シャミ子「ごせんぞ、このことに関してどのようなお考えをお持ちでしょうか?」
リリス「うぅむ…好きな音楽を聴いているだけってのが真っ先に考えられるが…」
シャミ子「しかしあの桃が音楽を好きになるっていうのがやや信じられません」
リリス「興味本位に手を出した結果、ドはまりして新たな趣味の開拓に成功しただけではないのか?」
シャミ子「確かにそういうこともあるかもしれませんが…」
ガラッ
良子「お姉、ごせんぞとどんな作戦会議をしているの?」
シャミ子「良!!」
リリス「ちょうどいいところに来た、おぬしの見解が聞きたい」
良子「え…見解?」
シャミ子「説明しますね、ええと……」
元スレ
シャミ子「最近ヘッドホンをしている桃の姿をよく見かけます」
http://hebi.5ch.net/test/read.cgi/news4vip/1578662776/
良子「桃さんがヘッドホンをしている理由?」
シャミ子「はい」
良子「……音楽を聴いてるんじゃないの?」
シャミ子「うー…ん……他にもなにかあると思うんですよ」
良子「お姉の考えすぎじゃないの?」
シャミ子「いや……でも……」
リリス「……本人に直接訊けばいいんじゃないか?」
シャミ子「……そうですね。それが一番かもしれません」
ばんだ荘 桃の住処前
シャミ子「桃ぉー、いますかー?」ドンドンドン
シャミ子「………」
シャミ子「いますかー桃ぉーいますかー?」ドンドンドンドン
シャミ子「……留守ですか?」
シャミ子「桃ぉぉぉぉー!!」ドンドンドンドン
桃「近所迷惑」ガシッ
シャミ子「ぎゃっ!?桃!?いつからいたのですか!?あとしっぽは掴むな!!」
桃「ツッコミどころ満載だね」クス
シャミ子「きさまのことじゃ!!」
桃「それより私になにか用でもあったの?」
シャミ子「用…っていうほどのことではありませんが……またヘッドホンをしてます」
桃「なに?ヘッドホン?」
シャミ子「最近ヘッドホンをしている姿をよく見かけるもので…」
桃「音楽を聴いてるだけだよ」
シャミ子「どんな音楽を聴いてるんですか?」
桃「………」
シャミ子「桃?」
桃「……自作の曲だよ」
シャミ子「曲……自作の曲!?!?!?!?」
シャミ子「すごいです!!桃!!自分で音楽を作っているんですか!?」
桃「……うん」
シャミ子「聴きたいです!!聴かせてください!!桃!!桃が作ったっていう曲を!!自作の曲ってやつを!!」ベチベチベチベチ
桃「え……でも」
シャミ子「お願いします!!桃!!興奮したしっぽを抑えきれません!!」ベチベチベチベチ
シャミ子「桃が開花させた新たなる才能をこの目に焼き付けたいんです!!」ベチベチベチベチ
桃「いや……音楽は目じゃ」
シャミ子「お願いします!!」ベチベチベチベチ
桃「……わかったよ」
シャミ子「ありがとうございます!!」ベチベチベチベチ
桃「……でも今は無理」
シャミ子「なぜですか!!」ベチベチベチベチ
桃「……スタジオに行かなきゃ」
シャミ子「スタジオを持ってるんですか!?!?!?!?」ベチベチベチベチ
桃「いやそうじゃなくて」
桃「……あっちの家の一室を」
シャミ子「スタジオに改装したんですか!?!?!?!?」ベチベチベチベチ
桃「……まぁ」
シャミ子「すごいです!!公民館ばりの自宅の一室をスタジオに改装するなんて!!」ベチベチベチベチ
シャミ子「行きたいです!!行かせてください!!今すぐ行きましょう!!さぁ!!」ベチベチベチベチ
桃「いや……でも」
シャミ子「お願いします!!」ベチベチベチベチ
桃「……今日はもう遅いから」
シャミ子「わかりました!!次の休みの日に行きましょう!!桃のスタジオへ!!」ベチベチベチベチ
桃「……うん」
シャミ子「ありがとうございます!!楽しみにしております!!その日が待ち遠しいです!!」ベチベチベチベチ
桃(……まずいことになったな)
夜 ばんだ荘 吉田家
良子(あれ……桃さんからメールが来てる?)
良子(ふむふむ……)
良子(……たしかにこれはお姉に知られるわけにはいかない)
良子「……明日行ってみよう」
シャミ子「良ぉ~、一緒にお風呂に入りませんか~?」
良子「お姉!?……うん入る」
シャミ子「……さっきなにか言ってました?」
良子「ううん、なにも言ってないよ」
シャミ子「そうですか……お湯の無駄遣いには気を付けるのですよ?」
良子「うん、お姉も気を付けて」
シャミ子「はい」
翌日
シャミ子「さあ放課後になりました」
ミカン「シャミ子、この後なにか予定ある?」
シャミ子「いえ、特にありませんが」
ミカン「なら私のお買い物に付き合ってくれる?最近の桃はどうも忙しそうにしてるから」
シャミ子「……やはりミカンさんもそう思いますか?」
ミカン「あら、あなたもそう思うの?」
シャミ子「はい…あとこれは私の勘なんですが…」
シャミ子「桃はおそらくでかい方の家で音楽の制作をしているのではないかと思うのです」
ミカン「音楽の制作?……たしかに最近の桃はよくヘッドホンをしているけど…」
シャミ子「昨日問い詰めたら吐きやがりました」
ミカン「なるほど」
シャミ子「そこで提案なんですが、これから桃を尾行してみるのはどうでしょうか?」
ミカン「……そうね……乗ったわ。買い物はまた今度にすればいいし」
シャミ子「ありがとうございます…それでは参りましょう!!」
ミカン「ええ!!」
同日 千代田家前
シャミ子「……こちら、コードS。目標は建物の中に入っていきました」
ミカン「こちらコードM。こちらでも確認できたわ」
シャミ子「了解。次の指令が来るまで千代田家の門前で待機します」
ミカン「了解。私も同じように待機するわ」
ミカン「……で?……これからどうするの?桃の家に侵入するの?」
シャミ子「いえ、今日はここまでにしましょう。放課後は桃がこっちの家で何かをしていることが確認できたので」
ミカン「でも中で何をしているのかは分からないのではなくって?」
シャミ子「次の休みにこの家に遊びに行く約束を取り付けましたから、そのときに中で何をしているのか判明するでしょう」
ミカン「……そう……ならあなたに任せるわ」
シャミ子「……クックック…必ずヤツの尻尾を掴んでやります」
ミカン「……シャミ子」
シャミ子「……はい?」
ミカン「……もしかして寂しかったの?…桃に構ってもらえなくて」
シャミ子「な!?…そ…そんなこと///……なかとです!!」
千代田家 スタジオ?
桃「はいこれ……どうかな?」
良子「……すごく……いいです……」
桃「よかった……なんの問題もないみたいだね」
良子「それではこちらを……どうでしょうか?」
桃「……うん……すごくいい……」
良子「お誉めにお預かり光栄です」
桃「いえいえ、こちらこそ」
良子「それと…こちらをお納めください」
桃「……うん……」
良子「よろしくお願いします」
夜 ばんだ荘 吉田家
シャミ子「そういえば最近の良は私よりも帰ってくるのが遅いですね」
良子「え゙ッ!?…あっ…うん」
シャミ子「勉強ですか?……偉いですね」
良子「……うん」
清子「良子、勉強熱心なのはいいことですが…あんまり帰りが遅いとおかーさんは心配になるのですよ?」
良子「うん……ごめんなさい」
清子「次からはなるべく5時までに、遅くても5時半までには帰ってくるようにすること…いいですね?」
良子「はい」
シャミ子「そんなことより良はさっきからパソコンでなにをしているのでしょうか?」
良子「え゙ッ!?」
シャミ子「……やたらギザギザしたものが目に入りますが……これは一体?」
良子「……編集」
シャミ子「編集!!ローテクまぞくには一切縁のないかっこいい言葉が出てきました!!」
清子「良子ぉ~、ごはんができるまでもうしばらくかかりそうなので、先にお風呂に入ってきたらどうですか~?」
良子「わかったー……あれ、お姉は?」
シャミ子「ごめんなさい、先にお湯頂いちゃいました」
良子「……そっか」シュン
良子「………」トテトテトテ
シャミ子「ん?」
シャミ子「……良子が部屋を出るときに何かを外していったみたいですけど」
シャミ子「どれどれ……うー…ん……なんでしょうかね?…これは」
リリス「かわいい子孫よ……それの正体が知りたいのですね」
シャミ子「ごせんぞ?」
リリス「それはおそらくbluetooth完全ワイヤレスイヤホンと呼ばれるものでしょう」
シャミ子「ごめんなさい、いきなりなにをいってるのかさっぱりです」
リリス「メーカーが独自に考案した手法で低音域と高音域の二つのドライバーを同軸上に配置することに成功して」
シャミ子「????????」
リリス「……要するに最先端の素晴らしい技術が満載のお高いイヤホンなのです」
シャミ子「……なるほど」
リリス「こんな廃墟まがいの貧乏屋敷に最先端の技術が搭載された高級イヤホンは場違いだ…と、いいたいのですね?」
シャミ子「違います。それよりもごせんぞが詳しく説明できる理由が知りたいです」
リリス「いつの間にかパソコンがお供えされていたので調べることができました」
シャミ子「なるほど」
シャミ子「でも一つ不可解なことがあります」
リリス「……イヤホンの入手経路ですね?」
シャミ子「ええ、うちの経済状況では入手不可な代物ですから」
リリス「……では、このイヤホンの特徴を整理してみてはどうでしょうか?」
シャミ子「特徴?えぇと…高級で最先端なイヤホンでしょうか?」
リリス「概ねその通りです。では次に良子との接点のある人物を知ってる範囲で思い浮かべましょう」
シャミ子「良子の知人ですか?うーん…家族と……魔法少女ぐらいでしょうか?……私の知る限りでは」
リリス「ではその中で高級で最先端なイヤホンを買いそうな人を推理してみましょう」
シャミ子「高級…というとお金持ち……そしてイヤホンは……精密機器?」
リリス「イヤホンを着用する目的を考えてみましょう」
シャミ子「イヤホンは……音楽を…聴く……ため!!」
リリス「かわいい子孫よ、あなたに伺います。良子の知り合いの中にお金持ちで精密機器に精通していて音楽に夢中になっている人に心当たりは」
シャミ子「あります!!」
リリス「……ではもうひとつ伺います。良子に高級で最先端なイヤホンを与えたのは誰でしょうか?」
シャミ子「桃です!!間違いありません!!」
シャミ子「ぐぬぬぬ…まさか桃と良がグルだったとは」
リリス「シャミ子よ、推理で導き出せたのは良子にイヤホンを与えた人物であって二人がグルだったというのは」
シャミ子「それだけではありません」
リリス「ん?」
シャミ子「ヘッドホンをしている桃……イヤホンをしている良……忙しそうにしている桃……帰りの遅い良……」
シャミ子「以上のことから導き出される結論は一つ!!」
リリス「ほう?」
シャミ子「桃と…良子は……二人共同で音楽を制作している!!」
リリス「………」
シャミ子「………」
リリス「……それがどうした」
シャミ子「……え?」
リリス「桃と良子が二人で音楽を制作することの何が問題なのかを聞いてるんだ」
シャミ子「……へ?……問題……ですか?」
リリス「……呑み込めてないみたいだな」
シャミ子「えへへ……」
リリス「なら少しずつ整理してやろう」
シャミ子「お願いします」
リリス「桃と、良子が」
シャミ子「桃と、良子が」
リリス「おぬしに、内緒で」
シャミ子「私に…内緒で!?」ビキッ
リリス「密会をして」
シャミ子「密会だってええええぇぇぇぇ!?!?!?!?」
リリス「怒りの色が露わになったな」
シャミ子「許せません!!私を差し置いて二人だけで楽しもうだなんて!!」
リリス「おぬしはどっちを許さないんだ?」
シャミ子「もっ……もちろん桃です!!私をだしにしてわが最愛の妹をたぶらかすなんて!!」
シャミ子「おのれロリコン魔法少女め……きさまのスタジオにきさまの骨をうずめてやるわ!!」
リリス「うむ、その意気だ。あの猪口才な若造を海の藻屑にしてやれ」
シャミ子「合点!!!!」
ガラッ
良子「お姉ぇ~上がったよ~」
シャミ子「コラ、良!!…お風呂上がりに裸でうろついてはいけません!!風邪ひいちゃいますよ!!」
良子「うん……ごめんなさい……あと……」
シャミ子「……うん?」
良子「お姉……服着せて?」
シャミ子「まったく……甘えたがりの妹ですね♡」
良子「うん♡」
リリス「ところで良よ、そこのイヤホンはどうやって入手したんだ?」
良子「え?」モゾモゾ
シャミ子「えーと次はこれですね……はい」
良子「んー……」モゾモゾ
シャミ子「……はい、終わりましたよ」
良子「むー……」
シャミ子「いやなんでちょっと不満げなんですか」
良子「お姉……もっと着せて」
シャミ子「いやいやいやいや今ので終わりですから」
リリス「………」クスンクスン
シャミ子「良、さっきのごせんぞの質問に答えてあげてください」
良子「……イヤホンをどうやって入手したかだっけ?」
シャミ子「はい」
良子「………」
シャミ子「答えたくないのですか?」
良子「………」
シャミ子「……もしかしてそれは」
良子「?」
シャミ子「桃からもらった物ですか?」
良子「!?!?!?!?!?!?!?!?」
良子「どうして知ってるの!?!?!?!?」
シャミ子「………」
リリス「………」
良子「……ハッ」
リリス「……決定だな」
シャミ子「……ええ」
良子「……ぬかった」
シャミ子「良、私は次の休みの日にでかい方の桃の家に行きます」
良子「………」
シャミ子「桃と……それからあなたに尋ねたいことがあるので……良も一緒に来てください」
良子「………」
シャミ子「……いいですね」
良子「……はい」
シャミ子「………」
良子「………」
リリス「………(なんだよこの空気)」
ガラッ
清子「二人ともー、ごはんですよー」
シャミ子・良子「はーい」
別の日 千代田家 スタジオ?
桃「……次の休みにシャミ子がガサ入れに来ることになった」
良子「存じ上げております……非常に芳しくない状況ですね」
桃「でも、データのバックアップを外付けHDDあたりで取って、内部ストレージのデータをすべて削除すれば我々の秘密は明かされないと思う」
良子「データの削除には専用のツールを使うのでしょうか?」
桃「いや、シャミ子のことだから削除されたデータを復元する方法は分からないはず」
良子「だからツールは使わなくてよい…と?」
桃「うん……でもとにかくシャミ子にだけは知られるわけにはいかない」
良子「私がお姉の日ごろの発話を録音して」
桃「私がノイズを取り除いて」
良子「私が音声を編集したものを」
桃・良子「二人で楽しんでいるだなんて」
桃「……そういえば私がこないだ頼んだものはもうできた?」
良子「はい……こちらになります」
桃「どれどれ……」
良子「まずはこれが編集前のものです」カチッ
シャミ子『良ぉ~、一緒にお風呂に入りませんか~?』
桃「うん……ノイズはほとんど聞こえてないね」
良子「桃さんのおかげです。この場でお礼を申し上げます」
桃「いえいえ」
良子「そしてこれが編集を施したのものです」カチッ
シャミ子『桃ぉ~、一緒にお風呂に入りませんか~?』
桃「うん……いい!!……すごくいいよ!!」
良子「お誉めにお預かり光栄です」
良子「ところで桃さんは自分で音声を編集したりしないのですか?」
桃「うーん自分でも作ってみたんだけど……」カチッ
シャミ子『もん゙ッむお~、一緒にお風呂に入りませんか~?』
良子「うーん……確かにこれは……」
桃「うん、音声編集に関しては私なんかよりも良ちゃんの方が遥かにクオリティ高いからね」
良子「いえいえ、桃さんの高品質なノイズ除去があるからこそお姉のきれいな声を純粋に楽しむことができるんです」
桃「良ちゃん……」
良子「桃さん……」
休日 千代田家前
シャミ子「さぁ、今日こそ教えてもらいますよ……二人がここでなにをしているのか」
桃「………」
良子「………」
シャミ子「フッ、だんまりか……ならば私の口から説明して差し上げましょう!!」
桃「……中はいろっか」
良子「……はい」
シャミ子「コラ!!無視するな!!」
千代田家 スタジオ?
シャミ子「桃、ここが件のスタジオですか?」
桃「うん」
シャミ子「机の上にテレビが置いてあるだけみたいですけど……」
良子「お姉、あれはテレビじゃなくてパソコンのモニターだよ」
シャミ子「あれはパソコンなのですか?パソコンってパカパカするやつ以外にもあるのですか?」
桃「ここに置いてあるのはデスクトップ型で、シャミ子の言うパカパカするやつはノート型だよ」
シャミ子「なるほど……でもここって音楽を制作するスタジオなのですよね?」
桃「うん」
シャミ子「その割には部屋の中に楽器らしきものが一つも見当たらないのですが」
桃「……今はパソコン一台あれば音楽が作れるからね」
シャミ子「そうなんですか!?すごいです!!」
良子「ところで、桃さんはどうしてノート型ではなくデスクトップ型を使うのですか?」
桃「高性能なRAMやGPUの追加が容易だからだよ」
良子「なるほど」
シャミ子「まったくわかりません」
シャミ子「それよりもなぜこの家で音楽制作を行うのですか?…あっちでやればいいのに」
桃「デスクトップ型は引っ越しが面倒だからだよ……それと」
シャミ子「……それと?」
桃「……スタジオでやった方が音楽を作っているような雰囲気を味わえるからね」
シャミ子「パソコン部屋をスタジオとこじつけているだけですけどね」
良子「桃さん……わかります……その気持ち」
シャミ子「え?」
シャミ子「いやいやいや、そんなことより二人はここで音楽を制作していたんですよね!!」
桃・良子「……うん」
シャミ子「私に……内緒で……合作…していたんですよね!!」ウルウル
桃・良子「……うん」
シャミ子「ですから……聴かせてください!!……二人の…合作を!!……二人が…共同で制作した……音楽を!!」フグッフグッ
良子「お姉……泣いてる?」
シャミ子「泣いて……いません……これは……目汁です……」フグッフグッ
桃「………」
良子「………」
シャミ子「………」ウッウッ
良子「……ごめんね…お姉……仲間外れにして」ナデナデ
桃「……ごめんね…シャミ子に寂しい思いをさせて」ナデナデ
シャミ子「……きっ…きさまら……なぐさめるなぁ……」ウッウッ
良子「………」ナデナデ
桃「………」ナデナデ
シャミ子「……だっ…だから……なぐさめるなぁ……」ウッウッ
シャミ子「……うっ……うっ……」
良子「……桃さん」
桃「……うん……わかったよ……聴かせてあげる」
シャミ子「……え?」
桃「………」カチッ
シャミ子『良ぉ~、一緒にお風呂に入りませんか~?』
シャミ子「……は?」
桃「そしてさらにもうひとつ」カチッ
シャミ子『桃ぉ~、一緒にお風呂に入りませんか~?』
シャミ子「え?……え?」
シャミ子「……今のは一体?」
桃「私と良ちゃんが作った音楽だよ……ね?」
良子「うん」
シャミ子「はぁ?」
シャミ子「どこが音楽なんですか?……私がしゃべった声ではありませんか」
桃「でも私はシャミ子にお風呂に誘われた覚えはないよ?」
シャミ子「私だってそんなことを言った覚えはありません!!なんですかあれは!?」
桃「だから私と良ちゃんが共同で制作した音楽だよ」
シャミ子「だからこれのどこが音楽なんですか!?……私の音声を楽しむと書いて音楽と読むのですか!?」
桃・良子「うん」
シャミ子「意味が解りません!!!!」
良子「……つまり、私がお姉の日ごろの発話を録音して」
桃「私がノイズを取り除いて」
良子「私が音声を編集していたんだよ」
シャミ子「……はぁ…そうですか」
桃「ちなみにさっきのは『良』のところを『桃』に変えただけなんだよ」
シャミ子「分かりますよそれぐらい」
良子「『良』も『桃』も母音が『お』で終わるから変えるのは簡単だったんだよ」
シャミ子「……はぁ…そうですか……どういうわけか心にぽっかり穴が開いた気分です」
桃「ごめんね、曲作ってるとか無駄に期待させるようなことを言っちゃて」
シャミ子「いえ……いいんです……あぁ……だからスタジオの癖に楽器が一つもないのか……」
桃「ご明察」
良子「それじゃあ今から良の新作を流すねー」
桃「待ってました!!」
シャミ子「……はぁ」
良子「………」カチッ
シャミ子『良ぉ~、一緒にエッチしませんか~?』
桃「!!!!????」
シャミ子「!?!?!?!?!?!?!?!?」
桃「良ちゃん!?!?…今のは一体!?!?」
良子「……えへへ///」
シャミ子「いや、えへへではありません!!!!」
良子「それとも良がお姉を誘う方がいいの?」
シャミ子「違います!!!!そういうことではありません!!!!」
桃「……良ちゃんの姉に対する思いは確かに伝わった」
良子「……えへへ///」
桃「……でもシャミ子の眷属(仮)としては今の発言を見過ごすわけにはいかない」
シャミ子「いや、私が言ったわけではありませんけど?」
桃「……良ちゃん?……覚悟はできてる?」
良子「こちらが桃さんver.になります」カチッ
シャミ子『桃ぉ~、一緒にエッチしませんか~?』
桃「Good Job!!」
シャミ子「丸め込まれるな!!」
シャミ子「まっったく見損ないましたよ二人とも!!」
シャミ子「私の声を録音、編集したものを聴いて悦に入るなんて……ド変態ですか二人とも!!」
桃「あぁ///……いぃ///……」ゾクゾク
良子「私はマゾだ」ウットリ
シャミ子「新たな扉を開くな!!」
桃「良ちゃんが編集してくれたものもよかったけど……やっぱり生のシャミボイスが一番だね♡」
良子「同感です♡」
シャミ子「鳥肌……および身の毛が……」
良子「お姉……エッチしよ?///」
シャミ子「ひぃ……」
桃「シャミ子……エッチする?///」
シャミ子「ひえぇ……」
良子「桃さん……私の野望を邪魔しないでください」
桃「……そっちこそ」
良子「………」バチバチバチバチ
桃「………」バチバチバチバチ
シャミ子(……いまのうちに)ソソクサ
桃「……逃がさないよ」ガシッ
シャミ子「だからしっぽは掴むな!!」
桃「良ちゃん……私たちは同じ目的を持つ同志なんだよ?」
良子「そうですね……敵対してはいけませんね」
桃・良子「……!!!!」ガシッ
シャミ子「あぁ……悪夢のタッグが……」
桃「それじゃあ私はシャミ子を拘束するから」
良子「私はお姉の服を脱がします」
桃「よし、それでいこう」
シャミ子「だれか……誰か助けてください!!いっそのこと小倉さんでもいいから!!」
桃「逃がさないよ」
良子「逃げられないよ」
シャミ子「ひいいいぃぃぃ」
桃・良子「さぁ……始めようか……」
シャミ子「こ……」
シャミ子「これで勝ったと思うなよ――――!!!!」
頑張れおまわりさん!!決定的な証拠をつかんで桃色ヘンタイJKをブタ箱にブチ込むんだ!!