関連
女「機械の体ですけど触ります?」
元スレ
女「機械の体ですけど、一緒に過ごします?」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1303313514/
女「気軽にお触りください」
男「いや、そういう関係じゃないだろ」
女「今回は、軽い自己紹介を兼ねたいと思います」
男「じゃあますます誤解を生じさせないようにしないと」
女「そうですね」
男「どうも、男です。一人暮らししてます」
女「……」
男「あー、してました。今は二人暮らしをしてます」
女「はい」
男「んじゃあ、次、女」
女「了解しました、こほん」
男(こほんって自分で言うのか)
女「名称番号、DDL-003。そして今は女と申します」
男「ふむふむ」
女「男さんととても仲良しです。男さんととても仲が良いです。男さんとお友達です」
男「重ね重ね言わなくてもわかるから」
女「あと、機械です。アンドロイドと言うべきかもしれません」
男「アンドロイド、かっけー」
女「ひとつひとつに反応してくださる男さんがいてくれるから、私は自己紹介ができます」
男「あ、ありがとう」
女「それでは、一つ質問なのですが、男さん」
男「ん? なに?」
女「今回はボクっ子、出るんでしょうか?」
男「いや、出さないでしょ、流石に」
女「そうですか。ボクっ子アンドロイドも無しですね」
男「その発想は無かったぞ、おい」
女「それでは、これからよろしくお願いします」
男「よろしくお願いします」
女「私はわかっています」
男「なにが?」
女「どうせ他の機械とイチャイチャしてしまうことを」
男「な、なんでそうなるんだよ!」
女「いいんです、男さんが幸せなら」
男「幸せを運びすぎだろ、あんた」
女「それでは、一つだけネタを披露します」
男「お、なんだなんだ」
女「いえ、ネタ切れが怖いのでみなさんにネタを募集しようかと」
男「あのなぁ……」
女「それでは、どうぞ」
―――――
―――
―
女「かくれんぼしませんか?」
男「部屋でするのか?」
女「はい」
男「いいよ、狭いけどな」
女「それでは、今から隠れます」
男「俺が探す方なんだな……わかったよ、1分たったら見つけに行くからな」
女「はい」
―――
男「よし、探すぞ」
女「……」
男「……おい」
女「はい」
男「って、反応するのかよ」
女「完璧に隠れたと思ったのですが……」
男「頭だけ隠してても意味無いだろうが……」
『頭隠して尻隠さず』
―
―――
―――――
女「と、このようにことわざを一つ教えてください」
男「ふむふむ、そのことわざをネタにするのか」
女「はい、私の学習にもなりますので」
男「それは一石二鳥だな」
女「二兎を追う者は一兎をも得ずですね」
男「全然意味が違うぞ……」
40 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) - 2011/04/21 23:36:31.21 2qqY9VWRo 196/1986というわけで、募集します。
今日はこれでお願いします。
ちなみに私は新キャラをバンバン出して、展開をぐちゃぐちゃにしたいと考えています。
ついていけなくなったら、何も言わずに去ってください。
もしも、ネタが尽きて死にそうになった場合は、バトル展開とかになって誰得な感じになるかもしれないです。
まだまだ未知数なのでよろしくおねがいします。
男「――つまり、DDL-003って言う、あんたも、その一部ってことか?」
女「はい、そうなのです」
男「でも、あんた以外にもたくさんいるってことは、顔もやっぱり似てるのか?」
女「いえ、そんなことはありません」
男「ふぅむ……」
女「博士は類似品を嫌っているので」
男「へえ、そうなんだ」
女「その時その時思ったものを作るそうで」
男「なるほどね」
女「そんなことより、男さん」
男「ん?」
女「そろそろご飯時ではないでしょうか?」
男「ああ、そうだったな」
女「それでは、私が作りましょうか?」
男「作れるの?」
女「はい、ある程度であれば」
男「じゃあ、よろしくお願いします」
女「はい、お願いされました」
女「とんとんとんとん」トントントン
男「口動かさずに手を動かしなさい」
女「はい」トントントン
男(……女と過ごして、結構経ったなぁ)
女「……」
男(素直に言うこと聞くし、面白い奴だし、なにより可愛い!)
女「あっ」
男「どうした?」
女「手を切ってしまいました」
男(……機械にしては、ちょっとおっちょこちょいだけど)
女「出血を確認しました」
男「見せてみろい」
女「はい」
ドクドク
男「……」(すっげえ綺麗な色……)
女「どうかしましたか?」
男「血、出るんだな」
女「はい、その点では人間と変わりませんので」
女「どうしましょう」
男「止血しないとな」
女「しますか?」
男「自分でしちゃダメだろ、えーっと、ガーゼ、ガーゼ……」
女「……」
男「あったあった。傷薬は……っと」
女「私の体力が20回復します」
男「ポケ○ンか」
男「そんなボケしてないで、ほら、指出して」
女「はい」
男(綺麗な指だな)
ピトピト
女「……っ」ピクン
男「ど、どうした?」
女「すこし、指に痺れが」
男「ははは、沁みたんだな~傷薬」
女「はい、そのようです」
女「あ、血が」
男「浅くて良かったな。すぐに血も止まったし」
女「はい」
男「これで、絆創膏をつければ、オーケー」
女「……」
男「どうした?」
女「いえ、なんでも」
男(絆創膏をずっと見てる……)
女「……」
助手「大変だよ、男さんっ」
男「ぬおわぁ!?」
助手「いつもリアクション大きくていいねぇ、私は大好きだよ」
男「は、はぁ……というか、窓から来ないでください!」
助手「いやあ、はは、それが……」
女「どうも、助手さん」
助手「うん、って、どうして男さんの腕を持ってるの?」
女「渡しません」
男「な、何言ってんだよっ」
助手「いやあ、それよりすっごいことになっちゃってね」
男「え?」
助手「あのさ、うちの博士がね、なんか色々と言っててさ」
男「なんですか?」
助手「ほかの機械の観察実験に協力してほしいそうなの」
男「えええ?!」
女「……」
助手「DDL-003の希望観測値を遥かに上回ってるんだよね」
女「希望観測値?」
男「それって、どういう?」
助手「まあ、認められたと思ってくれればいいかな~」
男「認められたって……」
助手「だからお願い! 君くらいしか頼めないの!」
男「い、いやでも……」
女「男さん、お願いします」
男「女……?」
女「私は男さんと一緒に居て、なにが変わったか自分ではわかりません」
男「……」
女「もしも、変わったのなら、他の皆さんも、変えてあげたいのです」
男「女……」
助手「えーっと、どうなのかな?」
男「わかりました、やりますよ」
助手「ほんと? ありがとう、男さんっ!」ギュウッ
男「いって! そんな強く手を握らないでください!」
女「離して下さい、助手さん」グイッ
男「脱臼する、脱臼する!」
助手「本当にありがと! ではでは、近々来ると思うから、よろしくね~」
男「は、はい」
バタン
男(ドアから帰るんだ……)
女「あの、男さん」
男「ん?」
女「本当に、良かったのでしょうか?」
男「なにを今さら」
女「ですが、迷惑になってしまうかもしれません」
男「あんたに言われて、断れるわけないだろ」
女「……そうですか、ありがとうございます」
男(……このアパートじゃ、狭すぎるな。引っ越すしか、ないかなぁ)
To be continued!!
―――――
―――
―
男「今日は色々買ったなぁ」
女「はい」ジーッ
男「やっぱり、女も女の子だなぁ、こんなに甘いもの買うなんて」
女「はい」ジーッ
男「こら、家に帰るまで食べるなよ? それと、一日一つ!」
女「はい」ジーッ
男「あ、ちょっとトイレ行ってくる」
女「では、ついていきます」
男「じゃあ、家まで我慢するよ」
女「そうですか」
―――
ガチャ
男「ただいま。よーし、トイレトイレ~」
女「はい」
男「できるだけ見ないようにしてくれよ、恥ずかしいから」
女「それでは、手を繋ぎましょう。手を繋げば観察条件を満たしたことになるので」
男「そうなのか」
女「はい…………はむはむ」
男「……ふぅ、スッキリしたぁ」
女「……ふう、美味しかったです」
男「……おい、なんで全部無くなってるんだ?」
女「鬼の居ぬ間に洗濯です」
男「俺は鬼か!?」
―
―――
―――――
―――――
―――
―
男「ふわぁ……」
女「おはようございます」
男「おう、おはよう……ん?」
女「はい?」
男「髪がちょっと跳ねてるぞ」
女「本当ですね」チョイチョイ
男「寝ぐせって強敵だよな」
女「そうですね」
・ ・ ・
女「おはようございます」
男「おお、おはよ……って、また寝ぐせついてるぞー」
女「あ、本当ですね」チョイチョイ
男「まあ、仕方ないか」
女「はい、仕方ないです」
・ ・ ・
男「んー……良い天気」
女「おはようございます」
男「おはよ……ってうわあああ!?」
女「はい?」
男「あ、頭がボンバー!!?」
女「おや」
男「なんでこんなに跳ねまくってるんだよ!? というか跳ねてるってレベルじゃ……!」
女「雨垂れ石を穿つ……ですね」
男「こんなところでことわざを出すな!」
―
―――
―――――
※(すこし意味と多少、または大幅違う可能性があります)
男「よーっし、あらかたのもんは全部置けたかな?」
女「大きなものがまだです」
男「はぁ……やっぱりケチらずに引越し屋に任せればよかったなぁ……」
女「冷蔵庫どうしますか?」
男「ああ、いいよ。引越し屋呼ぶからさ」
女「よいしょ」
男「うっおおお!?」
女「意外と軽いです」
男「いや、重いだろ」
女「大丈夫ですよ?」
男「ああ……あんたは凄いね」
女「いえ、それほどでも」
男(顔が赤くなるわけでもなく、力を出してるわけでもないみたいだなぁ)
女「ここに置きますか?」
男「ああ、じゃあそこに」
女「よいしょ」
男(女、恐ろしい子)
女「それでは、一気に全部運びますね」
男「お願いします」
女「はい」
男「んー」
女「どうしましたか?」
男「なんで、荷づくりの時手伝わなかったんだよ?」
女「もうしわけありません、命令されなかったので」
男「命令待ちなのかよ」
女「男さんが困っていたので、運んだのです」
男「荷づくりの時もわりと困ってたんだけどなぁ」
女「あ、そうだったのですか。ごめんなさい」ペコリ
男「まあ、過ぎたことはいいさ。そして、女に大ニュース!」
女「はい、なんでしょうか?」
男「このマンションは、なんと……」
女「なんと」
男「いや、まだ驚かれても困る……」
女「あ、ごめんなさい。なんでしょうか?」
男「うむ……なんと」
女「ごくり」
男「風呂付きです!」
女「お風呂ですか?」
男「ああ、いいだろう?」
女「でも。お風呂はあの場所でも可能ですよ?」
男「毎日あそこに行くのは俺の財布が持たないっつー話」
女「そうなのですか」
男(それに……俺の気の迷いで一線を越える可能性だってあるんだし……)
女「どうしました?」ズイッ
男「うわっ、近いって!」
女「はい、近いです」
男「とにかく、これからは行かなくてもいいってことだ!」
女「そうですか」
男「んー、いまいちな反応だな」
女「はい、それがどうしたのでしょうか?」
男「どうしたって……嬉しくないの?」
女「あなたと一緒なら、私は構いません」
男「……そ、そうか」
女「いまいちな反応ですね」
男「……ふんっ」
女「怒りましたか?」
男「いや、別に」
女「それは良かったです」
男「……まあ、なんだ。今度、どっか一緒に行くか?」
女「いつでも一緒ですが」
男「いや、そうだけども」
女「? 買い物ならいつも一緒に行っていますが?」
男「いや、違くて……」
女「どういうことでしょうか?」
男「えっとー、そのー」
女「はい」
男「どっか、旅行といいますか」
女「?」
男「うー……なんて言えばいいのか」
女「デートですか?」
男「うわああああああああ、言いたくても言えない言葉を平気で言うなぁぁぁ!」
女「?」
男「そうだよ、デートだよ」
女「デートですか」
男「うん、デート!」
女「すこし、おかしいことがあります」
男「な、なんだよ……」
女「私はいつも、デートしているのかとばかり」
男「」
女「男さん?」
男「」
女「熱でしょうか、体温の急上昇を確認」
男「ちょちょちょ!」
女「はい?」
男「顔近いって!」
女「あ、今体温の確認を……」
男「いや、それでもさぁ……」
女「顔が赤いです、心配です」
男「いや、大丈夫だから!」
女「いえ、でも」
男「本当に、大丈夫だって!」
女「いえ、反応が」
男「うわっ!」ズルッ
女「あっ」
スッテーン
男「……」
女「……」
男「あ、ううえ?」
女「すいません、滑ってしまいました」
男「う、上……どいてくれ」
女「はい、ごめんなさい」
助手「わお……すんごいとこの遭遇しちゃってね」
男「!」
女「あ、どうも、助手さん」
男「こ、これは……」
助手「大丈夫大丈夫♪ 全部見てたからね~」
男「うう……」
助手「あのさ、つれてきたんだけど」
男「え?」
助手「新しい機械」
男「ああ、マジですか?」
助手「マジです」
男「どんな人ですか? 男ですか? 女ですか?」
助手「博士は女の子が大好きです」
男「……つまり?」
助手「女の子だよ」
男「そうですか。それで、その子も一緒にいないとダメなんですかね?」
助手「いや、その必要はないと思うよ。仮実験だし」
男「そうですか……良かった」
助手「ねえ、男くん」コソコソ
女「?」
男「は、はい?」
助手「DDL-003が傍にいないといけないって言う条件、いや?」
男「い、嫌というか……」
助手「正直に言っちゃいなよ、ねえ?」
男「嫌じゃ、ないです」
助手「ほほう」
男「でも、俺といつも一緒じゃ、あいつのしたいこと、できないだろうし」
助手「ふむふむ」
男「でも、あいつのこと嫌なわけでもないですし……」
助手「やっさしー!」
男「ちょ、声大きいですって!」
女「男さんを離してください」
助手「んー?」
女 グイッ
男「うおっと!?」
女「男さんは渡しません」
助手「妬いちゃうくらいだしねえ」
男「……」カァァ
助手「うん、それじゃあ君の意見をすこーし、尊重しましょー」
男「え?」
助手「……ピッピッピ……ポチっとな」
女「!」
男「女!?」
女「条件変更完了いたしました」
助手「これでよし♪ それじゃあ、来る子もよろしくねー」
男「あ、ちょっと!」
女「どうしましたか、男さん」
男「……はぁ、なんでもない」(って、結局離れないけど!?)
ピンポーン
男「!」
女「どなたでしょうか?」スタスタ
男(あ、離れた!)
ガチャ
女「……誰もいません」
男「イタズラかな?」
ヒョコ
男「!」
女「あ、あなたは……」
?「……」チョコチョコチョコ
男「だ、誰?」
女「この方はDDL-002――」
?「……ふむ」
男「いきなりお菓子を食べるな!」
?「ひどい……」グスンッ
男「!」(涙……?!)
?「私は怒ると怖いぞー!」ピョコン
男「うわぁ! なんか頭から…………耳?」
女「――『狐耳人間機械』です」
To be continued!!
男「んで……」
女「んでんでんで?」
男「どこから拾ってきたそのネタ」
DDL-002「私は猫ではない、狐だ」
男「わかってるよ」
女「DDL-002……容姿は人間に変わりありませんが、感情が高ぶると狐耳が出てしまうアンドロイドです」
男「……って、ことは今高ぶってるのか?」
女「はい、そうなります」
DDL-002「私は客だぞ。お菓子くらい食べても怒られる筋合いは無い」
男「これから一緒に暮らすってのに、なんつー図々しい奴だ」
DDL-002「く、暮らすだと!?」
男「え、聞いてないのか?」(というか、感情がわかりやすい)
DDL-002「知らないぞ、私は」
女「では、今から情報を共有します」
DDL-002「うぎゃあ、DDL-003!? 久しぶりにあった……って、何をする?」
女「さっき言ったとおりです」
DDL-002「ふむ、なるほどな……」
男「わかったのか?」
女「はい、私の情報をほとんど共有しました」
男「と、いうわけだ」
DDL-002「ふむ……」フニュ
男(あ、狐耳が消えた)
DDL-002「そういうことなら仕方が無い、私は従わざるを得ないようだしな」
男「そうか、認めるのか」
DDL-002「しかし、私に触れるな、男!」
男(げ、いきなり呼び捨て!?)「なんで?」
DDL-002「女にした数々の所業……全て知っているのだからな!」
男「ちょ、記憶共有しすぎだろ!?」
女「私はあまり気にしていませんが」
DDL-002「女がこういうやつだとわかっていての数々の所業というわけだな……」
男「うわー、明らかに勘違いされてるぅ」
女「男さん」
男「あ、なになに?」
女「DDL-002にも、名前で呼ばないのでしょうか?」
男「ああ、そうか」
DDL-002「名前?」
男「ほら、さっきお前、こいつのこと、女って呼んだだろ?」
DDL-002「はっ、そういえば」
男「それが名前だ。お前はそうだな……」
DDL-002「か、勝手につける気か!?」
男「いいじゃねえか、番号で呼ぶの、嫌なんだよ」
DDL-002「むう……しかたあるまい。……変なのをつけたらただでは済まさんからな」
男「そうだな……『狐子』とかは?」
狐子「……」
男(あれ、ヤバい感じ?)
狐子「……」ピョコン
女「あ、狐耳」
狐子「ぜ、全然良くないからな! 私は喜んでなどいない!」
女「喜の感情メーターが最大値を超えています」
男「おお、喜んでくれたのか」
狐子「よ、喜んでなどいない! 私は、怒っているのだ!」
男「狐子、よろしくな」
狐子「あううう……」ピョコピョコ
女「ちなみに、耳が動いている時は、表せないほどの高ぶりを意味します」
狐子「女ぁーーー!!」
To be continued!!
―――――
―――
―
男「狐子のその髪って、狐と同じなのか?」
狐子「うむ、そうだな」
男「生えかわるのか?」
狐子「当たり前だ、バカ」
男(ってことは……この狐子の珍しい色の毛を売れば……金儲けできるかも!?)
男(そんでもって、もうすこし生活が楽になるかもしれないぞ……!)
狐子「な、何いやらしいことを考えている!」ピョコン
女「取らぬ狸の……あれ、狐の皮算用、ですか?」
男「大丈夫だ、殴られて正気に戻った」
女「あ、たんこぶ」
狐子 プイッ
―
―――
―――――
狐子「むむむ……」
男「ん?」
狐子「おい、男、それは食べていいのか?」
男「これ?」
狐子 コクコク
男「赤いきつね……食べるのか?」
狐子「悪くないだろう?」
男「なんか、俺がやるせない」
狐子「お前の気持ちで決めるな!」ピョコン
男「おお、出た出た狐耳」サワリッ
狐子「うわわ、何をする?!」
男「え、なんだ?」
狐子「触るな、バカ!」
男「あ、ダメなのか?」
狐子「耳は、敏感なんだ……」
男(やっぱりそういうのなんだ)
女「男さん」
男「ん、どうした、女?」
女「狐子とお話しているところ失礼なのですが」
男「ああ、いいぞ」
狐子「別にお話などしてないっ」
女「お風呂に入りませんか?」
男「一人で入らないのか? せっかく離れても大丈夫なのに」
女「男さんと入らないと、入る意味がありません」
男「ん、なんか照れるな……わかった、入ろう」
女「はい」
狐子「一緒に……お風呂?」
男「あ」
狐子「やっぱり変態か……こいつ」ジトー
男「ま、待て。これは女が頼んだわけでだな……」
女「男さんが嫌であれば、断っていただいても良いのですが」
男「ちょ、それを言ったら……!」
狐子 ジトー
男「ほらぁ……」
女「?」
男「とりあえず、ここは退散だ」
女「はい」
狐子「こ、こら、待て!」
男「待てと言われて待つ奴がいるかってのー」
狐子「……行ってしまった」
狐子「まったく、女も女だ。なんであんなやつと風呂なんか……」
狐子「それに、女もちゃっかり私を狐子と呼びおって……」
狐子「良い迷惑だ!」ピコンピコン
狐子「……なぜ、嬉しいのだろう」
狐子「名前など、ただの記号なのに――」
・ ・ ・
男「狐子ってさ」
女「はい」
男「あんたのも気になるけど、精神年齢とかって設定されてるの?」
女「どうなのでしょうか、はっきりと明記した情報は私の中にはありません」
男「そっかぁ」
女「気になりますか?」
男「いや、別に」
女「聞いた、ということは少なからず気になるのではないのですか?」
男「……その通りだな」
女「私の推測だと、私よりも下だと考えられます」
男「ふーん」
女「私がいくつに設定されているか、わかりませんが」
男「……そうだなぁ」
女「あ」
男「ど、どうした?」
女「目に泡が入ってしまいました、痛いです」
男「……シャンプーハット買ってやろうか?」
男「先あがるぞ」
女「あ、待って下さい」
男「俺に合わせなくてもいいんだぞ、あんたは」
女「そんなことではないのです」
男「え?」
女「たしかに、観察条件が変更され、いつも傍にいなくても良いとされました」
男「うん」
女「でも、私は男さんと一緒にいたいのです」ギュウ
男「……女」
女「我儘でしょうか?」
男「いや、ワガママじゃないさ。むしろ、嬉しいよ」
女「そうですか」
男「それでも、とりあえずは先にあがらせて貰うよ。ちょいとのぼせそうだから」
女「はい、わかりました。体を冷やさないようにしてください」
男「おう」
ガチャ
狐子「!」
男「あ、狐子……なんでここに?」
狐子「は、は、は……!?」ピョコン
男「」
狐子「なんだその格好はー!」
男「え、え?」
狐子「上半身裸でタオル一丁だと? 私を挑発してるのか!?」
男「とりあえず着させてくれないか……?」
狐子「ゆゆゆ、ゆっるさないんだからなぁ!」
男「待て待て、お前ちょっとおかしい」
狐子「ど、どこがだ!?」
男「俺の着替えをガン見してるお前の方が、よっぽど怖い」
狐子「な、なんだとぉ!?」ピョコピョコ
男(なんで耳が動いてるんだ? 怒ってるのか……?)
狐子「じゃあさっさと着替えろ、変態」
男「変態で固定かよ……はぁ」
狐子「……」
男「狐子」
狐子「な、なんだ」
男「正直に答えろ。お前、ここにいるの嫌か?」
狐子「あ、当たり前だ。こんな変態と一緒だと考えただけでも身の毛がよだつ」
男「……」
狐子「……?」
男「……そうか」
狐子「え?」
男「いや、なんでもない、気にするな」
狐子「……?」
ガチャ
女「あ、狐子」
狐子「女……はうっ!?」
女「どうしましたか?」
狐子「ま、負けた……」
女「?」
男(いや、勝てないだろ)
男「そういえば、どうしてここに?」
狐子「わ、私もお風呂に入ろうと思ったのだ!」
男「ああ、そうだったのか。お湯の出し方とか、わかるか?」
狐子「バカにするな、バカ!」
男「はいはい、悪かったな」
女「仲良しですね」
男「そうか?」
狐子「そんなわけないだろう!」
女「嬉しいです、私」
男「え?」
女「男さんが優しい人で」
男「なんでさ」
狐子「そうだ、こんな変態のどこが優しい?」
女「あまり変態と言うと、私が怒りますよ?」
狐子「あう……ごめんなさい」
男(狐子が謝った)
女「男さんは私を許容してくれました。そして、狐子もまた許容しようとしている」
男「いや、その」
女「しかし、私は許容されることを望んでいませんでした」
男「そうだったな」
女「でも、男さんは私を許容するのではなく、自分自身の、私自身の意志を尊重して下さいました」
男「あはは……面と向かってそんなこと言われるとなぁ」
女「私は男さんと一緒にいれることを、とてもうれしく思います」
狐子「……」
男「……そうかい。それより、体拭け、風邪ひくぞ」
女「大丈夫です。くしゅん」
男「ほらな……」
狐子「……」
・ ・ ・
チャポン
狐子「……」
狐子(男……)
狐子(あんな真っ直ぐな目をした女は初めて見た……)
狐子(私はやつを、肯定していいのか?)
狐子(変態でも、良いところはたくさんあるようだし)
狐子「私は……」
キュッ ジャー
狐子「はにゃあああああああ!?」
狐子「冷たいぃぃぃぃ!」
ガチャ
男「どうした!?」
狐子「お、男! 水、つ、冷たい!」
男「あーもー言わんこっちゃない!」キュッキュッ
狐子「……はぁはぁ……」
男「大丈夫か?」
狐子「し、死ぬかと……思った」
男「はは、大げさだなぁ」
狐子「!」
男「ん?」
狐子「は、は、は……早く出ろ、バカぁ!」
ドンッ
男「うおわっ……な、なんだよ……」
狐子(う、生まれて初めて、オトコに体を見られてしまった……)ピョコン
狐子「恥ずかしい、恥ずかしい……」ピョコピョコ
・ ・ ・
就寝時
女「と、言いますと?」
男「だから、あいつは帰ってもらう」
女「狐子を、ですか?」
男「ああ。どうやら信用してないみたいだし、嫌がるあいつをいさせるのも気が引けるからな」
女「優しいのですね、男さん」
男「ほっとけ」
女「……でも、男さん」
男「ん?」
女「その優しさは、いつか身を滅ぼしますよ」
男「なんだぞりゃ?」
女「いえ、お気になさらないでください」
男「ま、とにかくこれであいつも喜ぶさ」
狐子「誰が喜ぶのだ?」
男「うおわっ、いたのか」
狐子「ふん、私がいたら嫌か?」
女「どうしたのですか? 狐子」
狐子「……大したことではないその……」
男「?」
狐子「男の隣が空いているから、寝ようと思ってな」
男「え?」
狐子「だ、だから、女が男の隣にいるから、私も男の反対隣に……」
男「ど、どういう意味だ?」
狐子「だから、一緒に寝てやると言っておるのだ!」ピョコンッ
男「み、耳出しながら怒るなよ……」
狐子「ふん、うるさい!」
女「男さん」
男「え?」
女「これでも、狐子を帰らせるのですか?」
男「……はは」
狐子「な、なんだ?」
男「できるわけ、ないだろ」ナデナデ
狐子「な、なにをする!?」ピョコピョコ
女「素直じゃないですね、狐子」
狐子「な、なんのことだぁぁぁ!!」ピョコピョコ
To be continued!!
女「あ」
ニャァ
女「猫」
フニャァアン
女「……よしよし」
カプッ
女「痛っ」
ニャァ タッタッタッ
男「どうした?」
女「猫が」
男「って、血出てるじゃねえか」
女「行っちゃいました」
男「ん? ああ、そうだな」
女「……」スクッ
男「女?」
女「帰りましょうか」
男「あ、ああ」
トコトコトコ
女「……」
男(なんかなぁ)
女「……」
男(最近、静かだなぁ)
女「男さん」
男「ん、なんだ?」
女「今日は、良い天気ですね」
男「あ、ああ」
女「……」
男「それだけ?」
女「はい、それだけです」
男「そ、そうか」
女「……」トコトコトコ
男(か、会話が終わった)
男(……ん?)
女 ボーッ
男「女?」
女「はい」
男「あ、いや」
女「?」
男「なんか、ボーっとしてたから」
女「大丈夫です、お気になさらないでください」
男「そ、そうか」(と、言われてもなぁ)
男(最近特に多いしなぁ)
男(気になるっつーの)
女「あの、男さん」
男「ん?」
女「もしも、なのですけど」
男「ああ、なに?」
女「また、新しいアンドロイドが来ても平気でしょうか?」
男「え?」
女「今は私と狐子……二人ですけど」
男「ああ、うん」
女「これ以上になっても、男さんは大丈夫なのですか?」
男「俺は……」
女「はい」
男「正直、平気だけど」
女「そうですか」
男「どうかしたのか?」
女「私は、不安なのです」
男「なにが?」
女「男さんが、遠くに行ってしまう気がして」
男「俺が遠くに?」
女「はい」
男「なんでだよ、あんたとはいつも同じじゃないか」
女「それでも、です」
男「……」
女「狐子と話しているあなたを見ていると、どんどん体が言うことを聞かなくなってしまうのです」
男「ど、どうして?」
女「わかりません、なぜなのでしょう」
男「……」
女「この先、もしもアンドロイドが増えて、どんどんあなたが遠くに行ってしまう」
女「そんな気がしてしまうのです」
男「……女」
女「この気持ちを抑えれるなら、抑えたいです」
男「……」
女「今は、とっても落ち着いています。男さんが、隣にいてくれるから」
男「……」
ギュッ
女「男さん?」
男「ま、まあさ。手くらい、繋いで歩こうぜ?」
女「……良いのですか?」
男「ああ、もちろん」
女「……嬉しいです」
男「その代わり!」
女「はい」
男「俺はあんたの前から居なくなったり消えたりしない。だから俺たちはいつも一緒さ」
女「いつも――、一緒」
男「ああ、だから、そんなに色んなこと悩んだりするなよな」
女「……はい」
男「今日は何が食べたい?」
女「私が作ります」
男「おお、本当か?」
女「はい、カレーなら」
男「カレーは昨日も食っただろ」
女「そうでしたね」
男「ははは」
女 ニコッ
男「あ、今」
女「?」
男「……なんでもない」
女「わかりました」
男(女も色々考えてるんだ、それをちゃんと汲んでやらないとな)
To be continued!!
―――――
―――
―
女「狐子」
狐子「なんだ、女?」
女「愛とは、なんでしょう?」
狐子「あ、愛!?」
女「はい、愛です」
狐子「そ、そんなものわからない!」
女「それでは、恋は?」
狐子「し、知らない! わ、私は好きなひとなんかいないからな!」
男「おーい、なんの話してるんだ?」
狐子「お、いきなり話に入ってくるな!」
男「うお、いきなり怒られた」
女「男さん、これ」
男「ん、なにそれ」
女「男さんのために作ったものです」
男「おお、マジ? ありがとなー」
女「狐子」ボソッ
狐子「な、なんだ?」
女「恋に師匠無し、ですね」
狐子「……そうか」
男「?」
―
―――
―――――
男「ん……」
チュンチュン
男「朝か……鳥のさえずりが聞こえるなんて、なんだか今日は一日いいことが起きそう……」
狐子 スゥスゥ
男「……なんだ、この状況は」
狐子「……むにゃむにゃ」
男(近い。危うくキス寸前だぞ……)
狐子「……んん」
男(とりあえず、起こさずに……)
狐子「……」
男「そーっと、そーっと……」
女「おはようございます」
男「うわぁ!?」
狐子 ビクッ
女「?」
男「あっ」
狐子「ふ……にゃ?」
男「お、おはよう、狐子」
狐子「……」
男「……えーっと」
狐子 ピョコン
男(やべ)
狐子「朝っぱらから何するつもりだバカー!!」
・ ・ ・
男「いてて……」
狐子「まったく、油断も隙もない!」
男「だから、言ってるだろ事故だって」
狐子「それならすぐに言えばよかったのに!」
男「言い訳なんかする時間もなかっただろ!」
女 パクパクパク
狐子「うるさい、そうやって女にも事故を装って……!」
男「してない!」
女「ごちそうさまです」
男「あ、ああ」
女「男さんは全然ご飯、進んでませんね」
男「あ、そうか?」
女「ご飯、美味しくないでしょうか?」
男「美味しいよ! 俺の飯が酷く思えるくらいに!」
女「そうですか、食べ終わったら言ってください。後片付けしますから」
男「う、うん」
男「……」
狐子「……おい、男」
男「なんだ?」
狐子「女、どうしたんだ?」
男「え、なにが?」
狐子「いつもと、違うから」
男「ああ、そう……そうかもな」
狐子「喧嘩か?」
男「いんや、違う」
狐子「なら、なんで」
男「さあな」
狐子「なんだそれは」
男「あいつにもほっておいてほしいこともあるだろう」
狐子「無責任だな」
男「……はは、そうかもな」
狐子「なんだそれは」
男「……」パクパクパク
狐子「お、おい!」
男「ごちそうさま、狐子も早く食べろ、片づけられないだろ」
狐子「う、うるさいっ」パクパクパク
男「……」
狐子「まったく……」
・ ・ ・
女「……」
狐子「女!」
女「狐子」
狐子「あの、ちょっと聞きたいことがあるのだが」
女「男さんならあっちに」
狐子「あんなやつのことを聞くつもりはない!」
女「あんなやつ?」
狐子「そ、そうだ」
女「狐子、男さんのことを侮辱しているのですか?」
狐子「そ、そうじゃないけど……」
女「……」
狐子「ご、ごめんなさい、最近、女がいつもと違うから……」
女「私が、いつもと?」
狐子「う、うん」
女「気のせいですよ」
狐子「そんなことない!」
女「?」
狐子「というか、ここにいる女は、研究所にいた時の全然違う……」
女「……」
狐子「全然、違うから……」
女「……男さんのおかげ、かもしれません」
狐子「え?」
女「私自身、変わったかどうか自分ではわかりません」
女「でも」
女「男さんと一緒に暮らしていく中で、たくさんのことを学びました」
狐子「……」
女「その影響が、あるのかもしれません」
狐子「そ、そうなのか」
女「狐子も、変わりましたね」
狐子「え?」
女「いつも野蛮だったあなたが、今ではすっかり女の子のようです」
狐子「なな!?」ピョコン
女「また、狐耳」
狐子「こ、これは違うぞ!」
女「そうですか」
狐子「……」
女「人は常に変わります。変わらない人なんていません」
狐子「でも、私達は……」
女「造られた者です。でも――」
狐子「でも?」
女「――私達を、同じ人だと思ってくれる人がいる、そして、そんな人と一緒にいることで」
女「私達も、少しずつ人間になっているのでは、ないでしょうか?」
狐子「人間に――なっていく」
女「はい」
狐子「……そう、なのかな」
女「少なくとも私はそう思っています」
狐子「……」
男「女ー洗濯物頼むー」
女「はい、わかりました。それじゃあ」
狐子「う、うん」
スタスタスタ
男「ん? なにか話してたのか?」
狐子「……ふんっ、別に」
男「女、どうだった?」
狐子「……気のせいだったみたいだから、気にすることない」
男「そうか、これで狐子も気分が晴れたか?」
狐子「なんだその言い方は……まあ、そうだな」
男「良かった」ホッ
狐子「む?」
男「いやあ、女も心配だったけどさ、それ以上にお前が深刻に悩んでたから」
狐子「えっ……」
男「大丈夫なら、良かった」ナデナデ
狐子「……」ワナワナ
男(やべ、また……?)
狐子「嬉しくなんかないからなぁーーー!」ピョコンピョコン
男「うわあ!!」
狐子「……」
男「?」
狐子「な、なにジッと見てるんだ、バカ!」
男「ええ、なんか悪かったか」
狐子「……ふんっ、私なんか心配する前に、女を心配しろ、バカ」
男「そんなことできるかよ、狐子だって、一緒に暮らしてんだから」
狐子「……!!」カァァ
男(それに、女の理由は知ってるしな)
狐子「……くぅ……騙されないからなぁ!」ピョコンピョコン
男「なにが!?」
狐子 プイッ
男「ありゃりゃ……」
狐子「……」ドキドキドキ
女「すみません、男さん」
男「ん、どうした?」
女「洗濯物、落としちゃいました」
男「おいおい、どうした?」
女「ちょっと、余所見してました」
男「やれやれ……取りに行くから、どれくらい落としたんだ?」
女「大丈夫です、私の下着一枚だけですから」
男「余計取りに行きづらいわ!」
狐子(……人間、か)
男「はぁ……とりあえず取りに行ってきます」
狐子「おい」
男「ん?」
狐子「私も、取りに行く」
男「え」
狐子「わ、悪いか?」
男「いや、別にいいけど」
狐子「じゃあ、行くぞ!」
男「あ、ああ」
女「……」
男(……)
狐子「ほらっ」ギュッ
男「お、おう」
狐子(私は男と一緒にいて、人間になっていく……このドキドキする気持ちは、人間になりたいという欲望なのかもしれない)
狐子(だったら、男と一緒にいる時間を、もっと多く……)
女「……いってらっしゃい」
To be continued!!
男「……遅い」
男(一体何分待たせるんだ……)
ガチャ
女「すいません、お待たせしました」
男「ああ、随分待った」
女「怒ってますか?」
男「いいや、そこまでは」
女「あの、どうでしょうか」
男「あのさ、女」
女「はい?」
男「今日は良い天気だなぁ」
女「? はい」
男「それじゃあ、行くか」
女「男さん」
男「あ、なんだ?」
女「えっと、今日の男さんの服、カッコいいです」
男「そ、そうかー」
女「はい、いつもと違って、スタイリッシュというかなんというか」
男「いつもは違うのか……」
女「傷つきましたか?」
男「別に、ちょっとだけ」
女「どこですか、治しましょうか?」
男「いや、外傷じゃないから」
トコトコトコ
女「今日は、どこに連れて行ってくれるのですか?」
男「んー、どうしようか」
女「決めてないのですか?」
男「いやあ、実はさ……ショッピングにでも行こうかと思ってたんだけど」
女「?」
男「いや、なんでもない、行こうか」
女「はい」
・ ・ ・
女「お、おっとっと」
男「どうした?」
女「ごめんなさい、スカートが」
男「歩きづらいのか?」
女「はい、メイド服のスカートは、ふわふわしていて歩きやすかったのですが」
男「……わるい、もっとゆっくり歩くべきだった」
女「いえ、そんなことは」
女「あの、できたらですが」
男「ん?」
女「手を、握ってくだされたら、嬉しいです」
男「あ、ああ」
ギュッ
女「……」
男(あー、恥ずかしい)
女「男さんの手、いつもと違います」
男「え!?」
女「すこし、汗ばんでるような……」
男「き、気のせいだよ、気のせい……」
女「そうですか」
男「はは……」(バレてないよな……)
女「そういえばですが」
男「ん?」
女「あの、この服のことなんですけど」
男「そろそろ着くぞ~」
女「……そうですか」
男「色んなものあるから、目移りしちまうかもなぁ」
女「そんなにたくさんあるのですか?」
男「ああ、色んな店はここに集中しちまってるから」
女「そうなんですか」
男「一日じゃ回れないくらいあるぜ~」
女「それじゃあ、毎日行きましょう」
男「ああ、そうだな」
女「はい」
男「それじゃ、最初はどこに行こうか」
女「男さんの行きたい所で構いません」
男「じゃあ……あそこの小物屋でも行くか」
・ ・ ・
女「ここは何が売っているのですか?」
男「アクセサリーとかかな、可愛い系の……ほら、こんなのとか」
女「これは、なんですか?」
男「うーん、某アニメのキャラクターかな」
女「可愛いですか?」
男「ああ、可愛いと思うけど……可愛くなかったか?」
女「私と、どちらが可愛いのですか?」
男「は!?」
女「このアクセサリーと私、どちらが可愛いのでしょうか?」
男「な、なに聞いてんだよ……」
女「男さんは私に可愛いと言ってくれました」
男「……」
女「だから、どちらが可愛いのか、知りたいのです」
男「いやいや、待て待て待て」
女「はい?」
男「あんたとこのアクセサリじゃ可愛さのカテゴリが違う」
女「カテゴライズが、ですか」
男「ああ、あんたの可愛いとこれの可愛いは違う」
女「同音異義語ですか?」
男「もっと言えば同字異義語だ」
女「混乱しています、どういうことでしょうか」
男「えーっと……」(言うの恥ずかしいんだが…)
女「どうしました?」
男「説明しづらい……悪いけど、しなくていいかな?」
女「はい、整理してからでも、構いませんので」
男「ああ、悪いな」
女「いえいえ」
男「それより、なにか買うか?」
女「そうですね……買うと言っても、お金は」
男「いつも俺が出してるだろ、大丈夫だよ」
女「そうですね、うっかりです」
男「全然うっかりじゃないと思うぞ……」
女「……それでは、探してみます……えーっと……」
男「こういうのって、悩むよなぁ」
女「男さんは、こういうの、好きなのですか?」
男「んー、好きじゃないけど、たくさんあると悩んじゃうなーって」
女「そう言われれば、そうかもしれませんね」
女「……!」
男「ど、どうした、いきなり」
女「……これ」
男「ん、どうしたそれが?」
女「私に、なにかを語りかけている……」
男「え?」
女「……気がします」
男「なんだよ、ビックリした」
女「ビックリさせてしまって申し訳ありません」ペコリ
男「いや、そんなに深々と頭を下げられても困るけどな」
女「なんだか……『買え』と言われてるような……」
男「運命かもな」
女「運命?」
男「買わないといけない、運命さ」
女「そのようなものがあるのですか?」
男「いや、なんかこう、ビビっと来たんだろ? そういうのって、なんかあるんだと思うんだ」
女「……二つ、あるみたいですね」
男「色違いだな」
女「男さんも、お一ついかがでしょう?」
男「え、俺?」
女「はい」
男「んー、じゃあ、そうしようかな」
女「お揃い、というのでしょうか?」
男「そ、そうだな」
女「男さんと、お揃いです」
男「お、おう……」
女「どうかしましたか?」
男「い、いや。か、買ってくるよ」
女「はい」
スタコラスタコラ
男「……ふぅ」(ずっと近くにいたら、どうにかなっちまいそうだ)
男「……」
チャリーン
男「ん」
女「ありがとうございます」
男「そういえば、出かける時のバッグとか、欲しくないか?」
女「大丈夫ですよ」
男「そうなのか?」
女「体内に保管できるので」
男「いや、それはなんかやだ」
女「嫌、ですか?」
男「うん、できれば、非人間的なことはすこしずつやらないでおこうぜ」
女「はい、わかりました」
男「お兄さんとの、約束だぞ」
女「私に兄はいませんが?」
男「そ、そうじゃなくて……だな」
女「?」
男「いや、なんでもない」
小物屋から出て――
男(色んなこと、真に受けちまうんだよなぁ)
女「そういえば、男さん」ピトリ
男「!」(ちょ、女の腕が俺の腕に当たってる……! 近い!)
女「今日は、髪型も少し凝ってみたのですが、どうですか?」
男「えっと、ほら、あそこには服屋があるぞ!」
女「え、服屋……ですか?」
男「どうした?」
女「あの、服屋というのは?」
男「え、知らないのか?」
女「はい」
男「結構色々な服着てるのに……」
女「助手さんに頂いたものです」
男「ああ、そうだったのか」
女「服屋……ということは、服が売っているのですか?」
男「うん」
女「そうなのですか。服と言うのは、買うものなのですね」
男「なんだと思ってたんだ?」
女「助手さんから頂いていたので、不明カテゴリに位置していました」
男「助手さんもなかなかいいもの作るなぁ、プロ顔負けだ」
女「良いですか?」
男「……さて、気を取り直して行きますかー」
女「はい」
男「どうだ、女?」
女「……」ジー
男「おい?」
女「はい」ジー
男「はは、時間はあるから、たくさん見るといいぜ」
女「ありがとうございます」
男(じゃあ、俺もちょっと見ようかな……っと)
男「うーん、これいいかもな」
女「あの、男さん」
男「ん?」
女「これ、どう思いますか?」
男「試着してみたらどうだ? 着てみないことにはわかんないだろうし」
女「なるほど、わかりました」ヌギヌギ
男「ストーップ!!」
女「はい?」
男「何をしようとした!?」
女「試着を」
男「たくさんの人がいるんだぞ、考えなさい!」
女「ですが、いつも人のいるところで着替えているので」
男「いやいや、助手さんは置いといてだ」
女「はい」
男「あのな……あそこの試着室で着替えなきゃダメなんだよ」
女「試着室?」
男「あの中で着替えるんだ」
女「わかりました。ありがとうございます」
男「じゃあ、待ってるよ」
女「なにをですか?」
男「着替え」
女「わかりました、できるだけ早く着替えます」
男「いや、別にゆっくりいてもいいからな~」
女「そうですか、了解しました」
シャー
男(女は無意識かもしれないけど)
男(最近、もっと可愛くなってるよな……)
男(どこがと言われてもわかんねーけども)
男「うーむ……」
シャー
女「お待たせしました」
男「おお、どうかな?」クルッ
女「どうでしょうか?」
男「…………!」
女「……」
男(白いワンピース……ただの、ワンピースなのに)
女「?」
男(こんなに似合うって、どういうことだ……!?)
女「あの、男さん?」
男「えっと、買うか?」
女「買っていただけるのですか?」
男「もちろん」
女「あの」
男「なんだ?」
女「他も、もっと見ても良いですか?」
男「い、いいぜ」
女「ありがとうございます、それでは」シャー
・ ・ ・
女「たくさん買ってくださって、ありがとうございます」
男「ちゃんと着ろよ?」
女「はい、もちろんです」
男(結局、全部似合ってたなぁ)
女「……」
男(こんな可愛い子の隣にいて、俺はちゃんと釣り合ってるのだろうか……)
女「こういうのって、なんだか素敵です」
男「え?」
女「これを、本当のデートと言うのでしょうか?」
男「どうだろうな」
女「どうなんでしょうね」
男「……質問を質問で返すな」
女「はい、申し訳ありません」
男(でも、まぁ……デート、だな)
女「……」
男「じゃあ、帰るか」
女「はい」
男「その時の狐子の反応がさ……」
女「なるほど」
男「……あんたさあ、笑わないのか?」
女「笑う、という概念が私の中には組み込まれていません」
男「……」(じゃあ、一瞬見せる笑顔は、気のせいなのか)
女「……今日の男さんは、とても冷たいです」
男「え?」
女「私の質問に、答えを出してくれません」
男「そうか?」
女「とても、寂しいです」
男「……」
女「私は気のせいだと思いたいです。男さんの素っ気ない態度が」
男「……」
女「私には、苦痛になっているのです」
男「……女」
女「申し訳ありません、困らせるようなことを言って」
男「いや、別に」
女「それでは、帰りましょう」
男「……あのさ」
女「どうしましたか?」
男「別に……素っ気ない態度を取ってるつもりじゃないんだ」
男「ただ、今日の服も、今日の髪型も」
男「なんつーか、ちょっと似合いすぎてて、可愛すぎててさ」
男「上手く、話せなかったんだよ」
女「……男さん」
男「だから、あんたも気持ちを汲めなくて、悪かった」
女「いえ、そんなこと」
男「はは、照れくせえ」
女「……」ポッ
男「!」
女「これは、なんでしょうか……」
男(顔が、赤らんでる?)
女「とても、嬉しくて……感情が制御できません」
男「お、女……」
女「……とても、『恥ずかしい』です」
男(女に、新しい感情が芽生えた……!)
女「……あの、男さん」
男「な、なんだ?」
女「そんなに見られると、恥ずかしいです」
男「……あ、ああ、悪い」
女「男さん、帰りましょう」
男「ああ」
男(落ち着け、落ち着け)
女「……」トコトコトコ
男(女も戸惑ってる、俺が落ち着かないと……)
女「デートの終わりって」
男「ん?」
女「最後にすることがあるらしいのです」
男「なんだ?」
女「唇を尖らせて、目を閉じる……」
男「……あんた、それを誰から聞いたんだ」
女「助手さんです」
男「やれやれ……」(あの人も色々教えすぎだ)
女「……」
男「デートの終わり、ね」
チュッ
女「この、感触は」
男「さ、さっさと帰るぞ!」
ギュッ
女「はい」
ガチャ
男「ただいまー、あーなんか疲れた」
女「除霊しましょうか? ただいま帰りました」
男「いや、憑かれてないから」
狐子 ワナワナ
男「おう、ただいま、狐子」
狐子「何時まで待たせるんだ男……」
男「へ?」
狐子「こっちはお腹空かせて待ってたんだぞ、バカぁぁぁぁ!!」
男「うわあああ、なんでこうなる!?」
狐子「ん、このにおい……」クンクン
男「な、なんだ?」
狐子「二人で夕食を食べたなぁ!」ピョコン
男「うげ、バレてる!?」
狐子「私の嗅覚を舐めるなー!」
男「わかったわかった、すぐ作るから待ってろって!」
女「手伝います、男さん」
男「おう、ありがとな、女」
女「はい。……男さん」
男「ん?」
女「これからも、よろしくお願いします」
男「おう、よろしくな」
To be continued!!
―――――
―――
―
男「助手さん、この服のほつれ、直しもらえませんかね?」
助手「むむ、任せなさい! 私ならすぐに直せちゃうよ~」
男「ありがとうございます、助手さんがいてくれると助かりますよ」
助手「あんまり褒められるのは慣れてないからやめてよねー」
・ ・ ・
男「助手さん?」
助手「……」チクチクチク
男「あの、助手……」
助手「な、なに!?」
男「あの、ほつれ……」
助手「えっと、それがね……」
男「あ、できましたか? ……って、なんか逆に悪化してるような……」
助手「あうう……河童の川流れ」
女「猿も木から落ちる、ですね」
―――――
―――
―
―――――
―――
―
男「じゃんけん?」
女「はい、勝った方の人が負けた人に命令できるのです」
男「ふむ、面白そうだな」
女「それでは行きましょう、じゃんけん」
男「ポンッ」
女「あ、負けてしまいました」
男「へへーん、それじゃあ、肩揉みでもしてもらおうかな」
女「はい、わかりました」ダキッ
男「ちょ、なんで抱きついてんだよ!?」
女「体に、マッサージ機能が付いているので」
男「あ、ほんとだ、気持ち良いな~」
女「負けるが勝ちですね」
男「え、なんか言った?」
女「言え、なにも」
―
―――
―――――
ピンポーン
男「ん?」
女「インターホンが鳴りました」
男「いや、わかってる。もしかして、また新しいのが?」
狐子「新しい?」
女「それはないと思います。助手さんは何も言っていませんでしたし」
男「そうだよな、じゃあ、誰だろ」
狐子「二人で話をするなー!」
男「後でな、はいはーい」
ガチャ
男「!!!!」
女「?」
狐子「どうしたのだ、男」
?「……やっと、見つけた」
男「お、おう……ひ、久しぶりだな」
?「久しぶり、じゃ、ない!!!」
男「うわあ、ごめんごめん!!」
女「あの、男さん」
?「!?」
男「だ、ダメだ、女!」
?「だ、誰……? 恋人?」
男「だー、ち、違う!」
狐子「どうしたのだ、二人……誰だ、そいつ」
?「!!??」
男「うおー、ややこしくなるぅ!」
?「こ、子ども!?」
男「か、勘違いだ!」
?「わ、私が知らない間に……」
女「あの、男さん?」
狐子「むっ」クンクン
女「どうしたんですか、狐子」
狐子「……こいつ、男と同じにおいがする!?」
男「当たり前だろ、そりゃ……」
女「どういうことですか?」
男「だってこいつは……」
?「説明してよ、お兄ちゃん!」
男「俺の妹なんだから」
To be continued!!
妹「説明してもらうからね」
男「すると言っても……」
妹「また私に隠し事するの!? いっつもいっつも……」
男「あーあー、ごめんごめん、悪かったって」
女「? なにを怒っているのでしょうか」ボソボソ
狐子「最初から怒ってるようだな」ボソボソ
男「つっても、説明ができないっていうか……なんていうか」
妹「どういうことよ!?」
男「いや、あのさ……」
女「……」
狐子「……」
男「ちょっとね……言いづらい」
妹「この二人の人とどんな関係になったのよ……!?」
男「待て、そういうことじゃないんだけどな」
女「男さん、困ってます?」ボソボソ
狐子「そのようだな」ボソボソ
女「助けた方が良いかもしれません」ボソボソ
狐子「そうだな、どうする?」ボソボソ
女「すいません」
妹「? なんですか」
男(おお、フォローしてくれるのか!?)
女「私と男さんは、一緒にお風呂に入るくらいの仲です」
男「! うおいっ!」(全然フォローになってない……!!!)
妹「……」ジトー
男「うおおお、あからさまに嫌な目!」
妹「兄に、変なことされませんでしたか?」
男「し、してないよな? 大丈夫だよな?」
女「いえ、変なことは特に」
男「ほらな」
女「ですが、不思議なことはいくつか」
男「……え?」
妹「な、なんですか?」
女「唇に、唇を重ねられたことがあります」
妹「!?」
妹「キス……ですって」
男「女、もういいから喋るな!」
女「キス、というのですか? あれから、私はずっと気になっているのです、あの行為について」
狐子(男と女が……キスだと!?)
男「えーっとですねえ……」
妹「なにが『ほらな』よ! しまくりじゃない!」
男「た、確かにしたが……しまくりじゃねえ!」
妹「そういうのを屁理屈って言うの!」
女「男さんを責めないでください」
妹「まったく、いつからこんな女ったらしになったの!?」
男「なってねえって!」
妹「他には、されてませんか?」
男「だからそっちに振るなよ!」
女「ほか、ですか?」
男「答えなくてもいいからっ」
妹「やましいことあるってこと!?」
男「違うってば!」
妹「というか、一緒にお風呂に入る仲……っていうのは、結局どれくらいなんですか?」
女「それは……」チラリ
男(俺に助けを求めるなぁ!)
男「まあ、わかってくれよ」
妹「わかるわけないじゃない!」
男「物分かりの悪いやつだなぁ」
妹「これで理解しろって言う方がおかしいのよ!」
女「あの、妹さん」
妹「な、なんですか?」
女「なぜ、そんなに怒っているのですか?」
妹「兄が人に迷惑をかけているからです」
女「いえ、そうではないはずです」
妹「え?」
女「妹さんは、兄である男さんのことを、気にしているからこそ怒っているのです」
男「どういうことだ?」
女「だから、妹さんは、男さんのことを思って、怒っているのです」
妹「だ、誰がこんなバカな兄を……!」
男「バカがバカって言うな」
妹「なんですって!?」
男「うるさい、バカ」
妹「私だって言われる覚えは無いですー!」
女「仲が良いですね」
妹「全然違います!」
男「つーか、なんで来たんだよ」
妹「来たっていいでしょう!?」
女「男さんに会いたかったんですよね」
妹「ち、違う違う違ーう!」
男「じゃあ、なんなんだよ」
妹「うっさい、黙ってて!」
男「やれやれ、いつものパターンだ」
女「いつもの?」
男「パニクると『うるさい』『黙れ』ってさ」
妹「整理くらいさせてよ! 色々なことがありすぎて散らかっちゃったの!」
男「整理できたことないだろ」
妹「うっさいうっさいうっさーい!」
女「男さんは、妹さんのことをよく理解なさっているのですね」
妹「帰る!」
男「はいはい」
妹「引きとめてよ!」
男「なんで?」
妹「……もういい! なによ、知らぬ間に彼女作って!」
女「……」
妹「しかも、一緒にお風呂まで……お兄ちゃんのバカ!」
ダッ ガチャ バタンッ
男「……嵐のように帰っていきやがった……」
狐子「お前も大変だな」
男「わかってくれるか?」
狐子「わかりたくない」
男「はは……」
男(久しぶりに『お兄ちゃん』って、呼んだなあいつ)
・ ・ ・
妹「いきなり引っ越して、何も連絡しないなんて……!」
妹「それになによ、あの女の子! めっちゃ可愛いし!」
妹「あの小さい子、誰なんだろ……」
妹「ま、まさか……!?」
妹「そ、そんなはず、ないわよね……」
妹「し、しかたない、またいつか行ってやるわ」
妹「そして、あのバカ兄に説教するんだから!」
・ ・ ・
男「それにしても、女、よくあんなこと言えたな」
女「妹さんのことですか?」
男「『俺に会いたかったから』……なんて、普通言えないって」
女「そうでしょうか? 人を怒る時には二つあります」
男「ふむふむ」
女「一つは、自分の怒りにまかせたもの。もう一つは、他人のことを思ってのものです」
男「……そうか」
女「……おかしいこと、言いましたか?」
男「いや、全然」
女「……?」
男(すこしずつ、人間らしくなってきてるな)
To be continued!!
狐子「……」ボーッ
子ども キャイキャイ
狐子「ふ、子どもは無邪気だな」
子ども キャキャイキャキャイ
狐子「……飽きた」
人間は、たくさんの違いがある。
言葉では、人間と一括りにできるのに、そこにはもう一つ男性と女性というものがあって。
それでも、括ってしまえば人間だ。
狐子「お腹空いたなぁ」
空は、一つだ。
狐子「……綿菓子」
雲は、たくさんあるけど、たくさんの違いはない。
狐子「つまらない」
最近よく思う。
男「こんなところにいたのか」
狐子「……男か」
男「いきなり何も言わずに外に出るなよな」
狐子「お前には関係ないだろう」
男「あるね、心配するだろ」
狐子「心配される筋合いは無い!」ピョコン
男「ああ、はいはい。その狐耳しまえ」
狐子「なんだその扱いは……」
男「外で出すと、危ないだろ。というかな」
子ども ワースゲー!!
男「こんな高い木、早く降りようぜ」
狐子(そういえばこいつ、よく登れたな)
男「な?」
狐子「どうぞご勝手に、だ」
男「危ないだろ?」
狐子「ほっとけ」
男「ほっとくわけにもいかないんだよ」
狐子「保護者気取りか?」
男「そんなつもりは無いんだけどさ。なんでそんなトゲトゲしいんだ?」
狐子「ふん」
男「……」(まだまだ、心は開いてくれてないのか)
狐子「おい、男」
男「ん、なんだ?」
狐子「今の生活に、満足してるか?」
男「……どういうことだ?」
狐子「そのままの質問だ、満足しているのか?」
男「んー、どうなんだろうな、わからん」
狐子「わからないまま、生きているのか?」
男「でもまあ、満足かもな」
狐子「何故だ?」
男「女といいお前といい、なんか、面白いじゃん」
狐子「面白い?」
男「ああ、毎日毎日色々あって、面白いよ」
狐子「私を笑い者にしているのか!?」
男「違う違う、そういうのじゃない」
狐子「……」
男「なんか、一緒にいると楽しいんだよな」
狐子「……男」
ピョコン
男「うお」
狐子「ち、違う! 喜んでなんかないからな!」
男「え、喜ん……?」
狐子「う、うわーーーーなんでもない!」
ヒュンヒュンッ
男「おいっ!」(木と木を跳んで……!?)
男「ありゃりゃ……行っちまった」
狐子「はぁはぁ……しまった」
狐子(あそこで逃げたら、バレバレじゃないか……!)
狐子「……」ヒョコン
助手「おやおや、そこにいるのは?」
狐子「む、助手」
助手「どもども、どったの?」
狐子「ふん、お前には関係ない」
助手「はは、そっかー、でもね、DDL-002」
狐子「なんだ?」
助手「そこ、早めに降りた方が良いと思うよ」
狐子「なんだ、お前も危ないと言うのか?」
助手「言いづらいんだけど、パンツ丸見えなのね~」
狐子「!?」ピョコンッ
助手「痴女扱いされたくないなら、降りた方がいいと思うよー!」
狐子「あうう……」
助手「お、男さん来た」
狐子「!!」ヒョコヒョコ
男「はぁはぁ……あ、助手さん」
助手「DDL-002ならあそこだよーん」
男「あ、ありがとうございます、おーい狐子……」
狐子「み、見るなぁ!!」
男「えっ!?」
狐子「いいから、降りるまでこっちを見るな!」
男「あ、ああ」
狐子(うう、恥ずかしい……)ヒョコヒョコ
男「大丈夫か? 慎重に降りろよ?」
狐子「うるさい、気が散る!」ヒョコヒョコッ
男「悪い悪い」
狐子「……うわっ!」ズリッ
男「狐子!」ダッ
ガッ
狐子「!」
男「だ、大丈夫か?」
狐子「……」スリスリ
男「お、おい!?」
狐子「コンコン……」スリスリ
男「ちょ、ちょ、やめろって……!?」
狐子「……ん?」
男「狐子?」
狐子「……!」ピョコピョコ カァァァ
バッ
狐子「ば、バカぁぁ!」
男「無事だったか……良かった」
狐子「な、なにが無事だ! バカっ」
男「覚えてないのか?」
狐子「なんのことだ?」
男「お前、さっき滑って落ちたじゃねえか」
狐子「え?」
男「ま、無事なら安心なんだけどな……いてっ」
狐子「な、なんだその傷?」
男「あちゃーミスったなぁ」
狐子(まさか、私を助けて……?)
男「なぁに、大したことないさ」
狐子「……見せてみろ」
男「大丈夫だって」
狐子「いいから」
男「……」
狐子「……」ジーッ
男「狐子?」
狐子 ペロペロ
男「き、狐子!?」
狐子「私の唾液には消毒などの成分が含まれている、だから安心しろ」
男「そ、そうなのか……」
狐子「……んっ」ペロペロ
男(くすぐってぇ)
狐子「……血の味は、鉄っぽいんだな」
男「まあ、鉄分でできてるしな」
狐子「よし、これでいいだろ」
男「ありがとな、狐子」
狐子「別に、感謝されるためにしたわけじゃないから」
男「へいへい」
狐子「助けてくれた、お礼なんだから」
男「ありがとな」ナデナデ
狐子「撫でるな!」
男「了解」
狐子「……」ピョコピョコ
・ ・ ・
女「大丈夫ですか、男さん」
男「ああ、狐子のおかげでな」
狐子「私は別に……」
男「してくれたじゃねえか、ありがと」
狐子「それはお互いさまだ……か、感謝する」
女「絆創膏、貼りますね」
男「ああ、よろしくなー」
・ ・ ・
助手「DDL-002も大分良い感じですよ」
助手「はい、もうすこし無愛想な子だと思ってましたもん、私」
助手「やっぱり男さんのおかげかもしれないですねー」
助手「うーん、そうですねぇ」
助手「……うぇ、またですか?」
助手「うーん、聞いてみますね」
プツッ
助手「はぁ、大丈夫かなー?」
To be continued!!
男「ん」
女「はい」ササッ
狐子「醤油を取ってほしいならちゃんと言え」
男「ああ、すまん」
女「いえ、大丈夫です。それでわかりますから」
男「いつもわるいな」
女「いえ、そんなことは」ポッ
男「あ」
女「あ、これは」
男「はは、なんで照れるんだ?」
女「いえ、わかりません」
狐子「……」
女「日ごろの感謝をするなら、私もしなければなりません」
男「え?」
女「毎日、ありがとうございます」
男「あ、ああ……」
女「おかわり、いりますか?」
男「うん、よろしく」
狐子「私もだ、女」
女「はい」
男(すっかり、馴染んだなぁ)
女「……?」
男「ああ、気にするな」
女「私の顔に、何か付いていますか?」
男「ああ、いいから、そんなに顔を近づけないでくれ」
女「申し訳ありません」
男「べ、別に嫌ってるわけじゃないからな?」
女「それは良かったです」
狐子「女! 早くご飯ー!」
男「狐子は良く食べるなぁ」
狐子「わ、悪いか?」
男「いや、たくさん食べて大きくなれよ」
狐子「子ども扱いするな!」
男「してないよ」ナデナデ
狐子「にゃーー! してるだろぉ!」ピョコンッ
男「うっお」
女「狐子もとても元気ですね」
男「ああ、ほんとにな」
狐子「うう……バカ」
男「これも、女が作る飯のおかげかもな」
女「私の、ですか?」
男「美味いもん食べると、元気も出るって」
女「そうなのですか」
男「ああ、そういうもんさ」
女「……」
男「まあ、最初の頃は本当に酷い飯だったけどな」
女「ごめんなさい」
男「初めから上手な人なんていないよ」
女「……」
男「今は本当に美味いんだから! 自信持てって」ポンッ
女「あっ」ポッ
男「わ、悪い、なんかダメだったか?」
女「……なんだか」
男「?」
女「とっても、久しぶりな気がして」
男「そ、そうか?」
女「はい、なぜか」
男「いつも、買い物してる時は手を繋いでるけどな」
女「はい」
男(未だに、ドキドキしてるんだけど、わかってないんだろうなぁ)
女「肩に触られたのが、とても久しかったのかもしれません」
男「ああ、そうかもしれないぜ」
女「はい」
男「というか、今日の服って……」
女「はい、この前買っていただいたものです」
男「もう、やめろよなー」
女「え?」
男「それ、可愛すぎるんだよ、外に出せないって」
女「ダメですか?」
男「いやあ、気持ち悪いこと言うけど、他のおとこには見せたくないんだよなぁ」
女「……」ポッ
男「……」カァァ
女「とっても、恥ずかしいです」
男「あ、ああ……俺も言ったくせにめっちゃ恥ずかしい」
助手「いいねえいいねえ、そういうの」
男「うぎゃああ!?」
助手「ちょ、驚きすぎだよ、酷いなぁ」
男「じょ、助手さん……本当に神出鬼没……!」
助手「まあ、仕方ないよ! なんで来たかは、もちろんわかるよね~」
男「え、まさか……」
助手「うん、また新しい子!」
女「……」
男「そ、そうですか……」
助手「おや、なんだか嫌な感じ? だったら断ってもいいんだよ?」
男「え、いいんですか?」
助手「うん、もう二人もお世話になってるんだもん、構いませーんよー」
女「男さん」
男「お、女」
女「男さんの負担にならないのなら、お願いします」ペコリ
男「……わかった」
助手「ほんとに?」
男「はい、いいですよ」
助手「わーありがとありがと!」ギュッ
男「ちょ、助手さん!?」
助手「わわ、ついつい……ありがと、それじゃあ、また今度連れてくるね~」
男「は、はい」ドキドキ
女「……」
助手「それじゃあ、またねっ!」
ガチャ バタン
男「まったく、助手さんは……いきなりだもんなぁ」
女「……」ギュッ
男「お、女っ!?」
女「私も、ギュッてします」
男「あ、ああ……」ドキドキドキドキ
狐子「い、いつまでイチャイチャするつもりだ?」
男「あ、え……」
女「イチャイチャとは、なんですか?」
狐子「とぼけるな、女!」
女「?」
狐子「……な、なんでもない!」プイッ
男「そ、そろそろ離れてくれ、女」
女「はい、あまり近づくな、ですね」
男「いや、そうじゃなくて……やれやれ」
男(次はどんなやつが来るんだろ……)
女「?」
男「あんたみたいのだったら、嫌だな」
女「え?」
男「ん、なんでもないよ」
女「?」
男(とにかく、来るまで気持ちを切らさないようにしないとな)
To be continued!!
――――――――――
女「ツイッターって、なんですか?」
男「つぶやくらしいぞ、『~なう』とか」
女「へえ、男さんはやってるんですか?」
男「やってない、残念ながら」
女「残念なことですか?」
男「そうでもないかもね」
――――――――――
男「……」
女「どうしましたか?」
男「いや……」
狐子「寒いのか?」ピトリッ
男「暑い!」
女「もしかして」
男「ああ……」
男(あれから、助手さんは来ないし、新しいアンドロイドも来ない……なんでだ)
女「狐子が男さんのプリンを食べたからですよ」
狐子「わ、私のせいか!?」
男「その話じゃない!」
男「はぁ……」
狐子「私のせいじゃないぞ、女!」
女「それでは、なんですか?」
男「まあ、大したことじゃないよ」
女「そうですか」
男「……」
女「私、買い物に行ってきます」
男「ああ、俺も一緒に行くよ」
女「いえ、大丈夫です」
男「え?」
女「私一人で行きます」
男「でも」
女「私にまかせてください。それに」
男「?」
女「今の男さんは、休んでいて欲しいのです」
男「女……」
女「それじゃあ、行ってきます」
男「おう」
女「今日のご飯、何が良いですか?」
男「あんたが作ってくれればなんでも」
女 ポッ 「わかりました」
ガチャ バタン
狐子「二人になったな」
男「そうだな」
狐子「……」
男「……」
狐子「な、なんだ?」
男「なにが?」
狐子「私を見ただろ?」
男「気にするな」
狐子「する、してしまう」
男「……一緒にテレビでも観るか?」
狐子「……観る」
男「ん」
狐子「な、なんだ?」
男「いつものとこ、座らないのか?」
狐子「いいのか?」
男「拒む理由はないだろ」
狐子「……す、座ってやらんでもない」
男(こうやって、狐子を乗せてテレビ観るのも、習慣になってきたな)
・ ・ ・
狐子「あははは」
男「ははは」
狐子「む、女、遅いな」
男「そうだな……あれ? 雨が降ってら」
狐子「女は防水加工されているから、大丈夫だろ?」
ドンガラガッシャーン
狐子「ひにゃああ!」
男「お、おい、大丈夫か!?」
狐子「だ、ダメだ……! 雷は……!」
男「お、女もか?」
狐子「ダメだ!」
男「……それに、それ以上に……」
男(雨降ってる時は動くなって言ってるからな……)
狐子「? お、男、どこ行くんだ?」
男「迎えに行ってくる。大雨って感じじゃないから大丈夫だ」
狐子「それはお前も危険だ!」
男「女が壊れたらどうする!」ダッ
ガチャ
狐子「あっ……行ってしまった」
男「はっはっはっ……!」
バリバリーン!
男「音だけって感じだな……大したことない感じだ」
男「……ん?」
?「……」
男(びしょ濡れ……なんだ、あの子)
?「……」
男(とりあえず、女の所へ行かねえと)
男「……」
男「……」
男(ああ、もう)
男「おい、そんなところいたら風邪ひいちまうぞ!」
?「えっ……?」
男「ほら、とりあえず雨宿りできる場所にでも」
?「はい」
・ ・ ・
男(女、大丈夫かな)
?「……ありがとうございます」
男「ああ、いいんだよ。それに、俺のおせっかいみたいなもんだから」
?「なぜ、私を?」
男「ん、ほら、あんた、和服着てるからさ。なんか濡れて欲しくなくって」
?「……そうですか。ありがとうございました」ペコリッ
男「それじゃあ、俺はこれで」
?「はい」ニコッ
プルルルルル
男「ん」
ピッ
男「もしもし?」
狐子『どこ行ってるんだー!』
男「うえ? ど、どうした?」
狐子『女ならとっくに帰って来たぞ!』
男「ま、マジで?」
女『もしもし、申し訳ありません、約束を破ってしまいました』
男「いや、無事なら全然いいんだ」
女『早く帰った方が、心配させなくていいと思ったので』
男「いい判断だ、ありがとう」
女『それはよかったです……あっ』
男「ど、どうした?」
プツッ
男「お、おい……?」
男「切れちまった」
男「まあ、無事でよかった。さっさと帰るか」
・ ・ ・
ガチャ
男「ただいまー」
女「男さん」
狐子「……」
男「どうした?」
?「また、お会いしましたね」
男「!! な、なんで……?」
女「新しいアンドロイドです。彼女はSDF‐004――」
?「これからよろしくお願いします」ペコリ
女「――『和風人間機械』です」
To be continued!!
男「……お茶」
SDF‐004「ありがとうございます」
男「……お、おい、女」ボソボソ
女「はい?」
男「あの子……落ち着いてるな」
狐子「それは私が落ち着いてなかったってことか?」
男「それもある」
狐子「なにをー!」ピョコン
SDF‐004「うふふ……」
男「ん?」
狐子「なんだ、SDF‐004。笑うな」
SDF‐004「いえ、仲がよろしいようなので」
男「まあな」
狐子「誰がこんなやつと!」
男「それは悲しいぞ」
SDF‐004「うふふ……」
女「……」
SDF‐004「あなたはあまり変わりが無さそうで」
女「……そうですか?」
SDF‐004「はい」
男「そんなことないぞ」
SDF‐004「あら?」
男「まあ、わかりづらいかもしれないけどな」
女「本当ですか? 私は、変わっていますか?」
男「おう、色んなことが、徐々にな」
SDF‐004「あなたのおかげですか?」
男「ん、それは違うぞ」
女「?」
男「女は自分で変わったんだ。俺はただ、それを見守ってるだけ」
男「だから、変わったよ」
SDF‐004「なるほど……」スクッ
男「?」
SDF‐004「とても優しい人なのですね、素敵です」ニコッ
男「お、おう」ドキドキ
女「体温上昇を確認」
男「あ、いや」
SDF‐004「どうかなさいましたか?」スッ
男(い、いきなり手を取られた……)
SDF‐004「本当……熱いですね」
女「……」
男「ああ、大丈夫大丈夫」パッ
SDF‐004「それなら、よろしいのですが……」
女「……ご飯、用意できてます」
男「おう、いただく」
女「はい、それでは少々お待ちを」タタタッ
SDF‐004「……男、さんと言いましたね?」
男「おう、よいしょっと」
SDF‐004「私をここに、住まわせて下さるそうですが……よろしいのですか?」
男「ああ、全然構わないよ」
SDF‐004「うふふ、寛容な方で良かった」ニコ
男「褒めてくれてありがとさん」
SDF‐004「そういえば、私にも名前を頂けるのでしょうか?」
男「ああ、名前?」
SDF‐004「はい、よろしければ、早くつけていただきたいのですが……」
男「うーん、そうだな……」
SDF‐004「……」ニッコリ
男「……よし、決めた」
SDF‐004「なんでしょうか?」
男「お前は、『撫子』だ」
撫子「なでしこ……ですか?」
男「おう、見た目がなんて言うか、和服美人、大和撫子って感じなんだよな」
撫子「とても、素晴らしい名前ですね、ありがとうございます」ペコリ
男「これからよろしくな、撫子」
撫子「はい」
男「ふぅ……」
撫子「男さま」
男「あれ、いきなり様付け?」
撫子「これから一緒に住まう殿方様ですから。不快ですか?」
男「うーん、なんかあんまり言われ慣れてないからなぁ。でも、撫子がそう呼びたいなら、それでいいぜ」
撫子「はい、わかりました、男さま」
撫子「おや……?」
男「ん?」
撫子「さっきの雨で、濡れているようですね……」
男「ああ、大丈夫だよ、乾くから」
撫子「風邪を引いてからでは遅いです」スクッ
男「いや、大丈夫だから」
撫子 フキフキ
男「!」
撫子「顔も、水滴がたくさんついてますね」フキフキ
男「あ、ああ……」ドキドキ
撫子「はい、これで安心です。念のため、早めにお風呂に入るのはいかがですか?」
男「そうするよ」
撫子 ニッコリ
女「お待たせしました」
男「その前に、腹ごしらえしてからな」
撫子「はい」
男「おお、美味そうだなぁ」
女「肉じゃが、初めて作ってみました」
男「うーん、良い匂いだ……」グゥー
男「あ」
撫子「うふふ……」
男「あ、あはは……」
撫子「私と同じですね」グゥゥ
女「あ」
撫子「少し、頂けますか?」
女「申し訳ありません、SDF‐004の分は……」
男「大丈夫だ、撫子には俺の分をあげるよ」
女「それでは、男さんの必要摂取量を満たしません」
男(そこまで計算してくれてたのか……)「いいよ、大丈夫」
撫子「ありがとうございます、男さま」
男「ああ、いいよいいよ。それじゃあ、いただきます」
撫子「いただきます」ニコッ
女「……」
男「ん、最高だ」
女「喜んでいただけて、美味しいです」
男「女も大分美味くなったなぁ、料理」
狐子「うう……見てたら食べたくなってきた……」
男「お、狐子も食べるか?」
狐子「さっき食べたからいい!」
男「ん、そうか」
撫子「……」
男「ああ、撫子食べるか?」
撫子「はい」パクッ
男「あ」
撫子「……とても美味しいです」
男(お、俺の箸で……)
撫子「ふふふ、とっても幸せな味ですね」ニコッ
女「……」
To be continued!!
―――――
―――
―
狐子「てりゃああ!!」
男「うお、なんだいきなり」
狐子「背伸びしてんのよ……んー!」
男「どうした?」
狐子「背伸びすると身長が伸びるらしいのよ! んー!!」
男(そんなことで伸びたら苦労しないぞ……)
次の日
狐子「ぜ、全然伸びてない……」
男「……」
『二階から目薬』
―
―――
―――――
男「おはよう」
狐子「ん」
男「狐子、ちゃんとおはようくらい言ってくれよ……」
狐子「誰が言うかっ」
撫子「おはようございます」
男「おはよう、撫子」
撫子 モジモジテレテレ
男「? どうした?」
撫子「このような挨拶、したことがないので……」ドキドキ
男「そうなのか?」
撫子「殿方とご一緒なんて……恥ずかしいです」
男(こういう反応されると、こっちも照れるな……)
男「すこしずつ慣れてくさ」
撫子「そうですね、頑張ります」ニコッ
狐子「ふん、わかりやすいやつ」
男「ん?」
狐子「なんでもない」
男「……?」
女「おはようございます」
男「おう、女おはよう」
女 ジーッ
男「な、なんだ?」
女「いえ、何も」
男「?」
女「ご飯の用意、しますね」
男「ああ、頼む」
撫子「女さん、昨日のご飯、美味しかったです」
女「ありがとうございます」
男「……」
撫子「口調は、相変わらずなのですね」
男「前から、あんな平坦なのか?」
撫子「はい、そうなんです」
男「ふーん」
撫子「とても可愛らしいのに、もったいないですよね」
男「そうだな」
撫子「ふふ」
男「ん?」
撫子「よだれ垂れてますよ?」フキフキ
男「う、うおっと……あ、ありがとう」
撫子「とても可愛らしいのは、男さまもですね」
男「そ、そうか?」
撫子「はい、とても」
男「はは……」
撫子「ご飯を食べた後、一緒に散歩してくれませんか?」
男「ん、いいけど」
撫子「この周りのこと、もっと知りたいんです」ニコッ
男「ああ、まだこっちに来て間もないし、行こうか」
女「私も、行きたいです」
男「ああ、いいぜ」
撫子「はい、一緒に行きましょう」
女「ご飯です」
男「サンキュー、朝から美味そうだなぁ」
狐子「いただきます!」ガツッ
男「意地汚いぞ、狐子」
狐子「うっさい!」
男「女の子なんだから、ちゃんとしろ」
狐子「お、女の子とか、言うな!」ピョコンッ
男「俺変なこと言ったか!?」
女「いえ、一言も」
撫子「狐子さん、もっと素直になったら」
狐子「ううう、うるさい!」
男「まあ、いいや、いただきまーす」
女「はい、どうぞ」
撫子「いただきます」
狐子(……どうせ)
狐子(どうせ私を、『おんな』として見てないくせに)
男「どうした、さっきの勢いはどこ行ったんだ?」
狐子「う、うるさい。私の勝手だ」
男「おうおう」
撫子「このお味噌汁……美味しい!」
男「撫子には和食が似合うな」
撫子「ありがとうございます。女さん、今度作り方を教えていただけませんか?」
女「はい、いいですよ」
男(……良い感じになってきたな。撫子も一日でこんなに仲良くなったし)
男(それにこいつらは、互いに面識はあるみたいだから、正直ホッとする)
撫子「そういえば、聞きましたか?」
男「?」
女「はい?」
撫子「私達は……その……」
男「? どうしたんだよ」
撫子「……」フイッ
男「なにか、言えないことでもあるのか?」
撫子「……私と女さんと狐子さんは、『失敗作』として、男さまに送られてきたのです」
男「……え?」
To be continued!!
・ ・ ・
男「どういうことだよ?」
女「……」
狐子「……」
撫子「……」
男「黙ってちゃわかんねえだろ」
女「……」
狐子「……」
撫子「……」
助手「お腹空いた! 私も食べていいかな!?」
男「助手さん、話があります」ガシッ
助手「うわわっ!? な、なにかな?」
男「……博士とやらに、会わせてください」
・ ・ ・
男「ここか……」
男(それにしても、すんなり承諾されたな……いいのか、本当に)
男「それにしても……」
男(これ、本当に研究所か?)
助手「緊張するね~」
男「助手さん……」
助手「なに?」
男「いたんなら言ってください、俺、独り言全開じゃないですか」
助手「うん、凄かったね」
男「恥ずかしい!」
助手「よし、それじゃあ、中に入る?」
男「あ、はい」
助手「じゃあ、ついてきてね」
男「……」ゴクリ
助手「えーっと、カードは……あったあった」
シュッ ピピッ
男(すげえ、ハイテク)
助手「よし、入ろうか」
男「はい」
コツコツコツコツコツ
助手「……」
男「……」(いつになく真剣な顔だ……)
コツコツコ……
助手「……ねえ、男さん」
男「は、はい?」
助手「今の私、結構真剣な顔してるでしょ? 凄い?」
男「……す、凄いです」
助手「……でも、ここからは本当に真剣じゃないとまずいかもね」
男「……はい」
・ ・ ・
助手「……博士」
博士「……誰だ?」
助手「私です、人間機械観察兼報告員の、助手です」
博士「うむ、助手か」
助手「そしてこちらが……お、男さん?」
男「……」
助手「ど、どうしたの、男さん?」ボソボソ
男「な、な、な……」
助手「?」
男(この幼女が、博士?)
博士「なにをジロジロ見ている」
男「あ、す、すまん」
助手「お、男さん!」ボソッ
男「は、はい?」
助手「敬語、敬語!」
男「す、すいませんでした」
博士「……ふん、何故、こいつを連れてきた?」
助手「それはですね」
男「女と、狐子と撫子について話をしに来た……き、来ました」
博士「ほう、なんだ? 実験協力を破棄しにでも来たか?」
男「まさか、そんなことはどうでもいいです。それより」
博士「なんだ?」
男「あいつらは言っていました。『私達は”失敗作”だ』と」
博士「失敗作だが、なんだ?」
男「納得いきません。あいつらのどこが失敗作なのか、しっかりとした理由を教えてください」
博士「お前のような素人に話してわかることではない」
男「素人に説明もできないんじゃ、根拠が無いあなたの決めつけになります」
博士「……DDL-003……『無表情人間機械』」
男(無表情人間機械……女のことか)
博士「やつには、感情のパーツをあえて外し、どんな話でも無表情でいた。どんなことがあっても、表に感情は出さなかった。」
博士「しかし――やつには、感情が芽生えた」
男「!」
博士「無表情人間機械のはずのやつが、何故あってはならない感情が生まれたのか、私の経験にはなかったことをやつは起こした」
博士「やつは、バグだ」
男「感情が芽生えて何が悪い!?」
助手「男さん、落ち着いて!」
男「……」
博士「……DDL-002、『狐耳人間機械』」
男「狐子……」
博士「こいつは逆に、感情パッチを最大まで入れて作った。それが仇となって、人を傷つかせた」
男「!」
博士「怒の感情が頂点に達すると、理性を失い、人に危害を加える……」
博士「『人間との共存』を実現させるために造った人間機械が、人間を傷つかせるとは……皮肉なものだ」
男「でも、俺には――」
男(あいつは、怒ってなかったのか?)
博士「最後に、SDF-004、『和風人間機械』……か」
男「質問があります、なぜ、撫子は型番が違うんですか?」
博士「お前には理解できん」
男「……」
博士「……やつには、環境把握能力が身についていない」
男「……?」
博士「考えろ、お前があいつに、初めて会ったときを」
男(初めて会った時……あいつは……)
男(雨の中……びしょ濡れで……)
男「!!」
博士「平気で雨に打たれているやつを、普通だと思うか?」
男「……」
博士「以上だ、それ以外の理由はどこにもない」
男「あいつらは……あんたに捨てられたのか?」
博士「どうとでも取れるだろう。しかし、私にやつらに対する関心はない」
男「ならなんで、観察までしてるんですか」
博士「お前に害があれば、私の責任になる、当たり前だ」
男「なら……なんで……」
博士「まだ、何かあるのか?」
男「ならなんであいつらを俺のところに連れてきた!? そのまま破棄でもなんでもすればよかったのに!」
博士「愛していたからだ」
男「……え?」
博士「どんな失敗作でも、私は生みの親……子どもを殺すことなど、できない」
男「な……」
博士「だからこそ、実験をすることにした。私はデータでしか機械を見ることができない」
博士「ならば、研究者でない一般人にまかせれば、良いデータがとれるのではないかと考えた」
男「……それで、俺に」
博士「とても苦しかった。どこに行っても実験に協力する者が見つからず、私は焦りを感じていた」
男「……」
博士「これで最後にしよう……そう決めた時に」
男「俺が……?」
博士「ああ、そうだ」
博士「お前は、やつらを失敗作から、立派な人間機械に育ててくれた」
男「……」
博士「礼を言おう。そして、これが私の言える全てだ」
男「……納得、いかねえ」
博士「? 何故だ」
男「……スッキリしない気分だ……」
博士「ふん、興奮状態が抜けてないだけだろう」
助手「良かったね、男さん!」
男「は、はい」
博士「帰れ、私は新しい人間機械を作るのに忙しいのだ」
男「……はい」
博士「……あいつらに変なことをしてみろ、ただではすまないからな」
男「……?」
博士「可愛い子ばかりなんだからな」
男(やっぱり、普通の人とは違うな)
助手「それじゃあ、帰りましょう男さ~ん」
男「あ、はい」
博士「……」
男「……博士、それでも俺は――」
博士「『あいつらを失敗作とは言いたくない』とでも言うのだろう?」
男「……」
博士「私も、今ではそう思う。何故だか今ではとても寂しい気分だ」
男「……」
博士「一人は、嫌なものだ」
・ ・ ・
男「さてと」
男(俺はドアの前にいる)
男「よし、入ろう!」
ガチャ
ゴンッ
男「ぐはっ!」
狐子「あっ! 男!」
女「男さん、大丈夫ですか」
撫子「狐子さん、あなたがドアを勢いよく開けたから……」
狐子「わ、私が悪いのか!?」
男「ったく……お前ら……」
男「三人して、外に行こうとしてたのか?」
狐子「そ、それは……」モジモジ
撫子「正直に言いますと」
女「男さんを迎えに行こうと思っていました」
男「俺を……?」
女「はい」
狐子「ど、どうせ迷子になってると思ったからな!」
撫子「お帰りを待っているのが、歯がゆくて……」
男「……み、みんな」
女「男さん」
撫子「男さま」
狐子「男」
男「……あん?」
「「「おかえりなさい」」」
男「……ああ」
男「ただいま」
THE END
男「って、終わり!?」
女「はい、おしまいです」
男「ちょ、ちょっと待て! 本当に!?」
狐子「しつこいぞ、おしまいだ」
男「いやいや、撫子登場して間もないんだぞ!?」
撫子「はい……残念です」
男「ええ……妹の掘り下げとかもしてないし……」
女「はい、おしまいです。第2部」
男「ああおしまい……え、第2部?」
女「次回から第3部です」
男「え、うそ」
女「本当です」
男「これ区切ってんの!?」
女「というわけで、次回もお楽しみに」
男「ちょ、俺まだ聞きたいことあるんだけど!?」
To be continued!!!
男(たまには一人で散歩もいいもんだな)
男(女も撫子も、しっかりしてるし、安心して狐子を任せられる)
男「……ん?」
男(どこかで見たことあるような……)
?「む?」
男(あ、こっちに気づいた)
男(あの人は……確か……)
?「久しぶりだな、男」
男「会長さん、どうしてこんなところに?」
会長「会長なんてよしてくれよ、私はもう、生徒会長ではないんだから」
男「ああ、そうでしたっけ」
会長「私は君の一つ上なのだから、当り前だろう。高校なんてとっくに卒業してる」
男「俺もしてますよ」
会長「それも当たり前だ、まったく」
男「会長、聞いていいですか?」
会長「む、なんだ?」
男「なんで未だに制服着てるんですか」
会長「知らないのか? 制服はとても動きやすい」
男「いや、でも……」
会長「むむ、やはり卒業した私が制服を着ているのはおかしいと言うのか?」
男「似合ってるとは思いますけど……」
会長「高校生ではない、ってことか」
男「そうなりますね」
会長「悲しいな、実に悲しい」
男(もうコスプレの域ですよ……)
会長「久しぶりに男に会えてよかった」
男「そうですか」
会長「それで、考えてくれないか?」
男「なにがですか?」
会長「とぼけるな」
男「……」
会長「私と付き合ってくれ、頼む」
男「卒業した母校の制服着た人に告白されてもなぁ」
会長「真面目に答えろ!」
男「うーん、会長にはもっと良い人がいますよ」
会長「その断り方は一番悲しい。もっと良い人とは誰だ?」
男「それは、いずれ見つかる……」
会長「見つかってないから言っているのだ」
男「というか、もうそろそろこのくだりやめましょうよ……」
会長「こんなにピュアでまっすぐな私をどうして受け止めてくれないのか」
男「たしかに会長さんは綺麗ですよ? ですけどね」
会長「……そんなことを言われると、照れてしまう」
男「なーんか、ねぇ……」
会長「いやなところがあれば直そう」
男「それは俺に合わせることであって、あなたの自由を無くしてしまいます」
会長「そんなことを言ったらもっと惚れてしまうぞ」
男「会長……」
会長「お前が求めることが私の求めることなのだ」
男「……」
会長「お前が裸エプロンで毎日起こせと言うならそれは私の望みだ」
男「言いませんよ」
会長「仮の話だ、仮の」
男「仮でもなんか嫌です」
会長「そうか、すまない」
男(今思えば、なんで俺、会長振ったんだろ)
男(俺にはもったいない人だと思ったのは確かだけど)
男(ここまで俺のことを気にしてくれる人、いなかったし)
男(俺の相手をしながら、ちゃんと色んなことする人だったし)
会長「私が制服を着ている理由は、もう一つある」
男「え?」
会長「あの頃に戻りたい、と……心のどこかで思ってるんだ」
男「……」
会長「変だろうか?」
男「いえ、そんなこと」
会長「……隙あり」ギュッ
男「うおっ」
会長「うむ、変わらないな」
男「ちょっと傷つく……」
会長「あはは、そういうな」
男(胸当たってるんですけど)
会長「うむ、落ち着いた。今度、どこかに行かないか?」
男「ああ、いいですよ」
会長「よし、約束だ」
男「なんですか、それ」
会長「いいから、ほら」
男「……」
会長「ゆびきりげんまんっ」
男「変わらないですねぇ」
会長「そうか?」
男「はい、まったく」
会長「胸は大きくなったぞ、見るか?」
男「ちょ、セクハラ」
会長「嬉しいセクハラだろう?」
男「……はぁ」
会長「それじゃあな、男」
男「はい」
会長「男ー!」
男「はーい?」
会長「私は今でも、お前一筋だからなー!」
男「大声でそんな恥ずかしいこと叫ばないでくださーーーい!!」
会長「あっはっは!!」
ハッハッハッハッ……
男「……やれやれ、変わらない人だなぁ」
・ ・ ・
男「……」
女「どうか、しましたか?」
男「いや、昔のこと思い出してさ」
女「昔のこと?」
男「うん、高校の頃の思い出をさ」
女「高校の頃の、思い出」
男「はは、今思えば変なことばっかりしてたなぁ」
女「教えてください」
男「ん?」
女「男さんの昔のこと、知りたいです」
男「……いいぜ、じゃあ、すこしだけ」
女「はい」
To be continued!!!
女「ふぅ……」
女(お掃除、終了)
ヒラリ
女「?」
女「この写真は……誰でしょう?」
女(小さな……男の子)
男「ん?」
女「この子は、誰ですか?」
男「え、それ? ……あああ、俺だよ、俺」
女「でも、男さんとは身長が明らかに違います」
男「成長したんだよ」
女「身体は成長するのですか?」
男(そうか、女は、そういうの、知らないのか)
男「これは俺が子どものころの写真だなぁ、あはは」
女「……子ども」
男「うん、これは……小学生くらいのころかな?」
女「小学生」
男「こんなの、どこで見つけたんだ?」
女「荷物を片づけていたら、落ちてきて」
男「ああ、そうだったんだ。アルバムにでも入れとくかな」
女「アルバム、あるんですか?」
男「うん」
女「見せてください」
男「別に良いけど」
女「……」
男「な、なんかじっくり見られると恥ずかしいな」
女「男さん、とってもやんちゃだったのですね」
男「よく言われたよ」
女「この、隣にいる子は誰ですか?」
男「ああ、この子は……ははは」
女「?」
男「いや、ただの友達だよ」
女「女の子の、友達ですか?」
男「うん、ただの友達」
女「……そうですか」
撫子「あら?」
男「おう、撫子」
撫子「あらあら……この可愛い男の子、男さまですか?」
男「ああ。可愛いかはわからないけど」
撫子「とっても可愛いですよ、男の子らしいイタズラ好きな笑顔ですね」ニコッ
男「撫子は、なんで俺ってすぐにわかったんだ?」
撫子「昔の写真ですし、男さまが若かった頃であることくらい、わかりますよ」
男(撫子は……成長が、わかってるのか?)
女「……」
男「この時は狐子と同じくらいの身長かな?」
狐子「どういう意味だ? 私が小さいと言いたいのか?」
男「うお」
狐子「まったく……私だって好き好んでこの大きさではないんだからな!」
男「今のままが一番良いよ」
狐子「怒るぞ?」
男「今の方が絶対可愛いし」
狐子「……ふ、ふんっ、お世辞なんかで喜ばないからな」ピョコンッ
女「……男さん」
男「まあ、過去のことなんて、どうでもいいもんさ」
男「結局今生きてるこの時をちゃんと生きることが、一番なんだよ」
男「そうだろ?」
撫子「うふふ、男さまらしいですね」
狐子「カッコつけだな」
男「ほっとけ」
女「……すっきりした気分です」
男「それは良かった」
女「掃除、再開します」
男「もう綺麗だけど?」
女「いえ、まだまだ残っているので」
男「じゃあ、手伝うよ」
女「はい、ありがとうございます」
To be continued!!!
撫子「男さまっ」ギュッ
男「うおっ、い、いきなりどうした?」
撫子「男さま、とってもあたたかいですから……」
男「いきなり腕を抱きしめるものじゃないぞ」
撫子「だめ、でしたか?」ウルウル
男「い、いや……別に悪くは無いけど」
撫子「嬉しいです」ニコッ
男(撫子は、本当に良い笑顔するよなぁ……)
<女と狐子は二人で買い物に行っています>
撫子「男さまは、どのような女の子が、お好きですか?」
男「俺?」
撫子「はい」
男「俺は……わかんね」
撫子「好きな人、いなかったのですか?」
男「いたよ、いた……けど」
撫子「?」
男「その子が、タイプだったってことでもなかったし……どうなんだろ」
ピンポーン
男「ん? 客か」
撫子「そのようですね」
男「最近よくインターホンが鳴るなぁ……はいはーい」
スタスタスタ
男(いちいち確認なんてしなくっていいか)
ガチャ
?「よっす」
男「!?!?!?」
?「なになに、何その反応?」
男「ああああああ!?」
撫子「! ど、どなたですか?」
?「可愛い彼女できたみたいね、あんた」
男「ちょ、ちょっと……なんで、ここに?」
?「いいじゃん、別に」
撫子「ど、どなたかと、聞いてるんです!」
?「あら、それはこっちの台詞でもあるんだけどね」
男「な、撫子……こいつは」
?「こいつ?」
男「……こ、この人はだな……お、俺の姉だ」
姉「ぶいっ」
撫子「男さまの……お姉さま?」
姉「あ、あんた彼女に『さま』付けさせてんの……?」
男「変な誤解やめてください」
撫子「男さまを変態のように仰らないでください!」
男(彼女の方は否定しないのかー)
姉「あら、凄い忠誠心」
男「ちょ、そういう関係じゃないからな!?」
姉「わかってるわよ、仲良くそういうプレイ中でしょ?」
男「勘違いやめてくれって!」
撫子「ぷ、プレイ……?」カァァ
姉「図星?」
男「違うってぇぇぇ!!」
姉「あんたがおかしくなったって妹が言うから、来てみたんだけど」
男(あんのやろう……)
姉「あんたがおかしいのはいつものことだから、私は安心したよ~」
撫子「お、男さまはおかしくありません!」
男「な、撫子……」
姉「……」ジーッ
撫子「な、なんでしょうか……?」
姉 ニコッ
姉「綺麗な瞳……造り物みたい」
撫子 ビクッ
男「ね、姉さん!?」
姉「なんでビックリしてるの?」
男(……姉さん……鋭い!)
姉「男、こんな可愛い子、手放すんじゃないよ~」
男「だから、そいつは……」
姉「彼女じゃないんでしょ? 事情は聞かないけどさ」
男「……ね、姉さん……」
姉「ふふ、妹にはとりあえず言っとくからさ」
男「ありがとう、姉さん……」
姉「可愛い弟のためなら人肌脱ぎますよ~」ヌギ
男「ほんとに脱がなくていいから!」
・ ・ ・
姉「じゃね~」
男「ほーい……」
バタン
男「撫子、ごめんな」
撫子「いえ」
男「俺の姉さん結構鋭くてさ……」
撫子「私、お姉さまみたいになりたいです」
男「え゛!?」
撫子(あの、胸の大きさ……頑張ります!)グッ
男「……?」
・ ・ ・
姉「だから、大丈夫だって~」
姉「あんた気にしすぎ、だからオトコできないんだよー」
姉「あはは、やっぱりお兄ちゃんのこと好きなのねー」
姉「そんなに取り乱したら逆効果よー私みたいに普通に振舞わなきゃね」
姉「……当たり前じゃん、好きよ、弟のこと」
姉「あはは、妹にも負けないかもね~」
姉「ま、会いたい時は会いに行けば? そう遠くじゃないし」
プツッ
姉「ありゃりゃ、切れちゃった……妹、可愛いんだから」
・ ・ ・
女「ただいまです」
男「おかえり~」
撫子「おかえりなさいませ」
狐子「……ん?」
男「どうした?」
狐子「……男と同じようなにおいが、玄関いっぱいに……」スンスン
女「妹さんですか?」
男「いや、姉」
女「お姉さん……ですか」
撫子「凄い人でしたよ」
女「凄い?」
撫子「ええ、特に、大きかったです」
男「? そんなに身長高くないと思うけど……?」
女「そうなのですか」
撫子「はい、とっても」
狐子「……はぁ」ペタペタ
男「どうした、狐子?」
狐子「うっさい!」
To be continued!!
狐子「む」
女「どうしました?」
狐子「か、かゆい!」
女「どこです?」
狐子「と、届かない! 届かないぃー」
女「私が掻きますから」
狐子「く、くすぐったいぃ!」
女「大丈夫ですか?」
狐子「も、もうすこし強く掻いて!」
女「はい」
狐子「いたた! ちょ、それは痛いぞ!」
女「ごめんなさい、大丈夫ですか?」
狐子「だ、大丈夫……」
女「加減が、できない……」
狐子「き、気にするな女! おかげで痒み、無くなったから!」
女「それは良かったです」
狐子「女、ちょっといいか?」
女「はい?」
狐子「ギュッてしてくれ」
女「はい」ギュッ
狐子「……」
女「……」
狐子「……やっぱり」
女「?」
狐子(男と違って、温かくない)
女「どうかしましたか?」
狐子「ありがとう」
女「? はい」
女「……」
狐子「?」
女「男さんは、最近撫子さんと一緒にいます」
狐子「そうだな」(と、いうか撫子がべっとりしてるようにも見えるけど……)
女「撫子さん、綺麗です」
狐子「まあ……そうだな」
女「狐子、この気持ちはなんなのでしょう」
狐子「え?」
女「システムに、靄がかかったような……」
狐子「……わからん、私だって……」
女「え?」
狐子「な、なんでもない」
狐子「でも、私はそれが男らしいと思う」
女「?」
狐子「あいつは、誰にでも優しくする……女にだって、私にだって」
女「わかっています、わかっているんですけど……」
狐子「……女?」
女「……」
狐子(女……)
To be continued!!!
男「なあ、狐子」
狐子「む、なんだ?」
男「この尻尾って、本物か?」サワッ
狐子「ひゃあっ!」
男「うおっ」
狐子「いきなり触るな、バカ!」ピョコン
狐子「尻尾は……くすぐったい」
男「そうなのか」(てことは、神経通ってるんだな)
狐子「だから、あまり触るなよ!」
男「は、はい、了解」
・ ・ ・
狐子「……」
男「お、この番組やってたのか」グニッ
狐子「ふにゃっ!」
男「あ、す、すまん」
狐子「気をつけろ、バカ!」ピョコンッ
男「ごめんな、痛かったか?」
狐子「……! き、聞くな!」
男「え?」
狐子「こ、こっちを見るなー!」
男「わ、悪い……」
・ ・ ・
男「ふわぁ……おやすみ」
女「おやすみなさい」
狐子「おやすみ」
撫子「おやすみなさい」
・ ・ ・
狐子「んっ……」
狐子「起きちゃった……」
男「……」
狐子「男……」
男「んー」サワッ
狐子「ひゃあっ!?」
男「もふもふだー……」
狐子「あぁっ! ちょ、な、なにをすりゅう……!」
男「気持ち良い……なぁ……むにゃむにゃ」
狐子「い、いい加減に……しろー!」ピョコンッ
男「がふっ!?」
ガクッ
狐子「はぁはぁ……」
狐子「……ば、バカ」
・ ・ ・
男「なーんか、ここがヒリヒリするんだけど、気のせいかな?」
撫子「赤くなっていますよ? 大丈夫ですか?」
男「ああ、やっぱり」
狐子「バカ」
男「え?」
狐子「……バカ」
To be continued!!!
超短編!
女「男さん、ギュッて……してください」
男「……いいのか?」
女「はい、男さんの温もり……感じたい」
男「なんつー夢見ちまったんだ俺はぁぁぁぁぁ!!」
劇終
撫子「んー!」
男「美味しいか?」
撫子「はい、お羊羹、とても美味しいです」
男「そりゃよかった。和菓子は好き?」
撫子「はい、大好きです」
女 パクパク
男「女も美味しいか?」
女「甘味です」
男「お、美味しい?」
女「どちらかと言うと」
男(なんか、冷たいな……)
狐子「ふむ、美味しーな」
男「口に合ったか」
狐子「うん、美味しいぞ」
男「そりゃあ良かった」
女「……」
男「女?」
女「ちょっと、風に当たってきます」
女「……」ジジ……
女「はぁはぁ……」
女「……どうして、でしょう」
女「……」
女「こんなに……」
女(体が、拒絶している……)
女「思うように動かない……」
女「……」
女「男……さん」
男「女!」
女「!」
男「ど、どうした!? な、なにが……」
女「ごめんなさい……」
男「なんで謝るんだ?」
女「私の体に、不具合が生じています……」
男「どうして!?」
女「わ、私の私情で……」
男「なにが原因なんだ!?」
女「……大丈夫です、すぐに、良くなりますから」
男「ほ、本当だな?」
女「だから――私から離れないでください……」
男「……女」
女【スリープモードに入ります】
男「! ……」
狐子「……大丈夫か?」
男「女が……」
狐子「見ればわかる」
男「どうしてそんな冷静に!」
狐子「助かるから」
男「っ……」
狐子「不具合の理由……私にはわかる」
男「! 本当か!?」
狐子「それは――」
男 ゴクリ
狐子「――お前だ」
男「……え?」
狐子「わからないか?」
男「な、なんで俺が……?」
狐子「……」
男「俺が、原因?」
狐子「考えろ」
男「お、教えてくれないのか?」
狐子「それでは、ダメだ」
男「……」
狐子「……わからないなら、きっと、ずっとわからない」
男「……」
狐子「不具合が生じても、女が完全に壊れることはない」
狐子「あまり良くは無いが……じっくり考えてみろ。じっくり、じっくりな」
男「……ありがとう、狐子」ポフッ
狐子「別に、お前のためじゃないからな」ピョコンッ
男「……そっか」
男「よいしょっ」
狐子「どうするんだ?」
男「とりあえず、布団に横にしとく。安静にしとかないとな」
狐子「お前はどうするんだ?」
男「良くなるまで見てるよ」
女『私から離れないでください……』
男「……女」
To be continued!!!
男「……」
女「」
男「はぁ……」
女「」
男(俺が、原因)
男(なにが、なにがだ?)
男(……)
・ ・ ・
助手「……」
博士「どうした」
助手「また、DDL-003に不具合です」
博士「……そうか」
助手「どういうことですか? なぜ、こんなにも……」
博士「DDL-003は……一番早くからあそこにいる」
助手「そうです。それがなにか?」
博士「それが理由の一つかもしれない」
助手「……!?」
博士「DDL-003には、もう私が修正できない。特に、内部損傷は」
助手「ど、どうして?」
博士「やつにとって、既に拠り所は変わっている」
助手「拠り所?」
博士「そうだ、前までは私だったが、どうやらいつの間にか書き換えられていた」
助手「それって……まさか」
博士「そう、男だ」
助手「なら、どうして」
博士「『どうしていつも一緒にいるのに不具合が生じるか』、か?」
助手 コクコク
博士「愚問だな。お前の頭なら簡単に解けそうなものだが」
助手「お生憎です」
博士「……ふん、そのあと、DDL-003に起きた出来事を言ってみろ」
助手「……DDL-002をこちらが投入して……」
博士「そして、SDF-004を投入した」
助手「……! まさかっ」
博士「察しは良いようだな」
助手(そんな……まさか)
助手(感情が生まれつつあるのはわかっていたけど……)
助手(感情パッチ無しの機械が……そんな)
博士「unpredictable phenomenon そう呼んでいる」
助手「そんなこと、普通起きるのですか?」
博士「わからん、それでも、起きているのだから仕方が無い」
助手「でも、感情パッチでも作るのが難しい、『jealousy』が起きるなんて」
博士「それが一番の問題だ」
博士「そのパッチは一番厄介で、自分で制御ができない」
助手「……」
博士「DDL-003に嫉妬された相手がどういう対応を取るかで、そのパッチの熱量が変わる」
博士「上限を超えると他機能を阻害する。体が言うことを聞かなくなるだろう」
助手「嫉妬された相手……」
助手(男さん……)
博士「助手、DDL-003は、どのような不具合が起きていた?」
助手「手足の痺れ、左右の脚から崩れて倒れました。さらに、小さな磁気を確認しました」
博士「まずいな……。最終段階一歩手前、だ」
助手「最終段階は……どうなるのですか?」
博士「体が膨張し、脳の機能、心臓の機能が完全に停止する――」
博士「――直すことは、私でも不可能」
助手「!」タッ
博士「どうするつもりだ?」
助手「男さんに、言ってきます!」
博士「……別に、私はその選択に口出しするつもりはないが……」
博士「それが、本当にお前の導く方向に作用するのか?」
助手「……え?」
博士「お前が干渉することで、それはお前の独りよがりじゃないのか?」
助手「……でも、もし、男さんが……」
博士「……」ピッ
助手「これは?」
博士「あいつの家だ」
・ ・ ・
女(……)
女(あれ……? 私……)
女(布団?)
女(そうでした……私……)
女(身体パーツの不具合で……)
女(それで、男さんがやってきて――)
女(迷惑、かけちゃったかな)
女(撫子さんと、談笑している男さんを――)
女(とっても笑顔で、可愛らしい男さんを――邪魔、してしまいました)
女(もうすこし、休みましょう)
女(できるだけ、長い間)
女(男さんの邪魔にならないように、安らかに)
女(できれば――永遠に)
グッ
女(?)
男「……女」
女(男……さん?)
男「お前を一人になんか……むにゃむにゃ」
女(男さん……)
女(ずっと、傍に?)
男「……」
女「……男、さん」ジワ
男「……」
女「……? この液体は?」スゥー
男「……」
女(私……泣いている?)
男「……」
女「男さん、ありがとう」
男「……」
女「大好きです」
ゆっくり目を閉じて、男の手を優しく握り返した。
女「……ありがとうございます」
・ ・ ・
博士「! パッチが消滅している!」
助手「本当ですか!?」
博士「跡形もなく……ど、どうして」
助手(やっぱり、男さんは凄いなぁ)
博士「……あいつには本当になにかあるようだな」
助手「はい、凄いですっ」
博士「……とても気に入ってるようだな」
助手「えっ」
博士「いつになく、オンナっぽい」
助手「そ、そんなことは……」カァァ
博士「ふん、お前くらいのやつは色恋沙汰が合ってもいいはずだ」
助手「は、博士っ」
博士「ははは」
助手「もー」
博士「さて……そろそろ」
博士「また、研究に取り組むかな」
助手「観察はどうするのですか?」
博士「平行で行く。観察・報告、しっかりな」
助手「了解です!」
男「……んっ」
男「あれ……俺、寝てたのか」
女「……」
男「女……」(あれ? 呼吸してる……スリープモードから復帰したのか)
女「……」
男「……涙?」
女「……」
男「まったく、こんなとこで寝たら風邪ひくぞー、ちゃんと布団の中で……よいしょっと」
男「よし、元気になってもらうために、料理でも作るか」
女「……」スゥスゥ
男「……」スッ
男「ちょ、ちょーっと寝ても大丈夫かな」
女「……」
男「布団の中、おじゃましまーす……」
女「どうぞ」
男「うおわぁぁ!?」
女「一緒に眠りますか?」
男「じょ、冗談だから、ごめん、ごめんなさい!」
女「どうして謝るのですか?」
男「い、いや……えっと」
女「私は、構いませんよ?」
男「い、いや……」(まさか起きてるとは……!)
女「だったら……」
男「え?」
ガバッ
女「すこし、強制で」
男(お、押し倒されたー!)
女「……おやすみなさい、男さん」
男(……でもまあ)
男(元気になってよかった。原因はわからないけど)
女「……好きです」ボソッ
男「ん?」
女「なんでも、ないです」
To be continued!!!
男「ふぅ~」
女「大丈夫ですか?」
男「ああ、これくらい平気平気」
女「男さん、とても頼もしいです」
男「ははは、荷物持ちは俺にまかせてくれ!」
女「私もすこしくらいお手伝いしたいです」
男「ん、じゃあ、これ」
女「はい」
男(良かった、元に戻って……)
女「男さん、どうしましたか?」
男「ん、なんで?」
女「とっても、喜んでいるようなので」
男「あ、顔に出てた?」
女「いえ、私の予測です」
男「……あー、大正解」
女「そうですか。男さんが喜んでいると、私も嬉しいです」
男「そっか」ニコッ
?「んおっ、男っ?」
男「ん?」
?「やっぱやっぱ、男じゃん!」
男「……あ!」
?「ひっさしぶりだなぁ、元気してたか?」
男「会計さん、お久しぶりです!」
女「昔の知人の方……ですか?」
会計「おお、女の子! 可愛い子連れてんなぁ!」
男「あはは……すまん、女、先に帰っててくれないか?」
女「はい。それでは、荷物を全て渡して下さい」
男「いや、悪いよ」
女「大丈夫です」ガシッ
女「それでは」
男(さ、さすが……アンドロイドだ……)
会計「すげー力持ちだなぁ! お前の彼女」
男「いやいや、そんな関係じゃないですよ……」
会計「んあ? ならなんだよ、あんな可愛い子と一緒に買い物までしてたのに!」
男「え、えーっと、これは会長にはご内密に!」
会計「ああ、わかってるさ。お前と女の子が一緒にいるってだけでヤンデレ化しそうだからな」
男(わかってくれる人で良かった)「一人ですか?」
会計「んー、二人だぜ、な~?」
?「……」
男「しょ、書記先輩……」
書記「……」
会計「久しぶりなんだから挨拶ぐらいしろよなー」
男(やっぱり、この人たちは今でも一緒なんだー)
会計「ほらー、書記ぃ~」
書記「!」
男(軽々と持ち上げた!)
会計「ったく、お前は軽いなぁ」
書記「お、降ろして」
会計「へいへい」
書記「……久しぶり」ボソボソ
会計「そんなんじゃ聞こえないだろ~」
書記「あんたが必要最低限で喋らないから悪い」
会計「いつもながらキビシィ~」
男「あの、お二人の仲も順調なんですか?」
書記「そ、そんなことないっ」カァァ
会計「らしいぜ」
男「はは……」(ああ、ラブラブだなぁ)
書記「こんなバカのっぽとなんか……全然」
会計「新しいあだ名つけんなよっ!」
男(この二人は、元気そうだな……)
会計「なはは、男、もしも他に可愛い子いたら教えてくれな~」
書記「!」
男「そ、そんなのいないっすよ……」
会計「さっきの子、めっちゃ可愛かったじゃねえか! 俺もああいう彼女が欲しいなぁ」
書記「……」
会計「なはは、んじゃあ行くか、書記」
書記「バカ」
会計「なんだよ、じゃあな、男~」
男「あ、はい」
書記 フリフリ
男「さ、さよなら~」フリフリ
男(もう、あの二人早く付き合えよ……なんて、先輩には言えないよな)
男(それにしても、会計さんは190超で、書記さんは150くらい……身長差凄いなぁ)
男(久しぶりに会えてすっごく嬉しかったなぁ)
男(今度、生徒会のみんなで会いたいなぁ)
男「……そうなったら、あいつと……」
男 ポリポリ
男「やれやれ、変なこと思い出しちまったなぁ」
男(……そういや、会長さんとは、いつ出かけるかな)
男「……今度電話するか」
女「おかえりなさい、です」
男「ただいま、ん、良い匂い」
女「オムライスを作ってみました」
狐子「美味いぞ!」
撫子「お口が蕩けそうですぅ……」ホニャァ
男「いつも悪いな! おっし、頂きます」
女「そのオムライスには特別な成分が入っているんですよ」
男「え、何が?」
女「……それは、内緒です」
男「なんだよそれ、教えてくれよ」
女「ダメです、トップシークレットですから」
男「そうかそうか……はむっ、うめえ!」
女「半熟、好きですよね?」
男「うん、大好きだ! うわー、そんなとこまでしてくれたのか~凝ってるなぁ」
女「はい……」ポッ
男「あっ……」
女「?」
男(うげ、やべえ)
女「どうかしましたか?」
男(か、可愛い……ぞ)
女「男さん?」
男 フイッ
女「……なにか、いけませんでしたか?」
男「美味い、美味いし」
女「はい……?」
男「か、可愛い」
女「えっ?」ポッ
男「なんでもない、引き続き頂きます!!」
撫子「うふふ、男さま、可愛いですね」
狐子「悔しくないのか?」
撫子「はい? なにがでしょう」
狐子「……なんでもない」
撫子「女さんも元気になって良かったです。こうやって四人で食べるご飯は美味しいですね」
男「うん、美味いなあ~」
撫子「男さま、ご飯粒が……」
男「美味すぎて急いじまった」
撫子 ヒョイッ パクッ
男「!」
撫子「いただきました♪」
男「……」カァァ
女「急ぎ過ぎると、体に悪いです」
男「ああ、気をつけるよ」
撫子「美味しいです、男さんについてたご飯粒」
男「一粒じゃわかんないだろ」
撫子「うふふ、そうですねっ」
男「やれやれ」
狐子「……む」
狐子(誰だ、今『狐子影薄い』と言ったやつは!)ピョコンッ
To be continued!!!
博士「おい、助手」
助手「はい?」
博士「醤油が切れた。買ってきてくれ」
助手「えー、自分で行って下さいよ。私も観察で忙しいんですから」
博士「私は行きたくない」
助手「なんでですか?」
博士「『おつかい偉いねぇ』」
助手「?」
博士「『一人で持てる?』」
助手「……」
博士「こんな屈辱はもううけたくない」
助手「わかりましたよー行きます行きます」
博士「ふん、別に感謝はしない」
助手「あ、一緒に行きませんか?」
博士「姉面でもしたいのか?」
助手「うふふ、バレましたか」
博士「早く行け、実験の邪魔だ」
助手「次はどんな機械作るんですか?」
博士「わからん、なかなか契約しない魔法少女機械とかを考えている」
助手「なかなかタイムリーですね……」
助手「じゃあとりあえず、行ってきまーす」
博士「ん」
助手「そっけないなぁ」
博士「……」フリフリ
助手「あはは」スタスタスタ
博士「……ふん」
博士「……さて、と」
博士(実験と言ったが、暇だ)
博士(なにかあれば退屈しのぎにもなるのだが……いかんせんなにもない)
博士(こういう時は、ふむ)
博士「やはり研究しかないのだな。私にはそれしかない」
博士(よし、さっそく構成を練るか)
・ ・ ・
助手「しょうゆ、せうゆ、おっしょうゆ♪」
助手(奥さん方は今日も頑張ってるなぁ~)
助手「むむ、若い女の子? 制服着てる……ってことは、高校生くらいかな? はたまた中学生?」
会長「うむ……」
助手「なにか考えてるみたいだねー」
会長「……肉じゃがは男のロマン、なのだろうか」
助手(面白そう、近くにいようっと)
会長「どうすればいい。私はあいつにどのような気持ちで渡せば……!」
助手(片思いかしら? 青春してるなぁ)
会長「このリビドーを、どこにぶつければいい……」
助手(独り言凄いなぁ)
会長(いっそ聞いてみるか……しかし、聞いたらサプライズにならないぞ)
助手(なんか深く考え始めた。それでそれで?)
会長(あえて甘いもので攻める……しかし、『甘いのは苦手で』とか言われたら、正直凹むぞ)
助手(あれ、醤油買うんじゃないの?)
会長(『喜べ、プレゼントは私だ』……ダメだ、なんという無策に近い思考だ)
助手(いきなり自分にリボンを巻き始めた!)
会長(なぜやつの前ではクールを装い続けた!? 男の好きなものがなにもわからないじゃないか……)
助手(自分を責めてる、どうしたんだろ?)
会長(まあ……胸が好きなのは知っているが)ポヨン
助手(う、なかなかの巨乳……)
会長(このままでは、まったくアピールができない)
助手(ん~もっと見てたいけどそろそろ買って帰らなきゃ)
助手(まあ、またきっと会えるよね、このスーパーで)
・ ・ ・
助手「ただいまでーす、買ってきましたよー」
博士「うむ、御苦労」
助手「労わりの言葉、ありがとうございまーす」
博士「頼んだ身だからな。当たり前だ」
助手「なにか御褒美とかあります?」
博士「……欲しいのか?」
助手「バレました?」
博士「ふん、ならばこれをやろう」
助手「なんです、このボタン?」
博士「押してみればわかる」
助手「えいっ」ピッ
シーン
助手「むむ、一体?」
博士「お前は、イタズラが好きだったな?」
助手「はい」
博士「モニターを見てみろ」
助手「?」
―――
狐子「はにゃああああああ!!」
男「ど、どうした狐子!?」
狐子「な、なんか体が……し、痺れて……熱いっ」ハァハァ
男「大丈夫か?!」
―――
助手「ほほう、このボタンを押すと……」ピッ
ウニャアアアア!!
助手「DDL-002が悶える! 素晴らしいボタン!」
博士「遠隔操作できるか調べるために作ったものだ。くれてやる」
助手(生意気なDDL-002を黙らせれるかもしれないなぁ~)
博士「さあ、もう用はすんだ。さっさと観察に戻れ」
助手「でもでもでも~」
博士「ん?」
助手「私は博士も観察したいなぁ~」プニプニ
博士「ほっぺたをツンツンするな!」
助手「だって柔らかいんですもん」
博士「子ども扱いするな!」
助手「してないですよ~ただ柔らかいから触ってるだけです~」プニプニ
博士「やめろー!」
助手「あはは、そうやって反抗するのは子どもですよー!」
博士「……!」
プニプニ
博士「……」プルプル
助手(我慢してる……可愛い!)プニプニ
博士「も、もう、やめろ……」
助手「はーい♪」
博士「……まったく」
助手「博士っ」
博士「……なんだ?」
助手「私、ここで働けて幸せですから」
博士「ふん……」
助手「博士は、自分のやりたいことを全うしてくださいね♪」
博士「……言われなくてもな」
助手「ふふ♪ それじゃあ、行ってきまーす」
博士「行ってらっしゃい」
To be continued!!!
現在、夜九時。
バスの中。
男「……」
撫子「すぅすぅ……」
男「ずいぶんと、気持ちよく寝てるなぁ」
撫子「……んん」
男「悪い、起こしちまったか?」
撫子「ごめんなさい、寄りかかってしまいました」アセアセ
男「心配するなよ、大丈夫だから」
―――
男「着物展覧会?」
女「はい、とても綺麗な着物を飾っているそうです」
撫子「綺麗な着物……」ポワワ‐ン
男「撫子行きたいか?」
撫子「い、いえ、大丈夫です」
男「大丈夫って……行きたいけど行かなくてもいいって言ってるようなもんじゃねえか」
撫子「す、すいません。できれば、とても行きたいです」
男「んじゃあ、連れて行ってやるよ。そんなに遠くないし」
撫子「本当でございますか!?」ギュッ
男「あ、ああ」(そんなに強く手を握らんでもっ!)
撫子「ありがとうございます……この上なき喜びです」
男「はは……狐子と女はどうする?」
狐子「パスだ。どうせ美味しいものはなさそうだし」
男「食い意地張りすぎだ」
女「撫子さんほど、着物に教養がありませんので、遠慮させていただきます」
男「あ、行かないのか?」
女「え?」
男「あ、いや、なんでもない。こっちの話」
―――
男(それで、色んな着物を見て帰ってる途中なんだっけ)
撫子「……」
男(撫子、相当はしゃいでたからな。疲れてるのかもしれないな)
男(すこしくらい寄りかかっても、気にしないでおこう)
撫子「あの、男さま」
男「ん? なんだ?」
撫子「あの、雪の模様の着物、随分と気に入っていたみたいですね」
男「ああ、なんか可愛かったからさ」
撫子「私もそう思います。雪の模様が素朴ながらとても良い味が出ていました」
男「きっと撫子が着たら似合うんだろうな」
撫子「あ……ふ……」カァァ
男「撫子ももっと可愛い服着てもいいと思うぜ?」
撫子「地味でしょうか?」モジモジ
男「十分可愛いけどな」
撫子「……男さま、ずるいです」
男「な、なにが?」
撫子「私、男さまの顔が……恥ずかしくて見れません」
男「!」(俺、そんなに変な顔してるのか!?)
男「ご、ごめん、気をつけるよ」
撫子「いえ、気になさらないでください……」
男「お、オッケー」
・ ・ ・
男(バスの中は、俺と撫子だけか。運転手さんもいるけど)
撫子「男さまは、とってもお優しいのですね」
男「ん?」
撫子「こうして、私の我儘についてきて下さって、どれほどの感謝をしても足りないくらいです」
男「そんなことないよ、俺も楽しめたしね」
撫子「それなら、とっても喜ばしいです」ニコニコ
男「それに、ほら」
撫子「?」
ガサッ
男「これ」
撫子「!! き、着物……ですか?」
男「ちょっとサプライズになったかな?」
撫子「凄いです……私のために?」
男「うん、そうだよ」
撫子「男さま。すこしだけ、目を閉じてくれませんか?」
男「うん」
撫子「見てませんか?」
男「見てないけど……?」
撫子「……」
ギュッ
男「!」
撫子「……ごめんなさい、今この気持ちをどうすればいいのか、わからなくて……」ドキドキ
男(撫子の心音が、めちゃくちゃ聞こえる……)
撫子「だから……もうすこしだけ」
男「このままで、だな」
撫子「は、はい」
男「撫子、ありがとう」
撫子「え?」
男「こういう表現の仕方って、大事だと思う」
撫子「……」
男「撫子が伝えたいことが、良く分かるよ」
撫子「……」
男「そうそう、撫子」
撫子「はい?」
男「あと一つ、はい」
撫子「……! これは……」
男「かんざし。撫子の和服に似合うかなって」
撫子「……」ウルウル
男「うわ、嫌だったか?」
撫子「ち、違います……う、嬉し涙です……うぅ」グスッ
男(……撫子は、とっても感情が豊かなんだな)
撫子「このような恥ずかしいところを……見せてしまって……」
男「……ほら」
撫子「えっ?」
男「そんな顔、見せたくないんだろ」
撫子「……男、さま」
ギュッ
男「嬉し涙でも、なんでも、全部出しちまえ。気持ちが制御できるまでな」
・ ・ ・
次の朝。
男「おはよ……ふわぁ」
女「申し訳ありません、帰りをお待ちしようとしていたのですが、狐子が寝てしまったので」
男「狐子一人にしてはおけないと思う気持ちがあったなら許す」
女「それなら、大丈夫です」
撫子「おはようございます♪」
女「おはようございます。……おや? その髪飾りは……?」
撫子「うふふ、宝物です♪」
To becontinued and let's go to next thread......!!!
というわけで、駆け足ながら撫子回終了です。スレがもう短い……!!
いかがだったでしょうか?
見事に最後を持って行ったと思っているのですが……ど、どうでしょう?
これからも、男と女たちの暮らしは続きますので、応援よろしくお願いします!
男「まだ続くのか?」
女「いや……ですか?」
男「そんなわけないだろ、むしろ永遠に続いて欲しいくらいだ」
女「そうですか」ニコッ
男「あ」
女「?」
男「……なんでもない」
続き
女「機械の体ですけど、一緒に過ごします?」-002-