1 : 以下、名... - 2010/11/28(日) 02:27:46.12 zOboq8WN0 1/78


「はあ」

「うん」

「今何月か知ってる?」

「ああ、11月も終わりだな」

「なんで夏にいわないの」

「言い出すきっかけが無かったというか」

「はあ・・・」



2 : 以下、名... - 2010/11/28(日) 02:31:49.72 zOboq8WN0 2/78


「なんで行きたいの」

「海が見たいんだ」

「へえ」

「うん」

「ま、いいけどさ」

「お、いいのか」

「でも、水着は着ないからね」

「あ、ああ。そんなの、わかってるよ」


3 : 以下、名... - 2010/11/28(日) 02:40:03.24 zOboq8WN0 3/78


「水着姿が見たいとか、そういうのじゃないの」

「まあ、少しは見たいと思うけど」

「だったら温水プールでも行こうか」

「いや、海がいいんだ」

「ああ、そう」


4 : 以下、名... - 2010/11/28(日) 02:42:41.33 zOboq8WN0 4/78


「というか、見たことなかったっけ」

「まあ、中学のスクール水着とかならあったかもね」

「ああ、だめだ。そんなの違う」

「そうなの。そういうのが好きな人もいるって聞くけど」

「俺は、違うよ」

「そう。なら、よかった」


6 : 以下、名... - 2010/11/28(日) 02:47:30.49 zOboq8WN0 5/78


「なんならここで見せてあげようか。水着」

「は、いいのか」

「あー、やっぱりだめだね」

「どうして」

「家まで水着を取りに行くのが面倒、というか、やっぱり夏がいいよ」

「そうか・・・。なら我慢するよ」

「うん。楽しみに、ね」


8 : 以下、名... - 2010/11/28(日) 02:54:06.23 zOboq8WN0 6/78


「で、海に行くけど」

「まあ、いいんだけど。寒いよ」

「そう、だな。ま、ちょっとつきあってくれよ」

「第一何をしに行くの。泳げないんじゃ、どうしようもないよ」

「天体観測みたいな、そんな気分」

「雲が出てると星、見られないよ」

「ま、そうなんだけどさ・・・」


9 : 以下、名... - 2010/11/28(日) 02:57:19.29 zOboq8WN0 7/78


「たまに無性に海が見たくなることってないか」

「わたしが生きてるうちは、まだ」

「そうか・・・。そんな気分なんだよ」

「わかったよ。行くよ」

「そう。よかった」

「誰も行かないとは、云ってないしね」


11 : 以下、名... - 2010/11/28(日) 03:02:03.80 zOboq8WN0 8/78


「行くにあたって、あの人を呼んでもいいか」

「あの人って、だれ」

「ほら、あの人だよ」

「・・・ああ、ハルさんね」

「そうそう」

「ちゃんと名前で呼んであげれば?」

「いいんだよ。あの人は」


12 : 以下、名... - 2010/11/28(日) 03:06:29.46 zOboq8WN0 9/78


「でも、あの人とかこの人、じゃわからないよ」

「わかったじゃん」

「そうなんだけど。可哀相じゃない」

「いいよ。それにあの人、ハルさんって呼び名、あんまり好きじゃないみたいだしさ」

「ああ、そうなの」

「うん」

「でも、ハルって、本名じゃない」

「まあ、そうだな」


13 : 以下、名... - 2010/11/28(日) 03:11:44.06 zOboq8WN0 10/78


「変なあだ名を嫌うのはわかるけどさ」

「本名が嫌いなんだろ。おばあさんみたいだって」

「そうかな。かわいいと思うけど」

「まあ、いい名前だよ」

「それにハルさんはハルさんであって、本人がどう思ってるかなんて、わたしには関係ないよ」

「なんかひどいこと言ってる気がするな」

「もちろん悪口とかはだめだよ。でも好意をもったあだ名は受け止めてほしいな」

「うん。云っておくよ」

「うん」


15 : 以下、名... - 2010/11/28(日) 03:15:00.19 zOboq8WN0 11/78


「で、いいの。あの人は」

「もちろん。でも、どうして?」

「ほら、車とか」

「ああ。いい加減免許とったら?」

「免許とっても車がないだろ」

「借りればいいじゃない。ハルさんにでも」

「事故ったら殺されそうだから、いいよ」

「まあ、大事そうにしてるもんね。車」


16 : 以下、名... - 2010/11/28(日) 03:23:17.34 zOboq8WN0 12/78


「じゃあ、明日。海に行くから」

「うん。楽しみに、してるね」

「ああ。まあ、わかった」

「じゃあ、もう帰るよ。遅いから」

「送っていかなくて、いいのか」

「いいよ。そんな子ども扱いしなくても。近いからさ」

「ああ。じゃあ、また」

「バイバイ」



「よし。あの人にメールするか」

『明日、予定通り海へ。車おねがい』

『了解』

 


17 : 以下、名... - 2010/11/28(日) 03:25:53.09 zOboq8WN0 13/78


翌日

「寒いよ」

「ああ」

「すごく」

「うん。そうだな」

「ほんとに行くの」

「行く。あの人にもそう云っちゃったから」

「ああ、なんかやる気すごそう」

「多分。暇だからな、あの人」


19 : 以下、名... - 2010/11/28(日) 03:33:19.46 zOboq8WN0 14/78


「あ、来たきた」

「ふう。お待たせ」

「ハルさん、おはよう」

「おはよ。女ちゃん」

「どうも」

「相変わらずそっけない男だね」

「そうなの。なんとか云ってあげてよ」

「ま、それはもう、知ってるから」

「ああ。助かります」


20 : 以下、名... - 2010/11/28(日) 03:39:10.64 zOboq8WN0 15/78


『海に行く目的は、知らない振りでOkay?』

『うん。そうしてもらえると、助かる』



「どうしてこんな寒い時期に海なんて行きたいかな」

「まあ、気分だよ。気分」

「君の気分に振り回されるこっちの身にもなってよ。ねえ」

「そうそう」

「まあまあ。感謝してるよ」

「もっと態度で表してほしいね」

「うん」

「今度何かで返すから」

「なに」

「ファミチキ」

「わたしは小学生なの・・・?」


22 : 以下、名... - 2010/11/28(日) 03:44:36.22 zOboq8WN0 16/78


「私はLチキがいいね」

「え、そこ?」

「それは助かる。安いからな」

「ちょっとちょっと。もっと違うことにして」

「日々生活苦に悩まされる私としては、Lチキでもすごくありがたい」

「ハルさんにはわたしがLチキ買ってあげるから・・・」


23 : 以下、名... - 2010/11/28(日) 03:49:48.60 zOboq8WN0 17/78


「まあ、冗談は置いておいてね」

「ああ、冗談だったの」

「女ちゃんにはもっと優しくしてあげないと。逃げられちゃうよ?」

「ククク、お前が俺から逃げられるかな・・・」

「なによ、それ。いつだって逃げてあげるから」

「だって」

「マジか・・・」

「嘘よ、うそ。真に受けないで」


24 : 以下、名... - 2010/11/28(日) 03:55:37.92 zOboq8WN0 18/78


「ええと。古賀浜でいいの」

「ああ」

「まあ、他はどこも汚いからね。見るならあそこがいいよ」

「なに、ハルさん。詳しいの」

「まあ、人並みには」

「そう、何事も人並みを出ないんだ、この人は」

「女ちゃん、逃げた方がいいよ」

「うん。意地悪だよね」

「嘘だって。目には見えないものを持ってるよ、ハルさんは」

「その言い方もなんだか嫌な感じ・・・」


26 : 以下、名... - 2010/11/28(日) 04:14:15.33 zOboq8WN0 19/78


「なんか、わくわくするね。なんだか」

「そう?」

「うん。この人、出不精だから」

「男くん。もっと女ちゃんを色んなところに連れてってあげてね」

「例えば、どこ」

「いつものところ、とか」

「ハルさん。それ、ラブホテル・・・」

「さすがの俺も反応に困るな」

「いいじゃない。一発やってきなさいよ」

「はあ。大人ってこんななのかしら」


28 : 以下、名... - 2010/11/28(日) 04:17:42.03 zOboq8WN0 20/78


「はは。冗談じょうだん」

「けっこう色々行ってるじゃん」

「そう?」

「映画なんて月一ペースじゃないか」

「それは、わたしが好きだから」

「あ、私も行きたい」

「今度ハルさんも、行こうね」

「せめて上映中は黙ってて」

「それくらいわかってるってば」


29 : 以下、名... - 2010/11/28(日) 04:21:51.52 zOboq8WN0 21/78


「映画かぁ」

「ハルさんは、どんな映画が好きなの?」

「私は、サスペンスだね」

「あ、わたしもわたしも」

「マイケル・クレイトンがマイフェイバリット」

「あれは少し難しいかな」

「俺はアクションがいいんだけどな」

「ふっ。ガキだな」

「なんだと・・・」


30 : 以下、名... - 2010/11/28(日) 04:31:20.05 zOboq8WN0 22/78


「私なんてアクション映画は高1で卒業したね」

「アクションじゃないと映画館で観る意味ない」

「はあ、わかってないね。映画はね、雰囲気なの。音響や映像はその次なのよ」

「ふざけろ。こちとら金払ってるんだぞ」

「あー、もうどっちでもいいよ」

「映画館を出た後に景色が変わってるのがいいの」

「それは、わかる」

「この影響されやすい女ども。どうせあの小説だろう」

「くっ、ばれたか」


31 : 以下、名... - 2010/11/28(日) 04:34:18.02 zOboq8WN0 23/78


「もういいよ。この話は」

「あら、それじゃあどこにも連れてってもらえないわよ?」

「全然関係ないじゃない」

「とにかく映画に行くときは私の意見も加味してね」

「それじゃあ、あなたとは行けないな」

「けちな男ね」

「何とでもいいなさい」


32 : 以下、名... - 2010/11/28(日) 04:39:50.36 zOboq8WN0 24/78


「本当に次はどうしようか」

「天体観測とかいいんじゃない」

「おっ。わかるな」

「あのアニメに影響されたでしょ」

「な、知ってたか」

「あんなこと言って、男くんもそんなものか」

「いいだろ、別に何に影響されたって」

「もちろん。だから私たちもいいんだよ。ねえ」

「うんうん」

「わかったわかった」


33 : 以下、名... - 2010/11/28(日) 04:43:28.85 zOboq8WN0 25/78


それで、海

「わぁ、海だね」

「なんだかんだいって、うれしそうじゃない」

「まあね。男の家より、いいよ」

「おい。なんだその言い草」

「ふふ」

「もっと近くで見てきたら?」

「うん。そうする」


34 : 以下、名... - 2010/11/28(日) 04:46:17.44 zOboq8WN0 26/78


「今日はありがとな」

「うん。まあ、あなたたちのためなら、一肌脱ぐよ」

「ああ」

「それにしてもいい子をつかまえたね」

「ああ。いい、女だろ」

「うん。いい、子だね」


35 : 以下、名... - 2010/11/28(日) 04:51:34.32 zOboq8WN0 27/78


「あなたたちを最初に見たときから、くっつくだろうって思ってたもの」

「そう?」

「うん。そう。歳は少し違ったけどね」

「そうだな」

「仲がいいのが目にとれたから」

「そんなに仲良くしてた?」

「してたしてた。兄妹かと思ったよ」

「それは仲がいい代名詞?」

「うん。違うね。どちらかといえば夫婦みたいというか。これは言い過ぎだね」

「言い過ぎだよ」

「ふふ」


36 : 以下、名... - 2010/11/28(日) 04:55:39.40 zOboq8WN0 28/78


「今日さ、ノープランなんだ」

「ノープラン?」

「そう」

「それは、困ったね」

「だから、呼んだんだけど」

「前以て云ってくれないと」

「悪い」

「まあ、そうだと思って手は打ってあるから」

「へえ、さすが」

「だから安心して。ほら、女ちゃんのところへ行ってあげなよ」

「ああ、そうする」

「うん。楽しんで」


37 : 以下、名... - 2010/11/28(日) 04:59:57.76 zOboq8WN0 29/78


「ほら、水が冷たい」

「いいよ。ほんとに冷たいから」

「ハルさんと何を話してたの?」

「ん、まあ、ちょっと」

「ちょっと」

「うん」

「わたしを棄てて、ハルさんに乗り換えるか」

「そんなわけ、ないだろ」

「冗談」

「あの人はそれに、ほら。わけありだから」

「うん。そうっぽいよね」


39 : 以下、名... - 2010/11/28(日) 05:12:32.36 zOboq8WN0 30/78


「あの人とさ、知り合いだったの」

「なんで?」

「わたしが初めて会った時からなんか、雰囲気出来てたよ」

「うーん。ま、偶然だな」

「そう?」

「馬が合うというか。話し相手としてな」

「うん。別に心配してないよ」

「そっか」


40 : 以下、名... - 2010/11/28(日) 05:16:16.79 zOboq8WN0 31/78


「今日はさ」

「ん?」

「なんで海に行こうなんて云ってくれたの」

「だから海が見たいんだって、いったろ」

「でもさっきから海、見てないし」

「う」

「なんかあるんでしょう」

「ないない。ほんとに」

「ふうん」


41 : 以下、名... - 2010/11/28(日) 05:23:41.55 zOboq8WN0 32/78


「今日さ、わたしの誕生日なんだ。知ってた?」

「それは、もちろん」

「だからどうってことないけど」

「うん」

「あなたの誕生日にも、特に何もしてあげられなかったからね」

「してくれたじゃん」

「そうだったかしら」

「裸セーター」

「ああ、あれは、忘れて・・・」


42 : 以下、名... - 2010/11/28(日) 05:26:34.87 zOboq8WN0 33/78


「あれは、すごかったよ」

「ハルさんがいうから、窮して」

「俺、捕まるんじゃないかと思った」

「まあ、あれで喜んでくれるなら、いつでもしてあげるよ」

「じゃあ、今日も頼む」

「それはイヤ」


43 : 以下、名... - 2010/11/28(日) 05:31:35.10 zOboq8WN0 34/78


「そうなんだ。お前の誕生日だから、海に」

「それを隠そうとするのも変だけどね」

「なんか大したことなくて、悪いな」

「ううん。すごく、楽しい。ハルさんもいるし」

「海が好きって前に云ってたからさ」

「まあ、夏の、だけどね」

「そうだよな。まあ、勘弁してくれよ」

「もちろん。いいプレゼントだよ」


44 : 以下、名... - 2010/11/28(日) 05:35:48.22 zOboq8WN0 35/78


「何か買ってあげるにしても、わからなかったから」

「うん。別にほしいものなんて、ないから」

「だろうな」

「ハードボイラーと呼んで」

「それってさ、なんか変だよな。英語として」

「語呂がいいからいいの」

「それには同意するよ」

「どうも」


45 : 以下、名... - 2010/11/28(日) 05:39:42.35 zOboq8WN0 36/78


「寒いよ」

「ああ。そうだな」

「すごくね、寒い」

「うん」

「波、すごいよ」

「ああ、すごいな」

「魚ってさ、可哀相だよね」

「どうして?」

「この景色を、見られないからさ」

「ああ、うん」


46 : 以下、名... - 2010/11/28(日) 05:45:41.81 zOboq8WN0 37/78


「ハルさんハルさん」コンコン

「あれ、もう終わり?」

「外は寒いよ。すごい暖房だね」

「寒いからね」

「おなか減ったと思って」

「ああ。じゃあ、なんか食べに行こうか」

「俺、ラーメン」

「はいはい、奢ってあげますよ。女ちゃんは、ラーメンでいい?」

「うん。お願いします」

「うん。じゃあ、乗ってのって」


47 : 以下、名... - 2010/11/28(日) 05:47:51.77 zOboq8WN0 38/78


「この後はさ、どうするの」

「もう一度、海へ」

「ええ、また?」

「私、よく見てないし」

「さっき見ればよかったのに」

「なんかお二人、邪魔しちゃいけないと思って」


48 : 以下、名... - 2010/11/28(日) 05:53:10.62 zOboq8WN0 39/78


「別に、よかったのに。ねえ」

「いや、よくない。あれを邪魔されちゃあ、もう」

「はあ」

「なんかすごく卑猥な匂いがするね」

「ラーメンの匂いでしょう。店員さんが見てるよ」

「二人にさ、見てほしい浜があるから」

「そうそう」

「そういうことなら、いいんだけど・・・」


49 : 以下、名... - 2010/11/28(日) 05:56:57.87 zOboq8WN0 40/78


「このラーメン、ちょっと濃いね」

「そうか?こんなもんだろ」

「なんというか、色んなものをぶち込んだ感じがするね」

「ハルさん。聞こえるってば」

「この脂っぽい感じがいいんだろ」

「レディーにはちときついね」

「へえ、レディー」

「そうよ。悪い?」

「別に。考えたら、ぎりぎり大丈夫だった」


50 : 以下、名... - 2010/11/28(日) 06:02:48.86 zOboq8WN0 41/78


「俺はラーメン屋はチャーハンで決めるから」

「ほう。じゃあ、持論をどうぞ」

「チャーハンがうまいところはラーメンもうまい」

「それってさ、ラーメンがうまいからチャーハンがうまいんじゃないの」

「いいや、違うな。全然違う」

「ふうん」


51 : 以下、名... - 2010/11/28(日) 06:10:05.12 zOboq8WN0 42/78


「チャーハンというのは料理の基本だ。君も男なら知っているだろう」

「いや、私女だし」

「男のチャーハンは、おいしいよね。ちょっと硬いけど」

「女ちゃんがいうなら、マジか」

「マジだ。つまりチャーハンがうまいというのは、基礎がしっかりしているということだ」

「少し早計な気がするけど」

「まあ、思い込みの激しい性格だから」

「三つも年下の女の子に云われちゃったよ。どうする?」

「俺はそんなの、まったく気にしない」

「その根性は、私も見習うわ」


66 : 以下、名... - 2010/11/28(日) 13:56:46.36 zOboq8WN0 43/78


「さっきぎりぎり大丈夫っていったけど」

「ずいぶん戻ったな」

「それってさ、私となら寝られるってこと?」

「まあ」

「彼女が眼前にいます」

「嘘うそ」

「まったくかわいいんだから。もう」

「あの、バカにしないで」


67 : 以下、名... - 2010/11/28(日) 14:00:33.77 zOboq8WN0 44/78


「それはね、節度はあるよ」

「その節度、あなたの5パーセント」

「はは、ばれた?」

「まったくもう」

「俺はこんなおばん、相手にしないよ」

「あら、私がいくつか知ってるの」

「29」

「わかって云ってるでしょ・・・」


68 : 以下、名... - 2010/11/28(日) 14:03:40.02 zOboq8WN0 45/78


「ほんとうはいくつだっけ」

「22です」

「なんかすごく嘘臭く聞こえるのは、なんでだろう」

「あなたのせいよ」

「22だったら、まだぴちぴちだよねえ」

「ふっ、甘いな」


69 : 以下、名... - 2010/11/28(日) 14:09:21.08 zOboq8WN0 46/78


「ネットの世界では女の寿命は16、いって17までだ」

「な・・・に?」

「いや、それロリコンでしょ」

「ロリコンだとこれがもっと下がる」

「ということは旦那、そこの女子もそろそろ取って喰わねばならないのでは」

「そうだ。もって来年だな」

「本人を前にいわないでもらえますか。すごく、傷つく・・・」


70 : 以下、名... - 2010/11/28(日) 14:15:33.29 zOboq8WN0 47/78


「というか、取って喰うとか、やめて」

「元はといえばあなたの話だろうが」

「ソーリーソーリー」

「でも、そろそろかな」

「人に旬なんてありません」

「もう腐ってきてたりして」

「もう。店員が見てるよ。終ったなら、出ようよ」

「はいはい」

「ああ、あなたはもう腐ってるからな」

「いわなくていいわよ、ばか」


72 : 以下、名... - 2010/11/28(日) 14:23:08.06 zOboq8WN0 48/78


「ほんとは夕方に見るのがいいんだけど、ちょっと早いね」

「寒いから、待てないよ」

「いいよ。別に大した違いじゃないし」

「どうせなら、そっちの方が。ねえ」

「私も寒い中、待つのいやだわ」

「この集団には情緒が足りてない気がするわ」

「まあ、女がそっちの方がいいというなら、そうする」

「あれ、めずらしい」

「今日はお前の誕生日だし」

「ひゅーひゅー」


73 : 以下、名... - 2010/11/28(日) 14:27:20.42 zOboq8WN0 49/78


「じゃあ、車の中で寝て、待つとします」

「暖房つけられないじゃん」

「それくらい我慢して」

「なんかキャンプみたいで、楽しいよ」

「はっ、野獣に襲われるっ」

「お断りします」

「乗りが悪いね」

「あなたに乗りたくないから」

「ちゃっかり乗ってるじゃないの・・・」


74 : 以下、名... - 2010/11/28(日) 14:35:32.54 zOboq8WN0 50/78


数時間後

「起きて、ハルさん。起きて」

「はっ、何時?」

「もう日が沈みかけてるよ。というか、涎出てる」

「はあ、危ないあぶない。男くん起こして」

「ほら、男。起きて」

「ん。ああ、よく寝たな」

「あなたのために一肌脱いでるのに」

「ほら、夕日。綺麗だよ」

「ああ。ほんとだな・・・」


75 : 以下、名... - 2010/11/28(日) 14:43:09.60 zOboq8WN0 51/78


「じゃあ、若い二人で行ってらっしゃい」

「ハルさんも行こうよ」

「ええ。寒いもん」

「俺、ちょっと待ってるから、二人で行って来たら?」

「それも、いいね」

「いいの」

「まだ夕日が沈むまで時間あるだろ」

「じゃ、行ってくるね」

「行ってらっしゃい」

「さあ、女ちゃん。夕日に向かってダッシュするんだ」

「走るの疲れるから、いやだ」

「なんだか、姉妹みたい」


76 : 以下、名... - 2010/11/28(日) 14:50:07.59 zOboq8WN0 52/78


「日、暮れちゃったね」

「はあ。これはなんというミスを。男くんと女ちゃんで楽しんでほしかったのに」

「多分あの人、夕日とか興味ないから、いいよ」

「そうかしら。天体観測とか臭いこと云ってたけど」

「一過性だから」

「ごめんね。女ちゃん」

「別に、いいよ。ハルさんと見られて、よかった」

「うれしいこと、云ってくれるね」

「ふふ」


77 : 以下、名... - 2010/11/28(日) 14:54:52.08 zOboq8WN0 53/78


「ハルさんってさ、何者なの?」

「それ、どういう意味?」

「突然引っ越してきて」

「まあ、さすらいのカウガールってとこかな」

「面白くない」

「あはは。だよね」


78 : 以下、名... - 2010/11/28(日) 15:00:02.37 zOboq8WN0 54/78


「別に、ただあそこに引っ越して、住んでるだけだよ」

「ほんとに?」

「逆にどうして、そう思うのか知りたいわ」

「だってなんか、云って悪いけど、初めからすごく慣れなれしかったというか」

「ずいぶんストレートにいうね」

「うん」

「それは、あれだよ。馬があったんだよ」

「男もそういってた」

「奇遇ね」


79 : 以下、名... - 2010/11/28(日) 15:13:05.58 zOboq8WN0 55/78


「ほんとうに、何もないよ。ただそういう、巡り合わせってやつ」

「まあ、いいんだけどね。知り合えて、よかったから」

「うん。ありがと」

「でも、下ネタが多いよ」

「ごめん。それは、善処するよ」


81 : 以下、名... - 2010/11/28(日) 16:43:16.99 zOboq8WN0 56/78


「こういうところにいるとさ、なんか話題がいつもと変わってくるよね」

「いつも、どんな会話をしてたかしら」

「基本男くんの愚痴だね」

「ふふ。別にいつものような下らないことでも、いいんだよ?」

「いいよ。たまには私の謎の過去について、話してもいいんじゃない」

「だって、巡り合わせなんでしょう」

「まあ、そう思ってもらえると、助かるけどね」

「はあ」

「ああ。嘘うそ」


82 : 以下、名... - 2010/11/28(日) 16:55:50.45 zOboq8WN0 57/78


「人ってさ、思ってることの一割も話せてないと思うよ」

「ふふ。まじめな話」

「まあね。だから、たまにこうして話すのが大切なんだと思うよ」

「うん」

「私は友達が少ないから、特にね」

「うそ」

「まあ、どうだろうね」


83 : 以下、名... - 2010/11/28(日) 16:59:54.52 zOboq8WN0 58/78


「ほら、月が昇ってるよ」

「海岸と、反対側だけどね」

「そろそろ男くんと交代しようかな」

「別に、ハルさんもいて。ね?」

「ああ、うん。特に何も考えは、ないよ」

「私の誕生日なんだって」

「まるで他人事だね」

「歳をとるのは、嫌いだから」




84 : 以下、名... - 2010/11/28(日) 17:04:40.18 zOboq8WN0 59/78


「じゃあ、男くん、呼んでくるから。待ってて」

「うん」



「男くん、行こうよ」

「ああ。大分待ったよ。日も暮れたし」

「ほら、これ持って」

「なに、これ」

「ほら」

「うわ。なんでこんなもん、持ってるの」

「私に任せてって云ったでしょう」

「どうしたの、これ」

「あなたのお兄さんに、ね」

「いいの」

「まあ、もう使わないでしょう」


85 : 以下、名... - 2010/11/28(日) 17:07:49.06 zOboq8WN0 60/78


「悪いよ」

「いいってば。それにあげるわけじゃないよ」

「は?」

「返してね。もちろん、違うもので代えても、いいよ」

「ああ・・・。うん」

「じゃあ、ほら。行ってきなさい」

「恩に着るよ」

「ふふ。この恩、忘れないでね」


86 : 以下、名... - 2010/11/28(日) 17:11:15.16 zOboq8WN0 61/78


「お待たせ」

「どうも」

「うん」

「でも、日も暮れたし、面白くないね」

「おまけに、寒いよ」

「寒いが口癖みたいだね」

「だって、ほんとうに寒いもの」


87 : 以下、名... - 2010/11/28(日) 17:13:49.73 zOboq8WN0 62/78


「でも、夜の海岸、わくわくするよ」

「うん、そうだね」

「どうしたの男。黙りこくって」

「ああ、いや」

「なによ」

「男くんはね、女ちゃんに云いたいことがあるんだよね」

「ああ、うん」

「へえ」


88 : 以下、名... - 2010/11/28(日) 17:16:08.57 zOboq8WN0 63/78


「誕生日おめでとう、とかだったら、もう間に合ってるよ」

「いや、違うんだ」

「じゃあ、何よ」

「男くん、頑張って」

「うん・・・」


89 : 以下、名... - 2010/11/28(日) 17:18:55.49 zOboq8WN0 64/78


「まずこれを受け取って」

「なに。この、小さな桐の箱」

「ああ、まだ開けるな」

「あ、うん」

「男くん、頑張ってー」

「うるさい。少し黙って」

「はい・・・」


90 : 以下、名... - 2010/11/28(日) 17:24:53.29 zOboq8WN0 65/78


「お前がさ、俺の家の向かいに住んでいなかったら」

「どうしたの、急に」

「どうなったんだろうなって」

「さあ・・・。わからない」

「会いもできなかったんじゃないかって」

「ああ。うん」

「俺はすごく運がよかったんだって、思うよ」


93 : 以下、名... - 2010/11/28(日) 18:06:20.18 dCcAhzy00 66/78


「運ねえ」

「不満そうだな」

「だって、嫌いだもの」

「そう」

「運ってなんでも解決してくれるから」

「まあ、そうだけど」


94 : 以下、名... - 2010/11/28(日) 18:23:44.74 dCcAhzy00 67/78


「たまには、いいんじゃないか」

「巡り合わせってやつ?」

「あー、うん」

「ハルさんも同じこと云ってたよ?」

「それは、同じ人間に影響されたから・・・」

「はい?」

「いや、こっちの話」


97 : 1 - 2010/11/28(日) 19:01:04.31 dCcAhzy00 68/78


「もしも、わたしたちの家が向かい同士じゃなくても」

「わたしたちなら、出会えてたと思うよ」

「そう、かな」

「そうだよ。多分、もっとドラマチックな出会いをしたね」

「例えば?」

「今日、この場所のような」

「うん」

「夕日を眺めるわたしに、もう暮れちゃったけど」

「話しかけるの。男が。そこの美しい女性ってね」

「ああ、そうだろうよ」




98 : 1 - 2010/11/28(日) 19:07:01.34 dCcAhzy00 69/78


「じゃあ、今日はもう帰ろ?ハルさん、あんなに縮んでるし」

「ああ、ちょっと待って」

「頑張って」

「ふう」

「なに。早くしてよ。寒いから」


99 : 1 - 2010/11/28(日) 19:13:02.58 dCcAhzy00 70/78


「け、」

「け?」

「け、」

「け?」

「け、」

「け?」

「早く云いなさいよ。はやく」


100 : 1 - 2010/11/28(日) 19:17:05.87 dCcAhzy00 71/78


「結婚して、ちょっ」

「あ、噛んだ」

「結婚してけれ」

「また噛んだぞ」

「はい?」

「結婚・・・」


101 : 1 - 2010/11/28(日) 19:21:51.87 dCcAhzy00 72/78


「この箱って。ああ、指輪。へえ」

「して、くれないか・・・」

「ふうん」

「・・・」

「私は一体、どんな顔をしてればいいのかしら」


102 : 1 - 2010/11/28(日) 19:26:38.76 dCcAhzy00 73/78


「ハルさん」

「はい?」

「ハルさんでしょう。こんなものをあげたのは」

「は、はい」

「こんな大切なものを易々と人にあげてはいけません」

「はい・・・」

「ということで、これはお返しします」


103 : 1 - 2010/11/28(日) 19:33:08.67 dCcAhzy00 74/78


「それから男」

「は、はっ」

「あんなものを簡単にもらったらだめだよ。例え、ハルさんでもさ」

「うん・・・」

「それから返事のことだけど」


105 : 以下、名... - 2010/11/28(日) 20:09:06.09 dCcAhzy00 75/78


「わたし、今何歳か知ってる?」

「あ、ああ」

「わたしさ、16なんだ」

「うん」

「ちょっと、早いよね」


107 : 以下、名... - 2010/11/28(日) 20:13:55.71 dCcAhzy00 76/78


「別に世間体どうこうって話じゃなくて」

「一応、高校だって通ってるしね」

「まあ、学校やめて結婚するっていうのも、なかなか面白そうだけど」

「でも、やっぱり早いよ」

「もう少し、時間がほしい」


108 : 以下、名... - 2010/11/28(日) 20:20:51.82 dCcAhzy00 77/78


「未来のことはわからなくて」

「男がわたしのことを嫌いになる日も、来るかもしれない」

「でもわたしは、自信あるから」

「何の」

「5年後でも、男のことを結婚したいくらい好きでいるって」

「だからね、つまり・・・」


109 : 以下、名... - 2010/11/28(日) 20:29:51.08 dCcAhzy00 78/78


「わたしと結婚するなんて、5年早い」

「5年経ってから、出直して」

「・・・」

「・・・」

「なんか、うまくはぐらかされた気がする」

「ま、いいんじゃない」

おわり

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