放課後、教室
律「……駄目だ。すげー眠い」 ぐたー
紬「今日の体育、水泳だったものね」
澪「ムギは元気そうだな」
紬「水泳、楽しかったもの♪」 きらきら
澪「対して唯は、もう駄目か」
唯「・・・そんな事無いよ。だって澪ちゃん、さっきはプールの上で盆踊りだったじゃない」 ぐー
律「全然意味が分からんし、何気に怖い」
元スレ
和「全く、唯はいつまで経っても唯なんだから」
http://hibari.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1320748939/
紬「みんな眠そうだし、今日はもう帰る?」
律「でも新曲の練習もしたいし、梓に示しが付かないだろ。私達、水泳の授業があったから眠いんですって言えるか?」
澪「確かに、先輩としての威厳には欠けるよな」
唯「威厳って、一番大事だよね」 ぐー
律「まさに寝言だな、おい」
和「本当、よく寝てるわね」
紬「昔から、って感じ?」
和「え、何が?」
紬「今そんな顔で、唯ちゃんの事見てたから」
和「そうかしら」
紬「うふふ♪」
律「ムギが言ったように、唯って昔からこんな感じなのか?」
和「まあね。でも軽音部に入ってからは、色々変わったかも知れない」
澪「変わった?」
和「良い方向へね。だからみんなには感謝してるわ」
紬「まるでお姉さんみたい」
和「そうかしら」
唯「・・・なんの事?」 むくり
和「良いから、唯は寝てなさい」
唯「はーい」 ぐー
律「なんだよ、それ」 くすっ
軽音部部室
カチャ
梓「済みません、遅れました」
律「ふぁーっ」
梓「眠いんですか?」
律「馬鹿だな。私達はいつでも気合い充実。やる気に満ちあふれてるぜ」
梓「澪先輩、目閉じてません?」
澪「心眼だ、梓。私は心の目で、梓を見てるんだ」
梓「はぁ」
澪「・・・見えたっ。梓は、今部室にいないっ」
梓(だったら澪先輩は、誰と話してるんですか)
唯「・・・」 ぐー
梓「唯先輩はいつもの事として。ムギ先輩は、平気そうですね」
紬「水泳って、学校における一大イベントだと思うのよ。そのためには予選、本戦。クラス対抗水泳合戦。水泳ばんざーい、ばんざーい。ばんざーい♪」
梓(明らかにムギ先輩もおかしいな)
唯「・・・おはよう、あずにゃん」 むくり
梓「おはようございます。目、醒めました?」
唯「そこはかとなしには」
梓「なんですか、それ」
唯「たはは」
梓「今日は、もう帰りましょうか?」
律「いや。新曲の練習があるだろ。練習しようぜ、練習」
梓(そっち、トンちゃんしかいないし)
律「はは。澪の奴、まだ泳いでるぞ」
澪「何言ってるんだ、お前。言って良い事と悪い事があるぞ」
唯「まあまあ。ケンカは犬も歩けば爪楊枝だよ」
紬「唯ちゃんはやっぱり、ばんざーい。ばんざーい、ばんざーい♪」
梓(誰か、なんとかして)
10分後
律「・・・あれ。どうして私、水槽の前に」
唯「あずにゃん、来てたんだ」
澪「ムギ、何してる?」
紬「・・・え?・・・じゅ、準備運動?」
梓(みんな、目が覚めたみたいだな)
律「よーし。梓も来た事だし練習するぞー」
唯、澪、紬「おー」
梓(嫌な予感しかしないよ)
律「ワンツー、ワンツー。ワンツー。ワンツー」 タンタン、タンタン、タンタン、タンタン
澪「律、早い。走りすぎだ」
唯「だったら、ゆっくりまったり歩いて行こうよ」
紬「私、お茶淹れるわね♪」
律「ワン、ツー。ワン、ツー・・・」
澪「律、早し。早ければ、早くて、早し、早きこと、早けれども」
唯「まあ、何となく意味は分かるけどね」
紬「私、お茶淹れるわね♪」
梓(言わんこっちゃない)
10分後
律「・・・駄目だ。全然集中出来ん」
梓「今日はもう止めましょうよ」
唯「でも、先輩としての威厳がね」
梓「そんなの、元々ありませんよ」
唯「たはは、そかそか」
梓「はいです」
律、澪、紬(それって、私達も?)
律「いやー、面目ない。明日からは頑張るからさ」
梓「それよりも、今日の帰りは大丈夫ですか?」
律「平気平気。澪は私が送っていくからさ」
紬「私は電車だし、その後は迎えに来てもらうから」
唯「じー」
梓「口に出さないで下さい。唯先輩は、私が送りますから」
律「じゃ、唯の事頼むな。澪、眠いなら肩貸すぞ」
澪(覚醒モードッ♪)
夕方、帰り道
梓「澪先輩達、大丈夫でしょうか」
唯「みんなしっかりしてるからね。・・・りっちゃんじゃないけど、本当に面目ない」
梓「良いですよ。変に無理して、皆さんが体調を崩す方が困りますし」
唯「あずにゃんはしっかりしてるね。私のお姉さんになって欲しいくらいだよ」
梓「憂がいるだけで十分過ぎます」
唯「でも憂は妹だからね。私は姉として、憂の面倒をみないと駄目なんだ」
梓「そういうの、唯先輩っぽいですね」
唯「たはは」
平沢家、玄関
憂「リビングに布団敷いたから、少し仮眠してね。その後でご飯を食べて、今日は早く寝ようか」
唯「憂-。お姉ちゃんは頑張るよ」
憂「うん。私も一所懸命応援するね」
唯「憂ー♪」
梓(何を頑張るの?何を応援するの?姉の威厳って、何?)
憂「梓ちゃん、今お茶の用意するから」
梓「いや。私はもう帰るよ。それより、唯先輩の事よろしくね」
唯「本当、面目ない」
憂「ふふ。それじゃ梓ちゃん、お休みなさい」
梓「憂もね。唯先輩、お休みなさい」
唯「明日こそ。明日こそは、先輩の威厳をお見せします」 パタン
梓(明日、学校休みだし)
翌月曜。放課後、教室
律「今日は体育もなかったし、元気溌剌だぜー」
澪「先週は、梓にふがいないところを見せてしまったからな」
紬「やっぱり、先輩の威厳よね」
唯「よーし。今日はあずにゃんを、びしばし指導するぞー」
律「お前、まだ眠いのか」
和「でも唯が先輩なんて、ちょっと戸惑うわね」
唯「それは自分でも思う時があるよ。あずにゃんから先輩って呼ばれると、にやけちゃうし」
澪「でも梓にとっては、良い先輩じゃないのかな」
唯「本当に?」
紬「うん、うん。優しくて温かくて思いやりがあって、良い先輩だと思うわよ」
律「ギターとしては、圧倒的に中野先輩って感じだけどな」
唯「もう、りっちゃーんはー」
澪、紬「あはは」
和「ふふ」
軽音部部室
カチャ
唯「あれ。あずにゃん、もう来てたんだ」
梓「・・・」 すかー
律「全力で寝てるな」
澪「・・・どうする?」
紬「まずは、静かにバッグを置きましょうか」
澪「ああ」 そろそろ
唯「寝てるあずにゃんも可愛いね」
律「先輩の威厳は示せないけどな」
唯「威厳よりも、あずにゃんの寝顔の方がずっと大切だよ♪」
律「なんだ、それ」 くすっ
梓「・・・やってやれない事もないです」 くー
唯「あずにゃん、どういう事?」
紬「唯ちゃん。寝言に質問するのは良くないって言わない?」
律「じゃ、落書きするか」
唯「可哀想だよ、猫ヒゲなんて」
澪「描かないんだ。それにあまり騒ぐと、梓が起きるぞ」
唯「だったら、子守歌歌おうか。・・・あずにゃん、夜泣きで困ったなー♪」
律「平沢さん、それ根本的に違うから」
10分後
梓「・・・済みません、今起きました」 むくり
唯「おはよう。ねむにゃんだったね、今」
梓「私も水泳の授業があったので。すぐ、練習の準備をします」
紬「まあまあ。まずはお茶を飲んで、お菓子を食べて。少しゆっくりしましょうか」
梓「済みませんです」 ずずー
澪「梓、髪の毛乱れてるぞ」 さすさす
律「ほら、口にクリーム付いた」 拭き拭き
紬「素直に世話を焼かれる梓ちゃんも可愛いわね♪」
唯「世話を焼く澪ちゃんとりっちゃんも可愛いよ」
紬「なんだか、良いわよねー」
唯「ねー」
梓(うし、とら、たつ、み) くー
30分後
梓「・・・済みません、また寝てました」
律「気にすんなよ。無理してもなんだし、今日は早めに解散しようぜ」
梓「いや。それは」
澪「良いから。唯、戸締まり頼む」
唯「はーい」 ぱたぱた
紬「私、梓ちゃんのバッグ持つわね」
律「それなら私は、むったんを持つか」
梓「いや。それは」
唯「戸締まり完了。それじゃ、あずにゃんの家までレッツゴー」
律、澪、紬「おー」
夕方、商店街
唯「あずにゃん、まだ眠そうだね」
梓「水泳が、結構ハードだったので」 うつら、うつら
唯「私が、おんぶしてあげようか?」
梓「小柄に見えますけど、私もそれなりに体重はありますよ」
唯「無理かな」
梓「気持だけ頂いておきます」
律「和ませる奴らめ。・・・唯ー、おんぶおばけだぞー」 どかっ
唯「あーん、りっちゃん重いー♪」
澪(なんだろう。背中がすーすーするな。一人っきりって、こんな物なのかな)
平沢家、リビング
唯「・・・って事があったんだけど。憂は平気そうだね」
憂「私はペース配分して泳いでたから」
唯「そっか。・・・憂、マッサージしてあげようか?」
憂「大丈夫、本当に大丈夫だから」
唯「そっか。それなら、膝枕してあげるよ」
憂「まだ眠くないよー」
唯「良いから、良いから。お姉ちゃんの言う事を聞きなさい」
憂「はーい♪」 ごろん
唯「憂、いつもありがとね」
憂「どうしたの、急に」
唯「あずにゃん、今日すごい眠そうだったんだよね。それなのに憂は普段通りにご飯を作ったり、色々頑張ってくれたから。ありがとうって思ったんだ」
憂「私は全然疲れてないし、お姉ちゃんはいつも軽音部で頑張ってるじゃない」
唯「私はお茶飲んでるだけだよ。・・・私もこれからは姉として。先輩として頑張らないとね」
憂「お姉ちゃん♪」
唯「憂ー♪」
翌朝、教室
唯「という訳で昨日は、憂に添い寝してあげました」
和「たまにはお姉さんぽい事もするのね」
唯「てへへ」
律「うぃーっす」
澪「おはよう。今日も暑いな」
唯「夏も、暑くなかったら良いんだけどね」
和「それじゃ、夏とは言わないでしょ」
唯「そかそか」
紬「みんなおはよー。あつはなついわねー」
律「この、ベタな事言いやがって」
唯、澪、和「あはは」
2年、教室
純「あー、暑い。溶けちゃいそうだよ」 ぐったり
梓「夏だからね」 ぐったり
憂「二人とも大丈夫?」
純「そういう憂は、平気そうだね」
憂「昨日は早く寝たから。それに、お姉ちゃんが添い寝してくれたんだよ♪」
純「夏場に一緒に寝るって、暑くない?」
憂「あまり気にした事無いな。でも純ちゃんも、猫ちゃんと一緒に寝たりするでしょ」
純「あまり気にした事無いな」
梓(唯先輩と猫って、同じなの?)
6時限目、屋内プール
律「今日も水泳かー」
澪「夏だからな」
唯「プールサイドで、足をちゃぷちゃぷさせるのって楽しいよね」 ちゃぷちゃぷ
紬「私もやってみるわね♪」 ちゃぷちゃぷ
律「澪、私達もやるぞ」 ちゃぷちゃぷ
澪「全く」 ちゃぷちゃぷ
同時刻、屋内プール対面側
梓「・・・なんか、波立ってない?」
純「海じゃないんだからさ。」
憂「でも、なんだか楽しいよね」
純「まあね。・・・うぷっ」
梓「純、大丈夫?・・・うぷっ」
憂「二人とも大丈夫?でも、どうして波が起きてるのかな・・・。おっと」 ひらっ
梓、純(出来る奴っ)
律「まだまだっ。お前達の本気は、そんな物かっ」 じゃぶじゃぶ
紬「琴吹、力の限り頑張りますっ」 じゃぶじゃぶ
唯「私、もう駄目みたい・・・」 ちゃぷちゃぷ
澪「唯、頑張れっ。諦めるには、まだ早いぞっ」 ちゃぷちゃぷ
唯「みんな、ごめん。私、ここでお別れみたい。みんなに会えて、私・・・」 ちゃぷ
律「馬鹿野郎っ。お前一人だけ行かせるかっ」
紬「唯ちゃん、私の手に捕まってっ」 がしっ
澪「唯、私の手にもだっ」 がしっ
唯「ありがとー。みんな、ありがとー」
律「・・・海岸だ。海岸が見えたぞー」
唯、澪、紬「わーっ♪」
わーっ♪
純「なんか、叫び声が聞こえない?」
梓「聞こえるね」
純「波もすごくなってきたね」
梓「なってきたね」
純「梓、どうしたの?」
梓「なんだか、嫌な予感がするんだよね。・・・うぷっ」
純「え、何が?・・・うぷっ」
憂「二人とも、波を読めば良いんだよ。・・・よっと」 さっ
純「波を」
梓「読む?」
憂「あ、また来たよ」
純「・・・見切った」
梓「えいっ」
ごごごごごーっ
純、梓「・・・だ、駄目だっ」
憂「二人とも、私に捕まってっ。・・・えいっ」 さっ
純、梓(うーいー♪)
律「我々は助かったぞー」
紬「ばんざーい♪」
唯「みんな、ありがとー。ありがとー」
澪「全員揃って、無事生還だ」
律「・・・梓を除いてはな」
澪「私は諦めないぞ。梓は絶対どこかで無事に過ごしてる。・・・絶対だっ」
紬「梓ちゃん、今頃何してるのかしら」
唯「日に焼けて、こげにゃんになってたりして」
律、澪、紬「あはは」
梓(先輩方、何がそんなにおかしいんですか)
唯「・・・あれ、あずにゃん。無事だったんだ」
梓「無事も何も。ここ、屋内プールですよ」
唯「たはは。ついつい、船が難破した後で盛り上がっちゃってね」
憂「お姉ちゃん、無事で良かったね」
唯「ありがとー。憂も、元気そうで何よりだよ」
憂「お姉ちゃん♪」
唯「憂♪」
純(これ、なんの会話?)
律「梓達も水泳だったのか」
梓「これでは、今日の部活もぐだぐだになりそうですね」
紬「それはそれで、また楽しいじゃない」
梓「楽しい、ですか」
紬「ええ。それに後の事を考えて、今の楽しさを我慢する必要は無いと思うのよね」
純「はー。ムギ先輩は良い事言うなー」
梓「私の先輩だからね」 ふふん
唯「そうやって先輩を自慢ちゃうあずにゃんは可愛いねー」 もふもふ
梓「や、止めて下さいよ-」
紬「うふふ♪」
和「何してるの、あなた達」
唯「あ、和ちゃん。プールサイドで足をちゃぷちゃぷさせるのって楽しいよね」
憂「和さんも、ここどうぞ」
和「ありがとう。・・・こう?」 ちゃぷちゃぷ
唯「はー♪」
憂「お姉ちゃん、幸せそうだね」
唯「ちゃぷちゃぷ、楽しいもん」
和「本当、唯はいつも幸せで良いわね」
唯「あー。和ちゃん、今ちょっと馬鹿にしたー」
和「そんな事無いわよ。ね、憂」
憂「ふふ♪」
放課後、教室
律「・・・いかん、マジで眠い」
澪「目を閉じただけで眠れそうだ」
紬「今日の練習、どうする?梓ちゃんも疲れてるだろうし」
唯「中止にしようか、さすがに」
律「・・・甘っちょろい事言ってんじゃねーっ」 ばんっ
澪「で、その心は」
律「ちょっとは驚けよな」
紬「だってりっちゃん、そんな事で怒らないもの」
唯「りっちゃん、りっちゃん」
律「ちぇー」
澪(分かってる。みんな分かってる♪)
律「つまりさ。眠いしだるいし、今すぐ帰って布団に潜り込みたいよ。本当、すげー眠いんだよ。気を抜いたら溶けそうなくらい眠いんだよ」
澪「やっぱり帰るのか」
律「だーかーら。私達が、眠気ごときに負けてどうするのかって話さ」
紬「睡魔対私達。世紀の決戦ね」
唯「さっきまでスイマーだったしね」
唯、紬「あはは」
律「とりあえず、すいませんって言ってもらおうか」
澪「で、睡魔とどう戦うんだ」
律「言うまでも無いだろ」
澪「・・・なるほどな。みんな、部室に急ぐぞっ」 とたとたっ
律「この。負けるかっ」 とたとたっ
紬「私だってっ」 とたとた
和「唯も行かないの?」
唯「和ちゃんは眠くないかなと思ってね。この後、生徒会の活動があるんでしょ」
和「心配してくれてありがとう。私は大丈夫だから、唯も無理しないでね」
唯「ありがと。・・・やっぱり良いよね、学校って。色々大変だけど、その分やり甲斐があるって最近思うようになってきたよ」
和「唯がそんな事言うなんて、私も年をとる訳だわ」
唯「もう、ひどいよー」
和「ごめん、ごめん。それじゃ私も、生徒会室に行くわね」
唯「うん。途中まで、一緒に行こうよ」
和「分かったから、そんなに引っ張らないで」
唯「てへへー♪」
2年教室
純「あー。今日、ジャズ研休みでよかった」 ぐったり
梓「軽音部はどうかな」 ぐったり
憂「今日はお休みしたら?」
梓「・・・いや、一応顔だけは出さないと。先輩達、来てるかも知れないし」
純「あれだけ動いて今日練習してたら、マジ尊敬しちゃうかも」
梓「・・・してなくても、尊敬しちゃうけどね」
純「ん?梓ちゃん、何言った?」
梓「純の馬鹿ー」 じたばた
憂「ふふ♪」
廊下
梓「どうして純も付いてくるのよ」
純「良いじゃない。ジャズ研は休みなんだし、梓も先輩達がいなければ帰るんでしょ」
梓「まあね」
憂「つまり純ちゃんは、梓ちゃんと一緒に帰りたいんだよね」
純「なっ」
梓「ふーん」 にやにや
純「憂の馬鹿ー」 じたばた
憂「ふふ♪」
軽音部、部室前
ジャジャーン♪
梓「・・・嘘、練習してる」
純「嘘って何よ、嘘って」
梓「はは、冗談冗談。・・・もしかしてこれはテープの音源で、先輩達はどこかに隠れて私を見てるのかな」
純「なんのためによ。でも先輩達がいるのなら、私は帰ろうかな」
梓「遠慮しなくて良いって。純もたまには、顔を出しなよ」
純「・・・怖くない?」
梓「困った先輩はいるけど、怖い先輩なんて一人もいないよ」
憂「怖いのはむしろ、梓ちゃんだよね」
梓「うー、いー」
純「あはは」
カチャ
梓「済みません、遅れました」
純、憂「お邪魔します」
律「おう、梓。ん?純ちゃんと憂ちゃんも一緒か」
純「今日、ジャズ研がお休みなので。・・・皆さん練習してますけど、眠くないんですか」
紬「がっつり眠いでーす」
純(何故ピースサイン)
澪「つまり私達は、音の戦士な訳さ」
純(澪先輩、眠いのかな)
梓(違うと思うよ、多分)
唯「今私達って、すごい眠いじゃない。だから演奏をして、眠気を吹き飛ばそうって訳」
梓「ああ、なるほど。それはちょっと面白そうですね」
律「ハードな演奏をすれば、眠気なんて吹き飛んでくぜ」
澪「新たな戦士も登場したしな。ニューエイジ、サウンドエンジェルだ」
律「・・・それははともかく、純ちゃん達も一緒にやろうぜ」
純「こ、光栄ですっ。サウンドエンジェル・ピュアベルとして、一所懸命頑張りますっ」
憂「えーと、私は」
澪「大丈夫。そこは、平沢姉妹の秘められたシスターズパワーが発動するから」
唯「憂は、オルガンお願いね。メロディだけで良いから」
梓(なんだろう、唯先輩がまともに感じる)
澪「ぴゅあっぴゅあっ、ふわっふわっ♪ぴゅあっぴゅあっ、ふわっふわっ♪」
紬「それで、何を演奏する?」
律「夏だから、夏っぽいのにするか」
唯「ウサギとカメは?」
律「・・・夏っぽいか、それ?」
紬「でも、この学校っぽくはあるわよね」
純「ああ、手すり」
憂「うんうん」
梓「私は構いませんが」
澪「コード進行も簡単だし、良いんじゃないのか」
律「そうだな。それじゃウサギとカメを、思いっきり熱く演奏するぞっ」
唯、澪、紬、梓、純、憂「おーっ」
紬「もしもしカメよーカメさんよ-」
唯「カメさん頑張れーっ」
澪「世界のうちで、お前程ー」
律「負けんなー、ウサギーッ」
純「なんだか、無闇に熱いね」
梓「無闇に、意味も分かんないけどね」
憂「でも、なんだか楽しいよ」
純、梓「うんっ♪」
5分後
純「・・・」 うつらうつら
梓「ちょっと、純」
律「純ちゃん寝てるのか?」
紬「今日はここでお開きにする?」
澪「私達も、さすがに眠いしな」
純「・・・ジャズ研、舐めんなーっ」 ぼぼーん
唯「あはっ。軽音部も負けないよー」 じゃじゃーん
律「おっし。私達も、本気出してくぞー」
澪、紬「おーっ」
律「無茶苦茶眠いぜーっ」
紬「もう、今すぐ寝ちゃいそうーっ」
澪「帰ったら、すぐ寝るぞーっ」
唯「軽音部ふぁいとーっ」
純「ジャズ研最高ーっ」
梓「純、すごいな」
憂「私達も負けずに頑張ろうよ。・・・お姉ちゃーん♪」
唯「うーいー♪」
梓「あはっ。やってやるでーすっ」
軽音部部室前
さわ子「あー、疲れた。お茶とお菓子は良いけど、ここまで上がってくるのが大変なのよね」
やってやるですーっ
さわ子「・・・なんだか、滅茶苦茶盛り上がってるじゃない」
ぎゅぃーん、ぎゅぎゅぎゅいーん
さわ子「・・・私も、ちょっと混ぜてもらおうかしら」
今日は夜通し演奏するぞー
さわ子「・・・ギター、持ってこようっと♪」 とたとたっ
カチャ
さわ子「お前達、私が来るのを待っていたっ・・・」
しーん
さわ子「・・・もしかしてみんな、寝ちゃってる?」
和「ええ、さわこ先生」
さわ子「もう、せっかく演奏に混ぜてもらおうと思ったのに」
和「みんな張り切りすぎて、疲れちゃったみたいです。私も今来た所なんですけど」
さわ子「仕方ない。演奏は、また今度にするか。真鍋さん、みんなを起こしたら早く帰るのよ」
和「はい。お疲れ様でした」
さわ子「お疲れ様。あーあ。こんな事なら、メイクしてくるんじゃなかったわ」 ぱたん
和(それで、あの顔だったのか)
夕方、商店街
唯「さわちゃんのメイク、私も見たかったなー」
和「唯も憂も、ぐっすり寝てたんだから仕方ないじゃない」
唯「たはは。・・・こんな時間になっても、まだ明るいね」
和「だって、夏だもの」
唯「みんなの影が、重なってるよ」
和「そうね」
憂「昔は3人で、良く一緒に家へ帰ったよね」
和「ええ。ついこの間みたいに思ってたけれど。なんだか、すごく懐かしく感じられるわ」
憂「お姉ちゃんは部活に頑張ってるし、和ちゃんは生徒会だし。小学校や中学校で分かれちゃったりした事もあるから」
和「・・・和ちゃん、か。憂、学校だとそう呼ばないわね」
憂「やっぱり上級生だし、生徒会長だし。そこはやっぱり、私も気を遣うよ」
唯「そかな。クラス委員長になっても生徒会長になっても、和ちゃんは和ちゃんだよ」
和「本当、唯は昔変わらないわね」
憂「だって、お姉ちゃんだもん」
和「そういう憂もね」
憂「え、そうかな?」
和「本当、あなた達姉妹は♪」
憂「・・・いつまでも、こうして一緒にいられるといいのにね」
和「そうね。でも・・・」
唯「大丈夫だよ。和ちゃん、憂」
和「どうして?」
唯「今こうして一緒にいられるって事は、みんな一緒にいたいって事だもん。だから私達は、ずっと一緒にいられるんだよ」
憂「お姉ちゃん♪」
唯「和ちゃん。今日はうちに、泊まりにおいでよ」
和「・・・そうね、たまには良いかも知れないわね」
唯「やった。和ちゃんと一緒のベッドで眠るなんて、本当に昔に戻ったみたい♪」
和「一緒のベッドなのは決定なの?」
唯「勿論です。憂が右、和ちゃんが左。私が真ん中ね」
和「全く、ちゃっかりしてるんだから」
憂「でもお姉ちゃんがベッドから落ちると大変だから、私はその方が安心だよ」
唯「憂ー♪」
憂「お姉ちゃん♪」
和「・・・やっぱりあなた達は、私が見守らないと駄目みたいね。・・・これからも、ずっと」
終わり
72 : 以下、名... - 2011/11/08(火) 21:32:10.22 4JepvvG5P 56/56
ここまでお読み頂き、ありがとうございました。
後半の澪はやり過ぎかとも思いましたが、徹夜明けのハイテンションみたいなノリという事でご容赦を。
テーマとしては、「唯憂和」ですね