1 : 以下、名... - 2009/07/10(金) 22:05:49.51 jndReV2L0 1/186



「え」

「目に入らない? 下向いたら顔にかかって邪魔じゃない?」

「まぁ、そうだね」

「口の中にも入っちゃうんじゃない?」

「そんなこともあるね」

「何かこだわりでもあるの? 長髪が好きなの?」

「そんなこともないけど。ただ切りに行くのが面倒臭いだけかな」

「そうなんだー」

「そうなんだよ」

「なるほどねー」



「……ごめん、誰?」



元スレ
女「前髪長くない? 切らないの?」
http://takeshima.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1247231149/

3 : 以下、名... - 2009/07/10(金) 22:08:25.79 jndReV2L0 2/186



「え、誰って私? 私は女だけど」

「どうも」

「っていうか酷くない? 私たち同じクラスだよ?」

「え、本当に? 席どこ?」

「廊下側。確かに、このクラスは席替えしないから席が遠いと話す機会はないけどさ」

「俺窓際だしね」

「でももう七月だよ?」

「まぁ、そんなこともあるよ。ほら、先生きたよ」

担任「お前ら席につけよー。ホームルーム始めるぞー。これ終わらないと帰れないんだからなー」

「あ、ホントだ。じゃーねー!」

「あ、うん」


(なんだろう、さっきの。ちょっと鬱陶しいかな)


4 : 以下、名... - 2009/07/10(金) 22:10:48.42 jndReV2L0 3/186



[放課後]


「先行くぞー」

「ちょ、待ってくれよー!」

「早くしろよな。遅れると部長怖いぞ」

「だから待って欲しいんじゃねーか。怒られるときは一緒だぜ!」

「すまん、先行くわ」

「ひでえ」




「しゃーっす」

部長「おう男か。さっさと着替えてアップするぞー」

「うっす。あ、ボールとか準備させちゃってすみません」

部長「べ、別にアンタのためにしたわけじゃ……勘違いしないでよねっ!」

「あ、はい」


6 : 以下、名... - 2009/07/10(金) 22:13:54.32 jndReV2L0 4/186



「あれ、今日って体育館使えるのバスケ部とバドミントン部じゃありませんでしたっけ?」

部長「あぁ、バドミントンは先週に大会が終わったから今週は活動停止だそうだ」

「なるほど。それで男子と女子それぞれでオールコート使ってるんですね」

部長「あぁ。だからガッツリと練習出来るぞ」

「俺たちが今週大会だから空けてくれたんですかね?」

部長「ありがたい話だな」

「ウチ、部員少ないからオールコートにしたって5対5も出来ませんけどね」

部長「まぁな」


7 : 以下、名... - 2009/07/10(金) 22:18:38.37 jndReV2L0 5/186



「スイマセン! 遅れました!」

部長「おう、練習もうとっくに始まってるぞ。さっさと着替えてアップしてこい」

「はい!」

(……あれ? 怒られなかった?)



部長「そこで男がシュート打たないでどうすんだ!!!」

「はい!!!」

部長「周りももっと動け! コートにいるときは一時も休むな!」

部員「うっす!!!」



「部長! アップ終わりました!」

部長「まだ終わってないだろ。ちゃんと走ってこい」

「あ、はい……」


8 : 以下、名... - 2009/07/10(金) 22:22:45.98 jndReV2L0 6/186



部長「よーし、今日はこれで切り上げるぞー」




「あー疲れた」

「うん、ほんと、つかれたね」

「お前、練習出ないで3時間もウォームアップとか何してんの?」

「部長に『お前まだ体、温まってないだろ』って言われて……」

「……」



「疲れたねー」

女友「大会前だからって先輩たち張り切りすぎ……しんどーっ」

「まぁまぁwww」

女友「また今日もこんな時間まで練習とか、家帰るの何時だよっての!」

「仕方ないねw」


9 : 以下、名... - 2009/07/10(金) 22:27:20.46 jndReV2L0 7/186



「大体、ちょっと遅くなるだけかと思ったら……長針半周の大遅刻だろ?」

男友「ちょっとお花を摘みたくなったの」

「何恥ずかしがって遠まわしに言ってんだ。トイレって言え」

男友「バカ、うんこだようんこ」

「開き直るなよ」

「全くだぜ」

「これだから男友は困る」

「男友君はもっとデリカシーってやつを持つべきだな!」

「全くだぜ」



「え?」

「ん?」


12 : 以下、名... - 2009/07/10(金) 22:31:26.51 jndReV2L0 8/186



男友「エンッ!」

「……お前、明日から毒物君って呼ぶからな」

男友「なんてこったい」

「いや、そんなことよりも……」

「おーっす!」

男友「おっす!」

「え、そこでノっちゃうんだ」

「あれ、もしかして私のこと忘れちゃった? 教室で話した女だよ?」

「いや、それは覚えてるけど……」

「良かったー! 難しい顔でこっち見るから私が分からないのかと思っちゃったよ!」

(いや、確かに分からないんだけど)

男友「まったく男はダメなやつだな!」

(自然な流れで会話に入ってきたところに違和感を覚えてる俺が異端なのかな)


15 : 以下、名... - 2009/07/10(金) 22:37:06.61 jndReV2L0 9/186



「こんな時間にここにいるってことはさ」

「うん、私もバスケ部だよ」

「そうなんだろうね」

「あ。あんまり近づかないでね! 私ずっと走ってて汗かいてるから!」

(……近づいてきたのはそっちなのに)

男友「あ、男はそういうのむしろ好きなタイプだぜ?」

「マジで? やるなぁー男君」

「いや、違うから。友も勝手に変な属性つけてくれるな」

男友「あれ、この前そんな感じのこと言ってなかったっけ」

「言ってないよ」

男友「マジで?」

「マジで。人違いじゃないか?」

男友「そうかも。なら友達の話なんだけど、中学の修学旅行のとk」

「待て、それ俺だ。やめて。それやめて」


19 : 以下、名... - 2009/07/10(金) 22:42:51.63 jndReV2L0 10/186



「なにそれwめっちゃ気になるぞーw」

「何でもないから。本当に、何でもないから」

男友「やっぱりお前じゃんwwwあれは本当に腹抱えて笑ったなwww」

「お前あとで絶対ぶっ飛ばす」

「友君、あとで教えてねw」

「女さんも、聞くのやめて!」


部長「おーい! そろそろ体育館閉まるぞー!」

「おっと」

男友「やべえ、下校時間に間に合わないと大会出られなくなる」

「そりゃマズい。それじゃ、私お先に!」

男友「おう、じゃあなー!」

「また明日ー!」

「……」


21 : 以下、名... - 2009/07/10(金) 22:46:35.57 jndReV2L0 11/186



男友「ところであの子は誰だ」

「知らん」

男友「あれ、てっきりお前とは仲がいいものだとばかり……」

「俺にはお前のほうが仲よさそうに見えたけどな」

男友「おっと、それはまさか妬いてるのか?」

「それはないわ」

男友「けっこう可愛い娘だったけどな。俺たちみたいなムサい運動部には縁がないけど」

「いや、女バスって言ってただろ」

男友「おっと。なるほど、縁があるじゃねえか」

「良かったな」

男友「あれれ。全然興味なしか?」

「苦手なタイプだよ」


23 : 以下、名... - 2009/07/10(金) 22:51:53.58 jndReV2L0 12/186



[翌日]


「男、一度しか言わないわよ。起きなさい」

「うぐぅ」

「休むなら勝手にしなさいね」

「……布団を剥ぎ取ってでも起こしてくれる母が羨ましい……」


「おはよ」

「ん、おはよ」

「……」

「……」

(……トイレ行こう)


ガチャ

「……」

「スマン、入ってたか」


26 : 以下、名... - 2009/07/10(金) 22:55:30.78 jndReV2L0 13/186



「はい、弁当」

「ん。どうも」

「夕方には雨が降るらしいから傘持って行きなさいね」

「そういや自転車で傘差し運転の取締りが厳しくなったらしいな」

「捕まったら自分で払いなさいね」

「はーい……」

「行ってきまーす」

「行ってらっしゃい」



ガチャ

「……」

「またか」


28 : 以下、名... - 2009/07/10(金) 23:00:44.40 jndReV2L0 14/186



[学校昇降口]


「そんな感じで朝から二回もトイレで父に遭遇してしまった」

男友「あれか、父ルート突入だな」

「誰も得しないな、それ」

男友「んじゃ、また放課後。……の前に昼休みな」

「おーう」




(なんだろうな、このクラス)

(決して暗くはないが、活気もない)

(派閥が多くて……俺はどこにも顔出すが、どこにも入りきれなかったな)

(もしかしてこれが世に言うぼっちってやつなのか……?)

(まぁいいか)


30 : 以下、名... - 2009/07/10(金) 23:06:11.59 jndReV2L0 15/186



「ところでさ!」

「!?」 ビクッ


「そんなにビックリしなくても……」

(ビックリするだろ、振り向いた先に誰かがこっち見てたら……)


「えっと、女さんだよね」

「正解! おはよう!」

「おはよう。……え、何?」

「いや同じバスケ部ってことで話しかけただけだよ?」

「あぁ、そう……」

(ところでさっておかしくないか)


33 : 以下、名... - 2009/07/10(金) 23:10:29.35 jndReV2L0 16/186



「女さんもバスケ部だったんだね。昨日初めて知ったよ」

「っていうか名前もでしょーが!w」

「ま、まぁ……」


「男君はさ、バスケどれぐらいやってるの?」

「一応、小学校の時のミニバスからだよ」

「それじゃあ結構長いんだね」

「中学でもやってたから何となく続いてるかな」

「ふむふむ……」

「え、何メモしてんの?」

「ちょっとした事情聴取のつもりで、気にしない、気にしないw」

「はぁ」


36 : 以下、名... - 2009/07/10(金) 23:15:34.78 jndReV2L0 17/186



「あ、それじゃ先生来たからまた後でねw」

「あぁ、うん……」

担任「おーしお前ら席座れー。また長い一日が始まっちまったぞーっと」

(何だろうな、話しかけられると向こうのペースに乗せられて気分が悪い)





[昼休み]


男友「……俺さ」

「何だよ」

男友「購買での死に物狂いの獲物の取り合い、ってのが夢でさ」

「あぁ、少し分かる気がする」

男友「こんなに綺麗な列で順番待ちだなんて……くそっ……」

「比較的にウチの学校は治安がいいよな」


38 : 以下、名... - 2009/07/10(金) 23:21:12.74 jndReV2L0 18/186



男友「あー弁当が羨ましいぜ」

「そうか? 作るか作ってもらうかは出来ないのか?」

男友「案外頼むの恥ずかしいもんだ」

「そういうもんかね」

「だったら自分で作ればいいんじゃないっ?」

男友「俺は湯を沸かすぐらいしか出来ないんだよね」

「学校のお弁当に麺類じゃちょっとねw」

「デジャヴすぎる」



「え?って言わないの?」

「いや、言わないけど」


41 : 以下、名... - 2009/07/10(金) 23:26:53.07 jndReV2L0 19/186



男友「女ちゃんおいーっす」

「おいすー!」

「こんな駐輪場の外れまで来てどうしたの? ここ何もないけど」

「ちょっとした散歩っすよ! 食べた後は運動しないとね!」

男友「いい心がけだなぁ。男も見習っておけよ」

「……」

男友「腹出てきてるんだから」

「え、嘘ッ!?」

「男君はお腹が出てる、っと」

「ちょ、出てない、出てない! 復唱しないで!」



男友「さーてそろそろ鐘が鳴るかな」

「午後の授業は眠たくなるよな」

「だねー」

(結局最後までいた……)


42 : 以下、名... - 2009/07/10(金) 23:32:19.72 jndReV2L0 20/186



[放課後]


担任「よーしこれでホームルーム終わりだ。今日の残りを堪能するようにな」

(先生は仕事嫌いなんだろうな……)



「まったく、男! 早くしろよな!」

「これ見よがしに先に待ってやがって。まぁ昨日練習してないから元気だろうな」

「……はい」

「あ、表に出てないだけで昨日の結構キツかったんだな」




[体育館]


「よし。ボール、ゴール、他もろもろ準備おkだ」

「昨日の尻拭いだな」

「もっと他にいい言い方あるだろwww」


46 : 以下、名... - 2009/07/10(金) 23:38:11.93 jndReV2L0 21/186



部長「おっす。お前たち早いな」

「あ、こんちわっす」

「うっす!!!」

部長「ん、全部準備整ってるな」

「うっす! 俺がやっておきました!」

部長「張り切ってるところ悪いが、今日はバレー部が入るからコート半分だぞ。片付けてこい」

「……」

(俺は気付いてたけどな)



「昨日広かったから余計に狭く感じますね」

部長「まぁそれは仕方ないな」

「体育館の半分っていっても男女で分けてさらに半分ですもんね」

部長「そこで俺は考えた」

「?」


48 : 以下、名... - 2009/07/10(金) 23:42:39.10 jndReV2L0 22/186



部長「女バスと試合をしようと思う」

「は?」

部長「そうすれば、男子女子ともにオールコートで練習が出来るわけだ」

「いやいや……」

部長「大会前に試合形式の練習をしたいが、ウチは人数が足りない」

部長「練習試合を組んでくれる学校もないだろう」

「そらそうでしょう。怪我したくないし、させたくないでしょうし」


部長「女子相手ならどうだ?」

部長「こちらが接触を避ければ、非常に合理的だよ」

「な、なるほど……っ!」

「えー……」


51 : 以下、名... - 2009/07/10(金) 23:50:10.53 jndReV2L0 23/186



部長「ちなみにもう申し込んである。そしておkだそうだ」

「え、マジっすか?」

部長「条件として人数は5対3になる」

(それもう実践用にもならないんじゃ)


部長「というか、今日他のやつ模試で休んでるから俺たちしかいないんだ」

「やったー! 出られるー!」

「お前はそこが大事なんだな」

部長「ってことで、急いで準備してこい」

「うっす!!」

「厄介なことになったなあ……」

「なんだ、ヘッドバンドつけるのかっ? 俺が付けてやるぞっ? んっ?」

「いいよ自分で付けるから。テンション高いなお前」


54 : 以下、名... - 2009/07/10(金) 23:56:01.24 jndReV2L0 24/186



男部長「それじゃ、よろしく」

女部長「ええ。お互い、怪我には気をつけましょう」


「あ、男君に友君だっ!」

男友「女ちゃんが相手か! これは負けられないぜ!」

「よろしくおねがいしまーすっ!」

男友「おう! よろしく!」

(やりづれー)


部長「それじゃ、ちょうどポジション分かれてるから俺F。男がG。友がCな」

男友「うっす!」

「おっす」


……………………

…………

……


56 : 以下、名... - 2009/07/11(土) 00:01:46.78 Lcs1M/Sn0 25/186



男部長「お疲れさまでした」

女部長「お疲れ様でした」



男友「よっしゃー! 勝ったー!」

「くっそーっ! 5対3だったのに負けちゃったよー!」

男友「男ー! 勝ったぞー!」

「おう、そうだな」

(……もうちょっと差がつくと思ったが、そうでもなかったな)





部長「よーし、それじゃこれで今日は終わりだ」

「今日は少し早いっすね」

部長「本当はもっとやりたいけどな」


59 : 以下、名... - 2009/07/11(土) 00:07:00.13 Lcs1M/Sn0 26/186



(試合前だから俺たちのコンディションも考えてくれてるんだろうな)

男友「さっさと着替えて帰ろうぜ」

「あぁ、分かってるよ」

男友「早くしろよな!」

「お前、今日は本当にこれ見よがしだな」




[昇降口]


「外がまだ少し明るいうちに帰れるなんて……」

男友「涙が出てくるな」

「ホントだよねーっ」

(もう突っ込まない……!)


62 : 以下、名... - 2009/07/11(土) 00:11:09.48 Lcs1M/Sn0 27/186



女友「ちょっと、女待ってよー」

「ごめんごめん。……あ、そうだ。こちら女友。私と同じく女バスだからよろしくっ!」

女友「あ、どうも……」

男友「おっす。よろしくなー!」

「よろしく」

女友「……えーっと」

「ちょっとw なに照れてんのよwww」

女友「て、照れてない! 照れてないから!」

「そんなキャラじゃないだろーっ!」


(なんだ、このノリ)


64 : 以下、名... - 2009/07/11(土) 00:21:34.11 Lcs1M/Sn0 28/186



男友「女友ちゃんも今日試合出てたよな?」

「女友は女子で一番大きいから重宝されるんだよっ!」

(そういえば女子にしては背高いな)

「羨ましいなーっ」

女友「……あのさぁ、いつも言ってるけど大きくてもいいことないからね?」

「えーっ。ホントに羨ましいんだけどなー」

男友「女ちゃんはどっちかっていえば小さいもんな」

「黒板上のほう届かねーっつの!」

女友「身長もらってほしいわー」

「くれ。めっちゃくれ!」

男友「それなら俺にくれ!」


(なんか盛り上がってんな)


68 : 以下、名... - 2009/07/11(土) 00:26:09.75 Lcs1M/Sn0 29/186



「あ、そうだ。男君と男友くんさ。メールアドレス教えてよ」

男友「お、いいぞー」

「よーし四人でメアド交換だーっ! 急げーっ!」

女友「え、これ急ぐの?」

男友「ほれ、ほれ。受信せい!」

「よし来いっ!」

男友「いくぜぇ……30%……70%……よしきた100%だァァァァァ!!!」

「よっしゃーーー!!!」



「……」

女友「……男君、大丈夫?」

「え、何が?」

女友「さっきから静かだなーって思って」


70 : 以下、名... - 2009/07/11(土) 00:33:18.05 Lcs1M/Sn0 30/186



「別にこれが普通だから気にしないで大丈夫だよ」

女友「そう? なら私もアドレス送るからケータイ出してw」

「ん、はい、これ」

女友「よっと……はい、おk!」

「ん、ありがとう」

女友「家に帰ってからでもアドレスに送っておいてね!」

「うん分かった」



「あ、じゃあ男君、次は私が送るから赤外線の準備だ!」

「あ、はい。これ」

「おk! 電話帳にぶち込んでやるぜ!」


(女さんってこういうキャラなのか)


73 : 以下、名... - 2009/07/11(土) 00:35:40.35 Lcs1M/Sn0 31/186



男友「……」

「……」


男友「……あの、さ///」

「何だよ」


男友「俺たちも、その……///」

「……」


男友「メールアドレスの交換、する……?///」

「悲しいことに電話帳1番の登録がお前だよ」


76 : 以下、名... - 2009/07/11(土) 00:41:47.84 Lcs1M/Sn0 32/186



「それじゃ私たち、こっちの道だから!」

女友「また明日ー!」

男友「おう! 2人とも気を付けて帰れよー!」

女友「え、何に?」

男友「……///」

女友「初々しいやつめっw」

(女友さん、すでに打ち解けている……素晴らしい順応性だな)



「男君も!」

「……え?」

「またねー! また明日ー!」

「あ、うん」


78 : 以下、名... - 2009/07/11(土) 00:50:05.04 Lcs1M/Sn0 33/186



男友「……ふう。俺としたことが、柄にもなくはしゃいでしまったぜ」

「いや、冷静になったフリしてるけど柄通りそのままだからな」

男友「で、お前はお前でそっけないのなーwww」

「そんな性格だから仕方ないよ」

男友「分かってんよ」

「……」

男友「そういやお前、いつまでヘッドバンドしてんの? 気に入ってんの?」

「ん? ……あぁ、外し忘れてた」

男友「そんなもんつけるぐらいなら髪切っちゃえばいいのにな」

「まぁ確かにコレつけてると視界が開けて楽だな。今外して思ったけど」

男友「つけてる方が顔が見えて印象明るくなるからずっとつけとけば?」

「四六時中か? それはちょっと恥ずかしいだろ……」


80 : 以下、名... - 2009/07/11(土) 00:55:34.11 Lcs1M/Sn0 34/186



男友「まぁ最初のうちは恥ずかしいだろうがな」

「どこの超速スピナーだよって」

男友「しかし女ちゃんのリストバンドみたいにいつも付けていれば、いつしかそれがお前のトレードマークみたいになってだな……」

「そういえば女さん、いつも付けてるな」

男友「あれは運動少女の証だな」

「つーかトレードマークって……流石に厨二病は卒業したつもりなんだ」

男友「出来てなくね?wwwww」

「うっせ」


81 : 以下、名... - 2009/07/11(土) 00:59:10.56 Lcs1M/Sn0 35/186



[家]


「ただいまー」

「あ、おかえり」

「うん」



「あら、おかえり。ちょっと早かったわね」

「ちょっとだけな。風呂入ってくるから飯はまだいいや」

「はいはい」

(トイレは……よし、電気点いてない)



ガチャ

「……」

「すまん、風呂に入ってたか」


86 : 以下、名... - 2009/07/11(土) 01:02:28.67 Lcs1M/Sn0 36/186



[自室]


(ふーっ。今日も一日疲れたな)

(あ、そういやメール送らないといけないんだっけか)

(えっと……女友、女友っと……)


『男です』


(おk)

(次は女さんだな……)


『男です』


「おk」

「え、何が?」

「うわ、部屋覗いてくんな!」


89 : 以下、名... - 2009/07/11(土) 01:09:56.69 Lcs1M/Sn0 37/186



(しかし、昨日の今日でこれだもんな)

(馴れ馴れしいってレベルじゃないと思うんだけど、これぐらい普通なのかな。分からんけど)

(友は2人とも結構仲良くなってたな。あいつは基本的に社交的だもんな)

(まぁ俺に社交を説く資格はないけど)


(女さん、か)

(何だろうね。よく分かんね。とりあえず、あれだな)




(苦手だ)


111 : 以下、名... - 2009/07/11(土) 08:14:10.19 Lcs1M/Sn0 38/186



[翌日]


「……んん」

(七時か。目覚ましはまだ鳴ってないのに何で目覚めたんだろ)


(あーフラフラする……低血圧辛いな)

「おはよ」

「ん、おはよう……」

「どした?」

「いや、朝だから力入らなくてフラフラするだけだよ」

「あっそ。……そうだ。アンタ携帯の目覚ましなんてセットしてたの?」

「携帯? 目覚まし時計ならちゃんとあるけど」

「朝から何度も鳴ってうっさいから父さん機嫌悪かったわよ。『今日は早めに出る』だってさ」

「マジか。悪いことしたな」


(寝惚けてセットする習慣はないハズなんだけどな……)


112 : 以下、名... - 2009/07/11(土) 08:18:44.27 Lcs1M/Sn0 39/186



「あら、男も今日は早いのね」

「なんか目が覚めたから」

「母さんも今日は少し早く家を出るから、これ、お弁当ね。それじゃ行ってきます」

「はいよ。行ってらっしゃい」



(新着メールが5通……)

(こんなに一度にメールが来たのなんて初めてな気がする)

(女友さんと女さんの2人にメール送ってすぐに返事が来てたんだな。この時間はまだ起きてたけど気付かなかったな)


女友『女友です。これからよろしくー!』

『うわっメールめっちゃ淡白w 女です!!w』


(それと、6時50分と6時55分と7時ちょうどに女さんから)

(姉ちゃんが言ってたのはこれだな)

(七時……あぁ、そうか。このメールの音で俺は起きたのか)


113 : 以下、名... - 2009/07/11(土) 08:21:11.85 Lcs1M/Sn0 40/186



『早速こんな時間にメールしてゴメン! 今日の時間割って何だっけ!?』

『あーやっぱりまだ起きてないかな?』

『あ、時間割表見つかったw お騒がせしましたw』



「……何だこれ」

「何が?」

「ちょ、独り言だから突っ込みにこなくていい! わざわざ部屋のドア開けてまでくんな!」

「はいはい。それじゃ私先行くわよ」

「ん、行ってらっしゃい」


(今までメールなんて滅多に来ないからそのままだったけど)

(これからはマナーモードにしておこう……)


115 : 以下、名... - 2009/07/11(土) 08:27:37.97 Lcs1M/Sn0 41/186



[学校昇降口]


男友「おいーっす。今日は無性にお前を殴りたい気分だぜ」

「やめてくれ。右腕でも疼くのか?」

男友「あぁ……力に共鳴しやがってよ……俺自身、抑えるので精一杯だぜ……ククッ」

「あー懐かしいな。よくそんなことして遊んでたな」

男友「お前いつも汚いんだよ。散々盛り上がった末に『お前は死ぬ』っていう攻撃ばっかしてくるだろ」

「お互いに黒歴史だなあ」

「男の子ってホントにそんなことして遊ぶのっ?」

男友「いや、俺たちぐらいだと思うよ」

「どうやってやるのっ?」

男友「そうだな、こう、まず声が聞こえる状況を作って声を聞かなきゃいけないな」

「声?」

男友「――力が欲しいか?って……あ、ダメ、ちょっと恥ずかしくなってきた///」

「ならやるなよ」


117 : 以下、名... - 2009/07/11(土) 08:35:04.87 Lcs1M/Sn0 42/186



「……あれ、男君が私のことを突っ込まない?」

「ごめん、ちょっと慣れてきてた」

「この私がこの星に降り立ってからこんなに早く人類に解け込むことが出来るだなんて……」

「え、地球外生物か何かなの?」

(あと、最初会ったときから自然だった気がする)

女友「みんなおはよー!」

「あ、友おはよーっ」

女友「女、化学のプリントやってきた?」

「あったり前じゃないっ! 昨日のうちに全部写させてもらったわっ!」

男友「何か男子の会話みたいだなあ」

「そんなことないってw 女子だって出来ない子はこうなるよw」

「……あ、そういえば今朝のメールだけど」

「あー!w ごめんねw 私てんぱっちゃって」

「それは全然構わないけど、見つかってよかったね」

「うんっ」


120 : 以下、名... - 2009/07/11(土) 08:43:50.31 Lcs1M/Sn0 43/186



担任「さぁ席つけー。週末までもう少しだぞー」

(聖職なのにそんなに平日が嫌いなのか。好感持てるな)


[授業中]


「……?」

(ケータイのバイブが……メールか)

(女さん?)


『誰も突っ込まないけど、黒板の答え、一個ズレで全部間違ってない?w』

(え、マジで? ……ホントだ)

『案外、誰も気付いてないかも。この先生、生徒指さないから起きてるだけでいいし』

『男君も?w』

『例に漏れず、目開けたまま寝てたよ』

『起こしちゃってごめんw』

(クラスの女子に、一日に二度も起こされるとは……)


121 : 以下、名... - 2009/07/11(土) 08:47:53.59 Lcs1M/Sn0 44/186



[昼休み]


「調子に乗って、また今日も来ちゃいました!」

男友「いえーい!」

「連れてきちゃいましたっ!」

男友「いえーい!」

女友「お邪魔しまーす!」

男友「いえーい!」

「……」

男友「……」

「……」

女友「……」

「……いえーい」


男友「いえーいwwwww」

「いえーいwww」


125 : 以下、名... - 2009/07/11(土) 08:59:59.85 Lcs1M/Sn0 45/186



[放課後]


男友「いやー高校生活始まってからというもの、笑っちゃうほどに女子と会話すらなくて困ってたが」

(何だろう……少しずつ侵食されているような)

「確かに女子と話す機会はないな」

男友「これで他の男子と差をつけてやったようなもんよ」

「そうなのか?」

男友「そういうもんだ。2人とも可愛いしな。これで俺たち安泰だぜ?」

「マヂで? 超やべぇじゃん」


「こんちわーっす」

「しゃーっす!」

部長「おう、2人とも来たか。それじゃ練習始めるかな」

「うっす……ん?」



(手振られてる……そりゃまぁ、いるよな。向こうも部活だしな)


126 : 以下、名... - 2009/07/11(土) 09:06:23.24 Lcs1M/Sn0 46/186



部長「よーし、それじゃ今日はここまでー!」

部員「お疲れ様でしたー!」


男友「いやー今日も疲れた疲れた」

「あぁ、そうだな……」

男友「あ、男、清汗スプレーもってね?」

「あるよ、ほれ」

男友「サンキュ。そういやさ、練習中にチラチラ女バスの方を見てたんだけどさ」

「お前それあとで部長に報告しとくぞ」

男友「やめてやめてそれやめて」


「それで、女バスが何?」

男友「ん、女ちゃんお前の方ずっとチラチラ見てたぞ」

「そういや目が合ったときは手を振られた」

男友「女ちゃん、お前に気があるんじゃね? そうなんじゃね?」

「それはないわ」


129 : 以下、名... - 2009/07/11(土) 09:12:28.28 Lcs1M/Sn0 47/186



男友「そんなことない、って方がないと思うんだけどなあ」

「それよりお前は練習中にそんなこと考えてたのか」

男友「うわわ、やめて、密告やめて」

「いいや俺なら密告はせずに堂々と正面からだ」

男友「俺が怒られるところが見たいだけなんですね。分かります」


「何にしたって今は大会に集中してないとマズいだろ」

男友「まぁな」

「そら俺たちは来年もあるが、先輩たちはこれで終わりだ」

男友「え、そういうスポ根っぽいのはいいよ……俺たちそんなタイプじゃないだろ……」

「……」

男友「……」

「……そうだったな。俺は何を言ってるんだろう」


130 : 以下、名... - 2009/07/11(土) 09:18:26.98 Lcs1M/Sn0 48/186



男友「さすがに大学入ってもバスケ続ける気はないしなぁ」

「他に楽なサークルとかいくらでもあるだろうし、俺はそっちにドロップアウトだ」

男友「だよな」


[家]


「ただいまー」

「おかえり。今日カレーだから自分で温めてよそって食べな」

「母さんは?」

「あれ、聞いてなかった? 朝から有名な日本産のイケメン集団のライブツアー巡りに行ってるわよ」

「初耳だな」

「だから暫く帰ってこないみたい」

「マジで? 暫く? 飯は?」

「アンタと私でローテーション。今日は私。明日はアンタ。おk?」

「汚い……ローテーションで先に楽なカレーを作るだなんて……」

「明日はカレーやだから。他にしてね」


131 : 以下、名... - 2009/07/11(土) 09:25:36.15 Lcs1M/Sn0 49/186



「ってちょっと待った。父さんは何でローテーションに入ってないんだ」

「いないわよ」

「え?」

「今朝から出張だって。それも聞いてなかったの?」

「むしろ四人家族なのにどうして俺の耳にだけ入ってこないのか不思議」

「ってことだから。昼は自分でどうにかしなさいね。私は学食だし」

「こりゃ久し振りに購買で飯かな」


(ふー。いい湯だったーっと)

(……ん、携帯光ってる。メールか)

(女さん? 何だろ)


『大会近いねえ』


「え、なに、これだけ?」


134 : 以下、名... - 2009/07/11(土) 09:31:45.25 Lcs1M/Sn0 50/186



「アンタ、そのすぐ独り言漏れる癖、治した方がいいわよ?」

「……大丈夫だよ。家だと気が緩むだけだから」

「普段どんだけ気ぃ張ってんのよーって」


(これは返したほうが……いいんだろうな)

『そうだねえ』

(これでいいか)

「……」

「……うわ、返信はやっ」


『男君は試合出られそう?』

(見て分かるとおりだと思うんだけどな……)

『男子は人数少ないから、出られると思うよ』


『そっかー。私はちょっと分からないなー』

『出られそうにないの?』


136 : 以下、名... - 2009/07/11(土) 09:39:13.90 Lcs1M/Sn0 51/186



『人数は大して男子と違わないけど、先輩が多いからね』

『あーなるほど。縦社会ってやつだね』

『そんな大層なものじゃないよw でも何だかんだ言って先輩優先になるよねっ』

『別に有名校でもないから勝つためなら新入生でも使う、とかそういうノリじゃないからね』

『そうそうw って私が出ても勝てるわけじゃないんだけどさw』

『何も出来ないのに出されるのも辛いんだなあ、これが』

『5対3で勝っておいてそんなこと言わないでよw』


(あははw……って、あれ)

(……んん?)


(俺、今メールしてて楽しかった……?)


147 : 以下、名... - 2009/07/11(土) 10:47:29.15 Lcs1M/Sn0 52/186



『それじゃ俺、そろそろ寝るよ。おやすみ』

『おっと。もうそんな時間だね。また明日ー!』


(結局夜遅くまでずっとメールすることになるとは……)

(友とだってこんなに長くやりとりが続いたことは……いや、友とメール続いてたらそれはそれで引くな)

(まぁ、なんだっていいや。寝よう)

(……)



[翌日]


「しまった……寝過ごした」


「何で起こしてくれなかったのよー! 今日は一限から講義あったのに!」

「俺がいつも起こしてたみたいに言うなよ。俺だって遅刻だよもう」

「単位ヤバないのに、落としたらアンタのせいだからね!」

「理不尽すぎる」


148 : 以下、名... - 2009/07/11(土) 10:53:20.63 Lcs1M/Sn0 53/186



(この暑い時期にチャリかっとばすのは嫌だな……学校着く頃には汗だくだ)

(信号が後二つ……捕まらなければ何とか一時間目には間に合いそうだな)


(……んん?)

(今、反対側の歩道に女さんが見えたような)

(見当たらないな……気のせいか)



[昇降口]


「ふう、なんとか一時間目には出られそうだ」

男友「あぁ、ギリギリセーフだな」

「何でお前ここにいんの。授業は?」

男友「寝過ごした。俺も今来たところだぜ」

「どんな偶然だよ」

男友「俺だって嬉しくないやい」


150 : 以下、名... - 2009/07/11(土) 10:59:32.48 Lcs1M/Sn0 54/186



[家庭科室]


(一時間目が移動教室で良かった……教室じゃ浮いてるから視線が痛い)


男友「何で男は出席つけて、俺はダメなんすか!」

教師「申し訳無さそうに入って来ないからよ」

男友「チクショー!」

(こいつと同じ教科専攻してて助かったなー)



[昼休み]


「あーやっと飯だ」

男友「購買付き合ってくれ。待ち時間が寂しいんだ」

「まぁいつもだしな。つーか今日は俺も購買でパン買わないといけないんだ」

男友「弁当は?」

「母が自由人でして」


152 : 以下、名... - 2009/07/11(土) 11:03:24.31 Lcs1M/Sn0 55/186



男友「へぇ。ライブツアーね」

「多分全箇所回っていくんじゃないかと思う」

男友「並みのおっかけじゃないな」

「毎年この時期はそんなもんだよ」


「やっほー。遊びにきたよーっ!」

女友「どもども」

男友「おーっす!」

「うっす」


「へぇ。アクティブだねえ。男君のお母さんって」

「アクティブ……確かにそうかもしれない」

男友「俺も前に男の家に遊びに行ったときは、こいつとあまりのギャップに驚いたよ」

「そいつぁすまんね」

男友「お姉さんも明るい人だよな」


153 : 以下、名... - 2009/07/11(土) 11:10:26.91 Lcs1M/Sn0 56/186



「お姉さんがいるんだっ」

「うん。でも母さんよりも自由かもしれない。今日も朝一番に……」

「何それwww……」


男友「ほう」

女友「どうしたの?」

男友「いやー。男が今日はよく喋るなーと思って」

女友「そうなの?」

男友「普段っていうか、今まではもう少しだけ静かだったような。多分」

女友「へー。男君とはいつから一緒なの?」

男友「中学から。同じバスケ部だったからよく一緒につるんでてさ」

女友「そうだったんだ」

男友「まぁいい傾向かなってことで」


154 : 以下、名... - 2009/07/11(土) 11:19:00.22 Lcs1M/Sn0 57/186



男友「おっと、鐘鳴ったな。午後の授業いくぞー」

「おー」

「おーっ!」



[教室]


担任「よし、それじゃ今日はここまでにしておこう。さっさと支度しろよー」

(担任の受け持つ授業が6時間目だと帰りが早くていいな)

担任「それじゃ、気をつけ礼。さようなら」

(はやっ)


(さて、友のクラス覗いてみるか)

(向こうのクラスはまだ終わりそうにないか。帰り際に話の長い担任は嫌だな)

(いつも通り待っているべきか)

(先に体育館行って準備しておくのもいいか)


157 : 以下、名... - 2009/07/11(土) 11:25:05.31 Lcs1M/Sn0 58/186



「何してるのっ?」

「え? あぁ、女さんか。友が来るのを待とうかなって思ったけど止めたよ」

「待ってなくていいの?w」

「この調子だとまだかかりそうだし、部活遅れて一緒にお咎めとか目も当てられないからね」

「なるほどーっ……」


「じゃあ一緒に行こうかっ!」

「え?」

「体育館だよ、体育館! っほら急げ急げ!」

「ちょ、待って……」


(いつもの俺ならここで走って追いかけないだろうし、別にそうしなくていいとは思うんだけど)

(ここで放っておくには少し仲良くなりすぎたかもな……)


159 : 以下、名... - 2009/07/11(土) 11:33:30.30 Lcs1M/Sn0 59/186



部長「そろそろあれ、いっとくか」


「まさか……」

男友「俺はそんなに実害ないからいいですけど」

「嫌ですよ。そんなの今時流行らないですって……」

部長「いやーでもこういうのって伝統行事じゃん」

男友「まぁありがちっちゃありがちですよね」

「そう、それ。ありがち過ぎて効果なんて薄れてますって。願掛けにもならないですよ」

部長「おっとこれは本気で嫌らしいな」

男友「こいつ、中学のときも結局1人だけやらなかったんですよ」

部長「筋金入りか」

「必要がないと思ったから、しなかったんです」

男友「それでこいつ、引退直前は練習まであんまり出なかったですからねwww」

部長「いやーでもさ。大会前って言ったら」


部長「丸刈りだろ」


162 : 以下、名... - 2009/07/11(土) 11:45:07.12 Lcs1M/Sn0 60/186



「いいぜ、てめえが何でも思い通りに出来るってなら、まずはその幻想をぶち殺す!」

部長「こらこら、先輩に向かって何言ってんだお前」

男友「こいつ中学のときも同じこといって、顧問に喧嘩売ってたんすよね」

部長「本当に筋金入りか」

「右腕が疼きだす……ッ!」


部長「まぁ、俺だって優勝の見込みもない引退試合のために丸刈りなんて嫌だけどね」

男友「色々とぶっちゃけましたね。まぁ確かにウチじゃ二回戦が限界っすけど」

部長「前々から男は髪長いよなーと思ってて、切らせたらどうなるかなーって遊んでみた」

「やめてくださいよ……」

部長「長髪気に入ってんの?」

「いや、そんなこともないですけど」

男友「俺が前に聞いたときもそんなことないって言ってたよな」

「本当だからな」


166 : 以下、名... - 2009/07/11(土) 11:56:57.47 Lcs1M/Sn0 61/186



「別に見られたくない傷があるとか、髪長いのが好きってわけでもないんだけど」

男友「髪型とか身だしなみ気にしてたらあんな服着ないよな」

「え、俺の格好ってそんなに酷いの?」

男友「……」

「ちょ、おま、そこで黙るなよ。俺もう外歩けないじゃん」

部長「まぁ、そこはいいとして」

「……」



「……何ていうか」

部長「ん?」

「目を合わせずに済むじゃないですか」


167 : 以下、名... - 2009/07/11(土) 12:00:19.92 Lcs1M/Sn0 62/186



部長「……」

「そりゃ、完璧に隠れてたら前が見えないし……前が見える程度に掻き分けたら少しは目も合いますけど」

「完全に直視ってのが、俺には辛いんです」

部長「……そうか」

男友「初耳だなー」

「逆にお前だと、そんなことも気にしないでいられるからな」

男友「それは褒め言葉として受け取っておくぜ……!」

「話半分でいいよ」

男友「それはそれで寂しいな」


168 : 以下、名... - 2009/07/11(土) 12:05:31.74 Lcs1M/Sn0 63/186



部長「まぁ、人それぞれだからな。髪はそのままでいいぞ」

「どもっす」

部長「で、球技やるには不便だと思うんだが、そこはどうなんだ?」

「それはまぁ、ヘッドバンドで何とか」

部長「試合の時はいいのか」

「そうですね。試合中とか、練習でもそうですけど」

男友「難しいやつだな」

「互いに了承した上で相手と向かうじゃないですか。それなら」

部長「ふむ……」


(これなんて恥ずかしい自分語り? ……家に帰って冷静になったら悶えるだろうな)


「……なるほどっ」


170 : 以下、名... - 2009/07/11(土) 12:17:17.61 Lcs1M/Sn0 64/186



男友「さぁーっ! 男ー! 帰るぞー!」

「あぁ、うん……何でそんなにテンション高いの」

男友「別に何でもねーっての!」

(機嫌いいな……)


「待ってくれーいっ! 私たちも部活終わったよーっ!」

女友「ちょっ……女速い……何でそんなに元気なの……」

男友「おっとごめんな! 一緒に帰るぞーっ!」

「おーっ!」

(あぁ、この2人はいつもこんな感じだな……)



[家]


「ただいまー」

「おかえり。アンタちょっとこっち来なさい」


172 : 以下、名... - 2009/07/11(土) 12:20:19.49 Lcs1M/Sn0 65/186



「え、何?」

「何じゃないでしょ。テーブルとキッチン。見てみなさい」

「……」

「どうだった?」

「何もなってないけど……」

「そう、何もないわよ」

「んん?」

「……」

「……あ」

「分かった?」



「今日は出前とるか」

「アンタの小遣いでね」

「お姉ちゃんごめん! 俺が悪かったよ! だから許して!」


174 : 以下、名... - 2009/07/11(土) 12:28:18.66 Lcs1M/Sn0 66/186



「……突然の痛い出費だよチクショー」

「まぁまぁ。忘れてたのがいけないってことで。明日は私が晩飯準備するから」

「……同じメニューは続けないのが我が家の掟だぜ」

「昨日カレーで今日出前。一回空いてるからカレーおkね」

「汚ぇ! それ姉ちゃんずっとカレーで回せるじゃねえか!」

「あ、昨日のまだ残ってるから明日はこれで済みそうね」

「……」



[自室]


(携帯また光ってるな……メールか)

(女さんか)

『ついに明後日は大会だねえ』

『だねえ』


176 : 以下、名... - 2009/07/11(土) 12:35:34.95 Lcs1M/Sn0 67/186



『お互い勝てるといいねー』

『そうだね、多分3回戦も上がれないと思うけど』

『めっちゃ弱気かよっw』

『いやでも一桁の人数で勝ち上がりとか厳しいって。俺出場登録も出来ないと思ってたよ』

『あははw……』


(実際に話すより、メールの方がスムーズに会話ってのはやっぱ人としてマズいよなあ)

(そう思って今日は少しだけ喋ることに専念してみたけど)

(やっぱ柄じゃないかな)


『それでも男君は試合で活躍出来るんだから頑張らなきゃ!』

「……」


『そうだね』


179 : 以下、名... - 2009/07/11(土) 12:45:08.29 Lcs1M/Sn0 68/186



[放課後]


担任「それじゃ、今日で今週の授業も終わりだ。よく頑張ったな。存分に休めよ」

(先生もよく頑張ったな)

担任「先生もよく頑張ったので、週末はゆっくりと休むぞ。以上、気をつけ礼!」

(何だかなあ)



[体育館]


部長「それじゃ明日は大会だ。みんな気を引き締めていこう」

部員「うっす!!」

部長「前日に無駄な怪我とかしたくないから、今日は軽めにいくぞー」

部員「よっしゃー!!」

(やる気ねえな)


182 : 以下、名... - 2009/07/11(土) 12:56:23.11 Lcs1M/Sn0 69/186



「それじゃ男子と女子の会場は同じなんだ」

「そうみたい。予選だから、大きな私立校の体育館で合同になるんだって」

「市民体育館は準決勝以上か。例年通りだなあ」

女友「冷房効いてるならどこでもいいなー。暑いのだけは勘弁」

「そうだねえ」


男友「無条件でベンチ入りだからとりあえず座れるのも助かるよな」

「俺たち中学のとき二階のギャラリーから見てたもんな」

男友「そもそもユニフォーム着てなかったもんな」

「選手交代の可能性もなかったからな」

男友「お前、ジャージの下に私服着てたもんな」

「お前なんか私服だったろ」

男友「あれは流石に怒られたな」


「2人ともすげーっ!」


185 : 以下、名... - 2009/07/11(土) 13:04:16.99 Lcs1M/Sn0 70/186



「明日は七時に駅だっけ?」

男友「そうそう。寝過ごさないようにな」

「お前だってそうだろうが」


男友「女バスはいいよなー。保護者が動いてくれるなんて」

女友「車で快適に同じ時間に到着予定だから!w」

男友「俺1人だけでも混ぜてもらえねーかな……」

「むしろお前1人ってのが逆に危ないわ危険分子。保護者がついてないと」

「保護者って男君のこと?」

「え、俺?」

男友「何だお前! 俺も一緒に乗りたいですって言えばいいのに俺を使ったな!」

女友「いや、乗せられないけどね」

「いやいや、そんなつもりで言ったわけじゃないんだけど……」

「乗せられたらいいんだけどね」


188 : 以下、名... - 2009/07/11(土) 13:14:55.72 Lcs1M/Sn0 71/186



「それじゃ、ここで!」

男友「おーっ! お互い明日は頑張ろうなー!」

女友「また明日、会場でねーw」

「まったねーっ!」

「……また明日」




[家]


「まさか本当に手を抜いてくるとは……」

「文句言うなら食べないの」

「すいませんでした」

「あ、明日はアンタの当番だから。今度は忘れないでよね」

「……」


204 : 以下、名... - 2009/07/11(土) 14:45:16.08 Lcs1M/Sn0 72/186



[翌日]


部長「それじゃ、みんな。試合は楽しんでいこう」

部員「うっす!!」


男友「ベンチ入りまではもう暫く時間があるけどどうすんだろうな」

「会場の外はボール持ち出し禁止らしいから、大人しくよその試合見てろってことだ」

男友「興味ないな」

「まぁな」


「あれ、そういや女さんと女友さんの姿が見えない」

男友「そういや、そうだな」

「女子の試合は何時からだろ」

男友「分からん」

「……」

男友「気になるのか?」


205 : 以下、名... - 2009/07/11(土) 14:46:18.12 Lcs1M/Sn0 73/186



「気になるっていうか、昨日アレだけ盛り上がったら普通に顔あわせるもんだと思ったかな」

男友「まぁ分からんでもないけどな」

「ちょっと部長に聞いてみる」

男友「おう」


部長「女子の試合?」

「はい」

部長「確かピッタリ同じではないけど、ほとんど俺たちと同じだったハズだぞ」

「ありがとうございます」

部長「応援でも行きたかったか?」

「あ、いや、そういうわけではないんですけど」

部長「まぁ時間通りにいかないのがバスケだからな。ズレ込めば観戦は出来ると思う」

「うっす」


206 : 以下、名... - 2009/07/11(土) 14:47:22.71 Lcs1M/Sn0 74/186



男友「さて、コートが空いたぜ」

「流石にここまで来ると緊張するなあ」

男友「確かにな」



部長「……よし。みんな、これが最後の大会になる。悔いのないようにプレイしてくれ」

部員「はい!!!」

顧問「みんなで声出していくぞ!!!」

部員「……」

顧問「うおおおーーーーっ!」

(普段の練習に顔も出さない顧問が何か言ってもな……)



審判「これより試合を始めます。礼!」

……………………

…………

……


207 : 以下、名... - 2009/07/11(土) 14:49:32.88 Lcs1M/Sn0 75/186



「いやー。まさか」

男友「だな」


「一回戦でダブルスコアの大敗とは思わなかったね」

男友「正直もうちょっといけると思ったよな」

「あわよくば3回戦とか言っちゃった自分が恥ずかしい」

男友「部長もけろっとしてらっしゃる」

「まぁ、負けて悔し泣きするとか、そういうノリの部活じゃなかったから」

男友「こっちとしても気が楽っちゃ楽だぜ」

「まぁな」


部長「みんな集合! お疲れ様!」

部員「うぃーっす」

部長「今度の打ち上げの話だけどな!」

(まず打ち上げか)


210 : 以下、名... - 2009/07/11(土) 14:57:02.24 Lcs1M/Sn0 76/186



男友「なぁ、おい男。女子の試合の話聞いたか?」

「そういえば、どうなったんだ?」

男友「俺らとは違って僅差だったらしいぞ。負けちゃったけど」

「そうか。残念だったな」

男友「俺たちくらい差つけられるといっそのこと諦めもつくんだけどな。僅差は悔しいよな」

「女さんと女友さんは試合に出られたのかな」

男友「どうだろう。俺も聞いた話だ」

「……」


(あとで女さんにメール送ってみるか)

(女さんなら負けててもそんなに気にしてなさそうっていうか)

(そういえば、最初以来、俺からメール送ったことってあったっけ……)


212 : 以下、名... - 2009/07/11(土) 15:04:44.07 Lcs1M/Sn0 77/186



[家]


「大貧民で負けてマジ切れと評判のパスタを作ってみた」

「うーん。70点かなぁ」

「数字がリアルでムカツクぜ」

「まぁよく頑張ったんじゃない?」


「明日は姉ちゃんだからな。もうカレー続きは無しだぞ」

「あれ、言ってなかったっけ」

「え、何?」

「明日には父さん帰ってくるよ」

「……」

「だから明日は父さんが晩飯担当ね」


(帰ってきて早々にこの仕打ちか……)


213 : 以下、名... - 2009/07/11(土) 15:10:48.76 Lcs1M/Sn0 78/186



[自室]


(携帯光ってる……女さんからメール入ってるな)

(結局こっちからは送らずじまいか)


『そっちの試合どうだったー?』

(あれ、こっちの結果は向こうには伝わってなかったのかな)


『ヒドいものでダブルスコアで負けだったよ』

『一回戦? それは残念だったね……』

『いやーでも大差で負けちゃったほうが、いっそスッキリするっていうか』

『あーそれは分かるかもw こっちも差つけられて負けちゃってさw』

『そうだったんだ。女さんは試合出られた?』


「……あれ、女子の方って僅差で負けたんじゃなかったっけ」


215 : 以下、名... - 2009/07/11(土) 15:19:13.04 Lcs1M/Sn0 79/186



「……」


『試合出られなかったよー! まぁ出ても結果は変わらなかったけどねw』

『そっか。時間被ってて試合見にいけなくて残念だったかな』

『いやーw でも一方的だったから見ても楽しくなかったと思うよw』


(……)

(どうしよう。これは送ったらダメな気がする)

(けど……)


『友から、女子の試合は僅差で惜しくも負けって聞いたんだけど』


(……)

(……)

(……返事が来なくなった)


220 : 以下、名... - 2009/07/11(土) 15:27:30.59 Lcs1M/Sn0 80/186



[翌日]

(……結局、昨日はあの後メールの返事は来なかったな)

(多分、触れちゃいけないところだった)

(何で我慢できなかったのかなぁ……)


「おい、姉ちゃん起きろ」

「んんぅ……」

「欠席ついたら危ないんだろ。ちゃんと起きて学校行ってこい」

「んぁ……やぁー……」

「ヤダじゃない。ちゃんと起きて、着替えて行ってこい」

「ぁ……はぁっ……」

「……?」

「んっ……んぁっ……」


「……起きてるだろ、テメー」

「流石は弟。よく見破ったわね」


223 : 以下、名... - 2009/07/11(土) 15:36:12.77 Lcs1M/Sn0 81/186



「馬鹿なことやってねーで顔洗ってこい」

「わーかってるわよ」

「……」



[体育館]


男友「おいーっす。今日から俺らが天下だな」

「天下って言うな。しかし大会の次の日に、しかも日曜に練習ってどうなってんだ」

男友「いやー別に練習じゃないらしいぜ」

「え?」

男友「喋るには落ち着かないって言って昨日はすぐに返してくれただろ?」

「……あぁ、なるほど」

男友「お察しの通り。先輩が喋りたいだけです」

「ふふっ。困ったものです」


226 : 以下、名... - 2009/07/11(土) 15:47:53.93 Lcs1M/Sn0 82/186



部長「廃部寸前だったバスケ部を俺たちで再建しようと企んだのは今から二年前のことで……」

(まさか、本当に喋るとは思わなかった)


部長「部員募集の張り紙を書いたり、顧問を探したりと……」

男友(その張り紙には団子大家族が書いてあったそうな)

(バスケ部、敵じゃねえか)


部長「そこで俺は……おっと、女バスも集まってるみたいだな」

「ん?」

男友「向こうも先輩たちが一緒に来てるから俺たちと同じとみたね」

「俺たちと同じか。あ、女さん」

男友「女ちゃん? ……おいおい、いつの間に見かけたら目で追うほど気になってたんだよ」

「そういうんじゃないって」

(確かに昨日のことは気になるけど)


228 : 以下、名... - 2009/07/11(土) 15:55:07.92 Lcs1M/Sn0 83/186



部長「みんな、楽にしてくれ。少し向こうの部長に挨拶してくる」

部員「うぃーっす」


男友「しかし、男女ともに一回戦負けとはね。もりあがらねーwww」

「一緒にするなって怒られるぞ。俺たちはダブルスコアだ」


男友「そういや、その話だけどよ」

「ん?」

男友「昨日の女子の試合。俺たちよりもずっとエキサイトしてたらしいんだよな」

「今時エキサイトって……」

男友「まぁ聞いてくれ。なんでも、両チームでファウル連発で5ファウルで退場選手続出だったそうな」

「女子の試合でか。本当にエキサイトしてるじゃねえか」

男友「それも予選一回戦目だぜ。最初に吹っかけたのは相手チームだって話だが……」

「多分、そういうのは向こうでもそう言ってるだろうからアテにはならないな」


231 : 以下、名... - 2009/07/11(土) 16:07:55.01 Lcs1M/Sn0 84/186



男友「あれ、見てくれ」

「ん? ……おー。見事に片腕ギプスで固定してるな。痛そうだ」

男友「あの先輩が最初にファウルを受けたらしい」

「おいおい、そりゃどんなタックル受けたんだよ。女子の試合怖いな」

男友「けどあの人、最後までコートに立ってたらしいんだよな」

「え……あの怪我で交代しなかったのか!?」

男友「っていうか、出来なかったらしい」

「どういうことだ?」

男友「さっきも言ったが、退場選手が多かったんだ」

「……あ」

男友「女子の部員も男子と変わらないだろ? それで、血気盛んな先輩たちが揃って退場」

「試合は僅差で盛り上がってるところで、交代の選手がいないっていって」

男友「そういうことらしいぞ」

「それはすげえな」


234 : 以下、名... - 2009/07/11(土) 16:13:34.08 Lcs1M/Sn0 85/186



「それなのに俺たちときたら……」

男友「ダブルスコアで負け。試合後には打ち上げの話だ」

「顔向け出来ないなぁ」

男友「まぁ、よそはよそ。うちはうちだけどな」

「うちもうち、同じ部だけどな」


男友「部長もよく挨拶に行けたよなwww」

部長「門前払いでした」

男友「ちょ、先輩wwwww」


「あれ……」

男友「ん?」


(確かに危険なプレイは多くて自信をもって言えるような試合じゃないけど……)

(女さんのいうような一方的でつまらない試合ってやつとはやっぱりかけ離れてる……)


237 : 以下、名... - 2009/07/11(土) 16:27:09.78 Lcs1M/Sn0 86/186



男友「門前払いってどんな感じだったんすかwww」

部長「いやーお互い頑張りましたよね、お疲れ様ですって言おうとしたら」

男友「したら?」

部長「私たちはまだ話が終わっていませんので。って」

「話……か」


……………………

…………

……


男友「なぁ男、女バスのほう見てみろ」

「え、何?」

男友「なんかヤバそうな空気じゃね? 今にも掴みかかりそうな雰囲気だぜ」

「本当だな。誰か囲まれて……ってあれ女さんか……?」

男友「え、マジでか」


240 : 以下、名... - 2009/07/11(土) 16:37:14.87 Lcs1M/Sn0 87/186



「男子のドリブルの音で何言ってるか聞こえないが……」

男友「なんか物凄いこじれてるな」

「……」

男友「近づいてみるか?」

「いや、それは止めておいたほうが……」

男友「そんなこと言ってもアレは流石に……って、うわっ、ついに女ちゃん突き飛ばされたぞ!?」

「女さん……っ」

男友「これやっぱり止めなきゃダメだろ! 俺、いってくるぞ!」

「……待ってくれ」

男友「何だよ!」


「……ダメな、気がする」

男友「はぁっ!?」


「俺たちはこれ、見てなかったことにしたほうが、いいと、思う……」


245 : 以下、名... - 2009/07/11(土) 16:50:21.74 Lcs1M/Sn0 88/186



「俺だったらの話だけど……」

男友「……」


「何があったかは分からない、けど」

「あんな風に囲まれて、突き飛ばされて」

「何言ってるかも聞こえないけど、色々言われてると思う……」

「……俺だったら」

「二度とあそこには戻りたくない」


男友「……」

「逃げる場所が欲しい、と思う」


「俺たちは、何も知らないほうがきっといいと思う」


249 : 以下、名... - 2009/07/11(土) 17:04:30.85 Lcs1M/Sn0 89/186



男友「……分かった。お前がその方がいいっていうなら」

「……うん」


「何が原因にせよ、一時的な気持ちの昂ぶりの結果がアレなのかもしれない」

男友「……」

「もしかしたら明日には何でもなかったかのように過ごせるのかもしれない」

男友「そう、だな」


「でも、俺はそれが一番嫌いだから」

男友「……」

「一度でもあんな状況作って」

「あとで、集団で謝られたら……」

「そんなの汚いだろ。許さないって選択肢が選べなくなる」

「そんなの、考えるだけで虫唾が走るから」


「俺は逃げた先にいようと思う」


251 : 以下、名... - 2009/07/11(土) 17:07:54.43 Lcs1M/Sn0 90/186



[翌日]


「おはよう」

「おはよ」

「今日は1人で起きられたんだな」

「いつもそうじゃなかったっけ?」

「どうだったかな」

「あら、張り合いがないわね」

「それよりトイレ、トイレ……」





ガチャ

「……」

「……出張お疲れ」


255 : 以下、名... - 2009/07/11(土) 17:14:15.44 Lcs1M/Sn0 91/186



[昼休み]


男友「購買に新商品って都市伝説だよな」

「新商品か。それはあれだな。購買部に言ったほうが早いかもな」

男友「……ラインナップがどう見てもコンビニと同じだもんな」

「何を作ってくれっていうよりも、何を置いてくれってレベルだな」

男友「売れないものは置かないもんな」

「それが、商売」


男友「2人とも来ないな」

「そうだな」

男友「昨日、メールとかしたか?」

「流石にないな」

男友「だよなー。そもそも女ちゃんにメール送ってもあんまり返ってこないんだよなぁ」

「え、そうか?」


258 : 以下、名... - 2009/07/11(土) 17:18:41.31 Lcs1M/Sn0 92/186



男友「え、何。どういうこと」

「メールだろ? 送ったらすぐに返ってくるって言うか、まず大体メールは向こうから……」


男友「はっはん」

「なにそれこわい」

男友「これはこれは……」

「含んだ言い方だな」


男友「もう涙出てくるわ」

「ちょ、きめえ、マジで泣きそうな顔してこっち見んなっ!」

男友「どうしてこうなった!」

「し、知らん!」


269 : 以下、名... - 2009/07/11(土) 17:29:39.48 Lcs1M/Sn0 93/186



「あーもう、離れろ! 抱きつくなっ!」

男友「チックショー! やっぱり他人の応援なんかできねえ! 俺ルート突入させてやる!」

「嫌過ぎるわ!!!」


ササッ

「……」


「お?」

男友「あ、女ちゃん、遅かったじゃん!」

「えっと……」


「……」

「……おーっす」

「……!」


「おっす! 遅れたぜ!」


308 : 以下、名... - 2009/07/11(土) 19:52:23.25 Lcs1M/Sn0 94/186



[放課後]


担任「あー。お前らも分かってると思うがな、ここで一度確認しておくぞ」

担任「また月曜日がやってきてしまった。これはもう逃れようのない事実だ」

担任「頑張って今週も乗り切ろうな、以上。気をつけ礼」

(職がに就いてるから人として成り立ってる感じか……先生……)


男友「おっと今日は俺のほうが少し早かったようだな」

「いつもそれなら助かるんだけどな」

男友「それはこっちの担任に言ってくれ。あとこの間俺のこと置いていっただろ」

「今日から先輩がいないからな、気引き締めていかないとな」

男友「はははこやつめ」


[体育館]

「……」

男友「どうした?」


309 : 以下、名... - 2009/07/11(土) 19:54:20.55 Lcs1M/Sn0 95/186



「いや、何でもない」


(やっぱり女さんはいないか)

(昨日の今日で、来るわけないよな)

(……俺はそれが正しいと思う)


男友「えーそれでは」

「ん?」

男友「今日の練習について、発表するから。みんな集合!」

「ちょっと待て」

男友「え、何?」

「何じゃない」

男友「うん?」

「まるでお前が部長か何かのような口振り素振りに思えたんだけど……」

男友「え? 新部長って俺だろ?」


311 : 以下、名... - 2009/07/11(土) 19:58:35.28 Lcs1M/Sn0 96/186



部長「そんなわけないだろう」

「あれ、部長。どうしたんすか」

部長「その件について、伝えるのを忘れていたからな。顔を出しにきたんだ」

部長「……俺が部長でなくなった時。それが俺の最後の出番だろうからな」

「はぁ」


「……ということで、部長に任命されました。みんなよろしく」

部員「っしゃーっす!」

男友「何で……よりにもよって……」

「いやぁ。俺も不本意ながら。でも真面目にやるよ」

男友「絶対俺のほうが、俺のほうが適任なんだから……っ!」

「気持ちは分からんでもないが、あんまり気にすんな。俺とお前の関係は今まで通り変わらないんだ」


「ちなみに速攻魔法『部長権限』とやらが使えるようになったぞ」

男友「このド畜生が!」


313 : 以下、名... - 2009/07/11(土) 20:05:24.83 Lcs1M/Sn0 97/186



「よーし、それじゃ今日の練習終わりー。みんなお疲れー」

部員「っしゃーしたぁっ!」


男友「早くも板に付いてるじゃないか」

「っていっても今まで通りのことをやってるだけだよ。俺の声で始まるか、先輩の声で始まるかの違い」

男友「俺の声……」


男友「……羨ましい」

「本当にやりたかったんだな。今更だけど、お前に譲ってやればよかったな」


[昇降口]


男友「お前も気付いてるとは思うが」

「ん?」

男友「やっぱり、女ちゃんは来てなかったな」

「……そうだな」


315 : 以下、名... - 2009/07/11(土) 20:16:46.13 Lcs1M/Sn0 98/186



「もう帰ったのかな」

男友「多分そうだろ。部活に行かない限り、学校に残ることなんてないしな」

「まぁ、そうだよな」


(何だろうな。ほんの一週間前まで名前も知らなかったのに)

(あれだけ活気に満ち溢れてるから、居ないだけで、こう何ていうんだろうな……)

(……思いついたけど止めておこう。柄じゃないな)


男友「ところでさ」

「ん?」

男友「『今更だけど、お前に譲ってやればよかった』って本気?」

「いいえ、建前です」

男友「このド畜生が!」


328 : 以下、名... - 2009/07/11(土) 21:05:06.89 Lcs1M/Sn0 99/186



[翌日]


(あれから女さんとメールのやりとりは一度もない)

(俺が教室にいても、話しかけてくることはなくなった)

(こんな状況になって初めて、俺はようやく女さんを目で追うようになった)

(俺の見る限り、これまでと目立って変わったところはない)

(それでも、俺たちに近づいてくることはない)



[翌日]


男友「来ないな」

「そうだな」

男友「もしかしてさ」

「ん?」

男友「俺がふざけて……俺ルート突入だなんて言ったから……」

「それはない」


331 : 以下、名... - 2009/07/11(土) 21:11:51.21 Lcs1M/Sn0 100/186



[翌日]


(もしかしたら、話しかけるタイミングを見失ったかもしれない)

(気さくな性格で、誰とでも盛り上がれるのが女さんだ)

(いつ見かけても、楽しそうに誰かと話をしている)

(もしかしたら)

(俺が心配する必要なんて、少しもなかったのかもしれないな)



[翌日]


「思ったんだが」

男友「何?」

「案外、女さんは楽しそうに生活してる」

男友「そりゃ女ちゃんの性格からすればな。それに同じクラスのお前が言うんだから、そうなんだろうな」

「だからもう、気にしなくていいと思うんだよ」


336 : 以下、名... - 2009/07/11(土) 21:25:45.01 Lcs1M/Sn0 101/186



男友「ほう」

「俺はちょっと自惚れてたかもしれない。自分が他人の隠れ蓑になれると思ってた」

「俺はバスケを続けるけど、女さんはここで辞めた。それだけの話だったんだな」


男友「……まぁ、お前がそう思うならそれで決着つけるとしようか」

「うん」


(俺が苦手とする女の子に目を付けられたこの数日)

(たった数日だったけど、少し、楽しかったかもしれない)


……………………

…………

……


338 : 以下、名... - 2009/07/11(土) 21:33:10.68 Lcs1M/Sn0 102/186



[翌年]


担任「……えー。今日でお前たちの担任は終わりだ」


担任「お前たちも、クラス替えで新しい仲間、新しい先生と出会うことになるだろう」

担任「とは言え、二度目のクラス替えだ。勝手も分かってるだろう」

担任「今年が高校生活を締めくくる年であることを肝に銘じて、頑張っていけよ」


(先生が……まともなことを言っている……)


[体育館]


(クラス替えか……去年のクラスには結局馴染めなかったからな……)

(今年こそ、何とかしないとな)

(そう思いつつも、大して危機感も覚えてないから困るな)

(部活行けば、友もいるし後輩たちもいるから安泰かな)

(安泰……)


340 : 以下、名... - 2009/07/11(土) 21:39:04.00 Lcs1M/Sn0 103/186



[廊下]


男友「うぉーい男ぉーっ!」

「おう、どうした」

男友「クラス割見たか? 違うクラスだぜwwww」

「お、マジで? 普通そういうのって同じクラスだった時のノリじゃねえの?」

男友「一緒だやったーっ!って仲じゃねえだろwww」

「まぁ、確かに。ちょっと気持ち悪いな」


男友「あぁ、そうそう。女ちゃんはまたお前と同じクラスだったぜ」

「その辺、わざわざ探して報告してくるのがお前らしいわ」

男友「だろ?」

「……」

男友「……本当はな。同じクラスに知り合いが一人もいなくてな」

「うわやめろ、暗いオーラを辺りに撒き散らすな」


344 : 以下、名... - 2009/07/11(土) 21:49:41.67 Lcs1M/Sn0 104/186



男友「俺だって……俺だって本当は辛いんだよお!!」

「あぁー、もう寄ってくるな!」

男友「何だよ、もっと慰めてくれよぉ! 俺はいつになったら報われるんだよぉお!!!」

「報われる努力なんかしてないくせに何言ってんだっ」

男友「んなことねーっての!!」

「ほうほう、なら例えば何してんの?」

男友「そりゃあれだよ……えっと、えっと」

「ほれ見ろ、何もしてないだろうが」

「そんなことだろうと思ったよっ! 男友君にはがっかりだ!」





「え?」

「ん?」


348 : 以下、名... - 2009/07/11(土) 21:53:48.12 Lcs1M/Sn0 105/186



男友「エンッ!」

「今日からお前は毒物君だ」

毒物「なんてこったい」


「って、そんなことより……」

「おひさっ!」

「……おひさ」

「あれ、もしかして私のこと忘れちゃった? 同じクラスの女だよーw」

「いや、それは忘れてないけどさ」

「よかったーw」


(何か)

(何か違う)


352 : 以下、名... - 2009/07/11(土) 22:02:57.60 Lcs1M/Sn0 106/186



(何だろうな)


「クラス割見たけど、男友君は一緒になれなかったねーw」

男友「うぐっ……そうだ、そのことで落ち込んでたんだった……」

「あれ、それで落ち込んでたの?」

男友「さっきは強がって『一緒だやったーっ!って仲じゃねえだろwww』なんて言っちゃったけどさ」

「うんうん」

男友「本当は寂しいんだよおおおおおおお!!!」

「おお、よしよし、トイレの奥のほうで泣いてきなーっ」

男友「あ、微塵も受け止めてくれないんですね」

「だって男友君、大きいんだもんw」

男友「……センターポジションは涙も流せないのか」


(……もともと、女さんは苦手なタイプだって分かってたハズなのに)

(少しも好きになれない)

(出会ったばかりの頃みたいだ)


357 : 以下、名... - 2009/07/11(土) 22:18:16.47 Lcs1M/Sn0 107/186



[教室]


担任「えーまずは自己紹介だが」

担任「この一年、私がこのクラスの担任を受け持つことになった。何人か見知った顔がいるが、またよろしくな」

担任「一年という長いスパンで日々を思うと憂鬱になってくるが、お互い頑張ろうな」

(これはいったい)

(しかし……悪くない)


「先生も同じだったねw」

「あ、うん。そうだね」

「……? どうしたの?」

「いや、別に何もないよ。あ、そうだ。委員会の用事で職員室に行くんだった。それじゃ」

「そっか。それじゃ、またねーっ」


(ダメだ、会話がもたない)

(受け付けなくなってる……)


361 : 以下、名... - 2009/07/11(土) 22:29:04.43 Lcs1M/Sn0 108/186



(多分、原因は分かってる)

(けどこんなの、俺の勝手もいいところだろ……)

(女さんだって、色々考えたんだと思うし……)

(どうなんだろう)



[放課後]


「よーし、みんな。今日から新入生が部活の見学に来るから」

「分かってるな?」

男友「ふんっ……言われずとも」

「ほう……頼りになるじゃないか」

男友「出来るだけ派手で魅せるためのプレイ――――そうだろう?」

「その通りだ」


363 : 以下、名... - 2009/07/11(土) 22:34:08.30 Lcs1M/Sn0 109/186



「現状、部員が6人と運動部としては非常に不味い状況下にある」

「何としてでも部員の確保だ」

「……っていうのはまぁ置いておいて。それじゃいつも通り練習始めっぞー!」

部員「うぉーっす!!」

「それじゃ、友。ちょっと任せる」

男友「え?」

「ちょっと部長会出てくるから、練習の監督任せるよ」

男友「監督……///」


男友「おーよっ! 任せとけ、そらもう物凄い監督力発揮してやるぜ!!!」

「あ、うん、期待してる」

男友「お前ら、一人タップ50回行くぞーっ!!」


365 : 以下、名... - 2009/07/11(土) 22:41:01.81 Lcs1M/Sn0 110/186



[会議室]


生徒会「それでは、これより部長会を始めます」

生徒会「まずは昨年度部費の決算と、来年度購入予定の物資リストの作成について……」


(えーっと席は……)

女友(男君、こっちこっちー)

(お、ありがと)


「お互い少人数な部活だからこの時期は勝負だね」

女友「男子はまだ1チーム組めるから羨ましいよ。こっちなんて先輩抜けてから4人しかいないからねー」

「合わせて2チームってのが……」

女友「笑えねーっ!」


生徒会「……意見があるなら挙手でお願いしますね」

女友「あ、すいません」


368 : 以下、名... - 2009/07/11(土) 22:49:41.49 Lcs1M/Sn0 111/186



女友「それにしても男君は髪長いねえー」

「野放しにしてるから既に前だけの話じゃなくなってるけどね」

女友「練習のときにしてるヘッドバンドで、印象がだいぶ違って見えるよ」

「あーそれだいぶ前にも友に言われたな」


……………………

…………

……


生徒会「以上で、今期部長会を終わります。意見のある人はいますか?」

生徒会「……では、これで終わります。お疲れ様でした」


女友「あーっ! やっと終わったっ」

「お疲れお疲れ」

女友「でもこれからが本番だもんね。よし、それじゃ私先にいくよー」

「頑張れー」


373 : 以下、名... - 2009/07/11(土) 22:57:06.59 Lcs1M/Sn0 112/186



(女友さんが部長になったと聞いたときは驚いたけど)

(俺が部長になったぐらいだもんな。驚かれるほうが心外だろうな)

(さ、俺も部活だ)



[体育館]


男友「はぁっ……はぁっ……」

後輩A「っふぅ……っふ……」

男友「違う、そこでパスを貰うんじゃない! もっとゴール下で、そのままシュートに繋がる場所だ!」

後輩B「す、すいません!!!」

男友「Aもそんなパスじゃ簡単にカットされるぞ! フェイント一つで済む相手かどうか見定めろ!!」

後輩A「はいっ!!」


「見学者が2、4、6……10人か。そりゃこうなるかもな」


383 : 以下、名... - 2009/07/11(土) 23:10:49.02 Lcs1M/Sn0 113/186



(女子の方も見学者たくさんだ。こっちよりも多いかもな)

「よーし、そこまで。10分休憩だっ!」


男友「はぁっ……はぁっぁっぁーーーっ……」

「お疲れさん。随分と部活らしくなってたぜ」

男友「ははっ……これ絶対明日筋肉痛だぜ……」

「褒めてやりたいが、現役が部活で筋肉痛ってどうなんだ……」


顧問「よし、みんな。今日も頑張って行きましょうね」

(こいつ新入生の前だからって出てきやがった)

男友「よし、そろそろ休憩終わりだよな」

「あ、あぁ……」

男友「先生、ダンク練習したいので、いつも通り手伝って下さい!」

顧問「いつも通り……? あ、あぁ、いいぞ。いつも通り手伝ってやる。どんなのだったかな」

男友「はい、先生がゴール下で四つん這いになって、それ踏み台に僕らがダンクの練習するやつです!」


390 : 以下、名... - 2009/07/11(土) 23:22:49.03 Lcs1M/Sn0 114/186



男友「二度と来るなよ、クソッタレが。キラッキラにしてやんぞ」



「よーし、それじゃそろそろ部活終わりにするぞー」

男友「ふいー。今日はマジで疲れたな。久し振りに自分が運動部だってのを思い出した気分だよ」

「ちょっと張り切りすぎたな」

男友「よく考えたら見学の子が帰った時点で、いつも通りに戻せばよかったな」

「確かにこの部ならそれが正解だが、発想がダメすぎる」


[昇降口]


男友「ところでさ……」

「何だ?」

男友「テレビはやっぱり安定感と安心感が詰まったブラウン管だよな」

「何言い出してんだお前」


393 : 以下、名... - 2009/07/11(土) 23:25:03.60 Lcs1M/Sn0 115/186



[翌日]


「今日は学校、行くの……?」

「毎日行ってるだろうが。朝一番にそんな小芝居入れんな」

「最近は起こす前に起きちゃうからつまらないのよ」


「おはよう」

「おはよ。珍しく部屋から出てきたのね」

「なんだ、母さんとのやりとりが聞こえたのか。しかもさっきより俺の状態が酷くなってるぞ」

「まぁまぁ」





ガチャ

「……」

「おはよう。たまにはトイレ以外で挨拶がしたいな」


398 : 以下、名... - 2009/07/11(土) 23:32:24.85 Lcs1M/Sn0 116/186



[昇降口]

男友「そういえばお前、最近血色いいよな」

「え、そうか?」

男友「最近って言うには少し遅いかもしれないけど、部長の仕事にも慣れてきたって言ってたぐらいから」

「つい最近だな……自覚はないけど」

男友「この際、髪もばっさり切り落としちゃえばいいのに」

「それもいいかもな」

男友「……!」

「ん?」

男友「いや、なんかな」

「何だよ」

男友「微笑ましいなって。決して悪い意味じゃないぜ」

「いい意味でとれって方が無理だろ」

男友「まぁ、いい傾向だよ」


401 : 以下、名... - 2009/07/11(土) 23:40:18.18 Lcs1M/Sn0 117/186



「何なに? 男君のどこがいいの?」

男友「えっとぉ……/// やっぱり優しいところかなー///」

「きゃーw 初々しいーw」

男友「///」

「頬染めんな、気色悪い。お前はどこに向かってるんだ」


「おっと挨拶が送れたね! よっす!」

男友「女ちゃんよーっす!」

「うっす」

「んんー? 男君、声が小さいぞぉー?」

「うーっす」

「おk!」


(……)


406 : 以下、名... - 2009/07/11(土) 23:54:13.83 Lcs1M/Sn0 118/186



「……俺、先に教室行ってるよ」

男友「んー、あいよ」

「……っ」


[教室]


(新しいクラスでも既に派閥が出来上がりつつあるな……)

(さて、俺はどうしたもんか……ん?)


クラスメイトA「……そのイントロのギターリフがたまんないんだよ」

クラスメイトB「へぇー。なら今度CD貸してくれよ」

クラスメイトA「おk。明日にでもアルバム持ってくるわ」


「……よし」


410 : 以下、名... - 2009/07/11(土) 23:59:55.28 Lcs1M/Sn0 119/186



「それってさ、11曲目のハリケーンミキサーだよね?」

クラスメイトA「え、お前分かるの?」

「俺は2曲目の方が好き……かな?」

クラスメイトA「あーそれも捨てがたいわwwww」

「だ、だよねw」

クラスメイトA「何だよ、話の分かるやつがいるじゃんwお前どっかいけw」

クラスメイトB「ひでぇwwwww」

「俺、男。よろしく!」

クラスメイトA「おうwwwwww」


(……出来た)

(上手くいった)

(俺も、やれば出来るじゃないか)


413 : 以下、名... - 2009/07/12(日) 00:08:35.76 DewcksII0 120/186



[放課後]


担任「たまにな。俺にはお前たちが眩しく感じることがあるんだ。うおっまぶしってな」

担任「そんなときは、迷うことなくお前たちを憎むことにしている」

担任「それだけだ。以上、気をつけ礼!」

(なんてカミングアウトだ……)



[体育館]


「それじゃ、今日の練習は終わりだー。各自さっさと帰れよー」

部員「うぃーっす」


男友「お、何だかご機嫌だな」

「んなことねーよ」

男友「そうかぁ?」


417 : 以下、名... - 2009/07/12(日) 00:13:11.48 DewcksII0 121/186



「強いて言えば、友達が増えたかな」

男友「うぐっ……」

「ん? どうした?」

男友「俺の……俺のアンデンティティが破壊されていく……!」

「何言ってんだか」



[家]


「ただいまー」

「おかえり。……ん?」

「何?」

「いや、何か浮かれた顔しててイラッときただけよ」

「随分な言い草だな姉ちゃん」


436 : 以下、名... - 2009/07/12(日) 00:43:03.41 DewcksII0 122/186



[自室]


(携帯光ってる。友か?)

(……!!)


『やっほー! 今度の校外学習、一緒の班にならない?』

『あ、そういえば男君にメールするの久し振りだねっ』


(俺は俺なりに悩んで、俺なりに決着をつけたのに……)

(俺たちと話すのは気まずかったんだろ、だからあの日以来目も合わせてこなかったんだろ)

(それならそれで、俺は一向に構わないのに)

(仲良くなれそうだったけど、女さんがそう思うならって俺は決着つけたんだ)


(それなのに、何事もなかったかのように話しかけてくるの止めろよ……)

(どうして最後まで、それで通せないんだよ……)


(何でそうやって、ふらふら出来るんだよ……)


441 : 以下、名... - 2009/07/12(日) 00:50:06.25 DewcksII0 123/186



[翌日]


「ほら、アンタの母は一度しか起こさないよ」

「……」

「起きないならそれでも構わないけど、自分で連絡入れなさいよ」

「……うん」


「え、本当に休むの?」

「……やっぱ行く」

「そう。さっさと準備しなさいね」


(腹は減らないからいいや……胃がムカムカする……トイレは学校の使おう……)

「……いってきます」


「……え、アイツ、起きてから家出るの随分と早いわね」

「アレかしらね、男の子の日っていう」

「それ、ベッドとかパンツの中ヤバいんじゃねーの?」


445 : 以下、名... - 2009/07/12(日) 01:00:53.79 DewcksII0 124/186



[昇降口]


男友「おーっす……あれ?」

「どうした」

男友「いや、昨日言った血色いいっての、ありゃ嘘だったな。すまん」

「……お前が謝ってどうするよ」



[教室]


担任「えーそれじゃあ来週に控えた校外学習。という名のバーベキューだがな」

担任「それの班決めをしたいんだが……」

担任「どうやって分けようか?」


生徒「…………」

担任「そら、クラス替えしたばかりで主張はし辛いよな。ってことで」

担任「先生が少し考えてきた」


454 : 以下、名... - 2009/07/12(日) 01:12:15.06 DewcksII0 125/186



担任「班は8つに分ける。班からは一人ずつリーダーを出してもらうことになってる」

担任「だったら逆に、リーダーが班を作ればいいよな」

担任「な、なんだってー!」

担任「っつーことで、今から俺が適当に選んだ八人の名前を呼ぶぞ。呼ばれたやつはあとで職員室に来るように」


[放課後]

[体育館]


「よーし、練習始めるぞー」

男友「お前、大丈夫なのか? 朝ほどじゃないが顔色は決してよくないぞ?」

「あくまで精神的なものが顔に出てるだけだ。肉体的なもんじゃあない。気にすんな」

男友「そうか……なら、今履いてるバッシュ。片方俺のだから返してくれ」

「……」


460 : 以下、名... - 2009/07/12(日) 01:23:14.19 DewcksII0 126/186



男友「あーもう、どうしても帰りたくないなら端っこにパイプ椅子出して座ってみてろ!」

「……分かった」

男友「部長だから帰れない、なんて今日日流行んねーっての、全く……」


(……)

(自分でも意外だが、周りから思われるよりも頭の中ではずっと冷静だ)

(だから、友の気遣いが余計に身に染みる)

(そして、自分が嫌になる)

(けど、それを変えようとは思わない)


男友「……あれ?」

後輩「どうしました?」

男友「男がいない……」


463 : 以下、名... - 2009/07/12(日) 01:32:46.86 DewcksII0 127/186



(何の確証もないから、居たらいいなーぐらいで歩き回ってみた)

(その辺を考えると、やっぱり自分で思ってるほど冷静ではないのかもしれない)

(まぁどうせ椅子に座って練習見てるだけだったしな)


女友「あれ、男君」

「あ、女友さん。部活は?」

女友「私馬鹿だから補習受けてたのよ。それより何か顔色悪くない?」

「明日にでも急に体が縮んで小学生になったらお世話よろしく」

女友「ごめん、ウチ……探偵事務所じゃないから」


女友「女? どうだろ、最近まともに話もしてないから……」

「そうなんだ」

女友「もう最近どころじゃないか。ずっとだね。あの日以来、挨拶ぐらいしかしてないよ」

「……」


470 : 以下、名... - 2009/07/12(日) 01:39:15.09 DewcksII0 128/186



女友「この前、見たよ。女に話しかけられてなかった?」

「……昨日はメールも着てたかな」

女友「そっか……大躍進だね」

「逆だと、思う……」

女友「え?」

「それじゃ俺行くよ。部活頑張ってね」

女友「あ、うん……」


……………………

…………

……



[教室]


「マジ、男ってやつ。勘弁して欲しいよな」

「ホントホント。あいつなんなの?」


480 : 以下、名... - 2009/07/12(日) 01:48:13.96 DewcksII0 129/186



(……)

(自分のクラスだし、間違いないよな……あはは……)

(何かしくじったかな……こんなところに出くわすなんてあるもんなんだな……)

(この声は、クラスメイトAか。いや、他にも何人かいるな……)

(友達、出来るかと思ったのに……涙出てくるって、こんなの)



「もう何もかもあいつが悪いように思えてきたわ」

「ちょwwwww」

「いやでも実際迷惑だよねー。何で部活入ってない俺らがこんな時間まで残されんのって」

「全部、男のせいだわ」

「いやいやwwwその前に諸悪の根源いるだろwwwww」

「あいつはキチガイだろ。もう別枠っていうか」


(えっ……?)


484 : 以下、名... - 2009/07/12(日) 01:54:59.69 DewcksII0 130/186



「『男君と一緒がいい!』 だろwww」

「お前がクジ言うたんちゃうんかと。マジファック」

「やり直しってバカじゃないの? 死ぬの? 死ねよ」

「だったら最初から男は女にあげて、それ以外をクジで決めたら良かったんじゃね?」

「バーカ、それは俺が言ったよ。『そんなのズルじゃないw』ってマジ切れそうになったわ」

「やり直しはズルじゃない・・・・っ! 圧倒的思考・・・・っ!」

「もうアイツは手に追えないだろ。マジキチ。だから矛先は男であってるよ」

「女惚れさせた罪wwwwwカワイソスwwwwwwww」

「結局あいつはふらっとどこかに消えただろ? 俺たちは残されたんだぞ? ホントないわ」

「あれ、俺もちょっとイライラしてきた不思議!」

「だろ?……」

「……」



「……」

「……分かった」


493 : 以下、名... - 2009/07/12(日) 02:02:37.73 DewcksII0 131/186



「えっ……?」

「うわ、男……!? えっと、その俺たち……」


「今度のバーベキューの班決めだよね」


「あぁ、うん、先生に呼ばれて職員室行ったけどやっぱりうるさいからって教室に戻されて……」

「スマン、お前のこと悪く言ってたわけじゃ……いや、言ってたんだけど……」


「いいんだ、俺もみんなは悪くないと思うから……」

「それと、きっと俺のせいで合ってる……」


「だから俺が決着つけてやる」


505 : 以下、名... - 2009/07/12(日) 02:17:25.57 DewcksII0 132/186



(僕から女にメールを送るのはこれが二度目だ)


 『始めて会ったとき、俺は君が鬱陶しいと感じた』

 『苦手なタイプだと思った』


(友達になれるかも、なんて思った)

(少しだけ、好きになった)


 『けどやっぱり、無理だ』

 『君のせいで俺が嫌われる』


(稚拙でも、この一言を添えれば、綺麗にまとまる気がする)


  死ね



518 : 以下、名... - 2009/07/12(日) 02:21:01.56 DewcksII0 133/186



(何でだろう、力が抜ける……立っていられない……)

(けど、これだけは言っておかないと……)


「今、女に、死ねって送っておいた」


「……?」

「……wwwwwww」

「ちょwwwwwww男かっけえwwwwwwwww」

「マジかよwwwww男君と一緒がいい!なのにwwwww」

「男やるなwwっをいwwwwwwwwwっうぇwwっうぇ」

「ホントさっきごめんなwwwwwwww」



「……あはは」


530 : 以下、名... - 2009/07/12(日) 02:26:14.66 DewcksII0 134/186



[体育館]


男友「お、おい、男お前どこいってたんだよ!」

「ごめん、やっぱり体調が優れないから今日は先に帰るよ」

男友「それは構わないけど……お前、本当に大丈夫か?」

「うん」



[昇降口]


(……)

(気は晴れないか……まぁ、当然だよな)

(女はメールを見て、どう思うんだろう)

(俺何してんだろうなあ)


547 : 以下、名... - 2009/07/12(日) 02:40:09.30 DewcksII0 135/186



[家]


(時間が経過すればするほどに自己嫌悪に苛まれてくるな……)

(同時に女が俺に影響されると思ってる自惚れも怖い)

(やべ、普通に手が震えてきた……)

(俺何やってんだよ……)

(何もかも、今更だろ……)




663 : 以下、名... - 2009/07/12(日) 09:32:18.76 DewcksII0 136/186



[翌日]

[昇降口]


(いつも始業の鐘が鳴る寸前に滑り込んでるけど……)

(幾分か早く登校しただけで、生徒の数は数えるほどだな)

(……顔なんて、合わせられないしな)

(俺の席は窓際だから、先に学校に来て座って突っ伏してさえいれば乗り切れる……)

(もしかすれば、女は学校を休むかもしれない)


(俺はこの先、一年……そうやって過ごすのかな)

(自転車のタイヤ、空気抜けてきたな。パンクする前に入れ直さないと……)

(磨り減ってるし、交換でもいいかな)

(……交換か)

(こんな簡単に取り替えたりやり直したり出来たらいいのに)


665 : 以下、名... - 2009/07/12(日) 09:35:23.34 DewcksII0 137/186



[教室]


「……」

(……!!!!!)


(裏目だった……)

(女が学校に来るのがこんなに早かったなんて)

(ダメだ、今更教室を出ることも出来ない……)


(とにかく、自分の席まで行って椅子に座って窓の外でも眺めていたらいいんだ……)

(それでやり過ごせばいいんだ)

(あと10分もすれば何人か来るだろ)

(たかだか10分、2曲分くらいだ。アップテンポな曲でも聴いて……)


「……っ」

「……」


667 : 以下、名... - 2009/07/12(日) 09:40:18.00 DewcksII0 138/186



「おはよ」


「……」

「元気ないぞー?」

「……ごめん」

「……」


「言いたいことは分かるんだ。これでも自覚はあるからさ」

「こっちこそ、ごめんね」


「……」

「……」

「……」

「……ごめんね」


669 : 以下、名... - 2009/07/12(日) 09:44:39.48 DewcksII0 139/186



[廊下]


(こんな時でも、話しかけてくれるんだな……)

(どうしてそんなことが出来るんだろ)

(どんな気持ちで俺の席まで歩いてきたんだろ)


(つーか何で俺が謝られてるんだろうな)

(ちょっと思い返してみれば、そうだ)

(俺がどうでもいいことにこだわって、勝手にストレス感じて……それだけだ)

(何でこいつ、逃げた挙句に俺のとこ来るんだよって……)



「あれ……俺」

「大会の次の日、あんなことがあって」

「彼女の逃げる場所になろうって」

「思ってたはずなのに」


671 : 以下、名... - 2009/07/12(日) 09:51:53.31 DewcksII0 140/186



[放課後]


 「よお男wwwwwwww」


「……?」


 「効果覿面だよwww女のやつ今日の班決めのとき何も言ってこなかったwwwwwww」

 「昨日送ったメール? めっちゃ効いてんじゃねwwwwww」


「……そう、かもね」


 「男ひでーwwwww」

 「ちょっとメール見せてくれよwwwwww」


「別にいいけど」


 「ちょwwwそんなの見たら身悶えるってのwwwwwwww」

 「怖いもの見たさだろwwwww」


674 : 以下、名... - 2009/07/12(日) 09:55:05.94 DewcksII0 141/186



(送信メール一覧は……ここか)

(送ったメールなんて見直さないから、初めて使う機能かも)


(あれ……)

(俺、もしかして)


 「しかもまともにクジやり直したら、今更男と同じ班になってやんのwwwwww」

 「こwれwはw針wのwむwしwろwwww」

 「気まずすぎるwwwww男いつでもこっち遊びに来いよなwwwwww」


(……まだ、だ)


 「メール見つかったか?wwwww」

 「早く見せてくれwwwwwwwwwwwwww」


「悪いけど……」

「やっぱ、お前たちって俺が嫌いな部類だったわ」


678 : 以下、名... - 2009/07/12(日) 10:01:21.74 DewcksII0 142/186



 「は?」


「俺が腰抜けで本当によかった」

「最後にたった二文字を添えることも出来ずに、意味の分からない文章を送りつけられるんだ」

「直接会って話すことも出来る気がする」


 「さっきからお前何言ってんの……?」


「俺、女と同じ班になれたんだっけ?」


 「あぁ、そうだけど……」


「本当によかった」

「俺は仲直りってのが大嫌いだから」

「その時ぶつけた感情を後でなかったことにするなんて都合のいい話は気に入らないから」

「俺は女に言いたいことだけ言ってくる」


696 : 以下、名... - 2009/07/12(日) 10:14:16.47 DewcksII0 143/186



[昇降口]


(女は……いないか……っ!?)

(追いかける場所に目処が立つほど俺は女のことを知らない……)

(いきなり手詰まりかよ!!)

(……そうだ)



「もしもし、女友さん!?」

女友「え、何、急にそんな大声だして。聞こえてるよ?」

「女さん探してるんだけど、行きそうなところに覚えはない!?」

女友「えーっと、行きそうなところかぁ」

「割と急いでるから、早めに頼む!」

女友「ちょっと待ってね。……ん? 男君。女のこと探してるんだってさ」

女友「どこにいるか知らないかって。うん。どこがいい?」


(……どこがいい?)


704 : 以下、名... - 2009/07/12(日) 10:18:25.17 DewcksII0 144/186



女友「えっとね、友達が教室で見かけたみたい。行ってみて」

「教室って俺のクラスでいいの?」

女友「そう」


(さっきまで俺もいたんだけどな……)

「分かった、行ってくる! ありがとう!」

女友「いーの、いーの」


(正直、あの流れで飛び出したからクラスメイトがまだいたら気まずいことこの上ないが)

(今更そんなこと気にしてもいられないか)




女友「さーほら。行ってきなさい」

「……うん」


715 : 以下、名... - 2009/07/12(日) 10:23:30.87 DewcksII0 145/186



(誰もいない……)

(いや、ちょっと待て。今のは流石に誰もいなくてよかったんじゃないか?)

(中学時代の俺を思い出せ……カノッサ機関戦線で戦ってる俺はクールだった……)



「もしもし、女友さん?」

女友「あ、もしもし。女とは会えた?」

「いや、教室には誰もいないみたいなんだけど……」

女友「それなんだけど、次は図書館で見たっていう情報が入ってるよ」

「図書館!? 分かった、すぐに行くよ! ありがとう!」



女友「どうしたの?」

「……」

女友「行かないの?」


729 : 以下、名... - 2009/07/12(日) 10:28:56.75 DewcksII0 146/186



(流石に図書館で声は出せない……)

(滅多にこないから新鮮だけど、女さんがここに来るようには見えないんだよな……)

(一通り見て回ったけど、誰も居ないか)


「あの、すいません」

図書係「はい?」

「さっき、女の子来ませんでした? 俺の肩より少し上ぐらいの背なんですけど……」

図書係「来てないですねー」

「そうですか……」


図書係「っていうか、普通に入ってきちゃってますけど」

「え?」

図書係「今、本の整理で閉館中なんですけど……ドアに札貼ってありますよ?」

「あ、すいません……」


740 : 以下、名... - 2009/07/12(日) 10:32:21.41 DewcksII0 147/186



「ごめん、こっちで訪ねておきながら失礼なんだけどさ」

女友「うんうん」

「本当に図書館で見たって聞いた? 誰に聞いた?」

女友「おっと、情報提供者の身元バレは出来ないっすよー」

「……」

女友「体育館、行ってみたら?」

「……」

女友「私が言えるのは、これぐらいだけど」

「……分かった」



女友「そろそろ嘘教えるのも可哀想になってきたって言うか、心苦しいんだけど」

「……」

女友「まだ逃げるの?」



755 : 以下、名... - 2009/07/12(日) 10:40:40.16 DewcksII0 148/186



「みんな、女を見てないか!?」

男友「うお、急に出てきてそれかよ。ノロケとかきっついわー」

「そんなんじゃない! とりあえず、体育館に来たかどうかだけ教えてくれ!」

男友「いや、来てないよ」

「……だよなぁ」




「……女友は、それでもいいって言ってくれたじゃん」

女友「私は別にそれでもいいよ。あんな状況になったら部活辞めるのも賛成してあげるし」

女友「部員と後腐れないように部長になって気も逸らしてあげるよ」

女友「けど、男君が私に頼んでくるんだよ?」

女友「多分心の中では、女が疎外されたのに部長になった私のこと嫌ってるはずなのにさ」

「……ごめん」


764 : 以下、名... - 2009/07/12(日) 10:48:37.38 DewcksII0 149/186



女友「もしもし、男君?」

「……そっちから電話かかってくるとは思わなかったよ」

女友「えっと、化学室に向かってくれるかな」

「化学室? ってどこだっけ……」

女友「生徒棟の4階の端っ……ちょ、やめ」


「電話切れた……?」

「まぁいいや、行く当てもないしとりあえず向かってみよう」

「会ってまずなんて言えばいいんだろう」


「『始めて会ったとき、俺は君が鬱陶しいと感じた』
  『苦手なタイプだと思った』
  『けどやっぱり、無理だ』
  『君のせいで俺が嫌われる』」


「うーん……なにこの乱文。それでも傷つけたことは間違いないよな……」


773 : 以下、名... - 2009/07/12(日) 10:55:04.54 DewcksII0 150/186



「化学室ってここか。初めて来たな」

「不慣れな場所でも図書館と違って入りやすい部屋じゃないから緊張するな……」

「先生が実験準備とかしてたら怒られるんじゃないのか……?」

「……ええい、いったれ」



「失礼しまーす……」

「…………」

「……えっと」





「……おっす」

「……」


775 : 以下、名... - 2009/07/12(日) 11:01:15.95 DewcksII0 151/186



「えっと……その……」

「言いたいことがあって、来たんだ」

「言い訳はしたくないから、許してもらうつもりもなくて、だからもう謝ろうとも思わなくて……」

「あれ、言うことがない……」

「えっと……」


「男君の言いたいことは分かるよ」

「いや、そういうんじゃなくて……」

「ううん、本当だよ」


「去年の大会の日。私がどうしてみんなに責め立てられたか、知らないんだよね?」

「え、いや……」

「私が無断欠席したからだよ」



780 : 以下、名... - 2009/07/12(日) 11:07:26.06 DewcksII0 152/186



「……何となく、そんな気はしてた」

「メール噛みあわなかったもんね」

「……」


「何か知らないけど、前日に先輩から『明日はスタメンで使っていくから』って言われて」

「怖くなって部屋で終わるの待ってた」

「私はみんなと違って、大会に出たいなんて少しも思ってなかったから」

「嫌だなって」

「でも、それだけのことで……」


「行ってないから分からないけど、なんか退場が多かったみたいでさ」

「私がいなかったせいで、怪我してた先輩をコートに戻すことになったって言われて」

「気付いたらもうみんなこっちを見てたんだよね」


783 : 以下、名... - 2009/07/12(日) 11:13:18.83 DewcksII0 153/186



「きっとみんなが正しいんだろうなって思ったけど」

「謝るよりもその場から逃げようとして振り返ったら突き飛ばされちゃった」

(俺が見たのは、きっとそこだ……)


「さっきも言ったけど大会は出たくないし、そこまで思い入れもなかったから」

「さっさと辞めちゃおうって思った」

「そうしたら女友からメールが来たの」

「男君たちがいつでもこっちに逃げていいって言ってるって」

「……」


「あれ、何で女友さんがそんなことを……?」

「……友、あいつ漏らしたな」


787 : 以下、名... - 2009/07/12(日) 11:24:45.48 DewcksII0 154/186



「今だから言うけど私、男君が嫌がってるの分かってて付き纏ってた」

「……」

「クラスでどこにも属してない人を探して」

「その人とならこっちが振り回されないで話せるかなって思った」


「だから、こっちに逃げてきていいって言ってくれてたことを聞いて、申し訳なくなった」

「部活辞めた後は落ち着ける場所がなかったけど」

「男君と男友くんのところには行けなかった」

「……そっか」


「学年変わって自分と折り合いもついて、ようやく男君のところまで逃げてみようかなって思って」

「……!」

「俺は……」


794 : 以下、名... - 2009/07/12(日) 11:36:08.97 DewcksII0 155/186



「勝手な話だとは思ったけど、他のどこにも属したいとは思えなかったから」

「もう一度、仲間に入れてもらえないかなって」

「……ちょっと、勝手が過ぎたみたいだねっ」

「違う、ちょっと待って……」


「逃避癖が染み付いちゃってるんだよね」

「……そんなの、俺だってそうだ」

「このままじゃクラスで弾かれると思ったら、すぐにあんなメールが送れるようなやつだ」

「かと思えば、衝動に任せて何でも書く勇気もないんだ」

「俺のほうがよっぽど逃げ足は速いよ」

「男君……」


796 : 以下、名... - 2009/07/12(日) 11:43:02.65 DewcksII0 156/186



「苦手な人だと思った」

「けど、友達になれるかも、なんて思った」

「少し好きになった」



「けど、結果はこれだ。それはどうしたって変えられない」

「……」

「その時ぶつけた感情を後でなかったことにするなんて都合のいい話は気に入らないから」

「……」

「だから」

「……」



「俺は、女さんと仲直りを申し込むことはしない」

「……うん」


805 : 以下、名... - 2009/07/12(日) 11:49:59.44 DewcksII0 157/186



……………………

…………

……


男友「……ってことはなんだ。え?」

「はい」

男友「勇ましく意地張って帰ってきたのか」

「はい」

男友「ばっかでーwwwwwwwww」

「我ながら言葉がないわ」

男友「つーかお前クラスのやつらどうすんだよwww」

「もう考えたくないよねえ」

男友「ばっかでーwwwwwwwww」


815 : 以下、名... - 2009/07/12(日) 11:54:17.93 DewcksII0 158/186



「ぐっ……お前には女友さんを介した情報横流しについても問いたいところなんだが……」

「何もいえねえ」

男友「いやーお友達多いと大変ですよね」

「もう違うと思うけどな」

男友「いやーほんとぼっちでよかった」

「……」

男友「……いやー」

「……」

男友「……」


816 : 以下、名... - 2009/07/12(日) 11:59:33.75 DewcksII0 159/186



男友「それで、明日の校外学習どうすんの?」

「そっちの班に入れてください。お願いします」

男友「仕方ないやつよのうwww先生いないとき見計らってくるがよいwwwそっちの肉もってwwww」

「野菜で勘弁して。席無くなっちゃう」

男友「なら、とうもころしだぞ」

「病院のお母さんに届けそうだな」




[翌日]


「今日は家にいられると困るからさっさと出て行きなさい」

「休みたい日に限ってコレだ……」

「今日はお友達みんな呼んで鑑賞会するのよ」

「これだからイケメン集団は……」


818 : 以下、名... - 2009/07/12(日) 12:04:09.91 DewcksII0 160/186



「おはよう」

「おはよ。アンタ今日バーベキューだっけ? いいわねー」

「それが全然そんなことないんだけどな」

「何言ってんの。授業以外で出席つくなんて、幸せなことなんだから」

「いやー今日は学校に居たいと思うだろうな」








ガチャ

「……」

「すまん」


823 : 以下、名... - 2009/07/12(日) 12:11:04.70 DewcksII0 161/186



[公園]


担任「えーそれでは。校外学習と称したバーベキュー大会を始める」

担任「それぞれ火の扱いには十分気をつけるように。先生はそれで昔痛い目に会ったからな」

担任「それじゃ好きに初めていいぞー」

(経験豊富なんだな……)



男友「おーう、こっちだこっちー」

「お邪魔しまーす」

生徒A「いらっしゃい。話は聞いてるよ」

生徒B「男友の友達なんだって? なんかややこしいな」

生徒A「遠慮しないでこっちにいるといいよ。僕たちは歓迎するよ」


(話って、お前俺のことなんて説明したんだ?)

男友(彼女に二股かけられた上に捨てられて、その女と同じ班だから引き取ったことになってる)

(おま、それはいいすぎだろ!)


827 : 以下、名... - 2009/07/12(日) 12:23:06.99 DewcksII0 162/186



男友(それぐらい言わないと、女絡みで引き取ってくれるメンツじゃなかったんだよ)

(……まぁ、ワガママは言えないけどな)

生徒A「そういえば食材まだ貰ってなかったな」

生徒B「あぁ、そうだった。行ってくるか。多めにくれって言ったほうがいいかな?」


「……あ、俺か。大丈夫、自分のところから取り分は持ってきたから」

生徒B「分かった。それじゃ俺たちちょっといってくるよ」

「おーう」


男友「……ん、俺もちょっと用事思い出した」

「え、何?」

男友「あれだよ、えーっとちょっとマーキング行ってくるわ」

「お、おい! 嘘でもそれはやめとけよ!」


828 : 以下、名... - 2009/07/12(日) 12:28:58.49 DewcksII0 163/186



男友「振りまくぜ……カバのように!!」

「あーあ、行っちまった」



(えーっと。どうすっかな)

(つーか……アイツいなくなったら俺ここにいるのおかしいだろ)

(いやおかしいっていうか、それはもとからおかしいんだけど、バレちゃうだろ……)

(前髪降ろして隠れていよう……」



「……」


(……っ)


「前髪長くない? 切らないの?」


831 : 以下、名... - 2009/07/12(日) 12:31:45.78 DewcksII0 164/186



「……え?」

「目に入らない? 下向いたら顔にかかって邪魔じゃない?」


「……まぁ、そう、だね」

「口の中にも入っちゃうんじゃない?」


「……そんなことも、あるね」

「何かこだわりでもあるの? 長髪が好きなの?」


「そう、だな……」

「……」


「今はちょっと……完全に直視ってのが、俺には辛いから……かな」










832 : 以下、名... - 2009/07/12(日) 12:32:43.61 DewcksII0 165/186


あ、終わり。


835 : 以下、名... - 2009/07/12(日) 12:33:22.99 jHGqbwV7O 166/186


えっ


836 : 以下、名... - 2009/07/12(日) 12:33:32.81 VncVqZv/O 167/186


終わった…だと………?


847 : 以下、名... - 2009/07/12(日) 12:36:56.60 ZgvHDyKwO 168/186


こういう終わらせ方は嫌いじゃない


852 : 以下、名... - 2009/07/12(日) 12:38:28.07 DewcksII0 169/186


以上で、終わりになります。

紆余曲折と言えるのかは分かりませんが、最初考えていた通りに書けたと思います。
支援と保守がとても支えになりました。ありがとうございます。

「えっ」率高いのはどうしよう。


869 : 以下、名... - 2009/07/12(日) 12:48:21.51 DewcksII0 170/186


3日で80kb近く書いてた……新記録や!

>>805
このあたりの友との会話の中に「じゃあ、女から許してもらえるのを待つのか」
みたいな会話を挟もうと思ってやめましたが、声かけられるのが見えすぎてて嫌だったので、やめました。


876 : 以下、名... - 2009/07/12(日) 12:55:03.33 lxievt+yO 171/186


エピローグがほしい



880 : 以下、名... - 2009/07/12(日) 12:58:26.44 fWuzobcd0 172/186


最後の掛け合いが男・女だと思ってみたらちょっと気が楽になった
何はともあれお疲れ様


884 : 以下、名... - 2009/07/12(日) 13:00:45.99 DewcksII0 173/186


エピローグ・・・? 何を書くんだろう・・・。


>>880
あれ、最後の掛け合いは男と女で合ってますー。
女から声をかけてもらえたと思ってください。


889 : 以下、名... - 2009/07/12(日) 13:03:13.55 Uc89+qn70 174/186


>>884
男と女って書かなかったんだから、そこはわざわざ明かさないもんだと思ったのにw


893 : 以下、名... - 2009/07/12(日) 13:06:51.92 DewcksII0 175/186


>>889>>891
いや、他のパターンは想定してなかったっていうか……^p^

男と女の交友関係は一度消滅して、
けど女から声をかけられてもう一度始まる、という旨でした


896 : 以下、名... - 2009/07/12(日) 13:13:33.45 WCDma+kK0 176/186


>>893
もう一度はじまっちゃったら仲直りになるからダメじゃね?


898 : 以下、名... - 2009/07/12(日) 13:17:47.74 DewcksII0 177/186


>>896
男は仲直りを求めていないわけじゃなくて、
それも込めて「仲直りを申し込むことはしない」って言わせてみたんですが・・・回りくどかったですね


918 : 以下、名... - 2009/07/12(日) 13:44:24.82 75SwPwo+P 178/186



賛否両論あるけど俺は良かったと思ったよ

























971 : 以下、名... - 2009/07/12(日) 20:45:20.95 DewcksII0 182/186


まだ残ってる・・・だと・・・


991 : 以下、名... - 2009/07/12(日) 23:04:39.69 DewcksII0 183/186



(ククッ……この先に逃げ込んだのは分かっている)


(月の色を見れば分かる……今宵は能力者が集うだろうな……)

(……ッ、俺自身もうあまり時間が残されていない、か。さっさとケリをつけてやろう……ククッ)


(立ち入り禁止……まぁ、一般人を介入させない心意気やよしといったところか)

(しかし、この時間に動き回っている者など他にいるものか)

(さぁ……追いかけっこは終わりにしよう、友よ……)


(暗闇ではこちらに分が悪い……姿は見えてしまうがここは明かりを点そう)

パチッ

(暗くて視えなかったが、ここは……更衣室か?)

(やつは一体どこに……)


男友「フッ……己の邪気を信じずに明かりに頼るとは甘くなったな」

「な、何ッ!?」


992 : 以下、名... - 2009/07/12(日) 23:05:21.60 DewcksII0 184/186



男友「ふははっ! 前が見えまい!」

「ぬおっ!? 何だ、これは……ってうわっ、わ、っっっ!?」



男友「貴様の負けだ、男よッッ! あーっはっは……ってあれ? 男?」

「……」

男友「……」

「……」

男友「し、死んでる……!」














995 : 以下、名... - 2009/07/12(日) 23:06:19.20 DewcksII0 185/186



男友「修学旅行の夜に部屋抜け出して邪気眼使いごっこやっててさ」

男友「そのとき落ちてた誰かのパンツを後ろからこう、頭に被せてやったら」

男友「前後不覚になった男が壁に突っ込んで、気を失っちゃってさ」


「……」

男友「急に静かになったから俺やべーと思ってそのまま逃げちゃったんだよね」

男友「んで、翌日になって旅館の清掃員が更衣室に入ったら」


「パンツ被って寝てる男君がいたっていう……」

「……」

男友「もう、教員たち大騒ぎ。なんとか生徒たちには伝わらなかったみたいだけどな」


「それじゃ結局のところさ」

男友「うん?」


「男君は匂いフェチなの? パンツ好きなの?」

「ちゃんと話聞いてた!?」


996 : 以下、名... - 2009/07/12(日) 23:06:27.02 nYSij4Hk0 186/186


おいwww最後の最後に何をwwwww


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