1 : 以下、名... - 2011/01/08(土) 01:01:55.50 ZiKesIEqP 1/196


「おい」

「はい?」

「なんでここにいる」

「失礼だなあ」

ぷくっと顔を膨らせて。

「可愛い妹が兄の帰りを待っていたのさ」

「ならなんで物色してんだよ」

俺の部屋に忘れ物なんてないはずだ。



元スレ
妹「軽度のブラコンだから」
http://raicho.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1294416115/

2 : 以下、名... - 2011/01/08(土) 01:04:14.48 ZiKesIEqP 2/196


「は、ハサミー!」

「そんな妹はいらない」

妹のとっさの物真似は。

どちらかというと、コジコジっぽかった。

……あれ、あってるのか。

「いいじゃん、ちょっとくらい……」

ボソボソと喋りながら、物色再開。


3 : 以下、名... - 2011/01/08(土) 01:06:36.69 ZiKesIEqP 3/196


「させるか!」

「セクハラ」

「急に女になるな」

「でも、安易に体を触るのは……ちょっとねえ」

「なんだよ」

ジト目やめろ。


6 : 以下、名... - 2011/01/08(土) 01:08:53.26 ZiKesIEqP 4/196


「……んーん、なんでもない」

「お、おい」

「もういいや、ごめんなさい」

頭を下げて、部屋に戻った。

「……」

なんか、急に焦燥感。


7 : 以下、名... - 2011/01/08(土) 01:10:23.53 ZiKesIEqP 5/196


ちょっとくらい相手してやるのになあ。

急にいなくなるとつまらない。

暇だ。

妹よ、暇だぞ。

お兄ちゃん、暇だよ!?

「……いやいやいや」

妹と遊ぶとか。

何考えてんだか。


9 : 以下、名... - 2011/01/08(土) 01:12:09.59 ZiKesIEqP 6/196


でも、気になるよな。

帰ってきたらいきなり部屋を漁ってんだから。

もちろん。

俺相手だから、めちゃくちゃ薄着だったし。

妹じゃなかったら襲ってたぞ。

いや、それはないか。

「妹ー、飯ー」


10 : 以下、名... - 2011/01/08(土) 01:14:17.50 ZiKesIEqP 7/196


「はいはい」

「なんだそのめんどくさそうな返事は」

「いつもと変わらないじゃん」

「いいや、違うな。いつもはもっと『はぁい♪』だったはずだ」

「裏声はきついよ」

むぅ、冗談に乗ってこないか。


11 : 以下、名... - 2011/01/08(土) 01:18:21.30 ZiKesIEqP 8/196


と、言いつつ、俺に飯を運んでくる。

手際良いなあ、こいつ。

「なんだよ、おとこでもできたか?」

ピクリと。

妹の体が動く。

「……」

あれ、図星か?

最後に、妹はコップを凄い音を鳴らして置いた。

「そんなわけ、ないじゃん」

……どうやらこいつの口癖は『~じゃん』らしい。


12 : 以下、名... - 2011/01/08(土) 01:19:48.56 ZiKesIEqP 9/196


というか、なんかめっちゃ怒ってる。

「あ、醤油切れてる」

「せうゆ切れたの?」

「……買ってくるね」

「ちょ、ちょい待ち」

ボケをスルーしたあげくの放置はきついぜ。


14 : 以下、名... - 2011/01/08(土) 01:22:22.24 ZiKesIEqP 10/196


「なに?」

うわあ、めっちゃ冷たい視線。

「なら一緒に行こうぜ、一人は寂しいぜ」

「なに、シスコン?」

「違う、オリコンだ」

オリジナルシスターコンプレックス。

「……行ってきまーす」

「待てって!」

悪かった、悪かったって!


16 : 以下、名... - 2011/01/08(土) 01:24:35.05 ZiKesIEqP 11/196


「私が出したご飯どうするつもり?」

「食べるから!」

「醤油無いけど?」

「食べるから!」

「じゃあその間私は?」

「食べるから!」

「い、妹を食うな!」

「ぐはっ!」

全部『食べるから!』はまずかったか!


19 : 以下、名... - 2011/01/08(土) 01:29:39.37 ZiKesIEqP 12/196


「まったく……」

「……行ってらっしゃい」

「もうっ」

妹は椅子に腰かけた。

「ん?」

「待っててあげるから、食べなよ」

「おお!」

流石妹!

「やいやい、このブラコン!」

「行っていい?」

「悪かった」


20 : 以下、名... - 2011/01/08(土) 01:32:17.00 ZiKesIEqP 13/196


それでは、改めて。

「いただきます」

「はい、どうぞ」

機嫌が一向に直らない。

「……うん、いつもながら美味い」

「良かった」

顔は全然喜んでないんだが。


21 : 以下、名... - 2011/01/08(土) 01:34:34.61 ZiKesIEqP 14/196


「……」

黙々と食べる。

「あんまり早く食べると体に悪いよ」

「お前を待たせてるから早く食べてるんだ」

「嬉しいこと言うじゃん」

あ、笑った。


23 : 以下、名... - 2011/01/08(土) 01:35:53.12 ZiKesIEqP 15/196


「もし、さ」

「うん」

「人生相談したいって言ったらどう思う?」

「お前のキャラに合わないと思う」

「流石だね」

また、笑う。

ツボがわからん。


25 : 以下、名... - 2011/01/08(土) 01:39:17.41 ZiKesIEqP 16/196


「あのさあのさ」

「あん?」

……待て、妹。

身を乗り出すと、ブラが見えちまうぞ。

いや、別に興味は無いぜ?

妹のブラなんかな。

でもな。

おとことして、おとことしてはこのシチュエーションは素晴らしい。


26 : 以下、名... - 2011/01/08(土) 01:41:00.12 ZiKesIEqP 17/196


「明日のご飯何がいい?」

「え、えーっとだな」

ブラは忘れるんだ、ブラは忘れろ。

妹のなんの魅力も無い幼稚なブラなんか忘れろ。

お前は兄だろ、しっかりするんだ!

「飾り気のあるのが、いいかな」

何言ってんだ俺は!?


28 : 以下、名... - 2011/01/08(土) 01:46:22.65 ZiKesIEqP 18/196


「ふぅん……」

「……」

これは、謝ろう。

謝った方がいい。

「どんな感じがいいのかな?」

「色は白!」

「白!?」

ああああ、止まらねえええ。


29 : 以下、名... - 2011/01/08(土) 01:50:52.35 ZiKesIEqP 19/196


「ネットは得意じゃないけど、調べてみようかな……」

「いやいや、わざわざ買わなくてもいいんだぞ」

「違うよ、レシピ!」

む、こいつ、なんの話をしてるんだ?

……まさか、錬金術師か!?

ブラの錬金術師!?

「……どこ見てんの?」

やべ、凝視してた。


30 : 以下、名... - 2011/01/08(土) 01:52:21.63 ZiKesIEqP 20/196


「いや、一心不乱に飯を食ってたから他のことに目がいかなかった」

「そっか」

「……」

また、黙々と食べる。

「あのさあの――」

「ふぃ、ご馳走さま!」

「あ……うん」

なんだよ、食べ終わったんだぞ。

名残惜しそうだぞこの野郎。


32 : 以下、名... - 2011/01/08(土) 01:56:57.59 ZiKesIEqP 21/196


「食べ終わったらあっちに置いといて」

「へいへい」

お前は母さんか。

「あとで洗うから……とりあえずお醤油買いに行こう」

「おう」

「着替えるから、待ってて」

「よし、手伝おう」

「……本気?」

んなわけあるか。


35 : 以下、名... - 2011/01/08(土) 02:00:37.69 ZiKesIEqP 22/196


「嘘だよ嘘」

「……覗かないでね」

わお、警戒心マックスじゃないか。

覗くなと言われて、覗かない奴がいるか!?

覗いてやるぜヒャッハー!

とまあ、ちょっと世紀末風にはしゃいでみたけれど。

うん、覗きませんよ、俺は。


36 : 以下、名... - 2011/01/08(土) 02:02:59.51 ZiKesIEqP 23/196


そして待つこと数分です。

うふふ。

ごめん、ちょっと調子に乗った。

「おまたせ」

「何十分待たせるつもりだ!」

「そんなに待ってないじゃん」

「……いやあ、もっとこう、あのな」

「?」

「もっと豪快にツッコんでくれよ」

「そういう趣味なの?」

あれ、なんか勘違いされた?


37 : 以下、名... - 2011/01/08(土) 02:05:55.09 ZiKesIEqP 24/196


「違う違う、全然違う!」

そういうのじゃなくてさ。

「はははっ」

……笑うなよ。

「おかしいね」

おかしくねーし。

「ほら、行こ」

「ほいほい」


38 : 以下、名... - 2011/01/08(土) 02:08:21.21 ZiKesIEqP 25/196


なんか、よくわからないけど、腑に落ちないぞ。

「どう?」

「あん?」

「ちょっとませてるかな?」

「いんや」

最近の子はこんなもんなんじゃないか。

「まあ、お前が何を着てもませガキとしか思わん」

「子供扱いはやめて」

怒った。


40 : 以下、名... - 2011/01/08(土) 02:12:07.28 ZiKesIEqP 26/196


でも、ませてるとか言ったのはお前だぞ。

「悪い悪い」

「ふんっ」

怒り方がまだまだ子どもだな。

可愛い奴め。

「bigAに行くのか?」

「普通にダイエーでいいじゃん」

いやいや。

だからここでツッコんで欲しいのよ。


42 : 以下、名... - 2011/01/08(土) 02:18:01.23 ZiKesIEqP 27/196


「まあ、そうだね」

「近いしな」

「うん」

そういえば。

とても久しぶりに一緒に歩く気がする。

「明日、暇か?」

「え?」

まあね、と。

軽い返事。


43 : 以下、名... - 2011/01/08(土) 02:20:02.68 ZiKesIEqP 28/196


「そうか」

「え、聞いただけ?」

「そうだけど」

「じゃあ、聞かないでよ」

つまんない、とつぶやく。

なんだよ、期待してたのかよ。


44 : 以下、名... - 2011/01/08(土) 02:21:34.20 ZiKesIEqP 29/196


「そういえばさ」

「ん?」

「お前、打ち上げとか行かないのか?」

よく、体育祭とかのシーズンになると色んなところでうるさい中学生やらを見かけるけど。

「それを言ってる人がどうなのやら」

……。

誘われたことはあっても、行った記憶はないな。


45 : 以下、名... - 2011/01/08(土) 02:24:05.33 ZiKesIEqP 30/196


「ご飯作らなきゃ行けないし、外食して無駄なお金使っちゃうし、あんなの意味無いもん」

「でも、お前いつも誘われるだろ?」

「なんでわかるの?」

「だって、面白いもん」

「バカにしてる?」

「滅相もない」

「バカだから面白い人と、頭いいから面白い人が世の中には存在するの」

「後者だよ後者」

前者は俺のことを言うのだろう。

……ごめん、バカだけど面白くはなかった。


86 : 以下、名... - 2011/01/08(土) 22:43:46.54 ZiKesIEqP 31/196


もうすぐでダイエーである。

「醤油以外にも、明日の用意も買っておこうかな」

「もう夜遅い。あまり長くはいれないぞ」

「わかってるよ」

誰かさんじゃあるまいし、と。

小さくぼやく。

なんだか、嫌な予感がしてならない。

まあ、いつもそうなんだけどな。


88 : 以下、名... - 2011/01/08(土) 22:47:25.38 ZiKesIEqP 32/196


・ ・ ・

「おい」

「はい?」

ビクリと体を震わせてしまった。

やばい、もう帰って来たのか。

いつもはこんな時間に帰ってこないのに。

もっと遅いじゃん。

「なんでここにいる」

「失礼だなあ」

私は頬を膨らませた。

「可愛い妹が兄の帰りを待っていたのさ」

「ならなんで物色してんだよ」

さて、なんのことでしょう?


89 : 以下、名... - 2011/01/08(土) 22:49:33.91 ZiKesIEqP 33/196


とりあえず、ボケて逃げよう。

「は、ハサミー!」

「そんな妹はいらない」

あらら、ちょっとコジコジみたいになっちゃった。

まあ、いっか。

「いいじゃん、ちょっとくらい……」

さて。

唐突に私の脇腹をあの人が掴む。

「させるか!」


90 : 以下、名... - 2011/01/08(土) 22:51:34.75 ZiKesIEqP 34/196


私が決意を新たにした瞬間に何してんの、この人。

くすぐったい。

「セクハラ」

「急に女になるな」

……女だし。

そういうのは妹だから~とかでもダメだよ。

「でも、安易に体を触るのは……ちょっとねえ」

「なんだよ」

なんかたじろいでる。面白い。


91 : 以下、名... - 2011/01/08(土) 22:53:42.07 ZiKesIEqP 35/196


反応しなくなっちゃった。

「……んーん、なんでもない」

いつも同じ反応で、面白くない。

「お、おい」

つまんないの。

「もういいや、ごめんなさい」

もっと困ってくれてもいいじゃん。

「……ふんっ」

ほんと、退屈。


92 : 以下、名... - 2011/01/08(土) 22:56:02.80 ZiKesIEqP 36/196


私からしかけるといつもこう。

自分からはノリノリで来るくせに。

私からのノリには合わせてこない。

自分勝手な人。

ベッドに倒れこむ。

「……はぁ」

小さく溜息。

こぼしても、意味無いけれど。

「妹ー、飯ー」

だったら私があなたの部屋を出る前に行って欲しい。


93 : 以下、名... - 2011/01/08(土) 22:57:58.50 ZiKesIEqP 37/196


「はいはい」

「なんだそのめんどくさそうな返事は」

なるでしょ、それは。

それにさ、

「いつもと変わらないじゃん」

「いいや、違うな。いつもはもっと『はぁい♪』だったはずだ」

……出ました、この人のノリ。

「裏声はきついよ」

ご飯はできてるので、とりあえず持ってこよう。


94 : 以下、名... - 2011/01/08(土) 23:01:08.73 ZiKesIEqP 38/196


「なんだよ、おとこでもできたか?」

……え?

「……」

私は硬直した。

いるのがバレたからではない。

実際のところ、いない。

それでも私は、怒った。

違う意味で、だけど。

それでも平然を装って、コップを持っていく。

「そんなわけ、ないじゃん」

動揺を隠し切れていないなぁ、自分。


96 : 以下、名... - 2011/01/08(土) 23:03:45.42 ZiKesIEqP 39/196


……落ち着こう、すこし。

とりあえず、台所の周りの整理でもして、落ち着こう。

……あれ?

「あ、醤油切れてる」

どうしよう。醤油が無いとあの人、食べれない。

「せうゆ切れたの?」

ここでもボケてくるか。

「……買ってくるね」

スルー、スルー。 

「ちょ、ちょい待ち」

ツッコまれないときついだろうなあ。

「なに?」

ちょっときつめの視線で睨む。


97 : 以下、名... - 2011/01/08(土) 23:05:02.16 ZiKesIEqP 40/196


「なら一緒に行こうぜ、一人は寂しいぜ」

いきなり、なんなの。

「なに、シスコン?」

理由は何?

「違う、オリコンだ」

もう、めんどくさい。

「……行ってきまーす」

「待てって!」


98 : 以下、名... - 2011/01/08(土) 23:06:04.22 ZiKesIEqP 41/196


「私が出したご飯どうするつもり?」

「食べるから!」

あ、良い返事。

「醤油無いけど?」

「食べるから!」

でも、それはちょっと悪いかも。

「じゃあその間私は?」

「食べるから!」

「い、妹を食うな!」

「ぐはっ!」

いきなり性的なのは困る。


99 : 以下、名... - 2011/01/08(土) 23:07:39.64 ZiKesIEqP 42/196


「まったく……」

呆れた人。

「……行ってらっしゃい」

「もうっ」

どうして私は甘いのかな。

「ん?」

「待っててあげるから、食べなよ」

「おお!」

ふん、なに喜んでるんだか。

「やいやい、このブラコン!」

……。

「行っていい?」

「悪かった」

素直でよろしい。


100 : 以下、名... - 2011/01/08(土) 23:10:22.76 ZiKesIEqP 43/196


彼は箸を持って、手を合わせた。

「いただきます」

「はい、どうぞ」

やっと、食べ始める。

「……うん、いつもながら美味い」

「良かった」

工夫とか、色々してるからね。

不味いなんて、言わせない。

「……」

荒々しい食べ方。ちょっと汚い。

「あんまり早く食べると体に悪いよ」

「お前を待たせてるから早く食べてるんだ」

ふうん、そっか。

「嬉しいこと言うじゃん」

ちょっと、嬉しい。


102 : 以下、名... - 2011/01/08(土) 23:12:23.37 ZiKesIEqP 44/196


「もし、さ」

「うん」

「人生相談したいって言ったらどう思う?」

……って、何聞いてんだろ。

いきなりこんなこと言われても、答えらんないじゃん。

「お前のキャラに合わないと思う」

……そうなんだ。

「流石だね」

よくわかってるじゃん。


103 : 以下、名... - 2011/01/08(土) 23:14:28.68 ZiKesIEqP 45/196


私は何がしたいのだろう。

「あのさあのさ」

また、話を振る。

「あん?」

「明日のご飯何がいい?」

また、他愛のない質問。

『なんでもいいよ』って、言われちゃうじゃん

「え、えーっとだな」

あ、考えてる。

なんか、またボケられるかと思ったけど。


104 : 以下、名... - 2011/01/08(土) 23:18:47.05 ZiKesIEqP 46/196


ちょっと期待してる自分がいる。

「飾り気のあるのが、いいかな」

なかなかない答えだった。

「ふぅん……」

せっかく言ったのに、前向きな答えを出せなかった。

「……」

ちょっとあっちが落ち込んじゃってる。

これはダメだ。

「どんな感じがいいのかな?」

「色は白!」

「白!?」

白い、料理!?


106 : 以下、名... - 2011/01/08(土) 23:20:53.04 ZiKesIEqP 47/196


ここまで言ってくれたんだ。何かで見たのかな、聞いたのかな。

「ネットは得意じゃないけど、調べてみようかな……」

「いやいや、わざわざ買わなくてもいいんだぞ」

「違うよ、レシピ」

私が作らなきゃ意味無いじゃん。

あなたに美味しいものを作ってあげたいんだから。

……あ、今の無しだから。

とか言ってると、私の胸元を、彼が見ている。

「……どこ見てんの?」


107 : 以下、名... - 2011/01/08(土) 23:23:25.12 ZiKesIEqP 48/196


「いや、一心不乱に飯を食ってたから他のことに目がいかなかった」

それもそうか。

こんな貧相な胸見ても、面白くないよね。

「そっか」

「……」

会話が途切れてしまった。

なんでもいい、話を続けよう。

「あのさあの――」

「ふぃ、ご馳走さま!」

「あ……うん」

どうやら、終わってしまったらしい。


108 : 以下、名... - 2011/01/08(土) 23:27:50.33 ZiKesIEqP 49/196


「食べ終わったらあっちに置いといて」

「へいへい」

「あとで洗うから……とりあえずお醤油買いに行こう」

片づけはいつでもできるからね

「おう」

「着替えるから、待ってて」

薄着じゃあ、寒いし。

……って、私この人の前でちょっと露出しすぎじゃない!?

「よし、手伝おう」

え、ええ!?

「……本気?」

ちょっと、怖い。

「嘘だよ嘘」

「……覗かないでね」

性的なボケにはまだ慣れない。


109 : 以下、名... - 2011/01/08(土) 23:29:14.50 ZiKesIEqP 50/196


ふう。

何期待してるんだか。

覗きになんてこない来ない。

彼のことだ、やはりただの冗談。

……一度、ドアを振りかえる。

彼はいない。

……そういえば、いつ頃から私は彼のことを。

『お兄ちゃん』と呼ばなくなったのだろう。


110 : 以下、名... - 2011/01/08(土) 23:32:04.37 ZiKesIEqP 51/196


考えるだけ無駄。意味ない、意味ない。

ササっと着替えよう。

私が待たせてたら意味がない。意味ない、意味ない。

「おまたせ」

「何十分待たせるつもりだ!」

ああ、またか。

「そんなに待ってないじゃん」

自分のボケだけを見てほしいのはわかるけどさ

「……いやあ、もっとこう、あのな」

「?」

「もっと豪快にツッコんでくれよ」

ついにツッコミ要請してきた。

「そういう趣味なの?」

追い打ちをかけてみたり。


111 : 以下、名... - 2011/01/08(土) 23:33:27.49 ZiKesIEqP 52/196


「違う違う、全然違う!」

凄い必死だ。

「はははっ」

つい、笑ってしまう。

だっておかしいじゃん。

「おかしいね」

ちょっと、彼を倒した気分。

「ほら、行こ」

「ほいほい」


113 : 以下、名... - 2011/01/08(土) 23:35:10.23 ZiKesIEqP 53/196


少し歩いて。

「どう?」

「あん?」

「ちょっとませてるかな?」

……いや、いや。

なにしてるの、私。

服装のこと聞くとか。

……彼女じゃ、あるまいし。

「いんや」

それ相応、ってところの評価かな

「まあ、お前が何を着てもませガキとしか思わん」

「子供扱いはやめて」

私は怒った。子供扱いは、嫌い。


115 : 以下、名... - 2011/01/08(土) 23:37:06.99 ZiKesIEqP 54/196


「悪い悪い」

「ふんっ」

この人にだけは、子ども扱いはされたくなかった。

この人にだけは。

「bigAに行くのか?」

bigA? ……ああ、なるほど。

big=大=ダイ、A=エー。

「普通にダイエーでいいじゃん」

ルーさん目指してるの?


116 : 以下、名... - 2011/01/08(土) 23:39:33.87 ZiKesIEqP 55/196


「まあ、そうだね」

「近いしな」

「うん」

あんまりスーパーなんか行かないくせに、よく知ってるじゃん。

二人で買い物なんて、何年ぶりよ。

覚えてないや。

「明日、暇か?」

「え?」

サラッと、質問される。

明日は、どうだったっけ。

考えろ私、もしかしたら、どこかに行けるかもしれない。

彼と、どこかに。

「まあね」

確か、なかったはず。


117 : 以下、名... - 2011/01/08(土) 23:41:06.15 ZiKesIEqP 56/196


「そうか」

……え?

「え、聞いただけ?」

「そうだけど」

『どこか行くか?』とかじゃないの?

……。

「じゃあ、聞かないでよ」

最悪。

期待させないで欲しい。


118 : 以下、名... - 2011/01/08(土) 23:42:33.81 ZiKesIEqP 57/196


つまんない。

私は知らぬ間に、つぶやいていた。

どういう意味で言ったのかは、自分でもわからなかった。

「そういえばさ」

「ん?」

あちらから、話を振ってくる。

なんだろう。

「お前、打ち上げとか行かないのか?」

……私、邪魔なのかな。

「それを言ってる人がどうなのやら」


120 : 以下、名... - 2011/01/08(土) 23:51:04.29 ZiKesIEqP 58/196


「ご飯作らなきゃ行けないし、外食して無駄なお金使っちゃうし、あんなの意味無いもん」

「でも、お前いつも誘われるだろ?」

「なんでわかるの?」

誘われても、いかないし。

「だって、面白いもん」

嘘つき。

「バカにしてる?」

「滅相もない」

それがバカにしてるって言うんだよ。

「バカだから面白い人と、頭いいから面白い人が世の中には存在するの」

「後者だよ後者」

なに、ムキになってるんだろ。


123 : 以下、名... - 2011/01/08(土) 23:56:09.58 ZiKesIEqP 59/196


もうすぐでダイエーなのに。

悪い雰囲気。

「醤油以外にも、明日の用意も買っておこうかな」

その間に、調子を戻そう。

久しぶりに、二人だし。

家じゃあんまり話さないからね。

「もう夜遅い。あまり長くはいれないぞ」

「わかってるよ」

誰かさんじゃあるまいし。

なんて、私はつぶやいた。

今日だって、遅く帰ってくると思ってたし。

ちょっと、自分で言って嫌な感じ。

・ ・ ・


128 : 以下、名... - 2011/01/09(日) 00:27:51.32 7RJff9kGP 60/196


俺はスーパーに行くと。

ガキのころからこれはかかさずやっていた。

お菓子売り場に直行してしまう癖がある。

仕方ない。

まだまだ心は子どもである。

と、いうわけで早速。

「先にどこか行かないでね」

釘打たれた。


129 : 以下、名... - 2011/01/09(日) 00:36:13.33 7RJff9kGP 61/196


「妹を置いて、どこかに行くと思うのか?」

「じゃあなんで私より前にいるの?」

「……」

そそくさと妹より後ろに行く。

くそう、お見通しか。

久しぶりの買い物なのに。

こいつ、天才か。


131 : 以下、名... - 2011/01/09(日) 00:41:04.58 7RJff9kGP 62/196


「お菓子売り場は、後で二人で行けばいいじゃん」

……。

「そうだな」

本当に、記憶力がいいな。

「とりあえず、明日は何がいい?」

「ハンバーグ!」

俺は子どもだ。

「白くて飾り気のあるものじゃなくていいの?」

「こ、こんなところでそんな話するなよ!」

「え?」

めちゃくちゃキョトンとしている。

ブラはダメだぜ、妹。


133 : 以下、名... - 2011/01/09(日) 01:00:45.07 7RJff9kGP 63/196


「俺はハンバーグが食べたいんだ!」

それは譲らんぞ!

「いつもと同じじゃん」

「いいだろ、別に」

はははっ、と。

軽快に笑いやがる。

「まあ、いっか」

ニッコリと笑う。


134 : 以下、名... - 2011/01/09(日) 01:03:25.87 7RJff9kGP 64/196


二重に笑うなんて言葉を使ったけど。

一つ目は笑い声。

二つ目は顔が笑ったということだ。

まあ、わかるか。

「じゃあ、ハンバーグの用意、しなきゃね」

「そうだな、まず肉をだな……」

「結局先に行くんじゃん」

別にこれはいいだろ。

俺の勝手である。


136 : 以下、名... - 2011/01/09(日) 01:07:34.74 7RJff9kGP 65/196


その時。

俺の目の前には。

見たことのある人物がいた。

小さな背丈。

憎たらしい笑顔。

「おや?」

こちらに気づいてしまったようだ。

近づいてくる。

「やあ、奇遇だね」


141 : 以下、名... - 2011/01/09(日) 01:19:06.46 7RJff9kGP 66/196


「お前……」

「ふふ、こんなところで出会うなんて、運命かな?」

そんなわけないだろう。

「なにをしてるんだい? 君がこんなところにいるなんて」

「妹と買い物に来てる」

「こんな時間に……怪しいね」

怪しくねえよ。


142 : 以下、名... - 2011/01/09(日) 01:24:56.59 7RJff9kGP 67/196


「先に行かないでよ……あっ」

「……お、おう」

「やあ」

「ど、どうも」

「ふふっ、妹くん、奇遇だね」

これは面倒くさい。

別にこいつらの仲が悪いわけじゃないけど。

妹はやつに、優しいから……。

「……じゃあ、私は買い物の続きしてるから、喋ってていいよ」

「いや、俺も――」

「いい。邪魔だから」

そんな、酷いぜ。


143 : 以下、名... - 2011/01/09(日) 01:32:25.01 7RJff9kGP 68/196


「ふふ、反抗期かな?」

「そうなのだろうか……」

ちょっと心配だ。

すこしくらい生意気でも可愛いやつなのに。

実の兄を『邪魔』ってお前……。

「まあ、そういうことだから」

「あん?」

「ボクも買い物をするよ」

「そうか? じゃあ俺はどうすればいい?」

「それは君が決めるんじゃないか?」


144 : 以下、名... - 2011/01/09(日) 01:35:17.88 7RJff9kGP 69/196


なんだよ。

なんかいつもと違うぞ。

「じゃあ、付きあわせろ」

「人がいるよ……?」

「いつものシャレを入れるな」

「ダメかい?」

……こいつはこいつだな。


149 : 以下、名... - 2011/01/09(日) 01:46:17.24 7RJff9kGP 70/196


「それにしても君は……」

「あん?」

「……鈍いね」

「誰がのろいって?」

「違うよ、にぶいと言ったんだ」

漢字は一緒だ。

「気づかない?」

「なにがだよ」

知らぬ間に、俺に何かしたのか?


151 : 以下、名... - 2011/01/09(日) 01:53:08.60 7RJff9kGP 71/196


「ふうん……」

よくわからんことを言うやつだ。

「これはボクがどうにかできるものじゃないね」

「は?」

「それじゃあ、ボクは買い物に戻るね」

「じゃあ、付き合うぞ」

「いいよ、邪魔だから」

ニッコリと。

小悪魔的な発言。

ひでえ。こいつもひでえ。

「それじゃあ、また」

そして、やつは買い物を再開した。


152 : 以下、名... - 2011/01/09(日) 01:59:27.86 7RJff9kGP 72/196


この後、こいつは俺を完全に無視したため。

仕方なく、俺は妹のところに行くことにした。

妹よ、どこだ。

……妹をちょっと焦りながら探すとは。

どっちが子どもかわからん状態だ。

「あ、いたいた」

「……」

「お、もう色々入ってるな」

「まあね」

口調が刺々しい。


154 : 以下、名... - 2011/01/09(日) 02:05:56.89 7RJff9kGP 73/196


「楽しい会話はいかがでしたか?」

「あれほど苦痛な時間も無い」

「最低」

「なんでだ」

「女さんに失礼だし、私の気遣いにも失礼じゃん」

じゃんが耳から離れなくなるじゃん。

「まあ……あれだ、言葉の綾ってやつだ」

「……平野綾でしょ」

「俺は久川綾だ」

断じてそこは譲らない。

って、いきなりボケるなよ! 真面目に答えちまったぞ!


155 : 以下、名... - 2011/01/09(日) 02:11:51.09 7RJff9kGP 74/196


「んなことより」

「?」

「お前は俺に言うことがあるはずだ」

「なに?」

「謝れ」

「なんで?」

「『邪魔』はさすがに悲しいから」

「邪魔だもん」

あれ、目から汗……?

「お前なぁ」


156 : 以下、名... - 2011/01/09(日) 02:18:37.91 7RJff9kGP 75/196


「めんどくさいの」

「……え」

「あんたの相手」

「……おい」

いくらなんでも。

兄を『あんた』呼ばわりは。

むかつく。

「あんたって、なんだよ」

「……知らない」

「待てよ」

とっさに腕を掴む。


157 : 以下、名... - 2011/01/09(日) 02:20:10.81 7RJff9kGP 76/196


ビクッとして。

「は、離してっ」

顔を赤くする。

なんだこいつ。

「なんだよ」

「……」

あれ……なんか。

泣いてる?

「!」

目をゴシゴシと拭いて。

「……ふんっ」

プイっとそっぽを向く。


219 : 以下、名... - 2011/01/09(日) 22:03:24.87 7RJff9kGP 77/196


「……俺、悪いことしたか?」

「……」

無視。

「なあ?」

「……」

そして、カートをレジに持っていこうとする。

流石にそれを阻止するつもりはなかった。

普通に待とう。

俺は入口付近で待つことにした。


220 : 以下、名... - 2011/01/09(日) 22:10:29.52 7RJff9kGP 78/196


ついに、来てしまったのだろうか。

妹の、反抗期。

いや、思春期か。

……ってこともないか。

どうしよう。

下ネタのボケはスルーだったしな……ううむ。

いや、今日のボケはあんまり拾ってくれなかったって感じ。

「ツッコまれないボケはなんの意味もないんだぞ……」

悲しく、ひとりごちる。


241 : 以下、名... - 2011/01/10(月) 03:41:35.24 qkwc2jQ6P 79/196


「……」

お。おう。

ヌッと俺の後ろにあらわれたのは。

言わなくてもわかるだろうが、妹である。

「入れるのくらい手伝ってよ」

ぷんぷんしてる。


242 : 以下、名... - 2011/01/10(月) 03:42:44.38 qkwc2jQ6P 80/196


「いやあ、俺は邪魔だから」

「それ、屁理屈」

ま、まあ、この子ったら。

女の子のくせに屁だなんて!

「……つまんないこと考えてる?」

「まさか!」

ごめん、考えてました。


245 : 以下、名... - 2011/01/10(月) 03:50:00.71 qkwc2jQ6P 81/196


「……」

冷めた妹だ。

「まあ、なんにせよ、帰ろうぜ」

「女さんに言わなくていいの?」

「言う必要はない」

なにかにつけてやつを出してくるな。

「……そっ」

素っ気ねえ。


246 : 以下、名... - 2011/01/10(月) 03:52:04.61 qkwc2jQ6P 82/196


「……」

「……」

帰宅途中、である。

帰宅途中っていいづらいな、きたくとちゅう。

……気まずい。

俺、何でこんな目に遭わなければならないのか。


247 : 以下、名... - 2011/01/10(月) 03:55:37.94 qkwc2jQ6P 83/196


「……ねえ」

「あん?」

急な言葉。

「……不良みたい」

「い、いや、咄嗟だったから……」

咄嗟に『あん?』って出るのもおかしいけど。

「……まあ、いいや」

見逃してくれた。


248 : 以下、名... - 2011/01/10(月) 04:03:45.81 qkwc2jQ6P 84/196


「……女さんとは、最近どうなの?」

は?

「……付き合ってたり、する?」

いやいやいや。

俺は言いたいね。

さっきお前と同じ反応を俺は取るぞ。

「そんなわけ、ねえだろ」

流石に『~じゃん』まで同じではないけれど。


250 : 以下、名... - 2011/01/10(月) 04:20:25.39 qkwc2jQ6P 85/196


「ふうん……」

「そ、そうだ」

ちょっと、どもっちゃった。

「あの人以上に、仲良い人いるの」

いるとも!

……いる、とも。


252 : 以下、名... - 2011/01/10(月) 04:51:09.75 qkwc2jQ6P 86/196


「……いません」

素直に、俺は答えた。

「……ふぅん」

「ま、まあそういうことだ」

「そうなんだ」

私じゃないんだ、と。

つまらなそうに言った。


253 : 以下、名... - 2011/01/10(月) 04:52:09.57 qkwc2jQ6P 87/196


ちょ、ちょっと待て。

その回答もあったのか?

それで良かったのか?

「……」

ちょっと間が空いてしまった。

突っ込めそうもない。

やめておこう。


305 : >>254 ”削除”しました。 - 2011/01/10(月) 20:06:59.67 qkwc2jQ6P 88/196


「……あのな、妹よ」

「……」

一応、聞いているのだろう。

「俺はお前と仲が良いのではない」

俺は続ける。

「むしろ、愛している、LOVEだ」

「なんでやねん」

ついにツッコんだ。


309 : 以下、名... - 2011/01/10(月) 20:10:52.44 qkwc2jQ6P 89/196


「引いたか?」

「冗談はやめてよ」

「冗談じゃない、愛してる!」

「そういう冗談をやめてって言ってるの!」

怒ってる。

なんだよ、そんな顔真っ赤にすることないじゃん。


311 : 以下、名... - 2011/01/10(月) 20:16:09.91 qkwc2jQ6P 90/196


「俺の目を見ろ! 俺が冗談を言ってるように見えるか」

「っ……」

瞳そらさないで。

「さあ!」

「っ!」

また、そらされる。

「そ、そんな目で……み、見るな」

やべえ、顔赤過ぎる。怒り心頭じゃねえか!


314 : 以下、名... - 2011/01/10(月) 20:32:43.33 qkwc2jQ6P 91/196


「見ろおおおお!」

怒るまで、俺はやめないぜ!

「!」

キッと目を細めて。

俺の頬をぶったたいた。

「はぁ……はぁ……」

息が荒い。SK5!

すでにキレてる5秒後だ。


315 : 以下、名... - 2011/01/10(月) 20:36:30.87 qkwc2jQ6P 92/196


「い、妹……」

「そういう冗談が、一番嫌い!」

そう言って、べーっと舌を出して、走り去った。

もちろん、家に帰ったのだ。

「……やっちゃったかな?」

ここまで怒ると思わなかった。

流石にやりすぎた。

……どうしよう。

どうしようかな。


316 : 以下、名... - 2011/01/10(月) 20:39:07.98 qkwc2jQ6P 93/196


「みんな、どうすればいい?」

そう、ここで俺は。

安価をしようと思う。

というわけで>>……。

いや。

しないけれど。


319 : 以下、名... - 2011/01/10(月) 20:43:00.97 qkwc2jQ6P 94/196


「さて」

歩こう。

家に帰宅して、妹に謝るしかない。

ちょっと俺は、冗談を言いすぎてしまったのかもしれない。

好きなのは本当なんだがなぁ。

……誤解はするなよ?


321 : 以下、名... - 2011/01/10(月) 20:45:48.00 qkwc2jQ6P 95/196


妹は、可愛いやつである。

兄の俺ですら可愛いというくらいなのだ。

きっと俺だからツンツンしているだけで。

学校ではきっとデレデレなのだろう。

……いや、それはそれでいやだな。

逆にして欲しい。

むしろ『お兄ちゃん』って慕って欲しいぞぉ。


323 : 以下、名... - 2011/01/10(月) 20:52:06.71 qkwc2jQ6P 96/196


どうしよう。

こんなことを言っていると。

叩かれた頬が痛む。

「……」

早く帰ろう。

ちょっと、真剣モードにならなくては。


324 : 以下、名... - 2011/01/10(月) 20:54:57.97 qkwc2jQ6P 97/196


帰宅。

「ただいま」

小さく声が響く。

居間が暗い。

……部屋か。

よし。

夜這いだ!


326 : 以下、名... - 2011/01/10(月) 20:58:18.60 qkwc2jQ6P 98/196


「なんてな」

普通に行くんだけども。

「おーい、妹?」

ドアをノックする。

「いるかー」

いるに決まっているけど、一応確認。

「いません」

いた。


334 : 以下、名... - 2011/01/10(月) 23:05:49.56 qkwc2jQ6P 99/196


「そうか、いないのか」

どこにいるのかな……。

「もっとくまなく探しましょう」

「妹の下着が目当てだったんだが」

扉が反対側から圧力がかかってくる。

「絶対に入れないから」

「冗談だ、冗談」

しまった。

妹が可愛いために、また冗談を言ってしまった。


335 : 以下、名... - 2011/01/10(月) 23:07:24.31 qkwc2jQ6P 100/196


「……」

扉の圧力が消えた。

「入っていいか?」

「やだ」

「どうして」

「顔、見たくないから」

そりゃないぜ嬢ちゃん。


337 : 以下、名... - 2011/01/10(月) 23:09:35.82 qkwc2jQ6P 101/196


「……俺はお前の顔が見たいぞ」

こんなこと。

妹にしか言えないな。

「……自分勝手だよ」

「そうなのかね」

わりと真剣なんだけどな。


338 : 以下、名... - 2011/01/10(月) 23:12:32.37 qkwc2jQ6P 102/196


「……入るぞ」

「待って」

ドアノブに手をかけた俺に、静止をかけた。

静止、だからな。

「あんたが入ってきたら、私はあんたの妹らしくない行動をするかもしれない」

それでも、いい? と。

小さな声で、言った。

「ああ、もちろんだ」


341 : >>340 あなたが正しい - 2011/01/10(月) 23:20:04.69 qkwc2jQ6P 103/196


そんなことくらい、受け止めてやろう。

可愛い妹のために。

人肌、脱いでやる。

「開けるぞ」

ガチャっと。

ドアを開ける。

そこには。

薄いキャミソール姿の、妹がいた。


344 : 以下、名... - 2011/01/10(月) 23:23:58.14 qkwc2jQ6P 104/196


「……」

おいおい。

「……」

妹は俺と目が合うや否や。

俺を抱きしめた。

ちょっと苦しい。

「はは……どうした?」


353 : >>350 そうですね。つまらないですね - 2011/01/10(月) 23:33:24.60 qkwc2jQ6P 105/196


「……」

なんかなぁ。

「いやあ、あのな?」

「さっきの、約束」

「……」

これが、妹らしくない行動――なのか。


356 : 以下、名... - 2011/01/10(月) 23:37:18.63 qkwc2jQ6P 106/196


「どうしてこんなことしてるかわかる?」

妹の顔は。

俺の体で隠れている。

「……見当もつかん」

さらに力強く抱きしめられ。

「顔、見たくないから」

ここまで引っ張ってそれかよ。

「それと――離れたくないから」

軽く矛盾してないか……?


362 : 以下、名... - 2011/01/10(月) 23:45:02.64 qkwc2jQ6P 107/196


「じゃあ、顔見せろよ」

「やだ」

「どうして?」

耳が赤くなっているのがわかる。

というか、体が暖かい。

「恥ずかしいじゃん」


365 : 以下、名... - 2011/01/10(月) 23:52:30.92 qkwc2jQ6P 108/196


妹は。

顔を隠したままである。

「お前、顔見せなかったら……」

脅してみるか。

「チューしちゃうぞ。チュー」

「!」

すると妹は。

顔を上げて。

俺の唇にキスした。


441 : 以下、名... - 2011/01/11(火) 20:25:23.35 zaqVjo4GP 109/196


……あ、あれー。

「え? え?」

「……」

わけがわからない間に。

妹は顔を隠した。

今、あいつは俺に何をした?

唇にすこし、違和感がある。


444 : 以下、名... - 2011/01/11(火) 20:41:09.72 zaqVjo4GP 110/196


「お、おい」

「やだ」

まだ何も言ってない。

「今、なにした?」

「キスした」

キス?

きす?

接吻……?


446 : 以下、名... - 2011/01/11(火) 20:54:20.74 zaqVjo4GP 111/196


「恥ずっ」

そして。

耳をまた赤くする。

……恥ずかしいのはこっちも同じだ。

実の妹にキスされて。

いいにおいがするとか、思ってるし。


447 : 以下、名... - 2011/01/11(火) 20:59:35.62 zaqVjo4GP 112/196


ドキドキしてる。

どうしようどうしよう。

すげぇ汗かいてきた。

「……」

肩を掴んで押す。

妹の体を俺から離そうとするも、妹の体はピッタリとくっついている。

まずい、変な気分になってきた。


450 : 以下、名... - 2011/01/11(火) 21:10:21.71 zaqVjo4GP 113/196


「は、な、れ、ろ……!」

「い、やぁ……!」

今確認してドキドキを通り越してまずいんだ。

離れてくれ。

フッと、妹に力が抜ける。

力強く、押した俺まで前に倒れる。

「おわっ」

「あっ……」

気がつけば。

顔は数センチの距離になっていた。


456 : 以下、名... - 2011/01/11(火) 21:24:52.50 zaqVjo4GP 114/196


妹は顔をキッとさせて。

俺をキスしながら、抱きしめた。

こんな抱きしめ方は。

普通、家族にはしないだろう。

この抱きしめ方は。

一人のおんなが。

一人のおとこを愛する時の、それだった。


467 : 以下、名... - 2011/01/11(火) 22:51:37.78 zaqVjo4GP 115/196


「……」

ムードがさっきと、まるで違う。

もう、逃げられそうもない。

「……もう、駄目だから」

「あ?」

一体、何がだ。

「ここまでさせといて……浮気とか、駄目だから」


468 : 以下、名... - 2011/01/11(火) 22:58:21.80 zaqVjo4GP 116/196


ここまでしたのは。

お前だろう。

「……」

「……」

「まあ」

可愛いから。

許そう。

「ちょっ!? ど、どこ触って……っ!?」


474 : 以下、名... - 2011/01/11(火) 23:06:24.33 zaqVjo4GP 117/196


本当に。

実の妹に俺は何をしているのだろう。

「そ、そんなとこ……触るなぁ」

「なんで?」

「い、言わなくてもわかるでしょっ」

「わからんなぁ」

説明してくれないと、な。


475 : 以下、名... - 2011/01/11(火) 23:13:46.17 zaqVjo4GP 118/196


「手つきがエロい!」

そう言われても。

「じゃあ、俺のことを『お兄ちゃん』って呼べるか?」

「なんでそんな話になるの?」

「いやあ、なんとなく」

「……呼べるわけないじゃん」

ああ、わかってる。わかってるさ。




477 : 以下、名... - 2011/01/11(火) 23:16:57.33 zaqVjo4GP 119/196


こいつは。

結構前から。

俺のことが好きだったのだろう。

……自分で言うのは恥ずかしいけど。

だから。

俺のことを、兄と。

『お兄ちゃん』と呼びたくなかったのだ。

「可愛いやつめ」

「ひゃっ!」

意地悪したくなるのも仕方ないというやつだ。


478 : 以下、名... - 2011/01/11(火) 23:21:21.62 zaqVjo4GP 120/196


「妹ぉ~」

「ちょ、バカ! バカ男!」

妹に。

本名で呼ばれる。

「ああ、バカだ! 俺はバカで変態な兄貴だー!」

「あぅ……わ、私にとっては……ひ、一人のおとこの人……なんだから」

ピタリ、と。

俺の手が止まる。


480 : 以下、名... - 2011/01/11(火) 23:24:29.96 zaqVjo4GP 121/196


そうなのだ。

俺は、兄貴じゃなく。

一人の、おとこなのだ。

「……」

どうしよう。この妹。

愛しくてたまらない。


483 : 以下、名... - 2011/01/11(火) 23:30:07.61 zaqVjo4GP 122/196


「わかったよ、妹」

「……?」

「俺は今日からお前の彼氏だ」

「!」

「まあ、彼氏といってもアレだぞ? 本当に、本当の……」

「うん、わかってる」

叶わないことくらい、と。

どこか寂しそうに、笑った。


485 : 以下、名... - 2011/01/11(火) 23:34:12.39 zaqVjo4GP 123/196


「たまには早く帰ってきて、私の相手をすること! いい?」

「もちろんだ」

よく、考えてみると。

俺の帰宅時間はとても遅かった。

それだ。

それが理由だ。

俺の中で妹との距離が離れたと思ったのは、多分、それだろう。


498 : 以下、名... - 2011/01/12(水) 01:30:59.55 zjDzuaOQP 124/196


「じゃあ、約束ね」

そう言って。

小指を立てて、俺の方に差し出した。

「……子どもかよ」

ムッとした顔をしている。

「……まあ、嫌いじゃないけどな」

そして俺は妹の小指に、俺の小指を絡ませた。

ユビキリである。


499 : 以下、名... - 2011/01/12(水) 01:34:32.58 zjDzuaOQP 125/196


「嘘ついたら包丁でメッタ刺し……」

ヤンデレだった。

「いやいや、怖いぞ」

「じゃあ、一日本当の彼氏ってことで」

「はぁ……」

「いや?」

「別に」

むしろ、俺にデメリットがないことに驚いた。


500 : 以下、名... - 2011/01/12(水) 01:38:58.43 zjDzuaOQP 126/196


「それじゃあ、約束」

ちょっと前までの不機嫌な顔はどこに行ったのやら。

「そうだ」

「なんだ?」

何か言い忘れたのか?

「女さんとあんまりイチャつかないでね」

「……お前には俺とあいつの会話がそう捉えられるのか?」

イチャついてないだろ、どう考えても。


502 : 以下、名... - 2011/01/12(水) 01:44:18.78 zjDzuaOQP 127/196


「あんたとあんな楽しそうに会話したことないもん」

……むぅ。

そうなのか。

「しかし、大した話してないぞ?」

「例えば?」

……ごめん。

「それは言えない」

「内緒の話なんだ」

視線を下にずらして、ため息をついた。

違う、ただの下ネタばっかりだからだ。


503 : 以下、名... - 2011/01/12(水) 01:47:28.01 zjDzuaOQP 128/196


「ま、いっか」

「悪いな」

「隠し事のひとつやふたつ、関係ないもん」

前向きな妹だ。

「私はあなたが好きだから」

……おう。

一瞬ドキッとしてしまったことは言うまでもない。


504 : 以下、名... - 2011/01/12(水) 01:50:28.61 zjDzuaOQP 129/196


「お風呂入るね~」

「おう」

「早急に部屋から出てね、色々困るから」

何があるというんだ。

「なんだったら一緒に風呂に入ってやろう」

「おふざけ禁止」

「ちぇっ」

もちろん、おふざけだけども。


505 : 以下、名... - 2011/01/12(水) 01:52:17.69 zjDzuaOQP 130/196


「へへへ……」

「?」

「今日、一緒に寝てもいい?」

「……いいけど」

「やったっ。それじゃあ入ってくるね」

……はぁ。

俺はどうやら。

軽度のシスコンらしい。

END


507 : 以下、名... - 2011/01/12(水) 01:57:34.23 zjDzuaOQP 131/196


一応終わりです。

もちろん歯切れが悪い&イチャイチャが足りないと思っている人もいると思います。
それについては、後々対処いたしますので……。

さて。

次はスポーツっ子をやろうかなと思っていたのですが。

ドM敬語なるものにすこし手をつけたいなとか、考えています。

どちらをやるかはまた自分の頭の妄想しだい。
タイムリミットも近いですし。
それでは、ありがとうございました。


520 : 以下、名... - 2011/01/12(水) 05:41:11.58 zjDzuaOQP 132/196


もし、残っていたら妹視点で書きます


558 : 以下、名... - 2011/01/12(水) 22:07:12.99 zjDzuaOQP 133/196


・ ・ ・

きっとこの人は。

また勝手にどこか行こうとするのだろう。

ほら。

私より少し先行してる。

「先にどこか行かないでね」

ギクッと、体を驚かせてる。


559 : 以下、名... - 2011/01/12(水) 22:11:36.35 zjDzuaOQP 134/196


やっぱりね。

「妹を置いて、どこかに行くと思うのか?」

「じゃあなんで私より前にいるの?」

「……」

ほら、私の言った通り。

小さいころからそうだった。

……最近は、一緒に行かなくなったけど。


561 : 以下、名... - 2011/01/12(水) 22:32:16.53 zjDzuaOQP 135/196


「お菓子売り場は、後で二人で行けばいいじゃん」

……なに、言ってんだろ。

「そうだな」

この人も簡単に承諾するし。

調子狂っちゃう。

白い料理ってなんなんだろう。

「とりあえず、明日は何がいい?」

「ハンバーグ!」


562 : 以下、名... - 2011/01/12(水) 22:47:05.17 zjDzuaOQP 136/196


さっき言ってたことと、全然違うし。

むしろ、色は逆でしょ。

豆腐ハンバーグのこと、言ってるのかな?

「白くて飾り気のあるものじゃなくていいの?」

「こ、こんなところでそんな話するなよ!」

「え?」

ご飯の話しちゃダメなの?


564 : 以下、名... - 2011/01/12(水) 22:56:51.78 zjDzuaOQP 137/196


「俺はハンバーグが食べたいんだ!」

凄く真剣な目。

この目、嫌いじゃない。

「いつもと同じじゃん」

「いいだろ、別に」

すねてる。なんか、面白い。

「まあ、いっか」

なんだか、嬉しい。

ハンバーグ、作ろっと。

「じゃあ、ハンバーグの用意、しなきゃね」

「そうだな、まず肉をだな……」

そう言って、サッサと歩いて行っちゃう。

「結局先に行くんじゃん」

この人、やっぱり駄目な人だ。


566 : 以下、名... - 2011/01/12(水) 23:11:06.48 zjDzuaOQP 138/196


角を曲がって、私から見えないところに行ってしまう。

「ほんとに、もう」

あの人は、昔から変わっていない。

良かった。

知らないあの人には、なっていないようだ。

「先に行かないでよ……あっ」

そこには。

この人の、とっても親しい人である、女さんがいた。


610 : 以下、名... - 2011/01/13(木) 20:24:24.28 JnSE24KZP 139/196


「……お、おう」

気まずそうに私に対応した。

「やあ」

「ど、どうも」

「ふふっ、妹くん、奇遇だね」

いつもと同じ、素敵な笑顔。

可愛い人だなぁ、やっぱり。

でも。

今の私は、こんな女さんでさえ、嫌だった。

「……じゃあ、私は買い物の続きしてるから、喋ってていいよ」

ここから、離れたくなった。


614 : 以下、名... - 2011/01/13(木) 20:34:49.04 JnSE24KZP 140/196


「いや、俺も――」

「いい。邪魔だから」

その気持ちは嬉しいよ。

でも、無理しなくていいから。

私は一人でサッサと買い物を済ませることにした。

……あ、お肉はとっとこ。


617 : 以下、名... - 2011/01/13(木) 20:48:51.18 JnSE24KZP 141/196


子ども扱いするなといいながら。

私は、なんてことをしたのだろう。

子どもしかしそうにないような行動。

子どものように拗ねて。

私は、本当に……。

「ダメだなあ」

……空しい。


620 : 以下、名... - 2011/01/13(木) 21:00:56.26 JnSE24KZP 142/196


次々と無心で物を入れる。

あ、これはいらないかな。

今、彼はどうしているのだろう。

仲良く雑談しているのだろうか。

でも、今さらあっちに戻れないから。

先に帰ってしまおうかな。

「あ、いたいた」

きっとこのときの私はドキっとしていただろう。

なんでかは、内緒。


622 : 以下、名... - 2011/01/13(木) 21:07:04.67 JnSE24KZP 143/196


「……」

どうしよう、なにも言えない。

「お、もう色々入ってるな」

「まあね」

すっごく素っ気ない言葉。

どうして。

どうしてここに?

女さんと、お話は?


627 : 以下、名... - 2011/01/13(木) 21:52:38.24 JnSE24KZP 144/196


「楽しい会話はいかがでしたか?」

カマをかけるつもりはないけれど。

ちょっと、皮肉っぽかったかな?

「あれほど苦痛な時間も無い」

……え?

「最低」

「なんでだ」

「女さんに失礼だし、私の気遣いにも失礼じゃん」

自分の気遣いとか、どうでもいいのに。

なんでこんなに突っ張ってるんだろう。


630 : 以下、名... - 2011/01/13(木) 22:03:45.71 JnSE24KZP 145/196


「まあ……あれだ、言葉の綾ってやつだ」

「……平野綾でしょ」

つまんないシャレ。

突然出てきたのは多分、つい最近、テレビで見たからかな。

「俺は久川綾だ」

ケルベロス、懐かしー。

なんて、変なことを言って気を紛らわせてるあたり。

私も結構、困ってるみたい。


631 : 以下、名... - 2011/01/13(木) 22:08:54.09 JnSE24KZP 146/196


「んなことより」

「?」

「お前は俺に言うことがあるはずだ」

「なに?」

「謝れ」

「なんで?」

「『邪魔』はさすがに悲しいから」

「邪魔だもん」

私は素直じゃない。

邪魔なんて、思ってない。


633 : 以下、名... - 2011/01/13(木) 22:15:11.17 JnSE24KZP 147/196


「お前なぁ」

「めんどくさいの」

めんどくさいなんて。

思ってないのに。

「……え」

「あんたの相手」

『あんた』、なんて。

私は、何様なのだろう。

「……おい」

目つきが鋭い、当たり前だ。

私が悪い。


636 : 以下、名... - 2011/01/13(木) 22:38:51.60 JnSE24KZP 148/196


「あんたって、なんだよ」

「……知らない」

怖い。

言いたくもないことを言っているこの口も。

今の、彼の顔も。

全てから逃げたくて。

私はレジに向かった。

「待てよ」

腕を掴まれた。


639 : 以下、名... - 2011/01/13(木) 22:54:01.80 JnSE24KZP 149/196


服からなのに。

彼の手の体温を感じる。

なんだか、恥ずかしい。

「は、離してっ」

すぐに掴まれた腕を振るう。

「なんだよ」

「……」

なんでだろう。

目から、なんで……。

「!」

見られたかもしれない。


640 : 以下、名... - 2011/01/13(木) 23:07:17.97 JnSE24KZP 150/196


「……ふんっ」

やっぱり私は、素直じゃない。

「……俺、悪いことしたか?」

「……」

やめて。

「なあ?」

「……」

これ以上、話したら。

私は何を言うかわからない。


642 : 以下、名... - 2011/01/13(木) 23:13:52.08 JnSE24KZP 151/196


私はレジ通る。

会計を済ましているのに、私の心はここに在らずって感じで。

このあと、どんな会話をすればいいのかとか。

そんなことばかり、考えていた。

「普通に謝れば、簡単なのに」

店員さんが首を傾げている。

声、出てたみたいだ。

「ご、ごめんなさい」

恥ずかしい。


643 : 以下、名... - 2011/01/13(木) 23:20:45.78 JnSE24KZP 152/196


エコバック忘れてきちゃった。

環境、ごめんなさい。

「……」

この時も、ずっと考えてることは同じ。

何を話そう。

悩める、妹です。


645 : 以下、名... - 2011/01/13(木) 23:31:14.69 JnSE24KZP 153/196


入口の前で、彼は待っていた。

呑気な顔をしている。

さっきの怖い顔は、どこにいったのやら。

「……」

お待たせとは、言えず。

「入れるのくらい手伝ってよ」

毒づいちゃう、嫌な奴だ。

「いやあ、俺は邪魔だから」

「それ、屁理屈」

彼のことを、全否定してるようだ。


647 : 以下、名... - 2011/01/13(木) 23:36:03.37 JnSE24KZP 154/196


変な顔してる。

「……つまんないこと考えてる?」

「まさか!」

必死に否定してるところを見ると。

考えてたみたい。

「……」

「まあ、なんにせよ」

帰ろうぜ、と。

笑いかけてきた。

「女さんに言わなくていいの?」

「言う必要はない」

キッパリと言った。


648 : 以下、名... - 2011/01/13(木) 23:38:19.33 JnSE24KZP 155/196


「……そっ」

上手く返事ができたらいいのに。


帰りの道。

気になるけれど。

聞いていないことがある。

聞いてみようかな、どうしようかな。

「……ねえ」

そう思っているときにはもう、声に出ていた。

「あん?」

「……不良みたい」

なんで反応しちゃうの、自分。


652 : 以下、名... - 2011/01/14(金) 00:23:39.18 OberexHgP 156/196


「い、いや、咄嗟だったから……」

「……まあ、いいや」

良かった、乗ってこなかった。

これで、本題に移れる。

「……女さんとは、最近どうなの?」

彼はこちらに顔を向けるだけで、話さない。

「……付き合ってたり、する?」

答えて、くれるかな。

「そんなわけ、ねえだろ」

あれ、既視感。


653 : 以下、名... - 2011/01/14(金) 00:26:37.60 OberexHgP 157/196


「ふうん……」

「そ、そうだ」

このどもり、怪しい。

「あの人以上に、仲良い人いるの」

畳みかけてみる。

強い瞳をして。

すこし悩んだ末に。

「……いません」

「……ふぅん」

やっぱりね。


654 : 以下、名... - 2011/01/14(金) 00:31:43.52 OberexHgP 158/196


「ま、まあそういうことだ」

一番仲が良いのは、女さん。

「そうなんだ」

『私じゃ、ないんだ』

って、思ってる。

嘘でもいいから、言って欲しかった。

……あれ、また、言葉にしてた?

聞こえて、ないよね。


658 : 以下、名... - 2011/01/14(金) 01:05:19.28 OberexHgP 159/196


「……あのな、妹よ」

「……」

聞いてるけど、返事はしない。

「俺はお前と仲が良いのではない」

……やっぱり、聞こえてたんだ。

「むしろ、愛している、LOVEだ」

「なんでやねん」

恥ずかしさのあまりに、ツッコんじゃった。

いきなり、そんなこと言われたら、ビックリするじゃん。


659 : 以下、名... - 2011/01/14(金) 01:07:53.42 OberexHgP 160/196


こういう冗談は、タチが悪い。

「引いたか?」

「冗談はやめてよ」

気持ちのこもってないLOVEなんて――

「冗談じゃない、愛してる!」

――いらないから。

「そういう冗談をやめてって言ってるの!」

大きな声を出して、私は怒った。

『愛してる』なんて、言わないで。


660 : 以下、名... - 2011/01/14(金) 01:09:03.87 OberexHgP 161/196


「俺の目を見ろ! 俺が冗談を言ってるように見えるか」

「っ……」

熱い視線。

直視できない。

私は瞳をそらす。

「さあ!」

「っ!」

また、そらす。

「そ、そんな目で……み、見るな」

恥ずかしい、見つめないで。


661 : 以下、名... - 2011/01/14(金) 01:20:29.55 OberexHgP 162/196


「見ろおおおお!」

楽しんでる。

ひどい。

こっちは本当に、恥ずかしいのに。

「!」

すっごく悪いことをしたと思ってる。

でも、仕方ないよね。

私は、彼の頬をビンタした。

ごめんなさい、でも。

酷いのは、お互いさま。

「はぁ……はぁ……」

「い、妹……」

「そういう冗談が、一番嫌い!」


662 : 以下、名... - 2011/01/14(金) 01:23:26.50 OberexHgP 163/196


すっごい拒絶した顔をして。

おまけに舌を出して。

私は走って行った。

食べ物を持っているのに、走ったらダメなのに。

私は、彼から逃げたかった。

からかう、『兄』から。


663 : 以下、名... - 2011/01/14(金) 01:24:51.61 OberexHgP 164/196


仕方ないこと。

私が異常なのだから。

それでも私は。

彼が好きだから。

彼以外はありえない。

どこに行っても、私はいつもそう思う。

彼じゃなきゃ――。


664 : 以下、名... - 2011/01/14(金) 01:28:38.94 OberexHgP 165/196


家に着いた。

誰もいない、いるわけがない。

「……」

荷物を置いて、階段を上る。

私は、無意識に。

服をすこしずつ脱いでいた。


666 : 以下、名... - 2011/01/14(金) 01:34:24.30 OberexHgP 166/196


体が火照っているのだ。

熱くて熱くて。

心臓が激しく高鳴っていて。

自分が自分じゃないみたいな、感覚。

玄関のドアの音。

彼が帰って来た。


669 : 以下、名... - 2011/01/14(金) 01:41:46.28 OberexHgP 167/196


小さく、下の階から『ただいま』と聞こえる。

彼の声だ。

おかえりなんて、もちろん言えない。

トントントン。

階段を上る音。

彼が、上ってきている。

「おーい、妹?」

ドアがノックされる。

私の体はさらに、熱くなった。


671 : 以下、名... - 2011/01/14(金) 01:43:22.39 OberexHgP 168/196


「いるかー」

私は、会いたくなかった。

話したくなかった。

話したくないのに。

「いません」

話したい。

矛盾する気持ちのせいで、声を出してしまった。

「そうか、いないのか」


674 : 次にバイさるになったら今日は終了です。 - 2011/01/14(金) 02:00:16.37 OberexHgP 169/196


「もっとくまなく探しましょう」

先生みたいな、言い方。

「妹の下着が目当てだったんだが」

よく見ると。

私の服装は、下着に近い。

恥ずかしくて、ドアを内側から押して、開けないようにする。

汗もかいてて、なんだか変な感じ。

「絶対に入れないから」

「冗談だ、冗談」

また冗談。もう。


675 : 以下、名... - 2011/01/14(金) 02:01:57.53 OberexHgP 170/196


「……」

やっぱり、冗談なのだ。

さっきの、LOVEも。

私はドアを抑えるのをやめた。

「入っていいか?」

「やだ」

「どうして」

「顔、見たくないから」

顔を見たら。

私じゃなくなりそうだから。

「……俺はお前の顔が見たいぞ」

「……自分勝手だよ」

私は見たくない。

まただ。

見たくないのに、会いたい。


676 : 以下、名... - 2011/01/14(金) 02:03:34.30 OberexHgP 171/196


こういう気持ちって、どうすればいいの?

「そうなのかね」

ちょっと呆れるような声。

私だって呆れる。

自分の、意味不明さに。

「……入るぞ」

「待って」

心の準備も。

それ以上に何も考えてない。

入ってきたら、どうすればいいのだろう。

わからない。体がさらにさらに熱くなる。

そして、私は変なことを口走った。

「あんたが入ってきたら、私はあんたの妹らしくない行動をするかもしれない」

すこし、間を空けて。

「それでも……いい?」


678 : 以下、名... - 2011/01/14(金) 02:06:02.31 OberexHgP 172/196


この沈黙は、了解の意味なのだろう。

「開けるぞ」

意を決した(のかな?)彼が入ってくる。

ゆっくりとドアを開ける。

彼はすこし、ギョッとして、私を見る。

あああ。

こんな姿を、見られたくない。

恥じる顔も、見られたくない。

だから。

私は顔を隠す。

彼に抱きついて。

「……」

「……」

とっても、暖かい。

でも、冷たい沈黙だった。


679 : 以下、名... - 2011/01/14(金) 02:08:35.99 OberexHgP 173/196


でも、いいのだ。

「……」

顔は見られていないし。

これは、さっき私が言った通り。

「いやあ、あのな?」

「さっきの、約束」

約束通りの行動だから。

「……」

「どうしてこんなことしてるかわかる?」

「……見当もつかん」

ギュッと、抱きしめ、さらに見えないように顔をつける。

「顔、見たくないから」

見たくない、見られたくない。

でも。

見たい。


680 : 以下、名... - 2011/01/14(金) 02:11:02.28 OberexHgP 174/196


「それと――離れたくないから」

離れたくない。

私はそう言った。

「じゃあ、顔見せろよ」

『顔見せろ』と言われて。

私はすこし心配になった。

どうか、私の心臓の音、聞こえませんように、と。

「やだ」

「どうして?」

「恥ずかしいじゃん」

意識が朦朧としている。ドキドキが止まらない。


730 : 以下、名... - 2011/01/14(金) 18:37:43.05 OberexHgP 175/196


「お前、顔見せなかったら……」

息が当たってる。

ゾクッとするのと、ドキッとする。

「チューしちゃうぞ。チュー」

「!」

冗談、なのだろう。

でも、私は。

冗談に、したくない。


732 : 以下、名... - 2011/01/14(金) 18:51:01.69 OberexHgP 176/196


このあと、どうなっても構わない。

冗談なんて、言わせたくない。

だから。

私は、彼の唇に、自分の唇を重ねた。

「え? え?」

「……」

ダメ。

ここから逃げたいくらいに、恥ずかしい。

でも、顔を見られたくない。

今の私は、顔から火が出そう。


737 : 以下、名... - 2011/01/14(金) 19:49:50.11 OberexHgP 177/196


「お、おい」

「やだ」

聞かないで。

「今、なにした?」

恥ずかしいよ。

「キスした」

考えることも、できない。


739 : 以下、名... - 2011/01/14(金) 20:14:28.41 OberexHgP 178/196


「恥ずっ」

私はさらに、彼の体に顔をうずめる。

彼のにおいがして。

また、頭が大混乱。

「……」

彼はグッと、私の肩を掴んだ。

一々ドキドキしてるなぁ、自分。


740 : 以下、名... - 2011/01/14(金) 20:18:22.45 OberexHgP 179/196


そして、私を自分の体からはなそうとする。

やだ。

離れたくない。

顔、見られたくない。

こんな真っ赤な顔。

我儘だな、自分。


742 : 以下、名... - 2011/01/14(金) 20:28:53.71 OberexHgP 180/196


すこしずつ、力が強くなる。

「は、な、れ、ろ……!」

本気みたいだ。

「い、やぁ……!」

こんなに拒絶するなんて。

すこし、そんな不安がよぎる。

「っ!」

「おわっ」

そのまま私はベッドに押し倒された。


743 : 以下、名... - 2011/01/14(金) 20:36:06.67 OberexHgP 181/196


「あっ……」

こんなに近くに。

彼の顔がある。

もう、いいよね。

私はもう一度、キスをする。

そして、抱きしめた。

ギュウッと。

本当に大好きな人を、抱きしめた。


744 : 以下、名... - 2011/01/14(金) 20:38:34.58 OberexHgP 182/196


もう、私のもの。

彼は、私のもの。

……なんか、ちょっと病んでるみたいだけど。

私は、彼のことが大好きなのだ。

「……」

「……もう、駄目だから」

後戻りはできない。

「あ?」

「ここまでさせといて……浮気とか、駄目だから」

あああああああ! 妹なのに私何言ってるの!?


746 : 以下、名... - 2011/01/14(金) 20:42:15.25 OberexHgP 183/196


妹が浮気しないで、なんて。

気持ち悪いじゃん。

きっと、嫌な反応をするだろう。

嫌な、反応……。

「まあ」

えっ?

!?

「ちょっ!? ど、どこ触って……っ!?」

私の胸を撫でるように、触って来た。


747 : 以下、名... - 2011/01/14(金) 20:48:09.55 OberexHgP 184/196


体を弄ばれているようで。

なんだか、嫌だ。

「そ、そんなとこ……触るなぁ」

変な声が出る。

やだ、バカ。

「なんで?」

「い、言わなくてもわかるでしょっ」

そう言いながら手を動かすなぁ!

「わからんなぁ」

さらに激しくなる。


757 : 以下、名... - 2011/01/14(金) 23:52:23.57 OberexHgP 185/196


「手つきがエロい!」

それでも私は、エッチな子みたいで。

抵抗は、しなかった。

「じゃあ、俺のことを『お兄ちゃん』って呼べるか?」

……うう。

「なんでそんな話になるの?」

「いやあ、なんとなく」

なんか、ちょっと笑ってる……。

「……呼べるわけないじゃん」

ここまでしといて。

兄と妹の関係なんて、いやだもん。


758 : 以下、名... - 2011/01/14(金) 23:55:20.05 OberexHgP 186/196


こんな私を受け入れてくれるのだろうか。

ここまでした、私を。

「可愛いやつめ」

「ひゃっ!」

いきなり首を攻められる。

攻められる……なんて、ちょっと恐ろしいよね。

「妹ぉ~」

「ちょ、バカ! バカ男!」

あ。

名前で呼んじゃった。


759 : 以下、名... - 2011/01/14(金) 23:58:39.47 OberexHgP 187/196


「ああ、バカだ! 俺はバカで変態な兄貴だー!」

本当に、変態。

この人、もしかして、経験あるのかな。

すっごく、エッチ。

「あぅ……わ、私にとっては……ひ、一人のおとこの人……なんだから」

それでも私は。

一人の男性として。

彼を愛してる。

「……」

彼の動きが全停止する。

「わかったよ、妹」


760 : 以下、名... - 2011/01/15(土) 00:03:08.51 GJlbLm8jP 188/196


「……?」

なにをだろう。

気持ちは、受け取ってくれたのだろうか。

「俺は今日からお前の彼氏だ」

「!」

彼氏。

ボーイフレンド。

本物の――彼氏。

「まあ、彼氏といってもアレだぞ? 本当に、本当の……」

……やっぱりね

「うん、わかってる。叶わないことくらい」

無理やりにでも、私は笑って言った。


761 : 以下、名... - 2011/01/15(土) 00:05:17.65 GJlbLm8jP 189/196


当たり前。

世間体ではおかしいことだし。

私が恋愛対象になることなんて、ありえないことだから。

言っていて自分で悲しくなるけれど。

それが普通で、それ以外が異常なのだ。

「たまには早く帰ってきて、私の相手をすること! いい?」

「もちろんだ」

快諾してくれた。そう言って、嘘をつくくせに。

いつも帰るのは八時回ってるでしょ。

帰ってきても、女さんと一緒だったりだし。


763 : 以下、名... - 2011/01/15(土) 00:08:23.91 GJlbLm8jP 190/196


「じゃあ、約束ね」

ユビキリ。

私は小指を立てて、差し出した。

「……子どもかよ」

いいじゃん、別に。

子ども扱い、やめてよね。

「……まあ、嫌いじゃないけどな」

小指だけでも、温もりがわかる。

相当敏感になってるなぁ、私。


764 : 以下、名... - 2011/01/15(土) 00:11:54.22 GJlbLm8jP 191/196


「嘘ついたら包丁でメッタ刺し……」

私の精一杯のボケ。

「いやいや、怖いぞ」

普通のツッコミが帰ってくる。それでいい。

「じゃあ、一日本当の彼氏ってことで」

今の私、恥ずかしいくらい顔が緩んでそう。

「はぁ……」

「いや?」

「別に」

ごめんね、あなたにデレデレだから。


766 : 以下、名... - 2011/01/15(土) 00:15:06.63 GJlbLm8jP 192/196


「それじゃあ、約束」

もうダメダメ。

顔がにやけて、しかたないよ。

彼も安心してるみたい……だけどね、

「そうだ」

「なんだ?」

「女さんとあんまりイチャつかないでね」

無理なのはわかってるけど。

それでも、すこしだけでも。

私の方にも意識を向けて欲しいから。

「……お前には俺とあいつの会話がそう捉えられるのか?」

……仲、良さそうじゃん。


767 : 以下、名... - 2011/01/15(土) 00:17:56.10 GJlbLm8jP 193/196


「あんたとあんな楽しそうに会話したことないもん」

ちょっと、怒っちゃってる自分。

ジェラシーだね。

「しかし、大した話してないぞ?」

「例えば?」

教えてくれても、いいじゃない。

彼は少し目を泳がせて。

「それは言えない」

やっぱり、言えないような。

濃密な話を、しているんだ。

「内緒の話なんだ」

ちょっと、寂しいな。


769 : 以下、名... - 2011/01/15(土) 00:21:10.28 GJlbLm8jP 194/196


思わずため息が出てしまう。

すっごく、悲しくて。

それでも、負ける気はなくて。

「ま、いっか」

「悪いな」

謝ることなんか、ないよ。

「隠し事のひとつやふたつ、関係ないもん」

頑張ってみせる! 立派な女の人になる!

……ちょっと、変かな。はは。

だって、だって。

「私はあなたが好きだから」


771 : 以下、名... - 2011/01/15(土) 00:35:54.14 GJlbLm8jP 195/196


「お風呂入るね~」

「おう」

「早急に部屋から出てね、色々困るから」

ちょっとちらかってるから、恥ずかしい。

風呂でたらお掃除しなきゃ。

「なんだったら一緒に風呂に入ってやろう」

「おふざけ禁止」

一瞬本気にしたけど。

そんなことしたら。

「ちぇっ」

頭がショートしちゃう。


773 : 以下、名... - 2011/01/15(土) 00:45:48.21 GJlbLm8jP 196/196


「へへへ……」

「?」

「今日、一緒に寝てもいい?」

「……いいけど」

「やったっ。それじゃあ入ってくるね」

ふふふ、とっても楽しみ。

私はどうやら。

純粋に恋している。

そして。

軽度のブラコンらしい。

END


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