黒子「…え、今なんと?」
美琴「だから今日は一緒に寝てあげるって言ってんの!」
美琴「ほ、ほら、最近寒くなってきたじゃない?足元も冷たいしさ、せっかく私達同じ部屋にいるんだし、一緒に暖まったほうがいいかなぁって…」
黒子「お姉さま…」
美琴「べっ別に私は寒いだけなんだから、勘違いしないでよ!私はアンタみたいに度を超えた考えなんて持ってないんだから」
黒子「(あぁ、お姉さま。わたくしのお姉さまへの愛がようやく!くぅぅ、ついにやりましたわ黒子!どれだけこの日を待ちわびたことか!)」
元スレ
美琴「黒子、今日は一緒に寝ない?」
http://raicho.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1296270583/
美琴「でも、アンタが嫌だってんなら別にいいのよ?後輩に迷惑はかけられないし、この前佐天さんが獲ってくれた特大ゲコ太がいるし…」
黒子「(いつかはお姉さまのあのお布団へご一緒しようと夜這いはもちろん、思い切ってルパンなダイブを試みましたが、冷たくあしらわれ、時には熱い電撃を浴びせられ…まあそれはそれで良かったのですが、と・に・か・く!)」
美琴「ってさっきから聞いてるの?黒子…ねえ、くろ」
黒子「もちろんですわお姉さまぁぁぁ!!暖まるどころかこの夜を黒子が溶けてしまいそうなほど熱いものにして差し上げますわ!」ダキッ
美琴「きゃあ!?」ドタン
黒子「…くぅ、痛たた……はて?」
黒子「(いつもなら抱きつく前か抱きついた瞬間お姉さまの電撃を浴びてるはずですのに何にもしてこない)」
美琴「…」
黒子「…お姉さま?」
美琴「…っは!あっ明日も早いし、さっさと寝ましょ!黒子、そっち行っていい?」
黒子「ええ!もちろんですわ!」ムハー
黒子「よいっしょ、ささっお姉さまもこちらにお入りになってくださいまし!」ポンポン
美琴「・・・うん」コクリ
黒子「(はぅわ!ゲコ太柄のパジャマに身を包み、枕を両手で抱くそのお姿。予想以上の破壊力ですの。まるで甘えたがってる愛娘を見ているかのよう。黒子の母性本能はもうもみくちゃにされていますの!)」
美琴「ん・・・あっ暖かい。黒子、布団足りてる?寒くない?」
黒子「わたくしは大丈夫ですわ(背中にかなり冷気が当たってますが、そんなこと言ってられませんの!)」
美琴「って黒子、全然足りてないじゃない!あんたが風邪引いちゃうわよ!」
黒子「しっしかし、せっかく暖まりにきているお姉さまに寒い思いをさせるわけには…」
美琴「いいから、もっとこっち来なさい」
黒子「んあ!?」
美琴「そうだ、こうすればもっと暖かいし、布団も十分じゃない!」ダキッギュウ
黒子「」
黒子「(何なんですのこの状況・・・お姉さまと体温を共有するだけでも黒子の理性はもうLEVEL5ですのに、ベッドの中でこんなお姉さまに抱きつかれた状態なんて・・・まるでこれから秘め事をなさる男女のようではありませんの)」
美琴「えへへ、黒子暖かいなあ」ギュウウ
黒子「ふにゅうぅ・・・///」
黒子「(ああ、もうLEVEL5どころの話じゃないですの。黒子は今夜アダルトな階段へシフトしてしまいますのね!そうですのね!)」
黒子「(お姉さまの麗しいお体から発せさられるそのスメル。それを堪能するには他とない機会ですわ!)」スンスンスンスンスン
美琴「はぁ、ヒトのベッドで寝るのって初めてかも。黒子のベッドはやっぱ黒子の匂いがする」
黒子「そんな…恥ずかしいですの」
美琴「ううん、黒子の匂いはとても好きよ。何かとっても優しい匂い。ずっとかいでいたくなる」
美琴「ホント、ずっとかいでいたくなるわ」ムギュギュウウ
黒子「んはぁ!?」
黒子「(お、お姉さまの締め付けがパナイですの!それにお姉さまの鼻息が!こんなにかがれるならもっと念入りにシャワーを浴びておくべきでしたわ。ホント恥ずかしいですの///)」カアァァァ
美琴「黒子の髪って長くて綺麗よね。うらやましい」サワサワ
黒子「そ、そんなことないですわよお姉さま」
美琴「ううん、ホント素敵。私なんか伸ばすこともしたことないし、ピンで留めてるだけでおしゃれでもないし」
黒子「わたくしだってクセッ毛ですからいつも手入れが大変でしてよ。お姉さまのそのサラサラな髪が黒子はいつも羨ましく思っていますのに」
美琴「そう?ありがと」
美琴「それに普段付けてる赤いリボンってとても黒子に似合ってるわよね、小さい頃からずっと付けてるの?」
黒子「常盤台に入ってからですの。そんなこと言ってくださったのお姉さまが初めてですわ」
美琴「でも、髪を下ろした今の黒子も私大好きよ。大人っぽくて」ナデナデ
黒子「ふおぉぉ・・・///」
美琴「あぁ、ずっと黒子とこうしていたいなぁ…」
黒子「お姉さまがそうしたいのであれば黒子はいつでもお相手いたしますわよ。黒子のベッドはお姉さまをいつでも歓迎ですの」
美琴「…」
黒子「お姉さま?」
美琴「そ、そうね!好きなときにお邪魔させてもらうわ」
黒子「どんとこいですの!」
美琴「…」
黒子「…」
美琴「……」
黒子「(お姉さま、もうお休みになられたんですの?)」
黒子「…」
黒子「お姉さ…」
美琴「黒子」
黒子「はっ!はいですの!」
美琴「ちょっといい?」
黒子「何ですの?お姉さま」
美琴「黒子は私と居て楽しい?」
黒子「もっもちろんですの!」
美琴「…そう」
黒子「いきなりどうしたんですの、お姉さま?」
美琴「そっか、今まで楽しかったんだ」
黒子「今まで楽しかったですし、これからも黒子はお姉さまと一心同体ですわ」
美琴「これからも…か」
黒子「幻想御手のときも、乱雑開放のときも黒子はお姉さまとご一緒させてもらってとても楽しかったですわ。これからも黒子はお姉さまの力にならせていただきますの」
美琴「…」
黒子「黒子はお姉さまの一番の理解者だと自負しておりますの。常盤台のエースでありLEVEL5の電撃姫であるお姉さまが活躍できるなら黒子はこれからも総身を投げ打つ覚悟は出来ていますわ」
美琴「黒子は私の一番の理解者なのね」
黒子「はいですの」
美琴「ふふっ嬉しいな。それじゃこれから私の言うことも信じてくれる?」
黒子「・・・そりゃあ信じますけど・・・お姉さま?」
美琴「もしもさ」
黒子「・・・はい」
美琴「私が」
黒子「・・・」ゴクリ
美琴「黒子の前から居なくなったらどうする?」
黒子「・・・へ?」
美琴「…」
黒子「お姉さま・・・今なんと?」
黒子「黒子の前から居なくなる?」
黒子「何を言っておりますの、お姉さま?そんないきなり・・・」
黒子「もう、変な冗談はおよしになってくださいまし」
黒子「いくらわたくしがお姉さまの一番の理解者でもいきなりの冗談は黒子返しきれませんわ」
黒子「お姉さまも黒子を笑わせたいのなら内容とタイミングを見計らっていただきませんと」
美琴「…」
黒子「お姉さま?・・・今日は何だか様子がおかしいですわよ」
黒子「お姉さ…」
美琴「電気・・・出なくなっちゃった」
黒子「・・・・は?」
美琴「…」
黒子「お姉さま?」
美琴「・・・グスン」
黒子「電気って・・・能力のことですの?」
美琴「…」
黒子「それ・・・本当ですの?」
美琴「…」コクン
黒子「そんな・・・」
黒子「何かの間違いではありませんの?」
美琴「…」フルフル
黒子「気のせいとか、ほら!お身体の調子がよろしくないとか」
黒子「それともスキルアウトが持ち出したキャパシティダウンみたいなものかもしれませんわよ。似たような音が出ていたとか」
美琴「…」フルフル
黒子「お、お姉さまは少しお疲れですのよ。やはり能力を使うには演算能力が必要ですから。きっと疲れが溜まっているんですわ」
美琴「…」
黒子「お姉さまここんところお忙しいみたいでしたから。黒子は知っていますの。ここ数日お姉さまが自慢の電撃で迫り来る悪者をカッコ良くビリビリィっと!」
黒子「そう、このようにコインを・・・・はっ!?」
美琴「…」
黒子「(あれ?わたくしが最後にお姉さまの稲妻を・・お姉さまが能力を使ったところを見たのっていつでしたっけ?そういえば・・随分と見てない気が・・まさか!)」
美琴「1ヶ月前よ」
美琴「もう、1ヶ月になるわ。私の能力が使えなくなってから」
美琴「ホント・・・いきなりだったわ。アイツを見かけて、声を掛けたけど無視するもんだからいつものように電撃を浴びせてやろうと思って。まあ、いつも打ち消されるんだけどね」
美琴「でもあの日、打ち消されるどころかアイツは気づきもしなかった」
美琴「私の電撃がアイツに届く前に途中で消えちゃったの」
美琴「それが・・・私の最後の能力だったわ」
美琴「私だって何かの間違いかと思ったわ」
美琴「誰もいないところで何度も演算した」
美琴「コインだって何度も弾いた!」
美琴「LEVEL1だったときからの教科書も全部みなおした!!」
美琴「でも・・・出なかった・・・・」グッ
黒子「お姉さま・・・」
黒子「でも、黒子はにわかに信じられませんの。お姉さまが・・その・・・無能力者になってしまったなんて」
美琴「…」
黒子「お姉さまは他のLEVEL5と違って努力で勝ち取った超能力者」
黒子「今まで積み重ねてきた努力が・・ある日一瞬で無くなってしまうなんて」
美琴「…」
黒子「絶対何かの間違いにちがいありませんわ!」
美琴「・・・ント・・」
黒子「黒子がその間違いを正して差し上げますの!」
美琴「・・・ホントよ・・」
黒子「お姉さまはれっきとしたLEVEL5!」
美琴「・・・ホントだって・・・」
黒子「超電磁砲と呼ばれたわたくしたちの常盤台のエースはお姉さま以外に有り得ませ…」
美琴「ホントだってば!!」
黒子「」ビクッ
美琴「何度言わせる気!?」
黒子「ひっ!」
美琴「だからホントに能力が使えなくなっちゃったって言ってるじゃない!!」ドンッ
黒子「きゃあ」ドタッ
美琴「LEVEL5!?超電磁砲!?常盤台のエース!?」
美琴「アンタに私の・・」
美琴「私の何が分かるってのよ!!?」
黒子「ご、ごめんなさいですの・・お姉さま・・」
美琴「はぁ・・はぁ・・・はぁ」
黒子「」ブルブル
美琴「はぁ・・はぁ・・・・・は!?」
美琴「・・・大丈夫!?ご、ごめんね黒子!・・急に怒鳴ったり、突き飛ばしたりして・・・」
黒子「・・い、いいえ。大丈夫ですの・・・」
美琴「・・・私、何なんだろ・・・無能力者になったのをヒトに八つ当たりして」
美琴「しかも自分をこんなにも慕ってくれてる後輩を・・・自分から話しておいて・・」
美琴「能力もないし、後輩に当たるし・・・」
美琴「ホント・・・最低・・・・」ポロポロ
黒子「お姉さま・・・」
美琴「うぇ・・えぐっ」
黒子「お姉さま、黒子のハンカチで涙を拭いてくださいまし。とりあえず落ち着いてほしいですの。黒子が何でも聞いて差し上げますから」
美琴「ん・・ありがとう、黒子」
黒子「そうですの!わたくし最近学び舎の園で美味しいココアを売っているお店を見つけましたの。それを今お姉さまに淹れて差し上げますわ」
黒子「ひと息つきましょ、お姉さま」
美琴「…」コクリ
黒子「少しは落ち着きましたか?お姉さま」
美琴「うん・・ありがとう黒子。おいしいわ」
黒子「そう、よかったですの・・・それで、このこと他の方にはお話していますの?」
美琴「・・ううん、黒子が初めてよ」
美琴「こんなこと他の人に言えないじゃない。学校に知られたらきっと騒ぎになるし、学園都市でもLEVEL5は嫌でも存在が知られてるし」
黒子「まあ、お姉さまは有名人ですから」
美琴「それに、学園都市の生徒にとって私は超電磁砲であって御坂美琴ではないわ」
美琴「今までの御坂美琴があったのは私が超電磁砲だったから」
美琴「超電磁砲でなくなった私。今の御坂美琴を皆は今まで通り接してくれるかしら」
美琴「私を見る周りの目がどれだけ変わってしまうか考えるとたまらなく怖いわ」
黒子「そんな・・・お姉さまはお姉さま」
美琴「私の価値はLEVEL5。そう思っている人がほとんどよ」
黒子「それでも!わたくしのお姉さまへの気持ちは変わりませんわ!」
美琴「うん。ありがとう黒子」
美琴「でもね、だからといってそんなダメージが大きいわけじゃないのよ」
美琴「私そんなに大勢の人とつるむの好きじゃないし。黒子だって分かってくれたし」
美琴「初春さんや佐天さんだって私に憧れを抱いてくれてるみたいだけど、急に突き放す人たちにも私には見えない」
黒子「彼女たちなら大丈夫ですわ」
美琴「それに・・・アイツも、私のことをLEVEL5とか関係なく普通の中学生として見てくれてるし」
黒子「ああ、あの類人猿のことですの」
美琴「とにかく。学校の生徒たちの見る目が変わっても普段の生活には支障はないってわけ」
美琴「それにさ、周りも普段からうるさかったのよね!御坂様、御坂様って。離れていけば逆にせいせいするってものよ」
黒子「…」
美琴「ほら、別に日常で電気なんていくらでもあるし、私なんて人を能力使って人を攻撃してばっかだし、なにかあるごとに黒子には電撃ながしちゃってさ。むしろ、こんな能力無いほうが迷惑もかからないし、アイツを追い回す理由もなくなるし」
美琴「逆にメリットのほうが大きいじゃない」
美琴「思えば私の能力って結構迷惑なシロモノかもね。ほらっ、何?ありがた迷惑って奴?LEVEL5なんて学園都市じゃ便利かもしれないけどもらったところでこっちは困るだけだっつーの!」
美琴「LEVEL0なんてすっきりしていいじゃない。超電磁砲だった私なんて逆にいないほうが周りにとってかえって好都合じゃ・・・」
黒子「おやめくださいまし」
美琴「…」
黒子「・・それ以上自分を貶めるのはおやめくださいまし」
黒子「強がらないでくださいまし」
黒子「お姉さまはそのLEVEL5を手に入れるために一生懸命努力してきた方」
黒子「そしてその能力でたくさんの人を救ってきましたわ」
黒子「その能力はお姉さまにとって誇りだったはず」
美琴「…」
黒子「誇りを失ってお姉さまは、黒子が想像し得ないほど辛い思いをなさっているでしょうが」
黒子「その誇りを自ら貶めるような真似は黒子はしてほしくありませんの」
黒子「今までの努力は嘘だったというんですの?いいえ」
黒子「志を胸に努力したのも事実、LEVEL5だったのも事実。それを失いたくなかったのも事実」
黒子「それ以上、自分を否定しないでくださいまし」
黒子「せめて、黒子の前では素直になってほしいですの」
美琴「…」グッ
美琴「・・・黒子の言葉。聞いてて嫌になるくらい辛いけど、もう怒らないわ」
美琴「だって、全て事実ですもの」
美琴「そうよ、私はこの能力を手に入れるために一心不乱に頑張ってきた。私にとってLEVEL5は努力の結晶であって私の支えだったわ」
美琴「それを失いたくないわけがない。強がったって気休めにもならないわ」
美琴「それに黒子の言うとおりこの能力のおかげでたくさんの人を救えたし、何より自分も何度助けられたかわからない」
美琴「そんな能力を今更けなすなんてちょっと卑怯よね」
美琴「黒子は私のこととても慕ってくれてるし、黒子には嘘つきたくないなって思って」
美琴「秘密にしたいんだけど、こんなこと抱えてると心がはち切れそうで、一人でいいから私のこと知ってくれるひとが欲しかったの」
美琴「私にもこんな弱い一面があるということを誰かに見て欲しくて」
黒子「それでも」
黒子「電気がでなかろうと、LEVEL5でなかろうと、お姉さまはお姉さま、私の大好きな御坂美琴ですわ。わたくしはいつまでもご一緒いたしますわよ」
美琴「やっぱり優しいわね、黒子は」
美琴「ありがとう、黒子・・・うぅ」
美琴「ごめんね。後輩にこんな頼りないとこ見せちゃって、レベル5が聞いて呆れるわよね」
黒子「大丈夫ですの。今夜はお姉さまのお好きなだけお泣きなさいな」
美琴「んっ・・・」コクン
美琴「私ね、もう一つ黒子に大事なことを言わなきゃいけないの」
黒子「何ですの?」
美琴「ねえ黒子、2週間後・・・何があるかわかる?」
黒子「2週間後・・・はて・・そういえば能力測定が近かったはず・・・・あぁ!?」
美琴「黒子も気づいた?」
美琴「ほらっ常盤台ってLEVEL3以上じゃないと在籍してられないじゃない?」
美琴「私がLEVEL0だって知られたらもちろんここにはいられなくなるってわけ」
美琴「もう・・・黒子とは一緒にいられないんだよ?」ポロポロ
黒子「そんな・・・」
美琴「黒子の言うとおりやっぱり能力を失ったのは悲しい。周りの目が変わるのも怖い」
美琴「でも、何より嫌なのは黒子たちと離れること」
美琴「能力を失ったときに初めて頭に浮かんだのはアンタの顔よ」
美琴「アンタの・・・その笑顔が・・もう見れないんだなって」ポロポロ
黒子「…」
美琴「うぅ・・・何で・・こうなっちゃったんだろう・・」ポロポロ
黒子「…」
美琴「私・・・どうすればいいの?」
黒子「お姉さま」
美琴「ぐずっ・・・・うぅ・・・」
黒子「お姉さま!」
美琴「・・・んっ・・何?黒子?」
黒子「全てが終わってしまったとでもお思いですの?」
美琴「・・・へ?何?」
黒子「ですから、『全てが終わってしまったとでもお思いですの?』と聞いておりますの」
黒子「はーあ。黒子はガッカリですの。お姉さまがそんな軟弱な方でしたなんて存じ上げませんでしたわ」
美琴「・・・な!?」
黒子「確かに今まで黒子がお側におりましたのは学園都市に7人しかいないLEVEL5の内の一人であり、超電磁砲と呼ばれた電撃を自在に操る電撃姫、常盤台のエースに登りつめた御坂美琴お姉さまですわ」
黒子「学園都市の憧れであり常盤台の希望ですの」
黒子「けれど黒子が本当にお慕いしておりましたのは」
黒子「LEVEL1からLEVEL5まで成り上がってしまう努力の持ち主であり」
黒子「どんな逆境にも平然と立ち向かう、それが困難であればあるほど燃えてくる」
黒子「戦うことに夢中になってしまってわたくしたち風紀委員の仕事まで横取りしようとする」
黒子「いやはや、困ったものですわ」
黒子「わたくしたちから離れたらまた会いに来ればよろしいではありませんの」
黒子「LEVEL0になってしまったならもう一度LEVEL5になってきて下さいな。なんせお姉さまは一度LEVEL1から駆け上がったことのある方」
黒子「もう一度わたくしにあうことなんておねえさまなら容易いことですわよ」
黒子「わたくしは・・・いつまでもお待ちしておりますわ」
黒子「わたくしだって別に悲しくありませんの。お姉さまがすぐに会いに来てくれるでしょうし」
黒子「それにたとえ常盤台からいなくなってしまってもお姉さまはお姉さま」
黒子「黒子が見てきた御坂美琴に違いありませんわ」
黒子「黒子はそこら辺の常盤台の生徒とは違いますの」
黒子「彼女たちはきっとお姉さまがいなくなるとわかったらさぞ悲しみ嘆くでしょうね。そりゃあもう盛大に」
黒子「ですがお姉さまはわたくしの永遠のパートナーですから、たとえ離れてしまってもどうってことありませんの」
黒子「一緒にしないでくださいまし!」フンス
黒子「黒子は強い子ですの!ですから嘆いたりなどしませんわ。お姉さまも安心して黒子をここに置いてってくださいまし」
美琴「・・・そっか。よかった」
美琴「黒子は私がいなくても大丈夫なわけね」
黒子「ええ、そうですの!」
美琴「さすが風紀委員。人一倍心が強いわけだ」
黒子「こんなことで簡単に動揺しているようじゃ風紀委員は務まりませんのよ!」
美琴「それなら黒子」
黒子「はい?」
美琴「どうして泣いてるの?」
黒子「・・・え?」
美琴「黒子は本当に何とも思わないの?」
美琴「嘘が全然隠しきれていないわよ?」
美琴「だって」
美琴「涙って」
美琴「悲しい時に流すものでしょ?」
黒子「何をいっておりますのお姉さま?」
黒子「黒子はこんなこと悲しいとも何とも思って無いですの・・・・んっ」
黒子「なんたって黒子は強い子ですから・・あれ?・・何ですのこれ」
黒子「おっおかしいです・・わね。黒子がこんな・・・ことで涙など・・・」
黒子「流す・・・わけが・・・うぅ・・へぐっ」
黒子「う・・う・・うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁん」
黒子「嫌ですの!!お姉さま!!黒子を置いて行かないでくださいまし!!」ガシッ
黒子「黒子は・・・黒子はお姉さまがいないと何も出来ませんの!!」
黒子「お姉さまが遠くに行かれるのでしたらわたくしが付いていきますわ!常盤台なんてどうでもいいですの!お姉さま!どうか黒子をどこへでも連れていってくださいまし!」
美琴「…」
黒子「言ってくださいましお姉さま!能力が無くなったなんて嘘だって言ってくださいまし!!」
美琴「ごめん、黒子」
黒子「どうして謝るんですの!?お姉さま!!能力が無くなったなんて、黒子の前からいなくなるなんてそんなこと有り得ませんの!!だから・・・だから謝らないでくださいまし!!」
美琴「ホントにごめん、ホントに・・・」
黒子「聞きたくない!!聞きたくないですの!!黒子にはもう何も聞こえないですの!!」フルフル
美琴「黒子・・・」
美琴「黒子」
黒子「…」フルフル
美琴「ふう」
美琴「黒子・・・今から言うことは私の独り言ね。私の一から十までの気持ちをもう一度いうから繰り返しになるかもしれないけど。黒子には聞こえてないから問題ないわよね」
美琴「確かに、能力を失ったのはとても悲しいよ」
美琴「あれだけ努力したんですもの。それがある日一瞬で消えちゃうなんて」
美琴「悔しいったらないわ」
美琴「私が今まで頑張ってきた日々は一体何だったんだろって感じ」
黒子「…」
美琴「でもホントに悲しかったのはLEVEL5じゃなくなったことじゃないわ」
美琴「この常盤台から・・・黒子と離れなきゃいけなくなったってこと」
美琴「それに気づいたとき、正直頭が真っ白になったわ」
美琴「ここにきてまさかLEVEL3の壁にぶち当たるとはね」
美琴「どうしよう、どうしよう、どうしようってね」
美琴「黒子と離れたくない。どうにかしなきゃ。でも」
美琴「考えても考えても思いつかなかった」
美琴「それに、いくら解決策を思いついたところで時間が少なすぎる」
美琴「だから残された時間、少しでも黒子の近くにいたくて」
美琴「私と一緒に寝てほしいなって思ったんだ」
黒子「・・・・!」
美琴「LEVEL5でもこれしか思いつかなかった」
美琴「まあ、演算能力はいまやLEVEL0だけどね」
黒子「…」
美琴「・・・あっごめんね黒子、私がこんなとこにいたら邪魔で眠れないわよね。黒子が寝不足になったら困るし、ごめんごめん、こんな時間まで起こさせて」
美琴「私自分のところに戻るから、今までのことは気にしないで」
黒子「お待ち下さいまし」
黒子「そこまで言われてわたくしのベッドがまた空いてしまっては、ますます寝付きが悪くなってしまうではありませんの」
黒子「お姉さまの願いが黒子とご一緒にお休みになることでしたら」
黒子「わたくしの願いだってお姉さまとご一緒にお休みになることですわ」
黒子「さぁ、入ってくださいまし」ポンポン
黒子「もう、行かないでほしいなんて言いませんわ」
黒子「そんなのお姉さまを困らせるだけですもの」
黒子「黒子の願いはたった一つ。今夜お姉さまとご一緒にいい夢を見ること」
黒子「散々今までお姉さまには手を焼かせてしまいましたが」
黒子「今夜これが後輩の最後のわがままだと思って」
美琴「黒子・・・」
黒子「どうか黒子の願いを叶えてくださいまし」
美琴「・・・ありがとう、黒子。」
美琴「・・・それじゃお言葉に甘えさせてもらうわ」
黒子「いいえ。お礼を言いたいのはわたくしのほうですの」
美琴「ありがとう・・・・ホント・・」
美琴「(ホント、アンタは私の自慢の後輩だわ・・・黒子)」
黒子「さぁお姉さま。お布団が冷えてしまいましたの。もう一度温めてくださいまし?」
美琴「・・・・うん!」
美琴「よいしょっと」
黒子「そして、こうすればお布団は足りますわよっと」ダキッ
美琴「んっ・・・ふふっその通り」
美琴「黒子、足冷たいわね」
美琴「私が暖めてあげるね」スリスリ
黒子「んんっはぁ・・・く、くすぐったいですの///」
美琴「…」
黒子「…」
美琴「黒子?まだ起きてる?」
黒子「ええ、起きてますわよ」
美琴「今日はいきなりの私のわがままに付き合ってくれてありがとう。それに」
美琴「ホント、感謝してる」
黒子「何を言っておりますの?感謝するのはわたくしの方ですの。く・ろ・このわがままにお付き合いいただいてるんですから」
美琴「ふふっ!黒子ったら・・・」
美琴「それじゃあさ」
美琴「私もアンタに願いを叶えてほしいな」
黒子「・・・え!?」
美琴「私がアンタの願いを叶えてあげたんだからそれくらいさせてもらってもいいでしょ?」
黒子「い、いや・・それは・・!」
美琴「お願い!!」
黒子「そこまでいうのでしたら・・・仕方ないですの・・」
美琴「ありがとー黒子!やっぱ大好き!」スリスリスリ
黒子「ふにゅにゅ!?」
黒子「・・・それで・・・何ですのお姉さまの願いとやらは」
美琴「へへっそれはね・・・」
美琴「黒子に本当の願いを叶えてあげること」
黒子「んん?」
黒子「お姉さまの願い事はわたくしの願い事を叶えること?」
黒子「・・・何だかややこしいですの・・」
美琴「最後だからさ、黒子のために私にお姉さまらしいことさせてほしいの」
美琴「私の性格上、やられっぱなしは我慢ならないのよね」
黒子「…」
美琴「素直になってよ」
黒子「…」
美琴「お願い、私にいいカッコさせて?黒子」
美琴「私が常盤台に留まるのだけはちょっと無理だけど・・・」
美琴「それ以外に黒子の願いはもっと他にあるはずよ」
美琴「私は知ってる」
黒子「私の・・・本当の願い・・・」
黒子「(それは・・・)」
黒子「(お姉さまと一つになること)」
黒子「(でもそんなこと言えませんの。いくら願いを叶えてくれるからといって)」
黒子「(女である私に身体を求められたら)」
黒子「(お姉さまはきっと嫌がるはず)」
黒子「(お姉さまはきっと黒子を気持ち悪いとお思いになるでしょう)」
黒子「(わたくしはそれに耐えられない)」
黒子「(嫌がるお姉さまを横目に黒子の願いを叶えることなんて出来ませんの)」
黒子「(それにもう、こうしてお姉さまに包まれているではありませんの)」
黒子「(これ以上お姉さまに求めたら黒子はバチが当たってしまいますの)」
黒子「(黒子は果報者。さらなる贅沢なんていえませんわ・・・)」
黒子「ええっと・・・そうですわねぇー・・・むうう・・」
美琴「私でしょ」
黒子「!!」
美琴「黒子の本当の願い、それは」
美琴「私と一つになること」
美琴「パートナーの考えてることくらいわかるわよ」
黒子「うう・・///」カァァァ
美琴「それにあんだけ日頃迫られたら丸分かりだっつーの」
美琴「ね?黒子」
黒子「いやぁ・・恥ずかしい・・・ですの///」カァァァァ
美琴「私が欲しいんでしょ?」
黒子「・・・///」コクン
美琴「いいわよ」
黒子「え?」
美琴「そんなに私が欲しかったら好きにして」
美琴「私、そんな経験もないし、黒子を気持ちよくしてあげられるかわからないけど」
美琴「今は何の能力も持たないただの女子中学生だけど、私でよかったら」
黒子「お姉さま・・・」
黒子「お姉さまは・・」
美琴「ん?」
黒子「お姉さまはそれでよろしいですの?」
黒子「お姉さまは普通の男性が、あの殿方が気になってるのではありませんの?同姓であるわたくしとそのようなこと・・・気持ち悪いとお思いにならなくて?」
美琴「アイツは関係ないでしょ!でもそうねぇ、確かに私もそりゃ普通に男性と恋愛したいし、女性とそういう事をするなんて頭になかったわ」
黒子「でしたら・・!」
美琴「でも」
美琴「こうして黒子といられるのも最後になるかもしれないし、黒子は私の最高のパートナーだし、それが黒子の真の願いなら」
美琴「身体を許してもいいと思ったんだ」
黒子「そんな、そんな黒子は傷心のお姉さまの心の隙につけ込むような真似は・・・」
美琴「そうじゃないって。それを叶えることが私の願いでもあるんだから」
美琴「素直になりなさい、黒子」
美琴「したいの?したくないの?」
黒子「・・・・・・・・・・・・・・・・したい・・ですの///」
美琴「うん!よろしい!」ニコッ
・・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・
・
んん・・んんん!
っん。
んんんんっ・・・・っぷはぁ・・・はぁ・・はぁ///。
怖い?
す、少し緊張しますの・・。
ふふっ黒子の可愛い。
そんな・・・まじまじと・・見られたら恥ずかしいですの・・・
恥ずかしく無いわ。だってこんなに綺麗なんですもの。
黒子、やっぱり結構胸あるのね。羨ましい。
そんなこと・・・はぁぁ!そこは敏感になってますの
黒子、こっちも見たいな。
お姉さま・・・そこは・・・まだ・・
頑張って気持ち良くしてあげるから。グッ
ひやぁぁ!?そんな足上げられたら黒子は丸見えですの!
いやぁぁぁ恥ずかしい!!恥ずかしいですのお姉さま!!早く閉じてくださいまし!!
これが、黒子の一番な大事なところ。
ここには私たちしかいないんだから恥ずかしくないわ。力抜いて。
でも・・黒子は・・・こんなはしたない姿・・・
ううん、そんなことないって。黒子、すごく綺麗よ。
いやぁ・・・んああ!?ちょっとお姉さま!?そんなところ舐めたら汚いですの!!
汚くなんかないわ。黒子のここもすごく可愛いわよ。
そ、そんなぁ・・・///
・・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・
・
お姉さま!?なんか・・・なんか来ますの!!
何!?何ですの!?嫌!?こわいですのお姉さま!!
気持ちいい証拠よ。そのままもっと気持ちよくなりなさい、黒子。
んあぁぁぁ!?そんな・・・そこは・・・一気に責められたら黒子は・・・黒子は・・・
もう・・だ・・め・・ああ!!
ああああああああああぁぁぁぁぁぁ!?
はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・。ごめんなさいですの・・その・・・お姉さまのお顔に・・・。
いいのよ、気にしないで。黒子もどうだった?さっきもいったけど私ヒトにこういうのしたことないからさ、イマイチ勝手がわからなかったけど。
と・・・とっても気持ちよかったですの///
そう、よかった。それじゃあさ。少しずつでいいからさ。
今度は私にしてくれる?
・・・・はい・・・ですの。
やかましくて、おせっかいで、それでも私のことを健気に慕ってくれる可愛い後輩。
そんな黒子、私大好きよ。
アンタを手放したくない。私がいなくなった後も誰のものにもなってほしくない。
でも、そうもいってられない。
私は向こうで頑張るわ。だから黒子も、
私よりもいいパートナー、見つけるのよ。
そんな・・・・黒子のパートナーはお姉さまだけ。他にうつろうなんて出来ませんわ。
黒子なら大丈夫、強い子だもの。
私の初めて・・・これは私からのはなむけよ。
お姉さま・・・お姉さま・・・・お姉さまぁ・・・・・
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初春「あれから、1年ですね」
黒子「何がですの?」
初春「御坂さんが常盤台から去って、私たちの前からいなくなったのは」
黒子「ああ、そのことですの。そんなこともありましたわね」
初春「そんなことって・・・白井さんは寂しくないんですか?」
黒子「寂しいも寂しくないも、もう過ぎ去ったことではありませんの」
黒子「過去のことをいつまでも引きずったって何も生まれませんわよ」
初春「そんな・・・白井さんにとって御坂さんは過去の人なんですか?ずっと尊敬していたんじゃなかったんですか!?」
黒子「もちろん、尊敬はしておりますわ。お姉さまはわたくしのなかでいつまでも憧れであり、黒子の目標のお姿ですの。ですが!」
黒子「過去をうじうじ引きずるのと、それを糧に前へ進んでいくのは全く違いますわ」
黒子「心身ともに強くありませんと風紀委員は務まりませんわよ、初春」
初春「白井さんたら・・・そんなもんですかね?」
黒子「そんなものですの」
初春「あ!本部から連絡!・・・はいこちら一七七支部・・・はい・・はい、わかりました、すぐに向かいます」
黒子「どうなさいましたの?」
初春「またですよ・・・。自販機を壊す愉快犯が第7学区内でまた現れました。同時に警備ロボットも壊されてるし・・・。しかも発生しているのはここ第7学区だけ。これで6件目ですよ」
初春「それに、故障の原因がどれも一致していることから同一犯だと思われます」
黒子「まだ捕まえられませんの?しょうがないですわね。わたくしがちょちょいとその輩をとっ捕まえてきますわ」
初春「あっ私も行きます!」
黒子「結構ですの。わたくし一人で十分ですの」
初春「でも・・・相手が何人かわからないですし・・」
黒子「それじゃ留守番を頼みましたわよ、初春!」ヒュン
初春「あっちょっと白井さん!・・・もう、行っちゃった・・」
初春「…」
初春「白井さん、嘘はもっと上手につくものですよ?」
初春「御坂さんの話になると目を合わせてくれないのは1年前と一緒ですね」
初春「過去のことを引きずったって何も生まれない、か。それなら」
初春「どうしてさっき話すとき上を向いてたんですか?白井さん」
初春「涙は悲しい時に流れるものですよね?」
黒子「(本部の情報によるとたしかここら辺・・・!・・倒れた警備ロボット!)」
黒子「(・・・あのかたですわね。見慣れない制服ですが現場にのうのうと居座るとは・・風紀委員もなめられたものですの!)」ヒュン
黒子「風紀委員ですの!わたくしが来たからには好き勝手はさせませんの!大人しく観念しましてよ!」バッ
確かに、見慣れない制服だった。ただそれだけ、見慣れないのは制服だけだった。
栗色の肩まで伸びた髪、手提げかばんには見慣れた緑色のマスコット。
後ろ姿だったが、それだけで十分。
黒子「・・・・おねえ・・さま・・」
あの姿は、決して忘れない。
美琴「遅かったじゃない、黒子」
黒子「本当に・・・お姉さま・・ですの?」
美琴「本当も何も私は私よ。何?その幽霊を見ているかのような顔は。私は生きてるっつーの」
美琴「変わらないわねーここも。この自販機。相変わらずポンコツなのね」
ウィィ・・・ウィィィン・・ガガ・ガガガ・・・
美琴「何?この警備ロボット、まだ動いてたの?しぶといわね。とりゃっ」
ピシッ
ピシピシッ
ビシュウウゥゥゥゥ
黒子「!?」
美琴「ふう」
黒子「お姉さま・・・その電撃・・」
黒子「まさか、能力が使えるように・・?」
美琴「ああ、これ?」ビリリィ
美琴「うん、戻った」
美琴「LEVEL3にね」
美琴「いやー大変だったわよ」
美琴「向こうの学校の授業なんてもう1年の時にとっくに終わってたし、授業なんか聞かないでひたすら自分の能力開発に一人で没頭してたわ」
美琴「でも何か懐かしかった。あの頃自分の持ってる電撃をもっと大きくしようって意気込んでた頃を思い出してね」
美琴「もう一度一生懸命になれたわ」
美琴「まあ、LEVEL5には程遠いけどね」
美琴「でも一度LEVEL1からLEVEL5までに上がったんですもの」
美琴「こんなの通過点」
美琴「LEVEL3まで上がったってことは、まだまだ上がる可能性があるってことでしょ?」
美琴「LEVEL5も夢じゃないわ」
美琴「ううん!夢なんかじゃない!もう一度あの頃の私を取り戻してみせるわ!」
黒子「お姉さま・・・」
黒子「お姉さまはすごいですわ」
黒子「逆境があればあるほど燃えてくる」
黒子「やっぱり、黒子が尊敬していたお姉さまそのものですの」
黒子「それなのに・・・それなのに黒子は・・」グッ
黒子「お姉さまはこの1年間必死に努力してきましたのに、黒子は何も変わっておりませんの」
黒子「暇あればお姉さまのことを思い出し、ずっと過去の思い出に浸っていましたの」
黒子「なのに、周りには平静を装ってお姉さまのことを突き放すことで強がってましたの」
黒子「強くなんて・・・全然なってませんの」
美琴「黒子」
黒子「・・・何ですの?」
美琴「こっちおいで」
黒子「ん・・・」ポフッ
美琴「すぅ、はぁ・・・やっぱり黒子の匂いは落ち着く。1年前と変わらない優しい匂い」
黒子「黒子は匂いも弱さも1年前のままですの・・・」
美琴「ううん、黒子は強くなった」ギュッ
美琴「だって、私がいなくなってもこうして立派に『風紀委員』やってるじゃない」ナデナデ
美琴「腕章見せつけた時の黒子。1年前よりも全然威厳を感じたわ。それにすごくカッコ良かったわよ」
美琴「私でも一瞬たじろいちゃったくらい」
美琴「弱い自分を抑えつけるのって辛いわよね」
美琴「でも黒子は1年間頑張り抜いて、毅然と風紀委員の職務をこなした」
美琴「だから黒子は十分強くなった!」
美琴「私が言うんだから間違いないわよ!」
美琴「だから、自信持ちなさい」
黒子「」コクン
美琴「あっそうそう、もう一つ言う事あるんだった!」
黒子「?」
美琴「私、明日から常盤台戻るから」
黒子「へ?」
美琴「常盤台ってLEVEL3以上じゃないと入れないじゃない?私もともとLEVEL5だし、見込みがあるって言われて特例でまた再入学させてもらうことになったの」
黒子「それ・・・本当ですの?」
美琴「ホントよ。べっ別にアンタに会いたかったからとかそういうわけじゃないんだから!?」
美琴「あーこのセーラー服いつまでたっても慣れないのよね!常盤台の制服よりも何だか窮屈だし、全然似合ってないし」
美琴「それにこの赤いドデカイ蝶リボン、黒子じゃないんだから。着苦しいったらないっつーの!だから・・・」
黒子「お姉さま・・・」
美琴「ううん・・・正直に言う。本当は黒子ともう一度一緒に過ごしたかったの」
美琴「だから寝る間も惜しんで必死に勉強しなおして、やっとLEVEL3の判定をもらったからここにとんできた」
美琴「常盤台にだって必死に頼み込んだ。頼んで頼んで頼み抜いたらやっと話を聞いてくれたわ」
美琴「学園都市の風紀をまもるのが風紀委員。ここ第7学区でいたずらをすれば風紀委員が駆けつける」
美琴「やっと、黒子が来てくれたわ」
美琴「すべて・・・アンタに会いたかったからよ、黒子」
黒子「お姉さま!」
美琴「ただいま、黒子」
黒子「おかえりなさいですの・・おねぇ・・さ・・」
黒子「うっ・・うっ・・うわあぁぁぁぁぁぁん」
黒子「お姉さまぁぁぁぁぁ!黒子はこの日をどれだけ待ちわびたことか!!」
黒子「黒子は・・・黒子は・・・ずっと不安でしたの!!」
黒子「部屋にいれば考えるのはお姉さまのことばかり・・・」
黒子「風紀委員に没頭することで全てを忘れようとしましたわ!!」
美琴「うん・・・うん」
黒子「でも、出来ませんでしたの・・・」
黒子「時が経てばお姉さまの記憶も薄れるんじゃないかと思いましたの!」
黒子「でも・・ますますお姉さまへの気持ちが大きくなるばかり」
黒子「とても・・・苦しかった・・・」
黒子「もう少しで・・・黒子・・・壊れるところでしたわ」
美琴「・・・ごめんね、黒子。心配かけさせるような先輩で」
美琴「もう、大丈夫だから」ギュッ
美琴「黒子にもうこんな苦しい思いは私がさせないから」
美琴「私が保証する」
黒子「うぅぅ・・・ふぅぅぅぅ・・ふえぇぇぇぇん」
美琴「もう、そんなに鼻水垂らして常盤台のお嬢様が聞いて呆れるわよ。ほら、ハンカチ」
黒子「はうぅ」ズズー
美琴「よしよし」ナデナデ
黒子「ふうぅぅぅぅ・・・うぅぇぅん・・・」
美琴「そろそろ泣き止みなさい。私は黒子の泣き顔より笑顔のほうが見たいわ」
黒子「ぐすっ・・・涙は嬉しくても流れますの・・・」
美琴「ふふっ、そっかぁ」
美琴「今、常盤台の寮に私の荷物が運びこまれているわ」
美琴「寮監が言うには唯一の空き室があるけど何か落ち着かない同室者がいるとか。でもそんな部屋でもいい、ううん、そんな部屋じゃなきゃ嫌」
美琴「例えば」
美琴「黒子の寮室とかさ」
黒子「うぅっおねぇさまぁ・・・」
美琴「だからさ」
美琴「黒子、今日は一緒に寝ない?」
~fin~