女「晩ご飯どこで食べる?」
ギャル「あたしこの辺分かんなーい!」
女「私も詳しくないし、ちょっとスマホで調べてみよっか」
ギャル「お願ーい!」
女「えーとねー」ポチポチ
女「あ! ちょうど目の前にあるこのお店、食べログですっごい評価高い!」
女「4.7点だって!」
ギャル「えーウソー! いこーいこー!」
元スレ
女「このお店食べログですっごい評価高い!」ギャル「えーウソー!いこーいこー!」
http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1574161228/
ギィィィ…
女「わっ、薄暗いね」
ギャル「やーん、お化けでも出そーう!」
店員「いらっしゃいませ……」ヌゥッ
女「ビックリした! やだ、暗闇からいきなり現れないでよ!」
ギャル「だけどよく見るとイケメーン!」
店員「何名様ですか?」
女「二名で」
店員「ではお席までご案内いたします」
店員「こちらへどうぞ……」
女「うわっ、テーブルに蝋燭とドクロが置いてある!」
ギャル「しゃれこうべ! しゃれこうべ!」
女「床には魔法陣みたいなのが描いてあるし……なんなのこれ」
ギャル「悪魔でも出そーう!」
店員「かもしれませんねえ」
店員「ではメニューが決まりましたら、私までお声掛け下さい」
女「どうする?」
ギャル「初めて入るお店だし、オススメみたいなのないのかな?」
女「じゃあこれにする? “おすすめコース”、3千円だってさ」
ギャル「あ、そうしよ、そうしよ!」
女「すいませーん」
店員「お決まりですか」
女「この“おすすめコース”を二つで」
店員「かしこまりました」
店員「コース料理は、“前菜”“スープ”“魚料理”“肉料理”“デザート”“コーヒー”の順にお出しします」
女「本格的!」
店員「まずは“前菜”をお持ちいたします。少々お待ち下さい」
女「どんなのが出てくるか、楽しみだね!」
ギャル「超ワクワクしてきたー!」
店員「お待たせいたしました」
店員「前菜……北陸に生息するエチゼンヒグマの掌でございます」
女「わっ、思い切り掌だ!」
ギャル「肉球までついてるー! 写真撮っちゃお! インスタ映えしそう!」パシャッパシャッ
女「どうやって食べればいいんですか?」
店員「このまま生でお召し上がり下さい」
女「生で!?」
ギャル「いただきまーす」ガブッ
女「熊なんて初めて……しかも生……」ガブッ
女「毛があってなかなか食べづらい……」ムシャムシャ
ギャル「肉球コリコリしてておいしいー!」モグモグ
女「うん、味は悪くないね」ゴリゴリ
ギャル「爪もしゃぶっちゃおっと!」チュパッチュパッ
店員「エチゼンヒグマの掌は、古くは平安時代から珍味として重宝されており、栄養も豊富なのです」
ギャル「やだ、織田信長の時代ー!」
女「全然違う」
店員「もちろん、美容にもよろしいですよ。きっとお二人とも明日はお肌ツヤツヤでございましょう」
ギャル「ウッソー! やったー!」
店員「それでは“スープ”をお持ちしますので、お待ち下さい」
店員「スープはこちらでお作りいたします」
女「へ~、目の前で作ってくれるんだ」
ギャル「なにそれ、カメ?」
店員「はい、沖縄で獲れたミナミスッポンです。これを生きたままミキサーに入れます」ポイッ
ガリガリガリガリガリガリ
ギュィィィィィィィィィンッ
女「ミキサー内があっという間に真っ赤に……」
ギャル「超キレーイ! ワインみたーい!」
トクトクトク…
店員「どうぞ」
女「……」ゴクッ
女「あ、すごい! 体がポカポカしてきた!」
ギャル「精力つきそう!」
店員「粉砕された甲羅も混ざっていますので、カルシウムも豊富に含まれています」
女「よーし、一気にいっちゃおうか」グイッ
ギャル「うん!」グイッ
店員「“魚料理”をお持ちしました」
女「……? これは……ボール?」
ギャル「なにこれー、目玉?」
店員「はい、フィリピン近海に生息するハギシリザメの眼球になります」
店員「ハギシリザメは獲物を食べる時、歯ぎしりするように噛むのが特徴で、この名がつきました」
店員「特に眼球は、東南アジアの富裕層に好んで食されています」
女「どうやって食べればいいんですか?」
店員「このままお召し上がり下さい。リンゴをまるかじりするように」
女「分かりました」
ギャル「すっごいこっち睨みつけてる! いただきまーす!」
女「結構固い!」モシャッ
ギャル「あ~、ゴリゴリ! ゴリゴリ! しゅんごい歯ごたえ!」
店員「ハギシリザメの眼球はDHAが大変豊富でして、頭がよくなること間違いなしでございます」
ギャル「ウッソー! 絶対食べきらなきゃー!」
ギャル「あ、そうだ。せっかくだから歯ぎしりするように噛んでみよっかな」
店員「噛めば噛むほど味が出る食材ですので、その食べ方は正解でございます」
ギャル「やだ、あたし頭よくなってる! 超アインシュタイーン!」
女「アインシュタインが草葉の陰で泣いてそうね」
女「“肉料理”はなんだろうねー?」
ギャル「あたし肉食だから、楽しみー!」
ガラガラ…
店員「生きたインドバッファローを縛りつけた状態でお持ちしました」
バッファロー「ブモォォォォォォ! ブモォォォォォォ!」
店員「インドバッファローはインドの奥地にのみ生息する肉牛で、肉はかなりの美味を誇ります」
店員「このインドバッファローに……直接火をかけます」シュボッ
バッファロー「ブモォォォォォォォォ!」
女「わっ、直接!?」
ギャル「超ワイルド~! ギャートルズ的~!」
バッファロー「ブモォォォォォッ!」
店員「だいぶ焼けてきましたね……」
店員「この焼けた部分をこのまま切り取って……」ザクッザクッ
バッファロー「ブモッ! ブモォォォォォ!」
店員「さ、どうぞ。インドバッファローのステーキです」ドンッ
女「いただきます」
ギャル「いただきまーす!」
女「……」モグッ
ギャル「……」パクッ
女「うわっ、おいし……!」
ギャル「これ超ウマイー!」
店員「ありがとうございます」
女「この弾力、とろけるような舌触り、溢れ出る肉汁……どれをとってもトップクラスだわ!」
ギャル「どんどん食べれちゃーう!」
店員「では、インドバッファローは片付けますので」ガラガラ…
バッファロー「ブモォォォォォ!」
ギャル「ステーキおいしかったねー!」
女「牛がちょっと可哀想だったけどね」
店員「“デザート”をお持ちしました」
女「猿の頭だわ!」
ギャル「脳みそ丸出しー!」
店員「アフリカ中央部に生息するノウヒダイアシナガザルの頭部を切り開いたものです」
店員「露出してる脳みそをスプーンでお召し上がり下さい」
女「まるでゼリーみたい」プルルンッ
ギャル「甘い! 甘くておいしい!」
店員「ノウヒダイアシナガザルは果実や花の蜜といった甘いものが大好物でして」
店員「一日の糖分摂取量はなんとヒトの100倍ともいわれています」
店員「それによって糖分が脳にまで蓄積され、脳みそも上品な甘味になっているのです」
女「へえ~」
ギャル「だったらあたしの脳みそも甘いかも!」
女「ホントに脳みそあるの?」
ギャル「ないかも」テヘッ
女「私、あなたのそういうとこ好きよ」
店員「“コーヒー”をお持ちしました」
女「これは?」
店員「イリオモテジャコウネコという猫に、コーヒー豆だけを大量に食べさせると」
店員「そのコーヒー豆によって尿管結石が出来上がります」
店員「それを取り出して、コーヒーにしたものです」
女「手間かかってるんだ」
ギャル「すっごい香ばしい!」クンクン
女「おいしい……!」
ギャル「すっごいコク! そこらのコーヒーなんか比べ物にならない!」
店員「ありがとうございます」
店員「カフェイン含有量も、通常のコーヒーに比べ控えめですし、健康的ですよ」
女「たしかに私、コーヒー飲むと目が冴えてドキドキしちゃうことあるけど、全然ならないわ」
ギャル「ジャコウネコさんありがとー!」
店員「お会計、お二人で六千円になります」
女「ごちそうさまでした」
ギャル「超おいしかったー!」
店員「ありがとうございます。もしまた来られたら、色々なメニューを開拓してみて下さい」
女「ええ、今度は自分でメニューを選んでみます」
ギャル「絶対来るからねー!」
女「どうだった?」
ギャル「もう最高! 店員さん不気味だけどイケメンだったし!」
女「だけど、変わった料理多かったね。目玉とか、脳みそとか」
ギャル「たしかにねー」
女「味はよかったけどああいう料理って、食べログで高得点になるのかなぁ?」
女「気持ち悪い料理だったから星1、とかつけそうな人いそうなものなのに」
ギャル「たまたま今までそういう人が来なかったんじゃない?」
女「うーん……」ポチポチ
女「……あ、分かった」
ギャル「なにが?」
女「私が見てたサイト、食べログじゃなくて“食べグロ”だったわ」
ギャル「やだー! 超ウケるー!」
おわり