1 : 以下、名... - 2011/11/29(火) 00:41:30.64 ZMjcGUpz0 1/13


「……そういえば学校に行かなくていいの? 大学、テスト近いんでしょ?」

「……雨の日はお前のそばにいるって約束しただろ」

「そうだったね……ねぇ、男」

「ん?」

「……神様って、ひどいよね」

「あぁ、神様なんて本当にいたら……ぶん殴ってやる」

「……」



元スレ
幼馴染「雨だね」男「……そうだな」
http://hibari.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1322494890/

5 : 以下、名... - 2011/11/29(火) 00:44:02.73 ZMjcGUpz0 2/13


(今日は晴か……男、来てくれないんだろうな……)

「お、珍しく朝から起きてるな」

「あ……」

「髪ぼさぼさだぞ。すぐにとかしてやる」

「……ありがと」

「……何か、あった?」

「……神様に会った……って言ったら信じるか?」

「信じるよ。男は嘘つかないもん……」

「……そっか」

「それで、神様になんていわれたの?」

「……さぁな」


9 : 以下、名... - 2011/11/29(火) 00:46:21.63 ZMjcGUpz0 3/13


「……神様って、どんな人だった?」

「背が低くて男っぽい女」

「……浮気?」

「お前一筋だから安心しろ」

「……えへへ」

「……気に入らないことを言われて殴ってきただけ」

「……女の子を殴っちゃったんだ」

「……神様は女にカウントされるのかな?」

「……それで、気に入らないことって何?」

「……内緒だ」


10 : 以下、名... - 2011/11/29(火) 00:48:59.10 ZMjcGUpz0 4/13


「……ねぇ、何か悩んでる?」

「なにも」

「言葉のやり取りの間に間が開いてたよ」

「……ただ声を出したくないだけだよ」

「ほら、また……」

「……」

「悩まなくていいんだよ。僕がどんな悩みでも聞いてあげる」

「聞かなくていい。だからお前は……どこにも行かないでくれ」

「……わかってる」


11 : 以下、名... - 2011/11/29(火) 00:50:19.75 ZMjcGUpz0 5/13


(もう帰っちゃった……大学あるし仕方ないよね……)

(男、すごく落ち込んでた……まるであの時みたいに……)

(……やっぱり、僕、男に嫌われてるのかな……)


13 : 以下、名... - 2011/11/29(火) 00:53:21.98 ZMjcGUpz0 6/13


(……幼馴染……)

(どうしてだよ……なんで、あいつが……)

(神がいたら……本当に殴ってやりたい……)


15 : 以下、名... - 2011/11/29(火) 00:57:41.84 ZMjcGUpz0 7/13


「……なんだか最近毎日来るね」

「雨のせいだ」

「雨なんて降ってないよ?」

「泣ける漫画を読んじゃったからな」

「……そっか。じゃあ、僕が慰めてあげる」

「……お前の胸じゃ顔を埋められないよ」

「……そんなに貧乳かなぁ……」

「あれ、気にしてた?」

「……一応女だし……」

「なら一人称と髪の長さと胸の大きさを直せ」

「一番後者は直しようがないよ」


17 : 以下、名... - 2011/11/29(火) 01:00:07.38 ZMjcGUpz0 8/13


「……あ、雨だ」

(今日は、男、来てくれるんだろうなぁ)

(あれ、でも最近毎日来て……)

「あ……れ……」

(どうしたんだろう……体が、動かない……)

(……そっか、神様って……そういうことだったんだ……)


18 : 以下、名... - 2011/11/29(火) 01:03:06.84 ZMjcGUpz0 9/13


「……起きたか?」

「まだ生きてたんだ」

「何言ってるんだよ、貧血で倒れたくらいで」

「……わかってるよ、長くないんでしょ?」

「そんなわけ!」

「……あるんだよね」

「……」

「……ごめんね、男だけ、残しちゃって」

「……大丈夫だ、絶対に助かる。だから……」

「疲れちゃったんだ……すこしだけ、寝たいな」

「……わかった、絶対に起きろよ」

「うん」


21 : 以下、名... - 2011/11/29(火) 01:10:28.86 ZMjcGUpz0 10/13


(あれから、もう2年になるんだ)

(僕と男の両親はすごく仲がいい4人組だった)

(僕と男を連れて、いろいろな場所に遊びに行ってた……)

(そんな関係だったこともあり、僕も男も、すごく仲がよかった)

(でも、あの雨の日に、僕らの人生のなかで最悪の事件が起こった)

(……僕らを含む2家族、合計6人を乗せた車が、トラックにあおられた挙句、崖から転落するという事故)

(トラックの運転手は僕らが転落したのを見て、即逃げ出し、未だにつかまっていない)

(生き残ったのは僕と男だけで、僕に関しては内臓を数個、失ってしまった)

(最初は警察もトラックの行方を捜してくれたが、世間から事故の記憶が薄れていくと同じように、警察は事件から手を引いていった)

(男は、未だにトラックの行方を一人で捜し続けている。多分、僕には内緒にしているつもりなんだろうけど……正直バレバレだ)


22 : 以下、名... - 2011/11/29(火) 01:12:15.96 ZMjcGUpz0 11/13


(……そして、最近男は神様に会ったと言っていた)

(今の僕にとっての神様……おそらく、病院の先生だろう)

(僕の命も、もうすぐ尽きるに違いない。だから……)

(結局、男には……迷惑ばかりかけたなぁ……)


25 : 以下、名... - 2011/11/29(火) 01:15:15.61 ZMjcGUpz0 12/13


「……」

「……男」

「ん、何だ、もう起きたのか?」

「……ありがとう、もう、無理しなくていいんだよ」

「え、何言って……」

(ごめんね……もっと言いたいことはいっぱいあるんだ)

(でも、全部伝えたら、男はきっと全部抱えたまま生きて行っちゃうから)

(だから……)

「……僕の分も、幸せになってね。約束、して」

「……おまえ、まさか……」

「……ありがと」

(大好きだよ、男)


27 : 以下、名... - 2011/11/29(火) 01:22:58.48 ZMjcGUpz0 13/13


「……雨だ」

(雨は嫌いだ。雨の日には冷たい思い出しかないから)

(そいつは、女の癖に男っぽいしゃべり方をする奴だった)

(そいつは、自分よりも他人のことばかりを考える奴だった)

(そいつは、俺のことをよく知っていて俺の揚げ足を取るのが得意な奴だった)

(そして、そいつは……俺にとって、最愛の相手だった)

「……なぁ、最後の約束、お前がいなきゃ果たせないよ……」

「だって、お前のそばにいられた時間以上に、幸せな時間なんて……この先絶対ありえないから……」

空を見上げると、いつかと同じ色をしていた
神様なんていないと実感したあの日と同じ空の色
もう死ぬんだと思ったあの日と同じ空の色
それでも、守りたいものを見つけたあの日と同じ空の色
ただ、あの日と違うのは……男の右手に、小さなぬくもりが宿っていないという事だけだった





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