1 : 以下、5... - 2020/01/14(火) 20:00:04.526 M4xmiYjF0 1/21

親元から自立した三匹の子豚――

長男豚「たった今、情報が入った。狼が我ら三兄弟を狙っているとのことだ」

長男豚「各自家を建て、自己防衛する必要があるだろう」

次男豚「へっ、おもしれえ! 返り討ちにしてやるぜ!」

三男豚「うう……怖いよう……」

長男豚「情けない奴だ……貴様、それでも豚か」

次男豚「とても俺らの弟とは思えねえな……とっとと狼に食われちまいな!」ドカッ

三男豚「ぎゃんっ!」

元スレ
三匹の子豚「狼が我ら兄弟を狙っている」「へっ、返り討ちにしてやるぜ!」「怖いよう……」
http://hebi.5ch.net/test/read.cgi/news4vip/1578999604/

3 : 以下、5... - 2020/01/14(火) 20:04:17.183 M4xmiYjF0 2/21

トンテンカン…

長男豚「だいぶ家が出来てきたぞ」

トンテンカン…

次男豚「こっちもだ! 狼如き、逆に食ってやるぜ!」

三男豚「……」トコトコ

長男豚「おい、どこに行くんだ?」

三男豚「ちょっと海まで……」

次男豚「ハァ? 海なんか行ってどうすんだ!? 豚が海行ったってイルカにゃなれねえぞ!」

長男豚「放っておけ。あんな軟弱者は、我ら兄弟に必要ない」

次男豚「おう! 海で溺れるなり、狼に食われるなりして死んじまいな!」

三男豚「……」

4 : 以下、5... - 2020/01/14(火) 20:07:24.044 M4xmiYjF0 3/21

長男豚「ついに完成したぞ……」

長男豚「最大面積、最新兵器、最強兵力を兼ね備えた、我が要塞(いえ)が……!」

長男豚「ここに立てこもっていれば、いかに狼であろうと我を喰らうことはできまい!」

部下「司令官!」ビシッ

長男豚「どうした?」

部下「要塞近くに狼が現れました!」

長男豚「来たか。ただちにミサイルを用意せよ!」

部下「かしこまりました!」

5 : 以下、5... - 2020/01/14(火) 20:10:29.389 M4xmiYjF0 4/21

「……」ザッ



長男豚「狼如きが……貴様はこの家に入ることなく死ぬのだ」

長男豚「ミサイル発射!」

部下「はっ!」ポチッ

シュボッ



ドゴォォォォォン!!!



部下「着弾!」

長男豚「終わった……」

7 : 以下、5... - 2020/01/14(火) 20:14:02.976 M4xmiYjF0 5/21

長男豚「もはや肉片も残っていまいが、念のため生体反応を確認しておけ」

部下「はっ!」

部下「……」

部下「これは……!」

長男豚「どうした?」

部下「狼は……無傷です! なんの損傷(ダメージ)も受けていません!」

長男豚「な、なんだとォ!?」

部下「それどころか、ものすごいスピードで要塞に迫っています!」

8 : 以下、5... - 2020/01/14(火) 20:17:35.482 M4xmiYjF0 6/21

長男豚「すぐに次の攻撃を用意するのだ!」

部下「ダメです! 既に狼は要塞内に入り込みました!」

長男豚「ならば、全兵士に最上級厳戒態勢を敷かせろ!」

部下「はっ!」

長男豚(この要塞には最新の重火器を装備した10万もの兵士がいて)

長男豚(その兵士たちがAからZまで、計26の防衛ブロックに配備されている!)

長男豚(破られるわけがないッ!)

9 : 以下、5... - 2020/01/14(火) 20:20:33.928 M4xmiYjF0 7/21

部下「通信が入りました!」

長男豚「さっそく仕留めたか」

『こちらJブロック……狼に襲撃され……壊滅……』

長男豚「な、なにっ!?」

『Hブロック! 狼が侵入……ぐあああああああああっ!』

『こちらWブロックです! 狼が……! 援軍を、援軍をォォォォォォ!』

『こちらCブロッ……ぎゃあああああああああ!!!』

長男豚「……ッ!」

10 : 以下、5... - 2020/01/14(火) 20:24:15.363 M4xmiYjF0 8/21

部下「……」

部下「全てのブロックから……通信が途絶えました……」

長男豚「ものの十数分で、10万の兵士が全滅したというのか……!?」



ザッ…



長男豚「!」ハッ

11 : 以下、5... - 2020/01/14(火) 20:27:24.341 M4xmiYjF0 9/21

「……」

長男豚「狼……!」

部下「うっ、うわあああああっ!」ダッ

「……」シュバッ

部下「ぐええっ……!」ドチャッ

長男豚「あ……ああ……ああ、あ……!」

「お前を食いに来た」

13 : 以下、5... - 2020/01/14(火) 20:30:39.519 M4xmiYjF0 10/21

長男豚「ま、待ってくれっ! 食わないでくれっ!」

長男豚「金ならいくらでもやる! 地位だって……!」

長男豚「そうだ! 我と組めば、豚などよりもっと食べがいのある獲物を喰えるぞ!」

長男豚「た、頼むっ!」

「いただきます」グパァァァァァ



ぎゃぁぁぁぁぁ……!

バリボリベキメキ…

14 : 以下、5... - 2020/01/14(火) 20:35:22.173 M4xmiYjF0 11/21

ライオン「師範、長男豚さんが狼に食われたらしいですぜ」

次男豚「ンだとォ!? 兄貴が!?」

次男豚「……ケッ、兄貴は兵器だの兵士だのに頼りすぎだったんだよ! だから食われちまった!」

次男豚「だが、俺は違うぜ。俺は道具に頼ったりはしねえ!」

次男豚「やはり自然界で一番頼りになるのは己の肉体よォ!」ムキッ

ライオン「おっしゃる通り。あんたこそ世界最強の生物ですよ」

次男豚「この道場(いえ)で、狼を叩き潰してやるぜ!」

16 : 以下、5... - 2020/01/14(火) 20:38:17.854 M4xmiYjF0 12/21

「……」ザッ

次男豚「ようこそ、俺の道場へ!」

ライオン「クックック……」

ゾウ「ずいぶん小さいお客さんパオねえ」

トラ「お前が師範にたどり着くことはない」

カバ「ぐははは、わざわざ死にに来るとは哀れな奴だ!」

次男豚「俺たちは兄貴とは違う……鍛えた技と体でてめえをブチのめしてやるぜ!」

17 : 以下、5... - 2020/01/14(火) 20:41:46.550 M4xmiYjF0 13/21

次男豚「ライオン! 相手してやれ!」

ライオン「へい!」

ライオン「頭から食ってやる!」ガブッ

「……」

ライオン「か、硬……ッ!」

「邪魔だ」ブオンッ

ボウッ!

次男豚「な……!? ライオンの上半身が吹っ飛んだ!?」

18 : 以下、5... - 2020/01/14(火) 20:44:49.224 M4xmiYjF0 14/21

ゾウ「パォォォォォォン!」グルグルグルッ

「……」ミシミシ…

次男豚「よし、鼻で絞め上げた!」

「引きちぎりがいのある鼻だ」ガシッ

ミリミリミリ… ブチィッ!

ゾウ「パオオオオオッ!?」

ドゴォッ!

次男豚「ゾウが一撃でミンチに……!」

19 : 以下、5... - 2020/01/14(火) 20:47:48.315 M4xmiYjF0 15/21

ボンッ! ボッ!

グチャ… ビチャ…

次男豚「トラ! カバ!」

「さて……残るはお前一匹だけだ」

次男豚「くっ……! もう終わりだ……!」

次男豚「なーんてな。未熟な弟子どもを倒したぐらいで調子こいてんじゃねえぞ」

次男豚「はあああああああああああああ……!!!」ボンッ!

次男豚「見ろ、この筋肉ッ! もはや世界最強どころじゃねえ……宇宙最強だァ!」

次男豚「喰らえッ!!!」

ドゴォッ!

20 : 以下、5... - 2020/01/14(火) 20:50:51.853 M4xmiYjF0 16/21

次男豚「あれ……?」

次男豚(殴った俺の拳がグシャグシャに砕けて……)

「……」ザッ

次男豚「あ、あわわ……タンマタンマタンマ! 参ったぁぁぁぁぁ!」

次男豚「あんたは強い! で、弟子にしてくれねえか!? な、絶対役に立つぜ!」

次男豚「お、お願い――」

「いただきます」グパァァァァァ



ぎえぇぇぇぇぇ……!

ボリベリゴリメキ…

21 : 以下、5... - 2020/01/14(火) 20:55:03.150 M4xmiYjF0 17/21

ザッ…

「三匹目は……ここか」

「レンガの家……」

「この程度、デコピンで破壊できる」ピンッ

ボゴォンッ!

「さあ……いただこうか」

23 : 以下、5... - 2020/01/14(火) 20:58:17.206 M4xmiYjF0 18/21

「……!」

「こ、これは……!?」

三男豚「いらっしゃいませ」



家の中では、滑らかでしなやかな裸体を惜しげもなく晒した一匹の豚が、ベッドに横たわっていた。

そのあまりに美しい四肢を、艶めかしく駆動させる姿には、さしもの狼も――



「……」ゴクリ



思わず生唾を飲み込んでしまう。

25 : 以下、5... - 2020/01/14(火) 21:01:45.738 M4xmiYjF0 19/21

(どうしたというのだ! 私はこの豚を食いに来たはずなのに……!)

三男豚「なんと美しい狼だ。まるで夢を見ているようだ」

「な、なにをいう! お世辞などいっても無駄だ! 食べてしまうぞ!」

三男豚「お世辞ではありません。僕の口は真実しか述べません」

三男豚「その証明といってはなんですが、あなたに贈り物をしたい」

「贈り物……だと?」

三男豚「貴女のような美しい女性に相応しい贈り物です」

26 : 以下、5... - 2020/01/14(火) 21:04:22.680 M4xmiYjF0 20/21

三男豚「さ、どうぞ」

真珠のネックレスが首にかけられる。

「……!」

三男豚「受け取って……頂けますか?」

「あ、ああ……」

三男豚「それすなわち、僕の愛を受け取ってくれたという認識でよろしいか?」

「もちろんだ……!」

三男豚(この狼……落ちた!)

27 : 以下、5... - 2020/01/14(火) 21:07:08.729 M4xmiYjF0 21/21

三男豚(海に行ったのは全てはこのため――アコヤ貝から真珠を採取していたんだ)

三男豚(真珠と僕の魅力が組み合わされば、たとえ狼だろうと落とせると確信していた)

三男豚(優れた豚ほど真珠を有効活用できる……これがホントの≪豚に真珠≫ってやつさ)

三男豚(しかも、予想通り、狼はあのうっとうしい兄二匹も始末してくれた……)

三男豚(ああ……我ながら、自分のツキと才能が怖いよ……)





― 完 ―

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