大統領「……ん?」
ボディガード「む!」
テロリストA「……いたぞ」
テロリストB「大統領だ!」
ボディガード「やばい敵襲だ!」ババッ
大統領「おおっ! なんと頼もしい!」
ボディガード「大統領を盾にしなきゃ!」サッ
大統領「ちょっ!?」
元スレ
ボディガード「やばい敵襲だ!大統領を盾にしなきゃ!」
http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1573556413/
テロリストA「死ねーっ!」パァンッ パァンッ
テロリストB「覚悟ーっ!」パァンッ パァンッ
大統領「うわーっ!!! うわあああああああっ!!!」
ボディガード「大統領、私を守って下さい!」
大統領「ふざけんなぁぁぁぁぁっ!!!」
大統領「……当たらなかったからよかったようなものの!」
長官「ご無事でなによりです」
大統領「なんなんだよアイツは! あんなボディガード、クビにしろよ!」
長官「しかし、なにぶん我が国は深刻な人材不足で……」
大統領「あんなのでも雇っておかねばならんということか……」
長官「そうなのです……」
大統領「仕方ない……今回は水に流そう」
ブロロロロ… キキッ
ガチャッ
ボディガード「大統領、到着いたしました」
大統領「うむ」
過激派「これでも喰らえーッ!」ブンッ
大統領「火炎瓶!?」
ボディガード「大統領を盾に!」サッ
大統領「またかよ!」
ガチャンッ ボワァァァァァッ
大統領「熱ッ! 熱いッ! 火がッ! 近いッ!」
ボディガード「ふぅ……危なかった」
大統領「なにやってんだよお前! ボディガードだろ!?」
ボディガード「自分のボディをガードしました」
大統領「バカかお前!」
ボディガード「すいません、うまいこといってしまって」
大統領「うまくねえよ!」
……
ボディガード「本日はこちらでお食事です」
大統領「なかなかよさそうな店だ」
コロコロ…
大統領「ゲ、爆弾!」
ボディガード「大統領の後ろに隠れねば!」ササッ
大統領「バカ、私が下がれない!」
ドォォォォォォォンッ!!!
大統領「間一髪だった……。あいつ、クビにしろって!」
長官「しかし、深刻な人材不足で……」
大統領「人材不足とかそれ以前の問題だろ!」
長官「本人に悪気はありませんし……」
大統領「悪気しかないだろ! あいつがテロリストどもの親玉だってオチでも驚かねーよ!」
長官「ですが……」
大統領「もういい! 下がれ!」
大統領(こうなったら……!)
大統領「腕立て伏せ……」グッグッ…
大統領「腹筋……」グッグッ…
大統領「スクワット……」グッグッ…
副大統領「大統領、何をしてらっしゃるので?」
大統領「鍛えているのだ」グッグッ…
副大統領「な、なぜ?」
大統領「自分の身は自分で守らねばならないのでな」グッグッ…
大統領「それでは、会議を執り行う」
大統領「まずは、近年増加の一途をたどるテロ対策について――」
ワイワイ… ガヤガヤ…
官僚「我が省庁と致しましては……」
官僚(ん?)
大統領「……」グッグッ
官僚(話を聞きながら右手でダンベルを上下させてる……!)
演説――
大統領「誰もが笑って安心して暮らせる、強い国を造ろうではありませんか!」
大統領「我が国こそナンバーワーン!!!」
ウオオオオオオオ……!!!
観客A「おい、見ろよ……」
観客B「え?」
観客A「大統領……座ったまま演説してるのかと思ったら空気イスしてるぜ!」
観客B「ホントだ!」
ジム――
トレーナー「これはこれは大統領! 今日は見学に?」
大統領「いや……スパーリングをさせてもらいたい」
トレーナー「では練習生と……」
大統領「一番強い選手を頼む」
トレーナー「し、しかし……!」
大統領「大統領命令だぞ!」
トレーナー「かしこまりました!」
ある日――
覆面A「大統領だ!」
覆面B「やっちまえ!」
護衛A「テロだ!」バッ
護衛B「させるか!」バッ
大統領「せっかくだが、お前たちは下がっていろ」
護衛AB「え!?」
覆面A「撃て撃てぇ!」パンパンッ
大統領「無駄だ」キンキンッ
覆面A「は!?」
大統領「つああっ!」
ドゴッ!
覆面A「ぐげっ!」
大統領「ハァッ!」
ドカッ!
覆面B「がはっ!」
ボディガード「……」
その夜――
ボディガード「大統領、今日はお見事でした」
大統領「ボディガードよ……私はようやくお前の真意を悟ったよ」
大統領「お前が私を“死なないよう”盾にしたのは、私をトレーニングに駆り立てるためだな?」
大統領「なぜなら、お前は……私の潜在能力を見抜いていた」
大統領「今や我が国No.1の格闘家をも倒し、銃も効かない体を手に入れた私の力を……」
ボディガード「お気づきになられましたか、大統領」
ボディガード「我が国はまだまだ小さくか弱い」
ボディガード「あらゆる分野で人手が足りず、一人でも多くの強靭な人材が必要なのです」
ボディガード「そんな時、私は大統領の内に眠れる力に気づきました」
ボディガード「いかに大統領とはいえ、これを眠らせたままではあまりにも勿体ないと考えたのです」
ボディガード「申し訳ありませんでした……」
大統領「いや、お前がいなければ、私は守られるだけの大統領で終わったに違いない」
大統領「こちらこそ礼を言いたい。ありがとう」
ボディガード「勿体ないお言葉……」
大統領「しかし、まだ足りない。私はまだまだ強くなれる」
ボディガード「その通りです」
大統領「お前には我が力をもっと引き出してもらわねばならない」バッ
ボディガード「お相手しましょう」ババッ
大統領「顔が笑っているぞ。お前もしかして、ただ自分のスパーリング相手が欲しかっただけなのでは?」
ボディガード「フフ、バレましたか」
大統領「では……ゆくぞッ!!!」
ギャウッ!!!
轟音が響く。
大統領の右拳が、ボディガードの顔面を打ち抜いた。
ボディガード「やはりまだまだこんなものですか」ニィッ
大統領「ぬ……!」
ドゴォッ!
大統領「ぐぼっ……!」
右中段蹴りが炸裂。胃液を吐き散らす大統領。
ボディガード「内臓を破裂させるつもりで蹴ったのですが、嘔吐で済むとはさすがです」
大統領は再び距離を取り、呼吸を整えてから、果敢に攻める。
一撃で駄目ならば、とラッシュを仕掛ける。
ドドドドドドドドドドッ!
しかし、ボディガードの強固な肉砦は到底崩れそうにない。
だが――
ドゴォッ!
ボディガード「むう……ッ!?」ミシミシ…
ボディガード(少しずつ拳の威力が増している……これは!)
ボディガード「さては大統領、あなた戦闘中にどんどん強くなるタイプですか」
大統領「どうやら、そのようだ」
ボゴォッ!
ボディブローがボディガードの脇腹をえぐる。
大統領「今のは効いただろう?」
ボディガード「ええ……肝臓(レバー)に少々響きました」
ボディガード「しかし――」
大統領「?」
ボディガード「私も大統領と同じタイプだったようです」
今ダメージを受けたことを恥じるように、ボディガードの筋肉がみるみる輝きを取り戻す。
損傷が肉を強化しているのだ。
大統領「君とやり合っていると、それだけで私は飛躍的に強くなれそうだ」
ボディガード「私もです」
大統領「では、続けようか。だが最後に立っているのは私だ!」
ボディガード「いいえ、私です!」
ドゴォンッ!!!
無数の閃光が飛び交い、火花が散る。
戦えば戦うほど強くなる二人は、生涯最高の好敵手を得て、いつまでも戦い続けた。
いつまでも、いつまでも……。
兵士「申し上げます!」
兵士「敵国から大型ミサイルが十基、発射されました!」
大統領「よし行くか」
ボディガード「はい」
大統領「私が8、君が2でいいかな?」
ボディガード「いえいえ、私が8、大統領が2でよろしいかと」
大統領「おっと、ここで揉めても仕方ない。5:5でいこう」
ボディガード「分かりました」
大統領「ではゆくぞッ!」バッ
ボディガード「はいッ!」バッ
大統領「この国は私が守るッ!!!」
二人「どりゃあああああ――――――ッッッ!!!!!」
兵士「……全ミサイルの撃墜を確認!」
― 完 ―