不良&子分「ジャーンケンポンッ!」
不良「俺の勝ちだッ!」ドスッ
子分「ぐえっ……!」
不良「さあ、もう一回だ!」
女「ねえ、不良君たち……」
不良「あん?」
女「ジャンケンしてお腹をパンチし合う遊びなんて……危ないからやめた方がいいよ……」
不良「ンだとォ!?」
元スレ
不良「腹パンしてやるぜぇ!」女「やめてっ……絶対ダメ!」
http://hebi.5ch.net/test/read.cgi/news4vip/1585135808/
不良「クラス一大人しい女が、生意気なクチ叩くじゃねえか」
不良「そうだ! お前のことを腹パンしてやるぜぇ! ほら立て!」
女「やめてっ……! 絶対ダメ!」
子分「アニキ、さすがに女の子に腹パンはマズイっすよ!」
不良「もちろん軽くやるだけだよ。左でやるし」
不良「ほれっ!」シュッ
ガキンッ!
不良「……!?」
子分「え、なんすか、今の音……」
女「……」
不良(なんだ今の硬さは……!)
不良「おい……今度は右でいく。しかも全力でな」
女「ダメだったら! 危ないから!」
不良「オラァッ!」
ガキィンッ!
不良「……ぐ」
不良「ぐあぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
不良「俺の拳がぁぁぁぁぁっ!!!」
子分「アニキ!?」
女「だ、大丈夫……?」
不良(折れては……ないみたいだな……)
不良「お前の腹……どうなってんだ? ちょっとめくってみろ!」
女「う、うん……」ペロン
不良「!?」
不良「なんだこりゃ……!?」
子分「バッキバキじゃないっすか……」
女「……」
不良「八つ……いやもっと割れてるように見える……」
不良「お前のその腹筋、どうなってんだよ!?」
女「私、子供の頃から腹筋が大好きで毎日やってたら……こうなっちゃって……」
不良「回数は? どのぐらい?」
女「一万……」
不良「一万!?」
不良(1秒1回としても、166分もかかるじゃねえか! どうやってそんなに……)
女「……を朝夕2セット……」
不良「二万!?」
女「あ、寝る前にもやるかな……」
不良「三万!?」
子分「ひえええ……!」
不良「……」
女(やっぱり……引かれてる……。そりゃそうだよね……)
不良「凄いじゃねえか!」ニコッ
女「え」
不良「こんなに腹筋鍛えてる奴、初めて見たぜ!」
女「あ、ありがとう……」
不良「なぁ、いつかまた腹パンしてもいいか?」
女「う、うん、いいよ」
不良「今は無理だけど、いつかお前の腹をパンチで腫れ上がらせてやるよ!」
女「うん……頑張って!」
子分(なんなんすか、このやり取りは……)
不良「シッ!」
ボスッ!
不良「シッ! シッ!」
ボスボスッ!
子分(サンドバッグで本格的なトレーニングを……!)
子分(本気だ……アニキは本気だ!)
不良「ふんっ! ふんっ! ふんっ!」グッグッグッ…
子分「拳で腕立てっすか!?」
不良「ああ……これぐらいやんなきゃあいつの腹筋はブチ抜けねえからな」
子分「それにしても、信じられねえっすよ」
子分「かつて、あのDQNさえブッ飛ばしたこともあるアニキの拳が通じない女がいるなんて……」
不良「俺もだ……」
不良「だが……目標ができて嬉しいぜ!」グッグッ…
不良「鍛え直して、だいぶ自信がついた……」
不良「もう一度、俺の腹パンを受けてくれ!」
女「うん……いいよ」
不良「よっしゃ! いくぜぇ!」ビュオッ
ガキィンッ!
不良(手応えはあったが……)
不良「どうだァ!?」
女「全然痛くない……」
不良「……ッ!」
不良(まさに……鉄壁!)
女「あ、ごめんなさい!」
不良「いや、これでいいんだ。壁は高い方が乗り越えがいがあるッ!」
不良「また来るぜぇ!」
不良「シッ! シッシッシッ!」
ドスッ! ドドドッ!
不良「だりゃあっ!」ガキンッ
女「前よりは……ちょっと痛かった、かも」
不良「そうか!」
子分(アニキは来る日も来る日もトレーニングと腹パンを続けた……)
子分(だけど、彼女の腹筋を超えるパンチは打てなかったっす……)
DQN「……なんだと?」
手下「はい、不良の奴、ある女の腹筋に手こずってるみたいです」
DQN「カハハッ! 女の腹筋に手こずるなんてあいつも落ちぶれたもんだな!」
手下「どうします?」
DQN「決まってる」
DQN「俺が先にその女を腹パンで泣かせて、不良を悔しがらせてやる!」
ガァンッ!
不良「……どうだ?」
女「うん、なかなかよかったよ! ほんのちょっぴり内臓まで響いたもん!」
女「拳を通じて、私の中に不良君の熱意が伝わってきた!」
不良「ホ、ホントか!」
不良「よぉし、またチャレンジするぜ!」
女「うん!」
女(不良君のパンチが強くなるたび、私との距離が近づいてるみたいで嬉しいなぁ……)
DQN「おい、姉ちゃん」
女「はい?」
DQN「腹筋に自信あるんだってな? ちょいとハラ貸せや」
女「え……」
ゾロゾロ… ハハハハ… ヒヒヒヒ…
女(やだ……! 怖そうな人がいっぱい……!)
子分「大変っす、アニキ!」
不良「どうした?」
子分「女ちゃんが、DQNのグループに連れてかれたらしいんす!」
子分「きっとアニキがあの子の腹筋に挑んでることを知って……」
不良「ちっ、あのバカの考えそうなことだ……」
子分「どうしやす!?」
不良「放っておけよ」
不良「あんな奴に、あの子の腹筋をブチ抜けるわけねえからな」
子分「だけど、問題はその後っすよ」
不良「その後?」
子分「アニキは素直に負けを認めて、その後あの子と友達みたいになったっすけど……」
子分「あいつがそんなことすると思います? まして、あの子は腹以外はフツーの女の子なんすよ?」
不良「……!」
不良「DQNの溜まり場はどこだァ!」
DQN「どんな腹筋だか知らねーが、俺のパンチですぐ泣かしてやるぜ!」
DQN「泣かしたら写真撮って、不良に見せつけてやる!」
手下「あいつ、絶対悔しがりますよ!」
女「うう……」
DQN「オラァッ!」シュッ
ガキィンッ!
DQN「……」
DQN「ぐああああああっ……! いでえええええっ……!」
手下「DQNさん!?」
女「だ、大丈夫ですか……」
DQN「くうう……このアマァ!」ギロッ
女「ひっ!」
DQN「よくも俺の拳をォ!」
バキィッ!
女「きゃっ……!」
DQN「その女、捕まえろォ!」
手下「はい!」ガシッ
女「な、なにを……!」
「こいつ、力は強くないぜ!」 「ホントに腹筋だけなのか!」 「どうなってんだ……」
DQN「このアマァ……俺の拳を傷つけた罪は重いぜ。地味女のくせによ」
手下「ボディはやめといた方がいいですよ。顔面にしましょう」
DQN「分かってる」
DQN「お返しに、てめえの顔面グシャグシャにしてやるぜ!」
女「あ、あああ……!」
不良「なにやってんだァ!!!」
DQN「ああん?」
女「不良君……!」
不良「そのアザ……お前顔殴られたのか!」
女「……」
DQN「その通りだよ!」
DQN「この女の腹が予想以上に硬いもんでよ。つい殴っちまったよ。ヒャッハッハ!」
不良「てめえ……!」
DQN「まぁいいや。元々てめえもいずれボコにしてやる予定だったんだ」
DQN「せっかく来てくれたんだ。大歓迎してやるぜ。飛んで火に入るクソの虫ってかァ!?」
ヘヘヘ… ヒヒヒ…
不良「ぐ……!」
不良(20人近くいやがる……)
不良(子分は置いてきちまったし……この人数はさすがにキツイ)
不良「おい、俺が戦ってる間にお前は逃げろ」
女「でも……!」
不良「いいから!」
DQN「二人まとめてブッ殺せ! ぜってえ逃がすなよ!」
ワァッ!!!
手下「一人で勝てると思ってんのかよォ!」
不良(一人でも多く倒してやる……!)
不良「おりゃあッ!」
ドゴォンッ!!!
手下「ぐ、は……ッ」ピクピク
DQN「……え?」
女「すごい……」
「なんだ今のパンチ……」 「すげえ音したぞ」 「どうなってんだ……」
不良「……」ポカーン
不良(そうか……あいつの腹筋をブチ抜くために鍛えてたから、俺も強くなってたんだ!)
不良「よーし……だったら……」
不良「うりゃあっ! おりゃあっ!」
ドゴォッ! バキィッ! ドゴンッ!
「ぐはぁっ!」 「ぎゃああっ!」 「がはっ!」
不良「さあ、どんどん来いよ」
「ひええっ!」 「あんなのと戦えるかよ!」 「逃げろ!」
タタタタタッ…
DQN「あっ……逃げんなお前ら!」
不良「おい……覚悟はできてんだろうなァ?」
DQN「う、ぐ……!」
DQN「くそォォォォォ!!!」
不良「お前にゃ、腹パンをくれてやる」
ドズゥッ!!!
DQN「!?」
DQN「ぐええええっ! おごぉぉぉぉぉっ!」
DQN「うげぇぇぇぇぇ……」ビチャビチャ…
不良「……ふん。全然いいもんじゃねえな、腹パンなんて」
不良「さ、帰ろう」
女「ありがとう……不良君……」
不良「今回、お前が危ない目にあって、よく分かった」
女「?」
不良「俺がお前を腹パンしてたのは……殴るのが好きなわけでも、ましてお前にダメージを与えたかったわけでもない」
不良「俺は……お前に相応しい男になりたかっただけだったんだ」
不良「だが、俺はバカだから……その方法が腹パンしか思いつかなかった……」
女「……」
不良「俺……お前のことが好きだ!」
女「不良君……!」
不良「ど、どうだ……?」
女「嬉しい……!」
女「私も不良君のこと、好きだったの……」
女「私の秘密を、初めて受け入れてくれた人だから……」
不良「俺……これからはもっと真面目になるよ」
不良「んで、お前に相応しい男になってみせる!」
女「うん……!」
…………
……
……
……
子分「お久しぶりっす、アニキ!」
不良「おう」
子分「いやー、俺もアニキもすっかり社会人っすね」
不良「ああ、この俺が営業マンだなんてな」
子分「会社はどうっすか?」
不良「“この不良社員が!”なんて怒られることもあるけど、何とかやってるよ」
子分「相変わらずで安心したっすよ」
子分「だけど、アニキのパンチ力がありゃ、格闘技やってても成功したと思うんすけどね~」
不良「そう甘くねえって。それに、俺の女房は殴る蹴るが好きじゃねえしよ」
子分「あっ、女房ってもしかして……」
「あなた~!」
妻「あら、子分さん。お久しぶり」
子分「ちわっす!」
子分「……ん」
子分「あれ!? そのお腹、もしかして……」
妻「ええ、もうすぐ産まれるの……」
子分「うひゃ~! アニキも一児の父っすか! めでたいっす!」
不良「腹を腫れ上がらすことはできなかったが……腹を膨れ上がらせることはできたな」
おわり