セル「ついにセルゲームを開幕!」
セル「……と言いたいところなのだが」
チャパ王「八手拳を受けてみよ!」
ギラン「グルグルガムを喰らわせてやるぜ!」
ランファン「うふ~ん」
パンプット「ボクの力を見せてあげよう」
バクテリアン「げへへへへ……」プーン…
男狼「拳法三十段の腕前で、てめえを倒す!」
セル「なんなんだ、この微妙なメンツは……」
元スレ
セル「セルゲームに微妙なメンツばかり集まって困る」チャパ王「八手拳!」ギラン「グルグルガム!」ランファン「うふぅ~ん」
http://hebi.5ch.net/test/read.cgi/news4vip/1585041190/
セル「全員初めて会うはずなのに、なぜか懐かしさすら感じる……」
セル「ていうか、孫悟空はどうしたのだ!? なにをやってるんだ!」
チャパ王「孫悟空か……懐かしい名だ。あの男とは二度も死闘を演じた」
ギラン「ああ……あいつとの戦いは今でも忘れられねえ」
パンプット「彼との戦いは本当に激戦だった……」
セル「なに古くからのライバルみたいなツラしてんだ! ボロ負けしたくせに!」
セル「せめてナムくらい来てくれないとネタにすらならんぞ!」
ギラン「いや、俺は本当に惜しかったからね?」
セル「……まぁいい。気を取り直していこう」
セル「ひとりひとり自己アピールをしていってくれ」
チャパ王「うむ」
チャパ王「私はかつて天下一武道会で攻撃をかすらせもせず、優勝したこともあるほどの達人だ」
チャパ王「得意技は八手拳!」
セル「やってみてくれ」
チャパ王「はあああああああっ!」ババババババババッ
セル「うん……まあ、八つに見えるかな。うん、見える見える」
ギラン「次は俺様だ!」
セル「得意技は?」
ギラン「グルグルガムだ! 体内で作ったガムで敵を捕まえるぜ!」
セル「じゃあ、やってみてくれ」
ギラン「喰らえ!」ギュバッ
グルグルッ
セル「えいっ」ブチッ
ギラン「い!?」
セル「はい、次どうぞ」
バクテリアン「げへへへ……」プーン…
セル「うわ、くっさ!」
バクテリアン「オラの武器はこの悪臭だ!」
バクテリアン「悪臭で敵を怯ませてから、攻撃するんだ!」
セル「分かった分かった! もういい! 下がれ!」
セル(くっ、完全体は嗅覚までパーフェクトだから困る……)
ランファン「うふ~ん」
セル「これは……!」
ランファン「年は取ったけど、まだまだ私のお色気は健在よ!」
ランファン「あは~ん」ヌギヌギ
セル「むむむ……!」
セル(いずれ、この女とセルジュニアを作るというのもいいかもしれんな……!)ゴクリ
パンプット「はーっ!」バババッ
セル「む」
パンプット「せやっ! でやっ! はいーっ!」バババババッ
セル「……」
パンプット「ふふふ、ボクの動きを見て驚いてしまったかな?」
セル「なんでチャパ王と髪型被ってるんだ?」
パンプット「知るかッ!」
男狼「最後は俺だぜ!」パキポキ
セル「地味!」
男狼「なぬ!?」
セル「ただでさえ微妙なメンツの中でも、貴様はとりわけ地味だな……コメントが思いつかん」
男狼「な、なんだとぉっ!?」
男狼「俺は拳法三十段で、月を見ると人間に変身できるんだぞ!」
セル「月を見ると大猿になる連中がいる世界じゃ、大した特徴にはならんぞ」
男狼「ナイフも持ってるし!」サッ
セル「危ないから没収」サッ
男狼「ああっ!」
セル(どいつもこいつもヤムチャにも劣るザコばかり……)
セル「やる気がなくなった……」ハァ…
ギラン「おい、あいつ座り込んじまったぞ」
パンプット「大会を開催しておいて、ずいぶん勝手なもんだ」
バクテリアン「どうする?」
チャパ王「リングもあるし、みんなでここで修行でもせんか?」
男狼「そりゃいいな!」
ランファン「やりましょ、やりましょ!」
チャパ王「はーっ!」
パンプット「でやーっ!」
バキッ ドカッ ドガガッ バキッ バババッ ドゴッ
セル「なんというレベルの低い修行だ……あくびが出てくる」
セル「寝ようかな……」
男狼「おりゃっ!」
ギラン「ぐっ、やるじゃねえか!」
ドカッ バキッ ガッ タタタッ ドカカッ バキッ
セル(しかし……)
セル(ザコばかりとはいえ、仮にも地球では実力者であろう戦士たち……)
セル(光るものは持っている……!)
チャパ王「はあああああああっ!」ババババババババッ
セル(たとえば、あのチャパ王……)
セル(あの程度の気で、手が八つに見える拳を繰り出せるというのはなかなか大したもの……)
パンプット「せやっ! はっ!」ブオンッ
セル(パンプットも長年修行した成果か、動きそのものは悪くない)
男狼「うおりゃーっ!」バババッ
セル(男狼は拳法三十段というだけあって、あれで技術的には優れている。フォームもいい)
バクテリアン「でりゃあっ!」ブンッ
セル(バクテリアンの真の武器は悪臭などではなく、あの体格と怪力だ!)
ギラン「このヤローッ!」ブオンッ
セル(ギランのグルグルガムは、格上にも通じる強力な武器! 闘争心にも優れる!)
ランファン「いくわよーっ!」タタタッ
セル(ランファン……いい)
セル(ふと、ここで私は考える)
セル(完全体の“完全”とは、一体どういうものなのか、と)
セル(完全というのは、自分一人が最強になるということか?)
セル(いや……そうではない)
セル(完全ならば、“完全な指導”もできるはずだ!)
セル(私ならやれる! 奴らの強みを見出し、強力な戦士に育てられる!)
セル「貴様たち!」
六人「ん……?」
セル「気が変わった!」
セル「今から私直々に、貴様たちを修行してやろう!」
六人「!?」
セル「ビシビシ鍛え上げていくぞ! もちろんここで暮らしてもらう! 覚悟しておけ!」
セル「チャパ王、貴様は八手拳をもっと高めろ。手数は多ければ多いほどいい」
チャパ王「うむ!」
セル「パンプット、貴様に足りないのはパワー。私がメニューを考えてやる」
パンプット「よろしく頼む」
セル「ギラン、グルグルガムの性能をもっと強化するんだ!」
ギラン「やってみる!」
セル「男狼、自分の野性味をもっと生かせ!」
男狼「おう!」
セル「悪臭に頼らず……清潔にして……己を鍛え上げ……くさっ!」
バクテリアン「げへへへへ……風呂に入れってことか」
セル「もっと服を脱いで身軽になった方がいいな。なんなら手伝ってやろう」
ランファン「なにいってんの、あんた」
セル「気の操り方を教えてやろう」
チャパ王「むむむ……」
パンプット「くっ……」
ギラン「ぐおおおおっ!」
男狼「こうか?」
バクテリアン「ぬおおおおっ!」
ランファン「うふ~ん」
セル(やはり、全員スジがいい……これならすぐ舞空術も習得できるだろう)
セル「六人同時にかかってこい!」
チャパ王「はああああああっ!」
パンプット「せやーっ!」
ギラン「うおおおおおおっ!」
男狼「いくぜーっ!」
バクテリアン「うりゃあっ!」
ランファン「たあああああっ!」
ドガガッ! バキッ! ドカカッ! ガガッ! ドゴッ!
セル「おはよう諸君、今日も修行を始めるぞ!」
六人「おうっ!」
セル「セルジュニアたちと組み手をしろ!」
セルジュニア「キキキ……」
六人「おうっ!」
セル「休息も必要だ。今日はみんなでハイキングに行こう!」
六人「オーッ!」
――
――――
悟空「よう、セル」スタッ
セル「孫悟空か」
悟空「わりぃな、色々あって遅刻しすぎちまった」
ベジータ「遅刻というレベルじゃないがな……」
悟飯「完全にすっぽかしてましたよね」
トランクス「すまない……」
セル「いや、かまわんさ。おかげで有意義な時間を過ごせた」
悟空「じゃあさっそく、オラから――」
セル「貴様らの相手は、私の弟子に任せることにする!」
悟空「弟子!?」
セル「出でよ、私の弟子たち!」
チャパ王「兆手拳を見せてやる!」
パンプット「やぁ、久しぶりだね」
ギラン「ネオ・グルグルガムをお見舞いしてやるぜ!」
男狼「ギャオォォォォォォオン!!!」
バクテリアン「心も体も綺麗になった我が拳……受けてみるがいい!」
ランファン「はぁ~い。お手柔らかにね」
悟空「ひゃ~、見たことある顔ばっかだぞ!」
クリリン「懐かしいな……」
セル「気を開放しろ!」
チャパ王「はあっ!」
パンプット「はあっ!」
ギラン「はあっ!」
男狼「はあっ!」
バクテリアン「はあっ!」
ランファン「はあっ!」
ボウッ!!! グゴゴゴゴゴゴゴ…
悟空「すげえ気だ……!」
ベジータ「バカな……地球人がなぜここまでの戦闘力を……!」
セル(私の完全な指導と、こいつらの努力のたまものだ)
チャパ王「さあ、私からゆくぞ! 三度目の正直、今度こそ勝つ!」バッ
悟空「オラ、ワクワクしてきたぞ!」サッ
セル(存分に見せてやれ……お前たちの力を!)
セル(お前たちはもはや微妙な戦士などではない……)
セル(絶妙な戦士……Z戦士だ!)
― 完 ―