2月14日――
女「あの……」モジモジ
男「?」
女「こ、これ……バレンタインのチャカ!」サッ
男「……」ガサ…
男(新品の拳銃だ……!)
男「嬉しいよ、ありがとう!」
女「大切に使ってね」
男「うん! もちろん!」
元スレ
女「これ……バレンタインのチャカ!」男「嬉しいよ、ありがとう!」
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男「さっそく練習するか……」チャッ
男(あの空き缶を狙って……)パンッ!
男(外れた……もう一回!)パンッ!
男(なかなか難しいな……もう一回!)パンッ!
カァーンッ!
男「よぉし、当たった!」
ビュオオオッ
ヒラヒラ…
男(いい具合に木の葉が舞ってるな……)
男(練習台にうってつけだ!)
パンッ! パパンッ! パンッ!
男「よし、全弾命中!」
DQN「ヒャッホーッ!」
ブロロロロロ…
通行人A「うわぁっ!」
通行人B「危ないっ!」
通行人C「なんなんだ、あいつ! 街中であんな運転して!」
男「……」
男「……」パンッ! パンッ! パンッ! パンッ!
DQN「!?」
DQN「タ、タイヤがパンクして……!」ギュルルルルッ
ドゴォォォォォン!
DQN「あう、ううう……」
男(走ってる車にも苦もなく当てられた……だいぶ上達したな)
ある日――
男「……」ザッ
男「……」コンコン
「マウンテン」
男「リバー」
「入りな」ガチャッ
男「失礼する」
情報屋「あれ? あんたチャカなんか持ってたっけ?」
男「彼女からのプレゼントでね」
情報屋「あんたも隅におけないねえ」
情報屋「で、なんの用だ?」
男「あるブツについての情報を知りたい」
情報屋「あるブツって?」
男「……だ」
情報屋「調べてはみるが……高くつくぜ」
男「もちろんだ。いつもより多めに払うよ」
……
男「どうだった?」
情報屋「ブツの取引が、近々ある倉庫で行われる。ある組織のボスと売人の取引だ」
男「つまり、そこへ出向けば――」
情報屋「入手することができる」
情報屋「ただし、チャンスはその一夜きりだし、ボスの部下も大勢いるはずだ」
男「分かってる。だが、なんとしても手に入れなきゃならない。時間もないしな」
情報屋「気をつけろよ」
男「ああ、取っといてくれ」バサッ
情報屋「毎度!」
倉庫――
ヒュゥゥゥゥ…
男「……」
男(もう春になるとはいえ、寒いな……)
男(情報屋の情報が正しければ、ここで取引が行われるはずだが……)
男(む、なにやら動きが!)
側近「ボス、売人がやってきました」
ボス「ククク、来たか」
売人「……」ザッザッザッ
売人「約束のブツだ。確認してくれ」パカッ
ボス「うむ」
ボス「おお……美しい! まるで雪のような白さ!」
売人「舐めてもいいぞ」
ボス「……」ペロッ
側近「いかがです? ボス」
ボス「ふむ、上物だな。聞きしに勝る品だ」
ボス「よかろう……。金を払おう」パチンッ
側近「どうぞ」パカッ
売人「たしかに」
男「ちょっと待ったァ!」バッ
ボス「!」
側近「!」
売人「!」
ザワザワ…
「誰だ!?」 「何者だ!?」 「サツか!?」
ボス「落ち着け」
シーン…
男(一言で黙らせた……さすがだな)
男「俺は警察じゃない……同業者でもない……そのブツを譲って欲しい者だ」
男「もちろん、ほんの少量でいい。それにちゃんと金は払う」
ボス「このブツは大変貴重なものなのだ。君のような輩に渡すわけにはいかんな」
側近「全員、ヤツをブッ殺せ! 銃を使ってもかまわん!」
黒服A「へい!」
黒服B「へい!」
バババッ
パパパァンッ!
黒服A「うぐぁっ!」
黒服B「ぐっ!」
黒服C「ぐぐっ!」
側近「な、なんだと!?」
売人「ひいい……!」
ボス(ほう……あの距離で、部下たちを傷つけず、銃だけを正確に撃ち落とすとは)
側近「お、おのれっ!」サッ
パンッ! カランカラン
側近「ぐっ……!」
ボス「よせ」
側近「しかし、ボス……!」
ボス「お前たちの敵う相手ではない」
側近「ですが……!」
ボス「よせ、といったのだぞ?」ギロッ
側近「は、はい……」
男「……」
男「ということは、ブツを分けてくれるのか?」
ボス「ああ、お前のチャカの腕に免じてな」
男「ありがとう……」
ボス「量はこれでいいか?」ポフッ
男「ああ、それで十分だ」
男「代金は……こんなもんでどうだ?」バサッ
ボス「ふむ、相場よりも多いくらいだ。異論はない」
男「取引成立だな」
男「じゃあ、俺は去らせてもらう。お騒がせして悪かった」
ボス「貴重なものだ。心して使えよ」
男「もちろんだ」ザッ…
側近「申し訳ありませんでした、ボス……」
ボス「かまわん。久しぶりに面白い男と出会えたわ、ハッハッハ」
男(あれが暗黒料理組織のボス……噂に違わぬ大物だったな)
3月14日――
男「はい、これ! ホワイトデーのお返し!」
女「わっ、これはクッキー?」
男「手作りしたんだ。食べてみてよ」
女「いただきまーす」サクッ
女「なにこれ! ものすごくおいしい! こんなおいしいの初めて!」
男「ハハハ、よかった」
男(世界のごくわずかな地域でしか採れず、正規の方法では入手不可能な伝説の小麦粉……)
男(苦労して入手した甲斐があった!)
おわり