1 : 以下、名... - 2011/11/08(火) 19:42:19.79 4JepvvG5P 1/56


   放課後、教室

「……駄目だ。すげー眠い」 ぐたー

「今日の体育、水泳だったものね」

「ムギは元気そうだな」

「水泳、楽しかったもの♪」 きらきら

「対して唯は、もう駄目か」

「・・・そんな事無いよ。だって澪ちゃん、さっきはプールの上で盆踊りだったじゃない」 ぐー

「全然意味が分からんし、何気に怖い」





元スレ
和「全く、唯はいつまで経っても唯なんだから」
http://hibari.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1320748939/

2 : 以下、名... - 2011/11/08(火) 19:44:07.70 4JepvvG5P 2/56


「みんな眠そうだし、今日はもう帰る?」

「でも新曲の練習もしたいし、梓に示しが付かないだろ。私達、水泳の授業があったから眠いんですって言えるか?」

「確かに、先輩としての威厳には欠けるよな」

「威厳って、一番大事だよね」 ぐー

「まさに寝言だな、おい」




3 : 以下、名... - 2011/11/08(火) 19:46:09.41 4JepvvG5P 3/56


「本当、よく寝てるわね」

「昔から、って感じ?」

「え、何が?」

「今そんな顔で、唯ちゃんの事見てたから」

「そうかしら」

「うふふ♪」




4 : 以下、名... - 2011/11/08(火) 19:48:12.56 4JepvvG5P 4/56


「ムギが言ったように、唯って昔からこんな感じなのか?」

「まあね。でも軽音部に入ってからは、色々変わったかも知れない」

「変わった?」

「良い方向へね。だからみんなには感謝してるわ」

「まるでお姉さんみたい」

「そうかしら」

「・・・なんの事?」 むくり

「良いから、唯は寝てなさい」

「はーい」 ぐー

「なんだよ、それ」 くすっ




5 : 以下、名... - 2011/11/08(火) 19:50:14.20 4JepvvG5P 5/56


   軽音部部室

   カチャ

「済みません、遅れました」

「ふぁーっ」

「眠いんですか?」

「馬鹿だな。私達はいつでも気合い充実。やる気に満ちあふれてるぜ」

「澪先輩、目閉じてません?」

「心眼だ、梓。私は心の目で、梓を見てるんだ」

「はぁ」

「・・・見えたっ。梓は、今部室にいないっ」

(だったら澪先輩は、誰と話してるんですか)




6 : 以下、名... - 2011/11/08(火) 19:52:25.37 4JepvvG5P 6/56


「・・・」 ぐー

「唯先輩はいつもの事として。ムギ先輩は、平気そうですね」

「水泳って、学校における一大イベントだと思うのよ。そのためには予選、本戦。クラス対抗水泳合戦。水泳ばんざーい、ばんざーい。ばんざーい♪」

(明らかにムギ先輩もおかしいな)

「・・・おはよう、あずにゃん」 むくり

「おはようございます。目、醒めました?」

「そこはかとなしには」

「なんですか、それ」

「たはは」




8 : 以下、名... - 2011/11/08(火) 19:54:42.29 4JepvvG5P 7/56


「今日は、もう帰りましょうか?」

「いや。新曲の練習があるだろ。練習しようぜ、練習」

(そっち、トンちゃんしかいないし)

「はは。澪の奴、まだ泳いでるぞ」

「何言ってるんだ、お前。言って良い事と悪い事があるぞ」

「まあまあ。ケンカは犬も歩けば爪楊枝だよ」

「唯ちゃんはやっぱり、ばんざーい。ばんざーい、ばんざーい♪」

(誰か、なんとかして)




9 : 以下、名... - 2011/11/08(火) 19:56:47.62 4JepvvG5P 8/56


   10分後

「・・・あれ。どうして私、水槽の前に」

「あずにゃん、来てたんだ」

「ムギ、何してる?」

「・・・え?・・・じゅ、準備運動?」

(みんな、目が覚めたみたいだな)

「よーし。梓も来た事だし練習するぞー」

「おー」

(嫌な予感しかしないよ)




10 : 以下、名... - 2011/11/08(火) 19:58:49.07 4JepvvG5P 9/56


「ワンツー、ワンツー。ワンツー。ワンツー」 タンタン、タンタン、タンタン、タンタン

「律、早い。走りすぎだ」

「だったら、ゆっくりまったり歩いて行こうよ」

「私、お茶淹れるわね♪」

「ワン、ツー。ワン、ツー・・・」

「律、早し。早ければ、早くて、早し、早きこと、早けれども」

「まあ、何となく意味は分かるけどね」

「私、お茶淹れるわね♪」

(言わんこっちゃない)




11 : 以下、名... - 2011/11/08(火) 20:00:43.93 4JepvvG5P 10/56


   10分後

「・・・駄目だ。全然集中出来ん」

「今日はもう止めましょうよ」

「でも、先輩としての威厳がね」

「そんなの、元々ありませんよ」

「たはは、そかそか」

「はいです」

(それって、私達も?)




12 : 以下、名... - 2011/11/08(火) 20:02:47.02 4JepvvG5P 11/56


「いやー、面目ない。明日からは頑張るからさ」

「それよりも、今日の帰りは大丈夫ですか?」

「平気平気。澪は私が送っていくからさ」

「私は電車だし、その後は迎えに来てもらうから」

「じー」

「口に出さないで下さい。唯先輩は、私が送りますから」

「じゃ、唯の事頼むな。澪、眠いなら肩貸すぞ」

(覚醒モードッ♪)




13 : 以下、名... - 2011/11/08(火) 20:04:50.42 4JepvvG5P 12/56


   夕方、帰り道

「澪先輩達、大丈夫でしょうか」

「みんなしっかりしてるからね。・・・りっちゃんじゃないけど、本当に面目ない」

「良いですよ。変に無理して、皆さんが体調を崩す方が困りますし」

「あずにゃんはしっかりしてるね。私のお姉さんになって欲しいくらいだよ」

「憂がいるだけで十分過ぎます」

「でも憂は妹だからね。私は姉として、憂の面倒をみないと駄目なんだ」

「そういうの、唯先輩っぽいですね」

「たはは」




14 : 以下、名... - 2011/11/08(火) 20:07:11.50 4JepvvG5P 13/56


   平沢家、玄関

「リビングに布団敷いたから、少し仮眠してね。その後でご飯を食べて、今日は早く寝ようか」

「憂-。お姉ちゃんは頑張るよ」

「うん。私も一所懸命応援するね」

「憂ー♪」

(何を頑張るの?何を応援するの?姉の威厳って、何?)





15 : 以下、名... - 2011/11/08(火) 20:09:10.06 4JepvvG5P 14/56


「梓ちゃん、今お茶の用意するから」

「いや。私はもう帰るよ。それより、唯先輩の事よろしくね」

「本当、面目ない」

「ふふ。それじゃ梓ちゃん、お休みなさい」

「憂もね。唯先輩、お休みなさい」

「明日こそ。明日こそは、先輩の威厳をお見せします」 パタン

(明日、学校休みだし)



17 : 以下、名... - 2011/11/08(火) 20:11:17.12 4JepvvG5P 15/56


   翌月曜。放課後、教室

「今日は体育もなかったし、元気溌剌だぜー」

「先週は、梓にふがいないところを見せてしまったからな」

「やっぱり、先輩の威厳よね」

「よーし。今日はあずにゃんを、びしばし指導するぞー」

「お前、まだ眠いのか」




18 : 以下、名... - 2011/11/08(火) 20:13:24.07 4JepvvG5P 16/56


「でも唯が先輩なんて、ちょっと戸惑うわね」

「それは自分でも思う時があるよ。あずにゃんから先輩って呼ばれると、にやけちゃうし」

「でも梓にとっては、良い先輩じゃないのかな」

「本当に?」

「うん、うん。優しくて温かくて思いやりがあって、良い先輩だと思うわよ」

「ギターとしては、圧倒的に中野先輩って感じだけどな」

「もう、りっちゃーんはー」

「あはは」

「ふふ」




19 : 以下、名... - 2011/11/08(火) 20:15:24.95 4JepvvG5P 17/56


   軽音部部室

   カチャ

「あれ。あずにゃん、もう来てたんだ」

「・・・」 すかー

「全力で寝てるな」

「・・・どうする?」

「まずは、静かにバッグを置きましょうか」

「ああ」 そろそろ

「寝てるあずにゃんも可愛いね」

「先輩の威厳は示せないけどな」

「威厳よりも、あずにゃんの寝顔の方がずっと大切だよ♪」

「なんだ、それ」 くすっ




20 : 以下、名... - 2011/11/08(火) 20:17:25.75 4JepvvG5P 18/56


「・・・やってやれない事もないです」 くー

「あずにゃん、どういう事?」

「唯ちゃん。寝言に質問するのは良くないって言わない?」

「じゃ、落書きするか」

「可哀想だよ、猫ヒゲなんて」

「描かないんだ。それにあまり騒ぐと、梓が起きるぞ」

「だったら、子守歌歌おうか。・・・あずにゃん、夜泣きで困ったなー♪」

「平沢さん、それ根本的に違うから」




22 : 以下、名... - 2011/11/08(火) 20:19:28.72 4JepvvG5P 19/56


 10分後

「・・・済みません、今起きました」 むくり

「おはよう。ねむにゃんだったね、今」

「私も水泳の授業があったので。すぐ、練習の準備をします」

「まあまあ。まずはお茶を飲んで、お菓子を食べて。少しゆっくりしましょうか」

「済みませんです」 ずずー

「梓、髪の毛乱れてるぞ」 さすさす

「ほら、口にクリーム付いた」 拭き拭き

「素直に世話を焼かれる梓ちゃんも可愛いわね♪」

「世話を焼く澪ちゃんとりっちゃんも可愛いよ」

「なんだか、良いわよねー」

「ねー」

(うし、とら、たつ、み) くー




23 : 以下、名... - 2011/11/08(火) 20:21:32.39 4JepvvG5P 20/56


   30分後

「・・・済みません、また寝てました」

「気にすんなよ。無理してもなんだし、今日は早めに解散しようぜ」

「いや。それは」

「良いから。唯、戸締まり頼む」

「はーい」 ぱたぱた

「私、梓ちゃんのバッグ持つわね」

「それなら私は、むったんを持つか」

「いや。それは」

「戸締まり完了。それじゃ、あずにゃんの家までレッツゴー」

「おー」




24 : 以下、名... - 2011/11/08(火) 20:23:30.51 4JepvvG5P 21/56


   夕方、商店街

「あずにゃん、まだ眠そうだね」

「水泳が、結構ハードだったので」 うつら、うつら

「私が、おんぶしてあげようか?」

「小柄に見えますけど、私もそれなりに体重はありますよ」

「無理かな」

「気持だけ頂いておきます」

「和ませる奴らめ。・・・唯ー、おんぶおばけだぞー」 どかっ

「あーん、りっちゃん重いー♪」

(なんだろう。背中がすーすーするな。一人っきりって、こんな物なのかな)




26 : 以下、名... - 2011/11/08(火) 20:25:28.38 4JepvvG5P 22/56


   平沢家、リビング

「・・・って事があったんだけど。憂は平気そうだね」

「私はペース配分して泳いでたから」

「そっか。・・・憂、マッサージしてあげようか?」

「大丈夫、本当に大丈夫だから」

「そっか。それなら、膝枕してあげるよ」

「まだ眠くないよー」

「良いから、良いから。お姉ちゃんの言う事を聞きなさい」

「はーい♪」 ごろん




27 : 以下、名... - 2011/11/08(火) 20:27:27.39 4JepvvG5P 23/56


「憂、いつもありがとね」

「どうしたの、急に」

「あずにゃん、今日すごい眠そうだったんだよね。それなのに憂は普段通りにご飯を作ったり、色々頑張ってくれたから。ありがとうって思ったんだ」

「私は全然疲れてないし、お姉ちゃんはいつも軽音部で頑張ってるじゃない」

「私はお茶飲んでるだけだよ。・・・私もこれからは姉として。先輩として頑張らないとね」

「お姉ちゃん♪」

「憂ー♪」




28 : 以下、名... - 2011/11/08(火) 20:29:27.38 4JepvvG5P 24/56


   翌朝、教室

「という訳で昨日は、憂に添い寝してあげました」

「たまにはお姉さんぽい事もするのね」

「てへへ」

「うぃーっす」

「おはよう。今日も暑いな」

「夏も、暑くなかったら良いんだけどね」

「それじゃ、夏とは言わないでしょ」

「そかそか」

「みんなおはよー。あつはなついわねー」

「この、ベタな事言いやがって」

「あはは」




29 : 以下、名... - 2011/11/08(火) 20:31:34.45 4JepvvG5P 25/56


   2年、教室

「あー、暑い。溶けちゃいそうだよ」 ぐったり

「夏だからね」 ぐったり

「二人とも大丈夫?」

「そういう憂は、平気そうだね」

「昨日は早く寝たから。それに、お姉ちゃんが添い寝してくれたんだよ♪」

「夏場に一緒に寝るって、暑くない?」

「あまり気にした事無いな。でも純ちゃんも、猫ちゃんと一緒に寝たりするでしょ」

「あまり気にした事無いな」

(唯先輩と猫って、同じなの?)




31 : 以下、名... - 2011/11/08(火) 20:33:38.08 4JepvvG5P 26/56


   6時限目、屋内プール

「今日も水泳かー」

「夏だからな」

「プールサイドで、足をちゃぷちゃぷさせるのって楽しいよね」 ちゃぷちゃぷ

「私もやってみるわね♪」 ちゃぷちゃぷ

「澪、私達もやるぞ」 ちゃぷちゃぷ

「全く」 ちゃぷちゃぷ




33 : 以下、名... - 2011/11/08(火) 20:36:01.71 4JepvvG5P 27/56


   同時刻、屋内プール対面側

「・・・なんか、波立ってない?」

「海じゃないんだからさ。」

「でも、なんだか楽しいよね」

「まあね。・・・うぷっ」

「純、大丈夫?・・・うぷっ」

「二人とも大丈夫?でも、どうして波が起きてるのかな・・・。おっと」 ひらっ

(出来る奴っ)




34 : 以下、名... - 2011/11/08(火) 20:38:00.45 4JepvvG5P 28/56


「まだまだっ。お前達の本気は、そんな物かっ」 じゃぶじゃぶ

「琴吹、力の限り頑張りますっ」 じゃぶじゃぶ

「私、もう駄目みたい・・・」 ちゃぷちゃぷ

「唯、頑張れっ。諦めるには、まだ早いぞっ」 ちゃぷちゃぷ

「みんな、ごめん。私、ここでお別れみたい。みんなに会えて、私・・・」 ちゃぷ




35 : 以下、名... - 2011/11/08(火) 20:39:59.02 4JepvvG5P 29/56


「馬鹿野郎っ。お前一人だけ行かせるかっ」

「唯ちゃん、私の手に捕まってっ」 がしっ

「唯、私の手にもだっ」 がしっ

「ありがとー。みんな、ありがとー」

「・・・海岸だ。海岸が見えたぞー」

「わーっ♪」




37 : 以下、名... - 2011/11/08(火) 20:42:05.81 4JepvvG5P 30/56


 わーっ♪

「なんか、叫び声が聞こえない?」

「聞こえるね」

「波もすごくなってきたね」

「なってきたね」

「梓、どうしたの?」

「なんだか、嫌な予感がするんだよね。・・・うぷっ」

「え、何が?・・・うぷっ」




38 : 以下、名... - 2011/11/08(火) 20:44:05.04 4JepvvG5P 31/56


「二人とも、波を読めば良いんだよ。・・・よっと」 さっ

「波を」

「読む?」

「あ、また来たよ」

「・・・見切った」

「えいっ」

ごごごごごーっ

「・・・だ、駄目だっ」

「二人とも、私に捕まってっ。・・・えいっ」 さっ

(うーいー♪)




39 : 以下、名... - 2011/11/08(火) 20:46:07.29 4JepvvG5P 32/56


「我々は助かったぞー」
 
「ばんざーい♪」

「みんな、ありがとー。ありがとー」

「全員揃って、無事生還だ」

「・・・梓を除いてはな」

「私は諦めないぞ。梓は絶対どこかで無事に過ごしてる。・・・絶対だっ」

「梓ちゃん、今頃何してるのかしら」

「日に焼けて、こげにゃんになってたりして」

「あはは」


(先輩方、何がそんなにおかしいんですか)




40 : 以下、名... - 2011/11/08(火) 20:48:11.47 4JepvvG5P 33/56


「・・・あれ、あずにゃん。無事だったんだ」

「無事も何も。ここ、屋内プールですよ」

「たはは。ついつい、船が難破した後で盛り上がっちゃってね」

「お姉ちゃん、無事で良かったね」

「ありがとー。憂も、元気そうで何よりだよ」

「お姉ちゃん♪」

「憂♪」

(これ、なんの会話?)




42 : 以下、名... - 2011/11/08(火) 20:50:09.17 4JepvvG5P 34/56


「梓達も水泳だったのか」

「これでは、今日の部活もぐだぐだになりそうですね」

「それはそれで、また楽しいじゃない」

「楽しい、ですか」

「ええ。それに後の事を考えて、今の楽しさを我慢する必要は無いと思うのよね」

「はー。ムギ先輩は良い事言うなー」

「私の先輩だからね」 ふふん

「そうやって先輩を自慢ちゃうあずにゃんは可愛いねー」 もふもふ

「や、止めて下さいよ-」

「うふふ♪」




43 : 以下、名... - 2011/11/08(火) 20:52:10.24 4JepvvG5P 35/56


「何してるの、あなた達」

「あ、和ちゃん。プールサイドで足をちゃぷちゃぷさせるのって楽しいよね」

「和さんも、ここどうぞ」

「ありがとう。・・・こう?」 ちゃぷちゃぷ

「はー♪」

「お姉ちゃん、幸せそうだね」

「ちゃぷちゃぷ、楽しいもん」

「本当、唯はいつも幸せで良いわね」

「あー。和ちゃん、今ちょっと馬鹿にしたー」

「そんな事無いわよ。ね、憂」

「ふふ♪」



45 : 以下、名... - 2011/11/08(火) 20:54:07.18 4JepvvG5P 36/56


   放課後、教室

「・・・いかん、マジで眠い」

「目を閉じただけで眠れそうだ」

「今日の練習、どうする?梓ちゃんも疲れてるだろうし」

「中止にしようか、さすがに」

「・・・甘っちょろい事言ってんじゃねーっ」 ばんっ

「で、その心は」

「ちょっとは驚けよな」

「だってりっちゃん、そんな事で怒らないもの」

「りっちゃん、りっちゃん」

「ちぇー」

(分かってる。みんな分かってる♪)




46 : 以下、名... - 2011/11/08(火) 20:56:13.74 4JepvvG5P 37/56


「つまりさ。眠いしだるいし、今すぐ帰って布団に潜り込みたいよ。本当、すげー眠いんだよ。気を抜いたら溶けそうなくらい眠いんだよ」

「やっぱり帰るのか」

「だーかーら。私達が、眠気ごときに負けてどうするのかって話さ」

「睡魔対私達。世紀の決戦ね」

「さっきまでスイマーだったしね」

「あはは」

「とりあえず、すいませんって言ってもらおうか」




47 : 以下、名... - 2011/11/08(火) 20:58:14.42 4JepvvG5P 38/56


「で、睡魔とどう戦うんだ」

「言うまでも無いだろ」

「・・・なるほどな。みんな、部室に急ぐぞっ」 とたとたっ

「この。負けるかっ」 とたとたっ

「私だってっ」 とたとた




50 : 以下、名... - 2011/11/08(火) 21:00:22.88 4JepvvG5P 39/56


「唯も行かないの?」

「和ちゃんは眠くないかなと思ってね。この後、生徒会の活動があるんでしょ」

「心配してくれてありがとう。私は大丈夫だから、唯も無理しないでね」

「ありがと。・・・やっぱり良いよね、学校って。色々大変だけど、その分やり甲斐があるって最近思うようになってきたよ」

「唯がそんな事言うなんて、私も年をとる訳だわ」

「もう、ひどいよー」

「ごめん、ごめん。それじゃ私も、生徒会室に行くわね」

「うん。途中まで、一緒に行こうよ」 

「分かったから、そんなに引っ張らないで」 

「てへへー♪」 







51 : 以下、名... - 2011/11/08(火) 21:02:12.69 4JepvvG5P 40/56


   2年教室

「あー。今日、ジャズ研休みでよかった」 ぐったり

「軽音部はどうかな」 ぐったり

「今日はお休みしたら?」

「・・・いや、一応顔だけは出さないと。先輩達、来てるかも知れないし」

「あれだけ動いて今日練習してたら、マジ尊敬しちゃうかも」

「・・・してなくても、尊敬しちゃうけどね」

「ん?梓ちゃん、何言った?」

「純の馬鹿ー」 じたばた

「ふふ♪」




52 : 以下、名... - 2011/11/08(火) 21:04:10.66 4JepvvG5P 41/56


   廊下

「どうして純も付いてくるのよ」

「良いじゃない。ジャズ研は休みなんだし、梓も先輩達がいなければ帰るんでしょ」

「まあね」

「つまり純ちゃんは、梓ちゃんと一緒に帰りたいんだよね」

「なっ」

「ふーん」 にやにや

「憂の馬鹿ー」 じたばた

「ふふ♪」




53 : 以下、名... - 2011/11/08(火) 21:06:13.53 4JepvvG5P 42/56


   軽音部、部室前

ジャジャーン♪

「・・・嘘、練習してる」

「嘘って何よ、嘘って」

「はは、冗談冗談。・・・もしかしてこれはテープの音源で、先輩達はどこかに隠れて私を見てるのかな」

「なんのためによ。でも先輩達がいるのなら、私は帰ろうかな」

「遠慮しなくて良いって。純もたまには、顔を出しなよ」

「・・・怖くない?」

「困った先輩はいるけど、怖い先輩なんて一人もいないよ」

「怖いのはむしろ、梓ちゃんだよね」

「うー、いー」

「あはは」




54 : 以下、名... - 2011/11/08(火) 21:08:10.10 4JepvvG5P 43/56


   カチャ

「済みません、遅れました」

「お邪魔します」

「おう、梓。ん?純ちゃんと憂ちゃんも一緒か」

「今日、ジャズ研がお休みなので。・・・皆さん練習してますけど、眠くないんですか」

「がっつり眠いでーす」

(何故ピースサイン)

「つまり私達は、音の戦士な訳さ」


(澪先輩、眠いのかな)

(違うと思うよ、多分)





56 : 以下、名... - 2011/11/08(火) 21:10:14.71 4JepvvG5P 44/56


「今私達って、すごい眠いじゃない。だから演奏をして、眠気を吹き飛ばそうって訳」

「ああ、なるほど。それはちょっと面白そうですね」

「ハードな演奏をすれば、眠気なんて吹き飛んでくぜ」

「新たな戦士も登場したしな。ニューエイジ、サウンドエンジェルだ」

「・・・それははともかく、純ちゃん達も一緒にやろうぜ」

「こ、光栄ですっ。サウンドエンジェル・ピュアベルとして、一所懸命頑張りますっ」

「えーと、私は」

「大丈夫。そこは、平沢姉妹の秘められたシスターズパワーが発動するから」

「憂は、オルガンお願いね。メロディだけで良いから」

(なんだろう、唯先輩がまともに感じる)

「ぴゅあっぴゅあっ、ふわっふわっ♪ぴゅあっぴゅあっ、ふわっふわっ♪」 




59 : 以下、名... - 2011/11/08(火) 21:12:15.82 4JepvvG5P 45/56


「それで、何を演奏する?」

「夏だから、夏っぽいのにするか」

「ウサギとカメは?」

「・・・夏っぽいか、それ?」

「でも、この学校っぽくはあるわよね」

「ああ、手すり」

「うんうん」

「私は構いませんが」

「コード進行も簡単だし、良いんじゃないのか」

「そうだな。それじゃウサギとカメを、思いっきり熱く演奏するぞっ」

「おーっ」




60 : 以下、名... - 2011/11/08(火) 21:14:25.40 4JepvvG5P 46/56


「もしもしカメよーカメさんよ-」

「カメさん頑張れーっ」 

「世界のうちで、お前程ー」 
 
「負けんなー、ウサギーッ」 


「なんだか、無闇に熱いね」 

「無闇に、意味も分かんないけどね」 

「でも、なんだか楽しいよ」 

「うんっ♪」




61 : 以下、名... - 2011/11/08(火) 21:16:28.95 4JepvvG5P 47/56


  5分後

「・・・」 うつらうつら

「ちょっと、純」

「純ちゃん寝てるのか?」

「今日はここでお開きにする?」

「私達も、さすがに眠いしな」

「・・・ジャズ研、舐めんなーっ」 ぼぼーん

「あはっ。軽音部も負けないよー」 じゃじゃーん

「おっし。私達も、本気出してくぞー」 

「おーっ」




62 : 以下、名... - 2011/11/08(火) 21:18:11.26 4JepvvG5P 48/56


「無茶苦茶眠いぜーっ」

「もう、今すぐ寝ちゃいそうーっ」

「帰ったら、すぐ寝るぞーっ」

「軽音部ふぁいとーっ」

「ジャズ研最高ーっ」


「純、すごいな」

「私達も負けずに頑張ろうよ。・・・お姉ちゃーん♪」

「うーいー♪」

「あはっ。やってやるでーすっ」




63 : 以下、名... - 2011/11/08(火) 21:20:11.34 4JepvvG5P 49/56


   軽音部部室前

さわ子「あー、疲れた。お茶とお菓子は良いけど、ここまで上がってくるのが大変なのよね」

やってやるですーっ

さわ子「・・・なんだか、滅茶苦茶盛り上がってるじゃない」

ぎゅぃーん、ぎゅぎゅぎゅいーん

さわ子「・・・私も、ちょっと混ぜてもらおうかしら」

今日は夜通し演奏するぞー

さわ子「・・・ギター、持ってこようっと♪」 とたとたっ




64 : 以下、名... - 2011/11/08(火) 21:22:09.57 4JepvvG5P 50/56


   カチャ

さわ子「お前達、私が来るのを待っていたっ・・・」

しーん

さわ子「・・・もしかしてみんな、寝ちゃってる?」

「ええ、さわこ先生」

さわ子「もう、せっかく演奏に混ぜてもらおうと思ったのに」

「みんな張り切りすぎて、疲れちゃったみたいです。私も今来た所なんですけど」

さわ子「仕方ない。演奏は、また今度にするか。真鍋さん、みんなを起こしたら早く帰るのよ」

「はい。お疲れ様でした」

さわ子「お疲れ様。あーあ。こんな事なら、メイクしてくるんじゃなかったわ」   ぱたん

(それで、あの顔だったのか)




66 : 以下、名... - 2011/11/08(火) 21:24:07.67 4JepvvG5P 51/56


   夕方、商店街

「さわちゃんのメイク、私も見たかったなー」

「唯も憂も、ぐっすり寝てたんだから仕方ないじゃない」

「たはは。・・・こんな時間になっても、まだ明るいね」

「だって、夏だもの」

「みんなの影が、重なってるよ」

「そうね」

「昔は3人で、良く一緒に家へ帰ったよね」

「ええ。ついこの間みたいに思ってたけれど。なんだか、すごく懐かしく感じられるわ」




67 : 以下、名... - 2011/11/08(火) 21:26:10.08 4JepvvG5P 52/56


「お姉ちゃんは部活に頑張ってるし、和ちゃんは生徒会だし。小学校や中学校で分かれちゃったりした事もあるから」

「・・・和ちゃん、か。憂、学校だとそう呼ばないわね」

「やっぱり上級生だし、生徒会長だし。そこはやっぱり、私も気を遣うよ」

「そかな。クラス委員長になっても生徒会長になっても、和ちゃんは和ちゃんだよ」

「本当、唯は昔変わらないわね」

「だって、お姉ちゃんだもん」

「そういう憂もね」

「え、そうかな?」

「本当、あなた達姉妹は♪」




68 : 以下、名... - 2011/11/08(火) 21:28:14.05 4JepvvG5P 53/56


「・・・いつまでも、こうして一緒にいられるといいのにね」

「そうね。でも・・・」

「大丈夫だよ。和ちゃん、憂」

「どうして?」

「今こうして一緒にいられるって事は、みんな一緒にいたいって事だもん。だから私達は、ずっと一緒にいられるんだよ」

「お姉ちゃん♪」




69 : 以下、名... - 2011/11/08(火) 21:30:08.00 4JepvvG5P 54/56


「和ちゃん。今日はうちに、泊まりにおいでよ」

「・・・そうね、たまには良いかも知れないわね」

「やった。和ちゃんと一緒のベッドで眠るなんて、本当に昔に戻ったみたい♪」

「一緒のベッドなのは決定なの?」

「勿論です。憂が右、和ちゃんが左。私が真ん中ね」

「全く、ちゃっかりしてるんだから」


70 : 以下、名... - 2011/11/08(火) 21:31:14.21 4JepvvG5P 55/56


「でもお姉ちゃんがベッドから落ちると大変だから、私はその方が安心だよ」

「憂ー♪」

「お姉ちゃん♪」

「・・・やっぱりあなた達は、私が見守らないと駄目みたいね。・・・これからも、ずっと」



   終わり






72 : 以下、名... - 2011/11/08(火) 21:32:10.22 4JepvvG5P 56/56


ここまでお読み頂き、ありがとうございました。
後半の澪はやり過ぎかとも思いましたが、徹夜明けのハイテンションみたいなノリという事でご容赦を。
テーマとしては、「唯憂和」ですね




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