―


白井「…………」

固法「どうしたの白井さん?」

白井「い、いえ何でも(まさかですわね)」

固法「そういえばこんな都市伝説知ってる?」

112 : 以下、名... - 2010/02/26(金) 10:12:19.99 QQoQ+rcy0 57/257

白井「都市伝説?」

固法「そう。この学園都市には、自分が嫌いな人を消すことができる装置があるって」

白井「胡散臭いですわね」

固法「何でも、それを使うと自分が願った人が消えてくれるんですって。その代わり、消した人は二度と戻って来ない」

固法「密かに、学園都市の住人に次から次へと受け継がれ、今では誰の手元にあるのか、そもそも存在しているのかすら不明。何年も前から噂される都市伝説の一つよ」

固法「最近は鳴りを潜めてた都市伝説だけど、最後にそれを使った男の子は今もこの学園都市にいるって噂よ」

白井「下らない。科学が全てのこの学園都市においてそんな都市伝説」

固法「ふふ、そうね。じゃ、仕事の続きやってちょうだい」

白井「ふーやれやれですわ」

白井「(…人を消す道具ですか…馬鹿馬鹿しいことこの上ありませんわ)」

114 : 以下、名... - 2010/02/26(金) 10:18:28.21 QQoQ+rcy0 58/257

都市伝説の噂を一蹴した黒子。いつも通り仕事を済ませ、今は帰路に着いていた。

白井「あうー肩が凝りましたの。さすがに初春の分も仕事をこなすと想像以上の忙しさですわね」

白井「でも何とか門限前には帰れそうですわ。帰ったらお姉さまにたっぷり甘えてやりますの!」

白井「あら…?向こうの歩道を歩くのは……佐天さんじゃありませんの!」

佐天「…………」トボトボ

白井「佐天さん!」ブンッ

佐天「…………」トボトボ

白井「??」

テレポートで佐天の目の前に現れた黒子だったが、彼女は気付いていないのか

そのまま素通りをしようとする。

白井「佐天さん!」ガッ

振り返り佐天の肩に手を置く黒子。一瞬ビクついた佐天は「ひっ」と声を上げ顔を向けた。

白井「?」

白井「貴女、こんなところで何をやってらっしゃるの?」

佐天「…白井さん…」

115 : 以下、名... - 2010/02/26(金) 10:23:15.37 QQoQ+rcy0 59/257

白井「こんな遅くまで…。最近はスキルアウトの連中が凶悪事件を起こしているのですから気を付けて下さいな」

白井「聞いてますの?(何だか覇気がない顔をしてますね…)」

白井「みんな心配してますのよ。私とお姉さまからのメールや電話には応答しませんし」

佐天「………」

白井「というか貴女、初春はどうしましたの?今日は一緒に家にいたはずでしょう」

佐天「…初春…。初春が止めるのも無視して外に出て来ちゃった…。また、人といるのが怖くなったから…」

白井「??」

ブーブーブー

白井「あら電話。初春からですの。ちょっとごめんあそばせ」ピッ

佐天「初春…」

白井「もしもし初春?実は今…」

初春『白井さーん!!どうしましょう、佐天さんが出てったきり帰って来ないんです!!』

白井「ご心配ならさずに。今ちょうど一緒ですわ」

チラッと黒子は佐天を見る。

118 : 以下、名... - 2010/02/26(金) 10:27:50.68 QQoQ+rcy0 60/257

佐天「…初春…」

初春『本当ですか!?良かったー!「散歩行ってくる」って言ったきり4時間も帰って来なかったから心配で』

白井「今から連れて帰るので待ってて下さいまし」

初春『あ、はい!ありがとうございます!あ…もし良ければ佐天さんと代わっていただけますか?』

白井「構いませんわ。ほら、佐天さん。初春が話しがってますのよ」

佐天「…初春…」

初春『佐天さん!もう心配したんですよ!携帯も家に置いたままだし!お願いだから心配かけないで下さい!」

佐天「…ごめん初春…今から、帰るから…」

初春「待ってますからね」

佐天「…うん」

白井「宜しいですか?」

佐天「はい。これ…」

120 : 以下、名... - 2010/02/26(金) 10:32:16.78 QQoQ+rcy0 61/257

電話を黒子に渡す佐天。初春と話したというのに変わらず元気がない彼女を

怪訝に思ったのか黒子は「少し歩きますか」と言った。頷く佐天。

白井「(テレポートで送る手もありますが…少々気になりますし話だけでも伺いますか)」

白井「あの佐天さん…」

佐天「ねぇ…」

白井「な、何でしょう?」

佐天「上条さんの連絡先、まだ分かりませんか?」

白井「(またその話題ですの…。一体全体、佐天さんがあの方に何の用が?)」

白井「いえ、この間申し上げた通り、私もお姉さまも生憎の程ご存知ありませんの」

佐天「そっか」

白井「普段どこをフラついているのかも皆目検討がつきませんし」

121 : 以下、名... - 2010/02/26(金) 10:36:25.19 QQoQ+rcy0 62/257

白井「にしても、あの殿方に何か用事でもあるのですか?」

佐天「あ、ううん。別に何でもないので気にしないで下さい…」

白井「………」

白井「とにかく、私も初春もお姉さまもみんな心配しているので、不安にさせるような行動はお控えなさって下さい」

白井「何があったのかは敢えて今はお聞きになりませんが、それだけは留意しておくよう宜しくお願いしますわ」

佐天「…白井さん…私、また消したんだよ…これで7人目…」

白井「(またそんなことを…)」

白井「佐天さん、お願いですから私たちの気持ちも…いえ、初春の気持ちも考えてくださいまし」

佐天「初春が…どうかしたの?」

白井「彼女、とても貴女のこと心配してますわ。最近の貴女が様子が変なのを見てとても悩んでいらっしゃる」

白井「私たちの助言を聞いてどうすればいいのか迷ってるんですの」

佐天「どういう意味?」

白井「…………貴女にはきつい言葉かもしれませんが、私とお姉さまは佐天さんは一度、専門の病院で診てもらうべきなのでは、と考えていますの」

佐天「…え?」

124 : 以下、名... - 2010/02/26(金) 10:42:18.47 QQoQ+rcy0 63/257

白井「このまま放置して、後で取り返しのつかないことになったら、私もお姉さまもいたたまれませんの…」

白井「だから初春に、貴女を一度病院に診させて見てはどうか、と薦めているのですが…」

白井「初春は貴女のことを思って決めあぐねていますの」

佐天「(…何それ?…私、そんな風に思われてるの?)」

白井「ですので、どうかこれ以上初春を苦しませるような発言は控えて下さいまし」

白井「私自身も、なるべく佐天さんを病院に連れて行きたくはありませんの…」

佐天「(初春が…?)」

白井「どうなされました?」

不意に立ち止まった佐天に違和感を覚え、振り返る黒子。

佐天は下を向いたまま黙っていた。

佐天「そうなんだ…みんなして、私に妄言癖があるとか思ってるんだ…」

白井「な、いえ…私はそんな意味で言ったんじゃ…」

佐天「うるさい!!!」

白井「!!」

125 : 以下、名... - 2010/02/26(金) 10:47:06.72 QQoQ+rcy0 64/257

佐天「どうせ私が無能力者だからって、私にそんなことが出来るわけないって思ってるんでしょ!!」

白井「佐天さん…」

佐天「そうだよ。私いまだレベル0だもん。能力の欠片すらないですから、そう思われても仕方ないですよね」

佐天「でも、能力が無くても、人を消すぐらい今の私には簡単ですよ!」

佐天「実演してみましょうか!?今ここで、ここにいる学生全員消してあげましょうか!!??」

今まで見たことがない佐天の気迫に呑まれる黒子。

周囲にいた学生たちが何事か、と奇異の目を寄せる。

学生「何だあいつ?うるせーなー」

学生「頭おかしいんじゃねーの?プゲラw」

学生「こわーい」

学生「だからレベル0って嫌いなのよね。何考えてるのか分からないしー」

学生「スキルアウトだけじゃなくてああいうのもいるのは怖いわー」

白井「佐天さん…」

佐天「フゥ…フゥ…フゥ…」

佐天「(そうだ!消しちゃえばいいんだ。どうせ白井さんは無能力者の私の気持ちなんてちっとも分からない)」

佐天「(ムカツク…ムカツク…みんなムカツク…見せしめに、消してやる。私を馬鹿にしたこと後悔させてやる…!!)」

133 : 以下、名... - 2010/02/26(金) 12:34:04.00 9Lzq5Wxj0 65/257

ポケットに手を突っ込む佐天。しかし、ボタンの感触を確かめた瞬間、

彼女の頭に今日消した3人の学生の顔が蘇ってきた。

佐天「………っ」

佐天「(私…何してるんだろ…また人を消そうとしてる…しかも、大事な友達の白井さんを…)」

白井「佐天さん?」

心配そうに覗き込む黒子の顔を視認すると、佐天はポケットから手を出した。

佐天「あ…あの…ごめんなさい…私、失礼なこと言っちゃって…ごめん…なさい」

白井「…い、いえ。私も不躾でしたわ。こちらこそごめんなさい」

佐天「いえ…そんな」

白井「でも、皆が佐天さんを心配してるってことは覚えていてくださいね」

佐天「………はい」

135 : 以下、名... - 2010/02/26(金) 12:43:28.63 9Lzq5Wxj0 66/257

白井「では、帰りましょうか」

佐天「はい」

白井「そうだ、明後日にでも4人でまた例の喫茶店へ行きませんか?」

佐天「え、ああ…そういえば、近いうちに行こうって言ってましたね」

白井「ええ。明後日は何とか仕事を休めそうですの。お姉さまにはこちらから言っておきますから」

佐天「了解しました。私も初春に言っておきますね」

白井「宜しくお願いしますわ」ニコッ

佐天「(そうだよね…白井さんも、御坂さんも、初春も、みんな私の友達だもん…)」

佐天「(みんな私を見下してるとか、妄想もいい加減にしろっつーの私!んな訳ないじゃん!)」

佐天「(やっぱり友達っていいな…。良かった、白井さんを消さなくて…)」

136 : 以下、名... - 2010/02/26(金) 12:48:10.26 9Lzq5Wxj0 67/257

佐天の家―。

まだかまだか、とそわそわしながら室内で佐天の帰りを待つ初春。

彼女の手には、携帯電話が握り締められていた。

初春「佐天さん遅いです…。白井さんからもうすぐ帰るはずってメールあったけど…」

ピンポーン

初春「!!佐天さんだ!」パァァ

ガチャッ

初春「佐天さ…ってあれ?いない?」

ドアを開け辺りを見回すものの誰もいない。

と、油断している初春に後ろから迫る姿があった。

139 : 以下、名... - 2010/02/26(金) 12:54:03.74 9Lzq5Wxj0 68/257

バサアッ

初春「え!?」

佐天「うーーーいーーーはーーーるーーー!!!!」

初春「キャーーーー佐天さん!!!///」

佐天「えっへっへ!縞パンGET!」

初春「もう!ふざけないで下さい!私、心配してたんですよ!」

佐天「あっはっは、ごめんごめん」

佐天「…って初春?」

初春「グス…わだし…さでんさんに…何かあったんじゃ…ヒグッ…ないかと…ずっと…不安で…ヒグッ」

佐天「…初春…」

佐天「ごめん!!」

初春を抱き締める佐天。

彼女は泣き続ける初春の頭を撫でた。

佐天「ごめんねー初春ぅ。私、ちょっと精神的に参ってただけなんだぁ。だから、ね。泣き止んで」ナデナデ

初春「佐天さん……グスッ…」

142 : 以下、名... - 2010/02/26(金) 12:58:56.94 9Lzq5Wxj0 69/257

風呂場―。

バシャアアアア

初春「きゃっ!もう!佐天さん!!」プンスカ

佐天「えっへっへ、シャワーに濡れた初春の顔もそそりますなあ」

初春「もう、どういう意味ですか!」プンプン

浴室で身体を洗う初春。佐天は浴槽に浸かっている。

佐天「いやあ、見ない間に随分大人な身体になったなあって」

初春「それを言うなら、佐天さんのほうがそうです。正直、羨ましいですよ」

佐天「そうかなー?」

佐天「あ、そろそろ浴槽入るよね。じゃあ私先にあがってるね」

初春「はい、分かりました」

浴槽から出る佐天。そのまま扉を開けるかと思われたが…

佐天「うっはー!初春の胸もかわゆすなあ」ペタペタ

147 : 以下、名... - 2010/02/26(金) 13:07:35.59 9Lzq5Wxj0 70/257

初春「キャー!!!佐天さんどこ触ってるんですかぁ///」

佐天「これなら上条さんも喜ぶかもね!」

初春「か、か、か、上条さんは関係ありません!///」

佐天「またまたぁ。顔赤くなってるぞ初春!」

初春「そういう佐天さんだって、本当は上条さんのこと気にしてるくせに!」

佐天「馬鹿!何言ってんのよ!誰があんな人……ハッ!」

初春「ふっふっふ仕返しです」ニヤニヤ

佐天「コラー!」

初春「キャー」

152 : 以下、名... - 2010/02/26(金) 13:16:07.70 9Lzq5Wxj0 71/257

夜11時―。

風呂から上がった後、ずっとお喋りをしていた佐天と初春の二人。

もう遅いということで初春はそのまま泊まることになったが、今は

どっちがベッドで寝るか、ということで揉めていた。

佐天「いつも私寝てるし、今日は初春がベッドで寝なよ。私は床に布団敷くからさ」

初春「それは駄目ですよ。そんな贅沢受けるわけにはいきません」

佐天「うーんこれじゃあ平行線だな……あっ!」

佐天「一緒に寝ようよ!」

初春「え?」

少々狭かったが、中学生の女の子二人が横に並べるだけのスペースは十分にあり、

二人は一緒にしてベッドに潜り込んだ。窮屈に感じたのは確かだったが、佐天は

いつもより暖かい気がして気持ち良かった。

二人して暗い天井を見つめる佐天と初春。

佐天「ねぇ初春ぅ、もう寝た?」

初春「起きてますよまだ。何だか寝れなくて」

佐天「私も。この歳になって友達と一緒のベッドで寝るなんてなかったから…テヘへ」

154 : 以下、名... - 2010/02/26(金) 13:22:42.04 9Lzq5Wxj0 72/257

初春「私なんて初めてですよ」

佐天「そうなんだ。でも何だか修学旅行みたいだね」

初春「今まで色々あったけど、やっぱり私、佐天さんと親友になれて良かったです」

佐天「照れること言っちゃって。私もそうだっての」

初春「ふふ、嬉しいです」

佐天「もうー可愛いんだから初春は!襲っちゃうぞこのー」ガバッ

佐天「コチョコチョコチョ」

初春「キャーははは、や、やめてください佐天さん!あはは、駄目ですって!」

佐天「へへへ。あーあ、初春が男だったら今頃彼氏にしてるのになー」

初春「私も佐天さんが男性だったら好きになってたかも」

佐天「へへ」

初春「ふふ」

佐天「………」

初春「………」

156 : 以下、名... - 2010/02/26(金) 13:29:12.34 9Lzq5Wxj0 73/257

佐天「ねぇ初春」

初春「? 何でしょう?」

佐天「何だかごめんねいつも迷惑かけちゃって」

初春「そんな…気にしないで下さい」

佐天「馬鹿だよね。いつもレベル0だレベル0だって自分で言っちゃって。誰も私のこと見下してもないのに」

佐天「いつも一人で突っ走っちゃって、結果、初春や御坂さん、白井さんに迷惑かけちゃってるんだもん」

初春「………」

佐天「この間のレベルアッパーのことだってそう…。なのに私ったらまた初春たちに心配かけちゃって…」

佐天「自分が嫌になるよ」

初春「私はそうは思いません」

佐天「え?」

初春「佐天さんは、本当は、優しくて強い女の子だってこと私は誰よりも知ってます」

初春「レベルとか能力とかそんなもの無くても、とても魅力溢れる素敵な人です」

初春「いつも元気で、私が辛い目にあったときは励ましてくれる。能力者には無い絶対的な魅力を持ってるんです」

初春「ここ学園都市じゃどうしても能力者のほうが注目されちゃいますけど、そんなの関係無しに…」

初春「私にとってこの世で一番の親友は佐天さん以外いません。断言できます!!」

初春「じゃないと、私は佐天さんと友達になってなんかいません」

159 : 以下、名... - 2010/02/26(金) 13:38:00.81 9Lzq5Wxj0 74/257

佐天「初春…」

初春「だから、自分は駄目なんだって落ち込まないで。佐天さんはこの世にただ一人しかいないんですから」

佐天「(初春…そこまで私のことを…)」ウルウル

佐天「初春ーーー!!!やっぱり初春大好きだー!!」ガバッ

初春「キャー佐天さーん!私たち女同士ですよー///!!」

佐天「はっはっは、冗談冗談」

初春「もうー!」

佐天「えへへ」

佐天「あ、そうだ」

初春「何です?」

佐天「白井さんと話したんだけどさー、明後日、4人でまた例の喫茶店行かない?」

初春「あ、いいですねそれ。私もその日は開いてますし」

佐天「じゃあ決まりだ。楽しみだなー!」

初春「私も楽しみです」

佐天「へへ…」

初春「ふふ…」

164 : 以下、名... - 2010/02/26(金) 13:47:10.40 9Lzq5Wxj0 75/257

佐天「ねぇ初春…」

初春「何でしょう?」

佐天「私たち、ずっと親友だよね?」

初春「当たり前ですよ。今更何を言ってるんですか。私たちはいつまでも親友です」

佐天「ずっとだよ?ずっとずっと…」

初春「ずっとです。ずっとずっと…」

佐天「良かった。ありがとう初春…」

佐天「(そうだ…私は、レベル0の無能力者でも、大切な友達がたくさんいるんだ)」

佐天「(御坂さん、白井さん、そして初春…。みんな、掛け替えのない私の大事な、大事な友達)」

佐天「(なのに卑屈になって…馬鹿だな私。そうだ、あのボタンはもういらない…私には必要のないもの…)」

佐天「(上条さんにまた会うまでしまっとこう)」

佐天「(……でももし、私が7人もの人間を消してたの知ったら、初春は何て思うのかな…。ちょっと心配だな)」

佐天「……ねぇ初春。もし…そう、仮にだよ。もし私が7人の人間を殺してた、って言っても初春は私と親友でいてくれる?」

佐天「…………初春?」

初春「スースースー」zzzz....

佐天「……何だ寝ちゃってたのか。……私も早く寝よう」

佐天「(消した人はもう戻って来ない…。それは私の責任…。もう、これ以上人を消さないようにしなきゃ…)」

168 : 以下、名... - 2010/02/26(金) 14:00:06.83 9Lzq5Wxj0 76/257

翌日―。ジャッジメント第177支部。

白井「はうー仕事が多すぎて疲れますわ」

白井「初春が現場復帰するのは明後日ですから、とにかく今は我慢と忍耐ですわ」

御坂「佐天さん、どうやら調子戻ってるみたいね」

白井「ええ、ようやくメールにも返事をくれるようになりましたの。やはり初春のお陰ですわね」

御坂「まさに女の友情って感じね。まるで恋人みたい。羨ましいわー」

白井「何をおっしゃいますのお姉さま。お姉さまには私がいるではあーりませんか」

御坂「あんたは不純なのよ不純」

白井「至って純粋だと思われますが」

固法「白井さん!届いたわよ!例のテープ!」

白井「あら、本当ですの?」

御坂「何々?例のテープって」

白井「ほら、おっしゃったように、最近、学園都市の至る学校でクラスの人数の帳尻が合わない件が報告されているじゃありませんか」

御坂「ああー何か言ってたね」

171 : 以下、名... - 2010/02/26(金) 14:08:22.37 9Lzq5Wxj0 77/257

白井「昨日も、その報告があったのですが、その報告から数時間後でしょうか」

白井「アンチスキルに匿名の電話がかかってきましたの。若い女性の声で」

白井「その音声が記録されたテープがようやく回ってきたんですの」

御坂「ふーん何か色々大変ねぇ」

固法「じゃあ白井さん、私、また現場へ戻らなきゃならないから代わりに聞いておいてくれる?」

白井「分かりましたわ」

白井「では早速」

ガチャッ ピー

テープ「……ジジ…わだ…ジシジ゙…げじ…ガーッ…ちゃった…げじちゃ…ジジジ…った」

御坂「ノイズが多すぎて聞き取れないわね」

白井「オリジナル音声ではないので仕方ありませんの。ではもう一度」

テープ「……ジジ…わだ…ジシジ゙…げじ…ガーッ…ちゃった…げじちゃ…ジジジ…った」

白井「……!?」

御坂「女の子が喋ってるぐらいしか分からないわね。ねぇ黒子?」

白井「…………」

御坂「黒子?」

174 : 以下、名... - 2010/02/26(金) 14:16:03.48 9Lzq5Wxj0 78/257

白井「この声どこかで……。もう一度ですわ」

テープ「……ジジ…わだ…ジシジ゙…げじ…ガーッ…ちゃった…げじちゃ…ジジジ…った」

白井「(何だか非常に聞き覚えがある声ですの。いえ、確証はありませんが…。そんな気が…)」

御坂「何かこの人さあ、『わたし消しちゃった』って言ってるように聞こえない?」

白井「!!」

白井「消しちゃった…?」

  「…白井さん…私、また消したんだよ…これで7人目…」―

  「そういえばこんな都市伝説知ってる?」―

  「そう。この学園都市には、自分が嫌いな人を消すことができる装置があるって」―

ガチャッ ピッ

御坂「黒子?」

白井「………」

テープ「……ジジ…わだ…ジシジ゙…げじ…ガーッ…ちゃった…げじちゃ…ジジジ…った」

白井「この声やはり…」

白井「…『消しちゃった』…7人…一度目の報告が1人、次が3人、その次も3人…足すと…」

178 : 以下、名... - 2010/02/26(金) 14:21:53.14 9Lzq5Wxj0 79/257

白井「!!」

白井「ちょっと本部へ行ってきますわ!」ブンッ

御坂「え!?黒子!?」

ジャッジメント本部―。

白井「これですの。『学園都市計画中止道具目録』」

白井「やはり…。過去に流された都市伝説の道具のほとんどが、ここに記載されてますわ」

白井「以前、初春と一緒に固法先輩に連れてもらってここへ見学に来たときに、一度拝見していたのが助かりましたわ」

白井「しかし、実際に私の目的のものが載っているかどうか」ペラペラ

白井「!?」

白井「『人間消失器』―ありましたわ!…学園都市の上層部が独裁を敷くためにつくられたと言われている」

白井「でも非科学的すぎて上層部から計画中止を言い渡されている…。そしてその後、一度盗難に遭いそのまま」

白井「もしこれが本当なら、佐天さんは恐らくこの道具を入手したことに…。いけませんわ」

ジャッジメント本部を出、黒子はテレポートを繰り返し支部への帰路に着く。

白井「初めに事例が報告されたのは、5日前。佐天さんが学校を欠席し家に引きこもったのもその辺り」ブンッ

白井「佐天さんが言った『これで7人目』は、今までに起きた事例の数の合計と合致してますわ」ブンッ

白井「そしてあのテープ…恐らくは昨日、3人の学生を消した直後に衝動的にアンチスキルに入れたものだとしたら…」

白井「…あの声はどう考えても佐天さんのものですわ」ブンッ

180 : 以下、名... - 2010/02/26(金) 14:27:34.99 9Lzq5Wxj0 80/257

  「…白井さん…私、また消したんだよ…これで7人目…」―

白井「何故、もっと早く気付いてやれなかったんですの?」ブンッ

白井「早く帰ってお姉さまに知らさなければ!これ以上被害が出たら…」ブンッ

白井「もしお姉さまと初春にも被害が及んだら、黒子、一生後悔することになりますわ!」ブンッ

白井「!? 今のは…」ブンッ

とある公園―。

その日も一人で外出していた佐天涙子。

彼女は今、とある公園のベンチにいた。

佐天「やっぱ駄目かー。ここなら上条さんに会えると思ったんだけど、今日は来ないのかな?」

佐天「早く、これ、返したいのに。…それとも押し付けられたのかな?」

顔を曇らせ、佐天は手元のボタンを見遣る。

白井「佐天さん!」

佐天「え?白井さん?何でここに?」

突如、掛けられた声に驚き顔を上げる佐天。

目の前には、白井黒子が息を切らして立っていた。

183 : 以下、名... - 2010/02/26(金) 14:32:18.24 9Lzq5Wxj0 81/257

白井「はぁはぁはぁ…佐天さん…」

佐天「どうしたんですか、そんなに慌てて?」

佐天の手元を見る白井。そこには見慣れる形をしたボタンが握られていた。

白井「やはり…」

白井「佐天さん、申し訳ありませんが、今から私はジャッジメントとして貴女を連行します」

佐天「え?え?何言ってるの?」

白井「そのボタン…学園都市から7人の学生を消したのは貴女ですのね?」

佐天「!!」

佐天「ど、どうしてそれを…」

白井「例え貴女が消した人がこの世に初めから存在していない人間だったとしても、貴女が犯行を行ったのは事実」

白井「学園都市史上、前例のない事件ですが、このまま放っておいたら史上最悪の凶悪事件にもなりかねない」

佐天「史上最悪……」

白井「だから貴女を今から…」

佐天「待って!!」

白井「!?」

186 : 以下、名... - 2010/02/26(金) 14:37:58.81 9Lzq5Wxj0 82/257

佐天「それ本気で言ってるんですか?私、そんなこと…。確かに消したのは本当だけど…」

佐天「だって、仕方がないじゃないですか。私、無能力者なんだし…身を守る術くらい…」

白井「佐天さんの場合は、それがいきすぎてますの」

佐天「……そんな、だって、私…本当は不可抗力で」

白井「不可抗力であっても失った人は戻ってきませんわ。だから、佐天さん…」

佐天「白井さん、やめてよそんなこと言わないで。私たち、友達でしょ?ね、友達だよね?」

白井「…………」

白井「確かに、佐天さんは掛け替えのない友達ですわ」

白井「貴女がレベル0であった自分にコンプレックスを抱いているのも知っています」

白井「しかし、逆にレベル0であることを建前に、自分が好きなように人を消していたらそれは見逃せませんの」

佐天「!!」

白井「佐天さん、貴女は友達ですわ。ですが、今は心を鬼にします」

白井「これ以上被害が出ると、初春にも手が及びかねませんの」

佐天「…私が…初春を?」

白井「今は、友達ではなくジャッジメントとして対応させて頂きます。さあ、その手元の物を渡しなさい!!」

そう言い、一歩ずつ佐天に迫る黒子。逃げようとしても、相手はレベル4のテレポーター、

白井黒子から逃げ切るのは不可能だろう。そう考えているうちに、黒子は更に佐天に近付く。

190 : 以下、名... - 2010/02/26(金) 14:44:04.65 9Lzq5Wxj0 83/257

白井「さあ、早く」

佐天「やだ…」

白井の手が佐天の手元に伸びようとする。

佐天「来ないで!!これは私のです!!!」

突如、暴れ始める佐天。

白井「なっ!…暴れるのは止しなさい!」

空中を行ったり来たりするボタン。

白井は何とか掴もうとするが叶わない。

佐天「やだぁ!来ないで!!来ないで!!!あっち行って!!!!」

白井「早くそれを…私に」

佐天「来るなあ!!!来るなあ!!!!!!」

遂に白井が佐天の手を掴む。

と、その時。

佐天「来るなあ!!!!白井さんなんか消えちゃえええええええええ!!!!!!!」

白井「え?」

193 : 以下、名... - 2010/02/26(金) 14:50:51.66 9Lzq5Wxj0 84/257

ピッ

瞬時、白井と顔を合わせる佐天。それが、彼女が白井の姿を見た最後だった。



ピシュン!!!



と、間髪入れずに再び暴れ出す佐天。

佐天「来ないで!来ないでよーぅ!!消しちゃうからね!!!私に近付くと白井さんでも消すからね!!!」

学生「おい、あの女、一人で何やってんだ?」

学生「昨日見かけたガイキチ女じゃねーか。やべーぜ近付いたら怪我するぜ」

佐天「……ハッ!」

我に返り、辺りを見回す佐天。

しかし、そこにはもう、白井黒子の姿はどこにもなかった。

197 : 以下、名... - 2010/02/26(金) 15:00:33.44 9Lzq5Wxj0 85/257

佐天「白井さん?」

佐天「……白井さん?」

佐天「……………」

佐天「ふ、ふざけないでくださいよ。隠れてないで出て来て下さい…」

佐天「白井さん!!!」


  「来るなあ!!!!白井さんなんか消えちゃえええええええええ!!!!!!!」 ―


佐天「…まさか私、白井さんを消しちゃったの…?」

佐天「ぅそ…嘘だよね…だって、今までそこにいたもん…そこにいたもん……」

ふと、最後に見た白井の顔が佐天の脳裏に蘇る。

佐天「やだ…そんなの…いや…うそ…」

佐天「やだよ!白井さん、ふざけないで出てきてよ!!白井さん!!!!出て来てよ!!!!」

立ち上がり、叫ぶ佐天。周囲にいた学生たちは怯え、次々と逃げていく。

佐天「お願いだから出てきてよ!!もう、馬鹿なことしないからさ!!…ねぇ…出てきてよ…」

佐天「出てき・・・ひっぐ…うぐ…白井…グスッ…さぁん…」

佐天「うわぁあああぁぁぁあぁぁああああああぁん!!!!!」

大声で泣きながら、佐天涙子はその場から逃げるように去っていった。

彼女の手には、「白井黒子」という人間の存在を抹消したボタンが握られていた。

231 : 以下、名... - 2010/02/26(金) 20:02:26.87 RmCwRQJP0 86/257

翌日―。

佐天の家―。

佐天「…………」

一日中泣いていたのか、佐天涙子は布団の中でくるまり、

充血した目をトロンとさせていた。

佐天「…白井さんを消しちゃった……もし白井さんが消えたこと知ったら…」

佐天「御坂さんや初春は何て言うかな…それでも私と友達で…いてくれるかな…?」

佐天「…白井さん、ごめん…うぐ…ひぐ…だから、戻ってきてよ…」

  「ジャッジメントですの!」―

佐天「じらい…さん…グス」

 ピンポーン!

佐天「!!」

佐天「……白井さん?」

 ピンポーン!

佐天「白井さんだ!戻ってきたんだ!!」

佐天「願いが届いたんだ!」

236 : 以下、名... - 2010/02/26(金) 20:10:44.01 RmCwRQJP0 87/257

急いでベッドから降り、走る佐天。

そのままの勢いで彼女はドアを開けた。

佐天「白井さん!」

初春「はい?」

佐天「………!!」

佐天「あ、初春か…」

初春「う、何だか残念そうな顔してますね」

佐天「…あ、ううん…そうじゃないの…気にしないで…」

初春「何だかまた元気がないですね。って、部屋の中どうしたんですか!?」

佐天「え?…あ、ああ。あれ…」

初春「こんなに散らかっちゃって!!」

佐天「(言えない…白井さんを消しちゃったことで自暴自棄になって暴れたなんて…いくら初春でも)」

238 : どんどん佐天さんを突き落としちゃうぞー - 2010/02/26(金) 20:17:20.88 RmCwRQJP0 88/257

佐天「ごめん、ちょっと探し物してたらさ…散らかっちゃったんだ」

初春「そうなんですか。ならいいんですけど」

佐天「(話題変えなきゃ…)」

佐天「で、何か用?初春…私、出来れば今日は一人で…」

初春「何言ってるんですか?今日、皆で喫茶店行くって約束してたじゃないですか」

佐天「あ、そういえば…そうだったね」

初春「御坂さんとの待ち合わせ時刻まで5分ですけど、飛ばせば間に合いそうですね」

佐天「(どうしよう……白井さんはもういないのに、何て釈明すればいいんだろ…)」

佐天「(白井さんのこと言ったら、初春でも怒るかな…?…怒るよね。きっと絶交されちゃう…)」

初春「さ、佐天さん。急ぎましょう。テレポートすれば今からでも間に合いますから」

佐天「(でも…このまま隠しててもいつかは……え?)」

241 : 以下、名... - 2010/02/26(金) 20:24:37.55 RmCwRQJP0 89/257

佐天「初春、今、何て言ったの?」

初春「??」

初春「いえ、ですから、御坂さんとの待ち合わせ時刻に遅れますからテレポートで急ぎましょう、と」

佐天「な、何言ってんのあんた!?初春、テレポートなんて出来たっけ?」

初春「え、え、佐天さんこそ何を言ってるんです?? 私の能力は空間転移(テレポート)ですけど…?」

佐天「ちょっ、からかわないでよ初春!!その能力は白井さんのでしょ!」

初春「白井さん……?」

佐天「そうだよ!常盤台中学に通う、レベル4の風紀委員(ジャッジメント)、白井黒子さんだよ!」


初春「  誰  で  す  そ  れ  ?  」


佐天「…え?…」

初春「レベル4で風紀委員(ジャッジメント)、空間転移(テレポート)を得意とする能力者は…」

初春「この学園都市で私しかいないはずですけど…」

佐天「!?」

242 : 以下、名... - 2010/02/26(金) 20:31:53.40 RmCwRQJP0 90/257

初春「というか白井さんって本当に誰です?佐天さんのお友達?」

佐天「な、何言ってるの初春!!白井さんだよ?初春のジャッジメントの先輩の!」

佐天「ほら、いつも御坂さんにくっついてる!ツインテールで背が小さくて童顔で、お嬢様口調の!」

初春「うーん…心当たりないんですけど…」

佐天「そんな…!」

佐天「(はっ…!!そう言えば、鋼盾くんのときも……。そうだ、あのボタンは、消した人を初めから存在させなくする…。そういう道具だったっけ……)」

佐天「(私、何てことを…本当に、何て事をしちゃったんだろう…!!!)」

初春「あ、もう時間がない!じゃあ行きますよ?」

佐天「え?」

ブンッ

245 : 以下、名... - 2010/02/26(金) 20:37:18.79 RmCwRQJP0 91/257

とある喫茶店―。

窓際の座席で時刻を確認する御坂。

そこへ、佐天と初春が現れた。

ブンッ

初春「ごめんなさい! 遅れましたか!?」

御坂「あ、大丈夫大丈夫。私もたった今来たとこだから」

初春「よかったー」

佐天「(本当に…テレポートした…あの初春が…白井さんみたく…)」

佐天「(もしかしてあのボタンは、誰か人間を消しちゃったら、別の身近の誰かが代わりの人間になるってこと…?)」

佐天「(そんな…それじゃ初春は白井さんの代わりにレベル4に……!! 私、何てことを!!何てことを!!)」

初春「じゃあ早速…」

御坂の隣の席に座る初春。

初春「お姉さまああああああああああ!!!!!! 会いたかったですぅううううううぅぅうううう!!!!!」

佐天「………え?……何コレ…」

257 : 再開します - 2010/02/26(金) 21:25:06.16 yG+5rfTk0 92/257

御坂「あーもうコラ!!あんたはいつもそうやって!!」

初春「いいじゃないですかお姉さま!! 私とお姉さまは相思相愛、身体を許した仲なんですからぁ!!」

御坂「誰が相思相愛じゃゴルァ!!! そして身体も許してない!!」ビリビリッ

初春「あーお姉さまの愛の鞭、気持ちいいいですぅ!!」ビクビクッ

佐天「何…これ…」

御坂「ん?どうしたの佐天さん?突っ立って」

佐天「…え…あ、ごめんなさい(完全に初春が白井さんのポジションになってる…)」

表情を曇らせたまま、佐天は御坂と初春の向かいの席に座る。

初春「そうそう、お姉さま、佐天さんったらおかしなこと言うんですよー」

御坂「おかしなこと?」

初春「ええ。何でも私は本当はレベル4じゃないとか、テレポートじゃないとか…」

佐天「………」

御坂「へぇー何だってそんなこと…」

初春「佐天さんによると本来私はレベル1らしいですけど…で、レベル4のジャッジメントでテレポーターと言えば、『白井黒子』という生徒しか思い当たらないとか…」

初春「佐天さん、何で急にそんなこと言ったりしたんですか?」

264 : 以下、名... - 2010/02/26(金) 21:33:34.11 yG+5rfTk0 93/257

佐天「…だって、私が知ってるレベル4のテレポーターは、白井黒子って人で、初春はレベル1のどちらかと言うとパソコンが得意で…。そうやって御坂さんに過剰になつくのも、本来は白井さんの役目で……」

御坂と初春は怪訝な表情をして顔を見合わせる。

御坂「あっはっは、佐天さんたら面白いこと言うわね。この子の行動にはウンザリしてるって言うのに…」

御坂「正直、この子以外の女の子なら、こうやって迫ってくるのも可愛いんだけどねー」

初春「お姉さま、それどういう意味です!?」

御坂「そのままの意味よー」

初春「残念です。でもこの初春、いつか必ずお姉さまの心と身体をこの手に…!」

御坂「だから、それがウンザリだって言ってんのよ!!」ビリビリッ

初春「ああああーいいですぅ、とても気持ちいいですぅうう」

佐天「こんな馬鹿なやり取りも、いつもは御坂さんと白井さんがやってるのに……」

御坂「…………」

初春「…………」

御坂「ねぇ、佐天さん…気になってたんだけど…」

佐天「…はい?」

御坂「本当に、その『白井黒子』って誰なの?」

266 : 以下、名... - 2010/02/26(金) 21:39:53.67 yG+5rfTk0 94/257

佐天「………!!」

佐天「どうして知らないんですか!!??どうして御坂さんが白井さんを知らないんですか??」

突如声を荒らげる佐天。その気迫に御坂と初春は一瞬、気圧された。

初春「わっ」

御坂「!!!」

佐天「何で…御坂さんが知らないんですか…どうして…何で…あんなに…仲が良かったのに…」

御坂「ごめんなさい佐天さん…。私は、本当に、『白井黒子』って言う子は知らないの…」

佐天「………」

御坂「生憎、いつも私にベタついてくるのは、この飾利のみ…」

佐天「(…飾利…下の名前で呼んでるんだ…)

初春「えっへっへ」

御坂「いや、褒めてないから」

御坂「とにかく今は落ち着いて、一緒にパフェでも食べましょ?ね?」

佐天「………(本当に、何も覚えてないんだ御坂さんも……)」

佐天「(何だか、頭がおかしくなりそうだよ…白井さん…)」

267 : 以下、名... - 2010/02/26(金) 21:47:00.52 yG+5rfTk0 95/257

しばらくして―。御坂の隣で嬉しそうにパフェを食べながら御坂にくっつく初春。

それを嫌々ながらもどこか愛がこもった言葉で制止する御坂。

そんな中、佐天はただ一人、黙々とパフェを食べていた。

初春「お姉さまー私のパフェと一口交換しません?ほらぁ、私のスプーンを使って…えへへ」

御坂「だーもうあんたは!同じの食べてるのに交換なんて意味無いでしょ!」

佐天「(何だろうこれ…目の前の二人を見てると、何だか、言葉では言い表せない気持ちが湧いてくる…)」

佐天「(初春…いつもは私の隣の席なのに…。どうして御坂さんとそんなに仲いいの?…)」

佐天「(そういやこの初春はレベル4なんだっけ…。御坂さんはレベル5。…対して私はレベル0…)」

佐天「(どんなに状況が変わろうと、私のレベルだけは変わらないんだね…。何だろこの疎外感・・・)」

初春「ほらーお姉さま恥ずかしがらずにー」ベタベタイチャイチャ

御坂「恥ずかしがってないから」

佐天「(何だか…よく分からないけど…イライラするな…何でだろう…)」

佐天「(二人して、まるで私がいないみたいにして…。何かムカツク……早く帰りたいなもう)」

御坂「? …どうしたの佐天さん?あんまり食べるの進んでないみたいだけど…」

佐天「え?あ、な、何でもないです。あまりにもおいしいからゆっくり食べてるだけで…」

初春「佐天さんも私とお姉さまのあまりの仲の良さに嫉妬してるんですよー」

御坂「ないから」

佐天「………っ」イラッ

佐天「(人の気も知らないで…)」

270 : 以下、名... - 2010/02/26(金) 22:00:10.55 yG+5rfTk0 96/257

数十分後―。

店員「ありがとうございました」

御坂「さて、これからどうしようか」

初春「お姉さまが仰るのならどこへでも行きますよー」

佐天「あ、あの…」

御坂初春「ん?」

佐天「ちょっと用事があるので私はこれで帰ります」

御坂「そうなんだ。それは残念ね」

佐天「ごめんなさい」

御坂「いいのいいの。私たちも特に行くとこないしねー。どうする飾利?」

初春「別にどっちでもいいですよー」

御坂「じゃ、やることないし私たちも帰ろうか」

初春「はい」

佐天「え?」

御坂「それじゃ佐天さん。私たちも寮に帰るから」

272 : 以下、名... - 2010/02/26(金) 22:07:08.20 yG+5rfTk0 97/257

佐天「ま、待って下さい!」

御坂「どうしたの?」

佐天「う、初春は確か私と同じ方角じゃ…」

御坂初春「?」

初春「何言ってるんですか佐天さん。私はお姉さまと一緒の寮ですよ」

佐天「…え、いや、だっておかしいじゃん。御坂さんの寮は常盤台女子中学の生徒しか入れないはずじゃ…」

初春「そうですけど…何かおかしいですか?」

佐天「えっ!?」

御坂「何だか今日の佐天さんおかしいわね」

御坂「ほら、忘れちゃったの?飾利は私と同じ常盤台中学の生徒じゃない」

佐天「!!??」

初春「しかも同じ部屋なんですよねお姉さま」

御坂「不可抗力だけどね…」

273 : 以下、名... - 2010/02/26(金) 22:13:07.30 yG+5rfTk0 98/257

佐天「そんな、だって、初春……制服は?常盤台の生徒は制服着用の義務があるはずじゃ…」

初春「今、常盤台では『私服試行期間』ってやってるんですよ。だから今日はお気に入りの服で決めてきたんです!」

御坂「私はそんな暇なかったから今日は制服だけどね」

佐天「………(初春が…常盤台の生徒…?)」

御坂「じゃ、そろそろいいかな?」

佐天「え?」

御坂「また暇があればここに集まりましょ。じゃ佐天さん。私たちはこれで失礼するわね」

初春「また食べに来ましょうね」

手を振り、踵を返す御坂と初春。初春は御坂に腕を組んでいる。

佐天はただ二人が離れていく姿を茫然と見ているしかなかった。

遠くなっていく二人の会話が耳に届く。

初春「にしても今日の佐天さん、何だかおかしかったですねー。一体『白井黒子』って誰なんでしょうか」

御坂「さあ…変わった名前してるけどね。まったく覚えがないし、佐天さんの勘違いじゃない?」

二人が豆粒大の大きさになるまで、佐天はただずっと黙ってその場に立っていた。

274 : 以下、名... - 2010/02/26(金) 22:20:04.13 yG+5rfTk0 99/257

翌日、佐天涙子は学校へ登校していた。

久しぶりの彼女の登校に教師や友人たちは励ましの言葉を贈ったが、

彼女自身の心が晴れることはなかった。

教師「で、これがこうだからして、つまりこうなるわけだ」

佐天「(…やっぱり、初春が来ていない…)

佐天「(…当然、だよね…。初春は常盤台中の生徒なんだから……)」

――――――――――――――――――――――――――――――

佐天「うーいーはーるー!!」

初春「キャーーーーー佐天さん!!」

佐天「おお、今日は可愛らしい花柄パンツかぁ。涙子ちゃん眼福ー」

初春「もう、やめてくだしあ佐天さん。恥ずかしいです」

佐天「あっはっは、苦しゅうない苦しゅうない」

――――――――――――――――――――――――――――――

佐天「あ、宿題忘れちゃったー。初春見せてー」

初春「もう、佐天さんたら。今回だけですよー」

佐天「分かってる分かってるって」

――――――――――――――――――――――――――――――

佐天「学食空いてなかったし今日はパンが昼ごはんかー」

初春「でもたまにはいいかもしれませんね」

佐天「って、初春結構パン買ってるね。太るぞー」

初春「ふ、太りませんよ!これでもきっと足りないくらいです」

佐天「あはは、初春、華奢だもんねー」

277 : 以下、名... - 2010/02/26(金) 22:25:06.69 yG+5rfTk0 100/257

――――――――――――――――――――――――――――――

教師「と、いうわけで、明日までペアを決めておくように」

佐天「ねーねー初春ー」

初春「何です佐天さん?」

佐天「あのペア一緒にやろーよー」

初春「いいですよもちろん」

佐天「やったー!」

――――――――――――――――――――――――――――――

佐天「(初春がいないだけで、こんなに違うんだね、学校って……)」

ブブブブブ

佐天「(…ん?メール…あ、初春からだ…)」

佐天「『佐天さん元気ですか?何だか昨日元気がなくて心配だったんですけど…(><)』」

佐天「(初春…前の初春と違っても、優しいのは変わらないんだね……)」

佐天「『そこで、今日一緒にセブンスミストでも行きませんか?(`・ω・´) クーポンも持ってますし(´▽`*)』」

佐天「(……セブンスミストかあ…今日学校つまらなかったからなあ…初春にも会ってないし)」

佐天「『追伸、お姉さまも来るそうです!!!やったぁぁあぁあああああああヽ(゜▽゜*)ノ』」

佐天「(なんだ、御坂さんも来るのか……。別に御坂さんが嫌ってわけじゃないけど…何か急に行きたくなくなっちゃったな…)」

佐天「(どうしよう…)」

279 : 以下、名... - 2010/02/26(金) 22:31:09.93 yG+5rfTk0 101/257

セブンスミスト―。

初春「あ、お姉さま!来ましたよ佐天さんが!」

初春「佐天さーん!ここでーす!」

初春「来てくれて良かったですホント。昨日、佐天さん元気なかったから」

佐天「初春…」

御坂「こんちにわ佐天さん」

佐天「御坂さんも…」

佐天「初春…その制服…」

初春「ん? ああ、今日は学校帰りですから」

佐天「(初春がずっと憧れてた常盤台中の制服…)」

佐天「そう、似合ってるよ…とっても」

初春「ふぇぇ?何ですか今更!恥ずかしいなぁもう///」

佐天「ふふ(対して私は柵川中の地味なセーラー服か…)」

御坂「じゃあ早速見て回りましょうか」

281 : 以下、名... - 2010/02/26(金) 22:38:53.77 yG+5rfTk0 102/257

佐天「お、可愛い服発見。ねぇ初春ー、これ、初春に似合いそうだよ……ってあれ?初春?」

佐天「あ、あんなところに…」

初春「お姉さまー、これなんてどうでしょう?お姉さまにピッタリだと思いますよー」

御坂「うーん、私的にはこっちがいいっていうかー」

初春「お姉さま、それはさすがにセンスが如何なものかなーと」

御坂「そうかな?可愛いと思うけど…」

佐天「なんだ、また御坂さんとくっついてんのか……。まるで本当に御坂さんと白井さんの関係みたい……」

佐天「私は一人で物色することにしますか…」

そう言ってその場を離れる佐天。

御坂と初春はそんな彼女に気付かずに、変わらず服選びに没頭している。

佐天「はーあ…まただ…またイライラする……何かムカツクんだよね…」

佐天「何か私に合った服ないかなー?……って、私なんでこんなところにいるんだろ?」

佐天「ん?」

佐天が視線を向けた先―そこにはどこか見覚えがある一人の少女の後姿があった。

佐天「(あの背が小さい子……常盤台の制服…ツインテール……」

佐天「まさか…!白井さん!?」

駆け寄る佐天。

佐天「白井さんだ!戻って来たんだ!白井さん!!白井さん!!!」

284 : 以下、名... - 2010/02/26(金) 22:45:23.36 yG+5rfTk0 103/257

少女の肩に手をかける佐天。少女が驚き振り返る。

佐天「白井さ……」

少女「はぁ?誰ですかあなた?」

佐天に声をかけられた少女は、白井とは似ても似つかない顔を持ち驚愕と困惑の表情を佐天に向けていた。

佐天「(別人……)」

佐天「ごめんなさい…人違いだったみたい…」

佐天「(そうだよね…白井さんは私が消しちゃったんだ…こんなところにいるわけない…)」

「きゃー!!!」

佐天「ん?」

「なんだあいつら?」

「何やってんのあれー」

突然うるさくなった周囲に気付き、佐天は騒ぎの中心である服屋に目を向けた。

3人の不良たちが店員に向かって脅しをかけているのだ。

1人は店員の胸倉を掴み、もう2人は暴れながら店の商品を倒したり散らかしたりしている。

不良A「オラァ!!今おれたちは機嫌が悪いんだよ!!俺様ご所望の服がねぇなら金よこせや!!」

店員「おおおおお客様、もも申し訳ありませんがそれは無理でございます!! あー服を散らかさないで!!」

不良B「俺たちの言うことがきけねえならもっと酷くしてやるぜ」ガシャーン

不良C「さっさと金払え金ー」ドガラシャーン

286 : 以下、名... - 2010/02/26(金) 22:50:12.88 yG+5rfTk0 104/257

「何あれー感じわるーい」

「ただの言いがかりじゃん」

次々と客たちが逃げていく中、一人だけそこに近付く姿があった。

不良C「あ?なんだてめぇ?」

佐天「あ、あ、あの…いい加減そのあたりにしたらどうでしょうか?」

不良B「はぁあああ?てめぇ、殴られたいのか?」

佐天「………こ、こわくないですよそんなの(そうだ、いざとなったら私にはこのボタンが…)」

佐天はポケットに手を突っ込み、ボタンの感触を確かめる。が、ポケットは空っぽだった。

佐天「(無い……!?そうか、白井さんを消したあと、家の引き出しに閉まってるんだった…)」

佐天「(でも、ここまできたら引き下がれないもん)」

佐天「……や、やめなさいよ…」

「佐天さんは下がっててください!!」

佐天「え?」

「危険ですから後ろにいて下さい!!」

突如、佐天の目の前に現れた一人の少女。彼女の腕には腕章が巻かれていた。



初春「ジャッジメントです!」



289 : 以下、名... - 2010/02/26(金) 23:00:59.15 yG+5rfTk0 105/257

佐天「初春!!」

初春「あなたたち、今すぐその馬鹿げた行為をやめなさい。これ以上やったら許しませんよ!!」

不良C「ああああ?ジャッジメントが何だってんだよ!?」

そう言い、一人の不良が懐から取り出したナイフを構え初春に向かって突進してきた。しかし、突如消える初春。

不良C「消え…」

初春「こっちです!!」

不良C「後ろ…?いつの間に!?」

態勢を悪くした不良の足を引っ掛け、次いで顔に当身を食らわす初春。バランスを失った不良が床に崩れ落ちる。

不良A「こいつぅ!!能力者のテレポーターか!!」

店員から腕を離し、動こうとしたのも束の間、不良は壁に叩きつけられる。

はりつけにされた不良の袖やズボンは、鉄の矢で壁と固定されていた。

不良A「くっ動けねぇ!!ちくしょう!!」

初春「2人。残るはあと1人……お姉さま!!!」

その場から逃げ出す残された最後の不良。

御坂「任せなさい!!」

目の前に御坂を視認すると、不良は雄叫びを上げ、突進していった。

291 : 以下、名... - 2010/02/26(金) 23:07:51.67 j764pDLr0 106/257

御坂「ほんの少し我慢してよね!」

ビリビリッ

不良B「うおおおおおお」

力を極限にまで抑えた御坂の電撃が不良を襲う。

不良B「う…ぐ…お」ガクッ

そして最後の不良もその場に倒れ込んだ。

初春「終わりですね。何とも容易い」

御坂「ま、常盤台のレベル5とレベル4に掛かればこれぐらい、朝飯前よね」

佐天「(すごい…完全に二人の息が合ってた……私の出る幕なんてなかった…)」

パチパチパチ

佐天「え?」

「すごいぞ二人とも!!」

「見てあれ、常盤台の制服よ!!」

「あの子、学園都市第三位の超電磁砲じゃない?」

「すごーい」

野次馬から湧き起こる歓声と拍手。御坂と初春は照れ臭そうに目を合わせる。

292 : 以下、名... - 2010/02/26(金) 23:12:15.01 j764pDLr0 107/257

佐天「…………」

佐天も一応、周りに合わせ拍手をするが、彼女の表情は少々曇っていた。

初春が店員に事の顛末を伺い始めると、御坂は佐天に近付いてきた。

御坂「大丈夫、佐天さん?」

佐天「………」

御坂「怪我なかった?……どうしたの?」

伸ばそうとした腕を佐天が振り払った。

御坂「佐天さん?」

佐天「わ、私だって無能力でもあれぐらい一人で撃退できてましたよ!!」

御坂「えっ……」

それだけ言い残し、突如逃げ去る佐天。あっという間のことに反応が遅れた

御坂は、彼女を追いかけることが出来なかった。

「何あの子?感じ悪いわね」

「無能力者だって生意気なこと言っちゃって」

「本当は怖気づいて動けなかったくせにー」

野次馬の声を後ろでにエスカレーターを駆け下りていく佐天。そんな彼女の後姿を、御坂はただ目で追うしかなかった。

しかし、御坂は見逃さなかった。御坂の腕を振り払った佐天の目にうっすらと浮かんでいた涙を。

御坂「佐天さん……」

294 : 以下、名... - 2010/02/26(金) 23:19:30.97 j764pDLr0 108/257

夜・常盤台中学女子寮―。

御坂「飾利ー、あんたまだ寝ないのー?」

初春「すいませんお姉さま。今日の件で報告書を書かなければならないので」

御坂「あーあれねー。大変ねジャッジメントも。まあ私も飛び入り参加しちゃったけどさ」

初春「その分も含めての報告書なんです…ってお姉さま、どうしました?」

御坂「………」

御坂「うーん…ちょっと佐天さんのことが気になってねー」

初春「そう言えば佐天さん、いつの間にか帰ってましたね。何かあったんですか?」

御坂「いや、大したことじゃないけど、不良を片付けた後佐天さんのところに行ったら、腕を振り払われてさ…」

御坂「『無能力でもあれぐらい一人で撃退できてましたよ』って怒られちゃって…」

初春「そんなことがあったんですか?」

御坂「うん…しかも何か涙目になってたし」

初春「それはまた…。でも佐天さんはレベルアッパーの件もありましたし最近は元気無かったですからね」

御坂「そう、それよそれ。そこが気になるのよ。特に、あの子が言ってた『白井黒子』っていう女の子のこと」

初春「あーそう言えば言ってましたね。一体誰なんでしょうね『白井黒子』って」

296 : 以下、名... - 2010/02/26(金) 23:24:03.09 j764pDLr0 109/257

御坂「まったく覚えがないんだけど、佐天さんのあの言い様…なんか嘘にも思えないのよね」

初春「正直、私としては佐天さんが心配ですね…その『白井黒子』さんについても、彼女の情緒不安定な状態が生み出した妄想の人物、と考えられませんか?」

初春「佐天さんには悪い言い方になっちゃいますけど…能力者に対するコンプレックスによって作られた架空の存在だとか…」

御坂「確かに…私とあんたが高レベルの能力者で、佐天さんがレベル0であることに劣等感を抱いているのなら考えられなくもない話だけど…そう、疑ってかかるのも悪いしね」

御坂「よし決めた!明日、佐天さんの家に行ってくるわ!」

初春「え?明日ですか」

御坂「うん、あんたは明日ジャッジメントの仕事があるでしょう?だから私一人でちょっとね。色々と心配だし」

初春「なるほど分かりました。私も佐天さんのことは心配ですし、何か分かったら教えてください」

御坂「ええ、そうするわ」

初春「にしても…」

御坂「?」

初春「さすがは私が見込んだお姉さま。とても優しいですね」

初春「どうかその優しさで私の身も心も包んでくださぁあああい!!!」ガバッ

御坂「調子に乗るなーーーーー!!!!」ビリビリビリッ

初春「あぁぁぁうううぅうう…ああ、気持ちいいですお姉さま」ガクッ

297 : 以下、名... - 2010/02/26(金) 23:31:10.01 j764pDLr0 110/257

翌日―。放課後―。

佐天「この!この!くらえ!」

佐天「こんなの!こんなの!壊れちゃえ!!」

その日もまた学校を休んだ佐天涙子。

彼女は今、例のボタンを叩き、投げ、踏みつけ、必死に壊そうとしていた。

佐天「お前のせいだ!!お前のせいで私がこんな目に!!!!」

佐天「お前のせいで…白井さんは消えたんだ!!!初春は私から離れたんだ!!!」

佐天「フーフーフー」

しかし、ボタンが壊れることはない。

佐天「…………」

部屋に視線を巡らす佐天。

机から引き出しを抜き出し、中の物を全て床にばら撒くと彼女はそれを手に持って掲げた。

佐天「こんなボタン…あっても私は能力者になれない…なら、壊れちゃえ!!!」

引き出しを振り上げる佐天。と、その時。

ピンポーン

佐天「!!」

彼女は寸でのところ動きを止める。

佐天「………」

298 : 以下、名... - 2010/02/26(金) 23:37:28.44 j764pDLr0 111/257

ピンポーン

佐天「チッ、何だようるさいなあ…人の邪魔して……消しちゃおっかな…」

ボタンをポケットに仕舞い、彼女は玄関に向かった。覗き穴から外を窺う佐天。

佐天「御坂さん!?…何でここに……」

佐天「……………」

ガチャッ

御坂「あ、佐天さんこんにちわー。今、いいかな?」

佐天「あまり時間とらないなら…いいですけど…」

御坂「じゃあ上がらせてもらうわね」

佐天「………」

御坂「わっ、どうしたのこれ…引き出しの中身が散らばってるけど…」

佐天「ちょっと掃除してて……。今、片付けますから…」

御坂「あ、ううん。気にしないでいいよ」

佐天「………(何だって御坂さんが一人で私の家に…?)」

佐天「(初春がいるくせに…)」

316 : 保守と支援ありがとうございます。感謝します。再開です - 2010/02/27(土) 02:47:37.01 pL3+RSl60 112/257

佐天「はい…これ…粗茶ですけど…」

御坂「あ、わざわざ気を遣わせてごめんね」

机を間に対峙する佐天と御坂。

佐天「……それで…何か用ですか?」

御坂「あ、うん。ちょっとね…」

佐天「用が無いならなるべく早く帰ってくれませんか?私、これでも忙しいので…」

御坂「あー分かった、ごめん。じゃあ単刀直入に言うわね」

御坂「『白井黒子』って女の子について教えて欲しいんだけど…」

佐天「えっ…」

御坂「その…実はさ、佐天さん、最近何だか元気が無いようだからさ、私も飾利も心配してるのよ」

御坂「あ、別に悪い意味じゃないから気にしないで。ただ、ちょっと本当に心配で…」

佐天「…………」

佐天「で、今日は御坂さんが様子を見に?」

御坂「まあ、そんなとこかな。それで…」

佐天「それで、今更白井さんのこと聞いてどうするんです?」

御坂「えっ?」

317 : 以下、名... - 2010/02/27(土) 02:53:41.99 pL3+RSl60 113/257

佐天「一昨日、私が白井さんのことについて話しても全然信じてくれなかったじゃないですか。それを今更…」

御坂「あーうん、まああの時はそうなんだけど。よくよく考えたらさ、佐天さんがあそこまで本気になって嘘つくなんて考えられなかったから。今度は真面目に聞こうと思って」

御坂「あ、飾利、今日は来てないけどあの子はジャッジメントの仕事だから」

佐天「(今更何?白々しい…。しかも初春との仲まで自慢しちゃって。何かムカツクなあ…)」

御坂「だから、ね。お願い!」

佐天「で、私の話を聞いたら信じてくれるんですか?」

御坂「えっ…それは…」

佐天「信じられないなら帰って頂いて結構ですから」

御坂「分かった!信じるから…話してくれる?(…本当かどうかは分からないけど、「信じない」って言ったら話すら進まないから仕方がないわよね)」

佐天「………分かりました。全てお話します」

御坂「ありがとう(良かったー)」ホッ

佐天「と言っても一昨日話した内容と一緒ですけど…」

御坂「うんうん」

佐天「私が知る白井さんは、優秀で、勇気があって、ジャッジメントの鏡とも言うべき人でした」

佐天「ツインテールをリボンで結んで、背が小さくて可愛い顔してて、でも、ジャッジメントの仕事の時には中学生とは思えないほど凛々しい顔つきになる人でした」

319 : 以下、名... - 2010/02/27(土) 02:59:22.21 pL3+RSl60 114/257

御坂「確か、レベル4なんだっけ?」

佐天「…そうです。レベル4のテレポーター。御坂さんと同じ常盤台中学の1年生で、いつも御坂さんを異常と思えるぐらい慕ってました」

佐天「『お姉さまお姉さま』と御坂さんにくっついては電撃を食らわれて…本当の姉妹みたいでした」

御坂「な、何だか私と飾利の関係みたいね」

佐天「ええ、本来なら白井さんの役であるはずが、今は初春になってしまってるんです」

御坂「どういうこと?佐天さんが知る飾利は違ったの?」

佐天「初春は元々、私と同じ柵川中学の1年生で親友でした。姿外見、花飾りだけは違ってませんが、いつも私と同じセーラー服を着ていて…。能力はレベル1のジャッジメントでした」

御坂「レベル1…」

佐天「ジャッジメントに入ったのも白井さんに憧れてです。いわば、白井さんと初春はジャッジメントにおける先輩と後輩のような仲でした」

御坂「そうなんだ…じゃあ、佐天さんが知る飾利は私にベタベタすることなく、それは白井さんの方だったんだ」

佐天「そうです」

御坂「そっか。あの子と白井さんがそっくりそのまま入れ替わったことってことね」

御坂「飾利が私にひっつかないなんて想像できないわね。いやあ、信じられないなあ…」

佐天「…………」

323 : 以下、名... - 2010/02/27(土) 03:08:11.33 pL3+RSl60 115/257

佐天「…………」

御坂「あ、違う違うの!おしとやかな飾利がイメージ出来ないで、ちゃんと信じてるから。ね!ね!」

佐天「………」

御坂「でもそんなこともあるのね。この学園都市で言うのもなんだけど、一種のパラレルワールドって奴かしら?」

御坂「ほら、平行世界とか言うじゃない。もしかしたら、佐天さんは本来は別の平行世界の住人?それともこっちの世界が丸ごと、佐天さん一人に干渉してるとか?」

御坂「こう考えると結構、科学的かもねー」

佐天「平行世界がどうとか、私、頭悪いからよく知りませんけど…白井さんがいたのは事実ですよ」

御坂「じゃあ何でこんなことになっちゃったのかしら?」

佐天「多分、矛盾を解消するためじゃないですか?」

御坂「矛盾?」

佐天「ええ。白井さんが消えたから、その穴を埋めるために初春が代わりに選ばれた…。それだけだと思います」

御坂「難しいわね…。でも、どうしてその『白井黒子』って子は消えちゃったの?」

佐天「 私 が 消 し た か ら で す よ 」

御坂「……え?」

余りにも淡々と述べられた口調だっただけに、御坂はすぐにその言葉を理解できなかった。

佐天「私が、彼女の 存 在 そ の も の を 、 消 し ち ゃ っ た ん で す 」

326 : 以下、名... - 2010/02/27(土) 03:14:32.54 pL3+RSl60 116/257

御坂「ん?え?ちょ、ん?(何言ってるんだろう佐天さん?)」

佐天「これを見て下さい」

そう言って佐天が机の上に取り出したのは、例のプラスチックの蓋がついたボタンだった。

御坂「何…これ?」

御坂「(何の特徴もない、ただのスイッチだけど…何だろこの禍々しさは…)」ゾクッ

ボタンを手にし、よく観察する御坂。

佐天「あ、気を付けて下さいね御坂さん。誤ってそのボタン押したら、人を消しちゃうことも有り得ますから」

何の感情も窺わせず、佐天はただ事実だけを述べる。

御坂「…え?…わっ!」

ふと手を滑らせた御坂はボタンを机の上に落としてしまった。

御坂「…人を…消す?」

佐天「ええ、簡単に」

佐天「この世でそのボタンと並んで、余りにもか弱く、繊細なものは、人の魂しかありませんよ」

御坂「…………」

冷静な佐天の口調と、目の前のボタンの恐ろしさのギャップに御坂は戸惑いを見せた。

御坂には、今の佐天がまったく感情がないロボットのように見え、それが彼女の恐怖心を一手に煽った。

327 : 以下、名... - 2010/02/27(土) 03:20:40.56 pL3+RSl60 117/257

同時刻―。ジャッジメント第177支部―。

初春「はぅぅぅぅぅ」

固法「あら、どうしたの初春さん?」

初春「なかなか仕事が終わらなくて……。それに…」

固法「それに?」

初春「い、いえ何でもありません…」

固法「そう、なら、あと頑張ってね」

初春「はい!頑張ります!お姉さまにも早く会いたいですし!」

固法「うふふ。本当に仲がいいのね初春さんと御坂さんって」

初春「えへへ」

   「そうやって御坂さんに過剰になつくのも、本来は白井さんの役目で……」―

初春「(佐天さん、本当にどうしちゃったんだろうな…。お姉さまが好きなのはこの私なのに…)」

初春「(何だろう…何だか嫌な予感がする…まるで空間が震えているような…)」

初春「(あれ?何これデジャヴ?何日か前にも同じような感覚を覚えたような…)」

  「そうだよ!常盤台中学に通う、レベル4の風紀委員(ジャッジメント)、白井黒子さんだよ!」―

初春「(気のせい…だよね。レベル4のテレポーターは私しかいないもん…。白井なんて子知らないもん)」

初春「佐天さん……お姉さま……」

328 : 以下、名... - 2010/02/27(土) 03:29:15.86 pL3+RSl60 118/257

佐天「読み終えました?」

佐天宅―。

口元を歪める佐天の目の前で一枚の紙切れを黙読する御坂。

彼女の手は、僅かに震えているように見えた。

御坂「読んだけど…」

佐天「じゃあ分かったでしょう?その説明書に書かれている通り、このボタンは特定の人間の存在を消せるんです」

佐天「その代わり、消された人間については、消した本人以外一切覚えてないんですけどね」

さもそれは現実だ、と言いたげに微笑む佐天の顔を見、御坂は恐怖を覚える。

目が合い、視線を逸らす。

佐天「これで御坂さんも私が言ってること…」

御坂「有り得ない…」

佐天「?」

御坂「こ、こんなのどう考えたって有り得ないわよ!」

佐天「………何言ってるんですか?さっき貴女、私が言うこと…」

御坂「ここは、科学の街・学園都市よ!それがこんな、簡単に人を消せる道具なんて…」

御坂「そんなの……私、信じないわ!!」

佐天「御坂さん、『信じる』って言ったの嘘だったんですね……」

329 : 以下、名... - 2010/02/27(土) 03:37:32.53 pL3+RSl60 119/257

御坂「だって、そんな…こんなこと!現に私は『白井黒子』なんて子知らないし、今まで遊んで来たのも私と飾利と佐天さんの3人だけで…」

佐天「怖いんですか?」

御坂「えぇっ?」

佐天「分かります、怖いんですよね。私も最初は怖くて信じられませんでしたもん…」

佐天「でも大丈夫ですよ。未知のものに恐怖を覚えるのは、学園都市の能力者であっても人間である限り当然のことですし」

御坂「べ、別に私は怖いわけじゃ…」

佐天「じゃあ何でそんなうろたえてるんですか?」

御坂「そ、それは…私は学園都市第三位のレベル5の超能力者としてこんなこと信じられるわけが…」

佐天「…………」イラッ

佐天「はぁーやっぱり『信じる』って言葉、嘘だったんですねー」

御坂「………っ」

佐天「いいですよー科学漬けの貴女に、現実を見せて目覚めさせてあげますから」

御坂「…な、何を」ゾクッ

333 : 以下、名... - 2010/02/27(土) 03:43:07.45 pL3+RSl60 120/257

立ち上がる佐天。一瞬ビクついた御坂だったが、佐天は御坂を無視し窓を開け放った。

佐天「さあこっちへ」

不気味な笑みに誘われるかのように、御坂は窓に近付く。

そこからは、外の景色が一望できた。

佐天「今から私が指差したものを次々と消していきます。だから、 見  逃  さ  な  い  で  ね  」ヒソヒソ

御坂「………!!」

佐天「さあ、『佐天さんの消失マジックショー』の始まり始まり~ わーパチパチパチ」

プラスチックの蓋を開ける佐天。彼女の行動を、御坂は顔面を蒼白にしながら目で追う。

佐天「駄目ですよ御坂さん。外を見ておかないと」

佐天「ほら、まずは目の前の水銀灯に止まってるカラス、あれを消しますね」

佐天「カラスなんか消えろ!」

ピッ

ピシュン!!

御坂「………!!」

336 : 以下、名... - 2010/02/27(土) 03:48:11.55 pL3+RSl60 121/257

佐天「見ました?見たでしょ?消えましたよね?」

佐天「じゃあ次…空飛んでるあの鳥、行きますね」

佐天「空を飛んでる鳥、消えろ!」

ピッ

ピシュン!!

御坂「!!」

佐天「消えましたね~。じゃあ次はっと…あ、あの野良猫なんかいいですね」

佐天「消えちゃえ!!」

ピッ

ピシュン!!

御坂「………っ」

339 : >>335事情を知る当事者は例外ということで… - 2010/02/27(土) 03:53:33.77 pL3+RSl60 122/257

佐天「どうです?すごいでしょう?じゃんじゃんいきますよ」

佐天「消えろ」

ピシュン

佐天「消えろ」

ピシュン

佐天「消えろ」

ピシュン

次々と目の前から消えていく動物たち。御坂は目を動かすだけで精一杯だった。

佐天「あはははは♪消えろーよ♪消えろーよ♪全てよ消えろ~♪」

御坂「…(狂ってる)」

佐天「あ、見てくださいちょうどいい所に、ほら、あそこに学生が一人歩いてますね~」

佐天「御坂さんに信じてもらうために、一回、あの人にも消えてもらいましょうか」

佐天「せ~の♪」

342 : 以下、名... - 2010/02/27(土) 03:58:07.72 pL3+RSl60 123/257

御坂「待って!!」

佐天「………」

佐天「どうしました?まだ人間を一人も消してませんけど」

御坂「分かった。信じるから…信じるから…もう、止めて…」

佐天「だって御坂さん…」

御坂「もう十分に分かったから。佐天さんが人を消せるのも理解出来たし、『白井黒子』って言う子が存在したことも分かったから…」

佐天「そっかー、ならいいや」

御坂「…………」

御坂「どうして…」

佐天「ん?」

御坂「どうしてこんなことが出来るの?」

佐天「…………」

佐天「ねえ御坂さん。貴女は覚えてないでしょうけど、白井さんは貴女にとって、とても大事な後輩で親友だったんですよ」

佐天「そして私の友達でもあった。そんな彼女を消してしまって、何か吹っ切れたのかもしれませんね」

部屋を歩く佐天。

御坂「…………」

343 : 以下、名... - 2010/02/27(土) 04:02:50.65 pL3+RSl60 124/257

佐天「ついさっきまではこのボタンも憎らしかったんですが、御坂さんが来て分かりましたよ。このボタン、私におあつらえ向きの道具ってことが」

佐天「もしかしてこれは私に与えられた使命なのかもしれませんね」

御坂「使命?」

佐天「ええ。私には能力はないけど、この道具がある。だったら、私に『決定権』があるということ」

御坂「何を言ってるの?」

佐天「世の中って、嫌な奴ばかりで溢れてると思いません?この学園都市なんて、存在するだけで人に迷惑かける人間がたくさんいる」

佐天「彼らは果たして、生きてる意味があるのでしょうか?」

御坂「佐天さん、貴女…」

背中を見せ、御坂に話し続ける佐天。彼女の手にはボタンが握られている。

佐天「白井さんが消えたことで、世界は変わっちゃったけど、私はその責任をとってこのボタンを正しく使っていかなきゃならない」

佐天「レベル0の無能力者である私がようやく見つけたやるべきこと。それが、これなんです」

佐天「だからさ、御坂さん…」

チャリン

佐天「ん?」

バチバチッ

345 : 以下、名... - 2010/02/27(土) 04:08:51.90 pL3+RSl60 125/257

振り返る佐天。そこには右手にコインを持ち、体中から電気を発している御坂が

額に皺を刻みつつ立っていた。

佐天「…な、何?御坂さん…」

御坂「佐天さん…貴女、正気じゃないわ」

佐天「………な、そ、まさか私を殺そうって言うんじゃないですよね!?」

御坂「貴女を放っておいたら、いずれ暴走して街の不良だけでなく無実の人や飾利にまで手を出すわ」バチバチッ

佐天「私が…初春を?」

御坂「だからここで、私が貴女を止めるわ佐天さん。学園都市第三位の超電磁砲(レールガン)として!!」

佐天「…………」

佐天「そう、またですか。そうやって貴女はまた自分が超能力者であることをいいことに、レベル0の私を馬鹿にするんですね。で、今回は遂に殺しますか」

御坂「佐天さん、本当に貴女、それで人を消していくつもりなの?」

佐天「そうですよ。まだ深く考えてないですけど。実行したら一年も経たずに学園都市の治安は良くなりますよ」

御坂「無理ね。強大な力を手に入れた人間は、いずれ暴走するもの」

佐天「今の、御坂さんみたいな状態ですか?」

347 : 以下、名... - 2010/02/27(土) 04:15:23.37 pL3+RSl60 126/257

御坂「違う!! ……私には、超能力者として、レベル5としての誇りがある!貴女と一緒にしないで」

御坂「ここで貴女を逃がしても、私はずっと貴女を止めるため追いかけるわ!」

佐天「………」イラッ

御坂「貴女は、神になった気でいる」

佐天「その言葉、そっくりお返ししますよ。ここに来てまで超能力者自慢ですか。くどいですね」

御坂「もしここで貴女が止まらないのなら、私はそのボタンも、佐天さんも一緒にこのレールガンで撃ち抜くわ!!」

佐天「…………」

御坂「…………」

二人の間に静寂が流れる。御坂のレールガンはいつでも発動可能状態にあり、

佐天もまた手元にあるボタンを即座にでも押せることが出来た。

一瞬の判断が勝負の行く末を決めることは明らかだった。

御坂「(名前を叫んだ瞬間、コインを発射する…。でも、狙いは彼女の手元のみ。殺したりはしない。ちょっと火傷を負ってもらうことになるけど…)」

無限にも思える時間がただひたすら流れていく。

焦りの色を見せる御坂に対し、佐天は無表情で御坂の顔を見つめている。

やはりそれはどこか生気のないように見えた。

348 : 以下、名... - 2010/02/27(土) 04:20:11.80 pL3+RSl60 127/257

佐天「…………」

御坂「(何よ…何でずっと黙ってるの?)」

佐天「………ふふふ」

御坂「!?」

佐天「あっはっは」

突如、腹を抱え笑い出す佐天。

御坂は呆気に取られた。

御坂「何??」

佐天「あははははーひーおかしいー!」

佐天「ごめんなさい御坂さん!」

御坂「え?え?」

佐天「まさか御坂さんがここまで本気になるなんて思わなかったから、ごめん…ふふふ」

佐天「御坂さん、くく…ごめんなさい脅かして。冗談だよ全部じょーだん!」

御坂「冗談?」

顔を崩した佐天を見、御坂が身に纏っていた電気も薄れていく。

352 : 以下、名... - 2010/02/27(土) 04:25:10.73 pL3+RSl60 128/257

佐天「そ! ちょっとからかおうとしてみただけ。まさかそこまで怒るとは…もう、真面目だなあ御坂さんは!」

御坂「………そ、そう…ふ、ふふ…何だ、冗談か…」

御坂「…ふふ、ごめん。私の方も馬鹿だったみたい」

纏っていた電気を完全に消し、御坂は腕を下ろす。

佐天「いえいえ気にしないで」

御坂「でも、本当、そのボタンはどうするの?」

佐天「あ、もう私には必要ないし。持ってても気味悪いだけですから、一応今は御坂さんが管理しといてくれます?」

御坂「あ、それならいいわよ」

佐天「ありがとうございます。あ、決して悪用したりしたら駄目ですよ」

御坂「大丈夫大丈夫。そんなことしないから」

佐天に近付き、腕を伸ばす御坂。佐天がボタンを御坂に渡そうとした時…

佐天「なーんて」

御坂「え?」


佐天「これだから常盤台のお嬢様は馬鹿だよねー」

354 : 以下、名... - 2010/02/27(土) 04:32:37.76 pL3+RSl60 129/257

その言葉を理解し、顔が蒼くなった御坂が反射的に放電しようと
した瞬間だった。


佐天「御坂さんなんて消えちゃえええええええええええ!!!!!!」


ピッ

ピシュン!!!



一瞬の出来事だった。御坂が反応するより早く、佐天は彼女の名前を叫んでいた。

そして1秒後……そこに、御坂美琴の姿は無かった。

主を無くした一枚のコインが、特徴的な金属音を鳴らし床に落下した。

佐天「…………」

佐天「最後まで油断して馬鹿みたい。所詮、超能力者なんてこんなもんか~♪」

佐天は床に落ちたコインを拾い上げる。


355 : 以下、名... - 2010/02/27(土) 04:38:26.68 pL3+RSl60 130/257

佐天「御坂さん、私、アカデミー主演女優賞なみに名演技だったでしょ?」

佐天「プププ…『与えられた使命』とか『責任をとる』とか『決定権』とか、ぜーんぶ嘘に決まってるじゃないですか」

佐天「貴女を激昂させといて、その直後に安心させれば隙を見せると思いましたよ。見事にはまっちゃってまあ…馬鹿ですね~♪」

コインをじっくりと見つけ一人、呟き続ける佐天。

佐天「これが最初から定められた私と貴女の運命だったんですよ御坂さん。傲慢な王様はいつの時代も無力な革命家によって倒されるものです」

佐天「ありがとうございます御坂さん。当初はもうボタンは使わずに壊すつもりだったんですけど、丁度いいタイミングで来てくれましたね。お陰で心置きなく貴女を消すことが出来ましたよ」

佐天「御坂さんが悪いんですよ。最後まで人を見下すから」

そう言い、佐天は手にしていたコインを窓から投げ捨てた。

佐天「さ・て・と~どうしよっかな。これで私は無能力者でありながら学園都市第3位のレベル5を倒したことになるのよね」

佐天「このまま残りの第1位から第7位も適当な理由つけて呼び出して消しちゃおうかな?」

佐天「…と、消したところでどうせレベル4の誰かが代わりになるだけだろうから無駄か…」

佐天「まあいいや。多少の誤差はあったけど、これでもう当初の目的は全部果たせたし…処分しちゃうか」

佐天「そうだ!これでもう初春も私の元に戻ってくるよね!!やったー!」


佐天「……………」



佐天「…………ハァ…早く捨てに行こ……」

374 : 保守&支援ありがとうございます。いけるところまで投下します。 - 2010/02/27(土) 10:36:35.79 FtE/U6+20 131/257

その後、部屋を出た佐天は近くの用水路の側まで歩いてきていた。

佐天「いつの間にか夜になっちゃってる……」

ボタンを見つめる佐天。

――――――――――――――――――――――――――――――

佐天「それでー初春ったら、そこで泣いちゃったんですよー」

初春「あぅー思い出させないで下さい佐天さん!!///」

白井「まぁまぁまぁ初春ったら、恥ずかしがり屋さんですわね」

御坂「佐天さん、もっと聞かせて!」

佐天「いいですよ!それでその後初春は…」

――――――――――――――――――――――――――――――

佐天「御坂さーん、クッキー焼いてみたんですけど食べてみません?」

御坂「どれどれ。ハム…うーん美味しい!!」

佐天「ホントですかー?!よかったー」

御坂「あ、良かったら今度作り方教えてくれない?私も作ってみたいんだ」

佐天「もちろんいいですよ!で、作って誰かにプレゼントですか?もしかして好きな人?」

御坂「ちちち違うって!!!あいつはそんなんじゃなくて…」

佐天「フフフフ」

――――――――――――――――――――――――――――――

佐天「私、レベル0ですから…」

御坂「そんなことないよ佐天さん。貴女にはレベルが無くてもいいものを持ってる」

佐天「そう…ですか?」

御坂「うん、その素直な元気は貴女だけにしかないもの。もっと誇りにしなさい」

佐天「えへへーありがとうございます!」

――――――――――――――――――――――――――――――

375 : 以下、名... - 2010/02/27(土) 10:43:06.53 FtE/U6+20 132/257

佐天「……もう終わったんだもん…もうこれ以上使わないもん…」

ボタンから視線を外し、目の前の用水路を見つめる佐天。

彼女は気付いていなかった。後ろから何者かが近付いて来てるのを。

「よー姉ちゃん」

佐天「え?」

振り返る佐天。そこには、いかつい格好をした5人の男が立っていた。

佐天「な…え…だ、誰?」

「俺たちはな…スキルアウトさ!!」

佐天「ス、スキルアウト…」

スキルアウト「こんな夜中に女の子が一人で出歩くのは危ないぜ」

スキルアウト「そうさ、何たって俺たちみたいなゴロツキがうろついてるからなあ!!!」

佐天「(やだ…怖い…)」

目の前の屈強な身体を持つ男たちを目にし、震え出す佐天。

彼女はまだボタンを手の中で握り締めていたが…。

スキルアウト「おほ、震えちゃってるぜこの子」

スキルアウト「兄さんたちが遊んでやるから一緒に来な!」

376 : 以下、名... - 2010/02/27(土) 10:50:03.56 FtE/U6+20 133/257

一人のスキルアウトが手を伸ばした瞬間。

佐天はそれを振り払い一団の隙をつき逃げ出した。

スキルアウト「おいおい逃げちゃったじゃねえか」

スキルアウト「安心しろ。いつもの手を使う」

スキルアウト「こちら山本…聞こえるか?…ターゲットがそっちに向かった。全員、準備に掛かれ」

佐天「ハァ…ハァ…ハァ」

佐天「(どうして…いつも私ばかりこんな目に…)」

必死に走る佐天。彼女は手に持ったボタンをチラッと見やる。

佐天「(駄目!…それはもう駄目!…御坂さんを消したんだよ私…これ以上は駄目…)」

スキルアウト「いたぞあそこだー!!」

佐天「ひっ!」

後ろを振り返ると、2人のスキルアウトが鬼の形相で近付いて来ていた。

佐天「いつの間に…」

路地裏の多い通りを走り抜ける佐天。

助けを求めようにも、周囲に人はいない。

378 : 以下、名... - 2010/02/27(土) 10:57:22.63 FtE/U6+20 134/257

佐天「ここだ」

路地裏を右に曲がろうとした時、一人のスキルアウトが飛び出してきた。

スキルアウト「バア!!」

佐天「きゃあ!」

急いで方向転換する佐天。尚も後ろから追いかけてくる3人のスキルアウトを視認し、

佐天は別の道をひた走る。と、その時、左の角から一人のスキルアウトが飛び出してきた。

佐天「やだ!!来ないで!」

間一髪すり抜け、更に走り行く佐天。

角を曲がるとそこはネットの網で道が塞がれ、行き止まりだった。

佐天「どうしよう…」

そうこうしている間も、スキルアウトが彼女を探す声が近付いてくる。

佐天「よし…」

ネットを登ろうとした時。

ガシャアアアン

スキルアウト「うへへへへへお嬢さん、いらっしゃーい」

佐天「きゃああああああ!!」

379 : 以下、名... - 2010/02/27(土) 11:03:39.87 FtE/U6+20 135/257

ネットの向こうからまた現れたスキルアウトに驚き、佐天は来た道を戻って行った。

佐天が行く道曲がる道、どこを通ろうとしても、スキルアウトは

必ず現れ、彼女の逃げ場を塞いでいく。挙げ句、追っ手はいつの間にか

5人まで増え、佐天の足ももはや限界に近かった。

佐天「どうして……行くところ行くところに…いるの?」

すさまじく連携が取れているスキルアウトの行動に疑問を持つ佐天。

その時、彼女の脳裏にある言葉が蘇ってきた。


  『何でもスキルアウトの一部が自棄を起こしてるらしいです。集団で一人の女の子を執拗に追いかけて

    疲れたところを一網打尽にするという卑劣な手段で。佐天さんも気を付けてくださいね』―


佐天「まさか…そんな…」

佐天「やだ…そんなの…」

佐天「やだよ…恐いよ…誰か助けてよ…白井さん…御坂さん…初春…助けて」

考え事をしていた彼女に、物陰から現れた男に気付く間は無かった。

スキルアウト「捕まえたぁ!」

佐天「きゃーーーーー!!!」

380 : 以下、名... - 2010/02/27(土) 11:11:41.49 FtE/U6+20 136/257

佐天の右腕を強い力で掴む男。

いくら振り払おうとしても、彼女の細腕では叶わない。

佐天「やだ来ないで!!離して!!」

スキルアウト「つれないなあ…兄さんと遊ぼうぜぇ」

佐天の顔に鼻をこすりつけ、臭いをかぐ男。佐天は必死に叫ぶ。

佐天「やめてぇ!!誰か、助けてー!!」

と、その時、佐天は自由になっている左手にあのボタンが握られていることに気が付いた。

彼女は左手だけで器用に蓋を開けた。

佐天「お前なんか消えろおおおおおおおおお!!!」

ピシュン!!

その言葉と同時に押されたボタン。瞬時に男は消失し、腕を離された反動で佐天は

疲れた身体をよろめかせた。

涙目になって今まで男がいた物陰を見つける佐天。

佐天「ハァ…ハァ…ハァ」

スキルアウト「捕まえろおおおおおおおおお!!!」

383 : 以下、名... - 2010/02/27(土) 11:18:36.61 FtE/U6+20 137/257

佐天「!!」

依然、追いかけてくるスキルアウトに気付き、佐天は再び走り出す。

佐天「ハァ!ハァ!ハァ!」

スキルアウト「ここだあああああああ!!!」

路地裏に曲がったところにいたのは2人のスキルアウトだった。

佐天「!!」

腕を広げ迫ってくる男たちに驚き、佐天は再び手元のボタンを押す。

佐天「お、お前らなんか消えろー!!!」

ピシュン!!

佐天「……ハァ…ハァ」

スキルアウト「あそこだ!捕まえろ!」

我に返ったのも束の間、聞こえてくるスキルアウトたちの声。

彼女は開いた道を突き進む。

386 : 以下、名... - 2010/02/27(土) 11:26:53.34 FtE/U6+20 138/257

そして、男たちが現れる度、佐天は次々とボタンを押していく。

スキルアウト「うりゃああ!!」

佐天「消えろ!!!」

スキルアウト「見つけたぜお嬢さん!!!」

佐天「消えろー!!」

スキルアウト「こっちだ!!!」

佐天「消えろーーーー!!!!」

スキルアウト「ゲームセット!!!」

佐天「消えちまえぇぇぇぇえええええ!!!!」

我を忘れた佐天が、スキルアウトの男たちを次々と消していく。

そしてようやく彼女は開けた場所に辿り着いた。

佐天「あ、あそこまで…逃げれば…」

しかし、彼女は路地裏から出た瞬間、転倒してしまった。

その衝撃で、目の前を転がっていくボタン。

佐天「あ…やだ…駄目…」

起き上がろうとする佐天。が、彼女は頭を地面に叩きつけられてしまう。

387 : 以下、名... - 2010/02/27(土) 11:33:30.40 FtE/U6+20 139/257

スキルアウト「ついに捕まえたぜぇぇえ」

スキルアウト「へっ、さんざん逃げやがって」

スキルアウト「ここまで逃げ切れた女はお前が初めてだぜ」

上から押さえつけられ、微動だに出来ない佐天を、10人にも近い

スキルアウトたちが取り囲む。

状況を打開しようにも、ボタンは今、彼女の手元にない。

佐天「あ…う…いや…助けて…」

スキルアウト「心配すんな!俺たち全員で交代で楽しませてやるからよ」

その言葉の意味を理解し、暴れ出す佐天。

佐天「いやだぁ!!やだぁ!!誰か!!!助けて!!!離して!!!やだぁ!!!!」

スキルアウト「へっへっへ諦めろ」

佐天「(……どうして…どうして…)」

スキルアウト「見ろよこいつ、泣いてやがる」

スキルアウト「げっへっへ。待ってろ、今夜お前は大人になるんだから楽しみにしてろ」

佐天「(もしかして、これは罰なの神様?……たくさんの人を消した……だって、仕方がないじゃない…)」

佐天「(みんな…みんな…私を馬鹿にするんだもん…)」

佐天「誰か、助けて…白井さん…御坂さん…初春…」

388 : 以下、名... - 2010/02/27(土) 11:38:01.58 FtE/U6+20 140/257





ビリビリビリビリッ!!!!!!
ズゴオオオオオオオオオオオオオオオン!!!!!!







391 : 以下、名... - 2010/02/27(土) 11:43:48.25 FtE/U6+20 141/257

スキルアウト「!!??」

スキルアウト「な、何だ!?」

突如、発生した光と轟音。

驚いたスキルアウトたちが辺りを見回す。

佐天「…あれは…」

佐天はしかと目撃していた。青白い光を纏った電気が目の前を通り過ぎて行くのを。

佐天「…御坂さん…?」

暗闇から現れる一人の少女。

怖気づいたスキルアウトたちが立ち上がり、それぞれナイフや鈍器を取り出す。

スキルアウト「誰だおめぇは!!!」

徐々に、その輪郭が明らかになっていく。

スキルアウト「おい、やべぇよ…こいつ、学園都市第3位のレベル5だ…」

スキルアウト「何ぃ!!??」

少女「無事ですか、佐天さん?」

佐天「!!??」

佐天「(…御坂さんじゃ…ない!?)」

394 : 以下、名... - 2010/02/27(土) 11:50:01.67 FtE/U6+20 142/257

唐突にかけられた声に驚愕する佐天。

彼女が耳にしたその声は、明らかに御坂美琴のものとは違い、

どちらかというと、おとなしめの少女を窺わせる今にも掻き消えそうな優しい声だった。

少女「今すぐ佐天さんを解放し、どこかへ行きなさい!!」

その気迫と威圧に呑まれるスキルアウトたち。

少女の頭の花飾りがギャップを覚えさせる。

少女「さもないと…」

初春「ジャッジメントにして学園都市No.3の超能力者、常盤台の超電磁砲(レールガン)・初春飾利が容赦しません!!!」

佐天「初春…貴女…」

目の前で起こっている現実を理解する間もなく、

佐天は薄れていく意識の中で、頭に花飾りをつけた親友・初春飾利の姿を目に焼き付けた。

                                   第2部・終わり


続き
佐天「独裁スイッチ?」【後編】

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