友人「今日からうちのクラスに転校生が来るんだってよ!」
男「転校生? どんな奴だよ」
友人「それが……この国始まって以来、いやそれどころか世界始まって以来の超天才らしい」
友人「あまりに天才すぎて“バカが考えた天才”とまで言われてるとか」
男「どういう異名だよ」
ガラッ
教師「えー、今日からこのクラスに仲間が一人加わることになった」
転校生「よろしくお願いします」
教師「彼はなんとすでにあのハーバード大学を卒業しているんだ」
オオッ…
男(いきなりハーバードと来たか……。ていうか、うち高校なのに)
元スレ
男「“バカが考えた天才”みたいな転校生がやってきた」転校生「IQ100万! ハーバード卒! シュレーディンガーの猫!」
http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1575537088/
教師「では、自己紹介を」
転校生「はい」
転校生「僕は0歳で東大に合格し、わずか1歳で卒業」
転校生「その後もオックスフォード、ケンブリッジ、スタンフォード、MIT、モスクワ……と世界各地の名門大を卒業」
転校生「ちなみにIQは100万です」
オオォ~……!
男(どんだけ大学出てんだよ。大学なんて一つ卒業すりゃ十分だろ)
男(しかもIQ100万て……どう測定すりゃ叩き出せるんだ)
生徒「もうすでに大卒なのに、どうしてうちの高校に?」
転校生「僕は今、色んな学校のNo.1と勝負して、打ち負かすことにハマっている」
転校生「聞けば、この高校は日本有数の進学校だとか」
転校生「よってここのNo.1も打ち負かして、僕の栄光の1ページに記そうと思ったんだ」
ザワザワ…
友人「ようするに道場破りってことか」
友人「うちの成績一位といえばお前だけど……やる気は?」
男「気が進まないな」
ワイワイ…
「ねえねえ、なにか免許や資格持ってるの?」
転校生「もちろんさ。まず、医師免許。これまでに100種類以上の病原菌やウイルスを根絶してきた」
「すっごーい!」
転校生「弁護士資格も持ってるよ。今のところ、全ての依頼人を無罪にしてる」
「やるぅ!」
転校生「他にも、行政書士、気象予報士、一級建築士、英語検定1級……」
ガヤガヤ…
友人「噂に違わず、とんでもない天才だな」
男「多才すぎて、いつ寝てるんだか心配になるレベルだ」
「研究もやってるんだって?」
転校生「うん、iPS細胞を遥かに越える“超iPS細胞”をまもなく実用化する予定だ」
キャーッ!
「好きな動物は?」
転校生「シュレーディンガーの猫、かな」
キャーッ!
転校生「おっと、円周率を暗唱したくなってきた」
転校生「3.141592653589793238462643383279502884197169399375105820974944……」
キャーキャーッ!
キャーキャーッ
友人「……ちっ、いけ好かねえ」
男「別にいいじゃないか。あいつの頭のよさは本物だ」
男「あいつのやってることが、みんなのためになってるのは間違いないんだから」
友人「そりゃそうだけどさ」
男「だからこそ、彼と勝負するのは気が進まないんだよな」
体育――
体育教師「ヨーイドン!」
転校生「……」スタタタタッ
体育教師「な……100mを9秒50だと!?」
体育教師「ボルトより速いじゃないか! 陸上をやってるわけでもない君がどうやって……!」
転校生「簡単なことですよ。理論上最も理想的なフォームで走っただけです」
転校生「そうすれば誰だって簡単にこの程度の記録を出すことができますよ」
水泳――
転校生「……」ザババババッ
水泳部員「うぐぅ……負けた……」
水泳部員「どうしたら、そんなに速く泳げるんだ……」
転校生「理論上最速のフォームで泳いだだけさ。よかったら教えようか?」
キャーッ! ステキーッ!
友人「今負けたの、うちの水泳部のエースだろ? とんでもない奴だな……」
男「文武両道ってわけか」
家庭科――
転校生「……」ジュワァァァァ…
転校生「……」テキパキテキパキ
転校生「できた!」
転校生「しまった……!」
転校生「僕としたことが勢い余って、フランス料理の最高級フルコースを作ってしまった」
友人「うっま! その辺の材料でこんな味を出せるなんて……」
男「美味しんぼの世界でもやっていけそうだな」
「もっとすごいエピソード聞かせて~!」
「うちの部の助っ人になってくれないか!」
「握手して下さい!」
転校生「みんな押さないで。並んで並んで」
友人「すげえな……男も女もあいつに夢中だ。差がありすぎて嫉妬する気も起こらねえよ」
男「このまままた別の学校に転校してくれればいいんだが……」
転校生「……」ザッ
男「……ん」
転校生「聞いたよ。君がこの学校の成績トップなんだって?」
男「まあ、一応」
転校生「しかし、とてもそうは見えない。単にマグレで一位なのか、それともひょっとして……」
転校生「爪を隠すタイプなのかな?」
男「……」
男「俺と勝負するのは、やめた方がいい」
転校生「なぜ?」
男「なぜなら俺は、真の天才だからだ」
転校生「!」
男「特に一対一だと手加減できない……せめて定期テストで勝負を――」
転校生「次のテストまで一ヶ月あるし、あいにく僕はせっかちでね、そんなに待てない」
転校生「今すぐ君と勝負したい」
男「潰れてもいいのか?」
転校生「潰す? たかが一高校生の君がこの僕を?」
転校生「面白い、潰してもらおうじゃないか」
男「分かった……なら俺も容赦しない。どうやって勝負するんだ?」
転校生「放課後、一対一で五教科のテスト勝負をしよう。合計点が上の方が勝ちだ」
転校生「採点は僕が作ったロボットにやらせる。もちろん、プライドにかけてイカサマはしない」
男「受けて立つ」
放課後、一対一で勝負が始まった。
<国語>
転校生「現代文、古文、漢文……全て僕の手の内さ」カリカリ
男「……」カリカリ
転校生「フッ、楽勝だね」カリカリ
男「……」カリカリ
男:70点
転校生:100点
<数学>
転校生「数学ももちろん得意分野さ」カリカリ
男「……」カリカリ
男:70点
転校生:95点
転校生「おっと、ケアレスミスをしてしまったか」
<社会>
転校生「日本史世界史地理の複合問題だね……楽勝だ」カリカリ
男「……」カリカリ
男:70点
転校生:80点
転校生「くそっ、日本史で穴のある部分があったか……まあ、僕は世界で活躍してるから仕方ない」
<理科>
転校生「あれ……? この漢字、どう読むんだっけ? H2Oってなんだっけ……?」
男「……」カリカリ
男:70点
転校生:30点
<英語>
転校生「あいはぶあぺーん、あいはぶあぺーん、あいはぶあぺーん」
男「……」カリカリ
男:70点
転校生:0点
五教科合計――
男:350点
転校生:305点
男の勝利
男「俺の勝ちだな」
転校生「あいはぶあぺーん、あいはぶあぺーん、あいはぶあぺーん」
男「……」
転校生「あいはぶあぺーん」
男「やっぱり、一対一じゃ加減できなかった……。もう元に戻らないかもしれないな」
転校生「あいはぶあぺーん」
男「もう俺の言葉を理解できないかもしれないが、最後に一つだけ教えておこう」
転校生「あいはぶあぺーん」
男「真の“バカが考えた天才”ってのは、周囲の人間の知能を下げられる奴のことをいうんだよ」
おわり