唯「キミ(売上管理)を見てるとーいつもハートZUKI☆ZUKI」
唯「(SVの)さりげな笑顔を深読みしすぎてOver heat!」
唯「……」
唯「帰ろ」
商品の陳列を終えて店舗を後にする。
一日の業務を終えた解放感に浸りながら駅へ向かう。
今日は早く上がれたとか明日はどのコーナーの陳列を変えようか等考えつつ腕時計をこまめに確認。
ここ半年の私のアフター9はこうして始まる。
と思ったけど半年前までいた店舗でも全く同じ事をしてたっけ。
前と変わったのは電車の乗り換えが無くなって楽になった事くらいか。
このペースで歩けば次の電車に間に合うかな。
どんなに早く上がろうとも電車の時間との戦いは終わらない。
早く電車に乗れればそれだけ自由時間が増えるし。
明日は日曜日。
なんだけど私にとっては平日より多少客の数が変わる、くらいの認識しかない。
小売業なんてそんなものだよね。
帰ってネットしよっと。
この時間帯の駅や電車は込み過ぎって訳じゃないから助かる。
朝もピークを過ぎてからの出勤だからそれ程苦にはならない。
週末じゃないけど週休2日。
これだけ見るとか中々いい条件な気がする。
気がするだけ。
うちの店舗には社員が1人しかいない。つまり私が店長なわけだけど。
そうなると必然的に仕事量が増えてくるという。
店長なのに下っ端とはこれいかに。
あ、もうすぐ定期切れそう。
駅に着いたら携帯でネットをして暇を潰す。
電車の中でもネットで退屈しのぎ。
家に帰ってからもネットをつけるんだからむしろコレが趣味なのかも。
以前携帯を忘れて電車に乗った時はもの凄く手持ち無沙汰だった。
電車内でどこに目線をやればいいのかも忘れるくらい依存している事を実感したっけ。
それはさておき、掲示板の巡回を始めよう。
一時停止中のアプリを起動すると既に掲示板のスレッド一覧が表示されていた。
仕事の休憩時間に毎回見てるから当然なんだけどね。
電車内では他人に覗かれないよう注意しなきゃ。
……あー、だめだ。
今日は面白いスレがないや。
私は掲示板を見るのをやめた。
だけど携帯を持ったまま目線だけは向けておく。
今から考える事は一つ。
家に帰ってから考えようと思ってたけど暇だし。
私は今、一つの計画を練っている最中だ。
『精子風呂』の作成と入浴である。
……違うよ、変態じゃないよ?
ただちょっと興味があるっていうか、気になるっていうか。
実際に純度100%の精子風呂を見たことある人なんてほぼいないだろうし。
三十路過ぎて何イカれた事言ってるんだと思われるかもしれないけど。
ええと、ほら、女の人って男の人よりも性欲のピークが来るのが遅いって言うじゃん?
今がそのピークなんだよ多分。
だから仕方ないよね。
なんで自分に言い訳してるんだろ。
周りに人がいっぱいいるからかな。
さて、精子風呂を作るには何といっても精子が無ければ始まらない。
それをどのようにして集めるかが最大のネックなんだよね。
家のパソコンに精子風呂計画を綴ったテキストが保存されてるんだけどまだまだ未完成で先は長い。
自家生成出来ないから現時点での精子量も0なわけで、スタートすらしていないのが現状だ。
恋人がいれば貯める事は出来るかもしれないけれど1人分の精子なんてたかが知れてる。
私にはいないんですけどね……まあいいけど。
あ。
このネタでスレ立ててみようかな。
なんか面白そう。
スレタイは……『精子風呂作りたいんだけど』
これでいいや。
……スレ立てたけど誰も来ない。
まあ予想はしてたけどね。
こうなったら私がそこら中から搾取するしかないね。
例えば私の前にいるこのおじさんから。
最初はおしりに軽く触れる。
次第にさする様な動きを加えれば誰だって気付く。
おじさんは後ろをちら見して目を見開いた。
想像していた痴漢とは容姿が大分違ったのだろう。
私はおじさんの前方に手を滑らせてチャックを開ける。
中から一物を取り出して優しく撫で上げるとみるみる固くなってきた。
おじさんの背中に顔を埋めると仕事帰りのサラリーマン特有の臭いがする。
いつしか電車内は込み合ってきていて私達の情事には誰も気付かない。
私が手の動きを速めるとおじさんが小さく呻く。
耳元で「出そう?」と聞くと小さく頷いた。
私はバッグから空のペットボトルを取り出しておじさんの亀頭にあてがう。
程なくしておじさんが精を吐き出した。
私が「ごちそうさまでした」と言うとおじさんは私の腕を掴んで――
あ、ついた。
降りなきゃ。
駅から自宅までの道程でもチラチラと携帯をチェックする。
結局自分でスレ立てたのに妄想してたせいで忘れてた。
どれどれ、何かレスは……。
おお、思ったよりレスついてる。
えっと……うーん、どれも私が思いついた考えばっかりだなあ。
ていうか半分以上がネタレスじゃん。仕方ないけど。
私自身もそのネタを楽しんで読んでいると一つのレスが目に入った。
私女だけどすごく興味ある
真偽はさて置き精子風呂に興味がある人って少なからずいるのかな。
それなら協力してくれる人もいるかも。
そもそも精子は自力じゃ集められないし。
……ふむ。ちょっと試してみるか。
私は携帯を閉まって自宅へと急いだ。
唯「ただいま」
誰もいないワンルームマンションに挨拶をしつつ照明とパソコンの電源を入れる。
手洗いうがいを済ませる頃に丁度起動完了。
掲示板専用ブラウザでさっきのスレを開きつつ携帯からレスをする。
精子風呂に入りたい人いる?
いたとして本気でその人を信じるわけじゃないけど面白いからOK。
暫くすると野次の中に入りたいとのレスが1つだけ。
『私女だけどすごく興味ある』と書いた人だった。
それならばと急いでパソコンで捨てアドを取得する。
その人に向けて捨てアドを晒した。
さて、返してくれるかな。
……お腹空いた。
何やってるんだろう私、ご飯食べてないや。
パソコンはひとまず置いといて夜ご飯の調理に着手する。
何を作ろうかと考えているうちにめんどくさくなったので冷凍チャーハンをチンすることにした。
夜ご飯を完成させて再びパソコンの前へ。
ええとスレは……げ、落ちてる。
がっかりだよ。
チャーハンをつまみながら適当に動画サイトでも見ようかとブラウザを見て、捨てアドにメールが1通来ている事に気が付いた。
唯「そうだった。捨てアド作ったんだった」
もうスレ落ちちゃったから面白さ半減だけどとりあえず見てみよう。
メールはやはり『私女だけどすごく興味ある』とスレで書いた人物だった。
といっても真偽は……だけど。
その人も精子風呂に入りたいらしい。
というよりも何か面白い事したい、みたいなノリが感じられた。
せっかくだし私の精子風呂計画を綴ったテキストをコピペして送ってみよう。
数分後に『「精子風呂作りたいんだけど」の1がガチだった』なんてスレが立ってもそれはそれで面白そうだし。
唯「送信、っと」
メールが返ってくるのか、はたまたスレが立つのか。
チャーハンを食べながらゆっくり待ちますかね。
ちなみに精子風呂計画が綴られたテキストのファイル名は
S.B..txt
これは精子風呂.txtなんていうファイルをパソコンの中に入れて置くことに抵抗があったから頭文字を取ってつけた名前。
なんだけど実はこれ「ザーメン風呂」の略でもあるのだ。
さらに風呂を英語に直しても「ザーメンバス」でS.B.。
さらにさらに「スペルマバス」でもS.B.。
これを思いついた私ってば天才だね。
テキストの内容としては
1回の射精量と1人あたりが500ml貯めるのに必要な期間(1回の射精量を2mlと5mlの場合でそれぞれ計算、5mlが可能な場合4ヶ月で500ml、8ヶ月で1リットル)
精子バンク一覧(無料中心)
精子の冷凍保存方法
感染症の対策
精子を送ってもらえる場合、自宅の住所を晒さずに営業所留めで受け取れるか(チルドも営業所留めが可能か)
浴槽の案(安価なビニールプールか、オーダーメイドの浴槽か等)
何リットルの精子が必要か(浴槽の容量を200リットルと仮定してその50%=少なくとも約100リットルは欲しい)
使用後の精液をどう処分するのか(精液=タンパク質と考えその分解に適したものを用意。過酸化水素、コンタクトレンズ洗浄液又は洗剤)
それらにかかる費用はいくらか(個人で500ml貯めてもらった場合、100リットル集めるためには200人から宅急便で送ってもらう必要があり、宅急便着払い1つ1000円+αと仮定して20万円以上。ビニールプール2000円。オーダーメイド浴槽は小型なら20万円以下で抑えられる)
等がざっと書かれている。
といっても実践しているわけじゃないから結構アバウトだけど。
あ、返信きてた。
唯「……この人マジなのかな?」
メールの内容は精子風呂計画の問題点を真面目に検討したものだった。
私が全力で釣られている線は消えないけど問題点を指摘してくれるのはありがたい。
これで少し精子風呂に近づいたかもしれない。
私は再びメールを送る。
先程彼女(?)に指摘された
精子バンクで大量の精子が貰えるのか
一般から募る場合の注意点
精液を分解したとして排水溝に流れてくれるのか
それらを行う場所について
等に対しての改善策を踏まえつつ。
この日は深夜までメールのやり取りをして、この議論は翌日に持ち越しとなった。
*
あの突拍子もないメールのやり取りからもうすぐひと月が経とうとしていた。
ひと月経っても『「精子風呂作りたいんだけど」の1がガチだった』というスレは見かけていないし、何より文面からヤル気が感じられる。
今では立派なメル友だ。
メールを通して私と同年代の女性である事や、向こうも恋人なしの一人暮らしだという事、お金には余裕がある事等が分かり、それが私に共通することでもあったため自然と仲良くなった。
おまけに電車で会える距離に住んでいるらしい。
ここまで来たら一度会って話がしてみたい。
精子風呂うんぬんもそうだけど単純に友達として。
そんな訳で思い切ってお誘いのメールを送ってみた。
駄目ならこれまで通りの関係でいいという旨も一緒に。
メールも丁寧だし真剣に考えてくれるし、出会いが精子風呂ということを除けばかなり真面目な人だと思う。
私が言うのもなんだけど。
彼女から返信が届いたのは丸一日経ってからだった。
返信には短く『わかった。』と書かれていた。
やった!
彼女に会えるのか……ドキドキするな。
返信に時間がかかったのは悩んでいたからだろう。
何せ出会いがS.B.なのだから。
早速日時を決める為にメールをする。
なんなら有給を取ってもいい。
日時と場所はトントン拍子に決まり、明後日に彼女と会う事になった。
おばさん達の性欲の宴が今始まる……とかね。
そうだ当日の服装とか教えた方がいいかも。
いや携帯電話の番号を教えた方がいいか。
私は携帯電話の番号と、ついでに携帯用メールアドレスを送った。
これでいちいちパソコンを開いてメールを確認する必要がなくなる。
すると彼女も携帯電話の番号とアドレスを送ってきてくれた。
私は早速その番号を登録し……し……た……あれ?
登録できない……なんで?
何度やっても出来ない。
登録する度に
この電話番号は
秋山 澪に
登録されています。
再登録しますか?
という表示が出て先に進めない。
*
今日は閉店作業に手間取ってしまい店を出る頃には22時を回っていた。
手間取るというより仕事が捗らなかったんだ。
考えていた事はただ一つ、彼女の事である。
彼女の携帯電話の番号は何度見返しても澪ちゃんの番号だった。
そういえば澪ちゃんも上京して一人暮らしをしているらしい。
らしいというのはここ最近澪ちゃんと連絡を取り合っていないから。
こっちで澪ちゃんと会った事は一度もなかった。
掲示板で精子風呂計画をきっかけに出会い、それが知り合いだった確率っていくつだろう。
等と考えつつ精子風呂に入りたいという欲求を澪ちゃんにばらしてしまった失態をごまかす。
……あああ。
だめだやっぱり澪ちゃんだよこれ。
家に帰ってから寝るまでパソコンのメールを確認していたけど彼女からのメールは一通も来なかった。
明日会うのに全く連絡を取らないなんて今までの私達のメール頻度からして不自然すぎる。
どうしよう。
三十路過ぎて結婚もしないでこんなことしてるって高校の同級生にばれるなんて……。
まてよ。
それは澪ちゃんにも言える事だよね。
いやしかし……あああああ……。
翌日は早く目が覚めた。
と言うかあんまり眠れなかった。
はぁ。
支度をしていざ出掛ける時間になる。
気が重い。
こんな……こんなミラクルアンラッキーが起こるなんて。
なんてぼやいていても仕方がない。
出掛けよう。
到着したのは集合時刻の10分前。
あと10分で覚悟を決めなくては。
「……ゆ、ゆい?」
早いよっ!!
顔をあげるとそこには懐かしい顔が。
ああ、三十路過ぎても綺麗だね。
唯「澪ちゃん……」
澪「あ、うん……」
久しぶりの予期しない再会。
気まずい。
きっかけが精子風呂な事に加えて、高校時代の甘酸っぱい記憶の所為でもある。
唯「あ、あはは」
澪「はは……」
唯「とりあえず……お茶にしよっか」
澪「そうだな」
近くの喫茶店に入ってそれぞれ紅茶を注文する。
唯「紅茶かぁ、懐かしいね」
澪「うん」
高校時代を思い出しながらぽつぽつと会話するうちに少しずつあの頃の感覚が蘇ってくる。
唯「久しぶりだね、いつ以来かな?」
澪「うーん……ムギの結婚式以来か?」
唯「そっかぁ。りっちゃんとは連絡取ってる?」
澪「たまにな。あいつもうすぐ2人目が生まれそうなんだってさ」
唯「えー2人目!? 1人目って今小学生だっけ?」
澪「うん」
唯「そっかー……うわー」
皆家庭を持ってるんだよねえ……。
唯「じゃあ澪ちゃんは?」
澪「え、私? 私は今誰とも付き合っていないし……ってメールに書いただろ」
唯「そうだね~あはは」
澪「軽音部は4人中2人が売れ残りか……」
唯「さわちゃん入れれば2対3で私達の勝ちかも」
澪「勝っても嬉しくないな。そもそもさわ子先生結婚してないのか?」
唯「わかんないけど何となく」
澪「ああ……。それにしてもまさか唯がこんな事を計画するなんて……」
唯「それは澪ちゃんも一緒じゃーん」
澪「うぐっ……相変わらず切り替え早いな唯は」
唯「そうかな」
澪「そうだよ。変わってないな、そういうとこ」
思ったより普通に話せてよかった。
色々あったけど昔の事もいい思い出……かな?
高校時代のほんのひと時、私と澪ちゃんは夏☆しちゃってるGIRLだった。
いや、冬だったっけ?
とにかく今の所この件は澪ちゃんの口から出ていない。
私も自分から話すつもりはないので本題へ入る事にする。
唯「それじゃあ澪ちゃん、始めよっか」
澪「……う」
唯「やっぱり嫌?」
澪「そういう訳じゃないけどさ」
唯「ここまで来たら最後までやるよ」
澪「……わかったよ」
唯「澪ちゃんはさ、どうして私の誘いに乗ったの?」
澪「え、そこ聞くのか?」
唯「気になってね」
澪「……最初は暇つぶしに掲示板を見ていて、それであの単語を見たら何故か無性に惹かれたんだ」
澪「で、段々計画を練っているうちに私も、まあ、入ってみたくなったって感じかな」
唯「ふーん」
澪「唯は? どうしてこんな事しようと思ったの?」
唯「私は……」
なんだろう。
ただの欲求不満なのかな?
でもそれだったら合コンでもした方がいいだろうし。
いや、それじゃダメなんだよね。
やっぱり精子風呂じゃないと。
それに今まで何人かと付き合ってきたけどあんまりしっくりこなかったしなぁ。
とりあえず……
唯「精子風呂ってロマンがあるじゃん」
澪「そ、そうか……?」
唯「それはさて置きSB計画について話そっか」
澪「SB計画?」
唯「SB」
澪「SB……ああ、なるほどね」
唯「これには複数の単語が隠されて――」
澪「はいはい」
私達が検討してきた精子風呂計画には差し当たっての問題が2つある。
精子の調達と精子風呂を行う場所だ。
唯「1人や2人分くらいなら手に入るだろうけど100人や200人に数か月貯めてもらわなければならないっていうね」
澪「精子バンクでも一度に数リットル貰うなんてできないだろうし」
唯「場所も問題だよね」
澪「実際会ってみたら唯だったわけだしそれぞれの家って方法もあるけど」
唯「私達独り身だもんね」
澪「うん。ただそうすると後片付けとか匂いの問題がな……」
唯「だよねえ。ワイドハイターあたりでうまく分解して排水溝から流れてくれればいいけど」
澪「場所を借りるにしても精子の搬入と後始末がちょっとな」
唯「それにやっぱり精子は冷凍保存がベストだよね」
澪「となると100リットル用意するとして100キロの物体を搬入、冷凍保存……あ、解凍もしないと」
唯「凍えちゃうもんね」
澪「頓挫しそうだ」
唯「はぁー」
唯「こんな時ムギちゃんがいればな~」
澪「確かに」
唯「精子も場所も何とかしてくれそうだよね」
澪「ムギなら出来そうだな」
唯「あはははっ」
澪「ふふふっ」
唯「はぁ……」
澪「はぁ……」
澪「実際こんな計画誰にも話したくないぞ」
唯「私もだよ。ていうか無理だよね」
澪「うん」
唯「……まあ場所は私の家でいいかな。言いだしっぺだし協力者が澪ちゃんだったし」
澪「いいのか?」
唯「もし精子が流れなかったらどこかに捨てに行くよ。匂いはそのうち消えるでしょ」
澪「そっか」
唯「ところで澪ちゃん」
澪「ん?」
唯「精子って美味しいと思う?」
澪「……。いや、それは、美味しくはなかったな」
唯「いがいがするしね」
澪「洗っても落ちにくいし」
唯「前にね、1日経過したゴムの中身を取り出したことがあったんだけど」
唯「結構きつい匂いだった」
澪「ああ……量は少ないのにな」
唯「あれは普通にゴミ箱に捨てちゃだめだよね」
澪「うん。ああでも前に付き合ってた人がゴムとかティッシュをガムテープにくるんで捨ててたよ。そうすると全然臭わないんだ」
唯「へぇ~。じゃあうちのお風呂にガムテープ張って……」
澪「無理だろ」
唯「だよね」
澪「でだ、唯の家でやるとして浴槽はどうする?」
唯「浴槽も備え付けのでいいや」
澪「そっか。となると残りは精子か……量を誤魔化す方法としては疑似精液を作るとか」
唯「なるほど、出来ればその割合は少ない方がいいなあ」
澪「……」
唯「どしたの?」
澪「いや、もの凄いヤル気だなと思って」
唯「そうかな」
澪「そうだよ」
唯「澪ちゃんも相当だよ」
澪「そ、そんなことは……」
唯「あるよ~」
澪「そ、か」
唯「うん。じゃあ精液の足りない分は疑似精液で作るとして、本物は……」
澪「ネットで協力者を募って数か月貯めてもらう……くらいしか思いつかない」
唯「100人の協力者がいたとしても溜まるのに8か月、200人で4ヶ月。実際はもっとかかるだろうね」
澪「無理だろう」
唯「せめて自分で出せればいいのにねー」
澪「うん…………あ、いや」
唯「……」
澪「……」
唯「まあ一応の方向性は見えたかな」
澪「ネットで募集?」
唯「とりあえずは」
澪「集まるかなぁ」
唯「それはやってみないと何ともだね」
澪「そっか。……ところでこの後どうする?」
唯「え?」
澪「あ、いや、これで解散でもいいんだけどさ」
唯「……遊びに行ったり?」
澪「あ、うん。久しぶりに会ったし」
唯「じゃあカラオケとか行っちゃう?」
澪「いいなそれ。高校生の時よく行ったもんな」
唯「そうだね。じゃあ行こっか!」
この日は澪ちゃんとカラオケに行って久々に盛り上がった。
カラオケが終わるころには日が沈んでいて、どちらからともなく夕飯の提案が出てきて。
和食居酒屋で食べて飲んで気付いた時には日付が変わりそうだった。
澪「この辺でお開きかな。それにしても唯がジャズを聴いてるなんて思わなかったよ」
唯「澪ちゃんこそジャズにはまってて演奏までしてるとは思わなかったよ。……あ」
澪「どうした?」
唯「あちゃあ……そういえば明日仕事だった……行きたくなーい」
澪「私は明日も休みだ」
唯「ずるいっ!」
澪「ははっ。それじゃあ帰ろうか」
唯「もっと澪ちゃんと飲みたかったなー」
澪「……うん、私も」
第一回SB計画会議はこうして幕を閉じた。
失笑の再会後は携帯やチャットツールでやり取りするようになった。
文体も以前よりフランクな感じに。
精子風呂によって友情が再開したのだ。
yui:遂に精子をためてくれる協力者が見つかったね!試しにスレ立ててみてよかったね!
mio:いや協力してくれるってレスはあったけど本当か嘘かわからないだろ
yui:ですよねー
mio:どうやって提供者を増やせばいいんだろう
yui:提供する人にも利益があればいいんじゃないかな?
mio:例えば?
yui:精子風呂完成の暁には入浴シーンをライブ中継!
mio:それはない
yui:ですよねー
mio:まあ地道に呼びかけるしかないかな
yui:ブログとかwikiとかあった方がいいよね
mio:うん
実際100人単位の協力者が必要だから出来る事はやっておくべきかな
yui:/人・ー・人\そうだね
mio:なにこれ
yui:SB計画のマスコットキャラ作ってみました!名前はしゅうべえだよ!SB!
∧_∧
//(・ー・)ヽ <僕に協力して精子タンクになってよ!
/ノ ( uu ) ヽ)
mio:おつかれ。続きはまた今度な
mioはログアウトしました
唯「ダメかなぁ、可愛いと思うんだけど」
とりあえずSB計画のテキストに張り付けておこう。
さてと、片付けだ。
精子風呂について検索する度増えていったブラウザのタブを見返して今日の精子風呂談義を振り返る。
一つ一つタブを閉じていくと『疑似精液風呂』というタイトルの動画閲覧ページが出て来た。
参考になるかもと動画を開いたはいいが結局見忘れていたものだ。
せっかくだから見ておこうかな。
それにしても。
精子風呂の情報を探してみると思いのほか入手しやすかった。
加えて同じように精子を収集するまとめサイトなんかもあった。
私達以外にも精子風呂を作成しようとする人がいるのだろうか。
まあ私達が情報を得られやすいからいいんだけどね。
同士に敬意を表しつつ動画の再生ボタンをクリックした。
画面には20才ちょいくらいの女の子が1人。
学生服を来てバスタブに入っている。バスタブには女の子以外何も入っていない。
そこに画面外から垂れてくる疑似精液。
やや透明な白濁液は紺色の靴下に映える。
布の擦れる音と液体が滑る音が耳に響く。
白濁液は太もも、スカート、胸と順を追って汚していって、彼女は自分の身体に付着したそれをネチネチとこねたり掬ったりしている。
正直そこまでエロくはないけれど、バスタブにいるのが自分だったらと考えると話は別だ。
無理矢理バスタブに入れられて絶え間なく注がれる精液。
お酒か何かを飲まされてうまく身動きの取れない私が好き放題されたり。
そんな妄想をしながら自分の胸をゆっくりと揉み始める。
乳房全体を手で覆ってゆっくりゆっくりぎゅーっと。
十分に揉みしだいてからブラをずらして乳首に触れる。
親指で転がしたり小刻みに振動させたり、押し込んでみたり。
ちょっと痛いけど強めにつまんだりするのも悪くない。
無理矢理とか痛いのとかを想像しながら弄っていると身体が敏感に反応するようになってきた。
胸を愛撫していた手を今度は下腹部に伸ばしてスウェットの中へ潜り込ませる。
ショーツの上から陰核の周りを中指で擦ると、じんわりとした快感が脳みそをふやけさせた。
私は更なる性感を求めてショーツの中に手を伸ばし直にクレバスをなぞり始めた。
そこは既に湿っていたが直に刺激を与える事で指ですくえる位に濡れ出す。
そうして濡れた指を再びクリトリスに這わせて塗りたくる。
唯「ん……っあ!」
ソフトな刺激を与えたつもりだったけど身体は敏感に反応した。
おかしいな、いつもこれくらいでやってるのに。
唯「……?」
それになんだか頭の中がざわざわするような。なんだろうコレ。
おっかなびっくり弄っていたらいつの間にか頭のざわつきも敏感すぎる身体も元に戻っていた。
唯「……なんだったんだろ」
まあいっか。続けよう。
愛液を万遍なく滑らせた所で今度はヴァギナを目指す。
息が荒くなる。
汗でスウェットが湿る。
お腹の奥の方にじくじくとした感覚が少しずつ溜まっていく。
指の動きは更なる快感を求めてエスカレートしていった。
一方動画の疑似精液は少しずつバスタブに溜まり、漸く精子風呂と呼べる代物になってきていた。
動画の彼女はそれをすくって制服の中に流し込んだりして自分をべとべとにしている。
頭から疑似精液を被ったかと思えば制服を脱ぎだして予め着込んでいたスクール水着を披露したり。
この動画には本番シーンはおろか相手役すら出てこない。
終始1人の女の子が精液風呂で戯れている映像で終わるのだ。
……それを見てする私もどうかと思うけど。
おまけに途中から私の妄想は動画を通り越して過激なプレイに。
パソコンをスリープにして風呂場へ行こう。
やっぱり精子風呂は実際に入らないとなぁ。
私はシャワーを浴びながら動画と大分かけ離れてしまった妄想を再開した。
*
澪「お邪魔します」
唯「どうぞ。何もないけどね」
今日はかねてから約束していたお泊りの日。
というわけでもなく休日を前にして2人で飲んで語っていたら流れで飲み直す事に。
ちなみに最初の計画会議の時に行って好評だった和食居酒屋で飲んだ。
たまには落ち着いたバーで……とも考えたけど会話の内容を考慮した結果断念せざるを得なかった。
でもあそこってお昼はランチもやってて美味しいんだよね。
そういえば地元にもあったっけ。
澪「へぇ、意外と片付いてるんだ」
唯「もっと汚いと思ってた?」
澪「高校時代の唯からすれば、な」
唯「私だって変わるよー」
澪「そうだな。なんたって精子風呂だもんな」
唯「澪ちゃん既に出来上がってるねぇ」
澪「まだまだ飲めるぞー」
2ラウンド目は周りに人がいない事もあってガールズトークに拍車がかかる。
30に差し掛かった頃からガールズトークっていう言葉に対してなんだか……いや、いいや。
仕事がどうだとか、今まで付き合ってきた相手がどうのだとか、精子風呂とはなんぞやとか、音楽とはなんぞやとか。
先日判明した共通の趣味であるジャズの話も盛り上がって今度セッションすることになった。
こういう時に露骨な悪口が出てこないのが澪ちゃんらしいや。
その分エロトークと音楽談義が長かったけど。
澪「唯もいいもの持ってるなあ」
唯「”も”って言ったね。澪ちゃんには敵いませんよ……あ、ちょっ」
揉まれた。
酔いすぎてノリが10年若くなってる。
楽しいからいいんだけどね。
やっぱり昔馴染みと飲むのっていいね。
何ていうかちょっとだけ高校時代に戻れたような気がする。
昔の澪ちゃんはこんなじゃなかったけど。
それにしても、やっぱり澪ちゃんと一緒にいると楽しい。
多分澪ちゃんもそう思ってくれている。
……どうして私達別れたんだっけ。
理由を思い出せない。……思い出せないものはしょうがないか。
2人だけの女子会は日付が変わった辺りでやっと一段落した。
唯「お風呂入ろうかな。澪ちゃん先に入る?」
澪「私は後でいいよ」
唯「そっか。それじゃ私お風呂入ってくるね」
澪「うん」
早速浴槽にお湯を張る。
と言ってもボタンを2つ押すだけなんだけど。
浴槽にお湯が流れ込むのを確認してから浴槽の栓をする。
これたまに忘れちゃってお湯が溜まってない事があるんだよねぇ。
さて、先にシャワー浴びちゃおう。
身体を洗い終わる頃にはお湯も溜まってるだろうし。
……ああ、化粧落とさなきゃ。
洗面所で洗い落としていざお風呂へ。
そだ、クレンジング出したままにしておこう。澪ちゃん使うだろうし。
今日は仕事で汗かいて呑み食いで汗かいたから身体中べたべただよ。
蛇口を捻るとお湯になる前の冷たい水が足にかかる。
それが気持ちいいと思えるって事は夏が近い証拠。
湯船に浸かると今日1日の汚れと疲れが概ね落ちる。
その昔、それこそ高校生の頃は綺麗さっぱり落ちたけど最近はそうもいかない。
中身は少しずつガタがきてるのかも。
見た目は若く見られる事が多いんだけどね。
唯「へへへ……」
さてそろそろ上がらないと。
湯船から出て仕上げにぬるめのシャワーを浴びる。
火照った身体が冷まされて気持ちいい。
そういえばさっきのガールズトークでお風呂でした時にシャワーを使われたみたいな話があったな。
私は何気なくシャワーを陰部に当ててみた。
まあ、こうやってした事は大分あるんだけどさっきの話を聞いてたらなんとなく。
まだ酔いが残ってるのかもしれない。
シャワーの強さを調節して……ん、きもちいい。
局部にじわじわとシャワーの感触が襲ってくる。
ぼーっとしながらお風呂場で立ち尽くす私。
ああ……シャワーの水が規則的な音を立てて私から流れていく。
私から跳ね返る水は通常のシャワー音よりも大きくて、シャワーヘッドもほぼ固定しているから音も変わらない。
なんていうか高い位置にある蛇口をひねってそのまま、みたいな?
じゃばばばばばば。
普通のシャワー音に比べていささか不自然だ……あ。
唯「やば……」
慌ててシャワーヘッドを振り回した。
家に私だけならともかく今日は澪ちゃんが来てるんだった。
何してるの私。
こんな不自然な音出してたら澪ちゃんに変に思われちゃうじゃん。
……まあ聞こえてないと思うけど。
お風呂から上がって冷えた缶ビール……はやめて水を飲み干す。
唯「ふぅ」
余計に火照った身体に心地よく染み渡る。
唯「澪ちゃん上がったよ」
澪「ああ。唯っていつもお風呂長いの?」
唯「えっ!? そうかな?」
澪「いや、そんなことないか」
唯「あ、そう……」
ドキッとさせないでよ澪ちゃん。
澪「それじゃ私もお風呂頂きます。……そうだ、悪いんだけどクレンジング貸してくれないか?」
唯「どうぞどうぞ。洗面所に置いてあるよ」
どうやらばれなかったみたいだ。
ていうか普通はバレないよね。
なんて考えていると微かにシャワーの音が聞こえてきた。
唯「うっそ……聞こえるんだ」
この家に住んで早幾年、初めて知った欠陥(?)だ。
そもそも自分でシャワー浴びてたら分かるわけないし、ここに引っ越してから他人にシャワー使わせたことなかったし。
ポジティブシンキングで忘れようとしていた痴態がフラッシュバックする。
うわあああああ……。
どのくらいあの不自然なシャワー音出してたっけ? 1分くらい……いや、もっとだったかな。
じゃばばばばばば。
この特徴的な音は大きいから余計に聞こえてしまう。
今もお風呂場から規則的に。
唯「……澪ちゃん?」
あまりいい事ではないと思いつつも耳を傾けてしまう。
明らかに不自然な音だ。
うわあ……こんな音出してたら確実に澪ちゃんにばれてるよ。
さりげなくオ○ニーしたと思われたんだ……うああぁぁ。
精子風呂より恥ずかしいかもしれない。
いやそれよりも。
つまり今澪ちゃんは私と同じく立ったまま……。
いやいやいやいや。
考えるのやめよう。
たまたまかもしれないし。
唯「……」
テレビつけよっかな。
あれリモコンどこやったっけ。
あ、シャワーの音が元に戻った。
イったのかな、それとも……。
唯「あああああテレビテレビ!」
リモコンの探索を諦めて直にテレビの電源を入れる。
大して面白くもない番組を無理矢理見ていると澪ちゃんがお風呂を上がる音がした。
だめだ、音に敏感になってる……。
脱衣所から布の擦れる音までしているようなしてないような。
澪「お風呂ありがと」
唯「いやあっ! それほどでも!」
澪「?」
変に意識しちゃったからかな。
湯上りの澪ちゃんてすごく色っぽい気がする。
それに頬がやけに赤いような。
澪「どうかした?」
唯「い、いやなんでも。澪ちゃんもお風呂長いね」
……墓穴掘った。
澪「そ、うかな?」
唯「そんなことない……かも」
この日はいつもより寝つきが悪かった。
*
最近は暇さえあれば一緒にいるような気がする。
本日も私の家で定例会議、と言う名のティータイム。
……なんだけど連日続く猛暑日の所為でもうほんと猛暑日。
気象予報士も毎日猛暑日って言うから段々感覚が麻痺してくる。
唯「あーもーマジ猛暑日」
澪「なんだよそれ」
唯「こんなに連日暑かったら精子死んじゃうよ」
澪「協力者には冷凍保存してもらってるから大丈夫だよ」
唯「今なら冷凍精子風呂に入れるかもしれない」
澪「やめといた方がいいぞ。そもそも手元に精子ないし」
私達の絶え間ない努力の結果、協力者を得る事が出来た。
と言っても全員足して500ccすら溜まっていないだろうけど。
このペースで行くと精子風呂は数年越しになってしまう。
何とかしなくちゃ。
唯「どうしよっか?」
澪「うーん……やっぱり協力者が増えないことにはどうしようも」
唯「だよねぇ」
澪「精子バンクからはスズメの涙程しかもらえないだろうし」
唯「んー……」
澪「そもそも協力者だって精子を何ヶ月も冷凍庫に入れておくなんて1人暮らしの人以外は難しいだろうしな」
唯「家族に見つかったら大変そうだもんね。イカエキスでごまかせそうもないし」
澪「この時代にこれだけ協力者が集まったこと自体が奇跡かもな」
唯「はぁ……座礁したね」
澪「だな」
唯「こんな時にムギちゃんの力があれば……」
澪「じゃあ和に知恵を貸してもらうとか」
唯「……」
澪「……」
唯「はぁ……」
澪「はぁ……」
予想はしていたけどやっぱりこうなるよね。
S.B..txtを開いたまま途方に暮れる私達。
テキストに表示されているマスコットキャラが癇に障る。自作だけど。
*
――――――――――――――――――――
頓挫するかに思われた精子風呂計画。
だけどそれは地道な努力とほんのちょっとのミラクルで実現可能だという事をこの時の私達は知る由もなかった。
∧_∧
//(・ー・)ヽ
/ノ ( uu ) ヽ)
S.B.2.txtへ続く
――――――――――――――――――――
唯「よし」
S.B..txtを上書き保存。
こちらには概要を書き綴った。
そしてS.B.2.txtには私と澪ちゃんが今日まで行ってきた方法が書かれている。
このテキストは念の為簡単には見れないようにしておこう。
澪「唯ー、そろそろ準備に取り掛かるぞ」
唯「おっけー」
師走の風を感じる今日この頃。
私達は精子風呂計画を実行する。
まず宅急便を受け取りに営業所へ向かい最後のチルド精液を受け取ってくる。
澪ちゃんにお願いして車で取りに行ってもらった。
ちなみに今までの着払い受け取り合計金額は10万程だ。
中には元払いで送ってくれる人もいた。
その間、家では既に回収した精子の加熱処理を行う。
これで精子は死んでしまうだろうが致し方ない。
浴槽に熱湯を張り、そこに精子入りの耐熱ペットボトルを投入。所謂湯煎です。
入りきらない分や後から澪ちゃんが持ってくる分があるから2回に分けて行う。
ちなみに既存の湯沸かし器では温度に限界があったため新たに湯沸かし器を購入した。
テレビとブルーレイレコーダーが買える値段だった。
精子風呂を計画し始めてからどれくらい経ったっけ。
澪ちゃんと再会したのが5月だったかな?
始動してから半年ちょっとかかったのかぁ。
いや、私達にとってはその倍以上かな。
まあいいや、とにかく精子は澪ちゃんが持ってきてくれる分を合わせて104リットル集めることに成功した。
精子、プライスレス。
後片付け用のワイドハイター詰め替え用はいくつか購入したけど1000円でおつりが来た。
澪「ただいま」
唯「おかえり」
よし、精子は全て揃った。
最後の仕上げに取り掛かろう。
精子の加熱兼解凍を終えれば残りは浴槽へ移すだけ。
唯「澪ちゃん」
澪「……ああ」
唯「ペットボトルにちょっと残るね」
澪「精子だからな」
最後の難関ってわけだ。
最初の1本を浴槽に貯めただけで生臭さが鼻の一番奥を突く。
澪「これは……想像以上にきつい匂いだな」
唯「うん。精子ってここまでくさくなるんだね」
精子に対して相当な免疫を持っている、と自負していた私達でもこの破壊力に戦慄した。
常人なら男だろうが女だろうが嘔吐するだろう。
そんな空間でひたすら作業する私達は鼻が、いや頭がどこかおかしいのかもしれない。
この作業に没頭して1時間後、漸く精液を入れ終わった。
精子風呂の誕生である。
唯「……できた」
浴槽の5分の2程に精子が溜まっている。
圧巻だ。
澪「すごいな、色々と」
唯「うん」
澪「ひとまず温度が40度くらいに冷めるまで待機、かな」
唯「だね」
残すは入浴のみ。
これで前人未到の世界の入り口に立ったのだ。
私達は一旦お風呂場から引き揚げてリビングへ。
一息つこうとしたけれど精液の匂いが鼻から離れない。
それは澪ちゃんも一緒だった。
唯「ねえ、澪ちゃん」
ここで大事なことを決めなくてはならない。
それは
どちらが先に入るか
ということ。
澪「唯が先だろう」
唯「えっ!?」
澪「言いだしっぺだし、ここまで来たのは唯が頑張ったからだよ」
唯「そ、そう? じゃあ私が一番風呂頂いちゃおうかな……」
あっさり決まった。
澪「そろそろちょうどいい湯加減になったんじゃないか?」
唯「そ、そうだね。それじゃあ澪ちゃん……行ってくるよ!」
澪「ああ……!」
澪ちゃんを部屋に残して洗面所の扉を開ける。
浴槽までにもう一枚扉があるというのに既にほのかな匂いが。
そんな匂いに私の胸は高鳴るばかり。
これからあの精子風呂に入っちゃうんだ私。
ここまで大量の精子に触れる事なんて当然初めてだ。
寒さと興奮の所為で手が震える。
おかげで服が脱ぎ辛い。
乱雑に上半身、下半身、ブラと脱いでいく。
服を脱ぐのがもどかしく感じるなんて。
そして最後のショーツを脱いだ所で気が付いた。
唯「……濡れてる」
私の身体も期待してるみたい。
唯「よし……」
逸る気持ちを抑えてお風呂場に突入。
浴槽の蓋を開ければ精子風呂とご対面だ。
私は最後の扉を開けた。
唯「うぷっ! ……っおぇ、けほっ!」
むせ返る様な強烈な匂い。
ていうかむせた。
準備中も少し嗅いでいた筈なのに今回は身体が拒否反応を起こしている。
さっきまで大丈夫だったのにどうして……?
やっぱり一筋縄ではいかないという事だろうか。
激臭に耐えながら精子風呂を見渡す。
黄ばんだ液体は最早白濁液と呼べるのかどうかも怪しい所だ。
この光景、この匂いは筆舌に尽くし難い。
私と澪ちゃんは行動開始前にお風呂に入っている。今からシャワーを浴びる必要はない。
そもそも身体を綺麗にする必要なんてあるのだろうか。
近付く度に匂いが増していく。
浴槽を間近で見るとおどろおどろしいという感想しか出てこない。
唯「では……」
片足を上げていざ精子風呂へ。
入浴。
唯「うぁ……ぁぁぁ……」
温度は程よく、しかし感触はお湯のそれどころではない。
ぬめぬめと足に絡み付いてくる。
思わず身震いしてしまう。
試しに浴槽に入れた片足を出してみた。
脛から下は精液でコーティングされていて、つま先から糸を引いて垂れる。
足を伝う精子の感触は今まで味わったことのないおぞましさだ。
気を抜くと嘔吐しそうになる中、浴槽の縁に手をかけてもう片方の足も精子の中へ。
後はお尻をつけるだけだ。
唯「ふぅ……ふぅ……」
口で息をしながら気を落ち着ける。
この刺激臭の中ではこんなことしても無駄かもしれないけど。
なんだろう、バンジージャンプとかそれ系の勇気がいるみたいだね。
流石の私でも尻込みしちゃう。
それ程までに異質な存在だった。
唯「……うし!」
こういうのは勢いが大事だ。
私は熱いお湯に一気に浸かるかのように入精した。
お尻に感じるドロドロ感が太もも、腰にも伝わってくる。
浴槽にお尻をつけた時にぬるっと滑った。
唯「うひっ、あ、あ……」
完全に腰を下ろすとおへその辺りまで精子で浸かる。
約100リットルならこれくらいだろう。
それにしても。
唯「すっごいにおい……」
思わず手で口を覆いたくなるような……
唯「っ!?」
口を軽く覆ってしまった。
精子風呂に浸かった手で。
まあいいや。
どうせ口に含んでみるつもりだったし。
私は手で精子をすくって口に運んだ。
これだけで6、7回分の射精量かもしれない。
じゅるじゅると音を立てて精液をすする。
唯「ごはっ!?」
これは吐瀉物といい勝負かもしれない。酸味は無いが。
これを食べた後なら誰でもしぼりたて精子が飲めるようになるだろう。
苦くてしょっぱくて生臭い上に口にいつまでも残る食感が最悪だ。
殆ど吐き出したが口に残る僅かな精子を飲み込んでみた。
口内と喉から精子の張り付く感触が離れない。
軽く涙目になってしまった。
それでも。
この異様な達成感と淫靡な感情の前では媚薬に成り得る味だった。
私は指に絡まる精子で遊びながら口の周りについた精子を舌で舐めとる。
こんな状況でも嘔吐しないのは私の中にあるスイッチが入りきっている証拠だ。
少し鼻で空気を吸い込むだけで鼻の奥と喉に栗の花もびっくりな香りが広がる。
もちろん気持ち悪いんだけど今の私はそれすらも淫欲に変換しているんだ。
そろそろ始めようかな。
当然精子風呂に浸かるだけでおしまいにするつもりはない。
私は浴槽の精液を両手ですくい取り手にまぶす。
その手で自身の胸部をまさぐった。
生暖かく、不気味な感触が胸に広がる。
自分で言うのもなんだけど、黄ばんだ液体で汚された胸はひどく淫猥だ。
精液がローションの役割を果たすから普通に揉むよりも気持ちがいい。
ヌルヌルになった乳首がうまく摘めないけどそれが逆にいい刺激になってる。
胸から下は精液でベトベト。
いい感じに出来上がってきたところで右手を精子風呂の中へ沈める。
太ももや下腹部を撫でれば相変わらずのヌルヌル具合。
少しずつ私の中心へと手を動かしていく。
そうして辿り着いた秘芯とその周辺を指でなぞる。
この浴槽に浸かっていれば濡らして準備なんて事は気にしないでいいだろう。
唯「っはぁっ……ふぁ……」
ぞくぞくするほどの快感。
頭のおかしい、変態的な行為であればあるほど私の身体は鋭敏に反応する。
この状態では確かめようもないけど私の陰部からは間違いなく愛液が漏れているだろう。
胸と秘部を同時にこねくり回す。
脳内では例のごとく私が犯される展開。
……まてよ?
私が犯されているって事は相手も一緒に精子風呂に入ってる事になるね。
そんな事する人がいるだろうか。かなりの希少種に思える。
じゃあ媚薬を飲まされて1人で気持ちよくなってる系にチェンジか……?
誰かに見られつつ……いや……。
これ以上考えていたらせっかく身体に溜まった快感が逃げていってしまう。
とりあえず刺激を、もっと大きな刺激を。
……中に指入れても大丈夫かな?
こんなことするの最後かもしれないしやりたい事はやっておこう。
片手で包皮の中からクリトリスを剥き出してなめらかな刺激を与える。
もう片方の手は膣口にあてがった。
精液にまみれた指をゆっくりと挿入していく。
膣内は膣内で既にヌルヌルしていて自身の指を難なく咥え込む。
唯「はぁっ、ん……ッ……っ!」
すごく気持ちいい。
気持ちいいんだけど足りない。
何が足りないって相手が足りない。
ここに来て大誤算だ。
精子風呂に入るという興奮は確かにすごいものがある。
だけど、もし精子風呂でセッ○スをしたらどうなるだろうかと、より強い興奮と快感が味わえるのではないかと考えてしまった。
あぁ……せめてローターでも用意しておけばよかったかな。
あ、ペットボトルが洗面所にあるか。
……いや、こんな身体で浴室から出たくないや。
仕方ない、とりあえず手でイこう。
淀んだ空気を吸い込んで身体を興奮させる。
手の動きを早く、尚且つ敏感なポイントを重点的にいじめれば……。
唯「んにゅ……ふっ、はぁ……うぁ……ン、ッ、ぅ、はぅ……!」
あ、あー……いきそ……
もうちょっと、あ、あ、くる、くる――
澪「唯……?」
ちょっ!!!?
洗面所から澪ちゃんの声がした。
いやいやいや、え? 澪ちゃんなぜだよこのタイミングで。
あっ、へんじ、返事しなきゃ。
唯「な、何、どしたの?」
あまりのびっくり具合で言葉が上手く出なかった。
澪「その、さ……一緒に入ろうかなーって」
唯「え、うん」
……。
……え?
澪ちゃん今なんと?
澪「そ、そうか、じゃあ」
唯「え、え、いやちょっとまっ――」
扉は開かれ、全裸の澪ちゃんがお風呂場へ乱入してきた。
唯「……」
澪「うぷっ……やっぱりにおいきついな」
きついと言いつつも大丈夫みたいだ。
私よりすごいや。
ってそうじゃなくて。
唯「な、な、なして?」
一緒にお風呂。
三十路の女2人でそれはないだろう。
せめて普通のお風呂ならまだアリかもしれない。
だけどこれは精子風呂だ。
精子風呂に一緒に入るなんて彼氏や旦那だとしても有り得ない。
澪「……唯と」
唯「え?」
澪「唯と一緒に入りたかったから……」
唯「え、あ……」
精子風呂に一緒に入って犯してくれる男はいない。
彼氏や旦那さんだとしても。
澪「唯、顔赤い」
だからさっきの妄想も途中で軌道修正した。
でも、そうか。
澪「それに表情が……」
女だったら、精子風呂を自ら実行するようないかれた頭の女だったら一緒に入る展開はあるかもしれない。
そんな彼女なら
澪「ねえ唯……」
私を犯しても不思議じゃないかもしれない。
澪「入るよ?」
澪ちゃんが浴槽に足を入れる。
私は足をたたんで澪ちゃんが座れるスペースを作った。
そこにちょこんと座る澪ちゃん。
私達は浴槽の側面に背中を預けて同じ方を向く。
流石に狭い。
2人揃って体育座り。
向き合えばもう少し楽な体勢になれるはずだけど、気が付いたらこうなっていた。
どうしてか澪ちゃんの方を向けない。
澪ちゃんもこちらを向いてる気配はない。
私緊張してるのかな。
澪ちゃんとこんなに近くで寄り添うなんて、とても久しぶりだから。
澪ちゃんと再会してからこの方、過去の関係やら情事については結局話さなかった。
当時から10年以上も経つのに話題にする事がはばかられたのは、私自身が未だに意識していたから。
澪「あのさ、私達昔……付き合ってたよな」
ここでその話題を出すの?
澪「あの時は本当に唯の事を想ってて、実はどうして別れたのか覚えてないんだ」
それは私もだ。
何故か別れた理由を思い出せない。
澪ちゃんは誰よりも愛しい存在だったはずなのに。
澪「それで、結局ずっと引きずってきた」
飲んでいる時いつもつまらなそうに男の話をする澪ちゃんを思い出す。
私は他の人と付き合ってもそれなりに楽しめていた……はず。だけど現状は彼氏すらいない。
澪「でも時間も経ってたから諦めはついていたし、忘れてもいた。だけど……」
再び出会って親しい仲になってしまった。
そうなれば当然あの時を、この想いを、
澪「こうして会えたら、また思い出しちゃった」
澪ちゃんを……
澪「唯の事を……」
唯「あは……」
上手く笑えなかった。
だってさ、この状況で言う事じゃないでしょ。
唯「ここでそれ言っちゃう?」
澪「言っちゃった」
恥ずかしいんだろうけど気丈に振る舞っている澪ちゃんを見てもう一つ思い出した。
桜校に通っていたあの頃、何が恋で何が愛か以前に恋愛と食べ物を同列に考えていた私に恋を気付かせてくれた人。
あの日、恥ずかしがり屋な筈の彼女が気丈に振る舞って、自分の気持ちをうまく言葉に出来ない私に告白してくれた。
高校生の頃と変わらない行動や気持ちを馬鹿にされるかもしれないのに。
それでも再び掴んだ私との接点に全てを賭けたんだ。
私の酔狂にここまで付き合ってくれたのもそういう事だったのかもしれない。
唯「ありがと澪ちゃん」
唯「ここまでしてくれなくても大丈夫なのに」
澪「何の話?」
私の気持ちを聞く前にこんなことして、何て言うか身体で繋ぎ止めようとしてる感じに見えなくもない。
……って今更そんな事で後悔するような人じゃないか。
唯「やっぱり……私も澪ちゃんの事が忘れられなかったのかも。別れた原因は私も覚えてなくて、だけどそれ以来ずっとぎこちなくて」
ほんと原因は何だったんだろう。
数年してもぎこちないままだった時点でこの想いに気付けたらよかったのに。
私はやっぱり鈍いのかもしれない。
唯「その……澪ちゃんの気持ちはわかったからさ、何もこんな時に言わなくても」
澪「こんな時だから……かも」
唯「へ?」
澪「本当は今日までに伝えたかったんだけどさ、やっぱり中々言えなくて」
そりゃそうだよね。
男女ならともかく両方女だし、精子風呂計画もおじゃんになるかもだし……ってそれを気にするのは私だけか。
こんな私に付き合ってくれるんだから澪ちゃんの覚悟は相当なものだ。
澪「やっぱりさ、唯と一緒に入りたかったし」
唯「……はい?」
澪「唯がどう思ってたかはわからないけど、私は1人で精子風呂に入っても満足出来ないと思って」
唯「え、ん? それはさっき私も思ったけど……え?」
澪「前から考えてたんだ。精子風呂を100%楽しむ方法」
唯「……」
澪「こんな事多分もう経験出来ないだろうしって思ったら服脱いでこっち来ちゃった」
頬を染めながら私を見つめる澪ちゃん。
確かに私と一緒に精子風呂に入ってくれる人なんて目の前の彼女しかいない。
考えれば考えるほどベストな人材だった。
そして相手も考えている事は同じ。
頭がいかれてるのは私だけじゃなかったわけだ。
唯「澪ちゃん……(頭)大丈夫?」
澪「SB計画の立案者には言われたくないな」
唯「ですよね」
ある意味お似合いじゃないの私達。
頭の具合とかね。
澪ちゃんと一緒にお風呂なんて何年振りだろう。
髪を上げている澪ちゃんも綺麗だ。
生で見るおっぱいも衝撃のサイズです。
澪「見過ぎ」
唯「いやぁつい」
まさかこんな展開になろうとは。
そういえば遠い昔、私と澪ちゃんが付き合っていた頃。
自分が男だったらなーなんて思ったことがあったっけ。
そうしたら普通に付き合って結婚して子供が出来るのにって。
それを澪ちゃんに言ったら私もそう思った事あるよって言われた。
私達は同じ願望を抱えて、敵わない夢を何度も想像してたっけ。
でも男だったら桜校に入れないからお互い知り合えないっていうジレンマ。
ひょっとして今の私がこんなに精子に執着してるのってこの時の願望が原因なんだろうか。
敵わない願望が歪んだ性癖に変化して、澪ちゃんにも潜在的な願望があったからこそここまで……。
なんてね。
澪「……唯」
唯「あ、うん」
澪ちゃんの呼びかけで我に返る。
互いに近付いて相手の唇しか見えなくなったところでふと思い出した。
唯「あ、ごめん。私の口……」
精子ついてるんだった。
なんで?
食べたからです。
っていうやりとりを想像して口ごもる。
澪「今更だな。それに私も飲もうかなって思ってた」
わぁい。
唯「澪ちゃんよく平気だね。私なんて未だに吐きそうだよ」
澪「平気ってわけじゃないけど、唯がそんなになるなんて意外だな」
唯「私も平気だと思ってたんだけどね」
澪「その、キス中に吐かなければOKかな」
唯「気を付けるね……んっ」
唇についていた精子の所為なのかやたらねばっこいキスになった。
澪「ん、ちょっとしょっぱい」
唯「だよね。あっ……!」
澪ちゃんが私の首筋をついばみ始める。
そのまま私の胸へと唾液の足跡をつけていく。
精液にまみれた胸もお構いなしについばんで、舌で愛撫を始める。
唯「んん……そこっ、べとべとにしちゃったから……」
澪ちゃんは胸についた精液を舐めとって口にため込んでいる。
あんなに貯めて吐きそうにならないのかな。
澪「っぷ……っ!」
と思ったらやっぱりきつそうだった。
唯「澪ちゃん、それ出した方がいいんじゃ……」
澪ちゃんは首を振りこちらに顔を近付けてきた。
あれ、まさか……。
唯「澪ちゃんちょっとタンマ、ストッ……っぷ!?」
後頭部を両手で抑えられて成す術なく唇を塞がれた。
同時に流れ込んでくる生臭しょっぱい液体。
唯「んぐっ! ぐぷ、こくん、ん、お……かはっ……あぇ」
私の頭と口をがっちりホールドして放してくれないからいくらか飲み込んでしまった。
喉にいがいがした感触が……。
飲みきれない分は口から零れて、再び私の胸を汚した。
澪ちゃんが私の中に精子を吐き出し、長いキスが終わる。
澪「っんぷぁ。んく、やっぱり美味しくはないな」
人の唇を奪っておいて何て言い草……あ、精子の方か。
唯「げほっ、ん……そりゃそうだよ」
澪「ふふ、唯のおっぱいはいい形してるよな」
私のぬるぬる乳房を掌でそっと揉みしだく澪ちゃん。
唯「澪ちゃんには負けるよ」
私もお返し。
大きさもさることながら弾力も申し分ない。
澪「そんなことないよ」
……とりあえず澪ちゃんのおっぱいに精子をこれでもかと塗りたくってやった。
ついでに恥ずかしがらせてあげよう。
唯「こことか汗かいて大変でしょ?」
胸の下、バージスラインに指を這わせる。
澪「ん、まあ」
いまいちな反応だ。
今度は澪ちゃんの乳首をいじめよう。
唯「ん、もう乳首立ってるよ?」
澪「え、いや……寒かったからかな」
……高校生の澪ちゃんなら頭から湯気が出てるはずなのに。
ややがっかりしつつも胸への愛撫を続ける。
澪「唯さ、さっきイきそうだった?」
唯「なっ」
何故それを。
唯「……もしかして覗いてたの?」
澪「いや、声がしたからそうなのかなって」
唯「ぐあ……」
……卑怯なり。
思わず顔を逸らしてしまった。
澪「じゃあ、さ」
唯「んっ」
澪ちゃんの利き腕が精子風呂に沈み、私の下腹部に触れた。
澪「足開いて」
唯「ん、うん……」
言うとおりにすると澪ちゃんの手が優しく動き出した。
陰唇や膣口をなぞって私の反応を見ている。
澪「やっぱりココだよな」
唯「あっっ! やあぁ……! ンッっ、んゥンんんンッ……!」
陰核に触れられた時、自身では生み出せない刺激を味わった。
それに耐え切れず腰が引けて前のめりになる。
濁りきっていて1センチ下も見えない湯船の中で私の性感帯を正確に攻めてくる。
流石同性。流石元カノ。
……かと思えばいいところで別の場所に指が行ってしまう。
ワザとか? ワザとなのか?
指を追って自然と腰が動いてしまう。
1人でしていた時既にイく手前だったから敏感になってるのに。
それをいいことに弄ばれているみたい。
唯「みお、ちゃん」
澪「ん?」
唯「さっきのとこ、もっとして……」
澪「ふふ、ここ?」
唯「はぁっ……そこ」
澪「それじゃあこっちもいい?」
唯「え……あっ」
澪ちゃんが指をあてがった場所は膣口だった。
つまり。
澪「指、入れてもいい?」
精子風呂の中で指を入れるという事は当然膣内に精子が入るという事だ。
さっき自分でしていたけど自分以外の指が入るとなると不安は大きい。
唯「えっと……」
澪「……ん」
唯「ひゃっ!?」
全身がぞわっとした。
私の答えを待たずに澪ちゃんが指を入れたんだ。
膣壁をこじ開ける指に身体が過剰に反応してしまう。
唯「ちょっと、澪ちゃん……!」
澪「元々1人でもこうするつもりだったんだろ?」
唯「それは、そうかもしれないけど……んあっ!」
言葉を交わしながらも指の動きは止まらない。
精子のおかげか自身の愛液のおかげかわからないけれど性器は澪ちゃんの指をすんなりと受け入れている。
膣壁を指の腹で引っかかれる度に腰がビクついてしまう。
寸止めでお預けにされていた身体は与えられた性感を貪り、快楽で麻痺しかけた脳では最早否定の言葉も出なかった。
唯「あッ、っあン、あッあっッ、んふっ、ンッ、ふ……っ!」
澪「……かわいいな」
唯「あっ、まっ、てよ……いきなり3本なんて……んんッっ!」
澪「…………」
唯「澪ちゃん?」
澪「2本しか入れてないけど」
唯「あれ、そう? なんかすごい押し広げられてたような……」
澪「指がでかくて悪かったな」
唯「えっそんなこと言ってな――はァあぁんっ!」
私の気持ちいい所を無遠慮に擦られる。
そんなにされたら私もう……!
唯「んっ! まっ……わたし……もぅ、イ……っくぅぅ……!」
澪「んっちゅぷ」
唯「――っ! ん、も゛、んぉぉおお……ん、ンンンンッっ!!」
半開きだった私の口を塞いで、尚且つ舌と精子をねじ込まれた。
されるがままの状態でも身体中が悦んでいる。
その所為で一気に快楽の波が押し寄せてきた。
唯「ん゛っ、あひっ……! ふゃ……はぐッ――――!! ――ッ! あ゛ッ――――っ!!」
抑えの効かないオーガズムに身体の底から突き上げられた。
痙攣を起こしながらも澪ちゃんの指を離すまいと膣が収縮する。
ああ気持ちいい……。
精子のにおいと絶頂でダメになった脳では暫く何も考えられなくて。
我に返った時、澪ちゃんから口移しされた精子を呑み込む為にひたすら喉を鳴らしている自分がいた。
自分でも驚くくらいの快感。
これも精子風呂の効果なのかな?
唯「はーーーー……はーーーー……えぷ」
余韻を噛みしめつつ息を整える。
澪ちゃんはその間ずっと頭を撫でてくれてた。
相変わらずお風呂場のにおいは酷くて、空気に色が付いているような気さえする。
濁った黄色の様な。
澪「唯ってこんなに感じやすかったんだな」
唯「……やっぱりさ」
澪「ん?」
唯「2人で精子風呂に入って正解だったかも」
澪「そっか」
唯「……でもちょっとなぁ」
澪「へ?」
唯「なんだかしゃくだからお返ししちゃおっかな」
澪ちゃんの両足を掴んで引き寄せ&持ち上げた。
澪「えっ? ちょっとま――ごぽっ!?」
不意を突いて澪ちゃんを精子風呂に沈める事に成功した。
澪ちゃんの上半身は口までドロドロの汚液に埋もれている。
足を私の肩と浴槽の縁にかければ大事な部分が私の目前に。
そこは白濁液まみれで肝心の秘所は少しぼやけていた。
澪「んぐっ! ぺっ、けほけほ! 何するんだよ唯!」
不意打ちで口に流れ込んだ精液が喉に詰まったのだろうか、澪ちゃんが涙目で抗議してくる。
唯「まあまあ、澪ちゃんにも精子風呂を楽しんでもらわないとね」
澪「危ないだろっ! それに精子が髪についちゃったし」
唯「今更だよ。それよりも……」
澪ちゃんの秘部一帯を隠している精液を指で拭うと全体像が見えてきた。
これが澪ちゃんの……十余年ぶりだ。
間近で観察。
ついでに匂いも嗅いでみた。
澪「あっ、ちょっ」
唯「生臭い」
澪「そっ、そんな事言うなぁ!」
唯「精子がね」
澪「あ、う……」
さっきまでの威勢はどこへやら。
ややマンぐり返しの体勢でからかったら頬を染めて俯いてしまった。
そんなに俯いたら鼻にまで精子が入っちゃうよ。
唯「さて……ずぢゅううう、ずずっ、ぶじゅうううっ」
澪「ひ!?」
指で拭いきれない精液を口ですする。
ついでに澪ちゃんの大事な部分も味見してみた。
と言ってもしょっぱい精子の味しかしない。
……風呂あがりにチョコとかバニラアイスとか食べたいな。
澪「ひゃぁぁ……」
一方澪ちゃんは私の口と舌を美味しく味わってくれてるみたいだ。
こっちももっと澪ちゃんの期待に応えたいんだけど……ぬるぬる過ぎてうまくめくれない。
指入れよう、指。
唯「澪ちゃん」
澪「んっ、ふぁ……へ?」
唯「お返しっ」
澪「――っ! あ、ぁ、は、ぁん……!」
ざらざらとした膣壁を指の腹で楽しむ。
もう少し奥へ行くと熟れた桃を煮込んだような、それでいてひだひだがあって、私のとはまた違う感触。
精子べちょべちょ過ぎてアレだけどいい具合なのは間違いない。
その証拠に指1本をすんなり咥え込んだ。
まだ余裕があるね。
唯「じゃもう1本」
澪「あ、唯、ちょっ……んんんッっ!」
にちにちという粘液特有の音をさせて指が沈む。
この音を聞いているだけで私の興奮も増していく。
うーん。
澪ちゃんならもう1本いけるよね。根拠はないけど。
澪「ッ!? お、おい!」
唯「お? おー」
にゅぶにゅぶ。
入った。流石澪ちゃん。
最初は気持ちいい場所を優しくシてあげたいと思ってた。
だけど今はとにかく激しく攻めたいっていう気持ちでいっぱいだ。
心で謝りつつもピストン開始。
スピードを徐々に上げていく。
澪「ぅあ、あ、ま、まて、んっ、ぎ、ひぐッ……!」
潤滑油なら腐るほどあるし少しだけ無茶しちゃおう。
澪ちゃんの反応を窺いながらぎりぎり痛くないであろう刺激を送る。
澪ちゃんはあまり気持ちよくなさそう。
正直私が楽しいだけです。
唯「へっへ……」
澪「あンっ! ちょ、とめて、す、すとっぷ! んなっ、ん、ンン!」
唯「……ふぅ」
澪「ッあ――はあっ、はあっ、げほ、うぷ……やりすぎだバカ」
唯「ごめんごめん」
しかし今ので澪ちゃんの膣内もいい感じで精液まみれだ。
……そうだ、いいこと思いついた。
私は澪ちゃんへの愛撫をクリトリスに絞って再開した。
澪「ふぐっ、ん……んふ……はぁ……ぁん」
片手で澪ちゃんの豆を弄りながらもう片方の手で浴槽の底から精液をくみ取る。
それを自らの口に大量に含む。
唯「ずずーーーー……ずずーーーー。…………んおっ」
いくら慣れて来たとはいえ口いっぱいに精子を溜め込むのはきついものがある。
澪「ん、はぁ……ゆい?」
疑問の眼差しが向けられる。
それを横目に両手で澪ちゃんの膣口を開いてそこに口をつけた。
澪「うえっ……おい、ちょっと待て!」
私は口に含んだ大量の精液を澪ちゃんの膣内に流し込んだ。
沈殿していた物をくみ取っただけあって固形物っぽいどろどろ精子がたっぷり。
澪「うわああっ!? 流石にそれはやばいって!」
マンぐり返しに近い状態なので一度中に入った精子は重力に従って下へ下へと流れる。
これは子宮に届いちゃうかも。
唯「ね」
澪「ね、じゃない!」
唯「精子風呂を使った斬新なアイディアだと思うんだけど……あ、こっちもどうかな?」
澪「そっちはマジでやめろ!」
唯「わかったよ」
澪ちゃんの第二の秘境を諦めて陰核と陰唇へのフィンガリングに集中する。
だけど水面(?)から顔を出している白い乳房や淫らな表情を浮かべている顔が私を誘惑してくるんだよね。
そっちも弄りたいけど今はここ。
何だかんだ言って澪ちゃんも登り詰めちゃってるからここらで、ね。
澪「んあっ、っは、ぁ……ん、ん、はぁん……ァ」
唯「……」
気になる。
さっきからヒクヒクしているココが。
……やっぱり我慢できないや。
澪「は、あ、ゃ……ん……ッッ!!?」
私が澪ちゃんのアナルに舌を這わすとすごい反応が返ってきた。
これは楽しいや。
澪「そっちはやめろって言っただろぉ! き、汚いから!」
唯「大丈夫大丈夫」
澪「いや、えっと、ほら、病気とか……んああっ!」
私は構わずに澪ちゃんのかわいいつぼみに舌を突っ込んだ。
同時に小栗もこねくり回す。
これが終わったら一応イソジンでうがいしておこうかな。
澪「ひゃめ、ン、や、やらぁ、っぅン、んぐ、はぁぁっ!」
唯「ん、あ……ちゅぷ、ちろ、ちろ、ぷちゅう」
澪ちゃんすごい震えてる。
そろそろイきそうなのかな。
もう一回澪ちゃんのアソコ舐めたいけどもうお尻舐めちゃったからなぁ……。
仕方ない、代わりに指で膣壁を抉ってあげよう。
澪「ひッぎッ……あ゛、ぉ、あっあっあっ、ん、ハ、はぁっ……!」
澪ちゃんが身体を仰け反らせた。
性的刺激を受けて、普段は決して見せない体配をさらけ出している。
もっと見たい。もっと乱れてほしい。
唯「んふふ……イけそう?」
澪「あっ、うんっ、い、いけそ……うあひっ!」
ここぞとばかりに澪ちゃんのクリをすり潰す。
今の澪ちゃんなら多少の痛みも快楽に変換出来るだろう。
澪「んんんあああっ! あ、イ、く……イ、んんンンゥッ――!! っは、あ――ッ! は……あ、ごぽっ!?」
イキながら激しく痙攣したため澪ちゃんの体勢が崩れる。
その所為で精子風呂で溺れかける澪ちゃん。
……これはこれでイイ。
澪「げぽ、んぷ、うえ……はぁ……はぁ……うっぷ」
精子風呂入浴中にせきをすると吐きそうになるから困るよね。
唯「お疲れ様」
澪「……」
唯「そんなにむすっとしないでよー」
澪「鼻に入った」
唯「あらら……これで機嫌直してよ」
澪ちゃんを抱き起してそのまま口づけを……。
唯「ぐえ」
張り手で拒否された。
澪「イソジンでうがいしろ」
唯「えぇ~一応お風呂場に持ってきたけどコップに精子ついちゃう」
澪「いいから!」
唯「はい」
うがいをし終えてから第3ラウンドを開始してそれから……。
精子漬けになった私達の行為はとめどなく、精子風呂は徐々に温くなっていって。
お互い何度も果てて最後は口に含んだ精子を延々と交換し合ったり飲んだりしていた。
そんなことをしても吐かなかったのは精子に慣れたからなのか、お互い好きあっていたからなのか、それとも頭がいかれてしまったからなのか。
精子が冷めたおかげで体まで冷えてきてしまったため私達は精子風呂から上がった。
お風呂から上がって新たに気付いた事がある。
精子の付着した身体で抱き合うとお風呂の中とはまた違った感覚が味わえるのだ。
そうしてずっと澪ちゃんに引っ付いていたら身体が洗えないと怒られてしまった。
だけど私が離れても身体中にこびりついた精子は中々落ちない。
いくら洗っても落ち切っていないような気がするんだ。
おまけに澪ちゃんは髪にもべっとりついていたので余計に時間がかかった。
お風呂場に暖房が付いていて本当に良かったと思う。
予想はしていたけど後片付けも難航した。
流 れ な い 精 子
消 え な い 悪 臭
汚 れ た ペ ッ ト ボ ト ル の 山
もう色々とめんど臭かった。
唯「はぁー……疲れた」
澪「……だな」
本番+後片付けで体力を使い果たした私達はこたつに入ったまま寝転がっていた。
唯「すんすん……なんか精子のにおいがするんだけど」
澪「私も」
鼻がマヒしているのかそれとも私の家ににおいがこびりついてしまったのか。
後者だったらやだなぁ。
どっちみち今日はお風呂入れないし。
唯「こんなに寒いのに湯船に入れないなんてー!」
澪「だから何度も浴槽買うかって聞いただろ」
唯「そうなんだけどさー。でもほら、小型の浴槽じゃ小さくて2人で入れなかったと思うよ」
澪「……確かに」
唯「でしょー?」
澪「じゃあさ……うちに泊まるか?」
唯「え?」
その一言でお風呂場での告白を思い出した。
そういえば私達って……。
澪「どうせ年末は特に予定もないし。あ、でも唯の職場からは離れちゃうか」
唯「ねえ澪ちゃん」
澪「ん?」
唯「私達ってさ……んー……」
澪「?」
唯「よりを戻した……んだよね?」
澪「え、ああ……唯さえ良ければだけど」
唯「私は、いいよ?」
澪「そっか」
唯「ちょっとくらい職場から離れても湯船に浸かりたいし」
澪「そっち?」
唯「そうと決まれば早速準備しないと!」
*
今年の12月、私達に転機が訪れた。
最初は一時的なお風呂目的だったけど、次第に澪ちゃんの家に生活の拠点を移していくことになる。
私達を再び巡り合わせてくれたのが精子風呂なら同棲のきっかけも精子風呂だった。
こんなきっかけ誰にも言えないけど。
そもそも私達の関係すら誰にも言えないけど。
青春時代の淡い想いなんて砕けて当然、忘れて当然だと思い込んで実際に忘れていたのにいざ再熱してみると全然吹っ切れていなかったという。
色々と面倒な事も増えるだろうに。
だけど独身で30越えてどこかおかしくなった頭では私達の関係を否定出来なかった。
澪「唯ー準備できた?」
唯「ちょっと待ってー」
机の引き出しの奥からUSBメモリを取り出す。
これだけは無くしたりする訳にはいかない。
澪「何それ?」
唯「これ? ふふふ……この中にはSB計画の全貌が記されているのだよ」
澪「そ、それは消去した方がいいんじゃないか?」
唯「だめだよーこれは私と澪ちゃんを引き合わせてくれたお守りみたいなものなんだから」
澪「でもそんなのが見つかったら……」
唯「画像ファイルに偽装してるから見つかっても大丈夫だよ。ほら、私と澪ちゃんが写ってる写真しかないでしょ? これを解除するにはまずステガノグラファーで――」
澪「やめろぉそんなものを私達の写真に隠すな! っていうかどうしてまだパソコンつけてるんだよ! 準備してないじゃないか!」
唯「パソコンつけてたらつい……」
澪「はぁ……やっぱり唯と住むのやめようかな」
唯「いやああん」
最初は澪ちゃんの家で暮らしていたけど元々一人暮らし向けのアパートだったからどうしても狭い。
そこでなんやかんやありまして新居を探したりチョメチョメしたりしつつも幸せな生活を送りました。
そして十余年後……
――――
――――――――
――――――――――――
唯「終わったかな?」
澪「うん、もうすぐ来るんじゃないかな」
唯「それにしても大学の入学式であんなに保護者が来るなんて思わなかった。まさか会場に収まりきらないとはね」
澪「最近増えてるらしいよ」
唯「子離れ出来ない親ってやーねー」
澪「人の事言えるのか?」
唯「んー、これから会えなくなるんだし今日くらいは大目に見てもらいたいな。それに久しぶりの地元と母校の入学式だよ」
澪「まあね。でも最近は一緒に出掛けるのも嫌がってたのによくOKしてくれたよ」
唯「ジャズのライブ連れて行ってあげるって言ったらOKしてくれたぜ。何でもお気に入りのバンドが出るみたいで喜んでたよ」
「あ、お母さーん」
唯「おーおかえりー」
澪「お疲れ」
唯「とりあえずご飯食べにいこっか。あのお店行こうよ、ランチもやってる和食居酒屋」
澪「最後にあのお店行ったの大分昔だけどまだやってるかな?」
「やってるよ」
澪「何故言い切れる……って言うかあのお店知ってるの?」
「それより早く行こうよ、ライブ間に合わなくなったらやだし」
澪「ははは、そこまでお気に入りのバンドがいたなんて知らなかったよ」
「あの人達はすっごく楽しそうに演奏するの。お母さん達も気に入ると思うよ」
唯「それは楽しみだねぇ。それじゃ……っとその前に」
唯「梓ちゃん」
澪「梓」
『入学おめでとう!』
梓「……ありがとっ」
E
****
唯「澪ちゃん出来たよ~」
http://tapo.xii.jp/ascii2d/src/1324740169170.jpg
澪「何が……ってこの写真!」
澪「……入れたのか?」
唯「え?」
澪「あのテキスト……S.B..txtを入れたのか?」
唯「そうだよっ。それとねーさらに偽装して私達の写真をもっといっぱい入れてみました!」
澪「はあっ!?」
唯「私と澪ちゃん、さらにけいおん部の写真を合わせてその数約3000枚!」
ゴチンッ
唯「いたあっ!? こ、これがいつもりっちゃんが受けていた愛の鞭なんだね……」
澪「うるさいな、今すぐ消しなさい」
唯「ええーせっかく作ったのに。せめて澪ちゃんに偽装を解除してほしいな……ね?」
澪「……はぁ、そしたら削除するんだぞ」
唯「やった! それじゃPCの前に座って! まずはステガノグラファーをインストールして起動だよ」
澪「はいはい……」
唯「それから例の画像をステガノグラファーにドラッグ&ドロップします。ドロップされたファイルをどうしますか? って聞かれるから『このウィンドウに表示する』、でOKをクリック」
唯「次いで画面上部の電子透かし>透かし情報の抽出をクリックね。パスワードはsbだよ」
澪「そうして出て来たファイルを保存すればいいんだな?」
唯「そう!」
澪「保存したのはテキストと……また画像?」
唯「これは例のテキストね。そして画像の方にはさらにテキストが埋め込まれてるの!」
唯「そのテキスト『S.B.2.txt』に画像3000枚の隠し場所が書いてあるのです。それを解除するには……」
澪「するには?」
唯「……Muiras」
澪「え、何だよそれ。ツールの名前か?」
唯「はいここまで~!」
唯「答えは未来のあずにゃんが知ってるかも! 写真に興味ある人はチャレンジしてみて!」
唯「おおっと今日は忘年会だったかな? という訳で私はこれで……」
澪「……唯」
唯「てへっ」
唯「あっ、待って、ぶたないで」
END
関連
梓「S.B.」