1 : ◆WO7BVrJPw2 - 2019/07/01 00:06:16.77 XJiA5g9W0 1/28


――事務室

コンコンコン

モバP(以下P)「ん。どうぞ」

ガチャ

速水奏「プロデューサーさん、いる?」

P「ああ、奏か。パーティーはどうだった」

「楽しかったわ。ほら、見てこれ」ガサッ

P「おわ、すごいことになったな」

「こんなにたくさんの花を持ったの、初めてだわ」

P「企画したのは相葉さんだったっけ」

「そうなの? てっきりPさんかと思った」

P「さすがにロマンチックが過ぎるよ」

「そう? 皆から渡される花で作る花束なんて、素敵じゃない」

P「それを俺が企画したって?」

「んー……そうね、タイプじゃないかも」

P「だろ」

「でも、私のためにタイプじゃないことを考えてくれたなら、嬉しいかもって」

P「なら、今後の参考にさせてもらうとしよう」



元スレ
速水奏「特別な、プレゼント」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1561907176/

2 : ◆WO7BVrJPw2 - 2019/07/01 00:07:18.54 XJiA5g9W0 2/28


P「今日はあと……藤居さんが一緒の誕生日だったな」

「ええ、ふたりで花束作っていたわ」

P「藤居さん、髪に飾られてそう」

「よく分かったわね」

P「えっ、マジにやられたの」

「最初にやったのはあいさんだったかしら」

P「あー」

「そしたら大人組がわらわらと」

P「悪のりしたな」

「彩華さんが仕上げを担当してたわ。朋って髪量あるじゃない。身長10cmは増やされてた」

P「うわ、見たかった」

「あとで誰かデレぽにあげるんじゃない? あれは髪を洗うの大変ね」

P「奏は被害に遭わなかったのか」

「周子とフレちゃんに詰め寄られたけど」

P「けど?」

「こう、全力の笑顔をしたら退いてくれたわ」

P「さすがの圧力」


3 : ◆WO7BVrJPw2 - 2019/07/01 00:07:50.21 XJiA5g9W0 3/28


「圧力をかけたわけじゃないんだけど……あのメンバーに行動に出られたら、抵抗しても無駄でしょ」

P「まあ」

「抵抗するつもりも無かったけど、結果的にブラフになっちゃったわね」

P「奏にやるには後が怖いってことかな」

「別に飾られても嫌じゃなかったのよ? 実際、朋も楽しんでたし」

P「なんだ、少しはいじられたかったか」

「どうかな。そういういじられる、みたいなのは得意じゃなかったけど」

「……この一年で変わったかも。一緒に楽しんでしまえば、悪くないって思えるわ」

P「濃い面子と仕事してるもんな。変わりもするか」

「ふふ……」

P「?」

「当事者の自覚ないの? 変えたのは、Pさんよ」

P「そうか」

「そうね」

P「……いい環境を用意できたのなら、プロデューサー冥利に尽きるよ」

「照れ隠しに仕事を言い訳にするなんて、ずるい人」


4 : ◆WO7BVrJPw2 - 2019/07/01 00:08:22.95 XJiA5g9W0 4/28


「なんで途中で抜け出してきちゃったの」

P「最後までいたかったけどな。仕事があったから」

「そっちも仕事なの? もう」

P「そこに文句は付けないでくれよ」

「ふふ、冗談」

P「まったく……ああ、そっちにいろいろ届いてる」

「いろいろ?」

P「ファンからのプレゼントがメイン。前に仕事で一緒したタレントさんとか、社内からも少しあるか」

「結構あるわね……」

P「これでも少しは減ったんだぞ」

「減った?」

P「検閲済みってこと」

「ああ」

P「生ものはどうしてもな。言えないようなものは無かったけど」

「言えない?」

P「あー……しまった、藪をつついた」

「ふふ、今日の蛇はおとなしくしておくわ」


5 : ◆WO7BVrJPw2 - 2019/07/01 00:08:49.77 XJiA5g9W0 5/28


「……でも、ちょっと切ないわよね」

P「ん?」

「理由、目的はどうあれ、私に宛てて贈ってくれたものが届くことがないなんて」

P「まぁ、奏の気持ちは分からんでもない」

「そう?」

P「だけど、それこそ人に言えないような物を贈るのは、相手のために贈ったものじゃない」

P「自分を満たすために贈っているんだよ。そんなのは届かなくても仕方がない」

「なるほど。そう考えれば、そうね」

P「まあ気にするなってこと。それよりどうするこれ」

「今日持って帰るのはちょっと無理ね。ただでさえ花で片手ふさがってしまうもの」

P「アイドルの人数考えると、片手で済んで良かったな」

「そこは考えてあって、ある程度ユニットで纏めてくれたみたい。全員が来てた訳じゃないしね」

P「あぁ。バランスよくまとめてくれたんだな」

「……これが、贈り物ってことなのね」

P「そういうこと」


6 : ◆WO7BVrJPw2 - 2019/07/01 00:09:30.43 XJiA5g9W0 6/28


P「個人でもらう分はまた別に貰ってるだろ」

「そうね、かさばらないものが多かったわ。あ、ちょっと持ってきていい?」

P「いいけど、どうした」

「荷物の整理がてら、もらったもの一緒に見たいの」

P「あの、仕事……」

「少しだけ。ね?」

P「……はぁ、断れないな」

「ありがとう。すぐ戻ってくるわ」

パタン

P(……貰ったプレゼントを自慢したいこどもみたいな顔してんだもんな)

P(ん? そのものか)

- - -

「文香からはブックカバーね。ん、ありすちゃんから栞……あら?」

P「同じ意匠で同色か。合わせたんだろうな」

「ふたりで買いに行ったのかしら。ふふっ」


7 : ◆WO7BVrJPw2 - 2019/07/01 00:10:00.74 XJiA5g9W0 7/28


「志希からは、オリジナルのパルファン」

P「言ってたけど、小物が多いな」

「でしょう。これは美嘉と加蓮、ふたりでって言ってたわ。たぶんネイルね」

P「ああ。……そうだな、ピンク」

「分かるの?」

P「多分だけどな。どっちともユニット組んでるんだから、奏に詳しそうだなって」

「果たして、どうかしら」パカ

「凄いわ、当たり。私に詳しいとピンクなの?」

P「持ち物に多いだろ」

「ふぅん。ということはPさんも、私に詳しいんだ」

P「……あー……事務所と仕事の範囲までなら?」

「もっとプライベートなところまでは、知りたくない?」

P「そこは遠慮しておくよ」

「そう。残念だけど、そっちの方がいいかも」

P「ん?」

「その方が、見せていく楽しみがあるから」

P「……はぁ」

「ふふっ。楓さんのは……これ何かしら」

P「なんだろうな。小箱だけど……指輪でも入ってそうな大きさ」

「それなら、Pさんに付けてもらおうかな」

P「意味のないことならやってもいいけど」

「それじゃつまらないわ」


8 : ◆WO7BVrJPw2 - 2019/07/01 00:10:28.84 XJiA5g9W0 8/28


「でも私、楓さんにサイズ教えたかしら」

P「指輪ならフリーサイズのもあるけど」

「楓さんがフリーサイズの指輪を贈るっての言うのは、想像つかないわね」

P「まあ、そういうのはあんまり高いアクセサリーじゃないか」

「とはいえ高いものでも困るけど」

P「開けてみれば」

「そうね……渡してくれる時に『ちょこっと悩んじゃいました』って言ってたわ」ガサガサ

P「……あ、なんだか予想ついた」

「え?」

P「予想ついたけど贈るか普通」

「え、ちょっと、どう言うこと」パカ

P「……あ。うん」

「……猪口」

P「うん。江戸切子だ……渋いな」

「未成年に贈ってどうするつもりなのあの人」

P「そこも含めて、悩んだんだろうな」

「成人したら飲みましょうってこと?」

P「……好意的にとらえると、そうかな」


9 : ◆WO7BVrJPw2 - 2019/07/01 00:10:55.60 XJiA5g9W0 9/28


「こんな感じね。まだあるけど、全部は見てられないわね」

P「ファンからのプレゼントで大きめの紙袋のあったな。それに詰めさせてもらうか」

「包装を事務所に捨てていくのも気が引けるし……そうさせてもらうわ」

P「残りは少しずつ持ち帰るか、宅配にするか」

「着払い?」

P「申し訳ないが」

「そう……じゃあ、持って帰れるものは分けて持っていくわ」

「持って帰るのに苦労するのは宅配したいわね」

P「OK、ちひろさんに伝えておくよ」

「……」

P「どうした?」

「分かってはいるわ」

P「うん?」

「Pさんがこう言う日に、パーティーを開く援助をしてくれている」

P「まぁ」

「それで十分。担当だからって、特別なプレゼントを貰えるわけじゃない」

P「……ああ、それも仕方ないな。何か品物にすると、どこかで差が出るし」

「分かってはいるの。……でも、それでも」

「Pさんからの特別なプレゼントが欲しい」


10 : ◆WO7BVrJPw2 - 2019/07/01 00:11:22.47 XJiA5g9W0 10/28


P「……」

「なんて思ってみたり、ね」

「ごめんなさい、困らせてしまったわ。欲張りね、私」

P「そうだな……分かってくれるならいい」

「ええ。でも、他の子もそう思ってるんじゃないかしら」

P「そうかもな。別に全く贈り物をしない訳じゃないぞ」

「そうね、CDデビューとか、初ライブとか……そう言う時には何か聞いてくれるわよね」

P「あくまでできる範囲でだけど」

「なら、形に残らないものなら?」

P「……何かをしてほしいって?」

「例えば」

「キスして欲しいとか」

P「予想はしていたけど」

「だめ?」

P「だめ」

「そう、残念」


11 : ◆WO7BVrJPw2 - 2019/07/01 00:11:49.40 XJiA5g9W0 11/28


P「こう返ってくるのも、分かってたろ」

「そうかもね」

P「……思ったんだが」

「ん?」

P「奏、されたい方なんだな」

「されたいって……キスを?」

P「ああ」

「そうね…… ああ、思えばそうかも」

「女性からのキスも情熱的でいいと思うけど」

P「けど?」

「……秘密」

P「そうか」

「訊かないの?」

P「隠しごとは美貌の秘訣なんだろ」


12 : ◆WO7BVrJPw2 - 2019/07/01 00:12:18.45 XJiA5g9W0 12/28


「噂でしょう、それ」

P「なんだ、違うのか」

「まあ、悪くはないかしら」

P「別にいいと思うぞ、そのスタンス」

「そう? なら、そうさせてもらうわ」

P「ああ」

「キスをしてくれないのは、Pさんのスタンスなの?」

P「それ、スタンス以前の問題だよ」

「それもそうね」

P「なんにせよ、俺からするなんてことは無いだろうな」

「そう……実はね」

P「ん?」

「Pさんにキスされるかもって思ったこと」

「一度だけあるのよ?」


13 : ◆WO7BVrJPw2 - 2019/07/01 00:12:45.17 XJiA5g9W0 13/28


P「えっ。嘘だろ、そんな覚えないぞ」

「それはそうよ。私の勘違いだったから」

P「……なにしたっけ」

「私をスカウトして、売りだす前のこと」

P「えー……」

「たいしたことじゃ……いえ、私には大したことだったかな」

_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/

P「ちょっと、良く見せてもらっていいか」

「えっ。ええ、いいけど……」

クイッ

P「綺麗だな。薄い茶色……いや、ほとんど金色だ」

「……」

P「ほんの少し釣り気味で、しっかりと大きく形もいい。うん、この眼もポイントにできるな」

_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/

「眼を見たの」

P「眼?」


14 : ◆WO7BVrJPw2 - 2019/07/01 00:13:11.45 XJiA5g9W0 14/28


「ちょっとそこに座って」

P「ん? ああ」ギシ

「私のね、この瞳を、こう」

P「おっと……」

「こんな感じに」クイッ

P「……顎に手を添えてもいたのか」

「そう」

「こんなことされたら、キスされるかと思っても仕方ないわよね?」

P「あー、うん、やったな……すまなかった」

「謝る必要ないわ。嫌じゃなかったんだから」

P「そうか……」

「これだけ顔を近づけているのに、避けようとしないんだ」

P「自分からは、しないんだろ」

「そう、そうね……信頼されているのかな」

P「気を悪くしないで欲しいんだけど」

「ええ」

P「そんな度胸はないかなって」

「……やっぱりPさん、私に詳しいわ」

P「悪かった」

「謝らないでよ、私の立場がないでしょう」

P「……ああ」


15 : ◆WO7BVrJPw2 - 2019/07/01 00:13:39.11 XJiA5g9W0 15/28


「ふふっ、離れてって顔してる」

P「それを口にしないで離れてくれよ」

「せっかくのチャンスなのに、もったいないのね」

ギッ

P「ふぅ……キスにもったいないとかあるのか」

「あるかもしれないよ?」

「私は初めて会った時から、あなたにキスをねだったわ」

「最初はPさんをからかうため」

P「ああ」

「いまでも変わってないと思う?」

P「ん?」

「ふふ……ねえ。18歳になって、いろいろOKになったのよ」

P「……そうだな、選挙とか、免許とか」

「結婚とか」

P「……」

「キスは」

「何歳でだって、いいのに」

P「無理矢理はだめだろ」

「そんなの前提にしてないわ」


16 : ◆WO7BVrJPw2 - 2019/07/01 00:14:09.39 XJiA5g9W0 16/28


「ねえ」

「私はあの時から、あなた色になるのを許した……いえ、決めた」

「歌と踊りだけじゃない。いろんな私を見せてくれて、そして私もそうなろうとした」

「私はあなたの望むアイドルになれている?」

P「ん……そうだな」

「そうなった先は?」

P「先?」

「言語学者に拾われて、レディに仕立てられた町娘は、もう庶民として暮らせなくなった」

P「古い映画だ」

「私も」

「もう戻れないわ」

「この華やかに飾り付けられた世界を知ったの」

「教えたのは、あなたよ」

P「あー……責任もてって?」

「そんな重いこと言わない」

「でも、今日この唇を奪わなかったこと、後悔するかも」


17 : ◆WO7BVrJPw2 - 2019/07/01 00:14:35.43 XJiA5g9W0 17/28


「覚悟してね」

「私はもっと素敵になるから」

「ねえ、立って」

P「ん? ああ」

ギッ

「Pさん」

P「……」

「……」

P(眼が)

P(金色の瞳が、まっすぐに)

「私」

P「……」

P(あれ……これ、まずいんじゃないか)

P(止めた方が)


18 : ◆WO7BVrJPw2 - 2019/07/01 00:15:02.91 XJiA5g9W0 18/28


P「……」

「あなたが好き」

P「……あ」

「……」

P「その……いま言われるとは、思ってなかった」

「私も」

P「え」

「いま言うなんて思ってなかった」


19 : ◆WO7BVrJPw2 - 2019/07/01 00:15:29.21 XJiA5g9W0 19/28


P「勢いなのか」

「そう……ごめんなさい、言うつもりなかったの」

P「……」

「もっと言わずにいられると思った。いえ、Pさんに言わせてみせるなんて思ってた。でも……」

「溢れてしまった。止められなかったの」

P「奏、俺は…… ……どう答えたものかな」

「……答えが欲しいわけじゃないわ」

P「……」

「伝えたいことを、伝えてしまっただけ」

「あなたへの贈りものじゃないの。私のために伝えただけ」

「そんなものは、あなたに届かなくても仕方がない。そうでしょ?」

P「……聞かなかったことにしろって?」

「そうね……でも、あなたは聞いてしまったから。取り消せないなら」

トン

「Pさんの、ここに。届いてくれたら嬉しい」

「態度で分かっていたかもしれないけどね」

P「いや……どこまで本気かは分からなかったよ」


20 : ◆WO7BVrJPw2 - 2019/07/01 00:15:55.60 XJiA5g9W0 20/28


「ねえ、抱き着いていい?」

P「……ま」

「答えは聞かない」

ギュッ

「……」

P「今日はいつも以上に我がままだな……」

「ごめんなさい。……気持ちがね、溢れて止められないの」

「それでもPさんなら、受け止めてくれるかなって」

P「……答えは言わないでおく」

「でも、避けないでくれている」

「そのまま受け止めてくれた」

「そんなところが、好きよ」

P「……」


21 : ◆WO7BVrJPw2 - 2019/07/01 00:16:23.76 XJiA5g9W0 21/28


「さっきのキスの話覚えている?」

P「え? ああ、秘密って」

「気が変わったから言おうかな……私がキスされたい理由」

P「……それは?」

「やっぱり、意中の人に求められるのって、嬉しいでしょう?」

P「……はー……」

「ふふっ。ねえ、Pさん」

「私の言葉に、あなたへの好意が含まれているのを知っているなんて、素敵だと思わない?」

P「……光栄だね」

「本音は?」

P「……」

「いいよ、正直に言って」

P「……面倒」

「でしょうね」


22 : ◆WO7BVrJPw2 - 2019/07/01 00:16:50.13 XJiA5g9W0 22/28


「ふふっ、また困らせちゃったわ」

「やっぱり、あなたの隣に立つには、私はまだ幼くて」

「こんな我がままを言ってしまうくらい子どもで」

「そんな私を受け止めてしまうくらい、あなたと差がある」

P「……奏を見くびっているわけじゃないんだけど」

P「年齢の差って、そうやって出てくるだろ」

「……そうよね」

「ねえ、Pさん。あなたの隣に立って恥ずかしくないくらいの人になれたら」

「私を認めてくれたら、その時は」

「私にキスをして?」


23 : ◆WO7BVrJPw2 - 2019/07/01 00:17:17.65 XJiA5g9W0 23/28


P「……告られた、以上のことを言われた気がする」

「そうね……すごいこと言ったかも」

P(止めるべきだっただろうか)

P(そもそも、俺に止める気はあったんだろうか)

P(……正直、自分にもわからない)

P「あ」

「?」

P(わからないんだな。自分にも)

P(奏の、このまっすぐな想いを受け止めたいのか、突き放したいのか)

「……Pさん?」

P「ちょっと離れて」

「え? ええ」ス…


24 : ◆WO7BVrJPw2 - 2019/07/01 00:17:44.21 XJiA5g9W0 24/28


ガサッ

P「これ、ひとつ貰うな」

「? いいけど……」

P「ハサミは……デスクにあったな」

パチン

P「こんなもんか」

「……」

P「答えは伝えられない」

P「どっちの答えでも……たぶん、この関係は続かなくなる」

P「だからいまは」

スッ

「……!」

P「これで勘弁してくれ」

P「俺が贈るものじゃなくて、形に残らなければ、まあいいだろ」


25 : ◆WO7BVrJPw2 - 2019/07/01 00:18:10.25 XJiA5g9W0 25/28


「……やっぱり、ロマンチストね」

P「参考にしただけだよ」

P「いや……俺も少し浮かれてるのかも」

「でも、タイプじゃないことを……あなたの精一杯の答えを返してくれたね」

P「……」

「私も浮かれていたのかな。すごいこと言っちゃった」

P「取り消しなら、いつでも聞くよ」

「絶対しないわ」

P「……余裕あるな」

「そう見えてるだけかも、ね」

「Pさん」

「プレゼント、ありがとう」

P「どういたしまして」


26 : ◆WO7BVrJPw2 - 2019/07/01 00:18:36.79 XJiA5g9W0 26/28


「今日は帰るわ」

P「ああ」

ガサッ

「いま持って帰れるのは、これくらいかな」

P「わかった」

「……ねえ」

P「うん」

「帰るまで、このままでいい?」

P「……お好きに」

「うん。……お疲れさま」

P「お疲れ」

パタン

P「……」


27 : ◆WO7BVrJPw2 - 2019/07/01 00:19:03.04 XJiA5g9W0 27/28


「……ふぅ」

(バレていたかしら)

(バレていたら仕方ないけど……信じるしかない)

(耳に掛けるように飾られた花が)

(あなたからの、特別なプレゼントが)

(私の赤くなった耳を隠してくれているだろうって)

「……ふふっ」





おわり


28 : ◆WO7BVrJPw2 - 2019/07/01 00:19:29.53 XJiA5g9W0 28/28


お読み頂き、ありがとうございました。
奏、誕生日おめでとう。

次は楓さんか美嘉かなぁ。
よければこちらもどうぞ。

速水奏「はー……」モバP「はー……」
http://ayamevip.com/archives/53893754.html

渋谷凛「連れていってほしい」
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一ノ瀬志希「失踪しちゃおうか」
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速水奏「とびきりの、キスをあげる」
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塩見周子「どっちがいーい?」
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